第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第84期

第85期

第86期

第87期

第88期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上収益

(百万円)

247,582

206,156

209,323

217,854

235,227

経常利益

(百万円)

40,415

14,520

35,547

36,364

38,776

親会社株主に帰属する
当期純利益

(百万円)

25,396

2,267

17,791

21,473

24,667

包括利益

(百万円)

23,645

10,430

13,423

22,308

25,736

純資産額

(百万円)

290,330

290,100

262,052

246,562

253,628

総資産額

(百万円)

885,969

901,231

920,026

961,950

1,003,501

1株当たり純資産額

(円)

1,351.57

1,350.58

1,307.04

1,299.97

1,348.13

1株当たり当期純利益

(円)

117.58

10.58

85.81

109.37

130.70

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

32.7

32.1

28.4

25.6

25.2

自己資本利益率

(%)

8.8

0.8

6.5

8.5

9.9

株価収益率

(倍)

15.4

196.6

26.2

18.5

18.7

営業活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

39,909

22,193

11,519

16,717

38,003

投資活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

20,315

16,241

13,760

22,382

18,266

財務活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

25,487

5,600

770

18,259

7,879

現金及び現金同等物の
期末残高

(百万円)

40,827

41,179

39,708

52,421

64,560

従業員数

(名)

5,130

4,855

4,654

4,435

4,290

[外、平均臨時雇用人員]

[1,453]

[1,487]

[1,530]

[1,447]

[1,404]

 

(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第86期の期首から適用しており、第85期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等を記載しています。

2  取締役等に対する業績連動型株式報酬制度および経営幹部社員に対するインセンティブプランに係る信託が保有する当社株式は、連結貸借対照表において自己株式に含めて計上しており、その株式数は、1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式数から控除する自己株式数に含めています。また、1株当たり当期純利益および潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式数に含めています。

3 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在していないため記載していません。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第84期

第85期

第86期

第87期

第88期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

営業収益

(百万円)

23,507

21,202

18,314

19,796

40,639

経常利益

(百万円)

16,933

14,805

14,258

12,241

32,709

当期純利益

(百万円)

16,246

12,321

66,649

7,354

30,671

資本金

(百万円)

35,920

35,920

35,920

35,920

35,920

発行済株式総数

(株)

223,660,417

223,660,417

208,660,417

208,660,417

208,660,417

純資産額

(百万円)

197,399

208,147

229,052

201,745

214,918

総資産額

(百万円)

754,167

751,539

826,510

844,688

870,444

1株当たり純資産額

(円)

920.66

970.79

1,144.36

1,065.48

1,144.07

1株当たり配当額

(円)

50.00

51.00

52.00

59.00

101.00

(内1株当たり中間配当額)

(28.00)

(25.00)

(26.00)

(29.00)

(50.00)

1株当たり当期純利益

(円)

75.22

57.47

321.45

37.46

162.51

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

26.2

27.7

27.7

23.9

24.7

自己資本利益率

(%)

8.1

6.1

30.5

3.4

14.7

株価収益率

(倍)

24.1

36.2

7.0

54.0

15.0

配当性向

(%)

66.5

88.7

16.2

157.5

62.2

従業員数

(名)

367

373

241

254

270

[外、平均臨時雇用人員]

[22]

[23]

[23]

[27]

[29]

株主総利回り

(%)

83.4

97.5

107.5

100.0

123.4

(比較指標:配当込みTOPIX)

(90.5)

(128.6)

(131.2)

(138.8)

(196.2)

最高株価

(円)

2,795

2,317

2,413

2,581

2,628

最低株価

(円)

1,607

1,514

1,832

1,956

2,025

 

(注) 1  取締役等に対する業績連動型株式報酬制度および経営幹部社員に対するインセンティブプランに係る信託が保有する当社株式は、貸借対照表において自己株式に含めて計上しており、その株式数は1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式数から控除する自己株式数に含めています。また、1株当たり当期純利益および潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式数に含めています。

2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在していないため記載していません。

3 株主総利回り(TSR)については、2019年3月末の株価 2,235円を基準として算出しています。

4 最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。

 

2 【沿革】

当社は、1931年2月17日に、青井忠治が「丸二商会」からのれん分けを受け東京都中野区において割賦販売業を創業、1937年3月30日に法人組織に改組(株式会社丸井、資本金5万円、社長青井忠治)しました。

当社設立後、現在までの当社および主要な関係会社の沿革は次のとおりです。

 

