当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、ソフトウエアという無形の財産を世に送り出している企業であります。現在のような高度情報化社会において、ソフトウエアは武器にもなれば、平和を守るための道具にもなります。真に社会に役立つ結果を導き出すのは、豊かな人間性に他なりません。従業員一人ひとりがこの想いを胸に、人格を高めることで、より社会に必要とされる企業に成長することが当社グループの望みでもあります。
そして、自ら行動を起こし、常に本質を追求する姿勢を持ち、積極的なソリューションビジネスを展開し、株主、取引先、従業員といった全てのステークホルダー及び社会に貢献することが当社グループの使命であると考えており、これらを具現化するため当社は、社是を「人間性の追求」と定めております。
また、当社は、以下の3つの経営理念を定め、社是と共に従業員に浸透させております。
一、現状打破の経営 常にステップアップをめざし、現状に甘えず、チャレンジしていく精神が人格を高め、良い商品を世に送り出すことにつながります。
一、率先垂範の経営 情報産業のパイオニアとして、業界を代表し、さらには日本を代表する企業となるため、従業員一人ひとりが率先して経営を考えます。
一、誠心誠意の経営 常に「真」を求める「誠」の精神で経営を推し進めることが社内においても、社外に対しても、厚い信頼を得ることにつながります。
(2)経営戦略等
① 当社グループの経営上の強み
当社グループは、独立系であるためメーカーの系列、機種・OS等に限定されることなく、幅広い提案・対応が可能であること及び売上高の約7割を取引年数10年以上の顧客で構成し、長期的な安定顧客のポートフォリオを構築していることにより、特定産業の好況・不況の波や技術トレンドの変遷といった環境変化に左右されにくい安定性を保ちつつ、同時に長期的成長を見込むことが可能であります。また、従業員の採用、教育に関し積極的に投資を行っており、地方展開による現地の優秀な人材を確保するとともに、採用した従業員については階層別研修、ITスキル研修、選抜研修の3つの研修を実施し、質、量を伴った動員力の確保を実現しております。
事業としては、ゼネラルソリューションサービス、インフラソリューションサービス、ERPソリューションサービスを展開し、売上の約半数を継続案件や運用・保守等が占めており、安定的な収益基盤を確立していると認識しております。
事業拠点については、大阪、東京、四国(松山、高松)、仙台、広島、福岡に置いており、全国規模でのサービス提供が可能であります。
財務基盤については、安定的な利益の積み上げを実現していることや、保有固定資産が少額であり、重大な評価損の発生リスクが小さいこと等から、健全であると考えております。
② 当社グループの経営上の弱み
当社グループは中堅独立系ITトータルソリューションプロバイダーのため、ネームバリューやブランドイメージを求めるユーザーや求職者へのアピールにおいて、他社との競合面、採用面で不利な場合があります。そのため、エンドユーザーへの売上比率は大手SIerと遜色ない関西圏に比べ、首都圏では相対的に低い構造となっております。加えて一括請負案件などの自社への持帰り案件の割合が常駐型案件よりも比較的少なく、その結果利益率の低下につながっております。
また、ビジネスパートナー(以下「BP」という)は増加傾向にあるものの、令和6年3月期における当社グループの製造費用に占める外注費の割合は31.8%と同業他社に比較して低く、プロパー従業員に頼る構造となっており固定費率の上昇につながっております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、動員力の強化に基づく更なる業容拡大を図り、高い成長性及び収益性を確保する視点から、期末人員数、BP平均人員数、非稼働人員の労務費額を重要な経営指標と捉えております。
(4)経営環境
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法対応により、コロナ禍から続くデジタル化の時流が一層高まっており、DXやクラウドサービス、生成AI、サイバーセキュリティなどをキーワードとした企業のIT投資意欲は高いまま堅調に推移していると認識しております。
このような状況の下、当社グループは、ウィズコロナ対応時から推進しておりましたリモートワークやWEB会議を活用しながら全国での案件対応を促進し、各地域での対面型の営業・サービス提供と併せて展開することで、事業活動を安定的に継続し、ゼネラルソリューションサービス、インフラソリューションサービス、ERPソリューションサービスの3つのサービスを軸として、新規顧客の獲得による受注拡大、既存顧客との取引拡大、高収益案件の受注拡大により収益の伸展を図り、営業力、コンサルティング業務の強化も進め、小規模から大規模に至る顧客の戦略的システム構築を数多く手掛けてまいりました。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、「人間性の追求」の社是の下、更なる事業収益の拡大を図ることにより、持続的かつ飛躍的な成長と、より強固な経営基盤を確立すべく、以下の事項を重要課題と捉え、その対応に引続き取組んでまいります。
① 既存の事業分野の更なる強化
