第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当行は、山梨県及び東京地区を主要な営業基盤とする地域金融機関として、預金業務、貸出業務を中心に、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、国債等公共債・投資信託・保険の窓口販売業務及び各種コンサルティング業務などを、グループ会社では、リース業、クレジットカード業等の金融サービスに係る事業を行っており、地域の皆さまに多様な金融商品・サービスを提供しています。

また、地域に根ざし、地域社会の繁栄と経済発展に寄与するとともに、お客さまから信頼していただける健全な経営姿勢を堅持し、経営内容の充実に努めることを経営理念としており、この実現に向けて、当行及びグループ各社は、多様化・高度化する地域の金融ニーズに的確かつ迅速にお応えすべく、総力を結集しさまざまな施策に取り組んでおります。

 

(2) 経営環境

コロナ禍の混乱から経済・社会は徐々に回復していますが、産業界においては、ウクライナ、中東地域をめぐる情勢の悪化を背景としたエネルギー高や原材料高に対する懸念など、景気の先行き不透明感が高まっています。一方、金融界においては、異業種からの参入、少子高齢化と人口減少に伴う顧客基盤の縮小など、厳しい経営環境にあるなかでも、日本銀行のマイナス金利政策解除に伴う収益機会の拡大が期待されています。

山梨県においては、中部横断自動車道の山梨・静岡間全線開通に加え、リニア中央新幹線の建設など、経済発展を後押しする交通インフラの整備・拡充が進んでいます。

また、工場や物流施設の新設、大型商業施設の出店計画など、地域経済にプラスとなるプロジェクトが進行しています。

 

(3) 中期経営計画

当行は2022年4月から中期経営計画「TRANS (トランス キューブ)2025」(2022年4月~2025年3月)を実施しております。概要は以下のとおりであります。

 


 

 

本計画においては、「OHR(コア業務粗利益経費率)」、「ROE(当期純利益ベース)」の財務指標のKPIとともに、当行自身の持続可能な経営やSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の実現に向けて、非財務指標をKPIとして掲げております。

具体的には、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進度合いを計るための「管理・監督職に占める女性の比率」、業務の合理化・効率化と人的資本経営の実現に向けた取組みの進捗を計るための「リスキリングによる事務人員の再配置割合」、サステナブル社会、脱炭素社会の実現に向けた取組みの進捗を計るための「サステナブルファイナンス投融資額」、「温室効果ガス(CO2)排出量削減率」を掲げています。

これらのKPI達成を通じて、KGIである「親会社株主に帰属する当期純利益」の達成を目指してまいります。

 

指標

2025/3目標

2022/3実績
(中計スタート時)

当該指標の設定理由

OHR(コア業務粗利益経費率)

※1

73.5%以下

73.41%

経営の効率性を計るため

ROE(当期純利益ベース)

3%以上

1.82%

資本に対する収益効率性を計るため

管理・監督職に占める女性の比率

※2

20%以上

13.1%

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンおよび人的資本経営実現に向けた取組みの進捗度合を計るため

リスキリングによる事務人員の

再配置割合

30%以上

業務の合理化・効率化および経営資源の再配分ならびに人的資本経営の実現に向けた取組みの進捗度合を計るため

サステナブルファイナンス投融資額(計画期間合計)※3

3,500億円以上

715億円

サステナブル社会・脱炭素社会の実現に向けた取組みの進捗を計るため

温室効果ガス(CO2)排出量削減率

※4

70%以上

30.08%

親会社株主に帰属する当期純利益

60億円以上

42億円

当行グループの事業の成長性・収益力を計るため

 

※1 OHR(コア業務粗利益経費率)=経費(除く臨時処理分)÷(業務粗利益-国債等債券損益)

※2 2023年度で当初目標を達成したため、2025/3目標を「15%以上」から「20%以上」に引き上げました。

※3 持続可能な地域社会の実現に資する投融資(環境・教育・創業・事業承継など)

 2024年5月に、2025/3目標を「2,500億円以上」から「3,500億円以上」に引き上げました。

※4 2013年度比。目標対象範囲は、ガソリン使用による排出量を加えたScope1+Scope2。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当行が対処すべき課題は、地域社会やお客さまの持続的な発展への貢献と、当行自身の持続的な企業価値向上です。

これらの課題を解決するため、最終年度となる中期経営計画「TRANS 2025」においては、3年間の集大成として、「“事業体積”増加戦略」、「“生産性”倍増戦略」、「“サステナ”追求戦略」の3つの基本戦略と、これらを実現するための「AX(アライアンス)」、「DX(デジタル)」、「SX(サステナビリティ)」の3つの変革ドライバーを機能させ、長期ビジョン「Value Creation Bank」の実現に注力していきます。

 

<地域社会やお客さまへの取組み>

地域社会やお客さまの持続的な発展に向け、資金面での支援にとどまらない深度あるコンサルティングの実施により、お客さまをなお一層強力にバックアップしていきます。加えて、当行自身のDXやサステナビリティへの取組みを通じて得られた技術やノウハウをお客さまへ提供し、地域全体の発展を支援していきます。

また、地域の事業者や自治体、大学などと連携し、地域課題の解決に資する新たな事業領域を模索するなかで、持続可能なビジネスモデルの構築に取り組んでいきます。

<企業価値向上への取組み>

資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、「健全性の確保」「収益性の向上」「資本政策の充実」をバランス良く進めていきます。

健全性の確保に向けた施策としては、内部留保の充実により地域への安定的な資金供給や成長投資に機動的に対応できる財務基盤を堅持していきます。

収益性の向上に向けた施策としては、中期経営計画に掲げた基本戦略を着実に遂行し、貸出金の増加やコンサルティング分野における非金利収入の拡大によるトップライン増強および営業店・本部の事務ゼロ化に向けた取組みによる生産性向上などにより、持続可能な収益構造を確立していきます。

株主還元を含む資本政策につきましては、より一層の充実を目指すとともに、ROE・PBRなどの改善に取り組んでいきます。

<サステナビリティへの取組み>

脱炭素社会の実現に向け、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った開示項目の充実を図るとともに、気候変動の緩和に資する商品・サービスなどの提供を通じたお客さま向け支援や当行グループのCO2排出量削減へ積極的に取り組んでいきます。

併せて、人的資本経営の実践に向けて、当行グループで働く職員が高いモチベーションを持ち、多様なキャリア形成や働き方を実現できる職場環境を整えていきます。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティへの取組み

①ガバナンス

当行グループは、気候変動関連への対応を含むSDGs/ESG等のサステナビリティに関する取組みを経営の重要事項として捉えております。

頭取が委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置しており、持続可能な社会の実現に向けた気候変動関連への対応やSDGs/ESGへの取組みについて、原則として毎月開催し、協議・検討しています。

サステナビリティ委員会で協議・検討された事項は、常務会を経て取締役会へ付議・報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制を構築しています。

 

■2023年度の主な議題

・CO排出量削減目標の引き上げ

・TCFD提言に基づく取組状況および開示

・サステナビリティ経営の実現に向けた取組状況と今後の対応

・人的資本経営と開示について

 

■体制図



 

②戦略

当行グループは、中期経営計画「TRANS2025」の変革ドライバーの一つとして「SX」(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を掲げ、持続可能な地域社会の実現や企業価値向上に向けて取り組んでいます。

このような中で、「SX」に関連する取組みを進めるうえで基本となる考え方として、「山梨中央銀行グループサステナビリティ方針」を制定するとともに、サステナビリティ経営の実現に向けて6つのマテリアリティを特定し、さまざまな取組みを行っております。

 

<山梨中央銀行グループサステナビリティ方針>

私たち山梨中央銀行グループは、経営理念「地域密着と健全経営」のもと、地域の皆さまに総合金融サービスを提供するとともに、人口減少問題や気候変動問題等の地域社会を取り巻くさまざまな課題の解決に誠実に取り組み、中長期的な視点で社会価値・経済価値の向上を目指してまいります。

