文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「姿かたちを変えながら一生に寄り添い、幸せの時を広げる。」を企業理念として掲げております。「おいしい」「たのしい」「うれしい」など、人が生きている幸せを実感するときにそばにいることを事業活動の目標とし、その事業の源である自然への感謝を忘れずに、その恵みを様々な姿かたちにして広く社会に届け、幸せの時が広がる未来にずっと貢献できる企業グループを目指して一歩ずつ挑戦してまいります。
(2)経営戦略等
国内砂糖事業を基盤とした競争力の維持・強化に加え、グローバル展開や成長分野への事業領域拡大などによる収益構造改革の推進を、中長期的な経営戦略と位置付けております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)8~10%を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。引き続き成長分野への経営資源の投入を進めながら収益力の強化を図ってまいります。また、将来の成長に向けて取得してきた事業・資産に伴うのれん等の償却負担が増大している財務上の特徴を踏まえ、キャッシュ創出力を表すEBITDA指標を参考として、当社グループの財務の実態把握に努めてまいります。
(4)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題等
当社グループは、砂糖事業が売上高の80%以上を占め、北海道・鹿児島県・沖縄県に国産糖製造会社を有しております。その結果、砂糖事業を取り巻く環境の変化による影響、農業政策や通商政策の影響を受けやすい事業構造にあります。また、国内の砂糖消費量は、人口減や甘味需要の多様化等により減少傾向にあり、その減り幅は年々拡大しつつあります。さらには、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)といった他国との経済連携の進展、新型コロナウイルス感染拡大による世界的な政治経済の不安定化などにより、砂糖事業を取り巻く環境は一層厳しさを増しております。
このような状況下、当社は、2021年4月1日付の三井製糖㈱と大日本明治製糖㈱の経営統合により、商号を「DM三井製糖ホールディングス㈱」に変更し、持株会社体制に移行いたしました。統一された経営戦略の下、両社の経営資源を集中し、サプライチェーンや業務の見直しによる効率化、砂糖生産体制の強化などにより、安心安全かつ持続可能な供給体制を維持するとともに、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。また、グループ各社の連携により、以下の取り組みをもって、既存事業の基盤強化と成長分野の事業拡大に対処してまいります。
国内砂糖事業につきましては、①安定供給のための投資を維持しつつ、人口減少等の社会構造の変化に対応するための自動化や省力化、②生産や物流現場における人手不足等のわが国全体に関する課題を見据えた生産、販売、物流に至るサプライチェーン全体の最適化の追求、③スプーン印・ばら印のブランド力を活かした競争力のある商品展開と、マーケットニーズの変化に対応した顧客目線による営業活動を推進してまいります。
海外砂糖事業につきましては、堅調な経済成長を持続するASEAN・中国エリアにおいて、①シンガポールの連結子会社SIS’88 Pte Ltdの競争力強化、②中国食品事業におけるBtoB、BtoCをカバーする砂糖のサプライチェーンの構築、③タイ国関連会社の新工場での高品質精製糖の生産体制確立を推進してまいります。
ライフ・エナジー事業(2021年4月1日付でフードサイエンス事業から名称改正)につきましては、食品が持つ栄養や機能性を活かし、人々の暮らしにおいて日々のパフォーマンスを維持向上させるとともに、個々人のライフステージに見合った食品を提供することで健康寿命の延伸に貢献することを目指してまいります。当社グループの知見のみならず、他社との連携やM&Aなどによる外部資源の活用も視野に入れながら収益力の拡大を図ってまいります。
不動産事業につきましては、引き続き所有不動産の活用による安定的なキャッシュ創出に努めるとともに、工場跡地の開発を進め、一層の資産の効率化並びに収益力の強化を図ってまいります。
研究開発につきましては、バガス(サトウキビの搾汁後に残る固形物)からポリフェノールなどの有価物の製造及び応用利用、サトウキビ由来の植物乳酸菌を利用した新商品開発を進めてまいります。また、サトウキビ農業の安定化・高収益化を目指し、栽培改善技術の開発を進める等、今後も環境に優しい植物であるサトウキビを最大限活用することで新たな事業創造を行ってまいります。
地球温暖化への対処として、当社グループが健全に事業を継続して行く上で、持続可能な地球環境の維持は必要不可欠であり、わが国政府による温室効果ガスの排出削減目標「2030年に2013年比46%削減」も念頭に、当社グループの事業活動における温室効果ガス排出状況を検証し、その削減に努めてまいります。
当社グループは、2021年1月15日付で日本甜菜製糖㈱と資本業務提携契約を締結いたしました。わが国の精製糖業界に永年携わってきた両社がこれまで培ってきた生産技術、品質やコスト管理手法、物流・原料調達をはじめとする広範な経営ノウハウを結集、安定的国内供給体制をさらに強固なものとし、国際競争力を強化して成長を図るべく提携してまいります。
また、当社は、2021年4月1日付で、コーポレート・ガバナンスの一層の充実という観点から、監査等委員会設置会社に移行いたしました。加えて、同日付で、取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会を設置いたしました。独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることで、取締役の指名及び報酬に関する透明性及び公正性をより向上させてまいります。
