当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「Don't Stop」 を社是とし、企業理念として掲げている「カスタマーファースト」、「イノベーション」、「バリューアップ」、「コンプライアンス」の四つの基本コンセプトの実現に向けた取り組みを継続的に実行し、かつ「止めない」ことを会社経営の基本方針としております。
当社グループは、「投資家の保護育成と顧客第一主義に努め、外国為替証拠金取引市場の健全な発展に寄与する」ことをビジネスミッションとして定めており、外国為替証拠金取引をコアビジネスと位置づけ事業を拡大する方針であります。
(2) 経営環境及び経営戦略等
当社グループは、外国為替証拠金取引事業をはじめとする「店頭デリバティブ取引」をビジネスの基軸に置き、経営資源を集中的に投下し、顧客基盤の拡大を図るなかで収益の拡大並びに事業の発展を目指してまいります。外国為替証拠金取引に関しましては、法令に遵守した商品の提供に加え、今後とも、法令の整備、改正等による規制強化あるいは激化する競合環境のなかで競争優位性を確立するために、商品性の向上や情報、チャートなど各種ツールの洗練化、新サービスの提案などを継続的、積極的に行うとともに、取引システムの一層の安定化に努めてまいります。また、「店頭デリバティブ取引」の特性を活かした商品デリバティブ取引や暗号資産関連デリバティブ取引にかかるサービスを拡充し、外国為替証拠金取引事業に次ぐ収益事業の確立に努めてまいります。
更に、顧客から信頼され、安心してお取引いただける企業グループとしての認知を獲得できるよう、上記の事業戦略を推進するとともに、コンプライアンス体制の維持、向上並びに内部統制と一体化したリスク管理体制によるコーポレート・ガバナンスを推進してまいる所存であります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の最大化のため自己資本を効率的に活用することを重視しております。このために効率的な収益構造の実現を目指してまいります。これらの効率性を計る尺度として、自己資本利益率(ROE)及び営業収益経常利益率を重要な経営指標として位置づけております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、外国為替証拠金取引の専門企業集団としての強みを活かすことにより、外国為替証拠金取引をはじめとする「店頭デリバティブ取引」市場における競争優位性を確保すること及び次への成長に向け新たな収益基盤の拡充を図ることを事業展開の重要目標と位置づけ、経営に取り組んでおります。このような認識の上に立ち、当社グループといたしましては、以下の課題に取り組んでまいる方針であります。
① ブランドロイヤリティの確立、強化について
当社グループは、競争が激化する外国為替証拠金取引をはじめとする「店頭デリバティブ取引」市場において競争優位性を確保するためには、顧客に提供する商品、サービスにおいて優位性を確保することのみならず、顧客からの信頼感、安心感をブランドとして浸透させることが重要であると認識しております。
このため、当社グループでは、直接的なブランディング施策のほか、外国為替証拠金取引に係るお客様への提示スプレッドおよびスワップポイントの競争力強化や他の「店頭デリバティブ取引」商品ラインナップの拡大、取引端末のマルチチャネル化とスマホへの対応の強化、コールセンター業務のクオリティアップ等、顧客の視点に立った商品、サービスの提供に努め、外国為替証拠金取引システムの安定稼働のための諸施策の実施に努めた上で、これらの取り組みを適時適切な手段で情報発信することにより、ブランドロイヤリティの確立、強化を図ってまいります。
② 外国為替証拠金取引システムの安定稼働について
当社グループにおいては、外国為替証拠金取引の100%がオンラインシステムにより提供されており、外国為替証拠金取引システムの安定稼働は、重要な課題の一つであると認識しております。このため、増加する取引量に対応して、適切なキャパシティプランニングに基づいた外国為替証拠金取引システムの継続的な改良、増強を基幹システムの大規模更新を含め実施し処理能力の増強を図るほか、災害や大規模なシステム障害等の有事に備える等、事業継続計画の確立に努めてまいります。
③ 顧客基盤の拡充について
当社グループは、基軸事業である外国為替証拠金取引を含む「店頭デリバティブ取引」へ経営資源を集中させ、既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図ってまいります。
基軸事業である外国為替証拠金取引においては、業界最狭水準のスプレッド提示による顧客基盤の拡大を企図する営業戦略の下、商品性を洗練化し向上させることで、競争力強化と収益性の向上を目指してまいります。
また、暗号資産分野においては、2021年12月より開始した暗号資産現物を取り扱わない暗号資産関連店頭デリバティブ取引(CFD)の提供により、多様化する顧客・投資家のニーズにも応えてまいります。
④ 新商品の開発と収益の多様化について
当社グループは、外国為替証拠金取引の専門企業集団として、これまで外国為替証拠金取引における営業施策に注力してまいりましたため、収益の大部分を外国為替証拠金取引に係るトレーディング収益に依存しております。今後、環境の変化や顧客ニーズの変化に対しても安定的に収益を計上できるよう、また、今後の成長を図る上でも、取扱商品やサービスを多様化することにより収益基盤を拡充することは、当社グループの重要な課題の一つであると認識しております。
このため、外国為替証拠金取引事業をはじめとする「店頭デリバティブ取引」にビジネスの基軸を置き、経営資源を集中的に投下し、顧客基盤の拡大を図るなかで収益の拡大並びに事業の発展を目指してまいります。
暗号資産分野においては、暗号資産現物を取り扱わない暗号資産関連店頭デリバティブ取引(CFD)を提供しております。外国為替証拠金取引及び店頭商品デリバティブ取引(CFD-Metals)にかかる知見を融合させ、既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図ってまいります。
⑤ コンプライアンス態勢の確立について
当社グループの扱う外国為替証拠金取引は、ハイリスク・ハイリターン型の金融商品であり、金融商品取引法や金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律により、顧客の適合性を厳格に審査し、十分な商品説明やリスク説明を行うことや不招請勧誘及び断定的判断の提供の禁止等が義務付けられております。また、金融商品取引業の内容について宣伝広告を掲載する場合には、表示等について厳しく規制されております。
当社グループでは、コンプライアンスを重要な課題の一つであると認識し、「コンプライアンス基本方針」及び「コンプライアンス・ガイドライン」を制定して金融商品取引法、その他関連法令に準拠したコンプライアンス態勢の強化を図っております。今後においても、コンプライアンス・プログラムに基づき、役職員に対する「コンプライアンス・ガイドライン」の周知徹底、教育、啓蒙活動をはじめとする施策を実施し、コンプライアンス態勢の確立を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
マネーパートナーズグループのサステナビリティ
1. サステナビリティの基本的な考え方
当社グループは、企業を自律的かつ社会的な公器と考え、ステークホルダーへの説明責任と企業の社会的責任を果たす中で、企業統治の目的である企業価値の最大化に努めてまいります。そのためには企業の持続可能性を確保することが不可欠であるとの認識に立ち、法令遵守体制の強化ならびに内部統制、内部管理体制の強化に努める所存であります。
2. お客様保護について
グループ各社においては、お客様の知識、経験、財産の状況および投資の目的を踏まえた上で、適切な勧誘、説明を行い、お客様からの相談、苦情に対して真摯に対応しカスタマーファーストを貫いてまいります。また、当社グループ会社である株式会社マネーパートナーズ(以下、「金融子会社」という。)においては、お客様情報の漏洩、滅失又は毀損の防止を図り、お客様資産の分別管理を徹底いたします。特に、不招請勧誘の禁止や広告規制等の行為規制につき、お客様保護の立場を鮮明にし、これを遵守いたします。これまでにも増して、こうしたお客様保護を重視した適正な業務運営体制の構築に努めてまいります。
