第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、令和4年度から令和8年度までを実施期間とする『第5次中期経営計画』を策定いたしております。

本計画は、これまでの基本方針『「成長する産業分野での拡大」・「既存事業の維持・拡大」を軸に、付加価値・生産性の向上を図り、事業構造変革を強力に推進する』を継承しながら、新たに「一人ひとりが新しい仕事・やり方に挑戦し、レベルアップをすることで、現要員体制での生産・利益の拡大を目指す!」を付加いたしました。

実行策の指針は、次のとおりです。

Ⅰ.SDGs(持続可能な開発目標)への取組み

Ⅱ.挑戦をリスペクトする組織への変革

Ⅲ.“設備技術産業の雄”への挑戦

Ⅳ.新しい事業領域への挑戦

 

なお、本計画の詳細につきましては、令和4年5月12日に開示しております『第5次中期経営計画策定に関す

るお知らせ』をご参照ください。また、当該開示資料は、次のURLからご覧いただくことができます。

(当社ウェブサイト)https://www.takada.co.jp/ir/

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

上記『第5次中期経営計画策定に関するお知らせ』に記載のとおりです。

 

(3)経営環境、優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題

当社グループの関連するプラント業界におきましては、引き続き人手不足に加え、原材料価格の高騰や人件費の上昇等の懸念事項を抱えながらも、脱炭素関連設備等への環境対応投資や半導体関連プラントの建設工事の増加に加え、建設・保全におけるDXの推進が期待されます。その一方で、当連結会計年度において整備を進めてまいりました建設業の「2024年問題」を迎え、適切な対応を進めていくことが求められます。

このような状況下、当社グループといたしましては、『第5次中期経営計画』を迅速かつ着実に実行していくことにより、プラント事業においては、運営体制の再構築並びにICTを活用した工事管理機能及びメンテナンス技術の強化を図り、基盤整備及び受注拡大に向けて努めてまいります。特にEPC事業においては、日揮株式会社との協業により今後も更なる営業活動及び組織の機能強化を図り、遂行能力の向上や受注強化に努めてまいります。また、装置事業においては、半導体業界の旺盛な設備投資への対応・受注拡大を考慮し、新製品の開発、海外展開の加速及び生産・開発体制の強化を進め、事業拡大に努めてまいります。

更に、社員の就業環境や福利厚生の充実化等を通して「働きやすさ」及び「QOL(Quality Of Life:生活の質)」の向上を目指し、成長に向けた組織活力を向上させるとともに、人材確保及び収益向上に努め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ

 地球温暖化による環境負荷の低減に向けてお客様の脱炭素の取組が加速しており、当社グループが関係する産業におけるサステナビリティ関連ビジネスの拡大に伴い、さらなる事業機会の増加が想定されており、当社グループの既存事業の成長と新たなイノベーションの創出を通して社会に貢献してまいります。

 当社グループは社員が健康でいきいき働く環境づくりと地球温暖化防止への取組を加速するために、令和4年度にSDGs(持続可能な開発目標)への取組方針と実施策を公表しました。

 

■「TAKADAグループのSDGs(持続可能な開発目標)への取組方針・実施策」

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 生物多様性の保全と地域社会との共創・発展を目指して、令和4年5月に「宗像市SDGs 豊かな海づくりに関する連携協定」を締結し、この連携協定の第一弾として「宗像ウニプロジェクト」をスタートさせ、磯焼け海域における駆除ウニの陸上養殖の事業化検討を開始しました。

 地域の活性化と循環型ビジネスの拡大を目指した取組みを推進しています。

 

■SDGs課題/ESG課題に関するマテリアリティの特定

 当社グループは令和4年5月に公表した「SDGsへの取組方針と実施策」に基づいて、当社グループの持続的企業価値の向上と安定した成長を達成するために「人権」、「社会・経済」、「環境」および「ガバナンス」ごとに以下のプロセスに従ってマテリアリティを特定しています。

・マテリアリティの抽出と特定のフロー

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・特定したSDGs課題/ESG課題に関するマテリアリティ

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 ①ガバナンス

 社会の基盤となる製鉄・化学等のプラント設備の環境負荷の低減や生物多様性の保全に向けた取組みを推進するうえでのリスクマネジメント体制として「コンプライアンス常任委員会」、「コンプライアンス委員会」を設置し、事業リスクと機会について重要と判断した事項は取締役会に報告することで取締役会の監督が適切に図ることのできる仕組みを構築しています。

