第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、ユニバーサルジョイント・ウォーターポンプ等の自動車部品製造・販売事業の独立系メーカーとして、いち早く海外に目を向け事業展開を進め、新車用部品供給と補修用部品供給を両輪とした営業基盤を構築してまいりました。新車用部品は韓国の自動車メーカーや自動車部品メーカーとの長年の取引関係によって培った製品開発力や品質管理能力、金属加工や冷却システムに関連する技術力を事業基盤とし、韓国を中心に日本や欧米の自動車メーカーや部品メーカーとの取引を拡大しております。補修用部品では、世界中で走っている車の修理・交換用専用の部品をメーカー、モデル、年式に関係なく幅広く品揃えし、品質・価格をバランスよく強化することで国内商社や海外の自動車部品輸入業者を通じて世界各地へGMBブランドの製品を供給しております。

 創業以来の社訓「和」によりグループ内の協調を高めることを基礎とし、グローバルな市場における自動車部品メーカーとして目指すべきグループ企業理念として

 「技術革新と新製品開発を通じ、自動車部品産業のオンリーワン企業として国際社会に貢献する」

を掲げております。
 この企業理念のもと、「地球の成功が、私たちの未来」をスローガンに、部品を通じて、環境にやさしく、安心・安全に、より長く、モビリティ社会に貢献していく方針であります。また、そのために新車用・補修用部品の両輪でグローバルに事業の拡大を図り、研究開発と設備投資によって、新製品開発と品質・生産体制を強化してまいります。

(2)会社の経営環境および対処すべき課題

 当社グループの属する自動車業界は「Connected(コネクテッド)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared & Services(シェアリングとサービス)」、「Electric(電動化)」といった「CASE」と呼ばれる新しい領域での技術革新が進み、各国の環境規制の高まりもあって、完成車メーカーは電気自動車やハイブリッド車などの環境に配慮した自動車の比率を高めながら、進出した地域での現地生産を拡大しております。また、補修用部品におきましては、世界の自動車保有台数が継続的に増加し市場規模も拡大しておりますが、中国を中心とした新興国メーカーとの競争が激化しております。

 さらに、世界経済につきましては、原材料やエネルギー価格の高止まり、急激な為替変動、さらにはウクライナや中東情勢などの地政学リスクの高まりなど、不透明な環境が続いております。

 このような環境のもと、当社グループとして対処すべき重点課題は、次のとおりであります。

・ 業界の技術革新に対応した製品開発力

   ・ グループ連携を含めたサプライチェーンマネジメントの強化

・ 品質と生産性の持続的改善

・ 成長とグローバル戦略を支える人財の確保と育成

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社は2027年3月期の最終年度に連結売上高1,300億円、連結営業利益50億円、ROE7.0%以上を目標とする3ヶ年の中期経営計画を策定し、当期よりスタートしております。期間中、次の4つの重点戦略を中心に事業戦略を着実に推進し、事業環境の変化にも柔軟に対応できる体制を強化することで、世界の新車用・補修用部品市場において更なる成長を目指してまいります。

① 電動化対応

電動ウォーターポンプや統合熱管理モジュールなどの冷却系部品を中心に電動化に対応した製品の研究開発と生産体制の強化をすすめます。

② 顧客のグローバル戦略対応

既存のルーマニア工場における電動ウォーターポンプの現地生産開始と、米国およびインドの新工場の立ち上げによって、顧客の現地納入ニーズに対応します。

③ 補修用部品の拡販

既存製品は大型車や建機などにカバーする範囲を広げ、更なる新規アイテムを継続的に市場投入することでブランド力を活かした販売拡大を図ります。

④ OEM外注化対応

ユニバーサルジョイントの上位Tierの部品メーカーが構成部品を外注化する受け皿となることで欧米を中心に販売を強化します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものとなります。

当社グループでは、グローバルな市場における自動車部品メーカーとして目指すべき姿として、「技術革新と新製品開発を通じて、自動車部品産業のオンリーワン企業として国際社会に貢献する」という企業理念を掲げ、健全な環境維持に努め、21世紀の企業に求められる持続可能企業を目指しております。