3. 適正な経営管理(ガバナンス)体制の構築について
当社グループは、法令遵守やリスク管理を徹底し業務の適正性や財務の健全性を維持、向上させるために、経営幹部の法令遵守意識の高度化を図り、取締役会や各機関の経営チェック機能、グループ各社間ならびに各部門間の牽制、内部監査機能の適切な発揮など、組織構成要素の活性化を促すことにより経営管理体制の強化に努めてまいります。
4. リスク管理体制の強化について
当社グループは、企業の健全性を維持すべくリスク管理を経営の重要課題と位置づけ、各種リスクをその特性に応じて適切に管理するために、「リスク管理規程」を制定して組織、体制を明確化し、管理すべきリスクのカテゴリーごとに所管部署を定めてリスク管理を強化いたします。また、リスク管理機能が適切に機能するために内部監査部門の強化を図ってまいります。
5. システム管理体制の適切性確保について
当社グループの金融子会社は、コンピュータ・システムを利用した外国為替証拠金取引を業務の中心としておりますが、顧客取引や業務運営等に影響を与えるシステム障害発生防止のために、システム管理体制の更なる強化に努め、その適切性を確保いたします。また、システム障害が発生する場合を事前に想定したコンテンジェンシープランを作成し事態に備える一方、事後も原因分析、即時改善を可能にする体制を構築し再発防止に努める所存であります。
(2)戦略
当社グループは「Don't Stop」という社是の下、事業活動の持続可能性を重要な経営課題と認識しております。
当社は、中長期的な企業価値の向上のため、事業活動の持続可能性につきESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))の3つの観点から整理し、各課題への取組みを推進しております。
a.環境 環境関連の法令を遵守し、省エネルギー等を推進し、環境負荷の低減に努める
b.社会 イノベーション、変革をもたらす人材の育成、強化を図る
c.ガバナンス 業務執行の管理・監督機能の強化
なお、当社のコーポレート・ガバナンスの概要は「
(3)リスク管理
当社グループは、取締役及び取締役会による経営管理、リスク管理を徹底して行い企業価値の維持、向上に努めております。また、経営危機管理規程において経営上のリスク管理に関する基本方針及び体制について定め、各種リスクをその特性に応じて適切に管理するために、「リスク管理規程」を制定し、これに基づくリスク管理体制を整備、構築しております。
(4)指標及び目標
(気候変動)
当社グループは、主としてインターネットを通じた外国為替証拠金取引にかかる事業を営んでおりますが、現時点ではTCFD提言の求める2℃目標等の気候シナリオが当社の事業活動や収益等に直接的かつ重大な影響を及ぼすことは想定されていないため、データ収集や分析にかかる取組みは行っておりません。もっとも、気候変動リスクが中長期的に金融システム全体の安定を損なう恐れがあることを踏まえ、当社の事業規模や事業内容に即した気候変動問題への対処について検討してまいります。
(人的資本)
人材への投資により当社グループの成長戦略を担う人材の育成・強化を推進し、当社グループの企業価値の向上に取組んでおります。グループ企業組織間の連携強化による多様なリソース・知見の融合、次世代のリーダーの育成、人事評価、報酬制度の発展、ITを活用した業務プロセスや業務システムの改革による生産性の向上及び在宅勤務の導入による働き方の多様化等の取組みを継続することで、イノベーション、変革をもたらす人材の育成、強化を図り、成長の原動力となる多様なバックグラウンドを持つ人材への投資により事業の成長を加速させるべく取り組んでまいります。
当社グループは連結従業員数が89名(2024年3月末時点)となっており、女性管理職比率等の指標については入退社の状況による変動が大きく、当社グループの状況を表す指標として適切ではないと考え、現時点では数値目標を設定しておらず、公表も行っておりません。当社の規模や事業内容等に即した指標の在り方に関しては引き続き検討してまいります。
以下において、当社及び当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると考えられる主な事項及び当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項を記載しております。
このため、当社グループが認識しているリスクのすべてを網羅しているものではありません。当社グループは、こうしたリスクを認識した上で、事態の発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 子会社の管理体制について
当社は、当社グループの持株会社として、子会社の事業運営に関しての管理監督責任を有しており、そのため当社グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制やリスク管理態勢、コンプライアンス態勢の継続的な強化を図り、当社グループの財務の健全性及び業務の適切性を確保しております。
しかしながら、将来何らかの理由によりこれらの体制(態勢)が機能しなくなった場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 法的規制について
当社は、金融商品取引業、商品先物取引業及び資金移動業を営む株式会社マネーパートナーズ(以下「マネーパートナーズ」という。)を連結子会社に有しており、同社をはじめとして当社グループは金融商品取引法等の法的規制を受けております。
① 金融商品取引法について
当社グループは、金融商品取引業を営んでおり、金融商品取引法第29条に基づく登録を受け、金融商品取引法、関連政令、府令等の諸法令に服して事業活動を行っております。金融商品取引業については、金融商品取引法第52条第1項及び第4項もしくは同法第53条第3項、同法第54条にて登録の取消となる要件が定められており、これらに該当した場合、登録が取消となる可能性があります。
当社グループは、子会社を含むグループ全体の社内体制の整備等を実施し、法令遵守の徹底を図っており、現時点では取消事由に該当する事実はありません。
しかしながら、将来何らかの理由により監督官庁から登録の取消等の行政処分を受けることになった場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
イ 自己資本規制比率について
金融商品取引業者には、金融商品取引法第46条の6に基づき自己資本規制比率の制度が設けられております。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本の、保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生しうる危険の額に対応する額として内閣府令で定める額の合計に対する比率をいいます(金融商品取引法第46条の6第1項)。金融商品取引業者は、自己資本規制比率が120%を下回ることのないようにしなければならず(金融商品取引法第46条の6第2項)、金融庁長官は金融商品取引業者に対し、その自己資本規制比率が120%を下回るときには業務方法の変更を命ずること、また、100%を下回るときには3ヶ月以内の期間、業務の停止を命ずる事ができ、更に業務停止後3ヶ月を経過しても100%を下回り、かつ、回復の見込みがないと認められるときは、金融商品取引業者の登録を取り消すことができるとされております(金融商品取引法第53条)。
なお、マネーパートナーズの自己資本規制比率は、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)業務の状況 ⑥自己資本規制比率」に記載のとおりであり、上記の法令上の自己資本規制比率の必要水準を十分に上回る比率を維持しております。
しかしながら、今後上記要件に抵触した場合には、監督官庁による行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
ロ 顧客預り資産の分別管理及び区分管理について
