第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 当連結会計年度の前4連結会計年度及び当連結会計年度に係る次に掲げる主要な経営指標等の推移

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

(自 2019年

  4月1日

至 2020年

3月31日)

(自 2020年

  4月1日

至 2021年

3月31日)

(自 2021年

  4月1日

至 2022年

3月31日)

(自 2022年

  4月1日

至 2023年

3月31日)

(自 2023年

  4月1日

至 2024年

3月31日)

連結経常収益

百万円

44,878

49,602

46,310

60,552

56,525

連結経常利益

百万円

6,726

6,229

6,624

7,721

7,641

親会社株主に帰属する
当期純利益

百万円

3,764

3,090

4,241

5,061

5,658

連結包括利益

百万円

20,412

22,851

8,867

15,637

27,845

連結純資産額

百万円

199,661

221,439

211,494

193,263

218,301

連結総資産額

百万円

3,511,412

4,185,672

4,469,779

4,380,458

4,366,180

1株当たり純資産額

6,183.83

6,849.57

6,515.85

6,129.98

7,143.86

1株当たり当期純利益

116.43

96.92

132.73

161.78

185.79

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

116.13

96.67

132.45

161.45

185.55

自己資本比率

5.60

5.22

4.66

4.35

4.97

連結自己資本利益率

1.80

1.48

1.98

2.53

2.77

連結株価収益率

6.32

9.48

7.17

7.05

10.13

営業活動による
キャッシュ・フロー

百万円

23,354

446,423

267,979

293,875

290,768

投資活動による
キャッシュ・フロー

百万円

134,180

62,012

112,069

297,562

92,619

財務活動による
キャッシュ・フロー

百万円

2,287

1,117

1,120

2,635

 △ 2,798

現金及び現金同等物の
期末残高

百万円

357,152

740,447

895,241

896,292

695,345

従業員数
[外、平均臨時従業員数]

1,668

1,652

1,646

1,629

1,594

[674]

[664]

[656]

[660]

[640]

 

(注) 1 2020年度に表示方法の変更を行い、2019年度の「連結経常収益」については計数の組替えを行っております。

2 「自己資本比率」は、(期末純資産の部合計-期末新株予約権-期末非支配株主持分)を期末資産の部の合計で除して算出しております。

 

 

(2) 当行の当事業年度の前4事業年度及び当事業年度に係る主要な経営指標等の推移

 

回次

第117期

第118期

第119期

第120期

第121期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

経常収益

百万円

39,822

44,445

41,047

55,220

50,850

経常利益

百万円

5,844

5,388

5,731

6,763

7,067

当期純利益

百万円

3,430

2,655

3,810

4,532

5,611

資本金

百万円

15,400

15,400

15,400

15,400

15,400

発行済株式総数

千株

32,783

32,783

32,783

32,783

32,783

純資産額

百万円

195,764

213,972

203,118

184,056

203,129

総資産額

百万円

3,513,527

4,184,346

4,464,545

4,374,978

4,352,417

預金残高

百万円

2,977,393

3,390,024

3,460,512

3,501,953

3,580,333

貸出金残高

百万円

1,808,232

1,992,491

2,054,575

2,296,478

2,520,360

有価証券残高

百万円

1,225,717

1,311,698

1,413,179

1,092,865

1,019,018

1株当たり純資産額

6,142.19

6,701.89

6,348.87

5,910.84

6,674.76

1株当たり配当額
(内1株当たり中間配当額)


(円)

35.00

35.00

40.00

45.00

56.00

(17.50)

(17.50)

(17.50)

(20.00)

(25.00)

1株当たり当期純利益

106.08

83.29

119.24

144.86

184.25

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

105.80

83.07

118.98

144.57

184.01

自己資本比率

5.56

5.11

4.54

4.20

4.66

自己資本利益率

1.66

1.29

1.82

2.34

2.89

株価収益率

6.93

11.03

7.98

7.88

10.21

配当性向

32.99

42.02

33.54

31.06

30.39

従業員数
[外、平均臨時従業員数]

1,630

1,615

1,614

1,595

1,559

[647]

[635]

[622]

[625]

[605]

株主総利回り
(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

56.2

72.1

77.4

94.6

152.7

(90.4)

(128.6)

(131.1)