なお、過去数年に亘り、当社グループの業績に大きな貢献をしてきたフィンゴリモド「FTY720」の開発権及び販売権の許諾に基づく受取ロイヤリティーにつきましては、当社の共同特許権者である田辺三菱製薬㈱とNovartis Pharma AG(以下「ノバルティス社」という。)との間で仲裁手続きが進行中であることを受け、ノバルティス社が契約の有効性に関し疑義を提起している部分につきましては、引き続き収益として認識しない会計処理を継続いたします。
当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載します。なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①食の安全性に関する事項
当社グループは、安全安心な製品を安定的に供給するための生産・品質管理体制を整備し、万全の体制で臨んでおります。しかし、品質上の重大な問題等が発生した場合、顧客の信頼喪失、売上低下、生産の停止や製品の回収、管理体制の強化や対策のための費用の発生を含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期は推測が困難ですが、当社グループでは品質上の重大な問題を未然に防ぐため、設備の改善やアクセス制御エリアの明確化などのハード面の対策とともに、ISOやFSSC規格の教育・遵守、委託先のモニタリングなどソフト面の対策を進め、フードディフェンスの強化に取り組んでおります。また、食品事故が発生した場合を想定し、それぞれで最小限の被害に抑えるための行動マニュアルや情報管理マニュアルを整備し、品質事故対応訓練を定期的に実施して役職員の注意を喚起しております。
②農業政策等の事業環境に関する事項
当社グループは、砂糖事業が売上高の80%以上を占め、北海道・鹿児島県・沖縄県に国産糖製造会社を有しております。その結果、砂糖事業を取り巻く環境の変化による影響、農業政策や通商政策の影響を受けやすい事業構造にあります。また、国内の砂糖消費量は、人口減や甘味需要の多様化等により減少傾向にあり、その減り幅は年々拡大しつつあります。国内砂糖事業は、政府の農業政策と「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」等の法令に基づく制度の中で行っておりますが、今後の政府の農業政策の変更、EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)・TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の進捗により、海外から砂糖を使用した安価な製品が輸入される場合や、将来的に安価な精製糖が輸入される場合には、売上の減少や固定資産の減損リスクなど当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期は推測が困難ですが、当社グループでは不断の情報収集に努め、想定に応じた影響度の把握と対策を常に検討しております。一方、アジアでは砂糖需要の増加傾向が持続しており、シンガポールの子会社や、タイ及び中国の関連会社を通じて海外砂糖事業の拡大を図り、グローバルな事業展開を進めることで国内の農業政策の変化による影響を分散し、長期安定的な成長に向けた体制を構築してまいります。
③原料仕入価格並びに製品の販売価格の変動に関する事項
当社グループは、主力である砂糖事業において、原料である粗糖が外貨建ての相場商品であり、為替変動リスクの他、生産国であるブラジルやタイの天候やサトウキビの生育状況などによって市況が大きく変動する場合があります。また、製品価格も競争や代替甘味料へのシフト等の市場環境の変化により変動することがあり、原料価格の変動を適切に製品価格に反映できない場合や原料価格の変動と製品価格改定の間にタイムラグが生じた場合に、原価率の上昇など当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期は推測が困難ですが、当社グループでは情報収集の強化や原料調達ルートの多様化を図っております。
④気象災害、生産停止等に関する事項
当社グループは国内外各地にて事業活動を行っておりますが、台風や地震等の大規模自然災害等により予想を超える事態が発生し、製品生産や物流機能への支障が長期間にわたった場合、売上低下など、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に近年は大型台風や集中豪雨など風水害の発生リスクが増加していると認識しております。また、装置産業ゆえに設備故障による不測の生産停止等の事故発生リスクも有しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期は推測が困難ですが、当社グループでは、予防の観点で設備の定期メンテナンスを実施し、自社工場として千葉、神戸、福岡の3工場を維持する他、定期的なBCP訓練やその見直し、原材料調達先との連携や複数購買など、当該事象発生時において主要事業の早期復旧を図るための体制を整備しております。
⑤海外事業投資に関する事項
当社グループは新たな成長戦略の柱の一つとして、海外への事業投資を行っております。在外のグループ各社は各国の通貨、法律、会計、税務等制度に則って事業を行っており、各制度の急激な変更、廃止等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、投資に伴って計上するのれん及び無形固定資産につきましては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断していますが、対象となる事業において将来の収益力が低下した等により、減損が必要になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期は推測が困難ですが、重要な投資につきましては、十分な事前協議を行った上、経営会議を経て取締役会にて決定し、投資後の各社取締役会等の重要会議への出席や定期的な経営管理を通じて事業価値の向上に努めております。
⑥感染症拡大に関する事項