当社グループは、デリバティブ取引である外国為替証拠金取引及び外国為替証拠金取引の代用有価証券取扱サービス等を目的として有価証券関連取引を取り扱っております。金融商品取引業者は、顧客資産が適切かつ円滑に返還されるよう、これらの取引に際して顧客から預託を受けた金銭についての管理が義務付けられており、外国為替証拠金取引については金融商品取引法第43条の3第1項の規定に基づく区分管理義務が、有価証券関連取引については金融商品取引法第43条の2第2項の規定に基づく分別管理義務がそれぞれ課せられております。当社グループは、前者については取引銀行2行と、後者については信託銀行1行とそれぞれ信託契約を締結し、顧客からの預り資産について金銭信託による保全を行う等、法令が要請する管理義務を充足しております。
しかしながら、今後、これに抵触する事態が生じた場合、又は法令等の改正により、現在の管理方法が適合しなくなり、速やかに適合する管理方法へ移行できなかった場合には、業務停止や登録取消等の行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
ハ 規制強化について
金融庁は、店頭外国為替証拠金取引業者の決済リスクが顧客やカバー取引先のみならず外国為替市場や金融システムへ影響を与える可能性があることから、金融商品取引業等に関する内閣府令等を改正し、店頭外国為替証拠金取引業者に対して2020年1月1日より金融商品取引業協会の規則に基づくストレステストの実施並びにストレステストの結果、必要に応じて経営の健全性を確保するための措置をとることを義務付けました。
当社グループとしては、現在示されているストレステストの内容を実施した場合でも、上記の経営の健全性を確保するための追加的措置を講じる必要が生じるような結果にはならないものと認識しておりますが、今後の業容の拡大や事業環境の変化もしくはストレステスト自体の内容の変更により、追加的措置をとらざるを得ない事態に至る可能性があり、この場合の追加的措置には、現在当社グループが提供している外国為替証拠金取引における証拠金倍率の引き下げも含まれ得るものと考えられます。
当社グループとしては、継続的な資本の充実やリスク管理体制の強化等を通じて上記のような事態に至らないよう努めてまいりますが、外国為替証拠金取引の証拠金倍率等に追加的制限を加えることを余儀なくされるような事態に至った場合、その制限の内容によっては当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
② 外国為替及び外国貿易法について
当社グループが事業として提供する外国為替証拠金取引は、外国為替及び外国貿易法第55条の3第1項第4号の規定により想定元本額が1億円を超える取引について財務大臣への報告が義務付けられております。
当社グループは、翌月の20日までに毎月「資本取引に関する一括報告書」を財務大臣に提出し、法令を遵守しておりますが、上記報告を行わなかった場合には、6ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金(外国為替及び外国貿易法第71条)が科せられる可能性があり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
③ 金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律並びに消費者契約法について
金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律は、金融商品の販売等に際して顧客の保護を図るため、金融商品販売業者等の説明義務及びかかる説明義務を怠ったことにより顧客に生じた損害の賠償責任並びに金融商品販売業者が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定めております。
また、消費者契約法は、消費者契約における消費者と事業者との間に存在する構造的な情報の質及び量並びに交渉力の格差(総じて情報の非対称性)に着目し、一定の条件下において、消費者が契約の効力を否定することができる旨を定めております。
当社グループでは、かかる法律への違反防止のための内部管理体制を整備しており、これまでこれらの法律に抵触した事実はありません。
しかしながら、今後、これらに抵触する事態が生じた場合、業務停止や登録取消等の行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
④ 個人情報の保護に関する法律(以下、「個人情報保護法」という。)について
当社グループの個人情報保護態勢は、個人情報保護法の精神に則り、2007年6月に認定されたプライバシーマーク(JISQ15001:2017)のコンプライアンス・プログラムに基づき制定された各種規程により運用されております。マネーパートナーズは、顧客又は取引先の氏名、電話番号、銀行口座等の個人情報を取り扱っており、個人情報の管理は「個人データ管理台帳」により行われております。とりわけ顧客の個人情報を保存しているサーバは、生体認証を含む堅牢なセキュリティで保護された外部データセンターにおいて、登録者のみ入館を許可される態勢で保護されております。また、ネットワークシステムにつきましては、外部からのアクセスに対するファイアウォール、アクセス権限付与による制限、データアクセスの常時監視、メール送受信記録及び内容の保管、記録メディアの社内のPCでの使用禁止等によりセキュリティを確保しております。
また、当社グループのオフィスエリアの入退室はセキュリティカードで管理しており、来訪者が入室する場合には、専用ストラップの着用及び入室カードへの記入によりセキュリティの維持を行っております。さらに、各部署の個人情報管理者が日常業務において特に「情報セキュリティ規程」等の遵守を指導するほか、個人情報保護教育責任者により、年に1回以上個人情報保護に関する教育を全役職員に実施する等、個人情報漏洩事故等の防止に努めております。
このように当社グループは、個人情報の適正な保護のため、全役職員への教育、啓蒙活動及び管理体制の整備に努めておりますが、不正アクセスや内部管理体制の瑕疵等により個人情報が漏洩した場合には、監督官庁からの処分や損害賠償請求を受けると同時に社会的な信用を失う恐れがあり、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
⑤ 犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、「犯罪収益移転防止法」という。)について
犯罪収益移転防止法は、金融機関に対し本人確認を義務づけ、顧客の取引時確認及び記録の保存、顧客管理体制の整備を促すことにより、テロ資金や犯罪収益の追跡のための情報確保とテロ資金供与及びマネー・ロンダリング等の利用防止を目的としております。
当社グループは、同法の定めに基づき取引時確認を実施するとともに、確認記録及び取引記録を保存しております。
しかしながら、当社グループの業務方法が同法に適合しないという事態が発生した場合には、監督官庁による行政処分や刑事罰等を受けることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
⑥ 商品先物取引法について
当社グループは、商品先物取引業を営んでおり、商品先物取引法第190条第1項に基づく許可を受け、商品先物取引法、関連政令、省令等の諸法令に服して事業活動を行っております。商品先物取引業については、商品先物取引法第235条第3項もしくは同法第236条第1項にて許可の取消となる要件が定められており、これらに該当した場合、許可が取消となる可能性があります。
当社グループは、子会社を含むグループ全体の社内体制の整備等を実施し、法令遵守の徹底を図っており、現時点では取消事由に該当する事実はありません。また、現時点においては、商品先物取引業に係る業務は当社グループの経営成績及び財政状態等に対して重要性を生じるに至っておりません。
しかしながら、今後上記要件に抵触した場合には、監督官庁による行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
⑦ 暴力団排除条例について