 ②リスク管理

 当社グループは「内部統制システムの構築の基本方針」に基づき内部統制の強化を図り、リスク管理体制を確立し、経営の適法性および効率性を確保することを目的に「リスク管理規程」を制定し、リスクの特定に応じて適正な管理を行っています。

 代表取締役はリスクを統括管理する取締役を定め、各業務担当取締役とともにリスクを体系的に管理しています。また代表取締役および各業務担当取締役は、リスクの特性に応じて適正に管理しています。

 

(2)人的資本

 当社グループは企業の基盤である人材づくりのために、社是「純情 情熱 希望」を基本として、未来に向け「人間創造」「技術創造」「事業創造」に取組んでいます。持続的な企業価値の向上のためには、人材への投資が必須であり、すべての社員が、健康でいきいき働く環境づくりを目指して様々な取組みを進めています。

 現在、第5次中期経営計画(令和4年度~令和8年度)においても、環境の変化にあわせて「一人ひとりが新しい仕事・やり方に挑戦し、レベルアップすることで、現要員体制での生産、利益の拡大を目指す」ことを基本方針に掲げています。将来にわたり当社グループが社会的・経済的価値を高めていくためには、多様な人材の融合により最大の効果を発揮することが重要であり、その基盤となる成長に向けた組織活力の向上に取組んでいます。

 ①戦略

人材の多様性の確保を含む人材の育成方針等

〇人材確保

 人材確保につきましては、国籍、性別、年齢等にかかわらない多様な人材を確保し、個々がいきいきと活躍できる組織への活性化や、当社グループ内での人材交流を図ってまいりました。日本国内の労働人口減少に伴い採用環境は厳しさを増しておりますが、積極的な採用活動を行い優秀な人材確保に努めてまいりました。

 

〇人材育成

 人材育成につきましては、「一人ひとりが新しい仕事・やり方に挑戦し、レベルアップし続ける人材づくり」を方針に掲げ、あらゆる階層の社員に対し能力開発やキャリアアップの機会を提供し、働きがいを生み出す人事制度を導入いたしました。また、働きやすい職場環境の創出に向け、「TAKADAグループにおける『働き方改革』への取り組み方針」を策定・公開いたしました。更に、令和6年4月1日付で建設業界に時間外労働の上限規制が適用されること(いわゆる「2024年問題」)を踏まえ、適切に対応するための諸施策を当連結会計年度において整備してまいりました。

 

〇社内環境整備

 当社グループでは、すべての社員が働きがいを持って、いきいきと働きやすい職場環境の整備に努めております。すべての社員一人ひとりとその家族が心身ともに健康であることは、当社グループの持続的な成長を支える基盤であると考えています。「健康診断」や「ストレスチェック」などの会社での実施に加え、当社独自に運営している「高田工業所健康保険組合」にて、「メンタルヘルス」・「疾病予防」・「保健指導宣伝」等の事業を展開し、社員とその家族の心身の健康維持のための取組を行っています。

 また、令和3年4月から65歳定年延長制度を導入し、ベテラン社員の就業環境の改善を図り、シニア人材の活躍と技術・技能の継承を促進しております。

 更に、令和3年10月に「働き方改革推進プロジェクト」を設置し、長時間労働の撲滅、ワークライフバランスの実践につながる対策の実施に取組んでいます。

 

 ②指標及び目標

 当社グループでは、上記に記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

指標

目標

実績

係長級にある者に占める女性労働者の割合

7.0以上

6.8

有給休暇取得率

80以上

86.4

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)受注価格下落のリスク

当社グループの関連するプラント業界におきましては、国内の経済変動や国際情勢に大きく影響を受けやすい傾向にあるため、景気が低迷した場合には、国や企業の設備投資の抑制や受注競争激化に伴う、受注価格の下落などにつながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)特定業界・特定取引先への依存リスク

当社グループは、製鉄及び化学業界のお客様との関わりが大きく、当該お客様に対する受注高・完成工事高が大きなウエイトを占めております。そのため、お客様設備の合理化や事業再編等の当該業界の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)資材価格変動のリスク

資材価格等が著しく上昇し、それを工事金に反映することが困難な場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)製品欠陥のリスク

品質管理には万全を期しておりますが、契約不適合責任及び製造物責任による損害賠償が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)労働災害のリスク

安全対策には万全を期しておりますが、労働災害が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)重大事故のリスク

プラント設備の建設・保全及び各種装置の製造における作業遂行過程等において、事故又は災害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)取引先の信用リスク