これらの取組みを通じて、すべてのステークホルダーの皆さまとのより良い信頼関係を構築し、皆さまとともに持続可能な地域社会を実現してまいります。

 

<マテリアリティ>

・豊かな自然環境の維持と将来への継承

・さまざまな連携強化と地域経済の活力向上

・DXの実現と地域社会のデジタル化

・質の高いUI/UXを通じた共通価値の創造

・多様な人財の成長と活躍を支える組織づくり

・コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの強化

 

③リスク管理

当行グループは、さまざまなリスクが経営に及ぼす影響を把握・分析し、リスク管理の強化を図っています。なお、事業全体を取り巻くリスク事象については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご覧ください。気候関連への対応、人的資本に関するリスク管理については、「(2) TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言の開示」、「(3) 人的資本について」をご覧ください。

 

④指標及び目標

中期経営計画「TRANS2025」においては、「OHR(コア業務粗利益経費率)」、「ROE(当期純利益ベース)」の財務指標のKPIとともに、当行自身の持続可能な経営やSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の実現に向けて、非財務指標をKPIとして掲げております。具体的なKPIにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中期経営計画」をご覧ください。

 

(2) TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言の開示

①ガバナンス

当行では、サステナビリティ経営の実現に向けて、マテリアリティの一つに「豊かな自然環境の維持と将来への継承」を掲げ、気候関連課題への対応に取り組んでいます。

 

②戦略

■気候関連のリスクと機会

・当行においてのマテリアリティを特定し、その一つとして「気候変動・温暖化」を掲げ、リスクおよび機会の両面から取組みを実施しております。

・気候関連に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っています。

 

リスク

時間軸

 

移行リスク

 

気候関連に関する規制や税制等の変更に伴うお客さまの事業への影響によるリスク

化石燃料関連事業への過大な投融資の継続による株価下落リスク

脱炭素関連技術による市場変化に伴うお客さまの事業への影響によるリスク

短期

短期

長期

 

物理的リスク

 

風水害等の発生に伴う不動産担保の毀損やお客さまの営業拠点の被災による事業停滞に伴うリスク

風水害等の発生に伴う当行事業施設の毀損等による店舗運営の中断・不能によるリスク

中期

中期

 

機会

 

脱炭素社会への移行を支援する新たな金融商品やサービスの提供

気候関連に伴う災害対策のための公共事業や企業の設備資金需要等の増加

営業拠点の省資源・省エネルギー化による事業コストの低下

中期

中期

長期

 

 

■シナリオ分析

・移行リスク

気候変動の影響を受けやすいとされる業種のうち、気候変動への影響と当行の貸出金のポートフォリオを勘案し、「エネルギーセクター」、「運輸セクター」を分析対象として選定しました。

国際エネルギー機関(IEA)World Energy OutlookレポートのNet-Zero Emissions by 2050シナリオ(NZEシナリオ)等における炭素価格のデータを使用し、2050年までの融資先に対する財務悪化に関する変化について、予想を行い与信関連費用の変化を分析しました。

 

シナリオ

1.5℃シナリオ

分析対象

エネルギーセクター(石油・ガス・電力)、運輸セクター

分析手法

移行リスクに基づき、炭素価格導入等の影響を勘案して対象取引先の財務の変化を推計し、債務者区分の遷移から信用コストの増加額を算出

分析期間

2050年まで

分析結果

20億円の与信関係費用の増加

 

※エネルギーセクターは再生可能エネルギー関連を除く。

 

・物理的リスク

物理的リスクは、当行の事業性与信先を対象に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)およびRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)のもとで、水害発生による事業性与信先の財務への影響と担保不動産の毀損に起因した与信関係費用の増加に関する分析を実施しました。

 

気候変動による洪水の発生

シナリオ

IPCCのRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)、RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)

分析対象

事業性与信先(与信上位2,000先または担保物件のある先)

分析手法

洪水発生時における事業性与信先の財務への影響、および担保不動産の毀損を勘案のうえ、気候変動シナリオごとの洪水が発生する確率を考慮し、与信関係費用の増加を試算

分析期間

2050年まで

分析結果

累計12~23億円の与信関係費用の増加

 

 

■炭素関連資産

・当行の貸出金に占める炭素関連資産の割合は以下のとおりです。

2024年3月末基準

エネルギー

運輸

素材・構築物

農業・食糧・林業製品

2.24%

10.18%

21.78%

2.42%

 

※エネルギーセクターは再生可能エネルギー関連を除く。

 

 

③リスク管理

気候変動に起因する移行リスクや物理的リスクが当行の事業運営や戦略・財務計画に大きな影響を与える重要なリスクと認識しています。今後、当該リスクにかかる影響を把握・分析するとともに、統合リスク管理の枠組みにおいて、気候変動に係る管理体制を整備してまいります。

また、シナリオ分析の移行リスク・物理的リスクの結果等を踏まえ、気候変動への対応や脱炭素社会への移行に向けて、お客さまとの対話を強化し、お客さまの課題やニーズを発掘するとともに、最適なコンサルティングを提供することで、共通価値を創造してまいります。

「山梨中央銀行グループ投融資ポリシー」を制定し、環境・社会に負の影響を与える特定セクターへの投融資を抑制するとともに、環境・社会課題解決に繋がる事業等を積極的に支援することで、お客さまや地域の環境・社会課題解決に取り組んでおります。

 

④指標と目標

■CO2排出量の削減目標と実績(Scope1、2)

当行は、自ら排出するCO2排出量の削減に積極的に取り組むとともに、脱炭素社会の実現や地域の環境課題解決に向けた取組みに貢献してまいります。

中期目標(2024年度)

2024年度までに2013年度比70%以上削減

長期目標(2030年度)

2030年度までにカーボンニュートラル

 

 

省エネルギー法の定期報告書における当行の温室効果ガス(CO)排出量(Scope1、Scope2)にガソリン使用による排出量を加算しています。

(単位:t-CO

 

Scope1

Scope2

合計

削減率

2013年度

834

5,659

6,493

2021年度

682

3,858

4,540

30.08%

2022年度

707

2,367

3,074

52.66%

2023年度

702

1,865

2,567

60.47%

 

CO2排出量の対象範囲:Scope1:直接排出量(重油、ガス、ガソリン等) 、Scope2:間接排出量(電気)

 

  CO2排出量の削減目標と実績(Scope1、2)


 

■Scope3への対応

温室効果ガス排出量の計測範囲の拡大に取り組んでおり、Scope3の算出を行いました。

金融機関において、Scope3のカテゴリ15(投融資)は、気候変動におけるリスクと機会を捉えていく重要なものと考えられることから、PCAFスタンダードの計測手法を参考に、国内の事業法人に対する融資を対象に算定を行いました。

引き続き、計測の高度化に向けて取り組んでまいります。

 

Scope3 排出量(t-CO

2022年度

2023年度

カテゴリ1 (購入した製品・サービス)

4,642

5,049

カテゴリ2 (資本財)

1,803

3,442

カテゴリ3 (Scope1、2に含まれない燃料及び関連活動)

517

491

カテゴリ4 (輸送、配送(上流))

896

889

カテゴリ5 (事業から出る廃棄物)

253

339

カテゴリ6 (出張)

313

304

カテゴリ7 (雇用者の通勤)

928

893

カテゴリ15(投融資)

3,112,250

 

 

※カテゴリ8~14は算定による排出量がゼロ。

・開示している排出量等につきましては、今後算出対象範囲の拡大、算出方法の変更や使用データの精緻化等に伴い、変動する可能性があります。

・カテゴリ15の算出方法は、計測した融資残高は2024年3月末、財務データは2024年3月末までの最新決算データとなります。また、CO排出量は、企業が開示する排出量、または推計排出量に資金調達額(※)に占める当行の融資残高の割合を乗じて算出しています。

