①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
株式会社いい生活(以下「当社」という)は、先述の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」のもと、不動産会社の様々な経営課題を解決し、エンドユーザーに最善の顧客体験を提供する一連のITサービスを、SaaS(Software as a Service)として提供する事業を展開しています。
この「ミッション」を実現するためには当社がゴーイング・コンサーン(継続企業)として存続することが大前提であり、そのためには本質的な企業価値の継続的な向上が必要不可欠であります。そして企業価値の継続的向上を図るためには、中長期的に資本コストを上回る利益の創出、並びにキャッシュ・フローの継続的な創出が必要であり、その実現に必要な仕組みとして、より良い経営判断、意思決定を支えるためのコーポレートガバナンスの充実が重要と考えております。また、当社が事業を展開する社会的に新しい事業領域においてイノベーションを実現し、継続企業としての競争優位性を築きあげる為には、当社の各組織並びに各個人の自律性が不可欠でありますが、当社は事業を展開する上での価値基準及び行動規範として先述の「バリュー」を定めており、このバリューもガバナンスを有効に機能させるものと位置づけております。
当社は、「事業そのもの」で社会的課題の解決に挑んでおります。株主をはじめ顧客、従業員、不動産市場に関わる全ての人を「ステークホルダー」と見なし、それぞれの立場を踏まえた上で、公正かつ果断な意思決定を行うための仕組み作りとしてコーポレートガバナンス体制を充実させていく所存です。
②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は経営の機動的な意思決定・監督権限を強化し、業務分担と効率的な経営・執行体制の確立を図るために、監査等委員会設置会社を採用しております。また、当社は、株主に対する受託者責任を踏まえ独立した立場での経営監督機能についても重要と考えており、高い専門知識と豊富な経験を有している社外取締役を選任しております。加えて同社外取締役全員を東京証券取引所において独立役員として届け出ており、取締役会等において独立かつ客観的な立場から適宜意見を述べてもらうことで、当社は実効性の高い経営の監督体制を確保しています。
取締役会は、代表取締役社長CEOの前野善一を長として、中村清高、塩川拓行、北澤弘貴、松崎明、成本治男、伊藤耕一郎、神村大輔、戸塚隆将の9名で構成されております。このうち、成本氏、伊藤氏、神村氏、戸塚氏は社外取締役であります。監査等委員会は、監査等委員である成本治男、伊藤耕一郎、神村大輔、戸塚隆将の4名で構成されております。
会社の経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況を表す企業統治の体制図に関しては以下のとおりです。
③企業統治に関するその他の事項
(ⅰ)内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況
当社では、前述したとおり企業理念として「バリュー」を定め、経営の拠り所として、また全ての役員及び従業員の行動規範並びに価値基準として位置づけております。当社はこの「バリュー」の下、適正な業務執行のための体制を整備・構築し運用していくことが経営の重要な責務であることを認識し、以下の内部統制システムを定めております。
<取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制>
(a)当社は、企業の存続のためにはコンプライアンスの徹底が不可欠であると認識しております。法令遵守はもちろんのこと、当社の業務遂行上の「価値基準」でもある「バリュー」の推進に努め、「コンプライアンス規程」の遵守を徹底するとともに社内研修及び教育活動を通じて周知徹底を図るなど、企業倫理の確立に努めております。
(b)社長直属の内部監査室が、監査等委員会・会計監査人との連携・協力のもと内部監査を実施しており、業務の適法かつ適切な運営と内部管理の徹底を図っております。また随時、問題点や今後の課題などを社長に報告する体制を整備しております。
<取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制>
取締役の職務執行に係る情報は、法令、定款、及び「文書管理規程」「情報セキュリティ基本方針」等の社内規程、方針等に従い、文書(紙または電磁的媒体)に記録して適切に保管・管理する体制をとっております。取締役はこれらの文書を閲覧することができます。
当該文書には、株主総会議事録、取締役会議事録、監査等委員会議事録、経営会議議事録、これらの議事録の添付書類、その他取締役の職務の執行に関する重要な文書があります。
<損失の危険の管理に関する規程その他の体制>