また、「1.本業を通じて世界中のお客様や消費者のニーズを満たすとともに、自らが地球環境に対して責任あるモノ作りを推進します。」、「2.すべてのステークホルダーに対して社会的責任を果たすよう最善を尽くすとともに、当社グループに関わり合うことで幸福感を実感して頂けるよう、人や社会に必要とされる会社をめざします。」というミッションを掲げ、役員や社員一人ひとりが日々の業務のなかで、より当事者意識を強く持ってサステナビリティに向き合っていくことが重要であると考えております。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の企業統治体制を整え、サステナビリティの取組へのガバナンスに関しましても、同様の内部統制システムを整備・運用しております。

 

(2)戦略

 人材の育成及び社内環境整備に関する方針につきましては、当社グループでは、セルフマネジメントできる人材育成により人的資本の向上につながる個人の人材価値を向上させることを主眼に、各種施策を考え推進しております。当社奈良本社や大阪北浜オフィスでは、固定した個人デスクではなく、社員が自由に着席場所を選んで仕事ができるフリーアドレス制度を導入し、部署の垣根を超え、社員間のコミュニケーションが活発に行われています。サテライト勤務やハイブリッド勤務などと併せ、柔軟な働き方ができる環境を整えることにより、従業員エンゲージメントの向上を図り、生産性向上や従業員のワークライフバランス実現を目指しております。また、個々の自律した人材が自らの仕事に誇りと責任を持ち、挑戦をし続けることで、社会に新しい価値を提供できる企業となることを目指しております。

働き方の環境整備とともに、当社においては人材の確保では、性別・年齢・国籍等に依らず、異なる国や異なる業種の経験や視点を持った人材を積極採用しながら、離職を抑える人事制度や福利厚生制度を整備するなど、採用と離職の両面への対応施策が課題だと考えております。また、人材育成においては従業員個人のモチベーションを上げ、個々の専門性を高めるだけでなく、世界市場への挑戦と成長の機会を与えながら組織が活性化するような制度改革を進めております。なお当社では、大卒新入社員定着率3年連続100%(2020年~2023年)を記録しております。先輩社員と新入社員のコミュニケーションの活性化を目的としたメンター制度及び、定期的な人事面談をメインとした人事フォローアップ制度を実施しております。さらに2022年からは新たな人事評価制度の導入をし、目標設定の定量化によって、個人の活動について公平透明で納得度の高い評価を全社員に実施しております。

 

(3)リスク管理

 各業務に関するリスクに対する管理体制は、各業務部門で内部統制システム上での体制を敷き、当社経営企画部が総合的に統括し未然防止に努めており、当社グループの経営成績等に重要な影響を与えうる主要リスクの選定、対応策の妥当性確認、追加で検討すべき対策についての指示等を各部署に対して行っています。また、重要事項については、適宜、経営会議や取締役会で審議を実施しています。

 

(4)指標及び目標

 現在、当社経営企画部を事務局とし、「ESG・サスティナビリティ」に関するワーキングチームを立ち上げ、当社グループの取組の精査を実施しており、指標や目標の早期設定を目指しております。また、従業員の健康・安全衛生や多様性といった人的資本経営に向けた取組も重要なサステナビリティ項目と捉えております。人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容や実績につきましては、「第1 企業の概況 5従業員の状況」をご参照ください。なお、当社においては関連する数値指標管理とともに具体的な取組を目指しているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、現時点では連結グループにおける記載が困難であり、各数値は、当社のみのものを表記しております。連結グループの適切な指標及び目標の設定につきましては、今後一層検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 (1) 海外市場への事業展開について

 当社グループは、日本、米国、韓国、中国、タイ、欧州、豪州に会社を設立してグローバルに事業展開を行っております。各国の市場において特徴があり、経済情勢、諸法令、慣行、慣例等により事業計画の大幅な変更や遅延が生じる可能性があります。

 

 ①韓国市場での事業展開について
 当社は、1979年2月に韓国GMB工業株式会社(現GMB KOREA CORP.以下、韓国GMBという。)を設立し、その後当社が1991年12月に81.7%出資・設立しておりました韓国ベアリング株式会社を、韓国GMBが吸収合併することで、当社の韓国GMBに対する持分比率が53.9%となりました。さらに2008年6月の株式追加取得、2012年11月の韓国証券取引所への株式上場と公募増資、2013年8月の株式追加取得を経て持分比率は54.4%に至りました。今後も韓国の法規則・慣行等により、当社グループの事業計画に影響を受ける可能性があります。