当社グループは国内外で事業展開しておりますが、大規模な感染症の拡大により、食品需要が低迷し当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、原料の生産や輸送並びに製品の流通や販売に携わる人員が不足し、調達や販売が困難となる可能性や、生産や販売に携わる人員への感染により事業活動に支障が生じる可能性があります。現在、当該リスクが社会全体で顕在化しておりますが、当社グループでは原料調達ルートの多様化の他、感染症拡大状況に対する予防策として、従業員の手洗い消毒や検温、時差出勤や在宅勤務の推奨、マスクの配布やマスク着用の徹底などを実施しております。また、製品の生産や販売に携わっている者が感染した場合に備え、他の者でも対応できるように準備し、製品供給と流通や販売に支障を来さぬよう対策を取っております。
経営成績等の状況の概要
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
当社は、2021年4月1日付の三井製糖㈱と大日本明治製糖㈱の経営統合により、商号を「DM三井製糖ホールディングス㈱」に変更し、持株会社体制に移行いたしました。以下の当連結会計年度の経営成績は、当該経営統合以前の三井製糖グループに関する概況であります。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発出や外出自粛要請等により、社会経済活動が大きく制限され、企業業績のみならず雇用環境も含め、全般的に厳しい状況で推移いたしました。新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進むにつれ、徐々に回復基調になるとの予想がある一方、緊急事態宣言や自粛要請の発出・解除に応じた一進一退の動きが繰り返されることも懸念され、先行きの不透明感が今後も続くものと予測しております。
このような状況下、当社グループでも全国的な経済活動縮小の影響を大きく受ける中で、販売状況に呼応した生産の最適化や各種経費の節減を行うと共に、各社間の連携を推進し、引き続き既存事業の基盤強化と成長領域の事業拡大に取り組んでまいりました。
砂糖事業
海外粗糖相場につきましては、期初は1ポンド当たり10セント前半でスタートし、直後には約13年ぶりの安値となる9セント台まで急落いたしましたが、以降は、新型コロナウイルスの感染動向と砂糖需給を巡る思惑が交錯し、緩やかな上昇基調で推移いたしました。期の中頃からは、世界的な金融緩和による投機資金の流入などにより、14セント前半から15セント半ばの間で小刻みに上下する展開を経て、原油価格の回復とともに、2月には約4年ぶりの高値となる18セント後半にまで達しましたが、その後は落ち着きを見せ、14セント後半で期末を迎えました。また、精製上白糖大袋の国内市中相場につきましては、1kg当たり187円~188円で始まりましたが、海外粗糖相場の高騰を受け、3月に約4年ぶりに出荷価格を5円引き上げた結果、192円~193円にて期末を迎えました。
販売面では、2020年5月の緊急事態宣言解除後に経済活動の回復を図るための政府の各種施策や、自粛期間中に生まれた巣ごもり消費などにより、一時は家庭用の出荷が上向きました。しかしながら、2回目の緊急事態宣言の発出により、土産物や外食向けといった業務用需要が再度減少し、生産面で安定操業に努めたものの減収減益となりました。
連結子会社では、生和糖業㈱は、サトウキビ生産量の増加や歩留まりの向上による原価率の大幅改善などにより増収増益となりました。北海道糖業㈱は、原料てん菜は豊作でありましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う白糖販売量減の影響による製品在庫の増加と原価率の悪化を招き減益となりました。SIS’88 Pte Ltdは、シンガポール国内の外出規制による家庭用需要の増加があったものの、円高の影響もあり減収となりました。
以上の結果、砂糖事業全体で、売上高87,450百万円(前連結会計年度比5.1%減)、営業利益1,689百万円(前連結会計年度比47.9%減)となりました。
期中の砂糖市況
国内市中相場(日本経済新聞掲載、東京上白大袋1㎏当たり)
始値 187円~188円 終値 192円~193円
海外粗糖相場(ニューヨーク砂糖当限、1ポンド当たり)
始値 10.39セント 高値 18.94セント 安値 9.05セント 終値 14.77セント
フードサイエンス事業
フードサイエンス事業につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、パラチノースの国内向け販売量は持ち直し、海外向け販売量は堅調に推移いたしました。また、さとうきび抽出物の除菌用及び食品用需要が国内外ともに伸長したことから、売上高は前期並であったものの増益となりました。
連結子会社におきましても、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け減収となりましたが、㈱タイショーテクノスは、前期に実施した生産集約により原価率が改善されたこと等により増益となり、ニュートリー㈱は、販売管理費の改善が奏功し増益となりました。
以上の結果、フードサイエンス事業全体で、売上高19,475百万円(前連結会計年度比1.5%減)、営業利益1,045百万円(前連結会計年度比53.8%増)となりました。
不動産事業
不動産事業につきましては、施設の老朽化などに伴う修繕工事を実施いたしましたが、新規賃貸の開始などが寄与し、売上高1,961百万円(前連結会計年度比1.0%増)、営業利益897百万円(前連結会計年度比3.3%減)と前期並の実績となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は108,887百万円(前連結会計年度比4.4%減)、営業利益は3,631百万円(前連結会計年度比25.1%減)となりました。
