|
回次 |
第31期 |
第32期 |
第33期 |
第34期 |
第35期 |
|
|
決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
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営業収益 |
(百万円) |
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|
|
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|
経常利益 |
(百万円) |
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|
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|
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
(百万円) |
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|
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包括利益 |
(百万円) |
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|
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|
純資産額 |
(百万円) |
|
|
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|
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|
総資産額 |
(百万円) |
|
|
|
|
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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|
|
|
|
1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
|
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|
|
|
|
潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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|
|
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
|
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
|
|
|
|
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
|
△ |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
(百万円) |
|
|
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|
|
|
従業員数 |
(名) |
|
|
|
|
|
(注) 1.株式付与ESOP信託の信託財産として日本マスタートラスト信託銀行株式会社(株式付与ESOP信託口)が保有する自社の株式及び役員向け株式交付信託の信託財産として株式会社日本カストディ銀行(信託口)が保有する自社の株式は、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額の算定上、期末発行済株式総数及び期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
2.第32期、第33期、第34期及び第35期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第33期の期首から適用しており、第33期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4.当社は、2022年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益金額を算定しております。
|
回次 |
第31期 |
第32期 |
第33期 |
第34期 |
第35期 |
|
|
決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
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|
営業収益 |
(百万円) |
|
|
|
|
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|
経常利益 |
(百万円) |
|
|
|
|
|
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当期純利益 |
(百万円) |
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|
|
|
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資本金 |
(百万円) |
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|
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発行済株式総数 |
(株) |
|
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|
純資産額 |
(百万円) |
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|
|
|
|
|
総資産額 |
(百万円) |
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|
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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|
|
|
|
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1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
|
|
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(内1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
|
1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
|
|
|
|
|
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
|
|
|
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|
自己資本比率 |
(%) |
|