1941年7月

戦時体制下の商業活動規制により、全店舗を一時閉鎖して休業。

1946年8月

中野に仮店舗を開設し、家具の現金販売で営業を再開。

1950年12月

割賦販売を再開。

1959年8月

株式会社丸井広告事業社(現  株式会社エイムクリエイツ)を設立。

1960年1月

「月賦」の呼称を「クレジット」に変え、企業の体質改善と近代化を推進。

3月

日本最初のクレジットカードを発行。

10月

丸井運輸株式会社(現  株式会社ムービング)を設立。

1963年4月

東京証券取引所市場第二部に株式を上場。

1965年6月

東京証券取引所市場第一部銘柄に指定。

1966年8月

業界で初めてコンピューターを導入。

1974年4月

POSを導入、同時にオンライン信用照会システムを稼動させ、契約業務の簡素化を推進。

5月

ニュー新宿店(現 新宿マルイ本館)を開設。

1975年9月

クレジットカード「赤いカード」の店頭即時発行システムをスタート。

1981年2月

創業50周年を機に、カードキャッシングの取扱いを開始。

1984年9月

株式会社エムアンドシーシステムを設立。

1987年7月

株式会社シーエスシーサービス(現  株式会社マルイファシリティーズ)を設立。

1988年9月

カタログ通販誌「Voi」を発行。

1994年12月

本社を東京都中野区中野4丁目3番2号に移転。

2003年10月

関西初出店となる神戸マルイを開設。

2004年2月

マルイ最大店舗の北千住マルイを開設。

10月

株式会社マルイカード(現  株式会社エポスカード)を設立。

11月

株式会社エムアールアイ債権回収を設立。

 

2006年3月

「エポスカード」の発行を開始。

9月

大阪初出店となるなんばマルイを開設。

2007年10月

会社分割により当社は純粋持株会社へ移行し、商号を株式会社丸井グループに変更。
小売事業は新設分割設立会社の株式会社丸井へ、カード事業は株式会社エポスカードへ承継。

 

株式会社マルイホームサービスを設立。

 

有楽町マルイを開設。

2013年2月

エポス少額短期準備株式会社(現  株式会社エポス少額短期保険)を設立。

2015年11月

「丸井グループ コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定。

2016年4月

九州初出店となる博多マルイを開設。

 

2018年2月

つみたて証券準備株式会社(現 tsumiki証券株式会社)を設立。

2020年1月

D2C&Co.株式会社を設立。

2021年4月

丸井グループ新規事業創出株式会社(現 株式会社okos)を設立。

2022年4月

東京証券取引所の市場区分見直しにより、市場第一部からプライム市場へ移行。

 

株式会社Muture(株式会社グッドパッチとの合弁会社)を設立。

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、小売とフィンテックを一体運営する企業グループであり、持株会社である当社と子会社22社および関連会社5社により構成されています。

当社グループの、各事業における業務内容および主要なグループ会社は次のとおりです。なお、事業区分については、セグメントと同一の区分です。

 

(小売)

以下の連結子会社5社および持分法非適用非連結子会社・関連会社において、商業施設の賃貸および運営管理、衣料品・装飾雑貨等の仕入販売、空間プロデュース、広告宣伝、トータルファッション物流、総合ビルマネジメント等を行っています。

<連結子会社>

㈱丸井、㈱エイムクリエイツ、㈱ムービング、㈱エムアンドシーシステム、㈱マルイファシリティーズ

 

<持分法非適用 非連結子会社・関連会社>

㈱マルイキットセンター、みぞのくち新都市㈱ 他

 

(フィンテック)

以下の連結子会社7社および持分法非適用非連結子会社・関連会社において、クレジットカード業務、カードキャッシングおよび家賃保証、情報システムサービス、不動産賃貸、投資信託の販売、少額短期保険業等を行っています。

<連結子会社>

㈱エポスカード、㈱エムアールアイ債権回収、㈱エムアンドシーシステム、㈱マルイホームサービス、㈱マルイホームサービス管理、tsumiki証券㈱、㈱エポス少額短期保険

 

<持分法非適用 非連結子会社・関連会社>

D2C&Co.㈱、㈱okos 他

 

なお、上記のほか当社の関係会社は、中野㈱他1社の関係会社以外の関連当事者から不動産物件を賃借しています。

当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

 

[事業の系統図]

当社グループの事業を系統図によって示すと、次のとおりです。

 


 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

㈱丸井(注3,4)

東京都中野区

100

マルイ・モディ店舗の運営、通信販売事業

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エポスカード(注3,5)

東京都中野区

500

クレジットカード業務、クレジット・ローン業務

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エムアールアイ債権回収

東京都中野区

500

債権管理回収業務、信用調査業務

100.0

(100.0)

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エイムクリエイツ

東京都中野区

100

商業施設の業態提案・設計・内装施工・運営管理、広告企画制作

60.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱ムービング

埼玉県戸田市

100

貨物自動車運送業、貨物運送取扱業

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エムアンドシーシステム(注3)

東京都中野区

100

ソフトウェア開発、コンピューター運営

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱マルイファシリティーズ

東京都中野区

100

ビルメンテナンス業、警備サービス業

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱マルイホームサービス

東京都中野区

100

不動産賃貸事業

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱マルイホームサービス管理

東京都中野区

10

不動産賃貸事業

100.0

(100.0)