  また、韓国GMBは現代自動車グループへバルブスプールや電動ウォーターポンプ等の自動車部品のOEM供給を行っており、現代自動車グループへの販売比率は2024年3月期連結売上高に対して、32.5%となっております。現代自動車グループは近年海外生産・販売を拡大しており、当社グループにおいても、現代自動車の海外展開とともに、海外投資を検討する案件が増加してまいります。今後の現代自動車グループの事業動向により、業績に影響を受ける可能性があります。

 

 ②中国市場での事業展開について
 中国では、青島吉明美机械制造有限公司、青島吉明美汽車配件有限公司、吉明美(杭州)汽配有限公司、吉明美汽配(南通)有限公司の4社を有しております。経済成長を続ける中国経済では、人件費の上昇などによる生産コストアップが懸念されています。さらに、外資企業に対する優遇税制の改正や環境規制強化などの政策変更によって影響を受ける可能性もあります。そのような環境の中でも、自動車産業が発展中の中国で事業活動を維持・拡大することは、グループとしての事業拡大と価格競争力強化にとって効果のあるものと判断しておりますので、引き続き中国子会社の効率的運営と販売・調達先の開拓に取り組んでまいります。このような急激な環境変化によって、当社グループの事業展開、業績に影響を受ける可能性があります。

 

 ③米国補修用部品市場での事業展開について
 米国には販売子会社GMB NORTH AMERICA INC.を有しており、補修用部品においても重要な市場と位置付けております。近年、米国では中国製の自動車部品等が、低価格を武器とした価格引下げ競争を激化させており、低価格製品を大規模に供給できる業者による寡占化が進んでおります。また、このような大手取引先との取引を継続するためには適時に納品できる在庫と品揃えを維持する必要があります。当社グループとして、生産拠点を中国やタイへ移管したり、当社の品質基準を満たす製品・部品供給先を中国内に求めたりしながら、品質と価格の水準における最適なバランスを追求しつつ適切な在庫水準の維持に努めておりますが、低価格競争の激化や寡占化が進む業界内の競合状況の進展により、今後の業績に影響を受ける可能性があります。

  米国では、最終ユーザー自身で部品交換をするDIY方式も一般的であり、最終ユーザーが取り付けを円滑にできない場合、クレームと称し部品の返品をしてくる事態が多く発生いたします。米国では、大手小売業者においては一旦販売者が買取る慣行にあります。これに対応するため、製品の品質の向上に努めておりますが、大手小売業者との取引高が増加して返品数量が増加する場合には、業績に影響を受ける可能性があります。

 

 ④海外における生産体制について
 当社グループの生産部門は、生産コストを低減できる国での製造及び技術・品質面で日本の技術指導に応えられる国での生産を前提にしております。そのため、韓国、中国、タイ、欧州、米国に順次生産拠点の一部を移管してまいりました。今後、各地域に生産移管を進めていく中で、当社及び韓国GMBからの十分な技術支援が出来ない場合や優秀な技術者が確保できない場合には、事業計画に影響を受ける可能性があります。

  当社グループはグループ各拠点間での製品の競争力と品質の均一化に努めております。そのため海外子会社への支援・指導を強化しておりますが、機械故障などの不測の事態が発生した場合には生産遅延や納期遅延等により、業績に影響を受ける可能性があります。

  グループ内での一貫生産体制の原則を保つ一方で、コスト競争力に劣ると判断する場合には、当社グループ以外から一部の製品や部品を調達することも推進しており、当社グループが認める品質水準を維持できる海外調達先を開拓しつつあります。この計画の推進状況により、業績に影響を受ける可能性があります。

 

 ⑤海外での商標権の管理について
 当社グループは特許権や商標権等の世界各国の知的財産権を当社で原則管理しており、50の国または地域において商標権の登録をしております。しかし、アジア地域などではGMBの偽ブランドの自動車部品等も出回っております。今後も商標権保護を積極的に実施してまいります。

