文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、企業理念である「三井製糖は、安心・信頼・天然の食品素材を誠実に提供し、豊かなくらしに貢献します」を実践し、継続的に企業価値の向上を実現することで全てのステークホルダーにご満足いただくことを経営の基本方針としております。また、重要情報の早期開示やIR活動等を通じて企業活動に関する積極的な情報開示に努め、透明性の高い経営を目指すと共に地球環境に配慮した企業活動を行い、社会からの信頼に応え得る企業グループ、スプーンブランドを目指します。
(2)経営戦略等
国内砂糖事業を基盤とした競争力の維持・強化に加え、グローバル展開や成長分野への事業領域拡大などによる収益構造改革の推進を、中長期的な経営戦略と位置付けております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)8~10%を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。引き続き成長分野への経営資源の投入を進めながら収益力の強化を図ってまいります。
(4)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題等
当社グループは、砂糖事業が売上高の80%近くを占めており、当該事業を取り巻く環境の変化による影響、農業政策や通商政策の影響を受けやすい事業構造にあります。また、少子高齢化や今後の人口減少、加糖調製品の輸入増加などにより砂糖消費量は漸減が見込まれております。一方、フィンゴリモド「FTY720」の開発権及び販売権の許諾に基づく受取ロイヤリティーについて、当社の共同特許権者である田辺三菱製薬株式会社とNovartis Pharma AG(以下、「ノバルティス社」)との間で仲裁手続きが進行中であることを受け、ノバルティス社が契約の有効性について疑義を提起している部分について収益の認識を行わないこととした結果、2020年3月期は大幅に経常利益が減少する見込みであります。
このような状況下、これまでの収入を活用し行ってきた投資の早期果実化や新たな収益構造の確立が喫緊の課題であり、以下の施策の実行に鋭意取り組んでまいります。
国内砂糖事業につきましては、安定供給という社会的責任を果たしながら、生産、価格戦略、販売体制、物流に至るまで全てのフェーズにおいて最適化を図り、一層の効率向上を進めてまいります。海外砂糖事業につきましては、当社がこれまで培ってきた精糖技術、商品開発、販売のノウハウを、シンガポールのSIS’88 Pte Ltdや中国の中糧糖業遼寧有限公司において活用し、事業の価値向上を図ってまいります。また、タイの関連会社との連携を更に強化し、増大する高品質砂糖需要に対応することで収益の拡大を実現してまいります。
フードサイエンス事業につきましては、糖の科学的知識を武器に、健康寿命の延伸や運動パフォーマンスの向上、健康と美味しさの融合等の領域で、新たなかつ存在感のある事業として、M&Aなどの手法も用いながら早期収益化の実現を図ってまいります。
不動産事業につきましては、賃貸物件のリノベーションの他、岡山市及び神戸市長田区に有する不動産の開発を進め、安定的な収益確保を目指してまいります。
研究開発部門では、バガス(サトウキビの搾汁後に残る固形物)からポリフェノールなどの有価物の製造及び応用利用の開発、サトウキビ農業の安定化、高収益化を目指し、栽培改善技術の開発を進める等、今後も環境に優しい植物であるサトウキビを最大限活用することで新たな事業創造を行ってまいります。
また、これら施策を確実に、かつ迅速に実行するため、業務改革と人材育成を積極的に進めてまいります。
当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載します。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
①食の安全性に関する事項
当社グループは、安心安全な製品を安定的に供給するための生産・品質管理体制を整備し、万全の体制で臨んでおります。しかし、品質上の重大な問題等が発生した場合、管理体制の強化や対策のための費用の発生を含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②農業政策等の事業環境に関する事項
当社グループは、砂糖事業が売上高の80%近くを占めており、当該事業を取り巻く環境の変化が当社グループの業績に影響を及ぼし易い構造になっております。砂糖事業は、政府の農業政策と「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」等の法令の中で事業を行っており、政府の農業政策の変更、EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)の進捗により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③原料仕入価格並びに製品の販売価格の変動に関する事項
当社グループは、主力である砂糖事業において、原料である粗糖が相場商品であり市況が大きく変動する場合があります。また製品価格も競争や市場環境等により変動する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④災害等に関する事項
当社グループは国内外各地にて事業活動を行っておりますが、台風や地震等の大規模自然災害等の予想を超える事態が発生し、製品生産や物流機能への支障が長期間にわたった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤のれん及び無形固定資産に関する事項
