第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、経営理念及び経営方針を以下のとおり定め、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。

『経営理念』

 東京センチュリーグループは、

 高い専門性と独自性を持つ金融・サービス企業として、

 事業の成長に挑戦するお客さまとともに、

 環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献します。

 

<経営方針>

・お客さまとの連携や、グループの総力の結集をもって、
あらゆる可能性を追求しながら、
グローバルに最良の商品・サービスを提供し、
お客さまの事業発展に貢献します。

 

・新しい事業領域を切り拓きつつ、
持続的成長を実現することにより、
中長期的な企業価値の向上に努めます。

 

・多様な人材の能力と個性の積極的な発揮を促す風土を醸成し、
すべての役職員が専門性を高め、
成長と誇りを実感できる企業を目指します。

 

・企業の社会的責任を常に意識し、
循環型経済社会づくりを担う存在として、
積極的かつ誠実に事業活動を行います。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社は2023年5月12日に「中期経営計画2027」(2023年度~2027年度)を策定しスタートさせました。「中期経営計画2027」では、高い収益性と安定性のあるポートフォリオへの変革を進め、稼ぐ力の強化とESGの推進によるサステナビリティ経営の好循環サイクルを確立し、持続的な価値創造を続けてまいります。

 

〈中期経営計画2027テーマ〉

『自らを変革し、変化を創造する』

-TC Transformation and Sustainable Growth-

 

将来も持続的な成長を続けるため、これまで築いてきた強みを深化させるとともに、変化に対応するだけではなく自らを変革し、変化を創造する企業グループを目指します。

 

 

〈基本方針〉TC Transformation

 将来の持続的な成長に向け、主に4つの要素について変革を図ります。これらの変革を進める中で、稼ぐ力の強化とESGの推進を実行し、企業価値を向上させてまいります。

 


 

〈目標指標〉


 

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の持ち直しなどにより企業収益や個人消費活動が改善するなど景気は緩やかな回復傾向にある一方、急速な円安の進行や資源価格の高騰、物価高に加え、欧米を中心とした金融引き締め政策、世界各地での紛争リスクによる社会経済への影響が続くなど、依然として先行き不透明な状況にあります。

当社グループにおいては、「中期経営計画2027」にて定めた以下の事業戦略を遂行してまいります。

 

〈事業戦略〉

「金融」・「サービス・事業」をカテゴリー化し、各ビジネスカテゴリーにおける期待収益率、リスク・リターン、Capability、マーケットの成長性等を加味した、ポートフォリオの適切な配分を行います。利益成長とROA向上に徹底的にこだわり、高い収益性と安定性のあるポートフォリオへと変革を進めてまいります。

ポートフォリオの変革を進める中で、バランスシートマネジメントの強化と総合リスクマネジメントの強化・リスク管理の高度化を並行して推進してまいります。

 

 


 

〈資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応〉

前中計期間(2020年度~2022年度)において、株式市場からは、マクロ環境の変化への対応力やリスクとリターンのバランスに配慮した最適な資産ポートフォリオの在り方が問われるなど、当社の株主資本コストは上昇し、PBRも2022年から現在に至るまで1倍を下回っております。中期経営計画2027で掲げた「TC Transformation(TCX)」を実現し、中長期的な利益成長を図ることで、安定的にROE10%以上を維持出来る体制構築を目指してまいります。

 

 


 

 


 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

(サステナビリティ共通)

企業価値の最大化には、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが重要な経営課題であるとの認識のもと、経営環境の変化に迅速かつ的確な判断を可能とし、健全で透明性の高い経営体制の実現に取り組んでおります。

とりわけ、サステナビリティ経営戦略は、当社の事業活動における重要な骨格であり、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、社会と当社の持続的な成長と企業価値向上を図るサステナビリティ経営を進めるため、SDGsに対応するマテリアリティの取り組みを推進し、進捗状況を確認するPDCAサイクルを構築しております。

具体的には、当社はサステナビリティ経営に関わる審議機関としてサステナビリティ委員会を設置し(2018年4月)、原則年2回開催しております。サステナビリティ委員会で審議された重要事項については、経営会議及び取締役会に報告・審議を行い、取締役会の監督を受ける体制を構築しております。サステナビリティ委員会は取締役経営企画部門長が委員長を務め、サステナビリティを重要な経営課題と認識して取り組みを進めております。

2023年度は、中期経営計画2027の開始年度であり、サステナビリティ経営推進のためのロードマップを見直し、新たに策定しております。また、当該ロードマップに基づく進捗状況はサステナビリティ委員会に報告のうえ、確認しております。


 

なお、コーポレート・ガバナンス全般については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)1) 企業統治の体制」もご覧ください。

 

(気候変動)

2023年度において、気候変動に関して特に重要性の高いテーマとして、「環境・社会に配慮した投融資方針」の検討をいたしました。本方針は、サステナビリティ委員会で審議・承認された後、経営会議及び取締役会にて審議・承認され、2024年4月に「東京センチュリーグループ環境・社会に配慮した投融資方針」として公表しております。

当該方針では、気候変動の課題へ対応していくため、石炭火力発電所の新設及び拡張案件への投融資等は行わないこと(但し、クリーンで効率的な次世代技術の発展など、脱炭素社会への移行に向けた取り組みについては行うこと)を規定しております。

 

② リスク管理

(サステナビリティ共通)

当社取締役会は、当社の適切なリスク管理を行うため、「リスク管理の基本方針」を定めております。当社に係るリスクを全体として把握・評価し、必要に応じ定性・定量それぞれの面から、適切な対応を行うため、総合リスク管理委員会を設置し、同委員会規程に基づき、総合的なリスク管理を実施しております。

企業のサステナビリティと特に関係の深い非財務リスクは、オペレーショナルリスクとして、総合リスク管理部がリスクの抽出・計量化、対応策の見直し等を行うとともに、総合リスク管理委員会において、総合的な管理を実施しております。当社は、オペレーショナルリスクとして、以下の図に記載のとおり、11項目を特定し、管理しております。事業領域の拡大、特に金融からサービス・事業への展開とともにリスクの定量評価にはなじまない非財務のオペレーショナルリスクが重要となっており、最近は「人権」「気候変動リスク」の把握・管理が重要となっております。人権リスクは、「オペレーショナルリスク」のうちの「人権・職場環境リスク」に分類しモニタリング等を行い、適正性の検証などを行っています。2023年度は、当社及び国内連結子会社の人権デューデリジェンスを実施した結果について、今回のリスク特定では重大なリスクは識別されていない旨を公表いたしました。さらに海外連結子会社を対象に人権デューデリジェンスを実施いたしました。

 

なお、2023年4月1日より昨今の国・地域における政治・経済・社会情勢の変化や国際的な制裁・法規制の変更をより適切に把握する観点から、従来、信用リスクとして管理していたカントリーリスクを大分類のリスク項目といたしました。


上図の7つのリスクカテゴリーについて、当社グループの業務内容の年次経年変化を評価し、影響度と発生頻度とのマトリクスによってマッピングを行っております。リスク監査におけるリスクシナリオの動向や、各リスク項目のリスク量、取り組み案件や事件・事故など様々な要素を総合的に勘案して毎年見直しています。詳細は、以下のURLからご覧ください。

https://www.tokyocentury.co.jp/jp/sustainability/esg/governance/risk.html

リスク管理体制の整備の状況の全般については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)2) 内部統制システム及びリスク管理体制の整備の状況」もご覧ください。

 

 

(気候変動)

当社グループは、経営理念に掲げる「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて、気候変動への対応を重要な課題として認識しております。この認識の下に、2021年4月28日に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しております。また、TCFDコンソーシアムにも加盟し、気候変動への対応を進めております。

