文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
当社は、「お客さまの心ゆたかな価値の創造に協力し、社会の発展に貢献します」の企業理念のもと、「企業価値の向上」を基本方針とし、受注・コスト両面での競争力の強化をはかり、収益性を向上させていくとともに、企業信頼度を向上させることで、お客さまや株主のみなさまから選択される価値ある企業を目指している。
(2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
わが国経済の先行きは、新型コロナウイルス感染症の「5類感染症」への移行により、経済活動の正常化が進み、持ち直していくことが期待されるが、エネルギー・原材料価格の高騰、資材供給面での制約及び為替市場の変動などに、注視が必要な状況が継続するとみられる。
建設業界においては、公共投資は政府による補正予算の効果もあり底堅く推移していくことが見込まれ、民間設備投資は堅調な企業収益等を背景に持ち直し傾向が続くことが期待される。
このような状況のもと、当社は、昨今の経営環境を踏まえ、2022年度中期経営計画の一部施策などを見直し、2023年度中期経営計画を策定した。
東北と新潟のお客さまとの関係を基盤に「関東圏での収益拡大」「リニューアル営業の強化」「海外事業の強化」を基本戦略として、定量目標「2025年度(連結)売上高2,400億円・営業利益120億円、(個別)売上高2,200億円・営業利益100億円」の達成を目指していく。
具体的に、関東圏においては、電気・空調管設備工事のさらなる受注拡大に加え、情報通信設備工事をあわせた一括での受注獲得に向けた営業活動を展開するとともに、施工会社の協力会社化推進や新規施工会社の拡充による体制強化に努めていく。
リニューアル工事においては、お客さまの設備更新ニーズを捉えた積極的な提案活動や2050年カーボンニュートラル実現に寄与可能なZEB化を含む省エネルギー関連工事の営業強化による受注拡大をはかっていく。
海外事業においては、現地子会社である「YURTEC VIETNAM CO.,LTD.」と「SIGMA ENGINEERING JSC」のさらなる連携をはかりながら、ベトナム国を軸とした強化、拡大を進めていく。
その他、電力インフラ設備工事においては、災害復旧対応を考慮した施工力の確保により、電力の安定供給に貢献していくとともに、新たに導入された託送料金制度による影響を注視しながら、東北電力ネットワーク株式会社の供給計画に基づき発注が見込まれている基幹送電網整備工事や送配電設備の計画的な更新工事などへの対応による受注拡大に努めていく。
さらに、本年4月には、モバイル関連工事の受注獲得に向け、モバイル通信工事センターを設置したほか、7月には、再生可能エネルギー事業の拡大とさらなる体制強化を目的に「再生可能エネルギー事業本部」を新設する予定としており、より一層の事業推進に取り組んでいる。
加えて、「成長戦略に基づく投資枠」の活用により、優良案件への投資を積極的に進め、事業基盤強化及び企業価値向上をはかるとともに、サステナビリティへの取り組みを推進し、社会全体の持続的な発展に貢献していく。
《2021年度中期経営方針(2021~2025年度)》
[中期基本目標]
能動的な行動と変革への挑戦で新たな時代を築く
~環境変化への適応とスピードある経営の実現~
[定量目標(2025年度)]
(連結)売上高2,400億円/営業利益120億円
(個別)売上高2,200億円/営業利益100億円
[成長戦略に基づく投資枠]
2024年度までに300億円
[主要課題]
①安全確保、施工品質及び企業倫理・法令遵守の意識向上、取り組みの定着・徹底
②電力工事の受注量に応じた効率的な体制の構築と一般工事受注拡大に向けた営業強化・原価の低減
③戦略的な経営資源の配分、投資の具現化による成長市場の取り込み
④当社の強みを活かした「東北電力グループ中長期ビジョン」への取り組みによる収益拡大
⑤人財育成、生産性向上、業務変革継続による企業体質強化と働き方改革への対応
[主要施策(力点)]
力点①:グループ大での「安全・品質・信頼」の共有と実践
力点②:地域との信頼関係強化と事業環境変化への対応
◎東北・新潟のお客さまとの信頼関係維持・強化をベースとした事業展開
◎東北電力ネットワークにおける新託送料金制度への対応を踏まえた電力インフラ本部の収益確保
力点③:成長分野への展開加速による企業価値の向上
力点④:成長を支える人財の育成と業務変革の継続
◎成長を支える人財の育成と施工体制の構築
◎業務変革の継続による競争力強化と働き方改革への対応
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) サステナビリティ全般及び重要項目について
当社グループのサステナビリティ全般、また当社が重要項目として捉える環境に関する考え方及び取り組みは、次のとおりである。
当社グループは、東北電力グループの一員として、「東北電力グループサステナビリティ方針」に基づき、東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」の実現や「カーボンニュートラルチャレンジ2050」への挑戦を通じて、積極的にサステナビリティへの取り組みを推進している。
東北電力グループサステナビリティ方針
当社ではサステナビリティの推進を優先的に取り組むべき経営上の重要課題と位置付けている。サステナビリティに係るカーボンニュートラル、安全、健康等の諸課題については中期経営計画に織り込むことでPDCAを展開しており、そのプロセスは定期的に取締役会に報告され、管理・監督を行っている。そのうえで、重要な計画等は個別に取締役会に付議報告されている。
また、当社が重要項目として捉えている気候変動への対応については、2022年度は気候関連リスク・機会について、TCFDのフレームワークに沿った気候関連のシナリオ分析、短期・中期・長期の気候関連のリスク・機会の特定と重要度評価及び具体的な対応策の検討を行い、その結果は経営戦略会議に付議された後、重要事項として取締役会に報告されている。