(a)災害による損失、基幹システムの障害、役員及び使用人の不正等による重大な損失のリスクを認識し対応するための「リスク管理規程」を適切に運用するとともに、リスク管理体制の構築及び維持・整備に努めております。
(b)セキュリティに関する責任者としてチーフセキュリティオフィサーを設置し、代表取締役社長が定める情報セキュリティの基本方針及びサービスマネジメントの基本方針に従い、ITサービスマネジメント委員会及び各部門の代表者が参加するセキュリティコミッティにおいてセキュリティに関するリスク分析、対策の実施、情報交換等を行っております。
<取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制>
(a)当社は創業以来、的確かつ迅速な企業経営を重要課題と位置づけ、コーポレート・ガバナンス体制の充実、素早い意思決定と効率的な経営体制の構築に努めております。
(b)取締役会は少なくとも月に1回以上開催し、情報の共有及び意思の疎通を図り会社の重要事項を決議するとともに、各取締役の業務執行を監督しております。
(c)取締役会の下に常勤の取締役、執行役員及び本部長で構成される経営会議を設置し、原則として週1回以上開催しております。経営会議におきましては取締役会付議事項の事前検討、取締役会から委譲された権限の範囲内における様々な経営課題についての意思決定を行っております。
(d)取締役会は、経営組織、各取締役及び執行役員の職務分掌を定め、各取締役及び執行役員は職務分掌に基づき適切に業務を執行しております。
<当社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制>
(a)子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
当社は、子会社における重要事項を当社経営会議又は取締役会の付議事項とする旨「関係会社管理規程」に定めており、当該規程の適切な運用によって、当社は子会社の取締役等の職務の執行に係る事項について承認を行い、又は報告を受けております。
(b)子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社は、「関係会社管理規程」により、「リスク管理規程」を含む主な方針・規程を子会社にも適用する旨定めており、子会社は当社が定めるセキュリティに関する基準等及びリスク管理体制等の適用対象となっております。
(c)子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
(イ)取締役会は少なくとも月に1回以上開催し、情報の共有及び意思の疎通を図り会社の重要事項を決議するとともに、各取締役の業務執行を監督しております。
(ロ)当社は、子会社における重要事項を当社経営会議又は取締役会の付議事項とする旨「関係会社管理規程」に定めており、経営会議における意思決定を通じて、子会社における効率的な経営体制の構築に努めております。
(d)子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
当社と子会社は、企業集団として当社グループ共通の価値基準(「バリュー」)を共有し、一体性を有します。当社の内部監査室は、当社が定める「内部監査規程」に基づき、当社のみならず子会社も監査対象として内部監査を実施しております。
<監査等委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人に関する事項>
(a)1年に4回程度、監査等委員と代表取締役との定期的な意見交換会を実施するほか、取締役または経営会議といった会議体に限らず、取締役(監査等委員である取締役を除く。)より監査等委員に対して適宜情報提供を行っております。
(b)監査等委員会の下に監査等委員会事務局を設置し、監査等委員の職務を補助する使用人が業務にあたっております。
<前号の取締役及び使用人の取締役(監査等委員である取締役を除く。)からの独立性に関する事項並びに前号の取締役及び使用人に対する監査等委員会の指示の実効性の確保に関する事項>
(a)監査等委員会事務局の担当者は、監査等委員会より指示された業務の実施に関して、取締役(監査等委員である取締役を除く。)からの指示、命令を受けないこととしております。
(b)監査等委員会事務局の担当者の人事異動に関しては、事前に監査等委員会に報告し、その了承を得ることとしております。
(c)監査等委員会事務局の担当者は、監査等委員会に出席し、監査等委員会より指示された業務の実施内容及び結果につき報告を行うこととしております。
<監査等委員会への報告に関する体制>
(a)当社の取締役(監査等委員である取締役を除く。)及び使用人が監査等委員会に報告するための体制
(イ)監査等委員は可能な限り経営会議にも出席し、監査等委員会において他の監査等委員に対し経営会議における議題及び審議の経過を報告することとしております。