気候変動リスクの管理については、非財務のリスクカテゴリー「オペレーショナルリスク」の一つに位置付け、年2回、「非財務情報のリスク指標」として総合リスク管理委員会を通じて取締役会にモニタリング結果を報告する体制を構築しております。

当社では、中長期的な気候変動リスクとして、台風・豪雨等の異常気象による緊急性の物理的リスク及び炭素税の導入・法規制の強化といった移行リスクが存在し、社会的に多大な影響を与える気候変動が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があると認識しております。

具体的には、TCFD提言に準拠したシナリオ分析の実施と情報開示を開始するなど、気候変動への対応を進めている中で、当社グループとして主に以下の気候変動リスクを特定しております。

● 「環境・エネルギー事業(太陽光発電事業)」に関しては、台風・豪雨等の異常気象による緊急性の物理的リスク及び炭素税の導入・法規制の強化といった移行リスク。

● 「航空機事業(航空機リース事業)」に関しては、異常気象の激甚化の影響により被る物理的リスク及び各国の炭素排出目標や航空業界独自の規制といった移行リスク。

● 「オートモビリティ事業(法人・個人向けオートリース事業)」に関しては、異常気象の激甚化の影響による物理的リスク(洪水・大雨の影響による車両生産の遅延等)及びガソリン車・ディーゼル車からEVへシフトすることに伴う移行リスク(給油から充電への変化等)。

なお、シナリオ分析の詳細は、以下のURLから「気候変動への対応とTCFDへの賛同」(シナリオ分析の対象事業別実施内容)をご覧ください。

https://www.tokyocentury.co.jp/jp/csr/environment/tcfd.html#anc_03

 

(2) 重要な戦略並びに指標及び目標

① 戦略

(サステナビリティ共通)

当社のサステナビリティの根源は、金融・サービス企業としてステークホルダーの皆様とともに持続的な成長と企業価値の向上を図り、循環型経済社会の実現に貢献することにあります。SDGsの目標を読み解き、10年後・20年後の未来を想定し、必要とされる金融・サービスの創出を志向するバックキャスティングのもと、サステナビリティ経営を推進しております。

当社は、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、社会と当社の持続的な成長と企業価値向上を図るサステナビリティ経営を進めるため、SDGsに対応する5つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、取り組みを進めております。

当該マテリアリティの特定については、SDGsを踏まえた、ステークホルダーにとっての重要度を考慮しつつ、当社の「モノ」価値に着目した事業特性や自由度の高い経営環境を活かした多彩な事業展開など、当社にとっての重要度を勘案のうえ、「マテリアリティマップ」を策定し、関係部インタビュー、サステナビリティ委員会、経営会議及び取締役会での議論を経て決定しております。

 


 

 

当社のマテリアリティ(重要課題)の特定プロセスの詳細は、以下のURLからサステナビリティデータブック2023(p10)をご覧ください。

https://www.tokyocentury.co.jp/assets/pdf/second-dir/databook2023_01.pdf#page=5

また、当社は2023年5月に「中期経営計画2027」(2023年度~2027年度)を策定しスタートしました。「中期経営計画2027」では、高い収益性と安定性のあるポートフォリオへの変革を進め、稼ぐ力の強化とESGの推進によるサステナビリティ経営の好循環サイクルを確立し、企業価値向上を図ることを掲げています。特に事業戦略として、マテリアリティの中でも「脱炭素」・「社会インフラ」・「サーキュラーエコノミー(持続可能な資源利用への対応)」を注力領域としており、組織の枠にとらわれず取り組み、事業分野間の繋がりを強化してまいります。

なお、「中期経営計画2027」における事業戦略の注力領域の詳細は、以下のURLからご覧ください。

https://www.tokyocentury.co.jp/assets/pdf/ir/00.pdf#page=24

 

(気候変動)

5つのマテリアリティ(重要課題)のうち、特に気候変動に関係する項目として「脱炭素社会への貢献」を掲げております。当社グループでは、気候変動・環境への取り組みを通じたクリーンエネルギーの普及への貢献を重点取り組みとして、太陽光発電事業をはじめとする再生可能エネルギー事業を通じて気候変動緩和への取り組みを進め、脱炭素社会の実現に向けて貢献しております。2023年4月から環境インフラ事業分野を新たな事業分野として独立し、環境ビジネスにかかる専門性と独自性を持つ事業分野を設立することで、ナレッジの高度化及び共有化を図り、当該ビジネスの深化、推進を目指しております。

具体的には、営農併設型太陽光発電事業や水上型太陽光発電事業への参入、コーポレートPPAによる電力サービスの拡充などの発電事業を推進しています。2023年度は、経済産業省が募集する「令和4年度第2次補正予算再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」において、当社グループの京セラTCLソーラー合同会社が申請した熊本・荒尾メガソーラー発電所における案件が採択されました。本事業は蓄電池と太陽光発電を組み合わせた再生可能エネルギー電源の最大化に貢献するなど、社会的意義の高い取り組みです。

更に海外でも、環境省及びその執行団体である公益財団法人地球環境センター(GEC)による「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)」への取り組みを通じて、日本の環境技術を活用したアジア地域における脱炭素社会に向けた貢献を進めております。

当社では、今後も多くの事業パートナーと強みを持ち寄り、環境バリューチェーンを構築し、新ビジネスへの取り組みに挑戦することで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

 

② 指標及び目標

(サステナビリティ共通)

当社では、サステナビリティ経営の戦略に紐づく、5つのマテリアリティ(重要課題)に係る非財務のKPIを設定し取り組みを進めております。

本欄(「サステナビリティに関する考え方及び取組」)には、5つのマテリアリティ(重要課題)に係る非財務のKPI等のうち、特に代表的な取り組みのKPI等を記載しております。

 

マテリアリティ

KPI

対象

目標年度

目標

2022年度実績

脱炭素社会

への貢献

連結子会社(※1)の太陽光発電事業の推進を通じたCO2削減への貢献

年間発電量

2023年度

508,600MWh以上

536,591MWh

CO2削減量(通常火力発電対比)

2023年度

198,100t-CO2

以上

207,929t-CO2

JCM(二国間クレジット制度)の想定GHG削減量(累計)

GHG(温室効果ガス)の想定削減量(累計)

2025年度

56,000t-CO2

38,343t-CO2

技術革新に

対応した

新事業創出

経済産業省が認定する「DX認定制度(※2)」の認定維持

2023年3月にDX認定事業者として認定を更新

社会インフラ

整備への貢献

テレマティクスサービスの導入台数

NCS・NRS・OAL(※3)

82,051

持続可能な資源

利用への対応

リファービッシュ事業の推進

中古PC年間販売台数

2025年度

241,000台以上

327,017

 

※1 連結子会社:2023年度目標は、太陽光発電事業会社「京セラTCLソーラー合同会社」を含む9社が対象

※2 DX認定制度:2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく認定制度

※3 NCS:日本カーソリューションズ株式会社、NRS:ニッポンレンタカーサービス株式会社、OAL:株式会社オリコオートリース

※4 人材力強化につながる職場環境整備については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略並びに指標及び目標 2)指標及び目標 ① 「中期経営計画2027」における経営目標及び主要KPI ② 関連する指標・目標」をご覧ください。

詳細は以下のURLからサステナビリティデータブック2023(p12‐18)をご覧ください。

https://www.tokyocentury.co.jp/assets/pdf/second-dir/databook2023_all.pdf#page=13

 

(気候変動)