東北電力グループは、サステナビリティを経営の中核に据え、中長期的な企業価値向上と社会全体の持続的な発展に貢献するために優先的に取り組むべき課題である「東北電力グループサステナビリティ重要課題」(マテリアリティ)を2022年7月に特定した。
当社グループとしても、特定されたマテリアリティの解決に向けた取り組みを経営の骨格となる中期経営計画の中に織り込み、東北電力グループの一員として東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」の実現や「東北電力グループカーボンニュートラルチャレンジ2050」への挑戦を通じて、未来世代にわたるステークホルダーとともに社会価値と企業価値を共創していくことを目指していく。

③ リスク管理
サステナビリティに関連する様々な課題のうち、当社が重要項目として捉えている気候変動においては、当社の業績への影響が大きくなる可能性がある主なリスクと機会として、カーボンプライシングの導入により工事費・資材費が高騰することに伴い事業コストや調達コストが増加するリスク、気象災害の激甚化・頻発化により顧客の拠点等が災害危険エリアから移転することに伴い顧客を失うリスク、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギー関連工事の需要が拡大する機会や、環境配慮型設備(ZEB等)の提案が増加する機会を特定している。
④ 指標及び目標
サステナビリティに関連する様々な課題のうち、当社が重要項目として捉えている気候変動においては、温室効果ガス(CO2)の排出がカーボンプライシングの影響により当社の財務における大きなリスク要因となり得る一方、脱炭素社会に受け入れられる製品を提供することでビジネスチャンスにもつながることから、当社ではCO2排出量の削減をサステナビリティにおける最重要課題の一つとして認識し、東北電力グループの一員として「東北電力グループカーボンニュートラルチャレンジ2050」への挑戦を通じて、中長期のCO2排出削減目標として以下の目標を設定しCO2排出量の削減を目指している。
なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難である。このため、次の指標等に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載している。
(2) 人的資本(人材の多様性を含む)について
① 戦略(人材育成方針及び社内環境整備方針)
当社は、「ユアテックの財産は人財である」との考えのもと、経営環境が大きく変わる中でも、会社の持続的な成長を実現するために、人的資本経営の実現は重要な課題であると認識している。具体的には、従業員一人ひとりが成長と働き甲斐を実感できる環境の整備、機会・支援の提供などによるエンゲージメント向上を目指し、以下のとおり総合的に取り組んでいる。
a 女性活躍推進について
当社は、「多様な人財が個性や能力を発揮できる機会の創出と、誰もが働きやすいワーク・ライフ・バランスのとれた職場環境の実現を目指します」との方針を掲げ、全ての従業員が働きやすい職場環境の実現を前提とした女性活躍推進への取り組みが重要であると考えている。
具体的に、後述のワーク・ライフ・バランス推進委員会の活動を通じて、ワーク・ライフ・バランスの推進をはかりながら、女性技術者の積極的な採用へ向け、説明会や求人活動の際に積極的なアピールに取り組んでいる他、女性管理職の増加へ向け、女性社員のキャリア形成をはかるために必要な人事配置を計画的に進め、高い能力を有する女性社員を積極的に管理職に登用している。
b ワーク・ライフ・バランス推進について
当社は、働き方・休み方への意識改革、メリハリをつけた働き方の推進、年次有給休暇取得促進をはかるため、「ワーク・ライフ・バランス推進委員会」を設置し、様々な取り組みを行っている。
具体的に、ワーク・ライフ・バランスに資する諸制度の利用促進へ向け、従業員が休暇を取得しやすい職場風土の醸成、育児・介護等の諸制度活用へ向けた理解浸透に取り組んでいる。
c 健康経営について
当社は、健康の保持・増進が企業の発展には不可欠であるという考えから、2021年4月に「健康経営宣言」を発信し、健康管理を経営的視点で戦略的に実施する「健康経営」に取り組んでおり、2022年度に引き続き「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されている。
② 指標及び目標
人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難である。このため、次の指標等に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載している。
(注) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 電力設備投資の抑制
売上の約4割を占めている東北電力㈱及び東北電力ネットワーク㈱による工事発注量の抑制、競争発注の拡大により工事受注量減少、受注競争激化がさらに進む恐れがあり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、エリア外への進出、一般・官公庁工事の受注拡大等により、収益の拡大に努めていく。
(2) 民間設備投資の抑制
少子高齢化・人口減少の進展、景気の動向等により建設需要が低迷した場合には、工事受注量減少、受注競争激化の恐れがあり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、既存顧客との関係維持・強化や営業、施工体制の強化等により、収益の拡大に努めていく。また、電気・空調管設備工事のさらなる受注拡大に加え、情報通信工事をあわせた一括受注や有利受注等の拡大、及び効率化等の徹底により収益の確保に努めていく。
(3) 自然災害等の発生