※資金調達額とは、負債合計と株主資本合計を加算したものです。

 

■サステナブルファイナンス投融資額の目標

持続可能な地域社会の実現に向けて、環境・社会課題等への取組みを加速させるため、2024年5月、サステナブルファイナンス実行額の中期目標を見直し、「2024年度までに3,500億円以上」に引上げました。

 

・当初のサステナブルファイナンス目標額

中期目標(2024年度)

2,500億円以上

長期目標(2030年度)

8,000億円以上(うち環境ファイナンス4,000億円以上)

 

・引上げ後のサステナブルファイナンス目標額

中期目標(2024年度)

3,500億円以上

長期目標(2030年度)

8,000億円以上(うち環境ファイナンス4,000億円以上)

 

 

■サステナブルファイナンス投融資額の実績

 

サステナブルファイナンス

うち環境ファイナンス

2023年度までの累計

2,473億円

1,231億円

 

 

<サステナブルファイナンス>

 持続可能な地域社会の実現に向けた、社会課題や環境課題の解決に繋がる投融資。

<環境ファイナンス>

 地球温暖化を抑制するとともに、地域経済への影響を減少させるため、環境負荷低減や気候変動対策を目指す取組みに資する投融資。

 

(3) 人的資本について

<人的資本経営の実現に向けた取組み>

当行グループでは、価値創造プロセスに基づき、特定したマテリアリティ・経営課題に対し、強みを支える最も重要かつ本源的な資本として「人的資本」を捉えており、戦略を着実に遂行していくための3つの変革ドライバー(AX、DX、SX)を機能させる高い専門性を持つ人財を採用・育成・活用し、価値創造に繋げていくための経営を実践し、「well-beingな社会」の実現を目指します。

 

①ガバナンス

人的資本経営の実現に向けた取組みは、当行グループにおける重要課題の1つとして捉え、経営陣が主体的に関わり、取り組んでいます。「人権方針」、「人財育成方針」、「社内環境整備方針」など当行グループの各種方針の制定や人的資本開示の内容については、サステナビリティ委員会※にて協議、検討し、常務会を経て取締役会に付議・報告しており、取締役会の監督が適切に図られる体制を構築しています。

※サステナビリティ委員会については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティへの取組み ①ガバナンス」をご覧ください。

 

②戦略

「人的資本経営の実現」に向けた今後の取組みと戦略遂行に向けた人財を確保・育成するための「人財育成方針」、「社内環境整備方針」を定め、従業員一人ひとりの働きがいやスキル、モチベーションの向上により持続的な企業価値向上に繋げています。また、2024年5月に「人権方針」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン方針」を定め、人権、多様性の尊重と、公平性を担保するなかで、活力ある組織づくりに注力しています。

 


 

<人財育成方針>

「迅速な行動」、「周りとの積極的な関与」、「新たな分野への挑戦」を全役職員に求める基礎と定義する中、お客さまや地域社会の多様化・高度化するニーズへの対応、特定しているマテリアリティの解決、地域の持続的な成長を支援するための原動力となる専門性の高い人財を、多様な分野において育成します。そのためには、社内外での各種研修、ジョブローテーション、自己研鑽等の機会を積極的に提供し、職員の主体的・自律的な成長支援に取り組んでいきます。

そしてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進により人財・働き方の多様性を確保しながら、パーパスの実現を目指します。

 

<社内環境整備方針>

地域の企業・産業の発展を支え、地域を活性化し、well-beingな社会の実現に向け、多様な人財が持つ能力を最大限発揮でき、働きがいを実感できる組織づくり、仕事と家庭・生活の充実を感じることのできる仕組みづくりを目指した職場環境整備を進めていきます。

また、人権や多様性を尊重し、すべての人々が個性と能力を発揮できる活力ある組織の構築を実現していきます。

 


 

<2024年5月に制定した人権方針>

山梨中央銀行グループは、持続可能な地域社会の実現と持続的な企業価値向上を目指すうえで、人権の尊重を重要な責務の一つとして認識し、事業活動をつうじてあらゆるステークホルダーの人権の尊重に取り組んでいきます。

 

1.国際的規範の尊重

山梨中央銀行グループは、事業活動を行うあらゆる国や地域の法令を遵守し、「世界人権宣言」をはじめとする、人権に関する国際規範を尊重します。

2.役職員に対して

山梨中央銀行グループは、すべての役職員に人権の尊重を求め、人種、民族、宗教、国籍、出身、社会的身分、信条、年齢、障がいの有無、身体的特徴、性別、性的指向や性自認、健康状態等を理由とした差別や、ハラスメント行為、人権侵害を容認しません。

3.お客さまに対して

山梨中央銀行グループは、お客さまに対しても、人権配慮への理解と遵守を働きかけていきます。

山梨中央銀行グループが提供する商品やサービスの提供に関連する人権への負の影響を未然に防止し、万一、負の影響を引き起こした、あるいはこれに関与した場合は、速やかにその是正・救済に努めます。

4.サプライヤー(取引業者)に対して

山梨中央銀行グループは、サプライヤーに対しても、人権配慮への理解と遵守を働きかけていきます。

また、サプライヤーが人権に対して負の影響を与えている懸念がある場合は、その防止または、軽減するよう働きかけていきます。

5.ガバナンス(管理)体制

山梨中央銀行グループは、サステナビリティ委員会において人権に関する取り組み状況についての報告を行い、人権尊重の取組みの向上・改善に努めます。

 

③リスク管理

人的資本経営の実現に向けた取り組みにおいて「人財」にかかるリスクについても、リスクの特定、評価等リスク管理の態勢を構築しています。

「人的リスク管理規定」を制定するとともに、「就業規則」や「健康管理規定」等を定め、労働条件の明確化を図り、健康の保持促進や勤務能率の向上および不法行為の防止に努めています。また、リスク管理委員会※において、他のリスクと同様に人的リスクが経営に及ぼす影響とそれへの対応策を検討できる態勢を整えています。

 

※リスク管理委員会

構成委員

委員長

:経営管理担当役員

 

委員

:常務取締役、経営企画部長、経営管理部長

 

オブザーバー

:常勤監査役、監査部長

開催頻度

原則、毎月開催

事務局

経営管理部

 

 

④指標と目標

経営戦略と人事戦略の連動に基づく、指標を設定し各取組みを通じてありたい姿(KGI、KPI)の達成に向け取組んでいます。

 


2023年度から「人財育成投資額」に「教育系出向・派遣」と位置付けている外部出向・研修者(22名)の人件費101百万円を算入しております。

なお、2022年度の当該人件費98百万円(21名分)を算入した実績は179百万円となります。

 

<3つの変革ドライバーの観点による主な取組み>

コンサルティング人財育成(AX)

地域経済の活力向上、地域社会の課題解決に資する高い専門性を持つ多様な人財(コンサルティング人財)の育成・活用に取り組んでいます。

 

2021年

2022年度

2023年度

2024年度
(目標)

高難度資格取得者数

12名

17名(17名)

20(37名)

50名以上

(中計累計)

資格取得支援費用

3百万円

3百万円

4百万円

5百万円

外部出向・派遣者数

30名

 32

 31

 30

外部研修派遣者数

  17

 30

 42

 45

 

高難度資格:中小企業診断士、証券アナリスト、FP1級、宅地建物取引士 等

外部出向・派遣実績:地場企業、国内銀行、証券会社、フィンテック企業、不動産会社、自治体 等

外部研修派遣実績:金融経営塾、地銀協講座(法人取引実践講座、個人取引スキルアップ講座)等

 

 

DX推進人財育成(DX)

当行では中期経営計画「TRANS³2025」の3つの変革ドライバーの1つ「DX」の取組み強化にあたり、行内外のDXを支える人財を育成すべく「DX推進人財育成制度」を制定しました。DX推進人財を「DXプロフェッショナル人財」「DXマネージャー」「DXプランナー」の3つの階層に区分し、それぞれに認定要件を設定し、育成に取り組んでいます。