顧客ニーズとITサービスの多様化で、ますます競争が激しくなる中、当社グループが業容拡大を続けていくには、高い専門性で付加価値を創造し、他社との差別化を図っていく必要があります。そのために、当社事業の主要な3つのソリューションのさらなる強化を目的とし、組織を本部制に変更いたしました。これにより、地域を限定しないリソースの柔軟な活用、専門性を活かした迅速な意思決定が可能となり、今まで培ってきた業界・業務知識と技術を基に、当社ならではの付加価値を加えたワンストップソリューションの開発・展開を進めることで業容拡大を図ってまいります。
② 新たな成長分野への展開
デジタル化やクラウド化、DXの加速により、デジタル分野の成長性は著しく、今後ますます需要が高まることが予想されております。そこで、目先の利益にとらわれず、より成長性の高い新技術を当社の事業として展開していくために研究開発チームを創設し、新技術の研究開発に取組むことといたしました。同時にビジネスパートナーとのアライアンスの強化を推進しており、ビジネスパートナーの有する技術やサービス、当社グループの業界・業務知識と技術力、それらに研究開発で得た知見や成果を組合わせ、デジタル社会に対応したソリューションサービスの開発に取組んでまいります。多様化する顧客ニーズに常に応えられるよう新しい技術に取組み、当社グループの成長事業としていくことを目指してまいります。
③ 優秀な人材の確保と育成
当社グループの業容拡大策の柱は動員力の強化であり、優秀な人材の確保と定着が最も重要な課題であります。当社グループが属する情報サービス産業におきましては、特に人材不足が慢性化し、労働人口も減少する中、優秀な人材の確保が困難な状況となっております。そのため、積極的な採用活動は継続しながらも、並行して従業員のリスキリングを実施し、めまぐるしく変化するIT技術・環境に対応可能な人材開発を進めてまいります。また、健康経営を実践し従業員の満足度向上にも引続き取組むことで、優秀な人材の確保と定着を図ってまいります。
④ プロジェクトマネジメント力の強化と品質の向上
顧客との取引を安定的に継続、拡大し、適正な利益を確保するためには、顧客に満足いただける品質とプロジェクトマネジメント力が必要です。当社グループでは、安定的な品質を供給するために、プロジェクトマネジメント力の強化が重要な課題と認識しており、十分な教育研修予算を計上し、プロジェクトマネージャー一人ひとりのマネジメント能力を強化するとともに、プロジェクトマネジメントの資格保有者を拡充する取組みを実施し、従業員個々のプロジェクトマネジメント能力向上にも取組んでおります。
また、当社のプロジェクトマネジメントオフィスたる技術統括部が主導となって、個別プロジェクトの支援等や開発標準の確立など、全社レベルでの品質向上に取組んでおりましたが、ISO9001認証の取得に加え、今期、ソフトウエア開発の能力成熟度を示す国際標準的な指標であるCMMI Level2を達成いたしました。引続き全社レベルで品質管理、品質向上を行ってまいります。
気候変動などの環境問題や人権問題はさらに深刻さを増しており、社会からの要請はますます高まっております。
当社グループは人間性の追求の社是の下、サステナビリティに対する取組みに注力しております。社是、経営理念を実践することを通じて従業員一人ひとりの自己成長と企業成長を実現してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス(サステナビリティ推進体制)
当社グループは、サステナビリティの対応を経営上の重要課題として認識し、経営企画室を主管部所として環境保全及び社会貢献活動を推進しております。また、取締役会及び経営会議において、サステナビリティに関する活動状況の報告や課題に関する議論を行うことで、より効果の高いサステナビリティ推進活動を目指しております。なお、取締役会は、報告をもとにリスク及び機会に対する取組みに関し、進捗状況の監督と必要な助言を行っております。
(2)戦略
当社グループが向き合うマテリアリティ(重点課題)につきましては、以下4つの重点テーマを定め、2030年までの目標をそれぞれ設定し、目標達成に向け具体的施策を実施してまいります。
当社が特定したマテリアリティ、取組方針、2030年までの指標・目標をまとめた概念図は以下のとおりであります。
①気候変動への対応
世界各地で地球温暖化を始めとする異常気象が発生しており、国内においても局地的豪雨や猛暑のような異常気象が頻繁に発生しております。当社グループは、この課題解決に対処するため、エネルギーの省力化、資源の再利用及び廃棄物の削減など、脱炭素社会を目指す行動を取るとともに、従業員一人ひとりにおいても責任ある行動を積み重ねて貢献いたします。
当社グループの事業は、直接CO2を排出する事業でないため、現状、温室効果ガスの自社排出量の把握を行っておりませんでしたが、今後は自社排出量の実績把握と、将来の削減目標を定め、環境に配慮した責任ある行動を取るべく、以下の行動を積極的に推進いたします。
a.クールビズ・ウォームビズを始め、空調設備の節電を実施するなどして、エネルギーの省力化に努めます。
b.社内会議はできるだけ移動の伴わないWEB会議とし、資料はペーパーレスを基本とし、また、コピーが必要な場合においては、用紙には再生紙を利用するなどして、資源の節約や再利用に努めます。
c.廃棄物の削減を基本とし、電子機器等を廃棄する際には必要な処置を取った上でリサイクルを実施するなどして、資源の再利用や廃棄物の削減に努めます。