2011年10月1日に東京都暴力団排除条例が施行されたほか、各自治体において同様の条例が施行されております。これらの条例には、事業者が事業に関して締結する契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認められる場合等に、契約の相手方が暴力団関係者でないかを確認するよう努めること、事業者がその行う事業に係る契約を書面により締結する場合においては特約条項を書面に定めるよう努めることが規定されております。努力義務とされている当該規定について、当社グループでは契約に当たって外国為替証拠金取引に係る一般顧客も含めて、契約の相手方についての審査の実施、暴力団等ではないことの誓約書の提出あるいは契約書面における特約条項の整備等を行っております。
しかしながら、審査体制の不備等により意図せず暴力団等との取引が行われた場合に、重要な契約の解除や補償問題等が発生することがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(3) 業績等について
① 外国為替証拠金取引における競争激化について
当社グループは、顧客との相対取引による外国為替証拠金取引を行っておりますが、その一方で、東京金融取引所の「くりっく365」等、取引所取引による外国為替証拠金取引について、株式取引等と同様の取引所取引という安心感、認知度が評価され、取引所取引による外国為替証拠金取引が今後シェアを拡大する可能性があります。当社グループは、提示レートの変更を継続的に瞬時に行う等、結果としてより有利なレートの得られる機会がある相対取引での優位性を堅持し、相対取引市場の拡大に努めてまいりたいと考えております。
しかしながら、今後取引所取引が極端にシェアを拡大することとなった場合、当社グループの相対取引による外国為替証拠金取引の相対的なシェアは低下し、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
また、外国為替証拠金取引業界の健全化や「貯蓄から投資へ」の流れの中で、一般投資家の外貨への直接投資に対する関心の高まりや外国為替証拠金取引市場の拡大により、ビジネスチャンスを求めて銀行、証券会社、外資系企業、IT系企業等の多様な業種から市場参入が続いております。当社グループは、これらの競争環境において、外国為替証拠金取引システムの強化、約定拒否やスリッページ(顧客の注文レートと実際の約定レートの差異)の排除をはじめとする商品性の差別化等により顧客基盤の拡大に努めてまいりたいと考えております。
しかしながら、競争の激化に伴い、当社グループの外国為替証拠金取引のシェアの低下や新たに顧客を獲得するために必要な1口座当たりの費用が増加することも考えられます。そうした場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
② 収益構造について
当社グループは、顧客の利便性、顧客満足度の向上を目指し、2006年7月17日にインターネットにおける外国為替証拠金取引における取引手数料の完全無料化及び建玉必要証拠金の半額化により、顧客の外国為替証拠金取引における取引コストを低減させ、顧客の投資効率を上げてまいりました。この結果、顧客口座数、顧客預り証拠金とも急増し、当社グループの顧客基盤が大きく拡大したことで、当社グループの収益構造は、従来の手数料収益に依存した構造から売買収益が中心となる構造へ大きく転換いたしました。このため、現在の当社グループの営業収益は、顧客による外国為替証拠金取引及びそれに伴うカバー取引等によって得られる売買収益が中心となっております。
しかしながら、計画どおりに収益のベースとなる顧客基盤が拡大しない等の要因により、外国為替証拠金取引高等が伸び悩んだ場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
さらに、当社グループが提供する外国為替証拠金取引は、取引の担保として差し入れる証拠金に対してレバレッジの掛かった金融デリバティブ商品であり、為替相場の変動により、当社グループの顧客の損益や取引高に多大な影響を与える可能性があります。
このように、相場変動が当社グループの顧客に不利に働き、損失が拡大することにより、投資意欲に減退が生じた場合には、外国為替証拠金取引高は減少し、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
③ 証券業への参入について
当社グループは、2008年3月24日付で、金融商品取引法第31条に基づき、金融商品取引業の業務種別変更の登録を受けました。旧証券取引法に規定されていた「証券業」のうち有価証券取引等の売買等を行う業務であり、日本証券業協会への加入等所定の手続きを経て、有価証券の取扱い業務を開始いたしました。
これにより、外国為替証拠金取引において現金以外に有価証券を担保とした取引サービスも可能となり、顧客基盤の拡大に寄与しております。当社グループは、顧客利便性の一層の拡大を図るため、上記の取引サービスに加え、2010年7月には有価証券の新規買付の取扱いを開始するなど証券業務を順次拡大するため更なるシステムの強化、改善を進めております。証券業において求められる社内体制や業務方法等の不備により、監督官庁から処分を受ける可能性があり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
④ 暗号資産関連店頭デリバティブ取引(暗号資産CFD)の提供の開始について
当社グループは、2021年12月6日付で、暗号資産CFDの提供を開始いたしました。暗号資産CFDは、暗号資産(現物)を取り扱わないため、顧客の資産がサイバー攻撃等によるハッキング・盗難・その他の理由により不正に流出するリスクはありません。リスク及びリスクが顕在化した場合における影響等は、金融商品取引法における第一種金融商品取引業の登録取消リスク、システム開発及びシステム障害に係るリスク、カウンターパーティに係るリスク等、当社グループの主力サービスであるインターネットを通じた店頭デリバティブ取引の外国為替証拠金取引と共通するものとなります。
(4) 人員体制について
当社グループは、2005年6月10日に設立されて以来、各部門の組織体制の構築や必要とされる人員体制の整備に全力をあげてまいりました。今後は、社内教育、研修制度の充実を図ることにより、従業員の定着化や組織体制の強化に努めてまいります。
しかしながら、従業員の定着化や優秀な人材の確保が計画どおり進まなかった場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(5) 今後の事業方針
当社グループでは、外国為替証拠金取引を巡る競合他社との競争が一層厳しくなる環境を十分に認識し、今後の事業方針として、外国為替証拠金取引オンライン取引システムにおける競争優位性を確保すること及び次の成長に向けて新たな収益基盤の拡充を図ることを目標に、積極的なブランディング政策の展開とブランドロイヤリティの確立、顧客セグメントの明確化による顧客基盤の拡充、新商品、新サービスによる収益源の多様化、そしてコンプライアンス態勢、内部管理体制の強化による信頼性の確保を経営の重要課題として事業展開しております。
今後もこの方針に沿った施策に取り組む方針でありますが、これらの施策が必ずしも期待どおりに達成されなかった場合や、顧客のニーズや市場環境に適合できず、方針の転換を余儀なくされた場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(6) コンピュータシステムについて
① システム障害について
当社グループのコンピュータシステムは外国為替証拠金取引における顧客向けフロントシステム、勘定帳票系バックシステム、ディーラーの補助を主な目的とするミドルシステム及び人事、経理システム等内部管理の情報系システムから構成されておりますが、特に外国為替証拠金取引システムの安定稼働は経営の最重要課題の一つと認識しており、継続的なアプリケーション及びハードウエアの増強を実施し、顧客利便性の向上とシステムの堅牢化、安定性の確保に努めております。保守管理につきましては、当社の子会社である株式会社マネーパートナーズソリューションズに委託する一方で、社内システム要員による監視、管理体制を整えております。サーバ等コンピュータシステムは、セキュリティ上信頼性の高い外部データセンターに設置しており、バックアップシステムの整備や回線の多重化等の整備を行い、危機管理体制を整備しております。