当社グループは新たな成長戦略の柱の一つとして、海外への事業投資を行っております。今期は大型投資も実行し、その結果のれん及び無形固定資産が増加いたしました。のれん及び無形固定資産につきましては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断していますが、対象となる事業において将来の収益力が低下した等により、のれん及び無形固定資産について減損が必要になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の状況の概要
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度のわが国経済は、地震や豪雨など自然災害の影響が見られましたが、雇用・所得環境の改善などを背景に緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、米中貿易摩擦への懸念や国際情勢の不安定感は払拭できず、依然として先行き不透明な状況が続きました。
こうした環境下、アジアを中心とする海外食品市場では健康志向や本物志向といった多様化が急速に進むなど、益々活気を帯びてきております。
当社は、既存事業の収益力強化を図る一方、このような動きに対応して成長分野へグループ経営資源を積極的に投入し、新たな事業基盤の確保を進めてまいりました。当連結会計年度においてはシンガポール、中国、タイにおいて新規投資を実行するなど、アジア地域の成長取り込みを目指し未来に対する布石を着実に打ってまいりました。
砂糖事業
砂糖事業の原料価格に影響を及ぼす海外粗糖相場は、期初は1ポンド当たり12セント半ばでスタートしたのち、世界的な需給緩和観測の拡大を受け、一時10セント台まで下落いたしました。その後、12セント台後半まで回復したものの、8月にかけて世界最大の砂糖生産国であるブラジルの順調な生産状況や在庫率上昇を受け大きく上下を繰り返しつつ、9月後半には約10年ぶりの安値圏となる9セント台に突入しました。その後投機資金の流入から一時14セントまで急騰いたしましたが、短期にて再び下落基調に転じた後、12セント台を中心とした小刻みな動きが続き、12セント半ばで期末を迎えました。精製上白糖の国内市中相場につきましては、期初1kg当たり189~190円で始まり、海外粗糖相場の下落を受け、出荷価格の引き下げを7月に実施したことから187~188円にて期末を迎えました。
販売面では、西日本豪雨や台風21号の影響、家庭用小袋の年末需要の縮小も響き、荷動きは低調に推移し、全体の販売量は前年実績をやや下回りました。生産面では、燃料費の上昇や安定操業のための設備更新による減価償却費等の製造固定費の増加、また、海外粗糖相場が低位で推移したため、前期からの持ち越し原料在庫が製品販売価格に対し相対的に高値となったことから減益となりました。
一方、海外には大きく事業領域を広げました。タイでは東南アジア地域の量と質両面における砂糖ニーズの増大に応えるため、Kaset Phol Sugar Ltd.の製糖工場の設備の刷新と増強を進めております。また、シンガポールにおいては圧倒的なブランドを有するSIS’88 Pte Ltdを買収し、東南アジアや中東での事業展開の拠点を確保いたしました。また、中国においては国有会社の中糧集団傘下の中糧糖業遼寧有限公司に出資いたしました。
国内の連結子会社につきましては、北海道糖業㈱において販売価格の低下や燃料価格上昇による輸送コスト増加に加え、北海道胆振東部地震の影響がありました。生和糖業㈱においては天候不順によるサトウキビの低糖度の影響により減益となりました。
以上の結果、売上高は84,117百万円(前連結会計年度比0.3%増)、営業利益は2,350百万円(同46.9%減)となり
ました。
期中の砂糖市況
国内市中相場(日本経済新聞掲載、東京上白大袋1㎏当たり)
始値 189円~190円 高値 189円~190円 安値 187円~188円 終値 187円~188円
海外粗糖相場(ニューヨーク砂糖当限、1ポンド当たり)
始値 12.33セント 高値 14.24セント 安値 9.83セント 終値 12.53セント
フードサイエンス事業
フードサイエンス事業は、パラチノースが有する運動持久力向上効果のPRが奏功し、大手飲料メーカーより新商品に採用される等、販売量が増加いたしました。パラチニットの販売も大手ユーザー向けが好調に推移し、増収増益となりました。
一方、連結子会社につきましては、ニュートリー㈱において売上減少の他、営業体制強化のための人件費及び運送費等の増加により減収減益となりました。また、㈱タイショーテクノスにおいては増収ではあったものの、新工場と研究開発拠点の建設に伴う一時費用が発生したため減益となりました。
以上の結果、売上高は19,200百万円(前連結会計年度比1.9%減)、営業利益は471百万円(同55.3%減)となりました。
不動産事業
不動産事業は、岡山市で新規に物流倉庫の賃貸を開始したこと等により売上高・営業利益ともに前期を上回り、売上高1,956百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益921百万円(同5.1%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は105,274百万円(前連結会計年度比0.0%減)、営業利益は3,742百万円(同41.1%減)となりました。
営業外損益においては、受取ロイヤリティーは、前述の通り当社の共同特許権者である田辺三菱製薬株式会社とノバルティス社との間で仲裁手続きにおいて疑義が提起されている部分について、収益としての認識を行いませんでした。タイの関連会社では海外粗糖相場低迷に伴い販売単価が下落し、また、沖縄、鹿児島の関連会社では天候不順による原料サトウキビの低糖度の影響もあり、持分法による投資損失を計上いたしました。そのため、経常利益は10,314百万円(同24.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,862百万円(同17.5%減)となりました。