d.当社グループは、多様な立場の関係者から構成される「OSAKAゼロカーボン・スマートシティ・ファウンデーション」に参画しております。当ファウンデーションは、地球規模の課題であるエネルギー・環境問題について、多様な立場の会員同士が連携して、大阪から率先して脱炭素に貢献する広範な活動を行うことにより、SDGsの推進及び環境と調和した取組みによる持続可能な経済社会の実現に寄与することを目的としております。ゼロカーボン社会の実現は世界の潮流となっておりますが、今後当社グループとして何ができるか模索しながら対応いたします。
e.当社グループは、“OSAKA子どもの夢”応援事業にパートナー企業として参画しております。今年で4回目となる同事業は、子どもたちがギネス世界記録への挑戦を通して、環境問題の重要性を理解し、大阪から率先してSDGsを推進していく取組みであり、当社グループはこの取組みへの協賛を通じて、今後ともSDGs推進に協力してまいりたいと考えております。
②ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの対応
当社グループでは600名以上の従業員が働いており、従業員一人ひとりが最も重要な経営資源のひとつであると認識しております。また、中長期的な企業価値の向上のためには、従業員それぞれが持つ個性や価値観などの多様性こそが重要な要素となり、従業員一人ひとりが互いを尊重し合うとともに、最大限の力が発揮できるように、ダイバーシティを推進しております。当社グループは、中長期的な企業価値の向上のためには、性別、国籍、年齢、人種及び障がいの有無等にかかわらず多種多様な視点や価値観を取入れることが重要であるとの考えの下、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの対応を以下のとおり推進いたします。
a.女性
国内における労働人口が減少していくと予想されている状況の中、女性が能力を発揮し活躍できる職場環境を整備することが重要であるとの認識の下、適切な職場環境づくりに努めます。また、本人の適性や希望も踏まえつつ、キャリア形成や能力開発等、女性が職場で活躍できるように施策を推進いたします。
b.LGBT
従業員一人ひとりの多種多様な価値観を活かし、LGBT等の違いに関係なく能力を発揮し活躍できる職場環境づくりに努めます。
c.グローバル人材
当社グループは、事業のグローバル化を見据え、国際的な人材の採用に積極的に取組んでおります。また、能力を発揮し活躍できる職場環境づくりに努めます。
d.高齢者雇用の推進
本人による希望がある場合には、定年後の65歳までの継続雇用制度を導入しております。また、健康かつ継続して能力を発揮し活躍できる職場環境づくりに努めます。
e.障がい者雇用の推進
当社グループは、障がい者の方が心地よく働くことができる職場環境づくりに努めます。
f.育児・介護支援
当社グループは、社長名で育児・介護支援に関する方針を発信し、従業員の育児休業、介護休業の取得を支援しております。加えて、育児休業の対象従業員について、その取得率の数値目標を公表しております。
「育児・介護支援に関する方針」
次世代の社会を担う子どもを安心して産み、育てられる職場環境をつくることは、企業に求められる基本的な役割の一つであると考えております。従業員が仕事と育児を両立しつつ、その能力を十分に発揮できる職場環境づくりに積極的に取組んでまいります。
③人的資本経営
当社グループは、「人への投資」として、従業員をコストではなく資本として捉え、人材育成を行うことで企業価値や生産性を向上させることを目指し、従業員のスキルアップやリスキリング、ワークライフバランスの充実、職場環境の整備を含めた多様な働き方などを以下のとおり推進してまいります。
a.時短及び有給休暇取得の推進によるワークライフバランスの向上
当社グループは、従業員のワークライフバランスを向上させるため、平均時間外労働時間の圧縮に注力してまいりました。具体的な施策としては、36協定の時間外勤務上限の段階的引き下げ、ノー残業デーの制定、運用、時間外労働の見える化推進(サービス残業の撲滅)等を実施いたしました。
また、有給休暇の取得推進につきましては、全従業員に法定取得義務日数を上回る取得努力義務日数を設定し(令和5年度は8日間)取得を推進することに加え、休日の狭間については有給休暇取得奨励日を設定し、従業員が有給休暇を取得しやすい環境を構築しております。
上記の結果、平均時間外労働時間については9年前と比較し約11時間の短縮、有給休暇の取得率につきましては、約25%増加しております。
b.メンタルヘルス、健康維持支援などウェルビーイングの実現
当社グループは、従業員の健康増進を支援することで、従業員や組織のポテンシャルが向上し、その結果、当社グループの業績や企業価値が向上し、優秀な人材の確保や定着が図れるものと考えております。
具体的な施策として、従業員の悩みや相談のカウンセリング窓口の設定、従業員の健康維持意識向上のための支援(セミナー、講演等の実施)、運動習慣をつける支援(スポーツクラブの法人契約)、業務手順の見直しを行い無駄な仕事を減らす等を実施しております。
c.従業員のスキルアップ支援
当社グループは、人材を単なるコストや労働力ではなく、投資対象の資本として捉えております。優秀な人材を育成することで、企業全体の価値を向上させ、投資家の注目を集めることができると考え、従業員の教育研修に力を入れております。