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|
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
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|
|
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株価収益率 |
(倍) |
|
|
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|
|
|
配当性向 |
(%) |
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|
|
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|
従業員数 |
(名) |
|
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|
|
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
|
株主総利回り |
(%) |
|
|
|
|
|
|
(比較指標:配当込みTOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
最高株価 |
(円) |
286 |
343 |
328 |
1,818 (363) |
1,969 |
|
最低株価 |
(円) |
154 |
157 |
230 |
1,170 (234) |
1,340 |
(注) 1.株式付与ESOP信託の信託財産として日本マスタートラスト信託銀行株式会社(株式付与ESOP信託口)が保有する自社の株式及び役員向け交付信託の信託財産として株式会社日本カストディ銀行が保有する自社の株式は、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額の算定上、期末発行済株式総数及び期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第33期の期首から適用しており、第33期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3.最高・最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所プライム市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第一部におけるものであります。
4.当社は、2022年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益金額を算定しております。また、第34期の株価については株式併合後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式併合前の最高株価及び最低株価を記載しております。
5.第32期、第33期、第34期及び第35期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
6.従業員数について、第32期より当社を兼務する子会社従業員数を除いております。
|
1988年6月 |
虎ノ門投資顧問㈱として東京都港区に設立。 |
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1988年11月 |
「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」に基づき投資顧問業者登録(関東財務局第364号)。 |
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1989年7月 |
スパークス投資顧問㈱へ商号を変更し、投資顧問業務を開始。 |
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1993年10月 |
スイスに欧州におけるマーケティング活動を目的としたSPARX Finance S.A.を設立。 |
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1994年7月 |
米国に投資顧問業務を目的とした米国証券取引委員会(SEC)登録投資顧問会社SPARX |
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1996年1月 |
米国に海外ファンドの管理業務を目的としたSPARX Fund Services,Inc.を設立。 |
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1996年12月 |
英領バミューダに欧米の投資家向けオフショア・ファンドの運用・管理を目的とした |
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1997年2月 |
スパークス投資顧問㈱が投資一任契約に係る業務の認可を取得(大蔵大臣第191号(認可取得時))。 |
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1998年5月 |
国内マーケティングを目的としたスパークス証券㈱を設立。 |
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証券第1号、2号、及び4号免許を取得(大蔵大臣第10082号(認可取得時))。 (同年12月、証券取引法第28条に基づく証券業登録) |
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2000年3月 |
スパークス投資顧問㈱が証券投資信託委託業の認可を取得(金融再生委員会第24号(認可取得時))。 |
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スパークス・アセット・マネジメント投信㈱へ商号を変更し、本社を東京都品川区大崎へ移転。 |
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2001年12月 |
スパークス・アセット・マネジメント投信㈱が日本証券業協会に店頭登録。 |
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2002年10月 |
SPARX Investment & Research, USA, Inc.が米国内での投資顧問業務を目的として米国証券取引委員会(SEC)に再登録(同社本社をニューヨークへ移転)。 |
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2004年2月 |
欧州における既存・新規顧客向けにサービスを行うため、英国にSPARX Asset Management |
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2004年6月 |
米国内でファンドの販売を行うSPARX Securities, USA, LLCを設立。 |
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2004年12月 |
日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場。 |