しかしながら、これらシステムに、ハードウエア、ソフトウエアの不具合、人為的ミス、通信回線の障害、コンピュータウィルス、サイバーテロの他、災害等によって障害が発生し機能不全に陥り事業活動に支障をきたす場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループの扱う業務は、その全て又は一部をコンピュータシステムに依存しており、アクセス数の急激な増加、取引注文の想定外の集中等によりシステム障害が生じ、顧客取引の処理を適切に行えない場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
② システム開発について
当社グループでは、外国為替証拠金取引市場における競争優位性を確保していくため、独創的で差別化された取引サービスの提供とトレードシステムのインフラ整備、強化を最優先課題の一つと認識し、積極的に経営資源を投入し他社との差別化を図っております。当社グループは今後、外国為替証拠金取引システム基幹系において、1)顧客増加と約定件数増加に対するサーバ増強、2)瞬間約定処理能力向上のための基幹エンジン強化、3)CRM(注1)を含む業務処理能力アップ等のシステム開発を行ってまいります。また、フロントのアプリケーションソフトとして外国為替証拠金取引におけるアクティブ投資家層向け及びビギナー層向けフロントシステムの開発を行い、多様な顧客ニーズに対応するなかで顧客基盤の拡大、強化に結び付けていく考えでおります。加えて、収益源の多様化と新たな成長分野の開拓に向けたOTC(注2)システムの開発を行っております。
しかしながら、こうしたシステム開発が計画どおりに進まずシステム投資の額が想定を超えて多額になった場合、また、当初予想していたとおりの投資効果が得られず損失を蒙った場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(注)1.CRMは、「Customer Relationship Management」の略であり、「一人ひとりの顧客ニーズ」を中心に考えたマーケティング手法のことであります。
2.OTCは、「Over The Counter」の略であり、「店頭相対取引」又はその対象のことであります。
③ 電力不足の懸念について
当社グループでは、電力不足による電力供給制限等がなされた場合に備え、事業継続計画に基づいてデータセンターもしくは本社事務所ビルにおける自家発電による電力供給の確保等の対策の推進により、電力不足やその他災害等による停電があった場合でも、直ちにはコンピュータシステムの運用に影響を与えることのないよう体制を整備しております。
しかしながら、電力不足の深刻化等により電力供給が制限され、かつ自家発電による電力供給能力が全面的にもしくは部分的に機能しなくなるような事態が発生した場合には、当社グループのコンピュータシステムが機能不全に陥り事業活動に重大な支障が生じ、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(7) カウンターパーティについて
当社グループが提供する外国為替証拠金取引をはじめとする店頭デリバティブ取引は、顧客と当社グループによる相対取引であります。当社グループは、これらの取引をリスクヘッジするため、カウンターパーティとも相対取引を行っております。カウンターパーティについては取引開始時の審査及び取引開始後のモニタリングを行うことでリスク回避の措置を講じるとともに、取引先リスク等を分散するために日米欧において実績のある銀行、証券会社等複数のカウンターパーティと取引を行っております。
しかしながら、当該カウンターパーティがシステム障害その他の理由で機能不全に陥った場合には、顧客に対するポジションのリスクヘッジが実行できない可能性があります。また、カウンターパーティに財政状態の悪化や法的整理などの事態が発生した場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(8) 相場の急激な変動による当社グループの業績への影響について
当社グループが提供する外国為替証拠金取引において、顧客が当社グループが提示する為替レートによる取引を行った場合には、外国為替に係る自己売買ポジションが発生いたします。従いまして、当社グループの自己売買ポジションは、外国為替証拠金取引による顧客からの売買取引によりその都度発生いたしますが、当社グループではカウンターパーティとのカバー取引により、自己売買ポジションを速やかにヘッジすることに努め、自己売買ポジションの為替変動リスクを回避しております。
しかしながら、何らかの突発的な事象を材料に為替相場が短時間のうちに急激に変動した場合には、当社グループがカウンターパーティに対し、自己売買ポジションのカバー取引が行えない可能性があり、その際には当社グループ自身が為替変動リスクを負うことになります。こうした想定外の事態が発生した場合には、ポジションによっては多大な損失を蒙る可能性があり、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループではロスカット制度を採用しており、顧客に損失が発生した場合でも預り証拠金の範囲内に損失額が収まるように、顧客の与信リスク管理には万全を期しておりますが、為替相場の急変等により顧客に多大な損失が発生した場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(9) 株式及び株主について
① 大株主について
2024年3月31日現在の株主名簿によれば、株式会社大和証券グループ本社は当社株式を6,029,100株(議決権比率18.49%、大株主第1位)を保有しております。
同社は、グループ会社を通じて当社グループと同様に外国為替証拠金取引業務もしくは外国為替取引業務等を行っており、当社グループと現在競合しています。現状では、同社は当社株主として当社グループと友好な関係にありますが、今後の事業環境、経営戦略によっては関係に変化が生じる可能性があります。
② ストック・オプション制度について
2024年3月31日現在、行使期間中にある発行されているストック・オプションはございません。
なお、今後において当社グループの業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、新株予約権の発行を行う可能性があり、追加された新株予約権の付与は1株当たりの株式価値の一層の希薄化を招く可能性があります。
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い経済活動の正常化が進む一方、長引くウクライナ情勢の緊迫やパレスチナ情勢の悪化、資源価格の高騰やインフレ率の上昇に伴う世界的な金融引き締め政策の継続による海外景気の下振れリスク等により、依然として先行き不透明な状況が継続しております。
外国為替市場において、1ドル=133円台前半で期初取引が始まった米ドル/円相場は、4月5日には米3月ISM製造業景気指数が弱い結果となったことや米金利が低下したことを受け、米ドルは下落し一時130円台半ば(期中安値)を付けました。5月25日発表の米経済指標の強い結果等により30日には一時140円台後半を付け、6月30日には米ドルは一時145円台前半まで上昇しました。日銀による金融緩和政策の修正に対する警戒感と米国のインフレ鈍化に対する期待感が相まって、7月14日に米ドルは一時137円台前半まで下落するも月末には142円台前半まで値を戻し、8月以降は米金利の底堅さ等からじり高の展開となり、10月3日には米8月雇用動態調査(JOLTS)求人件数の強い結果を受けて米ドルは150円台前半まで上昇、直後に日本政府による為替介入への警戒感などから一時147円台半ばまで急落するも、直ぐに149円台前半まで値を戻しました。11月も相場は米ドル買いで推移し一時151円台後半を付けました。12月は大幅なドル安・円高での推移となり、月間の値幅(高値と安値の差)は2023年3月以来となる8円超えとなりました。7日に日銀が早期にマイナス金利政策の解除に動くとの見方から147円台前半から一時141円台後半まで米ドルは急落し当日の値幅は5.7円まで拡大しました。1月に入ると、1日に発生した能登半島地震の影響で日銀の1月会合でのマイナス金利政策解除の観測が後退したこと等により米ドル/円相場は反転。米ドルは上昇傾向で推移し19日には148円台後半まで上昇し、2月に入っても13日にFRBによる早期利下げ観測が後退したこと等により14日には一時150円台後半まで上昇しました。3月8日には一時146円台半ばまで下落しましたが、19日に日銀が金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除など大規模緩和の修正を決定しましたが緩和的な金融環境が継続するとの見通しを示したことや、27日に田村日銀審議委員のハト派発言があったことにより米ドルは1990年7月以来33年8ヵ月ぶりとなる一時151円97銭(期中高値)まで上昇しました。その後は、日本政府による為替介入への警戒感から米ドル売りが進み151円台半ばで期末を迎えました。