工事金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)災害のリスク

当社グループは、国内及び海外に拠点を複数構えておりますので、いずれかの地域において、地震や台風等の自然災害や予期せぬ事故等が発生し、正常な事業活動ができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)コンプライアンス・内部統制のリスク

当社グループは、コンプライアンス体制及び内部統制体制の継続的な強化に努めておりますが、当該体制が十分でなかった場合、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分若しくは損害賠償請求の対象となり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(10)情報セキュリティのリスク

当社グループは、事業活動においてお客様や取引先の機密情報等を入手するとともに、当社グループの経営上、営業上、技術上における機密事項等を保有しております。万一これらの情報等が、ネットワークにおける盗聴・侵入・破壊・改ざん等の不正アクセス、サイバー攻撃等により社外に漏洩した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)感染症のリスク

当社グループの拠点周辺地域において、新型の感染症等が流行し、当社グループの事業活動が阻害された場合、また、人的被害が拡大した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループの関連するプラント業界は、原材料の価格高騰や人件費の上昇等の影響があったものの、デジタル関連投資や脱炭素化に向けた設備投資が増加しており、設備投資動向は堅調に推移いたしました。

このような状況下、当社は、令和4年度から令和8年度までを実施期間とする『第5次中期経営計画』の2年目として各施策を着実に実行に移し、基盤整備及び受注拡大に努めるとともに、成長に向けた組織活力の向上に取組んでまいりました。

また、資本政策においてこれまで最大の課題でありました優先株式の処理につきましては、株式会社福岡銀行との間で、令和5年11月6日付で優先株式の処理に関する基本合意書を締結いたしました。本合意を受け、令和6年1月26日開催の臨時株主総会でご承認をいただき、残りの優先株式の全て(B種株式150万株)を自己株式として当社が取得のうえ、令和6年2月5日付で消却するに至りました。これにより、普通株式の希薄化リスクを抑制するとともに、平成15年からの金融支援を目的とした優先株式の処理は全て終了いたしました。

なお、当連結会計年度における主要施策の進捗状況は、次のとおりです。

 

<主要施策の内容>

○事業の重点施策

◇ プラント事業

①プラント建設・保全

プラント建設・保全事業につきましては、『第5次中期経営計画』の主要施策に基づき、変革するプラント業界においてリーディングカンパニーになるべく“設備技術産業の雄”を目指し、主力事業の強化及び事業基盤の整備を進めてまいりました。

特に、工事案件の大型化をはじめとする事業環境の変化及び人手不足に対応するため、サプライチェーンの強化・拡大を図るとともに人材育成に取組んでまいりました。また、工事管理機能を強化すべくICTを活用した工事情報及びスケジュールの共有化を図り、収益機会の獲得に取組んでまいりました。

更に、プラント保全事業における競争力を強化すべく、設備診断分野では電流情報量診断システムの新規のお客様の開拓や認知度向上を図るとともに、新たな診断機能を追加することでお客様にソリューションを提供してまいりました。また、本システムは国土交通省が運用する「NETIS(新技術情報提供システム)」並びに経済産業省が推進する「スマート保安技術カタログ」に掲載され、新技術としても高い評価をいただきました。

 

②EPC(Engineering Procurement Construction:設計・調達・施工)

EPC事業につきましては、工事情報の早期入手を図り、積極的にお客様へのプレゼンテーションを行うとともに、EPC運営体制の構築と強化を進め、受注拡大に努めてまいりました。また、新規の協力会社の開拓により調達機能を強化し、設計から調達、施工に至るまで一貫して遂行するための対応力の向上に努めてまいりました。

更に、令和5年11月14日付で、日揮株式会社と業務連携に関する基本合意書を締結いたしました。本基本合意書の締結により、同社との間で、国内EPC分野におけるプロジェクト遂行力の向上及び保全事業の遂行体制構築に向けた協議を進めてまいりました。

 

◇ 装置事業

装置事業につきましては、主にエレクトロニクス関連設備分野における半導体製造向けの生産装置メーカーとして「超音波カッティング装置」・「枚葉式ウエハ洗浄装置」の開発・製作を手掛け、性能・機能及び品質の向上に努めてまいりました。

「超音波カッティング装置」については、スマートフォン・ウェアラブル機器等のセンサー、車載・エネルギー等のパワーデバイス市場に販路を拡大し、カーボンニュートラルの実現に貢献するとともに、「枚葉式ウエハ洗浄装置」についても環境に配慮した装置を開発し、SDGsへの貢献に取組みながら、顧客サービスの充実と収益の拡大に努めてまいりました。