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2004年12月 |
英国に海外子会社の管理を目的としたSPARX International, Ltd.を設立。 |
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2005年2月 |
韓国のCosmo Investment Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)の株式の過半数を取得。 |
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2005年4月 |
香港に海外籍ファンドの管理業務等を目的としたSPARX International (Hong Kong) |
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2005年6月 |
業務内容の変化に伴い、SPARX Fund Services, Inc.の商号をSPARX Global Strategies, |
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2005年7月 |
自己資金による投資業務の展開を目的として、スパークス・キャピタル・パートナーズ㈱を設立。 |
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2005年8月 |
スパークス・アセット・マネジメント投信㈱を米国の投資顧問業として、米国証券取引委員会(SEC)へ登録。 |
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2005年9月 |
第一回無担保社債(社債間限定同順位特約付)を発行(発行額:50億円)。 |
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2006年1月 |
韓国のCosmo Investment Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)を米国の投資顧問業として、米国証券取引委員会(SEC)へ登録。 |
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2006年6月 |
アジア全域を対象とした投資プラットフォームの構築を実現させるため、SPARX |
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2006年10月 |
会社分割により持株会社体制に移行し、社名をスパークス・グループ㈱に変更するとともに、子会社であるスパークス・アセット・マネジメント㈱が、資産運用業務とそれに係わる人員及び資産等を継承。 |
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2007年1月 |
グループ内における海外業務の効率化に伴い、SPARX Global Strategies, Inc.を解散することを決議。 |
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2008年2月 |
グループ内における海外業務の効率化に伴い、SPARX Finance S.A.を解散することを決議。2018年10月清算結了。 |
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2008年7月 |
California Public Employee's Retirement System(カリフォルニア州公務員退職年金基金)及びRelational Investors, LLCとのジョイント・ベンチャー解消に伴い、SPARX Value GP, LLCを解散することを決議。2008年12月清算結了。 |
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2008年10月 |
早期退職を含む経営改革(第1次)を断行。 |
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2008年10月 |
韓国のCosmo Investment Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)発行済株式の9.7%を追加取得。 |
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2008年11月 |
英国のSPARX Asset Management International, Ltd.の営業を停止。 |
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2009年2月 |
韓国のCosmo Investment Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)発行済株式の21.0%を韓国ロッテ・グループの関係会社に譲渡。 |
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2009年2月 |
早期退職を含む経営改革(第2次)を断行。 |
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2009年7月 |
韓国のCosmo Investment Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)発行済株式の10.0%を追加取得。 |
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2009年9月 |
グループ内における海外業務の効率化に伴い、SPARX Investment & Research, USA, Inc.、SPARX International, Ltd.及びSPARX Asset Management International, Ltd.を解散することを決議。2011年12月までに上記3社は清算結了。 |
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2009年9月 |
米国Hennessy Advisors Inc.と米国における投資信託ビジネスの提携に関する契約を締結。 |
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2009年12月 |
日本風力開発株式会社と「スマートグリッド」に関連する技術・ビジネスモデルを有する日本企業に共同で投資を行う投資事業有限責任組合設立のための契約を締結。現在は、クリーンテック投資戦略としてファンドが設立されたため、当該組合は役割を終えたとして解散。 |
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2010年2月 |
韓国のCosmo Investment Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)発行済株式の8.9%を韓国ロッテ・グループの関係会社に譲渡。 |
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2010年7月 |