営業外損益においては、フィンゴリモド「FTY720」の開発権及び販売権の許諾に基づく受取ロイヤリティーを628百万円計上いたしました。なお、当社の共同特許権者である田辺三菱製薬㈱とNovartis Pharma AG(以下「ノバルティス社」という。)との間で仲裁手続きが進行中であることを受け、ノバルティス社が契約の有効性に関し疑義を提起している部分につきましては、引き続き収益としては認識しておりません。また、干ばつによるサトウキビの不作でタイ国関連会社損益が大幅に悪化したことを主要因として持分法による投資損失を計上した他、政策保有株式の一部売却による投資有価証券売却益を特別利益として計上いたしました。以上により、経常利益は3,788百万円(前連結会計年度比24.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,764百万円(前連結会計年度比14.1%増)となりました。
(2)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループは、主力の砂糖事業において、原料となる粗糖が相場商品であること、また製品価格も競争や市場環境等により変動する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事業環境下、当社グループでは適切な原料糖調達と適正販売価格帯の維持に努めてまいりました。
(3)経営上の目標指標に関する分析
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)8~10%を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。当連結会計年度のROEは3.3%となりました。また、将来の成長に向けて取得してきた事業・資産に伴うのれん等の償却負担が増大している財務上の特徴を踏まえ、キャッシュ創出力を表すEBITDA指標を参考として、当社グループの財務の実態把握に努めてまいります。当連結会計年度のEBITDAは10,166百万円となりました。
配当金額につきましては、安定的かつ継続的な配当を基本とし、将来の成長に向けた事業展開と、経営基盤強化のための内部留保の充実にも配慮し、現金配当と機動的な資本政策を組み合わせた総還元性向50%を目途として、都度の経営環境を考慮しつつ株主還元策を決定してまいりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動で11,124百万円増加した一方で、投資活動と財務活動で8,808百万円減少したことにより、前連結会計年度末に対して2,277百万円増加し、17,691百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は11,124百万円(前連結会計年度は資金の増加11,167百万円)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益5,251百万円、減価償却費5,440百万円等による資金の増加があった一方で、法人税等の支払3,452百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は4,020百万円(前連結会計年度は資金の減少7,146百万円)となりました。
これは主に工場設備等に係る有形固定資産の取得による支出5,680百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は4,787百万円(前連結会計年度は資金の減少3,425百万円)となりました。
これは主に、配当金の支払1,283百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出2,764百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料糖の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、社債及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は19,831百万円となっております。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
67,496 |
91.9 |
|
フードサイエンス事業(百万円) |
9,004 |
94.0 |
|
合計(百万円) |
76,500 |
92.2 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
16,036 |
95.4 |
|
フードサイエンス事業(百万円) |
4,376 |
99.8 |
|
合計(百万円) |
20,412 |
96.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社以下同じ)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
87,450 |
94.9 |
|
フードサイエンス事業(百万円) |
19,475 |
98.5 |
|
不動産事業(百万円) |
1,961 |
101.0 |
|
合計(百万円) |
108,887 |
95.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
三井物産㈱ |
49,041 |
43.1 |
47,295 |
43.4 |
|
双日㈱ |
10,209 |
9.0 |
9,113 |
8.4 |
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な判断に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比5,005百万円増加し146,710百万円となりました。連結貸借対照表の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①流動資産
流動資産は、前連結会計年度末比3,773百万円増加し60,929百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加2,277百万円、原材料及び貯蔵品の増加1,279百万円等があったことによるものであります。