当社グループの教育体系は階層別研修、ITスキル研修、選抜研修の3つに区分しております。
(a) 階層別研修
階層別研修とは、従業員を階層ごとにわけ、それぞれに異なる内容の研修を受講させることです。当社グループでは、階層を「内定者」「新入社員」「2年目社員」「若手・中堅社員」「女性社員」「新任リーダー」「係長」「新任課長」「新任部長」「役員」などに区分し、各階層に要求する主にヒューマンスキルやキャリア形成に関する教育研修を実施しております。階層別研修を実施する目的は、各役職や立場で必要なスキルや、仕事に取組む姿勢を身につけさせることであります。
(b) ITスキル研修
現在担当している業務についての最新技術に関する研修、今後担当する新たな業務に関する技術研修、新しい分野の技術研修など、開発言語、アプリケーション、データーベース、ネットワーク、プロジェクトマネジメント等の分野を主に社外の講習会に参加させ、会社の技術水準の向上に努めております。
(c) 選抜研修
SAPコンサル認定、AWS認定等、当社グループが行う事業を遂行するに当たり必要な技術について対象者を選抜して教育研修を行い、資格認定等を取得しております。
上記の取組みにより、当連結会計年度の教育研修費は27,937千円となり前期比30.4%増加となりました。
(3)リスク管理
当社グループは、財務、品質、災害、情報セキュリティ等経営に重大な損失を与えるおそれのあるリスクについては、リスク管理規程の制定及びリスクマネジメント・コンプライアンス委員会を設置し、リスク管理体制を整備しております。なお、不測の事態が生じた場合には、代表取締役社長指揮下の対策本部を設置し、損失の最小化を図るため、適切な方法を検討し、迅速な対応を行うこととしております。加えて、監査役会及び内部監査室は各部所のリスク管理状況を監査しております。取締役会は適宜リスク管理体制を見直し、問題点の把握と改善を行っております。また、サステナビリティに関するリスク管理につきましては、経営企画室を主管部所として各種リスクを分析し、必要に応じて取締役会及び経営会議に報告され、その対処方針を審議・決定しております。
(4)指標及び目標
上記「(2)戦略②ダイバーシティへの対応」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、当該指標に関する目標及び実績は、以下のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当会計年度) |
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育児休業の取得率 |
毎年度 「女性従業員」 ・取得率100% 「男性従業員」 ・取得率50%以上 ・取得平均期間10日以上 |
「女性従業員」 ・取得率100% 「男性従業員」 ・取得率66.7% ・取得平均期間36.8日 |
(注)1.実績(当会計年度)の育児休業取得平均期間日数は、取得予定日数を含んでおります。
2.管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異についての実績は、「
3.連結ベースでの開示は困難であるため、当社における内容を記載しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)景気変動によるリスク
当社グループが提供するシステムソリューションサービスは、景気の影響を受けやすい傾向にあります。国内外の経済情勢や景気動向等の理由による、顧客企業におけるシステム投資の縮小や製品開発の遅れ、事業縮小、システム開発の内製化等により、当社グループが提供するサービスに係る市場規模が縮小される可能性があります。従いまして、国内システム投資動向が悪化した場合及び当社グループの顧客が属する事業分野の市況が悪化した場合等には、既存顧客からの受注の減少や新規顧客開拓の低迷により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、独立系であるためメーカーの系列、機種・OS等に限定されることなく、幅広い提案・対応が可能であり、特定産業の好況・不況の波や技術トレンドの変遷といった環境変化に左右されにくい安定性を保っております。
(2)技術革新によるリスク
当社グループが属する情報サービス産業においては、技術革新が急速に進んでおり、当社グループが急激な技術変化等の方向性を予測、認識できない場合や、適時適切に対応できない場合及び競合他社に対して技術革新に遅れを取った場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、長期的な視点に立って技術革新に対応するため、成長事業分野への投資を行います。高度な最先端技術に対応できる人材や技術力を育成するために新技術基盤開発室を設立し、今後新技術の研究開発を進め、新たな事業分野の開拓を行ってまいります。
(3)顧客との関係継続に関するリスク
当社グループは、顧客との関係を強化し、当社グループの提供するサービスをご活用いただくことで顧客の事業パートナーとしてあり続けることを目指しております。しかしながら、顧客のニーズや期待の変化に対応しきれず、これらの顧客が当社グループとの取引又は契約関係を継続しない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、売上高の約7割を取引年数10年以上の顧客で構成し、長期的な安定顧客のポートフォリオを構築しております。今後も顧客にワンストップソリューションを提供するとともに、潜在ニーズまで踏み込んだソリューション提案を継続させることにより、顧客との信頼関係を更に強固に維持してまいります。