スパークス・アセット・マネジメント㈱とスパークス証券㈱が、スパークス・アセット・マネジメント㈱を存続会社として合併。 |
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2010年8月 |
韓国のCosmo Investment Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)発行済株式の10%を追加取得。 |
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2010年11月 |
SPARX International(Hong Kong)Limitedの全株式をMCP Asset Management Co., Ltd.に譲渡。 |
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2011年2月 |
スパークス・グループ㈱とスパークス・キャピタル・パートナーズ㈱が、スパークス・グループ㈱を存続会社として合併。 |
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2011年6月 |
PMA Capital Management Limitedの商号をSPARX Asia Capital Management Limitedへと変更。 |
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2011年11月 |
Cosmo Investment Management Co.,Ltd.が韓国投資信託委託業ライセンスを取得し、それに伴い商号をCosmo Asset Management Co., Ltd.に変更。 |
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2012年5月 |
本社を東京都品川区東品川へ移転。 |
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2012年6月 |
不動産関連投資ファンドビジネスへ参入。 |
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2012年6月 |
東京都の官民連携インフラファンド運営事業者に選定される。 |
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2012年8月 |
再生可能エネルギーにおける発電事業及びそのコンサルティング業務を行うスパークス・グリーンエナジー&テクノロジー㈱を設立。 |
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2012年11月 |
Cosmo Asset Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)は、本社をソウル特別市中心部の永登浦区汝矣島へ移転。 |
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2013年11月 |
Cosmo Asset Management Co., Ltd.(現 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.)が韓国国内におけるヘッジファンドのライセンスを取得。 |
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2014年4月 |
ジャパンアセットトラスト㈱の全株式を取得し、商号をスパークス・アセット・トラスト&マネジメント㈱へ変更。 |
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2014年10月 |
東京都の官民連携再生可能エネルギーファンド運営事業者に選定される。 |
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2015年2月 |
Cosmo Asset Management Co., Ltd.の商号をSPARX Asset Management Korea Co., Ltd.へと変更。 |
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2015年11月 2016年6月 2017年1月 |
未来社会に向けたイノベーションの加速を目的とする新たな未来創生ファンドを設立。 本社を東京都港区港南へ移転。 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.が、本社をソウル特別市の鍾路区鍾路へ移転。 |
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2017年11月
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運転開始後のフェーズにおける投資にフォーカスした長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたブラウンフィールドのファンドを設立。 |
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2018年12月
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投資事業組合財産の運用及び管理を行うスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメント株式会社を設立。 |
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2018年12月 |
投資アドバイザリー業を行うSPARX Capital Investments,Inc.を米国に設立。2022年清算結了。 |
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2018年12月 |
SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.の持分の追加取得により100%子会社化。 |
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2019年3月 |
東京証券取引所市場第一部に指定。 |
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2019年4月 |
量子アニーリング技術研究開発ソリューションを提供する株式会社シグマアイに出資・参画。 |
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2020年4月
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投資事業組合財産の運用及び管理を行うスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー株式会社を設立。 |
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2020年6月 |
監査等委員会設置会社へ移行。 |
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2020年11月 |
SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.が、本社をソウル特別市の鍾路区セムナン路へ移転。 |
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2021年4月 |
野村ホールディングス株式会社と非上場企業へ投資する上場投資法人を運用する野村スパークス・インベストメント株式会社を設立。 |
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2022年4月 |
東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行。 |
(1) 事業の内容について
ⅰ.当社グループの事業の概要について
当社グループは、スパークス・グループ株式会社を持株会社として、日本及び海外子会社で構成される、資産運用業(投資顧問業・投資信託委託業)を中核業務とする企業集団であります。
当社グループが提供する資産運用業は主として、スパークス・アセット・マネジメント株式会社による日本株式、再生可能エネルギー発電事業(発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資)、未公開株式などを投資対象とした調査・運用のほか、スパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社による不動産及び再生可能エネルギー発電事業(発電事業等の運転開始後の安定稼動フェーズ)などを投資対象とした調査・運用、SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.による韓国株式を投資対象とした調査・運用及びケイマン諸島籍のSPARX Asia Capital Management Limitedの100%子会社であり、香港を主要拠点とするSPARX Asia Investment Advisors Limitedによるアジア株式を投資対象とした調査・運用から成っております。
ⅱ.資産運用業の仕組みについて
投資顧問業とは、株式、債券などの有価証券に対する投資判断(有価証券の種類、銘柄、数、価格、売買時期などの判断)について、報酬を得て専門的立場から、投資家に助言を行う業務です。投資顧問業はさらに、「投資助言業務」と「投資一任業務」に大別されます。このうち投資助言業務は投資家との間で「投資顧問契約」を結び、その契約内容にしたがって投資助言のみを行う業務です。この場合、実際の投資判断と有価証券の売買・発注は投資家自身で行うこととなります。一方、投資一任業務は、投資家と「投資一任契約」を締結し、顧客から投資判断の全部又は一部と売買・発注などの投資に必要な権限を委任される業務です。投資一任契約の場合、どの有価証券への投資を通じて投資家の資産を運用するかという投資判断と実際の売買発注までを投資顧問会社が行います。
投資助言業務の仕組み
投資一任業務の仕組み
他方、投資信託委託業とは、業として委託者指図型の投資信託の委託者となることであります。運用の専門家である投資信託委託業者(委託者)として、投資信託への投資として投資家(受益者)から集めた資金を一つにまとめ有価証券に分散投資し、その成果(運用損益)を投資家に配分することを業務としております。
投資信託(契約型)の仕組み
(注)投資信託には契約型と会社型があります。このうち、わが国の主流は契約型でありますので、上記では契約型の仕組みを記載しております。
ⅲ.当社グループの提供する投資戦略の変遷について
当社は、1989年7月1日の業務開始以来、独立系の投資顧問会社として日本株を中心に企業への個別訪問によるボトムアップ・アプローチを軸に、店頭登録企業を主体とする中小型株への投資に専門性を持った投資顧問会社として創業し、独創的な資産運用を行ってまいりました。
日本経済に大規模な構造変革が起きることを想定し、その変革の担い手は大企業ではなく、店頭登録企業に代表される新興の成長企業、中でも経営者が自社のマネジメントに哲学をもつオーナー企業であるとの確信に基づき、そのような企業を対象とする運用に特化いたしました。その結果、創業時より必然的に採用された運用調査手法が、会社訪問による企業調査を中心にした「ボトムアップ・アプローチ」です。当社の調査対象である企業の分析は公開情報を机上で検証するのみでは十分とは言えません。投資対象企業に直接赴き、企業経営者の「生の声」を聞くことを通じて確認できる経営哲学、企業の現場でのみ体感できる成長企業の胎動を確認することで単なる文字や数字の羅列に過ぎない公開情報の奥に潜む真の企業像を浮き彫りにすることができると考えているからです。
この「ボトムアップ・アプローチ」に基づく個別企業訪問では主に「企業収益の質」「市場成長性」「経営戦略」を丹念に調査し、事業リスクなどを勘案したうえで将来の収益及びキャッシュ・フローの予測を行い、企業の実態面から見た株式価値を計測します。この企業実態から見た株式価値と日々の株価との間に存在する乖離(バリュー・ギャップ)を投資機会として捉えます。これに独自の調査や投資仮説に基づき把握したバリュー・ギャップ解消のカタリスト(きっかけ・要因)を加味して投資判断を下しています。
1990年代の日本の株式市場では、市場における「勝ち組企業」と「負け組企業」の評価が明確化するとともに、大企業においても事業の再構築の進展度合いにより、市場の評価の二極化が進展しました。この結果、業種間の評価格差や同一業種内での株価の二極化が急速に進展し始めました。この様な市場の変化に的確に対応するために、1997年6月よりロング・ショート運用を開始いたしました。また同年、世界各国のヘッジ・ファンドを投資対象としたファンド・オブ・ファンズ運用も開始いたしました。
1999年からは、TOPIXをベンチマークとする年金基金の運用を開始し、国内大手証券会社のラップ口座の運用を受託いたしました。また、投資対象銘柄数を絞り込んだ集中投資型のファンドも同年運用を開始しております。加えて、2000年3月の投資信託委託業の認可取得後は国内公募投資信託、国内私募投資信託の運用を開始し、さらに2000年4月より国内の未公開企業を投資対象とした運用も開始いたしました。
2003年1月からは、企業統治(コーポレート・ガバナンス)を基軸とした日本企業の価値の拡大を促す投資ファンドの運用を開始いたしました。この投資では、投資対象企業を絞り込むことで一社当たりの持ち株比率を大きくし、投資先の企業の経営者と建設的な意見交換や議論を行い、十分な理解を得た上で、株主、従業員、その他利害関係者の利益のために、企業価値向上のための諸施策を求めてまいりました。この投資を行うに当たっても、投資先企業の選定方法は、当社が永年に渡り培ってきた「ボトムアップ・アプローチ」であることには変わりありません。これは、企業価値の本質を深く調査する従来のリサーチを進める過程でコーポレート・ガバナンスの観点から効率的な経営に転換できる企業を発掘することが可能であると判断しているためであります。
その後は、世界中の投資家の皆様にアジアの投資インテリジェンスを提供する最強のブランドを構築すべく、「Center for Asia Investment Intelligence」の旗印を掲げ、アジア経済の発展を享受すべくアジア地域での業務拡大を積極的に行ってまいりました。具体的には、2005年2月に韓国の資産運用会社 旧Cosmo Investment Management Co.,Ltd.(現、SPARX Korea社)の株式の過半数を取得し、韓国株式の調査・運用拠点をグループ内に持つことといたしました。さらに2006年6月に、日本を除くアジア地域で最大規模のオルタナティブ運用資産を保有する旧PMA Capital Management Limited(現 SPARX Asia社)の全株式を取得し、SPARXグループが培ってきた運用手法・ノウハウをグループ全体で共有しつつ、経営資源を配分しております。