(138.8)

(196.1)

最高株価

1,437

1,055

1,018

1,421

2,029

最低株価

585

634

780

919

1,090

 

 

(注) 1 第118期(2021年3月)に表示方法の変更を行い、第117期(2020年3月)の「経常収益」については計数の組替えを行っております。

2 第121期(2024年3月)中間配当についての取締役会決議は、2023年11月14日に行いました。

3 「自己資本比率」は、(期末純資産の部合計-期末新株予約権)を期末資産の部の合計で除して算出しております。

4 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。

 

 

2 【沿革】

1877年4月15日

第十国立銀行創業

1941年12月1日

第十銀行と1895年創業の株式会社有信銀行が合併し株式会社山梨中央銀行創立

1964年5月1日

外国為替業務取扱開始

1969年11月17日

新本店竣工

1972年10月2日

東京証券取引所市場第二部に上場

1973年8月1日

東京証券取引所市場第一部に指定

1974年7月26日

事務センター竣工(現、電算センター)

1976年9月11日

第一次総合オンライン完成

1980年11月25日

第二次総合オンライン完成

1983年4月1日

国債の窓口販売業務開始

1984年4月1日

外国部新設(現、市場国際部)

1985年6月1日

ディーリング業務開始

1985年9月10日

外国為替コルレス銀行として許可される

1986年7月1日

個人向けローンの保証業務を目的とした山梨中央保証株式会社(現、連結子会社)を設立

1986年12月1日

東京オフショア市場参加

1987年4月6日

リース業務を目的とした山梨中銀リース株式会社(現、連結子会社)を設立

1988年6月9日

担保附社債信託法に基づく信託事業の営業免許取得

1989年1月10日

本店別館竣工

1989年1月17日

第三次総合オンライン完成

1989年5月31日

国債証券等に係る有価証券先物取引の取次業務認可取得

1990年5月10日

証券先物オプション取引に係る受託業務の認可取得

1991年7月2日

クレジットカード業務を目的とした山梨中銀ディーシーカード株式会社(現、連結子会社)を設立

1993年5月18日

香港駐在員事務所開設

1993年7月2日

当行の各種事務処理業務を目的とした山梨中銀ビジネスサービス株式会社を設立

1995年10月26日

研修センター竣工

1996年8月2日

ベンチャー企業への投資業務を目的とした山梨中銀キャピタル株式会社(現、連結子会社)を設立

1998年12月1日

証券投資信託の受益証券等の窓口販売業務に係る認可取得

2001年4月2日

損害保険窓口販売業務開始

2002年10月1日

生命保険窓口販売業務開始

2003年6月27日

山梨中銀キャピタル株式会社を山梨中銀経営コンサルティング株式会社に商号変更し経営コンサルティング部門を強化

2005年4月1日

証券仲介業務開始

2010年3月31日

山梨中銀ビジネスサービス株式会社を解散

2011年1月4日

新勘定系システム「Bank Vision(バンクビジョン)」全面稼動

2021年8月31日

香港駐在員事務所閉鎖

2022年4月4日

東京証券取引所プライム市場に移行

2023年12月1日

投資助言業務を目的としたやまなし未来インベストメント株式会社(現、連結子会社)を設立

 

 

 

3 【事業の内容】

当行グループ(当行及び当行の関係会社)は、当行及び連結子会社5社で構成され、銀行業を中心にリース業、クレジットカード業等の金融サービスに係る事業を行っております。

当行グループの事業に係わる位置づけは次のとおりであります。

なお、当行グループは、報告セグメントが「銀行業」のみであり、セグメント情報の記載を省略しているため、事業区分は「銀行業」と「その他」としております。

〔銀行業〕

当行の本・支店においては、預金業務、貸出業務を中心に、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、社債受託業務、国債等公共債・投資信託・保険の窓口販売業務及び各種コンサルティング業務などを行い、地域の中核金融機関として地域社会の繁栄と経済の発展に積極的に取り組んでおり、当行グループの主要業務と位置づけております。