(4)システム開発における品質や納期遅延の問題に関するリスク
システム開発においては、顧客の要求の「高度化」と新しい技術の発展による「複雑化」が進んでおり、納期厳守と高い品質の確保が要求されることにより、システムエンジニアの負担が増加するケースが多く、開発時間の超過につながる可能性があります。品質や納期遅延の問題が生じた場合、プロジェクトの収支が不採算となるだけでなく、顧客の信頼を失うことにより顧客との間でトラブル・クレームに発展し、訴訟や商流の喪失・風評被害につながる可能性があり、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、請負契約(成果物あり)で受注金額1百万円以上又は1人月以上の案件に関して、QMS認証部所の部所長又は担当者から技術統括部へ毎月20日にプロジェクトの進捗状況の報告を行います。技術統括部において報告を受けた案件の進捗状況を確認し、問題点や懸念事項があれば品質委員会で報告しております。また、請負契約(成果物あり)で受注金額3百万円以上の案件に関して、QMS認証部所の部所長又は担当者から技術統括部へ毎月第5営業日までにプロジェクトの進捗状況の報告を行います。その後、経営会議で各担当役員から案件の実施状況について報告があり、経営会議出席者からの意見や問題点があれば各部所長にフィードバックしております。
(5)人材の確保及び育成に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従いまして、優秀な技術者やシステムエンジニア、管理者等、必要とする人材を採用、育成することは当社グループにとって重要であり、競合他社との人材獲得競争に対し、このような人材を採用又は育成することができない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、従業員の定着率を向上させることが第一であると考えており、従業員満足度の向上や人材教育の充実等の施策を実施しております。従業員満足度の向上としましては、時間外労働の圧縮、時間外労働の見える化推進、メンター制度の導入、柔軟な所定休日の設定、育児・介護への支援等を実施しております。人材教育の充実としましては、従業員の学習意欲に応えるために教育研修費予算を十分に確保し、階層別研修、リスキリングを含めたITスキル研修、選抜研修等を実施しております。
(6)外注管理に関するリスク
当社グループは業務上必要に応じて、情報システムの構築等についてBPに外注しております。当社グループが質・量含めてBPの技術力及び技術者数を確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、当社グループの事業運営に支障をきたすことが考えられ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、積極的に新規BPの開拓を行っており、当社グループの保有の案件情報をより広範囲、高頻度でBPへ発信したり、日本情報技術取引所等の各種業界団体主催の会合に積極的に参加し、数多くの同業他社と会い、情報収集を行っております。また、BPとのアライアンス関係も強化しており、当社グループ及びBP双方の技術力を活かしたサービスの構築など多角的な協力関係を推進しております。
(7)顧客情報等漏洩のリスク
当社グループ又はBPより情報の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜等により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、業務に関連して顧客や取引先等の個人情報及び機密情報を取り扱う場合があります。当社においては、ISO27001やプライバシーマークの認証取得を行い、各部所担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育、各種ソフトウエアの監視、情報資産へのアクセス証跡の記録等各種の情報セキュリティ対策を講じ個人情報を含む重要な情報資産の管理を実施し、情報漏洩のリスクの回避を図っております。
(8)知的財産権について
当社グループが行うシステム開発等において、当社グループの認識の範囲外で他社の所有する著作権及び特許権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、多額の費用負担が生じたり、損害賠償請求を受ける等、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、知的財産管理規程に基づき、サービス等の提供前に管理部が事前に開発又は実施予定の技術や製品が他社の特許に抵触していないかを確認する調査を行う他、弁理士などの専門家に調査を依頼することにより、その防止に努めております。また、知的財産業務の担当部所である管理部だけでなく、知的財産保護を浸透させるため、従業員全員に当社グループのコンプライアンスマニュアルに基づき、知的財産保護に関する従業員教育を適宜実施しております。
(9)自然災害等によるリスク