 

2022年度

2023年度

2024年度

(目標)

DXプロフェッショナル認定者

11

18

26

DXマネージャー認定者

0

87

100

DXプランナー認定者

168

337

500

DX推進人財育成費用

7百万円

11百万円

 

 

エンゲージメント向上(SX)

2023年度より、従来測定してきた「eNPS」アンケートに比べ、企業の収益力向上や従業員の帰属意識の強化との相関が強いとされている「従業員エンゲージメントサーベイ」(エクスペリエンスサーベイ)を導入しました。

組織風土や労働条件など、16の領域を対象に会社への「期待」と「実感」を測定し、その差分(ギャップ)をスコアとして見える化しました。

従業員エンゲージメントスコアは74.9と他社平均(72.5)を上回っているものの、組織全体としては「目標設定」、「キャリア形成」について課題が確認されたことから、テーマを絞った研修の開催など改善に取り組んでいきます。

また、経営陣が各職場に足を運び、若手を中心に当行グループとしての考え方や取組方針などを共有するなか、エンゲージメント向上に取り組んでいます。

 

2023年度

他社平均

2024年度目標

従業員エンゲージメント

74.9

72.5

77.0

 

※他社平均は、従業員1,000名以上企業の平均。

 

<地域の金融リテラシー向上に向けた取組み>

地域活力の向上、豊かな生活づくりの支援(SX)

地域経済の活力向上、地域社会の発展、豊かな生活づくり、SDGs目標の4「質の高い教育をみんなに」を実現するため、金融リテラシーの向上を目的とした取組みを強化しています。

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

金融教育実施回数
(Financial education)

 11

 58

46 

 96

受講者数

 1,633

2,379

 2,548

3,969

校外学習受入回数
(Field trip)

 9

 17

20

 26

校外学習受入人数
(Field trip)

115

219

261

296

金融資料館来館者数

815

1,360

 1,115

1,459

 

※「金融教育実施回数・受講者数」には学校等での教育実施のほか、資産運用セミナー等も含んでおります。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 信用リスク

当行グループでは、債務者ごとの個別管理と、与信資産全体の評価をふまえたポートフォリオ管理によって、信用リスクを管理しております。また、格付別・業種別の与信限度額を設定することで与信集中の回避を図るとともに与信先の現況および融資方針について、定期的あるいは随時検証を行っております。信用リスク量については、四半期ごと計測を行い、その結果をALM委員会等へ報告し、信用リスクの抑制に努めておりますが、以下のリスク事象が顕在化する可能性があります。

①  不良債権等の増加

景気動向等により取引先の財務内容等が悪化した場合、当行グループの不良債権及び与信関係費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

②  貸倒引当金の増加

当行グループでは、取引先の状況や担保価値等に基づいて貸倒引当金を計上しています。取引先の業況の悪化や担保価値の下落等により、貸倒引当金が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③  貸出先への対応による貸倒引当金等費用の増加

取引先に債務不履行等が生じた場合であっても、回収の効率・実効性等の観点から当行グループの債権者としての権利を行使しない場合や、取引先への支援のために債権放棄等を実行する場合があり、結果として貸倒引当金等の費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場リスク

当行グループでは、市場取引の運営方針、運用計画ならびに過去の運用実績や経営指標等をふまえた上で、原則半期ごとに運用限度枠の策定・見直しを行っております。また有価証券取引の公正・妥当な時価評価と、リスク量の計測、損益の算定を定期的に実施しております。市場リスクの状況については、ALM委員会等へ報告し、市場リスクの抑制に努めておりますが、以下のリスク事象が顕在化する可能性があります。

①  金利リスク

資産と負債の金利または期間の不一致がある中で金利が変動した場合、収益の低下や損失が発生する可能性があります。

②  価格変動リスク

当行グループが保有する有価証券等の市場価格の変動により、減損や評価損が発生する可能性があります。

③  為替リスク

外貨建資産と負債について、為替相場の変動により損失が発生する可能性があります。

 

(3) 流動性リスク

当行グループでは、信用力の向上と預金流出に備えた一定量の流動性資産の保持、および適切な資金繰りを行い、資金繰りの見通しについては、リスク管理委員会等へ報告し、流動性リスクの回避に努めておりますが、当行グループの財務内容の悪化等により、資金繰りに悪影響を来たしたり、短期借入金等の調達コストが増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、市場の混乱等により市場において取引ができない場合や、通常よりも高い金利での調達を余儀なくされる可能性があります。

 

(4) オペレーショナル・リスク

当行グループでは、業務の見直しや改善および保険の適用などにより、オペレーショナル・リスクの抑止策・軽減策を講じており、損失規模・発生頻度が極めて大きい場合は、当該業務の停止等を検討します。オペレーショナル・リスクの状況については、リスク管理委員会等へ報告し、リスクの抑制に努めておりますが、以下のリスク事象が顕在化する可能性があります。

①  事務リスク

当行グループの役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより、損失が発生する可能性があります。

 

②  システムリスク

コンピュータシステムのダウンまたは誤作動等、コンピュータシステムの不具合や、コンピュータの不正使用、データ改ざん、情報漏洩、サイバー攻撃による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等が発生した場合に、当行グループの信用や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③  法務リスク

各種取引において、法令違反や不適切な契約等により損失が発生する可能性があります。

④  風評リスク

当行グループに対する市場やお客さまの間での否定的な世論が広まることによって、収益や資本、顧客基盤等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑤  人的リスク

労務慣行の問題や職場の安全衛生環境の問題等に関連する訴訟等が発生した場合、当行グループの信用や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥  有形資産リスク

自然災害、強盗、事故、資産管理の瑕疵等により、建物、車両、備品等の有形資産が損傷した場合、損失が発生する可能性があります。

 

(5) 自己資本に関するリスク

①  自己資本比率

2024年3月期の連結自己資本比率は10.05%と、国内基準で要求される4%を上回っていますが、同基準を下回った場合には、金融庁から業務の全部または一部停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。

②  繰延税金資産

当行グループでは、将来の課税所得の見積額を限度として、既に支払った税金のうち将来回収が可能と判断した額に係る繰延税金資産を計上していますが、課税制度の変更等により繰延税金資産の回収ができない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) その他のリスク

①  戦略リスク

当行グループは「地域密着と健全経営」という経営理念に基づき、中期経営計画に掲げた各種施策に取り組んでおりますが、営業基盤とする山梨県及び東京地区における経済情勢の悪化、あるいは他金融機関との競合激化により、戦略が想定した成果を生まない可能性があります。

②  固定資産の減損会計

「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用し、所有する固定資産に損失が発生した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③  大規模災害のリスク

東海地震等の大規模な災害で、当行グループの被災による損害のほか、取引先の業績悪化による信用リスクの上昇等を通じて、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④  感染症の流行

新型インフルエンザ等感染症が大流行した場合、当行グループ役職員の欠勤の増加等により、業務縮小等の可能性があるほか、経済活動への悪影響による取引先の業績悪化により、信用リスクが増加する等、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤  気候変動リスク

気候変動に伴う異常気象や自然災害の発生、脱炭素社会への移行に伴う政策や法規制、市場の変化等は、当行グループの事業の停滞や担保資産の価値毀損のほか、取引先の業績悪化による与信費用の増加など、当行グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥  外的要因に起因するリスク

特定の地域が抱える政治的、軍事的、社会的な緊張が高まり地政学リスクが顕在化することで、その地域や世界の経済活動が停滞した場合、取引先の業績悪化に伴う信用リスクの増加等により、当行グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当行グループ(当行及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当行グループは、報告セグメントが「銀行業」のみであり、セグメント情報の記載を省略しているため、セグメント別の経営成績等の状況の概要は記載しておりません。

 