2020年10月、わが国政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる「カーボンニュートラル宣言」を表明しましたが、当社は、政府の目標達成年よりも早いカーボンニュートラルを目指す意欲的な目標として、2022年9月に「2040年度カーボンニュートラル方針」を策定・公表いたしました。当社のカーボンニュートラル方針は、周南パワー株式会社(連結子会社)のトランジション・ロードマップを含む、当社グループのスコープ1及びスコープ2の温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロを目指すものとなっております。

また、当社グループの2022年度の温室効果ガス(GHG)排出量の実績は以下のとおりです。当社においては、カーボンニュートラルを目指す社会的な潮流や企業に対する気候関連情報の開示要請が高まっている状況を踏まえ、スコープ1及び2の排出量のみならず、スコープ3の排出量の把握範囲の拡大に努めるとともに、温室効果ガス(GHG)排出量の削減のための方策も引き続き検討してまいります。

 

単位:t-CO2

スコープ区分

2022年度

スコープ1(直接排出)

1,082,758

スコープ2(エネルギー起源の間接排出)ロケーション基準

14,784

スコープ2(エネルギー起源の間接排出)マーケット基準

15,368

スコープ3(サプライチェーンなどスコープ1、2以外の排出)

7,727,580

スコープ1、スコープ2(ロケーション基準)、スコープ3の合計

8,825,123

スコープ1、スコープ2(マーケット基準)、スコープ3の合計

8,825,706

 

 

※1 スコープ1及びスコープ2は、東京センチュリーグループ(合計90社)で算定。スコープ3は、原則として東京センチュリー単体で算定。

※2 詳細なスコープ1、2及び3の対象範囲は以下のURLからサステナビリティデータブック2023(p03‐04)をご覧ください。

https://www.tokyocentury.co.jp/assets/pdf/second-dir/databook2023_all.pdf#page=4

※3 スコープ3のカテゴリー別内訳は以下のURLからサステナビリティデータブック2023(p29)をご覧ください。

https://www.tokyocentury.co.jp/assets/pdf/second-dir/databook2023_all.pdf#page=30

 

当社の「2040年度カーボンニュートラル方針」の詳細は以下のURLからプレスリリースをご覧ください。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8439/tdnet/2178430/00.pdf

 

(3)人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略並びに指標及び目標

1)戦略

「中期経営計画2027」のKey ConceptであるTC Transformationの要素として、人材・組織Transformation(HRX)を推進し、経営戦略・事業戦略を支える人材/組織戦略を着実に遂行してまいります。

 


 

 

人材/組織戦略に基づく、人材育成の方向性、社内環境整備の方向性は以下のとおりであります。

 

〈人材育成の方向性〉

従業員一人ひとりが個々の人間力を磨きながら成長し、自らを変革し、変化を創造することのできる人材を育成します。

① 自己変革力 自らのなりたい姿を実現するために進化を続け「変革する」力を高められること

② 創造力   過去の自分を超えて新しい価値を生み出す「創造力」が豊かであること

③ 挑戦心   様々なことに関心・意欲がある「挑戦心」を持ち続けられること

 

〈社内環境整備の方向性〉

当社が持つ高い組織実行力を維持しつつ、個々人が自由な発想力で働くことのできる環境を整備します。

① 多様な人材が健やかでやりがいを持ち前向きに働ける組織づくりの整備

② 社会情勢やライフステージ、事業環境の変化に応じた学び・学び直しの場の整備

③ 従業員同士のコミュニケーションが円滑に行える職場環境の整備

 

2)指標及び目標

  当社では、経営戦略・事業戦略を支える人材/組織戦略の遂行のため、以下の人材育成・社内環境整備に係るKPI、指標・目標を設定し取り組みを進めております。

 

 ① 「中期経営計画2027」における経営目標及び主要KPI

 

目標・KPI

実績

2022年度

2023年度

 人材確保・育成に向けた投資(単体)(KPI)

「研修費用」+「研修時間×

人件費」+「人材採用費用」

 2027年度8億円以上

4.0億円

4.8億円

 新卒採用に占める女性比率(単体)(KPI)

新卒に占める女性比率維持

42.1%

53.2

 キャリア採用比率(単体)(KPI)

従業員に占める

キャリア採用比率の維持・向上

33.5%

34.9

 

 

 「中期経営計画2027」において、非財務目標として「エンゲージメント指数」を目標に設定。株式会社リンクアンドモチベーションが提供する「モチベーションクラウド」での測定により、2024年5月に調査を実施した結果、同社「エンゲージメントスコア」53.2(偏差値)、「レーティング」BBの実績(BBは全11段階中上位から5段階目の評価)となっており、引続き同スコア・レーティングの向上を進めてまいります。

 

 

 

 ② 関連する指標・目標

 

目標

実績

2022年度

2023年度

 管理職に占める女性比率(単体)

2030年まで30以上

11.8

12.0

 障がい者雇用率(単体)

法定雇用率(2.7)以上の

雇用を維持

2.8

3.4

 有給休暇取得率(単体)

70以上を維持

78.8

81.1

 男性の育児休業取得率(単体)(注)

100を維持

100.0

100.0

 介護離職者(単体)

ゼロを維持

0

0

 

(注)育児目的休暇の取得者を含む

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の内容、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、当社グループはリスクを把握し、管理する体制を構築しておりますが、詳細について、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 2)内部統制システム及びリスク管理体制の整備の状況」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(金融商品関係)」をご参照ください。

 

(特に重要なリスク)

(1) 信用リスク

当社グループが取り扱っているリース、割賦、貸付取引は、与信先に対し比較的長期間にわたり、信用を供与する取引であります。しかしながら、今後の景気動向、取引先の信用状況の悪化等により、不良債権が増加した場合、貸倒費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<リスクに対する対処内容>

信用リスクについては信用リスク管理委員会を設置し、同委員会規程に基づき、基本方針を定め、信用リスクの計量、管理を行っております。個別案件取組に際しては、与信業務規範に則り、取引の相手方、案件の内容、物件価値等を総合的に評価したうえでその可否を判断しております。また、大口案件や新種スキーム案件等の複雑な判断を要する案件については、案件審査会議を設置し、同会議規程に基づき審査・決裁しております。加えて、内部格付制度に基づく1社与信ガイドラインの運用やカントリーエクスポージャー管理などポートフォリオ全体として与信が集中しないよう信用リスクをコントロールし、リスクの極小化に努めております。

 

(2) カントリーリスク

当社グループでは、海外における事業展開や投資を積極的に進めており、これらの国や地域における法令や規制の変更や、政治・経済・社会情勢の変化により生じる予期せぬ事態等により、当社グループの事業展開や投資が順調に展開できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<リスクに対する対処内容>

昨今の地政学的リスクの顕在化を踏まえ、カントリーリスクをリスク分類として独立させ、全社的に管理強化に取り組んでおります。具体的には、カントリーリスクに関する情報収集・社内周知の強化、カントリーエクスポージャーのモニタリング強化、投融資対象不適格国の指定、情報セキュリティや腐敗防止等の観点から外国所在の事業関係者等のリスク評価の強化などを行っております。

 

(3) 市場リスク

① 金利変動リスク

当社グループが取扱っているリース・割賦取引において、リース料等は物件購入代金のほか、契約時の金利水準等を基準として設定され、契約期間中のリース料等は原則として変動いたしません。一方、リース・割賦取引の物件購入資金の原価である資金原価(金融費用)は、固定金利の資金調達のほかに変動金利による調達もあるため、この部分については市場金利の変動による影響を受けます。市場金利が急激に上昇した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

② 為替変動リスク

当社の海外における連結子会社・持分法適用関連会社の収益や費用については期中平均相場により円貨に換算しており、為替相場の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。海外事業に対する投資についても、為替の変動による株主資本の毀損リスクや、期間損益の減少リスクが存在し、為替相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<リスクに対する対処内容>