②固定資産
固定資産は、前連結会計年度末比1,232百万円増加し85,781百万円となりました。これは主として、建設仮勘定の増加1,174百万円、繰延税金資産の増加1,158百万円等があった一方で、のれんの減少932百万円等があったことによるものであります。
③負債
負債は、前連結会計年度末比5,721百万円増加し55,030百万円となりました。これは主として、長期仮受金の増加5,285百万円等があったことによるものであります。
④純資産
純資産は、前連結会計年度末比715百万円減少し91,680百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益2,764百万円、退職給付に係る調整累計額の増加530百万円等があった一方で、剰余金の配当1,285百万円、非支配株主持分の減少3,201百万円等があったことによるものであります。
(3)経営成績
当連結会計年度における経営成績の概要につきましては、「経営成績等の状況の概要(1)当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。なお、連結損益計算書の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①売上高
売上高は、前連結会計年度比4,967百万円減少し108,887百万円となりました。これは主として、砂糖事業の売上高の減少4,695百万円等があったことによるものであります。
②営業利益
営業利益は、前連結会計年度比1,217百万円減少し3,631百万円となりました。これは主として、砂糖事業において新型コロナウイルスの影響による販売量の減少等があったことによるものであります。
③経常利益
経常利益は、前連結会計年度比1,194百万円減少し3,788百万円となりました。これは主として、受取ロイヤリティーの減少710百万円等があったことによるものであります。
④親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は経常利益の減少等を主因として、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比573百万円増加し5,251百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比342百万円増加し2,764百万円となりました。
(4)キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要(4)キャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
当社は、2020年10月15日開催の取締役会において、当社を株式交換完全親会社とし、大日本明治製糖㈱(以下「大日本明治」という。)を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」という。)に係る株式交換契約(以下「本株式交換契約」という。)の締結を決議し、本株式交換契約を締結いたしました。その後、両社の臨時株主総会における承認及び両社の経営統合に必要な関係当局からの許認可等の取得を受け、2021年4月1日付で、本株式交換を実施いたしました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)に記載しております。
当社グループの研究開発活動につきましては、砂糖事業・フードサイエンス事業を中心とする当社事業のさらなる拡大発展と、これら事業を核とする新規領域への展開を引き続き実施いたしました。なお、当連結会計年度にかかる研究開発費用の総額は
主な内容は、次の通りであります。
砂糖事業
砂糖事業では、加工糖、甘蔗糖、てん菜糖の連結子会社・関連会社を活用した砂糖新商品開発とその用途開発に取り組んでおります。タイ国製糖事業関連では、これまで取り組んできた東北タイさとうきびの少収量を改善できる栽培技術の実地試験を、改良した農業機械を用いて実施いたしました。
フードサイエンス事業
フードサイエンス事業では、主にパラチノースとさとうきび抽出物に関する取り組みを行っております。パラチノースは、血糖値上昇抑制等の効果から生活習慣病予防の有望な素材と位置付け、研究開発及びパブリシティー活動を積極的に推進しております。スポーツ分野での持続的なエネルギー供給源としての利用方法の訴求を継続すると共に、脳機能改善・集中力持続機能の訴求も開始いたしました。また、血管への影響、糖・脂質代謝の促進効果などの研究を大学等と共同で行っております。さとうきび抽出物に関しては、呈味改善、環境消臭、飼料用途の各製品の用途開発や機能性研究を進めております。消臭用途では、分析機器を使用した効果の可視化についての取り組みを開始いたしました。一方、R&Dセンター(神戸市東灘区)では、独自の乾燥技術を応用した新たな製品開発を進めております。また、サトウキビ由来の植物乳酸菌を利用した新商品の開発にも着手しております。
㈱タイショーテクノスにおいては、食品添加物である着色料やゲル化剤、除菌剤・防腐剤について、ニュートリー㈱においては、栄養療法食品・嚥下障害対応食品について、それぞれ製剤開発・商品開発に取り組んでおります。北海道糖業㈱においては、てん菜の生産性向上を目的とした農業技術の試験研究を行っております。また、その他グループ各社においても研究開発連携を進めており、各社製品を活用した商品開発を進めております。
その他
新たな事業領域では、引き続きバガス(サトウキビの搾汁後に残る固形物)の高度利用に取り組んでおり、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)委託事業として、タイ国で実施しているバガスを原料としたセルロース糖・オリゴ糖の製造とポリフェノール製造についての実証プラントによる試験を継続しております。また、生産物であるポリフェノールの機能性、安全性の評価を行うとともに、市場での評価についても調査を開始しております。
また、これまで蓄積してきた特許、ノウハウ等知的財産権の有効利用を図っております。