① 金融経済環境

2023年度のわが国経済は、欧州や中国を中心とした海外経済の減速や資源価格・物価の高止まりなどの下押し圧力がみられましたが、コロナ禍を経て社会経済活動が正常化へ向けた軌道に乗るなか、各種政策の効果や雇用・所得環境の改善もあり、緩やかな回復基調で推移しました。しかし、足元では、物価高による消費の伸び悩みもあり、回復の動きに足踏みがみられました。

山梨県経済は、コロナ禍の影響が和らぐなかで、サービス消費を中心とした個人消費や、インバウンド需要が増加している観光関連において改善の動きが強まるなど、持ち直しの動きがみられました。しかし、年度後半は、物価高に対する生活防衛意識の高まりから個人消費に一服感が窺われました。また、機械工業が在庫調整の長期化の影響もあり減産傾向で推移したほか、設備投資や住宅投資で慎重姿勢が続くなど、全体としては力強さを欠きました。

金融面では、為替相場は、日米金利差の影響などにより円安傾向で推移し、年度末は151円台まで下落しました。日経平均株価は、好調な企業業績などを背景に、年度末近くには4万円を突破して史上最高値を更新しました。国内長期金利は、秋口に日本銀行の金融政策の運用見直しに伴い一時は1%近くまで上昇しましたが、その後は低下基調をたどり、マイナス金利解除の影響も限定的な範囲にとどまりました。

 

② 事業の経過等

このような金融経済環境のなか、中期経営計画「TRANS 2025」(2022年4月~2025年3月)の中間年度にあたり、「3つの変革ドライバー(AX・DX・SX)と3つの基本戦略による変革と挑戦」の実現に向けて、次のような施策を積極的に展開しました。

 

<“事業体積”増加戦略>

●コア事業の深化・拡大

(Yamanashi Policy)

地域社会や地元企業の持続的な発展に貢献するため、当行グループが有する知見やネットワークを活かし、お客さまのニーズやライフステージに応じた最適な各種コンサルティングの提供に努めました。

特に、少子高齢化の進展に伴う「人手不足」、世界的な原材料価格の上昇や円安による「エネルギーを含む物価の高騰」、技術革新や生産性向上へ向けた「DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現」など環境変化への対応に加え、創業・成長・再生・事業承継などのさまざまなステージにおける経営課題への解決支援を通じたお客さまの企業価値向上に取り組みました

 

(Tokyo Policy)

・ウェルス層や商流を捉えた営業への取組み

都心部を主たる営業エリアとする東京第一地区では、東京推進部と連携し、従来から関係構築に努めてきた富裕層との人脈を活用したウェルスマネジメント関連の融資案件の組成や、商流の川上に位置する事業者への営業活動を通じた取引基盤の拡大などに取り組みました。

また、多摩エリアを主たる営業エリアとする東京第二地区では、長期にわたり深耕してきた営業基盤においてさらなる取引の積上げを図るとともに、税理士事務所など協業パートナーとの連携を通じ、新たな取引先の開拓・深耕に取り組みました。

 

・山梨と東京をつなぐ取組

山梨県内はもとより東京都内に広く営業展開する金融機関として、山梨の魅力やポテンシャルに共感いただける都内の企業や投資家の県内誘致を進める一方、県内のお客さまの紹介や販路拡大支援などにより、山梨と東京をつなぐ活動に取り組みました。

 

(Common Policy)

さまざまな環境変化やお客さまのニーズが多様化するなかにあっては、個々の課題に応じた金融支援が不可欠であることから、プロジェクトファイナンスや不動産ノンリコースローン、LBOローンなどのオーダーメイド型の融資案件組成にも積極的に取り組みました。

 

(Market Policy)

有価証券運用においては、中長期的な視点で設定した基本ポートフォリオをもとに、市場局面分析や個別資産分析などを活用して機動的に資産配分を変更することにより、安定した収益の確保とポートフォリオの質の向上に努めました。

 

(住宅取得ニーズへの対応)

個人のお客さま向け商品を取扱うライフスクエアへ専門スタッフを配置するとともに、商品性の改善や審査スピードの向上を図るなど、お客さまの住宅ニーズに対するサポートの充実と利便性の向上に努めました。

 

(資産形成ニーズへの対応)

「well-being(ウェルビーイング)な社会」の実現に貢献するため、お客さまのライフスタイルに応じた金融サービスの提供と窓口販売商品の拡充に取り組みました。また、資産運用の専門的な知識を持つライフプランアドバイザーと営業店が連携し、新NISA制度を活用したコンサルティングなどを行いました。

なお、お客さまへの提案に際しては、フィデューシャリー・デューティー基本方針に基づき、資産形成・資産運用におけるお客さま本位の業務運営を徹底しています。

 

●新事業の探索

(やまなし未来インベストメント株式会社の設立)

2023年12月1日に投資助言を主な業務とする「やまなし未来インベストメント株式会社」を設立しました。

同社は、2024年3月1日から営業を開始し、現在は私募投資信託を運用する投資運用業者および当行を対象に投資助言を行っていますが、将来的には公募投資信託を運用する投資運用業者などへと助言対象を拡大する方針であり、政府が掲げる「資産運用立国」の取組みに呼応する形で事業展開していくことを通じて、地域経済の成長とお客さまの資産所得増加に貢献していきたいと考えています。

 

(地域課題解決に向けた取組み)

これまで、地域の事業者や自治体、大学などと連携し、地域の課題解決に資するさまざまな事業アイデアを検討してきました。そのなかから、山梨県の主要産業の一つである「観光関連産業」の活性化を目指し、「観光価値創造業」への取組みを開始しました。地域の魅力ある人・場所・食・体験などの「観光資源」や「地域産品」を発掘し、新たな観光価値を創造するとともに国内外の観光客に向けて情報発信する実証実験を開始しました。具体的には、豪華客船「飛鳥Ⅱ」の乗船客を対象とした山梨県への日帰りツアーや国内団体(学生)向けの教育旅行の企画、旅行会社との連携によるインバウンド向け観光コンテンツの発信などに取り組みました。

また、地域全体の脱炭素化を支援するための仕組みづくりや、地方公共団体向けの行政施策の推進支援サービスとして「山梨中銀やまなし ふるさと応援プロジェクト」を実施しました。

 

<“生産性”倍増戦略>

●事務ゼロへの挑戦

(営業店事務ゼロ化の実現に向けて)

営業店事務ゼロ化を通じた生産性の向上に向けて、シンプル化・集中化・システム化の3つをポイントとして各種施策を展開しました。

シンプル化においては、相続手続きなどの見直しを行い、お客さまの各種手続きにかかる負担軽減を図ったほか、当行内部の合理化、効率化にもつなげました。

集中化においては、営業店事務の軽量化のため、営業店後方で発生する各種事務を本部集中部門に移管しました。これにより、専門性の高い人財が業務を行うことで、これまで以上に事務の品質を向上させることができました。

システム化においては、お客さまの利便性向上および営業店受付事務の効率化を目的に、「セミセルフ端末」の導入や「窓口専用タブレット端末」の機能改善を行いました。

こうした取組みを通じて創出した人財については、戦略的な再配置を実施しました。

 

●次世代チャネル改革

(デジタルチャネルの強化)

多様化するお客さまのライフスタイルに応えるとともに、さらなる利便性向上を図るため、デジタルチャネルの再構築に取り組みました。2023年4月に開始した新たなスマートフォンアプリ「山梨中銀アプリ」では、普通預金の新規口座開設やNISA口座開設を可能にするなど、多くの銀行取引がアプリ1つで完結できるようになりました。

 

(リアルチャネルの改革)

営業店を中心としたリアルチャネルにおいては、営業店人員の集中化による質の高いサービスの提供とマーケットに応じた効率的な店舗・ATM網の再構築を目指し、流通センター支店を昭和支店内に、小金井支店および府中支店を国分寺支店内に、自治会館出張所を南支店内に移転しました。