 

○財務・経営資源方針

◇ 投資・財務方針

投資・財務方針につきましては、キャッシュ・フロー管理を徹底していく中で、事業継続のための維持・更新投資と成長戦略投資とのバランスを考慮しながら、財務体質の強化と安定的かつ機動的な資金調達の実行と運用を図ってまいりました。

なお、優先株式の処理につきましては、前頁に記載のとおりであります。

 

◇ 人材育成・確保の方針

人材育成につきましては、「一人ひとりが新しい仕事・やり方に挑戦し、レベルアップし続ける人材づくり」を方針に掲げ、あらゆる階層の社員に対し能力開発やキャリアアップの機会を提供し、働きがいを生み出す人事制度を導入いたしました。また、働きやすい職場環境の創出に向け、「TAKADAグループにおける『働き方改革』への取組み方針」を策定・公開いたしました。更に、令和6年4月1日付で建設業界に時間外労働の上限規制が適用されること(いわゆる「2024年問題」)を踏まえ、適切に対応するための諸施策を当連結会計年度において整備してまいりました。

人材確保につきましては、国籍、性別、年齢等にかかわらない多様な人材を確保し、個々がいきいきと活躍できる組織への活性化や、当社グループ内での人材交流を図ってまいりました。日本国内の労働人口減少に伴い採用環境は厳しさを増しておりますが、積極的な採用活動を行い優秀な人材確保に努めてまいりました。

 

◇ ICTを活用したシステムの検討及び運用

ICTを活用したシステムの検討及び運用につきましては、外部専門家のアドバイスを受けながら、デジタル化とデジタル技術の活用を進め、ICTをイノベーションの手法の一つとし、現場管理及び業務の効率化に取組んでまいりました。

また、計画的なICT投資やIT人材の獲得・育成を行うことでICT推進を加速させ、生産性向上及び競争力強化に努めるとともに、現場での安全・品質管理の徹底に取組んでまいりました。

 

◇ その他

当社は、令和2年7月1日付で設置いたしました「2040みらいプロジェクト」や、令和4年4月1日付で設置いたしました「組織活性化委員会」などの活動を踏まえ、令和22年(2040年)に迎える創業100周年に向けた取組みを進めております。当連結会計年度においても、新たな成長の実現と社会に貢献できる魅力ある組織づくりや、若手・中堅社員の自律性・主体性の育成を前提とした組織活力の向上を目指した活動を継続してまいりました。

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億6千4百万円減少し、376億3千万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ28億8千1百万円減少し、207億4千万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8億1千6百万円増加し、168億8千9百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、連結売上高522億5千7百万円(前連結会計年度比9.7%減)、連結営業利益24億円(前連結会計年度比10.4%減)、連結経常利益23億8千5百万円(前連結会計年度比12.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16億6千8百万円(前連結会計年度比1.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ2億6百万円減少し、40億2百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動による資金収支は17億4千4百万円の収入(前連結会計年度は5億6百万円の支出)となりました。これは主に、売上債権の増減額32億8千万円、税金等調整前当期純利益24億7千4百万円、未払又は未収消費税等の増減額21億3千5百万円の収入と、仕入債務の増減額52億5百万円の支出によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金収支は16億4千5百万円の支出(前連結会計年度比185.4%増加)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出16億9千5百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金収支は5億6千2百万円の支出(前連結会計年度は18億8千9百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額12億円の収入と、自己株式の取得による支出15億円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

当連結会計年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

プラント事業(千円)

51,794,875

55,266,194( 6.7%増)

 

b.売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

当連結会計年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

プラント事業 (千円)

57,881,828

52,257,352( 9.7%減)

(注)1 当連結企業集団では生産実績を定義することが困難であるため「生産状況」は記載しておりません。

2 売上高に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。

前連結会計年度

日本製鉄㈱

7,814,478千円

13.5%

当連結会計年度

日本製鉄㈱

9,404,628千円

18.0%

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。

プラント事業における受注工事高及び完成工事高の状況

a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越

工事高

(千円)

当期受注

工事高

(千円)

 

(千円)

当期完成

工事高

(千円)

次期繰越

工事高

(千円)