一方、米ドル/円以外の主要な取扱通貨である欧州・オセアニア通貨については、各通貨とも円に対して概ね上昇傾向での推移となりました。
また、外国為替相場の変動率は、前期に比べ低下したものの2022年2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以降、相対的に高い水準が続いています。
このような状況の中、当社グループは主力サービスであるFXについて、引き続きスプレッドの縮小を実施し、他社との差別化を図る取組みを行っております。
パートナーズFXnanoにおいては、所定の取引条件のもと、「米ドル/円」をはじめ、「ユーロ/円」「豪ドル/円」「ポンド/円」「メキシコペソ/円」の5通貨ペアでスプレッド0.0銭(売買同値)の提示を継続しております。さらに、2023年5月からは「米ドル/円」でのスプレッド0.0銭(売買同値)での取引数量上限を1万通貨から5万通貨まで大幅に引き上げるキャンペーンを続行しております。
また、パートナーズFXにおいては、ゴールデンマネパタイムでのスプレッド縮小を続行しており、「米ドル/円」「豪ドル/円」「ポンド/円」「ユーロ/円」等のクロス円をはじめ、主要ストレート通貨(対円以外の通貨)を含めた15通貨ペア以上を対象に、かかる時間帯において業界最狭水準のスプレッドを提示しております。
さらに、当社では米国祝日においてもお客様により良いお取引環境を提供すべく、イースター休暇の3月29日(金)Good FridayではパートナーズFXの「米ドル/円」で、4月1日(月)Easter Mondayではゴールデンマネパタイム対象のパートナーズFX18通貨ペアにおいて、原則固定スプレッドの提示を続行いたしました。
上記のような積極的なスプレッド縮小施策の実施により、大手情報メディア「MINKABU(みんかぶ)」が発表した『FX会社年間ランキング』「スプレッド部門」において、3年連続年間第1位を受賞いたしました。今後も業界をリードするスプレッドのご提供を続け、より多くのお客様にお取引いただけるよう引き続き尽力してまいります。
新規口座獲得のためのWeb広告強化や口座開設キャンペーンの拡充、既存のお客様向けのキャンペーンの充実などにも取り組みました。
そのほか、収益性悪化の要因であった一部の顧客からのFX約款に定める不適切取引への対処をいたしました。
まいにち金・銀(CFD-Metals)においては、FXのゴールデンマネパタイムと同時間帯(17時から翌3時まで)に「金/米ドル」「銀/米ドル」ともスプレッドを0.2pipsで提示するキャンペーンを実施しました。
資金移動業であるマネパカード事業(以下、「本事業」といいます。)については、2023年3月31日付の取締役会において本事業からの撤退を決定し、2023年9月29日をもってサービスを終了いたしました。この撤退に伴い前連結会計年度に106百万円の事業撤退損失引当金を、当連結会計年度において7百万円の事業撤退損を計上していますが、2025年3月期以降は本事業の運転費用は解消されコスト削減につながります。
これらの結果、当連結会計年度の外国為替取引高は10,757億通貨単位(前期比24.4%減)となりました。また、当連結会計年度末の顧客口座数は370,506口座(前期末比10,869口座増)、顧客預り証拠金は45,178百万円(同12.5%減)、有価証券による預り資産額は6,881百万円(同38.8%減)となりました。
当連結会計年度の連結業績は、外国為替相場の変動率低下による取引高減少の影響を受けトレーディング損益が前期比261百万円減少(4.7%減)となった一方、システム関連売上高が同88百万円増加(47.4%増)し、営業収益は5,626百万円(前期比192百万円減少、3.3%減)となりました。金融費用は103百万円(同35百万円減少、25.3%減)、売上原価はシステム関連売上高の増加に伴い155百万円(同42百万円増加、38.1%増)となりました。販売費・一般管理費は、将来的なコスト削減等を目的とした基幹システムのクラウド化のフェーズ進行に伴う費用の増加(同213百万円増加、194.9%増)やキャンペーン費用の増加等の増加要因があった一方、取引高減少に伴うカバー取引関連の支払手数料の減少や主にリース資産の償却期間終了による減価償却費の減少、6月末のマネパカード利用停止に伴う運転費用及び維持費用の解消等の減少要因により、4,292百万円(同31百万円増加、0.7%増)となりました。
この結果、営業利益は1,074百万円(同231百万円減少、17.7%減)、経常利益は1,060百万円(同231百万円減少、17.9%減)となりました。税金等調整前当期純利益は台湾のFX業者へのカバー取引業務からの撤退に伴うソフトウエアの減損損失9百万円及びマネパカード事業からの撤退に伴う事業撤退損7百万円(発生額と引当金計上額との差額)の特別損失計上により1,044百万円(同102百万円減少、8.9%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等合計が336百万円(同17百万円減少、4.9%減)となったことから708百万円(同85百万円減少、10.7%減)となりました。
2025年3月期も引き続き「FXを軸とした店頭デリバティブ取引への選択と集中」の方針のもと、全社を挙げてのコスト削減や不採算事業の改善・見直しを推進いたします。加えて、上述のパートナーズFXnanoにおける一定の条件下でのスプレッド0.0銭(売買同値)の提示の標準化(業界初)などによる差別化によって、今後も厳しい競争環境の中で既存のお客様に一層のご利用をいただくとともに、新たなお客様の獲得に繋げ、収益力の向上に努めてまいります。
また、当社は、2023年9月15日にスタンダード市場への選択申請書を提出し、10月20日にプライム市場からスタンダード市場へ移行しております。かかる選択申請にかかわらず、プライム市場の上場維持基準の適合に向けた計画に掲げた数値目標を据え置くこととし、その達成に向けた各種の取組みにつき適時適切に見直しながら継続的に実行していくことで、将来的にはプライム市場の新規上場基準をも充足する企業へと成長すべく、一層の企業価値の向上に努めてまいります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して6,133百万円減少し、66,276百万円となりました。これは流動資産が6,154百万円減少、固定資産が21百万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して6,361百万円減少し、52,468百万円となりました。これは流動負債が5,448百万円、固定負債が913百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して228百万円増加し、13,808百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における主な流動資産の内訳は、預託金39,447百万円、現金・預金9,410百万円、トレーディング商品(資産)8,572百万円、短期差入保証金3,622百万円及び未収収益2,827百万円であります。流動資産は、前連結会計年度末と比較して6,154百万円減少しております。