台風、地震、集中豪雨等の自然災害や異常気象によるリスクは年々高まってきております。当社グループにおいて、直接的な被害の発生や通信障害等による情報システムの深刻なトラブルの発生等により、当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自然災害等に備え、事業継続のためのインフラ・人員計画や対応策の優先順位について整備する等、自然災害の発生等を想定したリスク管理体制の整備を実施しております。また、関西と関東でレプリケーション構成にしており、想定外の災害が起こった場合においても被災拠点以外での業務の遂行に支障をきたさないよう備えております。これらの対策を講じることにより、被害の最小化、当社グループの業績や財政状態への影響を低減するよう努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は、以下のとおりであります。
なお、当社グループは、システムソリューションサービスの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスによる行動制限の解除を背景に、経済社会活動が概ね正常化したことにより、インバウンド需要や対面型サービスの個人消費が回復し、緩やかな回復基調を取戻しました。企業の業況や収益が好調なことから設備投資や設備稼働率も上向き、デフレ脱却に向けて前向きな動きがみられている一方、物価上昇に賃金上昇が追い付かず、景気は力強さを欠くものとなっております。
また、原材料や燃料費等のエネルギー資源の高騰、ウクライナ・中東情勢などの地政学リスクの深刻化、世界経済成長の失速などが要因となり、依然として先行き不透明な状況となっております。
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法対応により、コロナ禍から続くデジタル化の時流が一層高まっており、DXやクラウドサービス、生成AI、サイバーセキュリティなどをキーワードとした企業のIT投資意欲は高いまま堅調に推移いたしました。
このような状況の下、当社グループは、ウィズコロナ対応時から推進しておりましたリモートワークやWEB会議を活用しながら全国対応を推進し、各地域での対面型の営業、サービスと併せて展開することで、事業活動を安定的に継続し、ゼネラルソリューションサービス、インフラソリューションサービス、ERPソリューションサービスの3つのサービスを軸として、新規顧客の獲得による受注拡大、既存顧客との取引拡大、高収益案件の受注拡大により収益の伸展を図り、営業力、コンサルティング業務の強化を進め、小規模から大規模に至る顧客の戦略的システム構築を数多く手掛けてまいりました。
当社は、令和5年4月に従業員の給与水準の引き上げ(ベースアップ)を実施いたしました。今後も従業員が安心して働くことができる環境作りを行い、企業体質の強化に向けて推進してまいります。
また、当社グループでは、「人への投資」として、従業員をコストではなく資本として捉え、人材育成を行うことで企業価値や生産性を向上させることを目指し、従業員のスキルアップやリスキリング、ワークライフバランスの充実、職場環境の整備を含めた多様な働き方の推進などを行ってまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,194,045千円(前期比3.8%増)と順調に推移いたしましたが、ベースアップによる給与水準の引き上げ、従業員のスキルアップ等の人材育成を積極的に行ったことによる人材投資の増加及び大阪本社移転に伴う家賃の増加等の販売費及び一般管理費増加により、営業利益は427,076千円(同9.6%減)、経常利益は434,442千円(同9.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は327,407千円(同3.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ333,829千円増加し、2,913,095千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は429,185千円(前連結会計年度は404,039千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額434,442千円、減価償却費の計上額24,335千円、退職給付に係る負債の増加額40,665千円、売上債権の減少額26,216千円、未払費用の増加額17,008千円、預り金の増加額76,547千円の資金増加と、棚卸資産の増加額43,186千円、法人税等の支払額157,916千円の資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は27,031千円(前連結会計年度は81,190千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出22,252千円の資金減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は68,324千円(前連結会計年度は59,904千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額71,075千円の資金減少によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループはシステムソリューションサービスの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績については、システムソリューションサービス別に記載しております。