 

 (2) 為替変動について

 当社グループの2024年3月期連結売上高に占める海外売上高の比率は90.8%となっております。当社におきましても、直接輸出による売上高は49.0%と高い比率であります。当社は、為替変動への対策として、取引通貨バランスの改善、円建て取引の増加、海外調達の拡大、生産の海外移転の推進や為替予約等により、総体的な為替リスクの軽減を図っております。グループ各社においても取引通貨バランスの改善や現地生産・調達の強化等の為替リスク軽減を図っております。しかしながら、急激な為替変動により、業績に影響を受ける可能性があります。

 

 (3) 製品の品質について

 当社グループは、お客様に信頼される製品の品質保証体制を構築することで品質の維持と向上に努めております。しかしながら、すべての製品に欠陥がなく、将来にリコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。また、万一のリコールや製造物責任賠償が発生した場合に備え保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコスト負担や当社グループの社会的評価の悪化により、業績に影響を受ける可能性があります。

 

 (4) 自然災害・戦争・テロ・感染症等について

 当社グループおよび主要な取引先の拠点の所在地域において、予期せぬ自然災害・戦争・テロ・感染症等が発生した場合、生産・調達・販売などの事業活動の停滞や中断による影響を受ける可能性があります。事業継続計画の整備等の対策を通じてリスク低減に努めておりますが、完全にリスクを回避することは困難であり、業績に影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループはロシアに連結子会社を有しており、2022年2月に開始されたロシアによるウクライナへの軍事侵攻により翌3月以降、工場の稼働を停止しておりましたが、顧客が事業を現地企業に譲渡したことに伴い、譲渡先に対して納入契約が残存する部品の供給を継続するため、2024年より限定的な稼働を再開いたしました。引き続き、顧客動向や現地の社会経済状況を慎重に注視しながら慎重に対応を進めますが、今後の戦闘地域の拡大や紛争の長期化、ロシアに対する経済制裁等により業績に影響を受ける可能性があります。

 

 (5) 情報セキュリティリスクについて

 当社グループは、サイバー攻撃やインターネット環境に大きな影響を与えるような事象等により、社内システムに障害が発生し、基幹システムや通信システムが停止する場合は、生産・販売・財務経理などの業務活動が中断し、顧客に製商品を供給できないなど、業績に影響を受ける可能性があります。また、取引先情報や技術情報等の重要情報が漏洩した場合は、顧客等に対する賠償責任の発生や信頼性の低下など、業績に影響を受ける可能性があります。このような事態に備えて、ウイルス対策ソフトの導入、ネットワーク環境のセキュリティ強化、挙動検知に関する製品やバックアップシステムの導入など被害拡大防止と迅速な復旧体制の確保、従業員に対する教育等の対策を実施しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループは、韓国を中心に電動ウォーターポンプやインテグレーテッド・サーマル・モジュール、電動オイルポンプなどの電動化対応製品の開発と販路拡大を進めました。また、世界的な物流コストの低下の影響に加えて、販売価格の値上げを行うと共に、生産性の改善やコスト削減などの競争力強化に努めました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が96,291百万円(前期比10.5%増)、韓国において退職給付債務の数理計算上の影響による退職給付費用の増加1,104百万円(前期は減少1,295百万円)の影響もあり、営業利益は1,630百万円(同23.9%減)となりました。また、為替相場が円安に推移したことに伴う為替差益を839百万円計上するなどしましたが為替差益は前期よりも減少するなどして、経常利益は1,328百万円(同60.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は408百万円(同66.3%減)となりました。

 

 主要な品目分類別の販売状況を説明しますと、次のとおりであります。

 駆動・伝達及び操縦装置部品は、海外補修用部品市場におけるユニバーサルジョイントの販売が減少したものの、新車用部品市場における等速ジョイントやバルブスプールの販売が増加したことに加えて、取扱製品を拡大したことなどにより、売上高は44,173百万円(前期比10.3%増)となりました。