これは、未収収益の増加1,481百万円の増加要因があった一方、顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価益の減少等に伴うトレーディング商品(資産)の減少3,475百万円、外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された財産の減少等に伴う顧客区分管理信託の減少2,340百万円、約定見返勘定(資産)の減少844百万円及び短期差入保証金の減少670百万円の減少要因があったこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における主な固定資産の内訳は、ソフトウエア仮勘定572百万円、ソフトウエア305百万円、リース資産(無形固定資産)196百万円、投資有価証券143百万円及び長期差入保証金115百万円であります。固定資産は、前連結会計年度末と比較して21百万円増加しております。これは、基幹システム(外国為替証拠金取引システム)のクラウド化に向けた開発や機能追加等によるソフトウエア仮勘定の計上及びリース資産(無形固定資産)やソフトウエアの取得の増加要因があった一方、ソフトウエア等の減価償却や繰延税金資産の減少の減少要因があったこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における主な流動負債の内訳は、受入保証金45,178百万円、トレーディング商品(負債)2,710百万円、預り金1,436百万円、未払費用1,414百万円及び1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債1,000百万円であります。流動負債は、前連結会計年度末と比較して5,448百万円減少しております。これは、固定負債からの振替による1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の増加1,000百万円や顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価損の増加等に伴うトレーディング商品(負債)の増加1,068百万円の増加要因があった一方、外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された受入保証金の減少6,471百万円や主としてマネパカード関連の預り金の返金に伴うその他の預り金の減少880百万円の減少要因があったこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における主な固定負債の内訳は、リース債務127百万円及び役員株式給付引当金102百万円であります。固定負債は、前連結会計年度末と比較して913百万円減少しております。これは、基幹システム(外国為替証拠金取引システム)のクラウド化に向けてのリース資産(無形固定資産)の取得に伴うリース債務の計上の増加要因があった一方、リース債務の返済や転換社債型新株予約権付社債1,000百万円の流動負債への振替による減少要因があったこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における主な純資産の内訳は、資本金2,022百万円、資本剰余金2,160百万円、利益剰余金10,486百万円、自己株式△881百万円であります。純資産は、前連結会計年度末と比較して228百万円増加しております。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上708百万円による利益剰余金の増加があった一方、剰余金の配当による利益剰余金の減少488百万円があったこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により1,687百万円増加、投資活動により425百万円減少、財務活動により688百万円減少いたしました。この結果、資金は前連結会計年度末に比べ573百万円の増加となり、当連結会計年度末における資金の残高は7,570百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,687百万円(前期は3,881百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,044百万円、減価償却費410百万円の計上に加え、外国為替取引関連の資産負債が差引725百万円の資金増加要因となったほか、カバー取引に係る金融機関からの保証契約の改定に伴う担保提供預金の減少335百万円が資金増加要因となった一方、マネパカード事業からの撤退に伴い資金移動業関連の資産負債が差引396百万円の資金減少要因となったほか、法人税等の支払額210百万円、事業撤退損失引当金の減少額106百万円及び未収入金の増加額72百万円の資金減少要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は425百万円(前期は298百万円の支出)となりました。これは、基幹システム(外国為替証拠金取引システム)のクラウド化に向けた開発や機能追加等による無形固定資産の取得による支出423百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は688百万円(前期は2,843百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払額488百万円及びリース債務の返済による支出200百万円があったことによるものであります。
(2) 業務の状況
① 受入手数料の内訳
|
|
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
|
金額(百万円) |
対前期増減率(%) |
|
|
|
委託手数料 |
4 |
17.0 |
|
|
外国為替取引手数料 |
2 |
△35.1 |
|
|
その他の受入手数料 |
29 |
△0.5 |
|
|
合計 |
35 |
△2.2 |
|
② トレーディング損益の内訳
|
|
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
|
金額(百万円) |
対前期増減率(%) |
|
|
|
デリバティブ取引損益 |
5,307 |
△4.7 |
|
|
合計 |
5,307 |
△4.7 |
|
③ 金融収益の内訳
|
|
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
|
金額(百万円) |
対前期増減率(%) |
|
|
|
受取利息 |
9 |
△66.6 |
|
|
合計 |
9 |
△66.6 |
|
④ その他の売上高の内訳
|
|
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
|
金額(百万円) |
対前期増減率(%) |
|
|
|
システム関連売上高 |
273 |
47.4 |
|
|
合計 |
273 |
47.4 |
|
⑤ 外国為替取引売買の状況
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額 |
対前期増減率(%) |
||
|
米ドル/円 |
(百万ドル) |
658,783 |
△23.3 |
|
メキシコペソ/円 |
(百万メキシコペソ) |
156,861 |
45.8 |
|
豪ドル/円 |
(百万豪ドル) |
76,919 |
△43.2 |
|
英ポンド/円 |
(百万ポンド) |
57,434 |
△37.0 |
|
ユーロ/円 |
(百万ユーロ) |
42,328 |
△41.7 |
|
ユーロ/米ドル |
(百万ユーロ) |
24,946 |
△54.8 |
|
南アフリカランド/円 |
(百万ランド) |
13,449 |
△48.3 |
|
豪ドル/米ドル |
(百万豪ドル) |
12,023 |
△34.6 |
|
ニュージーランドドル/円 |
(百万ニュージーランドドル) |
9,459 |
△5.3 |
|
英ポンド/米ドル |
(百万ポンド) |
6,973 |
△72.1 |
|
その他 |
(百万通貨単位) |
16,547 |
△29.4 |
|
合計 |
(百万通貨単位) |
1,075,726 |
△24.4 |
(注)1.上記金額は、顧客との相対取引による通貨毎の取引高であります。
2.外国為替取引には、CFD-Metals取引(差金決済取引)及び暗号資産CFD取引(差金決済取引)を含めており、それぞれの取引高は原取引資産を米ドル換算した上で集計しております。
⑥ 自己資本規制比率
|
|
前事業年度末 (2023年3月31日) |