金利変動、為替変動等の市場リスクについては、ALM委員会を設置し、同委員会規程に基づき、資金の運用と調達の総合的な管理を実施しております。当社グループではALM(資産・負債総合管理)分析に基づき、ヘッジ比率、マチュリティーラダー、ギャップ分析、GPS(Grid Point Sensitivity)、VaR管理等を導入し、リスクを適切に管理し、必要に応じてリスクヘッジを行っております。

 

(4) 投資リスク

① 有価証券価格変動リスク

当社グループは、取引企業との関係強化や営業投資目的の観点から、上場・非上場有価証券を保有しております。当社グループでは、純投資目的以外の目的である投資株式について、個々の取引関係等に応じて定期的に保有適否の見直しを行い、また営業投資目的の有価証券は定期的に価格変動等のモニタリングを実施しておりますが、今後の価格の変動等により、評価損等が発生し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 戦略的提携、企業買収、出資に関わるリスク

当社グループは、リース・金融といった分野に留まらずに、国内外のパートナー企業とともに事業性ビジネスを展開するための戦略的提携や企業買収、出資を行っております。しかしながら、法制度の変更や競争の激化、金融環境の変化などにより、戦略的提携の解消並びにそれに伴うサービスが提供できなくなる可能性や、戦略的提携、企業買収、出資が期待どおりの効果を生まず、減損損失、評価損、持分法投資損失等の発生により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、買収対象子会社・関連会社の業績が計画通りに伸長せず、当初認識したのれん及び無形資産の効果が期待どおりに実現しない場合には、のれん及び無形資産の減損損失の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

<リスクに対する対処内容>

当社グループは、多様化する投資リスクを適切にコントロールしつつ、事業ポートフォリオの最適化を実現することを目的として、投資採択基準の明確化や統一的モニタリングプロセスの構築、継続・撤退の判断基準明確化等を主眼とした投資管理のための投資マネジメントフレームワークを策定し、2021年4月より運用を開始しております。一定の基準に該当する投資案件の採択検討時に、経営会議の審議前に投資に係る諮問委員会を開催し、案件ごとのリスクに対応した資本コスト考慮後収益性(定量基準)や当社戦略との整合性等(定性基準)を確認するとともに、事業計画や投資ストラクチャー、想定されるリスク量や環境への影響等について、専門部による多角的な評価を実施いたします。加えて、投資実行後は統一されたプロセスに基づくモニタリングを行い、定期的に投資案件の現状と採択時のシナリオとの整合性を確認するとともに、当初の計画が達成できないことが明らかな場合には、あらためて投資継続の是非を協議いたします。案件採択からモニタリング、投資継続判断までを統一的に管理する新たな枠組みを適切に運用することにより、投資に係るリスク管理の一層の高度化を図るとともに、事業ポートフォリオ最適化に向けた取り組みを強化してまいります。

 

(5)ものにかかわるリスク

当社グループは、ファイナンス・リース、貸付等の金融を主軸としたビジネスからの変革に注力し、航空機、オート、不動産等、モノの付加価値に着目したオペレーティング・リースやアセット投資の拡充を図ってきております。その結果、ポートフォリオ全体に占めるアセットビジネスの比率は高まっております。しかしながら、グローバル経済の大幅な悪化などが起因し、航空機、不動産マーケットに急激な変化等が生じた場合、対象資産の収益性の低下等により、資産価値が大幅に下落し、減損損失等の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<リスクに対する対処内容>

 当社グループが保有する航空機について、流動性の高い平均機齢の若いナローボディー機が中心で、満了時期を分散するなど、アセットリスクを考慮したポートフォリオを構築しております。また、航空機、オート、不動産等資産価値を有する物件の「ものにかかわるリスク」については、各リスク所管部にて管理するとともに総合リスク管理委員会において、リスク量やその状況等の管理を行っております。なお、アセット価値の変動リスクについて、他のリスク同様に統計的手法でVaR(最大想定損失額)を連結ベースで計量するなど定期的にモニタリングをしております。

 

(6) 流動性リスク(資金調達)

当社グループは、事業に必要な資金を賄うため、銀行借入れによる間接調達のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行、債権流動化による直接調達によって資金調達を行っております。金融市場の混乱や当社グループの財務内容の悪化などにより、調達環境が変化し資金調達の制約を受けることで、業績に影響を与える可能性があります。

 

<リスクに対する対処内容>

流動性管理指標として長期調達比率、安定調達比率、流動性カバレッジ指標等を導入し、資金調達の多様化、金融機関とのコミットメントライン契約及び当座貸越契約の締結、市場環境を考慮した調達バランスや手元流動性の調整などによって、流動性リスクに対処しております。

 

(その他重要なリスク)

(7) システムリスク、情報セキュリティリスク

営業関係、契約管理、資産管理、統計業務等広範囲にわたって活用しているコンピュータシステムについて、不測の事態による停止、誤作動、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入などが発生した場合、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは個人情報を含む顧客情報や内部情報を有しており、仮に重要な情報が当社グループ又は外部委託先から漏えいした場合、損害賠償やレピュテーションの毀損等により損失を被る可能性があります。

 

<リスクに対する対処内容>

情報セキュリティ対応は、標的型攻撃メールやランサムウェア、ビジネスメール詐欺等のサイバーテロからお客さまや当社の情報資産を守るため、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO27001を取得し、情報セキュリティ委員会を中心に情報管理に関する規程やルールの整備、定期的なリスクアセスメントの実施によるリスクへの対策、有効性評価アンケート等を実施しております。また、ハードやソフトのシステム的なセキュリティのみならず、役職員一人ひとりが日頃から必要な対策や基本動作を怠らないことが大切と認識し、情報セキュリティ研修や標的型攻撃メール訓練を定期的に実施し役職員のレベルアップを図っております。

サイバーセキュリティ対策は、「TC-CSIRT」を設置しインシデント発生時の被害拡大防止を図るとともに、平時におけるセキュリティ監視、マニュアル類の整備や役職員への啓発活動等を通じて、インシデントの発生予防や再発防止に努めております。また、サイバー攻撃は日々高度化・巧妙化するため、サイバーセキュリティ対策についての第三者アセスメントの定期的実施や日本シーサート協議会への加盟による外部との積極的な情報共有などを通じ、 対応の高度化を図っております。さらに、インシデント対応力強化を目的に、サイバー攻撃の実践を想定した演習を定期的に実施しています。本演習を通し、インシデント発生時の対応力を検証するとともに、改善ポイントの抽出と対策の検討を繰り返し実施することにより態勢強化に努めております。

 

(8) 人材確保に関するリスク

当社グループは、「金融機能を持つ事業会社」として、国内外で事業の多角化を進めており、多様な人材を安定的に確保する必要があります。当社グループが必要な人材を十分確保・育成できない場合や、雇用している人材が退職した場合、専門人材の雇用に係るコストの追加発生や、提供しているサービスの質が低下するなど、当社グループの事業活動や業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

<リスクに対する対処内容>

各種事業の競争力を維持・強化していくために、採用方法の工夫やダイバーシティへの取り組み強化、キャリアチャレンジ制度をはじめとした各種施策の実施など、人材力強化につながる職場環境の整備を通じて、有能な人材の安定的な確保・育成・従業員エンゲージメントの向上に努めております。

 

(9) 災害等によるリスク

当社グループは、地震、風水害、火災、及び人為的な大規模災害や感染症等の予測不能な事象による危機に備え、事業継続計画(BCP)に関する対応を定めておりますが、予想外の経済的損失を被った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<リスクに対する対処内容>