地震、台風等の大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症に類する新たな感染症等の拡大などにより、工事の中断や大幅な遅延、当社グループの事業所等が大規模な被害を受け、事業活動が停滞した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、自然災害については、国、自治体が指定するハザードマップ等を踏まえた事業所ごとの防災計画見直し等の強化に取り組んでいく。新型コロナウイルス感染症や新たな感染症等については、危機管理対策本部において、社会動向に鑑みながら感染予防・拡大防止、社員の安全確保、事業継続への影響などについて対策を検討し、実施していく。また、収束後、対応等に係る課題の再検証により、さらなるBCP(事業継続計画)の強化に向けて取り組んでいく。
(4) 材料費及び労務費の高騰等
原材料価格の上昇、人手不足等の影響により、材料費、労務費の高騰及び工事進捗遅延等による大幅な追加コストを工事請負金額に反映することが困難、また自社内で吸収できない場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、工事請負契約への反映を協議するとともに、原価低減策として競争発注の拡大、集中購買によるボリュームディスカウント等に、引き続き取り組んでいく。また、さらなるコストマネジメントを推進していく。
(5) 工事契約に係る収益
工事契約に係る収益は工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度の見積りに大きく依存しており、見積りの前提となる工事の状況が変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、適正かつ合理的に見積りを算定し、収益認識の信頼性を引き続き確保していく。
(6) 法令遵守
建設業法、独占禁止法、労働基準法、労働安全衛生法等による法的規制の改廃や新設、適用基準等の変更があった場合、またはコンプライアンスに反する事象が発生し、企業のイメージダウン、社会的信頼が失墜した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、法令改正等を注視するとともに、「企業倫理委員会」の設置、企業倫理担当役員の配置、さらには業務遂行時における行動規範を示した「ユアテック企業行動指針」及び「企業倫理規程」の制定・示達により、役員・社員一人ひとりの企業倫理と法令遵守に基づく行動を徹底している。加えて、当社グループ大のさらなる企業倫理意識向上を目的とした研修・教育の強化・見直しを推進していく。
また、労働時間管理について、「働き方改革推進委員会」を設置しており、労働時間管理の適正化及び業務改善や効率化の推進、意識改革などに引き続き取り組んでいく。
(7) M&A等に伴うリスク
投資先企業の経営悪化、施工ミス・トラブル、不祥事等が発生した場合、当社グループのブランドを棄損するとともに、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、外部専門家による投資前の調査(デューデリジェンス)、及び投資後の経営管理、指導・支援等を確実に実施していく。
(8) のれんの減損リスク
投資先企業の事業環境の変化により事業計画に大幅な修正が生じ、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、のれんの減損損失が計上され、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、投資先企業の事業計画を定期的にモニタリングし、指導・支援していく。
(1) 経営成績等の状況の概要
a 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなかで、政府による各種政策の効果もあり、持ち直しの動きがみられた。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の影響によるエネルギー・原材料価格の高騰や急激な為替変動など、注視が必要な状況が続いた。
建設業界においては、公共投資は堅調に推移し、民間設備投資は企業収益の改善基調を背景に持ち直しの動きがみられた。
このような状況のもと、当社は、2022年度中期経営計画に基づき、東北と新潟のお客さまとの関係を基盤にしながら、「関東圏での収益拡大」「リニューアル営業の強化」「海外事業の強化」を基本戦略として事業拡大をはかってきた。
具体的に、関東圏においては、電気・空調管設備工事の一括受注及び情報通信工事などの受注拡大に向け、成長市場に強みを持つお客さまに対する営業強化による収益拡大に取り組んできた。
リニューアル工事においては、施工物件の履歴情報活用などにより、時宜を得たお客さまへの提案、設計・施工からメンテナンス、維持・管理までのサービスをワンストップで提供することによる受注拡大に注力してきた。また、昨年9月には、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、建物における年間消費エネルギーの収支ゼロを目指したZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のコンサルティング・設計等の業務支援を行う「ZEBプランナー」へ登録するなど、CO2削減に向けた技術提案に取り組んできた。
海外事業においては、連結子会社「SIGMA ENGINEERING JSC」を中心に、大型ホテル、複合ビル案件等の電気・空調管設備工事及び再生可能エネルギー関連工事などの受注拡大をはかってきた。
その他、電力インフラ設備工事においては、本格化する基幹送電網整備工事や送配電設備の計画的な更新工事を確実に受注に結び付けるとともに、効率的な工法の提案や電柱元位置建替作業車、掘削吸引車、ドローン等の機械力の活用などにより生産性の向上をはかってきた。
さらに、東北各地で計画されている大型風力発電所関連工事及び情報通信部門の5G関連工事の受注拡大に取り組むなど、さらなる収益の拡大に努めてきた。
加えて、昨年4月に設置した「DX推進委員会」が中心となり、デジタル技術を活用した業務変革の推進により効率化・収益拡大をはかり、企業競争力の強化にも取り組んできた。