(ロ)取締役(監査等委員である取締役を除く。)及び執行役員は、会社の信用、業績等に重大な悪影響を与える事項、または重大な悪影響を与えるおそれのある事項が発覚したときには、速やかに監査等委員会に報告することとしております。
(b)子会社の取締役、監査役、業務を執行する社員及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者が監査等委員会に報告するための体制
(イ)監査等委員会は、「監査等委員会監査基準」に基づき、子会社に対して事業の報告を求めることとしております。
(ロ)当社は、子会社における重要事項を当社経営会議又は取締役会の付議事項とする旨「関係会社管理規程」に定めており、該当事項につきましては子会社より経営会議又は取締役会に対して報告されます。
(ハ)「関係会社管理規程」により、当社は「コンプライアンス・ホットライン」制度を子会社においても利用できることとしております。当該制度を利用して通報が行われた場合、当該通報内容は監査等委員会に通知され、監査等委員会において調査の可否に係る検討、調査の要請及び結果の受領、経営会議に対する通報内容及び結果概要の報告が行われる旨、「コンプライアンス・ホットライン運用管理規程」に定めております。
<前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制>
当社は「コンプライアンス・ホットライン運用管理規程」に基づき、前号の「コンプライアンス・ホットライン」制度を利用した通報者が不利益となる一切の行為を禁止しております。
<監査等委員の職務の執行(監査等委員会の職務の執行に限る。)について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項>
監査等委員は、職務の執行について生ずる費用については、「経理規程」等に基づき精算することとしています。
<その他監査等委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制>
(a)監査等委員は、可能な限り経営会議に出席し、重要事項の報告を受ける体制をとっております。
(b)監査等委員会は、会計監査人・内部監査室と連携・協力して監査を実施しております。
(c)1年に4回程度、監査等委員と代表取締役との定期的な意見交換会を実施することとしております。
<財務報告の信頼性及び適正性を確保するための体制>
当社は、財務報告の信頼性及び適正性を確保し、また金融商品取引法に定める内部統制評価制度への適切な対応を図るため、取締役会において財務報告に係る内部統制の整備及び運用に関する基本方針を定めております。また、内部統制システムの整備及び運用を行うとともに、当該システムが有効かつ適正に機能しているか継続的に評価を行い、不備に対する必要な是正措置を講じるものとしております。
<反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及び社内体制の整備状況>
当社は、社会の秩序や企業の健全な活動に脅威を与える反社会的勢力に対しては、その排除に努めるとともに毅然とした姿勢で組織的な対応を図り、取引関係等の一切の関係を持たない方針を堅持いたしております。
なお、反社会的勢力排除に対応するための部署及び対応マニュアルは設置済みでありますが、引続き社内体制の整備強化、及び警察等の外部機関や関連団体との連携等に今後も継続的に取り組んでまいります。
(ⅱ)リスク管理体制の整備の状況
経営全般に関するリスクについては、災害による損失、基幹システムの障害、役員・使用人の不正等による重大な損失のリスクを認識し対応するための「リスク管理規程」を適切に運用するとともに、リスク管理体制の構築及び維持・整備に努めております。
情報セキュリティ管理の体制につきましては、セキュリティに関する責任者としてチーフセキュリティオフィサーを設置し、代表取締役社長が定める情報セキュリティの基本方針およびサービスマネジメントの基本方針に従い、ITサービスマネジメント委員会および各部門の代表者が参加するセキュリティコミッティにおいてセキュリティに関するリスク分析、対策の実施、情報交換等を行っております。また、セキュリティ管理室において、情報セキュリティに関する規則、規定、細則等及び個人情報の保護に関する情報セキュリティ実施規定の作成並びに情報セキュリティ対策に関する計画の立案等を行っております。
当社では、社内基準に従い個人情報をはじめとする顧客の重要情報を管理し、その情報の外部漏洩防止に関して、情報資産に対するセキュリティ管理、情報管理に関する従業員への教育、外部委託先との機密保持契約などを行い、情報セキュリティマネジメントシステムの国際標準規格である「ISO/IEC27001(JIS Q 27001)」認証を東京本社、大阪支店、福岡支店及び名古屋支店において取得しており、情報セキュリティに関する意識の高揚と徹底を図っております。また、クラウドサービスに特有の情報セキュリティ対策に対応した国際標準規格である「ISO/IEC27017(JIS Q 27017)」認証についても取得しております。本認証を維持することで、クラウドサービスに固有のリスクについても管理を強化し、当社サービスの信頼性を確保してまいります。