大規模災害や感染症をはじめとした危機事象が発生した場合の対応体制等については、「危機対策規程」及び「事業継続計画規程」に基づき、BCPマニュアルの制定、安否確認システムや防災サイト等を整備し、定期的に訓練を実施しております。また、テレワーク環境の整備によりオフィス被災時や出社困難時の対応にも備えております。

 

(10) 制度変更リスク

当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準をもとに事業を展開しております。将来、これらの諸制度が大幅に変更された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 気候変動リスク

当社グループは、「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて、気候変動への対応を重要な課題として認識しております。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、TCFD提言に準拠したシナリオ分析の実施と情報開示を開始するなど、気候変動への対応を進めております。2030年までの長期的なリスクとして、台風・豪雨等の異常気象による緊急性の物理的リスク及び炭素税の導入・法規制の強化といった移行リスクが存在し、社会的に多大な影響を与える気候変動が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

<リスクに対する対処内容>

2021年4月28日に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明して以降、気候変動に係るリスク重要度評価から、環境・エネルギー事業(太陽光発電事業)、航空機事業(航空機リース事業)、オートモビリティ事業(法人・個人向けオートリース事業)を対象に、TCFD提言に沿って、複数のシナリオを用いた気候変動リスク及び機会の特定と、定性的・定量的な事業インパクト評価を実施いたしました。今後とも、リスクへの対応策と機会の獲得について更に検討を深めるとともに、シナリオ分析の対象事業の拡大と、分析精度の向上を図ってまいります。また、事業活動を通じた環境影響・貢献を把握するため、新規に取り組む投資や審査の個別案件に関する環境影響評価の実施、環境を含めた非財務情報のリスク指標を定めて取締役会によるモニタリングを行っております。

 

(12) 民間設備投資動向の変動によるリスク

民間設備投資額とリース設備投資額とは、一時的な差異はあるもののほぼ相関関係にあり、今後もこの傾向は続くものと考えられます。当社グループは、金融を主軸としたリースからモノの付加価値を高める金融・サービスに注力する姿勢を強く打ち出し、パートナー企業との協業による事業性ビジネスの拡大を中心に、事業領域の大幅な拡大を進めておりますが、今後民間設備投資額が大きく減少し、リース設備投資額も大きく減少した場合は、タイムラグはありますが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) その他のリスク

上記リスクの他、不適切な事務処理が行われることによる事務リスク、法令や社会規範が順守されなかった場合に社会的信用の失墜に繋がるコンプライアンスリスク、レピュテーショナルリスクなどがあります。また、地政学リスクや感染症の発現により、再び人・モノの動きを遮断し、消費や生産活動の落ち込みを生じさせるなど、グローバル経済全体に大きな影響を及ぼした場合、当社グループの事業活動や業績・財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

※「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの事業の取組状況、財政状態及び経営成績の状況、キャッシュ・フローの状況、及び営業取引の状況の概要(以下「経営成績等」)は次のとおりであります。

 

① 事業の取組状況

(営業基盤の強化)

〔国内リース事業分野〕

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)と当社は、FFGの連結子会社であるFFGリース株式会社(以下、FFGリース)に関して、当社がFFGリースの第三者割当増資を引き受けることでFFGリースに対する両社の出資比率を戦略的に変更し、FFGリースを両社の持分法適用関連会社とすることについて合意いたしました。今後、九州のお客さまに対し多様な資金調達手段を提供し、持続的な地域経済の活性化・発展に貢献してまいります。

当社の連結子会社である株式会社TRYは、同じく連結子会社で米・IT機器リースを手掛けるCSI Leasing, Inc.(以下、CSI)より20%の出資を受け、「EPC Japan株式会社」へ商号変更し、ITADサービスの提供を開始いたしました。ITADサービスとは、IT資産を厳格かつ適正に処分するサービスを指し、ガバナンス・コンプライアンスを重視する企業にとって事業運営上欠かせない重要な分野として位置付けられています。CSIは、グループ会社のEPC, Inc.(以下、EPC)を通じ、世界20拠点以上でITADサービスを展開しております。EPCのノウハウを活用して、日本国内でもグローバル標準かつ高品質なITADサービスを提供してまいります。

 

〔オートモビリティ事業分野〕

当社の連結子会社でレンタカー事業を展開しているニッポンレンタカーサービス株式会社は、高効率運営の推進による利益率の大幅改善や車両売却益の増加により、過去最高益を更新いたしました。具体的な施策として、店舗パワーアップ計画を推進しており、今後、2025年までに全店舗の約3分の1にあたる合計約200店舗を対象に既存店の好立地への移転やリニューアルを進めてまいります。また、個人チャネルの強化や業務効率化計画など、「稼ぐ施策」と「削る施策」を各店舗で実施することで、さらなる収益拡大を実現してまいります。

自動運転サービスの社会実装を推進するため、当社は米国May Mobility, Inc.(以下、May社)及び株式会社T2(以下、T2)に出資いたしました。May社は自動運転技術の開発を手掛け、北米及び日本において自動運転サービスの普及・展開を目指しており、リードインベスターの日本電信電話株式会社をはじめ数多くの日本企業が資本参加し、自動運転の豊富な走行実績と高い評価を誇るテクノロジー企業です。T2は物流トラックの運転手不足という社会課題に対し、走行ルート等の特定条件下で完全自動運転を行う“レベル4”の自動運転システムを装備した幹線輸送サービスの導入により、物流ボトルネックの解決を企図しております。今回の出資をきっかけに、当社と連携して自動運転システムや搭載車両、さらには自動運転車両から物流施設まで一貫したサービスの提供が期待されます。今後、当社は自動運転などの「次世代領域」をオートモビリティ分野における将来の成長事業と位置付け、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献してまいります。

 

〔スペシャルティ事業分野〕

当社の連結子会社で航空機リース事業を展開している Aviation Capital Group LLC (以下、ACG)は、前期にロシア向けの全エクスポージャー(リース8機及び融資・融資保証)について748億円の特別損失を計上し、大幅減益となりましたが、当期はリース料収入及び機体売却益の大幅な回復等により、増収・増益となりました。航空機リースのマーケットは、ACGが主力とするナローボディーを中心に、エアラインからの中古機購入や再リースの引き合いが強くなっており、足元のリース料及び機体価格は着実に回復している状況にあります。このような中古機体価格及びリース料の長期的な上昇が期待できる事業環境を背景に、ACGの業績は引き続き堅調に回復すると見込んでおります。今後は、世界各国にて急速に回復している旅行需要や、燃料効率の高い次世代機への更新需要に対応し、航空機リース事業の再成長を目指してまいります。

当社は、住友林業株式会社傘下の米国・森林アセットマネジメント事業会社Eastwood Forests, LLCが組成し、運用を開始した森林ファンドEastwood Climate Smart Forestry Fund Iに出資・参画いたしました。気候変動対策としてのCO2吸収・固定の価値だけでなく、生物多様性や水循環の保全といった自然資本としての付加価値を加えた、質の高いカーボンクレジットの創出を目指し、新たな森林関連ビジネスの展開につなげてまいります。

 

 

〔国際事業分野〕

当社は、NTTグループのNTT Global Data Centers Americas, Inc.と協業し、米国・シカゴにおけるデータセンター事業の共同運営を開始いたしました。本件事業規模はデータセンター3棟、総計画容量104MWに及ぶ大規模なプロジェクトとなりますが、米国・シカゴはデータセンターの集積地で、ハイパースケーラーからの需要も強いことから、さらなる事業の成長につながる優良な案件であるものと考えております。今後、NTTグループのパートナー企業として、デジタルインフラの整備等につながる取り組みを継続的に推進いたします。