 冷却装置部品は、韓国で電動ウォーターポンプやインテグレーテッド・サーマル・モジュール、電動オイルポンプなどの電動化対応製品の販路拡大を進めるなどしたことなどにより、売上高は36,382百万円(同11.3%増)となりました。

 ベアリングは、海外補修用部品市場における取扱製品の拡大などにより、売上高は15,469百万円(同14.1%増)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 当社は、製造、販売体制を基礎とした拠点の所在地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「米国」、「韓国」、「中国」、「タイ」、「欧州」及び「豪州」の7つを報告セグメントとしております。各報告セグメントでは、自動車部品を製造、販売しております。

 

 (a) 日本

 販売価格の値上げや物流コストの低下などの影響を受けたものの、海外における補修用部品市場での販売が減少したことなどの結果、売上高16,224百万円(前期比17.4%減)、セグメント利益269百万円(同41.8%減)となりました。

 (b) 米国

 連結子会社のGMB NORTH AMERICA INC.において競争の厳しい米国市場で大手小売業者との取引において、販売価格の値上げに加えて、輸入関税や物流コストの低下の影響を受けたことに加え、昨年設立した生産拠点で販売が始まるなどの結果、売上高7,481百万円(同3.5%増)、セグメント損失394百万円(前期は719百万円の損失)となりました。

 (c) 韓国

 連結子会社のGMB KOREA CORP.において電動ウォーターポンプやインテグレーテッド・サーマル・モジュール、電動オイルポンプなどの電動化対応製品を中心に新車用部品市場における販売が増加した一方で、韓国において退職給付債務の数理計算上の影響による退職給付費用の増加1,104百万円(前期は減少1,295百万円)の影響などの結果、売上高62,528百万円(前期比22.9%増)、セグメント利益1,418百万円(同43.4%減)となりました。

 

 (d) 中国

 製造拠点である連結子会社3社及び調達・物流拠点の連結子会社1社において、新車用部品市場におけるウォーターポンプの販売が増加したことに加えて、原材料価格が低下したことやコスト削減努力などの結果、売上高6,333百万円(同15.1%増)、セグメント利益495百万円(同157.7%増)となりました。

 (e) タイ

 タイ国内向けの販売が横這いで推移するなか、原材料価格の高騰の影響が続くなどした結果、売上高1,021百万円(同1.8%増)、セグメント損失118百万円(前期は244百万円の損失)となりました。

 (f) 欧州

 欧州の新車用部品市場においてウォーターポンプの販売が増加する一方で、ロシア拠点での事業活動の中断が続くなどした結果、売上高2,946百万円(前期比5.0%増)、セグメント損失69百万円(前期は79百万円の損失)となりました。

 (g) 豪州

 2019年に設立した新拠点において、前連結会計年度の後半まで拡大していた受注が落ち着くなどした結果、売上高352百万円(前期比26.7%減)、セグメント利益36百万円(同35.3%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が1,179百万円(前期比61.7%減)、減価償却費が3,835百万円(同6.2%増)、仕入債務の増加額が699百万円(同68.2%減)、短期・長期借入金、社債、リースを合わせた有利子負債残高の増加額が582百万円(同11.3%増)となるなどの一方で、売上債権の増加額が2,188百万円(同69.3%増)、棚卸資産の増加額が2,194百万円(同76.0%増)、設備投資による有形固定資産の取得による支出が4,793百万円(同41.7%増)となったことなどの結果、期末残高は2,360百万円減少して3,988百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は2,154百万円(同37.0%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が1,179百万円(前期比61.7%減)、減価償却費が3,835百万円(同6.2%増)、仕入債務の増加額が699百万円(同68.2%減)となるなどの一方で、売上債権の増加額が2,188百万円(同69.3%増)、棚卸資産の増加額が2,194百万円(同76.0%増)となったことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4,905百万円(前期比55.7%増)となりました。これは主に、設備投資による有形固定資産の取得による支出が4,793百万円(同41.7%増)となったことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は379百万円(同40.3%減)となりました。これは主に、短期・長期借入金、社債、リースを合わせた有利子負債残高の増加額が582百万円(同11.3%増)となるなどの一方で、配当金支払による支出が132百万円(同25.3%増)となったことなどによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループは自動車部品のメーカーとして、自動車部品事業以外に事業の種類がないため、投資情報の有用性の観点から拠点の所在地域別セグメントに代えて、事業の種類別に記載しております。