(2)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループは、主力の砂糖事業において、原料となる粗糖が相場商品であること、また製品価格も競争や市場環境等により変動する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事業環境下、当社では適切な原料糖調達と適正販売価格帯の維持に努めてまいりました。
(3)経営上の目標指標に関する分析
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)8~10%を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。当連結会計年度のROEは8.2%となりました。
また、配当金額につきましては、将来の成長に向けた事業展開と、経営基盤強化のための内部留保の充実にも配慮し、配当性向35%を目途として都度の経営環境を考慮しながら決定してまいりました。当連結会計年度の配当性向は42.8%となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動で12,081百万円増加した一方で、投資活動と財務活動で21,703百万円減少したことにより、前連結会計年度末に対して9,636百万円減少し、14,825百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は12,081百万円(前連結会計年度は資金の増加15,652百万円)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益10,468百万円、減価償却費4,660百万円等による資金の増加があった一方で、未払消費税等の減少1,035百万円、法人税等の支払5,041百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は20,652百万円(前連結会計年度は資金の減少5,062百万円)となりました。
これは主に工場設備等に係る有形固定資産の取得による支出8,170百万円、投資有価証券の取得による支出2,833百万円、関係会社出資金の払込による支出2,193百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出7,044百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は1,050百万円(前連結会計年度は資金の減少4,693百万円)となりました。
これは主に借入金の純増加2,115百万円等による資金の増加があった一方で、配当金の支払3,063百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料糖の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び投資有価証券や子会社株式取得等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、社債及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は18,968百万円となっております。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
73,436 |
93.0 |
|
フードサイエンス事業(百万円) |
9,514 |
88.5 |
|
合計(百万円) |
82,951 |
92.4 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
8,876 |
136.3 |
|
フードサイエンス事業(百万円) |
4,602 |
105.4 |
|
合計(百万円) |
13,479 |
123.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社以下同じ)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
84,117 |
100.3 |
|
フードサイエンス事業(百万円) |
19,200 |
98.1 |
|
不動産事業(百万円) |
1,956 |
105.2 |
|
合計(百万円) |
105,274 |
100.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
三井物産㈱ |
50,680 |
48.1 |
49,578 |
47.1 |
|
双日㈱ |
10,943 |
10.4 |
10,359 |
9.8 |
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な判断に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 [経理の状況] 1 [連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項] 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比8,014百万円増加し139,867百万円となりました。連結貸借対照表の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①流動資産
流動資産は、前連結会計年度末比6,170百万円減少し53,859百万円となりました。これは主として、現金及び預金の減少9,836百万円等があった一方で、商品及び製品の増加3,229百万円等があったことによるものであります。
②固定資産
固定資産は、前連結会計年度末比14,185百万円増加し86,008百万円となりました。これは主として、有形固定資産の増加2,151百万円、無形固定資産の増加6,770百万円、投資有価証券の増加1,875百万円、関係会社出資金の増加2,128百万円、リース投資資産の増加1,202百万円等があったことによるものであります。