当社の連結子会社であるCSIは、子会社のCSI Leasing Malaysia,Sdn.Bhd.を通じ、マレーシアにおいてIT機器の適正処分を請け負うITADサービス企業 ExportXcel, Sdn.(以下、エクスポートエクセル)の全株式を取得いたしました。エクスポートエクセルは、複数の大手ITメーカーのITADパートナーを務めるなど、優れたサービスノウハウと処理能力を有するリーディングカンパニーであります。前述の国内リース事業分野におけるEPC Japanを含め、国内外でのグローバル標準のITADサービスを提供してまいります。

 

環境インフラ事業分野

当社は、英国屈指の独立系資産運用グループ、シュローダーのグループ会社であるSchroders Greencoat LLP(以下、Greencoat)と共同で英国内の稼働済み太陽光発電所34カ所(303MW)を取得いたしました。本件の共同投資家であるGreencoatは5.6GW(301カ所)の再生可能エネルギー発電資産を保有する英国トップクラスのアセットオーナーであり、英国の太陽光発電事業に本格参入する当社にとって、理想的な事業パートナーであるものと考えております。高い知見を有する事業パートナーとともに、欧州・北米における再生可能エネルギー事業の拡大に注力することにより、クリーンエネルギーの普及に貢献してまいります。

 

(経営基盤の強化)

・株式会社格付投資情報センター(R&I)より取得している当社の格付「A+」が「AA-」に変更され、格付の方向性がポジティブから安定的に変更されました。

・株式会社日本格付研究所(JCR)より取得している当社の格付「AA-」が「AA」に変更され、格付の見通しがポジティブから安定的に変更されました。

・当社は、持続的成長と中長期にわたる企業価値の向上を図るため、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針の現状認識・取組方針等を策定いたしました。前中計期間(2020年度~2022年度)において、株式市場からは、マクロ環境の変化への対応力やリスクとリターンのバランスに配慮した最適な資産ポートフォリオの在り方が問われるなど、当社の株主資本コストは上昇し、PBRも2022年から現在に至るまで1倍を下回っております。当社の株主資本コストは現在10%と認識しておりますが、今後はリスク管理の高度化に基づく株主資本コストの低減並びにROAに徹底的にこだわり中長期にわたる収益性の向上を実現し、ROE10%以上を達成することにより、PBRを改善してまいります。

・「中期経営計画2027」において、持続的成長に向けた基本方針の一つに「デジタルTransformation(DX)」を掲げ、DXを持続的な成長に向けた主要4要素の一つに位置付けております。デジタル技術や様々なデータを有効活用した金融・サービスを不断に創出し、パートナー企業やお客さまが直面する環境変化に対する事業基盤の整備及び新たな社会価値の創出に貢献することが、当社にとっての「DX」の中核であります。また、2023年7月より「DX人材育成プログラム」をスタートさせ、全役職員を対象としたDX研修を開始いたしました。お客さまへ提供する価値の向上と社員一人ひとりの主体的な生産性向上を目指し、価値を創造し続ける組織への改革を進めてまいります。

 

 

② 財政状態及び経営成績の状況

業績につきましては、売上高は前期比212億円(1.6%)増加し1兆3,461億円、売上総利益は国際事業及びオートモビリティ事業での増益により前期比277億円(12.3%)増加し2,532億円となりました。

販売費及び一般管理費は、前期比147億円(10.9%)増加し1,490億円となりました。主な要因は、国際事業の人件費及び物件費の増加であります。

営業外損益は前期比19億円(12.7%)減少し131億円の利益となりました。主な減益要因は、支払利息の増加及び受取配当金の減少であります。

これらにより、経常利益は前期比111億円(10.5%)増加し1,173億円となりました。

また、特別損益は7億円の利益となり、法人税等は前期比144億円(68.2%)増加し355億円、非支配株主に帰属する当期純利益は前期比6億円(6.6%)増加し104億円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比674億円増加し721億円となりました。

 

なお、12月決算会社である主な海外子会社・海外関連会社の連結財務諸表作成にかかる期中平均の為替レートは、当連結会計年度140.67円/米ドル(2023年1月~12月)、前連結会計年度131.63円/米ドル(2022年1月~12月)であります。

 

当連結会計年度末の財政状態につきましては、資産合計は、前期末比3,788億円(6.2%)増加し6兆4,609億円、セグメント資産はスペシャルティ事業及び国際事業の増加を主因に前期末比3,567億円(6.6%)増加し5兆7,204億円となりました。

負債合計は、前期末比2,566億円(4.9%)増加し5兆4,498億円となりました。有利子負債は、前期末比2,343億円(5.2%)増加し4兆7,490億円となりました。

純資産合計は、前期末比1,222億円(13.7%)増加し1兆112億円となりました。主な要因は、利益剰余金が507億円増加、為替換算調整勘定が399億円増加したことであります。

この結果、自己資本比率は前期末に比べ1.0ポイント上昇し13.5%となりました。

 

なお、12月決算会社である主な海外子会社・海外関連会社の連結財務諸表作成にかかる期末の為替レートは、当連結会計年度末141.82円/米ドル(2023年12月末)、前連結会計年度末132.70円/米ドル(2022年12月末)であります。

 

セグメント別の業績及びセグメント資産の状況については、④ 営業取引の状況に記載しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

  (単位:百万円)

 

前連結会計年度
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日

当連結会計年度
自 2023年4月1日
至 2024年3月31日

増減額

営業活動キャッシュ・フロー

△31,429

△176,742

△145,312

投資活動キャッシュ・フロー

△31,308

△108,497

△77,188

財務活動キャッシュ・フロー

6,926

261,897

254,970

現金・現金同等物期末残高

201,280

183,925

△17,355

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動では、税金等調整前当期純利益が1,180億円、賃貸資産減価償却費が2,184億円となったこと等に対し、賃貸資産の取得による支出が4,841億円、リース債権及びリース投資資産の増加による支出が1,129億円となったこと等により、1,767億円の支出(前連結会計年度は314億円の支出)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動では、投資有価証券の売却及び償還による収入が128億円となったこと等に対し、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が682億円、投資有価証券の取得による支出が445億円となったこと等により、1,085億円の支出(前連結会計年度は313億円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動では、長期借入金の返済による支出が1兆395億円、社債の償還による支出が1,520億円となったこと等に対し、長期借入れによる収入が8,868億円、短期借入金の純増減額が3,066億円、社債の発行による収入が2,751億円となったこと等により、2,619億円の収入(前連結会計年度は69億円の収入)となりました。

これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比174億円減少し1,839億円となりました。

 

④ 営業取引の状況

連結会計年度におけるセグメント資産残高、セグメント売上高及びセグメント利益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントを変更するとともに、セグメント利益を経常利益から親会社株主に帰属する当期純利益に変更しております。前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。(報告セグメントの変更に関する詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。)

 

a. セグメント資産残高

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率(%)

報告セグメント

国内リース

1,287,080

1,273,522

△13,557

△1.1

オートモビリティ

611,558

479,003

△132,555

△21.7

スペシャルティ

2,490,602

2,825,264

334,661

13.4

国際

655,683

822,699

167,015

25.5

環境インフラ

277,885

273,921

△3,964

△1.4

報告セグメント計

5,322,811

5,674,410

351,599

6.6

その他

40,964

46,023

5,058

12.3

合計

5,363,776

5,720,433

356,657

6.6

連結財務諸表との調整額

718,338

740,496

22,158

連結財務諸表上の資産合計

6,082,114

6,460,930

378,816

6.2

 

 

b. セグメント売上高

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率(%)