当社グループの当連結会計年度の業績は、受注工事高は221,599百万円(個別ベース)と前連結会計年度に比べ4,203百万円(1.9%)の増加となり、売上高は227,366百万円と前連結会計年度に比べ2,049百万円(0.9%)の増収となった。
利益面については、営業利益は9,538百万円となり、前連結会計年度に比べ45百万円(0.5%)の増益、経常利益は10,501百万円となり、前連結会計年度に比べ460百万円(4.6%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は6,561百万円となり、前連結会計年度に比べ139百万円(△2.1%)の減益となった。
セグメント別の業績は、次のとおりである。
(設備工事業)
当社グループの中核をなす設備工事業の業績は、外部顧客への売上高は224,075百万円となり、前連結会計年度に比べ2,093百万円(0.9%)の増収、セグメント利益は8,749百万円となり、前連結会計年度に比べ171百万円(2.0%)の増益となった。
(その他)
その他の事業においては、車両・事務用機器・工事用機械等のリース事業、警備業並びにミネラルウォーターの製造業等を中心に、外部顧客への売上高は3,291百万円となり、前連結会計年度に比べ44百万円(△1.3%)の減収、セグメント利益は875百万円となり、前連結会計年度に比べ138百万円(△13.7%)の減益となった。
b 財政状態
(資産の部)
資産合計は221,400百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,384百万円増加した。これは、受取手形・完成工事未収入金等が4,170百万円、現金預金が2,978百万円、電子記録債権が1,539百万円増加した一方、預け金が3,960百万円減少したことなどによるものである。
(負債の部)
負債合計は86,912百万円となり、前連結会計年度末に比べ442百万円増加した。これは、支払手形・工事未払金等が2,166百万円、未成工事受入金が1,605百万円増加した一方、短期借入金が2,540百万円減少したことなどによるものである。
(純資産の部)
純資産合計は134,488百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,941百万円増加した。これは、利益剰余金が4,299百万円、為替換算調整勘定が595百万円増加したことなどによるものである。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末から0.8ポイント上昇し、60.7%となった。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が10,430百万円、法人税等の支払額が4,202百万円となったことなどにより、全体では9,692百万円の収入(前連結会計年度は7,930百万円の収入)となった。前連結会計年度に比べ1,761百万円の収入増加となったが、その主な要因は未成工事受入金が2,386百万円増加したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、建物及び備品等の有形固定資産の取得による支出が3,863百万円、無形固定資産の取得による支出が823百万円となったことなどにより、全体では5,303百万円の支出(前連結会計年度は9,808百万円の支出)となった。前連結会計年度に比べ4,504百万円の支出減少となったが、その主な要因は前連結会計年度において、SIGMA ENGINEERING JSCを連結子会社化したことによる連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が4,462百万円あったことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、借入金の減少額(純額)が2,695百万円、配当金の支払額が2,285百万円となったことなどにより、全体では5,450百万円の支出(前連結会計年度は1,455百万円の支出)となった。前連結会計年度に比べ3,995百万円の支出増加となったが、その主な要因はSIGMA ENGINEERING JSCの借入金を親子ローンに切り替えたことなどにより、短期借入金が2,411百万円減少したことなどによるものである。
以上の項目に換算差額を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ705百万円減少し、残高は36,334百万円となった。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算している。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算している。
3 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている負債(リース債務を除
く。)を対象としている。
4 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動に
よるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を使用している。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業においては生産実績を定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載していない。
また、事業の大部分を占める設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそ ぐわない。加えて、設備工事業以外においては受注生産形態をとっていないことから、「受注及び販売の実績」については「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」において記載している。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の実績
a 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高に