また、山梨中央保証株式会社(連結子会社)においては、貸出業務を補完する信用保証業務を行っております。

〔その他〕

山梨中銀リース株式会社(連結子会社)においてはリース業務、山梨中銀ディーシーカード株式会社(連結子会社)においてはクレジットカード業務、山梨中銀経営コンサルティング株式会社(連結子会社)においては総合コンサルティング及びベンチャーキャピタル業務、やまなし未来インベストメント株式会社(連結子会社)においては投資助言業務などを行い、いずれも総合金融サービスの一部として銀行業の補完業務と位置づけております。

以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

 


 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金
(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の
所有(又は
被所有)
割合(%)

当行との関係内容

役員の兼任等(人)

資金
援助

営業上
の取引

設備の
賃貸借

業務
提携

(連結子会社)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山梨中央保証株式会社

山梨県
甲府市

20

銀行業

100.0

(―)

4

(3)

預金取引等
保証取引等

建物の
一部賃借

山梨中銀リース株式会社

山梨県
甲府市

20

その他

100.0

(―)

4

(3)

預貸金取引等
リース取引

建物の
一部賃借

山梨中銀ディ
ーシーカード株式会社

山梨県
甲府市

20

その他

67.5

(18.5)

4

(3)

預貸金取引等
保証取引等

建物の
一部賃借

山梨中銀経営コンサルティング株式会社

山梨県
甲府市

100

その他

87.5

(42.5)

4

(3)

預金取引等
事務受託

建物の
一部賃借

やまなし未来インベストメント株式会社

山梨県
甲府市

50

その他

100.0

(―)

4

(2)

預金取引等
投資助言等

建物の
一部賃借

 

(注) 1 当行グループは、報告セグメントが「銀行業」のみであり、セグメント情報の記載を省略しているため、「主要な事業の内容」欄は「銀行業」と「その他」としております。

2 上記関係会社のうち、特定子会社に該当する会社はありません。

3 上記関係会社のうち、有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

4 「議決権の所有(又は被所有)割合」欄の( )内は子会社による間接所有の割合(内書き)であります。

5 「当行との関係内容」の「役員の兼任等」欄の( )内は、当行の役員(内書き)であります。

6 やまなし未来インベストメント株式会社は、2023年12月1日に設立し、当連結会計年度から連結子会社としております。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2024年3月31日現在

セグメントの名称

銀行業

その他

合計

従業員数(人)

1,566

28

1,594

[615]

[25]

[640]

 

(注) 1 当行グループは、報告セグメントが「銀行業」のみであり、セグメント情報の記載を省略しているため、「セグメントの名称」欄は「銀行業」と「その他」としております。

2 従業員数は、常務執行役員5人及び執行役員7人を含み、嘱託及び臨時従業員646人を含んでおりません。

3 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

(2) 当行の従業員数

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

1,559

39.0

15.5

6,369

[605]

 

(注) 1 従業員数は、常務執行役員5人及び執行役員7人を含み、嘱託及び臨時従業員610人を含んでおりません。

2 当行の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

3 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

4 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

5 当行の従業員組合は、山梨中央銀行職員組合と称し、組合員数は1,291人であります。

労使間においては特記すべき事項はありません。

 

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当行

当事業年度

①管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)

②男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)

③労働者の男女の賃金の差異(%)(注 1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

5.8

72.2

45.3

55.3

66.6

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 連結子会社の従業員は、すべて当行からの出向者であり、当行の数値には連結子会社の従業員及び他社への出向者を含んで算出しております。

 

①管理職に占める女性労働者の割合

5.8%

当行グループでは多様な人財の能力発揮、登用の観点から中期経営計画のKPIに女性管理・監督職比率を掲げています。

 

2022年度

2023年度

2024年度

ありたい姿

女性管理・監督職比率(%)

14.8%

17.2%

20%以上※

40%以上

 

※2023年度に当初目標の15%以上を達成したため、2024年度目標を修正しております。

女性管理職比率は5.8%(前年比+1.7pt)、女性管理・監督職比率は17.2%(前年比+2.4pt)と上昇傾向にありますが、依然として低水準であることから、行内外の研修等への積極的な参加による育成を強化しています(女性監督職約120名、監督職の候補となる女性主任約170名)。

 

 

受講者

対象者

行内

(女性)キャリアプログラム※1

3名

監督職

次世代マネージャー養成研修※2

1名

監督職

行外

女性管理監督職交流会※3

7名

監督職

女性職員キャリア研修プログラム※4

2名

監督職・主任

 