経営指導等
役員の兼任等…無

tsumiki証券㈱

東京都中野区

100

つみたてNISA対象投資信託の販売

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エポス少額短期保険

東京都中野区

200

少額短期保険業

95.0

(95.0)

経営指導等
役員の兼任等…無 

 

(注) 1  議決権の所有割合欄の(内書)は、間接所有割合です。

2  上記関係内容のほか、グループ内の資金を一元管理するキャッシュマネジメントシステムにより、当社との間で資金の貸付けおよび借入れを行っています。

3  特定子会社です。

4  ㈱丸井は、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く。)の連結売上収益に占める割合が100分の10を超えています。

主要な損益情報等 売上収益 60,141百万円 経常利益 792百万円 当期純損失 1,560百万円

純資産額  205,123百万円 総資産額  245,861百万円

5  ㈱エポスカードは、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く。)の連結売上収益に占める割合が100分の10を超えていますが、セグメント情報の「フィンテック」の売上収益に占める割合が100分の90を超えているため、主要な損益情報等の記載を省略しています。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

小売

2,144

[   648]

フィンテック

1,876

[   727]

全社(共通)

270

[    29]

合計

4,290

[ 1,404]

 

(注) 1  従業員数は就業人員であり、従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の期中平均雇用者数(月間所定労働時間を基準に算出)です。

2  全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない純粋持株会社である提出会社の従業員数です。主に管理部門および投資部門などに所属しています。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

270

[    29]

39.4

15.5

6,341,400

 

(注) 1  従業員数は就業人員であり、従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の期中平均雇用者数(月間所定労働時間を基準に算出)です。

2  平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟に加盟するマルイグループユニオンがあります。労使関係は円滑に推移しており、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性の割合(%)

(注1)

男性の

育児休業取得率(%)

(注2)

男女の賃金の差異(%)(注1,3)

全社員

正規雇用

社員

パート・

有期社員

提出会社

㈱丸井グループ(注4)

22.4

100.0

77.8

72.0

91.6

連結子会社

㈱エポスカード(注5)

-

-

108.5

98.2

108.5

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。なお、管理職に占める女性労働者の割合は2024年4月1日現在の数値となっています。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

3 社員の人員数については、労働時間をもとに換算したものを加味して算出しています。

4 当社グループでは提出会社である㈱丸井グループにおいて臨時従業員等を除き、一括採用、一括配置および育成を実施しています。グループ各社への配置は出向となるため、提出会社の数値には子会社への出向者を含めて算出しています。したがって、算出のもととなる社員数については「(2)提出会社の状況」に記載している従業員数と異なります。

5 ㈱エポスカードは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき開示の対象となる連結子会社です。各社は直接採用の社員のみを集計しており、その社員に管理職および育児休業対象者はいません。

 

<各数値に関する補足説明>

当社グループの人材に関する指標は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組  2.会社の考える人的資本経営」に記載しています。「人的資本経営」の詳細なパフォーマンスデータについては、「2024年3月期ESGデータブック」の「社会(Social)」のカテゴリーをご覧ください。

ESGデータブック(https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/lib/databook.html)

 

<男女の賃金の差異の要因と当社の考え方について>

男女の賃金の差異の推移は下記のとおり、前年と比べて改善しています。

 

 


 

当社グループの賃金制度においては性別による処遇の差はなく、賃金差異が生じる最も大きな要因は、管理職など賃金の高い上位職に占める女性社員の割合が低いためです。職位別でみると差異は85.8~95.8%となります。同一の職位でも差異が生じる主な要因は、短時間勤務制度の影響によるものです。2024年3月時点の短時間勤務制度利用者のうち99.2%が女性であり、短時間勤務者の時間補正を行った場合の職位別の賃金差異は91.4~96.0%となります。

このような状況のもと、当社グループでは、イノベーションを創出しやすい組織をつくる取り組みの一環として、意思決定層(取締役・執行役員を含む管理職以上)の多様化をめざしています。この取り組みを可視化する独自の指標として「女性イキイキ指数」を設定し、女性活躍を推進しています。

女性活躍を推進する上で「男性は仕事、女性は家事育児といった『男女の性別役割分担意識』」の改善と「女性の上位職志向」の向上をめざして、男女の性別役割分担意識の見直しに取り組む「ジェンダーイクオリティプロジェクト」や、ライフイベントを迎える26歳の男女を対象に「キャリアデザイン研修」、管理職による「管理職の働き方」の改善に向けたプロジェクト活動などを実施しています。

今後もこれらの取り組みを続け、家事や育児などの負担が女性に偏ることなく、女性も男性も「仕事」と「家庭」を当たり前に両立できる組織をめざすことで、男女の賃金の差異の解消に努めていきます。