報告セグメント

国内リース

481,467

458,612

△22,854

△4.7

オートモビリティ

353,515

337,165

△16,349

△4.6

スペシャルティ

292,801

312,184

19,382

6.6

国際

144,883

177,392

32,509

22.4

環境インフラ

51,301

59,655

8,354

16.3

報告セグメント計

1,323,969

1,345,011

21,041

1.6

その他

993

1,102

108

10.9

連結財務諸表上の売上高

1,324,962

1,346,113

21,150

1.6

 

(注) 売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

 

c. セグメント利益

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率(%)

報告セグメント

国内リース

22,886

24,154

1,268

5.5

オートモビリティ

12,139

16,655

4,516

37.2

スペシャルティ

△19,138

29,977

49,115

国際

△5,934

10,950

16,884

環境インフラ

209

1,892

1,683

805.3

報告セグメント計

10,162

83,630

73,468

723.0

その他

4,531

1,082

△3,448

△76.1

合計

14,693

84,713

70,019

476.5

連結財務諸表との調整額

△9,928

△12,576

△2,648

連結財務諸表上の親会社株主に帰属する

当期純利益

4,765

72,136

67,371

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

2023年度からは新たに5ヵ年の「中期経営計画2027」を策定し、「自らを変革し、変化を創造する -TC Transformation and Sustainable Growth-」をテーマに、高い収益性と安定性あるポートフォリオへの変革を推進してまいりました。

なお、当社グループの当連結会計年度における具体的な取り組みは、「(1)経営成績等の状況の概要 ①事業の取組状況」に記載のとおりであります。

 

(経営成績及び財政状態)

当社グループの重要な経営指標である親会社株主に帰属する当期純利益は、スペシャルティ事業及び国際事業において利益が回復したこと、またオートモビリティ事業において増益となったことから、全体では前期比674億円増加し721億円となり、ROEは前期に比べ8.1ポイント改善し8.8%となりました。

セグメント別の親会社株主に帰属する当期純利益及びROAを分析した結果は以下のとおりであります。

(単位:億円)

セグメントの名称

親会社株主に帰属する当期純利益

ROA

2023年3月

2024年3月

前期比

2023年3月

2024年3月

前期比

国内リース事業

229

242

13

1.7%

1.9%

0.2pt

オートモビリティ事業

121

167

45

2.0%

3.1%

1.1pt

スペシャルティ事業

△191

300

491

1.1%

国際事業

△59

110

169

1.5%

環境インフラ事業

2

19

17

0.1%

0.7%

0.6pt

全社・消去等

△54

△115

△61

連結

48

721

674

0.1%

1.3%

1.2pt

 

*ROA:親会社株主に帰属する当期純利益/((前期末セグメント資産+当期末セグメント資産)/2)

 


〔国内リース事業〕

国内リース事業の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比13億円増加し242億円、ROAは0.2ポイント上昇の1.9%となりました。

国内リースマーケットは低金利の長期化等により、収益性の厳しい環境が継続しておりますが、資産効率を重視したポートフォリオ運営の推進、また有力パートナーとの協業ビジネス拡大等によって優良資産の積み上げを図り、収益性の向上を進めております。

なお、親会社株主に帰属する当期純利益はNTT・TCリース株式会社等の持分法による投資利益の増加を主因として増益となりました。

 

 


〔オートモビリティ事業〕

オートモビリティ事業の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比45億円増加し167億円、ROAは1.1ポイント上昇の3.1%となりました。

当社の連結子会社でありました株式会社オリコオートリースの持分法適用関連会社への変更に伴い取り込み利益及び資産残高が減少したものの、レンタカー事業を営むニッポンレンタカーサービス株式会社の伸長を主因として増益となりました。

なおニッポンレンタカーサービス株式会社は、高効率運営の推進による利益率の大幅改善及びリース・レンタル車両の売却益の増加により2期連続で過去最高益を更新しました。

法人向けオートリースの日本カーソリューションズ株式会社も、好採算案件への資産入替やリース満了車両の売却益増加により過去最高益を更新しました。

 

 

 


〔スペシャルティ事業〕

スペシャルティ事業の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比491億円増加し300億円、ROAは1.1%となりました。

営業投資有価証券の売却益減少による減益があったものの、航空機事業において、前期計上のロシア関連損失の剥落等により増益となりました。
 

 

 


〔国際事業〕

国際事業の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比169億円増加し110億円、ROAは1.5%となりました。

米州・欧州地域においては、為替の変動及び営業投資有価証券の売却により増益となりました。

また、アジア・アセアン地域においては、前期に計上した営業投資有価証券の評価損剥落により増益となりました。

 

 


〔環境インフラ事業〕

環境インフラ事業の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比17億円増加し19億円、ROAは0.6ポイント上昇の0.7%となりました。

周南パワー株式会社において、前期計上した棚卸資産の評価損及び試運転費用剥落等により増益となりました。なお、周南パワー株式会社のバイオマス混焼発電所は、2022年9月より商業運転を開始しております。

 

 

 

財政状態について、当連結会計年度末の資産合計は、前期末比3,788億円(6.2%)増加し6兆4,609億円となりました。利益の源泉となるセグメント資産残高は、国内リース事業及びオートモビリティ事業において、当社の連結子会社でありました株式会社オリコビジネスリース及び株式会社オリコオートリースの持分法適用関連会社への変更により減少となったものの、スペシャルティ事業及び国際事業では、海外子会社における為替の変動等により増加し、合計では前期末比3,567億円(6.6%)増加し5兆7,204億円となりました。

負債合計は、前期末比2,566億円(4.9%)増加し5兆4,498億円となりました。有利子負債は、前期末比2,343億円(5.2%)増加し4兆7,490億円となりました。

純資産合計は、前期末比1,222億円(13.7%)増加し1兆112億円となりました。うち、自己資本は、前期末比1,106億円(14.5%)増加し、8,722億円となりました。主な要因は、利益剰余金が前期末比507億円、為替換算調整勘定が前期末比399億円増加したことであります。

この結果、自己資本比率は前期末比1.0ポイント上昇し13.5%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、賃貸資産の取得、リース債権及びリース投資資産の増加などにより、1,767億円の支出となりました。また、NTTグループと米国・シカゴにおけるデータセンター事業の共同運営を推進するためNTT Global Data Centers Joint Venture CH, LLCの株式を取得したことなどにより、投資活動によるキャッシュ・フローは1,085億円の支出となりました。引き続き各事業分野の営業基盤強化に向けた成長事業への投資を実行する一方で、ROA向上に向け収益性や成長性を考慮した健全なポートフォリオの維持に注力しております。

財務活動によるキャッシュ・フローは2,619億円の収入となりました。成長事業への投資に必要な資金を確保するため、長期借入金、短期借入金及び社債などの有利子負債による調達を行いました。

これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比174億円(8.6%)減少し1,839億円となりました。

 

 

(資金調達の基本方針)

当社グループは、金融情勢の変化に機動的に対応しつつ調達先の分散や調達手段の多様化を図ることで、調達の安定性を高めること及び資金コストの低減を基本方針としております。また、ALM(資産・負債総合管理)の実施により、市場リスクについて多面的な分析を行い、各種リスクを適切にコントロールしております。

 

(資金調達の方法)

当社グループの資金調達は、国内外の金融機関からの借入による間接調達と社債、コマーシャル・ペーパー、ユーロ・ミディアム・ターム・ノート、リース債権流動化といった資本市場からの調達による直接調達で構成されております。

当連結会計年度末において、間接調達は、前期末比868億円(2.8%)増加し3兆1,707億円となりました。直接調達は、前期末比1,475億円(10.3%)増加し1兆5,783億円となりました。この結果、当連結会計年度末の直接調達比率は33.2%となり、前期末比1.5ポイント上昇しました。