③負債
負債は、前連結会計年度末比2,823百万円増加し44,804百万円となりました。これは主として、支払手形及び買掛金の増加1,860百万円、借入金の増加2,115百万円等があった一方で、未払法人税等の減少1,573百万円等があったことによるものであります。
④純資産
純資産は、前連結会計年度末比5,191百万円増加し95,063百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益6,862百万円、剰余金の配当3,070百万円等があったことによるものであります。
(3)経営成績
当連結会計年度における経営成績の概要につきましては、「経営成績等の状況の概要(1)当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。なお、連結損益計算書の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①売上高
売上高は、前連結会計年度比16百万円減少し105,274百万円となりました。これは主として、砂糖事業の売上高の増加260百万円があった一方で、フードサイエンス事業の売上高の減少374百万円等があったことによるものであります。
②営業利益
営業利益は、前連結会計年度比2,611百万円減少し3,742百万円となりました。これは主として、砂糖事業において相場下落に伴う製品販売単価の下落等があったことによるものであります。
③経常利益
経常利益は、前連結会計年度比3,295百万円減少し10,314百万円となりました。これは主として、営業利益の減少2,611百万円、受取ロイヤリティーの減少507百万円等があったことによるものであります。
④親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は経常利益の減少等を主因として、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比2,961百万円減少し10,468百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比1,451百万円減少し6,862百万円となりました。
(4)キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要(4)キャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
当社は、2018年9月21日にED&F Man Holding Limitedとの間で、株式譲渡契約を締結し、2018年10月2日付でED&F Man Holding Limitedの子会社であるSIS' 88 Pte Ltdの株式を取得し、同社を当社の連結子会社としました。
なお、過年度に締結した契約で、引き続き金額的重要度の高い契約は、次の通りであります。
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会社名 |
相手先 |
国名 |
契約の内容 |
契約期間 |
|
三井製糖㈱ (当社) |
田辺三菱製薬㈱ |
日本 |
Novartis Pharma AGからの 実施料等に関する契約 |
2009年6月1日から対象特許の存続期間満了日まで。但し、実施料等の配分に関する規定等については、田辺三菱製薬㈱がNovartis Pharma AGより実施料を受領する期間は有効。 |
当社グループの研究開発活動につきましては、砂糖事業・フードサイエンス事業を中心とする当社事業の更なる拡大発展と、これら事業を核とする新規領域への展開を引き続き実施いたしました。なお、当連結会計年度にかかる研究開発費用の総額は
主な内容は、以下の通りであります。
砂糖事業
砂糖事業では、加工糖、甘蔗糖、てん菜糖の連結子会社・関連会社を活用した砂糖新商品開発とその用途開発に取り組んでおります。また、タイ東北部においてサトウキビの収量が少ない原因を調査研究で解明し、栽培改善試験や農業機械改良試験を実施しました。
フードサイエンス事業
フードサイエンス事業では、主にパラチノースとさとうきび抽出物に関する取り組みを行っております。
パラチノースは、血糖値上昇抑制等の効果より、生活習慣病予防の有望な素材と位置付け、研究開発及びパブリシティー活動を積極的に推進しており、消費者庁に対して機能性表示食品の届出を行っております。また、新たな生理機能に関する臨床試験や共同研究を引き続き行い、スポーツ分野への応用についても共同研究を実施しました。神戸のR&Dセンターでは、確立した新製法パラチノース技術を応用し、同設備を活用した新たな技術開発を進めています。
さとうきび抽出物に関しては、呈味改善、環境消臭、飼料、黒糖香気各製品の用途開発や機能性研究を進めております。新規領域では、免疫調節、抗ストレスに着目した機能性開発を産学共同で取り組んでおります。また、さとうきび抽出物の新機能探索として、少子高齢化社会の課題解決に繋がる機能性について試験を実施し、短期記憶障害に対する効果が確認されました。
㈱タイショーテクノスにおいては、食品添加物、色素及び除菌剤・防腐剤について、ニュートリー㈱においては、栄養療法食品・嚥下障害対応食品についてそれぞれ製剤開発・商品開発に取組んでおります。北海道糖業㈱においては、てん菜の生産性向上を目的として農業技術の試験研究を行っております。また、グループ各社の研究開発連携を進めており、各社製品を活用した商品開発を進めております。
その他
新たな事業領域では、引き続きサトウキビの搾汁後に残る固形物(バガス)の高度利用に取り組んでおり、NEDO委託事業としてタイで実施しているバガスを原料としたセルロース糖製造とポリフェノール製造については、実証プラントを建設し試運転を開始しました。
また、これまで蓄積してきた特許、ノウハウ等知的財産権としてその有効利用を図っております。