当事業年度末 (2024年3月31日) |
|
|
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
|
|
基本的項目計 ① |
10,809 |
10,434 |
|
|
|
その他有価証券評価差額金(評価益)等 |
- |
- |
|
|
金融商品取引責任準備金等 |
0 |
0 |
|
補完的項目 |
一般貸倒引当金 |
- |
- |
|
|
長期劣後債務 |
- |
- |
|
|
短期劣後債務 |
- |
- |
|
計 ② |
0 |
0 |
|
|
控除資産 ③ |
2,280 |
1,762 |
|
|
固定化されていない自己資本 ①+②-③ (A) |
8,529 |
8,672 |
|
|
|
市場リスク相当額 |
12 |
45 |
|
リスク相当額 |
取引先リスク相当額 |
165 |
201 |
|
|
基礎的リスク相当額 |
1,020 |
1,014 |
|
計 (B) |
1,198 |
1,261 |
|
|
自己資本規制比率 (A)/(B)×100 |
711.8% |
687.2% |
|
(注)金融商品取引業を営む子会社である株式会社マネーパートナーズの自己資本規制比率を記載しております。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じた合理的と考えられる方法により判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものはありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、当社グループは主として外国為替証拠金取引(FX)に係る事業を行っていることから、営業収益は、経常的に当社グループの顧客の外国為替証拠金取引における投資動向に大きな影響を受けます。とりわけ外国為替市場の変動率(ボラティリティ)は、これが高まれば外国為替証拠金取引(FX)は活発に、低下すれば不活発になる傾向があることから、経営成績に重要な影響を与える主要な要因であると考えております。このため、当社グループは、既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図ってまいります。
当連結会計年度の外国為替市場の変動率の状況は、「(1) 経営成績等の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであり、前連結会計年度に比べ低下したものの2022年2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以降、相対的に高い水準が続いています。
(ⅱ)経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの経営成績の状況については、営業収益は、トレーディング損益が前期比261百万円減少(4.7%減)となった一方、システム関連売上高が同88百万円増加(47.4%増)し、5,626百万円(前期比192百万円減少、3.3%減)となりました。また、金融費用は103百万円(同35百万円減少、25.3%減)、売上原価は155百万円(同42百万円増加、38.1%増)となりました。販売費・一般管理費は、将来的なコスト削減等を目的とした基幹システムのクラウド化のフェーズ進行に伴う費用の増加やキャンペーン費用の増加等の増加要因があった一方、取引高減少に伴うカバー取引関連の支払手数料の減少や主にリース資産の償却期間終了による減価償却費の減少、マネパカード利用停止に伴う運転費用及び維持費用の解消等の減少要因により、4,292百万円(同31百万円増加、0.7%増)となりました。
この結果、営業利益は1,074百万円(同231百万円減少、17.7%減)、経常利益は1,060百万円(同231百万円減少、17.9%減)となりました。税金等調整前当期純利益は台湾のFX業者へのカバー取引業務からの撤退に伴うソフトウエアの減損損失9百万円及びマネパカード事業からの撤退に伴う事業撤退損7百万円(発生額と引当金計上額との差額)の特別損失計上により1,044百万円(同102百万円減少、8.9%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等合計が336百万円(同17百万円減少、4.9%減)となったことから708百万円(同85百万円減少、10.7%減)となりました。
当社グループは、基軸事業である外国為替証拠金取引において業界最狭水準のスプレッド提示による顧客基盤の拡大を企図する営業戦略の下、商品性を洗練化し向上させることで、競争力強化と収益性の向上を目指しております。また、不採算事業の見直しや全社的なコストカットの推進による販売費・一般管理費の削減により収益拡大に努めております。
(ⅲ)資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、外国為替取引を専門とする事業形態をとっていることから、顧客との外国為替取引に係る資産及び負債がそれぞれの大部分を占めております。これらの資産及び負債は、顧客との外国為替取引及び外国為替相場の動向により日々変動いたしますが、当社グループにおいては、顧客との外国為替取引の結果生じる外国為替ポジションの偏りをカウンターパーティとの外国為替取引により完全にカバーするよう運用を行っているため、顧客及びカウンターパーティとの外国為替取引に係る資産及び負債トータルの増減はほぼ営業収益の額の動きに連動し、これが当社グループのキャッシュ・フローの源泉となっております。一方、主な負のキャッシュ・フローとしては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては、営業費用に係る支出や法人税等の支払に係る支出のほか、増加する外国為替取引に備えて行うカウンターパーティへの差入証拠金の積み増し等への支出があり、投資活動によるキャッシュ・フローにおいては、増加する外国為替取引への対応や競業他社との差別化のために行う外国為替証拠金取引システム等への投資のための支出があります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,687百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが425百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが688百万円の支出となり、現金及び現金同等物の期末残高は前期末から573百万円増加し、7,570百万円となりました。また、外国為替証拠金取引を営む連結子会社のマネーパートナーズは、取引銀行1行とコミットメントライン契約、取引銀行3行と当座貸越契約を締結し、合計で3,800百万円の借入枠を確保しており、期末の借入実行残高はございません。このため、十分に資金の財源及び流動性が確保されているものと認識、分析しております。
(ⅳ)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、2026年3月期までに自己資本利益率8.0%以上、営業収益経常利益率20.0%以上を達成することを目標としています。当連結会計年度は自己資本利益率が5.2%、営業収益経常利益率が18.8%となりました。
|
契約会社名 |
契約 |
契約の名称 |
相手先 |
契約内容 |
契約期間及び更新条件 |
|
株式会社マネーパートナーズ (連結子会社) |
2010年 1月29日 |
顧客区分管理信託契約書 |
株式会社三井住友銀行並びに受益者代理人 |
顧客から預託を受けた外国為替証拠金に係る金銭の区分管理 |
①契約期間 2010年1月29日から 2011年1月31日まで ②更新条件 当事者の一方から書面による契約終了の意思表示がない限り同一条件にて1年間更新 |
|
株式会社マネーパートナーズ (連結子会社) |
2010年 1月29日 |
顧客区分管理信託契約書 |
みずほ信託銀行株式会社並びに受益者代理人 |
顧客から預託を受けた外国為替証拠金に係る金銭の区分管理 |
①契約期間 2010年1月29日から 2010年3月31日まで ②更新条件 当事者の一方から書面による契約終了の意思表示がない限り同一条件にて1年間更新 |
該当事項はありません。