2012年からは、世界的な低金利と資金余剰を背景に、安定的なインカム・ゲインが期待できる投資に、国内外からの強い関心が寄せられていることから、2012年9月にSPARX Asia Capital Management Limitedにおいて、海外の機関投資家を対象に日本の居住用不動産を投資対象としたファンドを設定いたしました。更に2014年4月に全株式を取得したSATM社における不動産投資のノウハウを活かし、住宅、オフィスビル、倉庫、商業施設のみならず、ヘルスケア関連施設等への投資も開始いたしました。
また、2012年6月に東京都の官民連携インフラファンドの運用事業者に指名され、太陽光を中心とする再生可能エネルギー発電事業を投資対象とする投資事業組合を組成し、その具体的な運用を開始いたしました。現在では複数のファンドからの投資実績が着実に積み上がっております。また、これまで提供してきた発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資(グリーン・フィールド投資)に加えて、運転開始後のフェーズにおける投資(ブラウン・フィールド投資)にフォーカスした、長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたファンドを設立し、運用を開始しております。
2015年11月に新たな取り組みとして、次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため、トヨタ自動車様及び三井住友銀行様と未来創生ファンドを設立し、国内外のベンチャー企業への投資を着実に実行しております。また、2020年に宇宙企業に投資を行う宇宙フロンティアファンド、日本における高い技術・技能を維持しモノづくりの力を今後も発展させていくために、優れた技術・人材・サービスを有する国内のモノづくり企業に投資する日本モノづくり未来ファンドを設立しております。
上記の投資戦略に加えて、AIの利用が前提となった新しい時代の成長領域は、エネルギー、医療・介護、そして量子コンピュータなどの領域と考えており、次のスパークスのビジネスの柱にしようと考えております。量子コンピュータ分野への投資は、東北大学及び量子アニーリングコンピュータの世界的権威である大関真之教授からのご理解を得て、この分野に特化した株式会社シグマアイに2019年4月に設立と同時に出資し、参画しております。2023年には、量子アニーリング技術の早期実用化のため、株式保有持分の一部を株式会社SCREENホールディングスに譲渡しております。医療介護については、医療法人社団五葉会の社員持分を2020年4月に取得し、2021年には介護分野への投資も開始いたしました。2023年には持分の売却を行い、投資有価証券売却益として約11億円を計上しております。
今後も市場ニーズに応えた多様な商品を提供するとともに、バランスの取れた事業構造を確立してまいります。
(事業系統図)
当社グループの主要な取引の概略を以下に図示いたします。
|
名称 |
住所 |
資本金 |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合 (%) |
関係内容 |
|
(連結子会社) |
|
|
|
|
|
|
SPARX Asset |
韓国ソウル市 |
42億韓国ウォン (509百万円) |
資産運用業 |
100.0 |
業務管理サービスの提供。 |
|
スパークス・アセット・マネジメント株式会社 |
東京都港区 |
2,500百万円 |
資産運用業 |
100.0 |
業務管理サービスの提供。役員の兼任あり。 |
|
SPARX Asia Capital (注)4 |
英国領ケイマン |
44,001千米ドル (5,016百万円) |
資産運用業 |
100.0 |
業務管理サービスの提供。 |
|
SPARX Asia Investment Advisors Limited (注)2 |
中国・香港特別 |
3,100千香港ドル (45百万円) |
資産運用業 |
100.0 (100.0) |
業務管理サービスの提供。 |
|
スパークス・グリーンエナジー&テクノロジー株式会社 |
東京都港区 |
25百万円 |
再生可能エネルギーにおける発電事業コンサルティング |
100.0 |
業務管理サービスの提供。 資金援助あり。 |
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スパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社(注)4 |
東京都港区 |
100百万円 |
資産運用業 |
100.0 |
業務管理サービスの提供。 |
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スパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメント株式会社 |
東京都港区 |
50百万円 |
投資事業組合財産の運用及び管理 |
100.0 |
業務管理サービスの提供。 資金援助あり。 |
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スパークス・イノベーション・フォー・フューチャー株式会社 |
東京都港区 |
50百万円 |
投資事業組合財産の運用及び管理 |
100.0 |
業務管理サービスの提供。 資金援助あり。 |
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上記のほか、連結子会社5社があります。 |
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- |
- |
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(持分法適用関連会社) |
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株式会社シグマアイ |
東京都港区 |
100百万円 |
量子コンピューティングシステム及びそのソフトウェアの開発、設計及び販売 |
27.3 |
役員の兼任あり。 |
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野村スパークス・インベストメント株式会社 |
東京都千代田区 |
200百万円 |
資産運用業 |
49.0 |
- |
(注)1.資本金の( )書きは在外子会社の円換算額であります。為替レートは、連結子会社となった時の月末レートを使用しております。
2.議決権の所有割合の( )内は、間接所有の割合で内書であります。
3.スパークス・アセット・マネジメント株式会社については、営業収益(連結会社間の内部営業収益を除く)の当連結営業収益に占める割合が10%を超えております。主要な損益情報は以下のとおりです。
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会社名 |
主要な損益情報 |
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営業収益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