 

<“サステナ”追求戦略>

●人的資本経営の実現

(人的資本経営の実践)

さまざまな環境変化や変革に対応していくための企業風土の醸成にあたり、その基盤となる人的資本経営の実現に取り組みました。

特に、持続的な企業価値向上を図るため、自主性・自律性の醸成やキャリア形成支援を目的とした本部専門部署への異動公募(ポストチャレンジ)や本部業務を経験する取組み(社内兼業)、従来の枠組みにとらわれない新しい発想力を持った人財の育成を目的とした「新事業構想プロジェクト研究」などに取り組みました。

 

(DX人財の育成)

少子高齢化や人口減少といった地域課題を解決するためには、DXによる生産性向上が不可欠であり、その推進人財の育成が急務です。当行では、お客さまおよび当行自身のDX実現に向け、DX推進人財に係る行内認定制度を創設しており、実際に案件に取り組むためのスキルに関する資格である「DXプランナー」に、2024年3月末時点で337名を認定しました。

引き続き、職員一人ひとりの自律的なスキルアップを図るとともに、行内外でのDXの取組みをさらに加速していきます。

 

●ガバナンスの高度化

(静岡・山梨アライアンスの取組み)

2020年10月にスタートした「静岡・山梨アライアンス」は、業務上のノウハウや経営リソースを相互に活用することにより、両行のお客さまや地域社会の持続的な成長の実現に取り組んでいます。法人ファイナンス分野での協働や静銀ティーエム証券との銀証連携、地域のお客さま向け商談会の共同開催など、さまざまな施策を実施しました。また、本年2月には、アライアンス締結3周年を機とした職員の交流イベントを開催し、両県の関係人口増加や地域課題の解決に向けた取組みを行いました。提携効果については、2024年3月末時点で、両行合算・5年換算ベースで約109億円が発現しており、当初掲げた目標の100億円を120億円に上方修正しました。

 

(政策保有株式の縮減)

効率的な資本の活用・株式保有リスクの抑制などの観点から、政策保有株式については順次縮減を進めています。取引先企業と十分な対話を継続しつつ本取組みを加速させるため、2025年3月末までに2022年3月末(中期経営計画「TRANS 2025」のスタート時点)比で上場政策保有株式を時価ベースで100億円程度縮減(時価変動を除く)する目標を設定しています。

2024年3月末時点では、100億円の縮減目標に対して、縮減額は65億円となりました。

なお、政策保有株式の売却により生じた資金については、中長期的な企業価値向上に向け、成長投資や株主還元などにバランス良く充当していく方針です。

 

(ステークホルダーとの対話)

株主の皆さまと長期安定的な信頼関係を構築することの重要性を踏まえ、当事業年度においても積極的に対話を実施しました。

対話を通じて認識した課題については、行内でしっかり共有し順次改善に取り組むことで、持続的な企業価値向上につなげています。

また、資本コストの引下げに向け、これまで以上に成長戦略や非財務情報・リスク情報など丁寧なIR発信にも取り組みました。

 

(サステナビリティ経営)

持続的な地域社会の発展と企業価値の向上を実現するため、サステナビリティ経営に取り組みました。

 

~豊かな自然環境の維持と将来への継承~

「脱炭素化」に向けて、電気自動車の導入、再生可能エネルギー電気の活用や、やまなし県有林オフセット・クレジット(J-VER)の利用など、CO2排出量の削減に取り組みました。

2023年4月には、CO2排出量削減に向けた取組みを加速させるべく、CO2排出量の削減目標を引き上げました。

CO2排出量削減目標の引上げ

項目

従前の目標

引上げ後の目標

中期目標(2024年度)

2013年度比46%削減

2013年度比70%以上削減

長期目標(2030年度)

2013年度比60%削減

カーボンニュートラル(※)

 

(※)温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的にゼロにすること

 

 

③ 財政状態の状況の概要

当連結会計年度末の財政状態について、預金は、個人・法人預金の増加により、期中に777億円増加し、期末残高は3兆5,776億円となりました。譲渡性預金を含めた総預金は期中に849億円増加し、期末残高は3兆6,326億円となりました。貸出金は、中小企業向け貸出や個人ローンの増加などにより、期中に2,224億円増加し、期末残高は2兆5,130億円となりました。有価証券は、地方債や外国債券の減少などにより、期中に753億円減少し、期末残高は1兆185億円となりました。

 

 

 

 

 

前連結会計年度(億円)

当連結会計年度(億円)

増減(億円)

預金

34,999

35,776

777

譲渡性預金

477

549

72

総預金

35,476

36,326

849

 

金融機関

205

202

△ 3

 

公金

2,176

2,184

7

 

法人

8,406

8,693

286

 

個人

24,687

25,246

558

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度(億円)

当連結会計年度(億円)

増減(億円)

貸出金

22,906

25,130

2,224

 

大企業

8,727

9,653

926

 

中小企業等

13,969

15,202

1,233

 

 

うち個人

4,523

4,839

315

 

中堅企業

210

275

64

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度(億円)

当連結会計年度(億円)

増減(億円)

有価証券

10,938

10,185

△ 753

 

国債

1,529

1,411

△ 117

 

地方債

3,240

2,786

△ 454

 

社債

1,374

1,378

3

 

株式

510

652

142

 

その他

4,284

3,957

△ 327

 

 

うち外国債券

366

21

△ 345

 

 

 

④ 経営成績の状況の概要

当連結会計年度の経営成績について、資金利益(資金運用収支)は、貸出金利息は増加したものの、有価証券利息配当金が減少したことなどから、前期比1億76百万円減少しました。役務取引等利益(役務取引等収支)は、預金・貸出業務に係る手数料及び保険等の販売による代理業務手数料収入の増加などにより、前期比7億46百万円増加しました。その他業務利益(その他業務収支)は、国債等債券損益は減少しましたが、外国為替売買損益の増加などにより、前期比7億52百万円増加しました。営業経費は前期比9億46百万円増加しました。また、与信関係費用は前期比11億42百万円減少し、株式等関係損益は前期比17億15百万円減少しました。以上の結果、経常利益は前期比79百万円減少し、76億41百万円となりました。

特別損益は前期比76百万円減少し、法人税等合計は前期比5億90百万円減少しました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比5億96百万円増加し、56億58百万円となりました。

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減(百万円)

連結粗利益

 

28,328

29,651

1,322

 

資金利益

 

30,892

30,715

△ 176

 

役務取引等利益

 

8,546

9,292

746

 

その他業務利益

 

△ 11,110

△ 10,357

752

 

 

うち国債等債券損益

 

△ 9,157

△ 9,695

△ 538

営業経費

 

25,892

26,838

946

その他経常損益

 

5,286

4,829

△ 456

 

与信関係費用

(△)

1,122

△ 20

△ 1,142

 

 

貸倒引当金戻入益

 

113

113

 

 

個別貸倒引当金純繰入額

(△)

223

△ 223

 

 

一般貸倒引当金繰入額

(△)

786

△ 786

 

 

その他

(△)

112

92

△ 19

 

株式等関係損益

 

6,257

4,542

△ 1,715

 

その他

 

150

267

116

経常利益

 

7,721

7,641

△ 79

特別損益

 

8

△ 67

△ 76

税金等調整前当期純利益

 

7,730

7,573

△ 156

 

法人税、住民税及び事業税

(△)

2,613

1,830

△ 782

 

法人税等調整額

(△)

△ 74

117

191

法人税等合計

(△)

2,538

1,948

△ 590

当期純利益

 

5,191

5,625

434

非支配株主に帰属する当期純利益又は

非支配株主に帰属する当期純損失(△)

(△)

129

△ 33

△ 162

親会社株主に帰属する当期純利益

 

5,061

5,658

596

 