※1.2022年度に新設した女性監督職対象のプログラム(2022年度の受講者は10名)。集合研修3回やメンターとの個別面談等。
2023年度は一部内容変更し男性も参加(女性3名/全16名)

※2.管理職層を目指す監督職向けプログラム。集合研修4回のほか、社内外の役員とのディスカッション。

※3.静岡、名古屋銀行との交流会。女性管理・監督職による情報共有、意見交換会(受講者数は監督職のみ)。

※4.静岡銀行主催の女性キャリア研修への参加。集合研修2回、オンライン1回。

主任以下については、男女の職員数に大きな差はなく、女性に限定しない研修プログラムを同等に受講しています。

 

②男性労働者の育児休業取得率

72.2%

 

男性労働者の長期育児休業取得率

30.5%(ただし、対象者すべてに取得の意向確認を実施しており、全員(100%)が長期育児休業を取得予定)

中期経営計画の基本戦略3“サステナ”追求戦略において男性労働者の長期(1か月(分割取得の場合は20営業日)以上の期間にて取得)育児休業取得率100%を掲げ、取り組んでいます。

長期育児休業取得促進のため、2022年4月から下記取組みを実施しています。

Ⅰ.長期の育児休業を取得した者に子育て支援手当250,000円を支給

Ⅱ.子を出産予定の職員に対し、育児休業取得の意向確認を実施

 

 

2022年10月に育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正に合わせて、育児休業の分割取得、休業中の就労の柔軟化に対応した規定改定を実施しました。

 

人数

 2023年度中に配偶者が出産した男性職員数…①

36名

  うち長期育児休業取得者数…②

11名

    育児休業分割取得者数(20営業日未満者数)…③

9名

    育児休業未取得者数…④

16名

 2022年度以前に配偶者が出産した男性職員で

  2023年度内に育児休業を取得した男性職員数…⑤

6名

 

※男性育児休業取得率(72.2%)は、(②+③+⑤)/①にて算出

※男性育児休業取得率(長期)(30.5%)は、②/①にて算出

 

③労働者の男女の賃金の差異

単位:千円

 

女性

男性

男女間の賃金差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合

(①÷②)

備考

 

総賃金

人数

平均(①)

総賃金

人数

平均(②)

正規雇用労働者

2,862,690

672

4,259

7,656,528

994

7,702

55.3%

職員・無期雇用準職員、職員と同じ勤務条件かつ無期雇用のパートタイマー

パート・有期労働者

919,606

494

1,861

346,475

124

2,794

66.6%

上記以外

全労働者

3,782,297

1,166

3,243

8,003,003

1,118

7,158

45.3%

 

 

正規雇用労働者:出向者については、当行から他社への出向者を含み、他社から当行への出向者を除く。

パート・有期労働者:無期転換権を行使していない準職員およびパートタイマー。派遣社員は除く。

賃金:基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当を除く。

人数:年間の給与支給人数を12で除した人数を計上。

 

正社員の賃金格差について、過去、女性は結婚・出産等をきっかけに退職をするケースが多く、男性に比べ勤続年数が短いことや管理職・監督職が少ないことが格差の主な要因となっております。

また、2023年度に職員の労働時間を短縮したこと(延長日の廃止)とパートタイマーの労働時間を職員と同じ時間まで選択できるように変更したため、正社員の中にパートタイマー(職員と同じ勤務条件かつ無期雇用者)が含まれていることも一因です。なお、2022年度までは正社員の中にこの条件のパートタイマーは含まれておりません。

全労働者の賃金格差は男女による全労働者に占める正社員の割合(男性:88.9%,女性:57.6%)に起因しております。パート・有期労働者は扶養の範囲内での就業を望む方もおります。

女性のキャリア継続、女性管理・監督職比率の向上は当行グループにおける課題の1つであり、多様な働き方やキャリア形成のための制度拡充や研修等を継続実施しています。

 

2013年度

2018年度

2022年度

2023年度

男女間賃金格差(正社員)

56.0%

57.2%

60.3%

55.3%

男性平均勤続年数

17年7か月

17年10か月

18年3か月

18年3か月

女性平均勤続年数

9年2か月

10年6か月

11年7か月

11年11か月