(ⅲ)子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況
前述しました「(ⅰ)内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況 <当社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制>」欄における「子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制」、「子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制」、「子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」及び「子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」において記載のとおり、子会社の業務の適正を確保するための体制を整備しております。
(ⅳ)責任限定契約の内容の概要
当社と各社外取締役は、当社定款及び会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、会社法第425条第1項各号に定める金額の合計額であります。なお、当該責任限定が認められるのは、当該各社外取締役が責任の原因となった職務の遂行について善意でかつ重大な過失がないときに限られます。
(v)役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、取締役が業務に起因して損害賠償責任を負った場合における損害(ただし、保険契約上で定められた免責事由に該当するものを除く。)等をこれにより填補します。全ての取締役候補者は、選任され取締役に就任した場合、当該保険契約の被保険者となります。保険契約期間は1年間であり、当該期間の満了前に取締役会で決議の上更新する予定であります。なお保険料は、全額を当社が負担しております。
(ⅵ)取締役会における運営及び機能
取締役会は、常勤社内取締役(監査等委員である取締役を除く。)5名及び社外取締役(監査等委員)4名で構成され、少なくとも月に1回以上開催し、情報の共有及び意思の疎通を図り会社の重要事項を決議するとともに、各取締役の業務執行を監督しております。また、執行役員も出席し、情報の共有及び意思の疎通を図るなど内部統制のより一層の充実に努めております。
(a)取締役の定数
当社の取締役(監査等委員である取締役を除く。)は10名以内、監査等委員である取締役は5名以内とする旨を定款に定めております。
(b)取締役の選任及び解任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨及び累積投票によらないものとする旨を定款に定めております。解任の決議要件については、会社法と異なる別段の定めはありません。
(c)中間配当の決定機関
当社は、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当(中間配当金)について、株主総会の決議によらず取締役会の決議により定められる旨を定款に定めております。これは、中間配当の決定機関を取締役会とすることにより、当社を取り巻く事業環境や業績に応じて、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものであります。
(d)自己の株式の取得の決定機関
当社は、会社法第165条第2項の規定により、株主総会の決議によらず取締役会の決議をもって、自己の株式の取得をすることができる旨を定款に定めております。これは、自己の株式の取得を取締役会の権限とすることにより、機動的な資本政策を行うことを目的とするものであります。
(ⅶ)経営会議における運営及び機能
経営会議は、常勤社内取締役(監査等委員である取締役を除く。)、執行役員及び本部長で構成され、迅速な経営判断ができるように、原則として週1回以上開催しております。大小さまざまな経営課題について、議論を行う事で、変化の激しいIT業界に対応し、柔軟な経営戦略を可能とする体制を構築しております。又、社外取締役(監査等委員)も可能な限り出席し、本会議に関する重要事項の報告を受ける体制をとっております。
(ⅷ)その他
当連結会計年度におきましては当社は、取締役会を定時12回、臨時5回の計17回開催し、重要な業務執行の決定や経営の重要事項について審議を行いました。
また、重要な法務上、税務上及び会計上の課題については、適宜、弁護士、税理士及び公認会計士に相談しながら必要な検討を行っております。