 

(a)生産実績

 当連結会計年度の生産実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。

事業の種類の名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

自動車部品事業(千円)

61,358,784

110.5

合計(千円)

61,358,784

110.5

 (注)金額は製造原価によっております。

 

(b)商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。

事業の種類の名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

自動車部品事業(千円)

18,925,298

115.2

合計(千円)

18,925,298

115.2

 (注)金額は仕入価格によっております。

 

(c)受注実績

 当連結会計年度の受注実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。

事業の種類の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

自動車部品事業

97,555,265

116.4

7,591,912

120.0

合計

97,555,265

116.4

7,591,912

120.0

 (注)金額は販売価格によっております。

 

(d)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントに代えて、製品の品目分類ごとに示すと、次のとおりであります。

品目分類の名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

駆動・伝達及び操縦装置部品(千円)

44,173,686

110.3

冷却装置部品(千円)

36,382,086

111.3

ベアリング(千円)

15,469,087

114.1

その他(千円)

266,925

30.9

合計(千円)

96,291,785

110.5

 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

    あります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

現代トランシス株式会社

5,653,400

6.5

6,820,068

7.1

現代自動車株式会社

5,464,580

6.3

7,013,381

7.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、原材料価格やエネルギー価格の高騰や急激な為替変動、さらにはウクライナ情勢の不確実性を始めとする地政学リスクの高まりなど、不透明な環境が続きました。

 このような環境の中、当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。

 

 

売上高

 当連結会計年度の売上高は、96,291百万円と前連結会計年度に比べ9,122百万円の増加となりました。これは主に、新車用部品市場における等速ジョイントやバルブスプールの販売が順調に推移したことや、電動ウォーターポンプなどの電動化対応製品の販路拡大などによるものであります。

営業利益

 当連結会計年度の営業利益は1,630百万円と前連結会計年度に比べ511百万円の減少となりました。これは主に売上の増加に加え、生産性向上などのコスト削減に努めた一方で、韓国における退職給付債務の数理計算上の差異によって退職給付費用が増加したことなどによるものであります。

経常利益

 当連結会計年度の経常利益は1,328百万円と前連結会計年度に比べ1,991百万円の減少となりました。これは主に、営業利益の減少に加え、為替差益を839百万円(前期比602百万円減少)、支払利息を1,189百万円(前期比538百万円増加)、それぞれ計上したことなどによるものであります。

親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は408百万円と前連結会計年度に比べ804百万円の減少となりました。これは主に、経常利益が減少したことなどによるものであります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 また、今後の経営戦略等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

(b)財政状態

資産の部

 当連結会計年度末の資産合計は85,144百万円と前連結会計年度に比べ5,871百万円の増加となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が2,840百万円、棚卸資産が3,295百万円、有形固定資産が2,018百万円、それぞれ増加したした一方で、現金及び預金が2,230百万円減少したことなどによるものであります。

負債の部

 当連結会計年度末の負債合計は51,832百万円と前連結会計年度に比べ4,595百万円の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が1,225百万円、短期借入金が2,752百万円、退職給付に係る負債が1,009百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。

純資産の部

 当連結会計年度末の純資産合計は33,281百万円と前連結会計年度に比べ1,275百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が276百万円、為替換算調整勘定が479百万円、非支配株主持分が499百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。

 

(c)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入および社債による調達を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は31,752百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,988百万円となっております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、主に連結子会社のGMB KOREA CORP.で行われており、技術研究所に所属する106名が取り組んでおります。主に新車種・新エンジンに対応した新製品の開発と、既存量産品の改良・応用に取り組んでおります。

 なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は1,530,670千円であり、韓国のセグメント発生額は、1,530,670千円であります。

 主な研究開発の課題及び成果

①高効率放熱・断熱熱管理材料および部品適用電池パックの開発

②燃料電池商用車用の高電圧大容量電動ウォーターポンプの開発

③燃料電池システムと熱管理部品の開発

④商用水素自動車燃料電池システム用高耐久・高密度熱管理部品の開発