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の概要

A 営業活動によるキャッシュ・フロー

預金等が849億円増加しましたが、貸出金が2,224億円増加し、債券貸借取引受入担保金が1,206億円、借用金が239億円減少したことなどから、2,907億円のキャッシュアウト(前期は2,938億円のキャッシュアウト)となりました。

B 投資活動によるキャッシュ・フロー

有価証券の取得を4,628億円行いましたが、売却・償還が5,504億円あったことなどから、926億円のキャッシュイン(前期は2,975億円のキャッシュイン)となりました。

C 財務活動によるキャッシュ・フロー

配当金の支払15億円、自己株式の取得10億円などにより、27億円のキャッシュアウト(前期は26億円のキャッシュアウト)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、6,953億円(前期比2,009億円減少)となりました。

 

 

⑥ 生産、受注及び販売の実績

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度における当行グループ経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

また、当行グループは、報告セグメントが「銀行業」のみであり、セグメント情報の記載を省略しているため、セグメント別の分析・検討内容は記載しておりません。

 

① 財政状態

当連結会計年度末の財政状態について、譲渡性預金を含めた総預金は期中に849億円増加、貸出金も期中に2,224億円増加し、いずれも順調に推移しています。有価証券は、地方債及び外国債券の売却などにより、期中に753億円減少しました。

 

② 経営成績

当連結会計年度の経営成績について、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比5億96百万円増加し56億58百万円となりました。有価証券関係損益は減少しましたが、貸出金利息及び役務取引等利益の増加、与信関係費用の減少などによるものであります。また、当行単体の顧客向けサービス業務利益は、前期比27億63百万円増加し39億11百万円と大幅に改善しました。

中期経営計画に掲げた基本戦略を着実に遂行し、貸出金の増加やコンサルティング分野における非金利収入の拡大によるトップライン増強および営業店・本部の事務ゼロ化に向けた取組みによる生産性向上などにより、持続可能な収益構造を確立していきます。

有価証券運用についても、中長期的な視点で設定した基本ポートフォリオをもとに、市場局面分析や個別資産分析などを活用して機動的に資産配分を変更することにより、安定した収益の確保とポートフォリオの質の向上を進めます。

 

③ 中期経営計画における目標と実績

2022年4月から中期経営計画「TRANS (トランス キューブ)2025」(2022年4月~2025年3月)を実施しております。中期経営計画における最終年度(2025/3)の目標と当事業年度(2024/3)の実績は以下のとおりであります。

指標

2025/3目標

2024/3実績

2022/3実績

(中計スタート時)

OHR(コア業務粗利益経費率)

※1

73.5%以下

66.61%

           73.41%

ROE(当期純利益ベース)

3%以上

2.89%

1.82%

管理・監督職に占める女性の比率

※2

20%以上

17.2%

13.1%

リスキリングによる事務人員の再配置割合

30%以上

16.7%

 ―

サステナブルファイナンス投融資額(計画期間合計)※3

3,500億円以上

2,473億円

715億円

温室効果ガス(CO2)排出量削減率

※4

70%以上

60.47%

30.08%

親会社株主に帰属する当期純利益

60億円以上

56億円

42億円

 

※1 OHR(コア業務粗利益経費率)=経費(除く臨時処理分)÷(業務粗利益-国債等債券損益)

※2 2023年度で当初目標を達成したため、2025/3目標を「15%以上」から「20%以上」に引き上げました。

※3 持続可能な地域社会の実現に資する投融資(環境・教育・創業・事業承継など)

 2024年5月に、2025/3目標を「2,500億円以上」から「3,500億円以上」に引き上げました。

※4 2013年度比。目標対象範囲は、ガソリン使用による排出量を加えたScope1+Scope2。

 

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

キャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ⑤ キャッシュ・フローの状況の概要」に記載のとおりであります。なお、資本的支出の予定は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、その資金は自己資金を予定しております。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(3)国内・国際業務部門別収支

当連結会計年度の資金運用収支は、貸出金利息は増加しましたが、有価証券利息配当金の減少などにより前年比1億76百万円減少し、307億15百万円となりました。役務取引等収支は、保険等の販売による代理業務手数料の増加などにより前年比7億46百万円増加し、92億92百万円となりました。その他業務収支は、外国為替売買損益の増加などにより前年比7億52百万円増加し、△103億57百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

28,747

2,145

30,892

当連結会計年度

29,144

1,571

30,715

うち資金運用収益

前連結会計年度

28,965

3,406

14

32,358

当連結会計年度

29,340

1,819

5

31,154

うち資金調達費用

前連結会計年度

218

1,261

14

1,465

当連結会計年度

196

247

5

438

役務取引等収支

前連結会計年度

8,510

35

8,546

当連結会計年度

9,247

45

9,292

うち役務取引等収益

前連結会計年度

10,860

89

10,949

当連結会計年度

11,794

95

11,890

うち役務取引等費用

前連結会計年度

2,350

53

2,403

当連結会計年度

2,547

50

2,597

その他業務収支

前連結会計年度

6,421

△ 17,532

△ 11,110

当連結会計年度

△ 5,703

△ 4,653

△ 10,357

うちその他業務収益

前連結会計年度

10,209

6

10,216

当連結会計年度

7,072

78

7,150

うちその他業務費用

前連結会計年度

3,787

17,538

21,326

当連結会計年度

12,776

4,731

17,508

 

(注) 1 「国内業務部門」は国内店の円建取引、「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。

ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

2 「相殺消去額(△)」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借取引の利息であります。

3 「資金調達費用」は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除して表示しております。

 

 

(4)国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況

当連結会計年度の資金運用勘定の平均残高は、貸出金は増加しましたが、有価証券及び預け金の減少などにより前年比181億円減少し、3兆9,927億円となりました。資金運用勘定利息は、貸出金利息は増加しましたが、有価証券利息配当金の減少などにより前年比12億3百万円減少し、311億54百万円となりました。

資金調達勘定の平均残高は、債券貸借取引受入担保金及び借用金の減少などにより前年比1,953億円減少し、4兆2,995億円となりました。資金調達勘定利息は、債券貸借取引支払利息の減少などにより前年比10億26百万円減少し、4億38百万円となりました。

 

① 国内業務部門

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

3,948,659

28,965

0.73

当連結会計年度

3,980,613

29,340

0.73

うち貸出金

前連結会計年度

2,089,539

17,914

0.85

当連結会計年度

2,345,406

20,216

0.86

うち商品有価証券

前連結会計年度

15

0

0.51

当連結会計年度

4

0

0.00

うち有価証券

前連結会計年度

1,173,367

10,168

0.86

当連結会計年度

1,025,512

8,329

0.81

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

558,776

747

0.13

当連結会計年度

548,251

638

0.11

資金調達勘定

前連結会計年度

4,431,840

218

0.00

当連結会計年度

4,287,098

196

0.00

うち預金

前連結会計年度

3,475,597

254

0.00

当連結会計年度

3,560,725

231

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

58,143

3

0.00

当連結会計年度

54,339

3

0.00

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

243,743

△ 55

△ 0.02

当連結会計年度

161,251

△ 50

△ 0.03

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

123,081

12

0.00

当連結会計年度

70,576

7

0.01

うちコマーシャル・
ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

538,306

4

0.00

当連結会計年度

443,603

5

0.00

 

(注) 1 「平均残高」は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、金融業以外の国内連結子会社については、期首と期末の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 「国内業務部門」は国内店の円建取引であります。

  ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

3 「資金運用勘定」は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度608,177百万円、当連結会計年度451,616百万円)を、「資金調達勘定」は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度7,763百万円、当連結会計年度3,939百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