その増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
b 受注工事高
(注) 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
c 完成工事高
(注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度
当事業年度
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりで
ある。
前事業年度
当事業年度
d 次期繰越工事高(2023年3月31日現在)
(注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
2 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注工事高は、空調管工事が増加したことなどにより、221,599百万円(個別ベース)となり、前連結会計年度に比べ4,203百万円(1.9%)の増加となった。また、売上高は、屋内配線工事や配電線工事が増加したことなどにより、227,366百万円となり、前連結会計年度に比べ2,049百万円(0.9%)の増収となった。
利益面については、売上高の増加に加え、為替差益の計上などにより、営業利益は9,538百万円となり、前連結会計年度に比べ45百万円(0.5%)の増益、経常利益は10,501百万円となり、前連結会計年度に比べ460百万円(4.6%)の増益となったものの、前連結会計年度に投資有価証券売却益が計上されていたこと、並びに法人税等調整額の影響などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は6,561百万円となり、前連結会計年度に比べ139百万円(△2.1%)の減益となった。
財政状態については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態」に記載しているとおりである。
b 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、3 事業等のリスク及び 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載しているとおりである。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりである。
また、当社グループの主要な資金需要は、設備工事に要する材料費・外注費等の工事費用、一般管理費やリース事業におけるリース用資産の取得費用などの運転資金のほか、工事用の機械装置や事業用の土地、建物等への設備投資資金などであり、リース事業を営む連結子会社等で銀行借入を行っている以外は、自己資金によりまかなっている。
資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払ともに概ね4か月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金収入を安定的に確保している。
なお、営業活動等によって得られた資金は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、連結配当性向30%を目安に、1株当たり年間配当金24円を下回らない配当を行うことを基本方針として株主の皆さまへ還元していく。
また、中期経営方針において、積極的に事業基盤の強化と企業価値向上をはかっていくため、「2024年度までに300億円」の成長投資枠を設定している。具体的には施工能力強化のためのM&Aや、工事受注を目的とした風力発電所への出資及び事業基盤強化をはかるためのDX推進など、成長分野への展開加速による企業価値の向上に活用していく。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりである。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しているとおりである。
特記事項なし。
With/ポストコロナの定着・加速、サステナビリティへの関心の高まりなど、当社を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。このような環境変化に対応し、ユアテックブランドに磨きをかけるため、技術開発で差別化をはかり、安全確保と品質向上並びに有利受注や業務負担軽減を推進するために、2022年度技術開発の基本方針を下記のように定め、技術開発に取り組んだ。
[基本方針]
1 安全確保と品質向上に関する技術開発
2 収益力拡大に向けた技術開発
3 働きやすい環境づくりの技術開発
当連結会計年度における研究開発費は、
なお、子会社において研究開発活動は特段行っていない。
(設備工事業)
(1)アナウンス付充電中標識の開発
受電により順次充電状態になった高圧盤や分電盤等において、引渡しまでの間に充電状況を把握するための標識を盤面に取付け注意喚起しているものの、安易に盤扉を開放し、盤内充電部に接触する感電災害が発生するリスクがある。そこで、危険性を明確に認識できるように標識にアナウンス警報機能を設け、注意喚起の強化を行った。今後、感電災害防止に向けて、現場での実証を重ね導入を計画している。
(2)碍子洗浄機の開発
配電業務において、撤去した碍子の再利用を行うため、一個ずつ手作業による洗浄を行い、相当な時間と労力を要していた。そこで、超音波による碍子洗浄の効力の確認を行い、碍子洗浄が可能な機器を開発して、作業時間の短縮及び業務負担の軽減をはかった。
(3)多条管用締固め機の改良
特許を取得している既存の多条管用締固め機は、開発から10年以上経過しており、使用した部品(モーター)が既に製造を終了しているため、故障時の部品交換ができない状況にあった。そこで、ほぼ同等の締固め能力が得られる最新モーターに仕様変更するとともに、操作性の向上と業務負担の軽減のため、形状や電源の変更を行った。今後、現場での実証を重ね導入を計画している。