a.生産実績
当社グループが提供するサービスには、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をシステムソリューションサービス別に示すと、以下のとおりであります。
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システムソリューションサービス |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
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ゼネラル ソリューションサービス |
4,920,730 |
102.2 |
1,781,158 |
111.0 |
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インフラ ソリューションサービス |
1,436,463 |
110.0 |
308,481 |
102.1 |
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ERP ソリューションサービス |
1,091,428 |
115.0 |
351,243 |
125.4 |
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合計 |
7,448,622 |
105.3 |
2,440,884 |
111.6 |
(注)金額は販売価格によっており、システムソリューションサービス間の取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をシステムソリューションサービス別に示すと、以下のとおりであります。
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システムソリューションサービス |
当連結会計年度 (自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) |
前年同期比(%) |
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ゼネラルソリューションサービス (千円) |
4,743,512 |
101.2 |
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インフラソリューションサービス (千円) |
1,430,226 |
107.8 |
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ERPソリューションサービス (千円) |
1,020,305 |
111.6 |
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合計(千円) |
7,194,045 |
103.8 |
(注)1.システムソリューションサービス間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
3.上記の金額には、受注制作ソフトウエア開発取引に係る販売実績639,707千円(提出会社販売実績556,713千円)が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しておりますが、その主な要因は以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当社グループは、ウィズコロナ対応時から推進しておりましたリモートワークやWEB会議を活用しながら全国対応を推進し、各地域での対面型の営業、サービスと併せて展開することで、事業活動を安定的に継続してまいりました。また、新規顧客の獲得による受注拡大、既存顧客との取引拡大、高収益案件の受注拡大により収益の伸展を図り、小規模から大規模に至る顧客の戦略的システム構築を数多く手掛けてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,194,045千円(前期比3.8%増)、売上原価は5,432,483千円(同3.4%増)、売上総利益は1,761,561千円(同5.2%増)となりました。
また、当社グループはシステムソリューションサービスの単一セグメントでありますが、システムソリューションサービス別の経営成績(売上高)の状況に関する認識及び分析は、以下のとおりであります。
イ.ゼネラルソリューションサービス
ゼネラルソリューションサービスにつきましては、BPOビジネス、エンドユーザービジネス、ノーコード・ローコード開発案件の受注が拡大いたしました。特にBPOビジネス及びノーコード・ローコード開発案件では、IT人材不足の背景から需要が拡大し、取引が伸長しております。また、新規ビジネスパートナーとの協業体制確立・既存ビジネスパートナーとの連携深化による動員力強化を推進し、取引拡大を図りました。以上の取組みにより、ゼネラルソリューションサービスは順調に推移いたしました。