前事業年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

製鉄プラント

1,051,341

11,607,787

12,659,128

9,912,354

2,746,774

化学プラント

13,856,166

20,637,940

34,494,106

27,921,848

6,572,258

石油・天然ガスプラント

1,087,045

1,262,205

2,349,250

1,290,463

1,058,787

電力設備

2,189,032

1,156,881

3,345,913

2,037,978

1,307,935

エレクトロニクス関連設備・装置

4,035,541

8,550,599

12,586,140

7,154,768

5,431,372

社会インフラ設備

272,556

604,234

876,790

803,199

73,591

その他

534,112

1,625,479

2,159,591

1,706,352

453,239

23,025,793

45,445,125

68,470,918

50,826,962

17,643,956

当事業年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

製鉄プラント

2,746,774

13,932,815

16,679,589

11,442,876

5,236,713

化学プラント

6,572,258

19,077,474

25,649,732

20,805,779

4,843,953

石油・天然ガスプラント

1,058,787

2,288,630

3,347,417

1,377,178

1,970,239

電力設備

1,307,935

820,279

2,128,214

1,674,740

453,474

エレクトロニクス関連設備・装置

5,431,372

5,966,551

11,397,923

6,897,768

4,500,155

社会インフラ設備

73,591

571,996

645,587

370,628

274,959

その他

453,239

1,784,269

2,237,508

1,317,288

920,220

17,643,956

44,442,014

62,085,970

43,886,257

18,199,713

(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

建設工事

40.2

59.8

100.0

保全工事

94.9

5.1

100.0

当事業年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

建設工事

67.4

32.6

100.0

保全工事

94.2

5.8

100.0

(注) 百分比は請負金額比です。

 

c.完成工事高

期別

区分

国内

海外

(B)

(千円)

官公庁

(千円)

民間

(千円)

(A)

(千円)

(A)/(B)

(%)

前事業年度

(自 令和4年4月1日

 至 令和5年3月31日)

製鉄プラント

9,912,354

9,912,354

化学プラント

27,903,094

18,754

0.0

27,921,848

石油・天然ガスプラント

1,290,463

1,290,463

電力設備

2,037,978

2,037,978

エレクトロニクス関連設備・装置

7,154,768

7,154,768

社会インフラ設備

803,199

803,199

その他

1,706,352

1,706,352

50,808,208

18,754

0.0

50,826,962

当事業年度

(自 令和5年4月1日

 至 令和6年3月31日)

製鉄プラント

11,442,876

11,442,876

化学プラント

20,776,778

29,001

0.1

20,805,779

石油・天然ガスプラント

1,377,178

1,377,178

電力設備

1,674,740

1,674,740

エレクトロニクス関連設備・装置

6,897,768

6,897,768

社会インフラ設備

370,628

370,628

その他

1,317,288

1,317,288

43,857,256

29,001

0.1

43,886,257

(注)1 完成工事のうち主なものは、次のとおりです。

前事業年度

〇AGC㈱

鹿島工場2022年度有機課配管補修工事

〇三菱ケミカル㈱

茨城事業所2022年度定修工事

〇UBE㈱

宇部藤曲工場2022年度設備定検工事

〇住友化学㈱

千葉工場2022年袖Ⅱプラント設備工事

○JFEエンジニアリング㈱

㈱JERA袖ケ浦BOG圧縮機増設に伴うプロセス配管工事

当事業年度

〇エア・リキードグローバルE&C ソリューションズジャパン㈱

日本エア・リキード(同)窒素発生装置建設工事配管工事

〇出光興産㈱

千葉事業所2023年度エチレン課SDM工事

〇エア・リキードグローバルE&C

 ソリューションズジャパン㈱

日本エア・リキード(同)窒素発生装置オフサイト配管工事

〇旭化成㈱

水島製造所CKー1建設工事

○旭化成㈱

水島製造所2023年度ANプラントT定修工事

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。

前事業年度

日本製鉄㈱

7,814,478千円

15.4%

当事業年度

日本製鉄㈱

9,404,628千円

21.4%

 

d.次期繰越工事高(令和6年3月31日現在)

区分

国内

海外

(千円)

(千円)

官公庁

(千円)

民間

(千円)

製鉄プラント

5,236,713

5,236,713

化学プラント

4,839,151

4,802

4,843,953

石油・天然ガスプラント

1,970,239

1,970,239

電力設備

453,474

453,474

エレクトロニクス関連設備・装置

4,500,155

4,500,155

社会インフラ設備

274,959

274,959

その他

920,220

920,220

18,194,911

4,802

18,199,713

(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりです。

〇大成建設㈱

UBE㈱4BF建設工事

(令和6年6月完成予定)

○日本製鉄㈱

東日本製鉄所君津地区水素配管敷設工事

(令和8年2月完成予定)