また、当連結会計年度末の長期調達比率は83.9%となり、前期末に比べて1.8ポイント低下しました。

 

(流動性の確保)

当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関129行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末の契約総額は、前期末に比べて1,849億円増額の2兆1,115億円、借入未実行残高は1兆6,441億円となっており、資金の流動性は十分に確保されております。

 

③ 経営上の目標の達成状況

(当連結会計年度の業績及び翌期の見通し)

当社グループは、「中期経営計画2027」における経営指標として、利益目標を親会社株主に帰属する当期純利益に一本化し、株主の皆様の視点にあわせた、持分法適用会社を含むグループ会社の業績をより良く反映させる高度なグループ会社一体経営を目指すため、連結ROA(総資産純利益率)、連結ROEを経営指標として採用しております。

当連結会計年度において、親会社株主に帰属する当期純利益721億円、連結ROA1.2%、連結ROE8.8%となりました。

 

2025年3月期の経済環境については、米国をはじめ世界各国における金融引き締めに伴う影響や、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え中東情勢が緊迫化するなど先行き不透明な状況にあります。

このような経済環境下ではありますが、2025年3月期の業績見通しは経常利益1,250億円(前期比6.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益800億円(前期比10.9%増)を見込んでおります。

 

 

2024年3月期
(実績)

2025年3月期

(予想)

2028年3月期
(経営計画目標)

親会社株主に帰属する当期純利益

721億円

800億円

1,000億円

連結ROA(総資産純利益率)

1.2%

1.4%

連結ROE

8.8%

10%

 

 

(株主還元方針と配当額)

当社グループは、継続的な業容の拡大や企業体質の強化に向けた取り組みが企業価値の増大につながるものと考え、それらを実現するために内部留保の充実を図るとともに、株主の皆様に対しましては、長期的かつ安定的に利益還元を行うことを基本方針としております。

「中期経営計画2027」における1株当たり配当金は累進配当を基本としつつ、利益成長による増配を目指し、配当性向は35%程度といたします。なお、内部留保資金につきましては、良質な営業資産の購入資金に充当するなど今後の経営に有効に活用してまいります。

当期の配当につきましては、期初に1株当たり年間200円(中間配当100円、期末配当100円)の予想に対し、中間配当につきましては、期初の中間配当予想のとおり、1株当たり100円とさせていただきました。また期末配当につきましては、2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を実施したことにより、1株当たり25円と予想していましたが、1株当たり2円の増配を実施し、1株当たり27円とさせていただきました。当連結会計年度の期首に株式分割が行われたと仮定した場合、1株当たり年間配当金は52円(中間25円、期末27円)となります。

なお、次期の配当につきましては、業績や財務状況、今後の経営環境を総合的に勘案し、1株当たり年間58円(中間配当29円、期末配当29円、配当性向35.5%)とさせていただく予定であります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的と判断される前提に基づいて実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりですが、重要なものは以下のとおりであります。

 

a. 賃貸資産の減損損失の計上

賃貸資産は、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が識別された場合には、二次リースの可能性及び将来の市況等を考慮したリース料や処分価値等を見積り、減損の認識の要否を判断しております。その結果、減損の認識が必要と判定された賃貸資産については、回収可能価額を正味売却価額又は使用価値のいずれか高い金額とし、帳簿価額との差額を減損損失として計上しております。

経営者は、賃貸資産の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、賃貸資産が回収可能な合理的な額として計上されていると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、回収可能価額の算定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて減損損失の追加計上を実施する可能性があります。

なお、航空機リースにかかる賃貸資産の減損については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)①賃貸資産の減損」に記載のとおりであります。

 

b. のれんの減損損失の計上

企業結合で生じたのれんは、会社単位を基礎としてグルーピングを行っております。のれんの償却については、その効果の発現する期間を個別に見積り、20年以内の合理的な年数で定額法により償却を行っております。経営者は、その資産性について、子会社の業績や事業計画等を基に検討を行っており、その検討の内容は合理的であると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、将来において当初想定した収益力もしくは費用削減効果が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

. 貸倒引当金の計上

貸倒引当金は、取引先の経営状態や支払状況等によって分類区分された債権について、一般債権については貸倒実績率により、破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

経営者は、債権の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、貸倒引当金は十分計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、債権の評価には経営者が管理不能な不確実性が含まれており、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があります。この場合には、将来当社グループが貸倒引当金を増額又は減額する可能性があります。

 

d. 金融商品の時価評価

金融商品の時価には、市場価格に基づく価額の他、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。有価証券のうち、市場価格のない株式等については、取得原価をもって計上しておりますが、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には減損処理を行っております。

当社グループで行っているデリバティブ取引は、金利関連取引(金利スワップ取引等)、通貨関連取引(為替予約取引及び通貨スワップ取引等)であり、それらの時価は取引金融機関から提示された価格等によっており、金利、外国為替相場等のインプットを用いた将来キャッシュ・フローの割引現在価値により算定されています。

経営者は、金融商品の時価の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であると判断しております。ただし、当該価額の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変動する可能性があります。この場合には、将来当社グループにおける時価評価額が変動する可能性があります。

 

e. 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。

経営者は、繰延税金資産の回収可能性の評価の見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて繰延税金資産の取崩し又は追加計上により損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金の状況

「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況は次のとおりであります。

① 貸付金の種別残高内訳

 

 

 

 

2024年3月31日現在

貸付種別

件数
(件)

構成割合
(%)

残高
(百万円)

構成割合
(%)

平均約定金利
(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保
(住宅向を除く)

有担保
(住宅向を除く)

住宅向

事業者向

 

 

 

 

 

11,651

100.00

682,243

100.00

2.71

合計

11,651

100.00

682,243

100.00

2.71

 

 

② 資金調達内訳

 

 

2024年3月31日現在

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

1,948,671

1.70

その他

440,531

0.77

社債・CP

427,721

0.78

合計

2,389,202

1.53

自己資本

412,080

資本金・出資額

81,129

 -

 

 

③ 業種別貸付金残高内訳

 

 

 

2024年3月31日現在

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

334

13.82

9,951

1.46

建設業

59

2.44

140

0.02

電気・ガス・熱供給・水道業

32

1.32

31,984

4.69

運輸・通信業

91

3.76

72,931

10.69

卸売・小売業、飲食店

515

21.31

3,927

0.58

金融・保険業

64

2.65

68,943

10.11

不動産業

39

1.61

124,148

18.20

サ-ビス業

798

33.02

332,339

48.70

個人

その他

485

20.07

37,877

5.55

合計

2,417

100.00

682,243

100.00

 

 

 

④ 担保別貸付金残高内訳

 

 

2024年3月31日現在

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

4,557

0.67

うち株式

債権

2,505

0.37

うち預金

商品

不動産

100

0.01

財団

その他

45,483

6.67

52,646

7.72

保証

8,577

1.26

無担保

621,019

91.02

合計

682,243

100.00

 

 

⑤ 期間別貸付金残高内訳

 

 

 

2024年3月31日現在

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

204

1.75

165,581

24.27

1年超5年以下

10,021

86.01

292,545

42.89

5年超10年以下

1,123

9.64

99,589

14.60

10年超15年以下

271

2.33

69,893

10.24

15年超20年以下

27

0.23

24,640

3.61

20年超25年以下

1

0.01

13

0.00

25年超

4

0.03

29,978

4.39

合計

11,651

100.00

682,243

100.00

一件当たり平均期間

5.93年

 

(注) 期間は、約定期間によっております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

記載すべき重要な研究開発活動はありません。