当期純利益 (百万円) |
純資産額 (百万円) |
総資産額 (百万円) |
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スパークス・アセット・マネジメント株式会社 |
14,920 |
7,130 |
5,031 |
10,584 |
14,948 |
4.スパークス・アセット・マネジメント株式会社、スパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社及びSPARX Asia Capital Management Limitedは、特定子会社に該当いたします。
(1)連結会社の状況
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2024年3月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(名) |
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投信投資顧問業 |
186 |
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合計 |
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(注)従業員数は就業人員であり、当社グループの全連結会社の従業員数の合計を記載しております。
(2)提出会社の状況
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2024年3月31日現在 |
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従業員数(名) |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
平均年間給与(千円) |
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(注)1.従業員数は、契約社員を含み、派遣社員、子会社への出向者の他、当社を兼務する子会社従業員を除く就業人員であります。
2.平均年間給与は、提出会社が費用負担する固定報酬の他、兼務先である事業子会社が費用負担する固定報酬・短期業績連動報酬(業績賞与)・中長期業績連動型株式報酬も含めて算出しております。
3.平均勤続年数は、グループ各社における勤続年数を通算しております。
(3)労働組合の状況
労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は良好であります。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
連結グループ会社
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当連結会計年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) |
男性労働者の育児休業取得率(%) |
労働者の男女の賃金の差異(%) |
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全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート ・有期労働者 |
||
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23.1 |
100.0 |
53.4 |
56.3 |
25.0 |
(注)1.当社及び当社グループ会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」による情報開示が必要
な会社には該当いたしません。
2.対象期間は2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)です。
3.男性労働者の育児休業取得率は、当社及び国内グループ会社を対象としております。
4.男性労働者の育児休業取得率は、育児休業の取得割合(2024年3月期において育児休業を取得した男性労働
者の数/2024年3月期に配偶者が出産した男性労働者の数)で算出しております。
5.労働者の男女の賃金の差異の算式に用いた人員数は、2024年3月期各月の給与支払日における労働者数の
平均を用いております。なお、当社及び当社グループ会社外からの出向者は含んでおりません。
6.賃金は通勤手当を除き、2024年3月期に支給された金額を元に算出しております。
7.短時間勤務者については、正規雇用労働者の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を元に平均年間
賃金を算出しております。
<男性労働者の育児休業取得率についての補足説明>
2024年3月期において配偶者が出産した男性労働者は3名、そのうち育児休業を取得した男性労働者は3名です。
<男女の賃金の差異についての補足説明>
適用する人事処遇制度において性別による差異はありませんが、連結グループ会社における男女の賃金の差異(全労働者53.4%、社員56.3%)の主な要因は執行役員、上位の管理職および専門職に占める女性がいないことによるものです。それら執行役員、上位の管理職および専門職を除く女性が在籍する資格等級別の男女の賃金格差は下表の通りです。
また、パート・有期労働者の差異については、比較的報酬水準の高い正社員の定年後再雇用者に占める男性比率が高く補助的業務担当者である契約社員に占める女性比率が高いという構成比率の違いにより乖離が生じています。
尚、当社グループにおいては定量的な管理職比率等の目標を形式的に定めることは、現時点においては致しませんが、ライフステージに合わせた柔軟な支援や人事制度の改訂、管理職に期待する役割の更なる明確化を図り、その責任を認識させることで、主体的にリーダーとして役割を果たしたいと望む者を増やしてまいる他、管理職候補者層を構築するため、必要な経験の蓄積やキャリア意識の醸成等に意識的に取り組むことによって、結果的に経営の意思決定に関わる女性社員を、実質的に増やしてまいります。
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職層 |
資格等級 |
男女の賃金差異 |
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2022年度 |
2023年度 |
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管理職 |
マネジメント職3 |
90.1% |
95.4% |
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専門職 |
専門職3 |
- |
77.3% |
|
|
リーダー職1 |
88.6% |
90.5% |
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一般社員 |
リーダー職2 |
94.3% |
76.8% |
|
|
スタッフ職1 |
94.7% |
99.2% |
|
|
スタッフ職2 |
98.3% |
99.4% |
※ 資格等級に記載している名称は、社内での使用呼称となります。
※ 2022年度の専門職には女性が在籍しておりません。