② 国際業務部門

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

169,944

3,406

2.00

当連結会計年度

51,750

1,819

3.51

うち貸出金

前連結会計年度

34,836

999

2.86

当連結会計年度

36,882

1,518

4.11

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

129,748

2,358

1.81

当連結会計年度

9,940

164

1.65

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

1,946

47

2.44

当連結会計年度

2,456

132

5.38

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

当連結会計年度

資金調達勘定

前連結会計年度

170,762

1,261

0.73

当連結会計年度

52,088

247

0.47

うち預金

前連結会計年度

6,462

8

0.12

当連結会計年度

6,272

45

0.72

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

56,013

1,233

2.20

当連結会計年度

6,012

196

3.26

うちコマーシャル・
ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

363

5

1.61

当連結会計年度

 

(注) 1 「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。

ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

2 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。

3 「資金運用勘定」は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度15百万円、当連結会計年度13百万円)を控除して表示しております。

 

 

③ 合計

 

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り
(%)

小計

相殺
消去額
(△)

合計

小計

相殺
消去額
(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

4,118,603

107,739

4,010,864

32,372

14

32,358

0.80

当連結会計年度

4,032,363

39,628

3,992,735

31,159

5

31,154

0.78

うち貸出金

前連結会計年度

2,124,376

2,124,376

18,913

18,913

0.89

当連結会計年度

2,382,289

2,382,289

21,735

21,735

0.91

うち商品有価証券

前連結会計年度

15

15

0

0

0.51

当連結会計年度

4

4

0

0

0.00

うち有価証券

前連結会計年度

1,303,116

1,303,116

12,527

12,527

0.96

当連結会計年度

1,035,453

1,035,453

8,493

8,493

0.82

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

1,946

1,946

47

47

2.44

当連結会計年度

2,456

2,456

132

132

5.38

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

558,776

558,776

747

747

0.13

当連結会計年度

548,251

548,251

638

638

0.11

資金調達勘定

前連結会計年度

4,602,603

107,739

4,494,864

1,479

14

1,465

0.03

当連結会計年度

4,339,187

39,628

4,299,559

443

5

438

0.01

うち預金

前連結会計年度

3,482,060

3,482,060

262

262

0.00

当連結会計年度

3,566,998

3,566,998

277

277

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

58,143

58,143

3

3

0.00

当連結会計年度

54,339

54,339

3

3

0.00

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

243,743

243,743

△ 55

△ 55

△ 0.02

当連結会計年度

161,251

161,251

△ 50

△ 50

△ 0.03

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

179,095

179,095

1,245

1,245

0.69

当連結会計年度

76,589

76,589

203

203

0.26

うちコマーシャル・
ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

538,669

538,669

10

10

0.00

当連結会計年度

443,603

443,603

5

5

0.00

 

(注) 1 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。

2 「資金運用勘定」は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度608,193百万円、当連結会計年度451,630百万円)を、「資金調達勘定」は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度7,763百万円、当連結会計年度3,939百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

(5)国内・国際業務部門別役務取引の状況

当連結会計年度の役務取引等収益は、預金・貸出業務に係る手数料及び保険等の販売による代理業務手数料の増加などにより前年比9億40百万円増加し、118億90百万円となりました。このうち国内業務部門は、前年比9億33百万円増加し117億94百万円、国際業務部門は、前年比6百万円増加し95百万円となりました。

役務取引等費用は前年比1億94百万円増加し25億97百万円となりました。このうち国内業務部門は前年比1億97百万円増加し25億47百万円、国際業務部門は前年比2百万円減少し50百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

10,860

89

10,949

当連結会計年度

11,794

95

11,890

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

4,184

4,184

当連結会計年度

4,445

4,445

うち為替業務

前連結会計年度

1,520

83

1,604

当連結会計年度

1,475

87

1,563

うち証券関連業務

前連結会計年度

1,115

1,115

当連結会計年度

1,303

1,303

うち代理業務

前連結会計年度

2,267

2,267

当連結会計年度

2,667

2,667

うち保護預り
・貸金庫業務

前連結会計年度

228

228

当連結会計年度

223

223

うち保証業務

前連結会計年度

301

5

307

当連結会計年度

360

8

369

役務取引等費用

前連結会計年度

2,350

53

2,403

当連結会計年度

2,547

50

2,597

うち為替業務

前連結会計年度

492

39

531

当連結会計年度

511

43

555

 

(注) 1 「国内業務部門」は国内店の円建取引、「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。

  ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

2 相殺消去額については、該当ありません。

 

(6)国内・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

3,493,663

6,265

3,499,929

当連結会計年度

3,571,869

5,797

3,577,666

うち流動性預金

前連結会計年度

2,444,771

2,444,771

当連結会計年度

2,559,437

2,559,437

うち定期性預金

前連結会計年度

1,028,190

1,028,190

当連結会計年度

986,103

986,103

うちその他

前連結会計年度

20,701

6,265

26,967

当連結会計年度

26,327

5,797

32,124

譲渡性預金

前連結会計年度

47,723

47,723

当連結会計年度

54,938

54,938

総合計

前連結会計年度

3,541,387

6,265

3,547,653

当連結会計年度

3,626,807

5,797

3,632,604

 

(注) 1 「国内業務部門」は国内店の円建取引、「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。

ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

  定期性預金=定期預金

3 相殺消去額については、該当ありません。

 

(7)国内・海外別貸出金残高の状況

① 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金 額(百万円)

構成比(%)

金 額(百万円)

構成比(%)

国内
(除く特別国際金融取引勘定分)

2,290,653

100.00

2,513,085

100.00

製造業

283,704

12.39

297,312

11.83

農業、林業

4,296

0.19

7,060

0.28

漁業

15

0.00

45

0.00

鉱業、採石業、砂利採取業

1,684

0.07

1,577

0.06

建設業

52,339

2.28

56,643

2.25

電気・ガス・熱供給・水道業

51,505

2.25

53,140

2.11

情報通信業

21,868

0.95

27,200

1.08

運輸業、郵便業

155,296

6.78

157,442

6.27

卸売業、小売業

172,569

7.53

172,695

6.87

金融業、保険業

138,018

6.03

173,020

6.89

不動産業、物品賃貸業

491,189

21.45

576,460

22.94

その他のサービス業

188,747

8.24

202,282

8.05

国・地方公共団体

277,032

12.09

304,230

12.11

その他

452,385

19.75

483,972

19.26

海外及び特別国際金融取引勘定分

政府等

金融機関

その他

合計

2,290,653

2,513,085

 

(注) 「国内」とは、当行及び国内連結子会社であります。

 

② 外国政府等向け債権残高(国別)

該当ありません。

 

 

(8)国内・国際業務部門別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

152,901

152,901

当連結会計年度

141,154

141,154

地方債

前連結会計年度

324,016

324,016

当連結会計年度

278,612

278,612

社債

前連結会計年度

137,494

137,494

当連結会計年度

137,820

137,820

株式

前連結会計年度

51,011

51,011

当連結会計年度

65,291

65,291

その他の証券

前連結会計年度

391,508

36,948

428,457

当連結会計年度

393,116

2,584

395,701

合計

前連結会計年度

1,056,933

36,948

1,093,881

当連結会計年度

1,015,995

2,584

1,018,579

 

(注) 1 「国内業務部門」は国内店の円建取引、「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。

ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

3 相殺消去額については、該当ありません。

 

(9)自己資本比率等の状況

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては粗利益配分手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%) 

 

2023年3月31日

2024年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

10.72

10.05

2.連結における自己資本の額

1,911

1,937

3.リスク・アセット等の額

17,817

19,260

4.連結総所要自己資本額

712

770

 

 

単体自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%) 

 

2023年3月31日

2024年3月31日

1.自己資本比率(2/3)

10.26

9.57

2.単体における自己資本の額

1,821

1,839

3.リスク・アセット等の額

17,755

19,206

4.単体総所要自己資本額

710

768

 

 

(10)資産の査定

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2 危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3 要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4 正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

 

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

9,101

8,907

危険債権

12,635

11,749

要管理債権

4,215

4,743

正常債権

2,287,357

2,511,118

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当ありません。

 

6 【研究開発活動】

該当ありません。