これらの結果、ゼネラルソリューションサービスの売上高は4,743,512千円(前期比1.2%増)となりました。
ロ.インフラソリューションサービス
インフラソリューションサービスにつきましては、首都圏及び関西地区において幅広い業種向けに事業を展開しております。要件定義、設計等の上流工程を軸に営業活動を行い、サーバー構築、ネットワーク構築及びデータベース構築等の案件で受注が拡大いたしました。また、AWSを中心としたクラウド関連やコンテナオーケストレーションツールの受注も拡大しております。並行してAWSエンジニアの採用強化、育成・資格取得を推進し、動員力強化及び技術力の向上を図っております。以上の取組みにより、インフラソリューションサービスは順調に推移いたしました。
これらの結果、インフラソリューションサービスの売上高は1,430,226千円(前期比7.8%増)となりました。
ハ.ERPソリューションサービス
ERPソリューションサービスにつきましては、大企業向けSAP S/4HANA、中堅企業向けSAP Business By Design及び中小企業向けSAP Business OneのSAP ERPの3大ラインアップを展開し、安定的な収益の核となっております。また、製造業向け統合パッケージシステムであるmcframeの案件も手掛けており、受注が拡大いたしました。連結子会社のノックス株式会社につきましては、奉行シリーズのメジャーバージョンアップ及びインボイス制度対応に伴う取引が拡大いたしました。以上の取組みにより、ERPソリューションサービスは順調に推移いたしました。
これらの結果、ERPソリューションサービスの売上高は1,020,305千円(前期比11.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
ベースアップによる給与水準の引き上げ、従業員のスキルアップ等の人材育成を積極的に行ったことによる人材投資の増加及び大阪本社移転に伴う家賃の増加等の計上により販売費及び一般管理費は1,334,484千円(前期比11.0%増)となり、営業利益は427,076千円(同9.6%減)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、受取利息及び配当金、助成金収入等の計上により7,395千円(前期比25.4%増)となりました。また、営業外費用は、雑損失の計上により29千円(同91.1%減)となりました。
これらの結果、経常利益は434,442千円(同9.2%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において法人税、住民税及び事業税は126,074千円、法人税等調整額は△19,039千円となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は327,407千円(前期比3.0%減)となりました。
財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は4,748,342千円となり、前連結会計年度末と比較して445,635千円増加(前期比10.4%増)となりました。これは主に、売掛金26,216千円、繰延税金資産19,235千円の減少がありましたが、現金及び預金333,829千円、仕掛品43,122千円、投資有価証券122,485千円が増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,550,701千円となり、前連結会計年度末と比較して99,742千円増加(前期比6.9%増)となりました。これは主に、未払法人税等31,726千円、流動負債のその他に含まれる未払金13,663千円の減少がありましたが、未払費用17,008千円、退職給付に係る負債36,097千円、流動負債のその他に含まれる預り金76,547千円が増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,197,640千円となり、前連結会計年度末と比較して345,893千円増加(前期比12.1%増)となりました。これは主に、配当金71,154千円の支払を行った一方で、その他有価証券評価差額金83,718千円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益327,407千円を計上したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、安定して継続的な営業活動を行うために必要な手元流動性を確保した上で、営業活動から生み出されるキャッシュから資金配分することを基本方針としております。
主な資金需要は、労務費、外注費並びに経費等の支払いを目的とした運転資金であります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当しておりますが、資金調達が必要な場合には、案件の都度、金融機関からの借入による資金調達の検討を行っております。
なお、健全な財務体質の維持及び継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達は可能と考えております。株主還元につきましては、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。