 

○三菱ケミカルエンジニアリング㈱

Rapidus㈱千歳機械工事

(令和6年5月完成予定)

○九州電力㈱

玄海原子力発電所3/4号機緊急時対策棟設置に伴う配管工事

(令和6年11月完成予定)

○UBE㈱

宇部藤曲工場2024年度設備定検工事

(令和6年8月完成予定)

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、376億3千万円で前連結会計年度末より20億6千4百万円減少となりました。減少の主な要因は、有形固定資産が12億1千5百万円増加したものの、完成工事未収入金及び契約資産が35億3千万円減少したこと等によるものです。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は207億4千万円で、前連結会計年度末より28億8千1百万円減少となりました。減少の主な要因は、未払消費税等が18億7千1百万円増加したものの、支払手形・工事未払金等が51億5千8百万円減少したこと等によるものです。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は168億8千9百万円で、前連結会計年度末より8億1千6百万円増加となりました。増加の主な要因は、退職給付に係る調整累計額が3億5千1百万円、為替換算調整勘定が3億6百万円増加したこと等によるものです。

 

b.経営成績

(売上面)

売上面につきましては、製鉄プラントにおいてはカーボンニュートラル関連の建設工事が増加したものの、化学プラントにおいては定期修理工事のマイナー年(端境期)であることに加え、大型建設工事等が減少したことにより、連結売上高は56億2千4百万円減の522億5千7百万円(前連結会計年度比9.7%減)となりました。

(損益面)

損益面につきましては、コストダウンに努めたものの売上高の減少等に伴い、連結営業利益は2億7千9百万円減の24億円(前連結会計年度比10.4%減)、連結経常利益は3億3千4百万円減の23億8千5百万円(前連結会計年度比12.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2千2百万円増の16億6千8百万円(前連結会計年度比1.3%増)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金需要の主なものは、工事施工に伴う材料費、労務費、外注費、諸経費や、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものです。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は6,506,257千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,002,071千円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

5【経営上の重要な契約等】

優先株式の処理に関する基本合意書の締結について

 当社は令和5年11月6日開催の取締役会決議に基づき、株式会社福岡銀行が保有する当社優先株式の処理に関して、株主総会において承認いただくことを前提に、以下のとおり株式会社福岡銀行との間で基本合意書を締結いたしました。

(1)優先株式処理の目的

 当社は、平成15年に当社の債務超過解消のための金融支援として、株式会社福岡銀行より当社に対する貸付金50億円の現物出資を受けて、優先株式としてA種株式625万株を発行いたしました。また、平成21年には、普通株式の希薄化リスクを抑制することを目的として、A種株式625万株をB種株式500万株・C種株式125万株に転換のうえ、C種株式125万株については自己株式として取得し、B種株式500万株については内容を変更することにより、適切な処理を可能とするための定款変更を行いました。

 その後、これまでに当社は株式会社福岡銀行との協議のもと、優先株式の処理を進めてまいりました結果、残りの優先株式はB種株式150万株にまで減少いたしました。

 このような中、当社は株式会社福岡銀行との間で、令和5年11月6日付で優先株式の処理に関する基本合意書を締結いたしました。本基本合意書の目的は、当社の株主総会で、自己株式取得のための法令上必要とされる決議が承認可決されることを条件として、令和6年3月31日までに、残りの優先株式B種株式150万株全てを自己株式として、当社が取得のうえ消却することにより、普通株式の希薄化リスクを抑制することであります。

 

(2)基本合意の内容

・B種株式の取得

 当社は株式会社福岡銀行が保有する当社B種株式の全株式(150万株)を同行から取得いたします。

なお、取得したB種株式は取得後、消却いたします。

 

取得する株式の種類、株式数、1株当たりの取得価額、取得価額の総額

株式の種類

株式数

1株当たりの取得価額

取得価額の総額

B種株式

150万株

1,000円

15億円

※本件につきましては、令和6年1月26日開催の臨時株主総会における自己株式(優先株式)の取得決議を受け同総会終了後の取締役会においてB種株式の全株式(150万株)について株主である株式会社福岡銀行との合意により取得し消却を行うことを決議いたしましたなお当社は当該B種株式150株を令和6年2月2日に取得し同年2月5日に消却いたしました

 

6【研究開発活動】

当社グループは、装置事業において、半導体基板や電子部品を精密切断する超音波カッティング装置の研究開発に取組んでおります。

当連結会計年度の研究開発費は191百万円となっております。