文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
グループビジョン:「CRESCO Group Ambition 2030」
人が想い描く未来、その先へ
クレスコグループは最高のテクノロジーと絆で”わくわくする未来”を創造します
当社グループは、2021年度より10年間の長期グループビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートしております。当該ビジョンの具現化に向け、中期経営計画として、中期経営計画2023(変革:2021年度~2023年度)、中期経営計画2026(挑戦:2024年度~2026年度)、中期経営計画2030(飛躍:2027年度~2030年度)の3ステップを設定し、2番目のステップとなる中期経営計画2026では、2026年度における「連結売上高700億円」、「連結営業利益率11.5%」、「連結ROE15%以上」を財務目標としております。

中期経営計画2026
中期経営計画2026では、7つの戦略から構成される成長戦略を策定いたしました。当社グループとしてこれらの戦略群を実践することで、『顧客とともに持続的に成長し、社会を前進させる』というミッションを果たし、同時に上記の財務目標を達成することを基本方針としております。

各戦略の方針は以下のとおりです。
① 共創型モデルの確立
従来の受託型からプロダクト型・課題解決型・未来創造型へと提案スタイルを広げていくことで、顧客の成長を支える「戦略パートナー」としての地位を確立し、顧客へ提供可能なサービス・プロダクトの価値の拡大を目指してまいります。
② 品質リーダーシップ発揮
グループ社員個人に対するITプロフェッショナルとしての育成を強化し、また、組織としても全方位型の品質管理強化を実現することで、安全・安心・感動の品質を担保し、「戦略パートナー」にふさわしいサービス・プロダクトを顧客に提供することを目指してまいります。
③ 人的資本経営推進
これらの戦略を遂行するに当たって必要な人財ポートフォリオを策定・運用し、必要な人財を採用・育成するための諸施策を実施するとともに、多様な人財が協働・躍動できる風土を醸成することで、個人と組織の力を最大化し、顧客への提供価値を創出することを目指してまいります。
④ 技術・デジタルソリューションの拡張
顧客が抱える経営課題の解消に向けて当社グループの有する技術・デジタルソリューションが貢献できるように、AI、セキュリティ、データアナリティクスを中心とした技術領域の強化・拡大と、独自のブランドソリューションの開発や国内外のソリューションの調達強化を目指してまいります。
⑤ 事業連携促進
新たな市場の開拓のためのアライアンスパートナーの獲得、高い技術力と豊富なリソースを有するビジネスパートナーとの関係強化、さらには大学・研究機関との共同研究を通じた産学連携により、当社グループのビジネスエコシステムを拡大し、顧客への価値提供につなげることを目指してまいります。
⑥ デジタル変革実現
グループ社内業務においてもデジタルソリューションを適用し、業務パフォーマンスを上げることで、グループ役員・社員をよりクリエイティブかつ高付加価値な業務に集中させ、生産性の向上につなげることを目指してまいります。
⑦ グループ一体経営
当社グループでは、各社が自主自立的な経営を行っておりますが、事業的シナジーを一層強化して顧客への提供価値の最大化を目指すとともに、グループ業務の集約化を進めて経営の効率化を実現することを目指してまいります。
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として売上高、営業利益率、ROEを設定しております。
(注) 1 2026年度の目標値及び2024年度の予想値については、当連結会計年度末現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
2 2024年度の売上高及び営業利益額の予想値は、2024年5月10日時点での公表値であります。
3 2024年度のROEの予想値は、当該年度における自己資本の変動が親会社株主に帰属する当期純利益及び剰余金の配当のみであると仮定して算定しております。
(3) 中期経営計画2023の達成状況
当連結会計年度をもって終了した中期経営計画2023の実績の推移は、以下のとおりです。
また、中期経営計画2023の「重点戦略」及び「基本戦略」に係る主な成果は以下のとおりです。
重点戦略
① デジタルソリューションの強化
中期経営計画2023のスタート以来努めてまいりましたラインナップの拡充と、当社のクラウドサービスであるCreageの機能向上やRPA関連ソフトウェアの販売が大きく寄与したことにより、デジタルソリューション事業の連結売上高は2020年度との対比で2.63倍に増加いたしました。
② 機動的経営の進化
グループ売上拡大のために、グループ各社との間で営業案件の連携基盤を構築し、顧客提案などでシナジー効果を発揮できたことや、M&Aを2件実行できたことが寄与し、連結売上高は2020年度との対比で1.32倍となり、当初の目標としていた500億円を達成いたしました。
また、DXへの取組みについても、経済産業省より「DX認定事業者」に認定される等の成果を残すことができました。
③ 人間中心経営の深化
健康経営の取組みが評価され、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に5年連続で認定されるとともに、「ホワイト500」に初めて認定されました。また、教育面では次世代人材育成研修や社内オンデマンド学習基盤を立ち上げたほか、エンゲージメントサーベイを導入し、社員のエンゲージメントの向上施策を実施するなど、中期経営計画2026に向けた準備を進めてまいりました。
基本戦略
① ITサービスの拡大
中期経営計画2023のスタートを受けて営業戦略の見直しを進めた結果、「エンタープライズ」「金融」「製造」の全サブセグメントにおいて新規顧客の獲得が堅調に推移し、特に「エンタープライズ」の領域では公益や医療分野における新規参画が進展し、「製造」の領域では自動車製造業への参画も進みました。これらの結果、ITサービス事業の売上高は2020年度との対比で1.27倍となりました。
② 品質の強化
開発標準プロセスや手順書の発行、当社全体でのISMS認証取得、新技術を活用した案件の獲得などに取り組んでまいりましたが、当連結会計年度において、当社で複数の大規模な不採算プロジェクトが発生したことにより連結営業利益は51億21百万円となり、中期経営計画2023での目標値である50億円に到達したものの、計画していた売上高営業利益率10.0%には至りませんでした。
③ 技術の強化
"CRESCO A STARS"と呼ばれる当社グループを代表するエンジニアの認定や、重点技術領域の「技術コミュニティ」を形成し、エンジニアリング集団として社内技術レベル認定を行うなど、当社グループの技術力の向上を図ってまいりました。これにより、重点技術領域であるAI・クラウド・ロボティクス及びアジャイル分野に関わる売上高の伸長を実現いたしました。
2023年度の経営環境は、新型コロナウイルス感染症が収束したことにより内需や輸出の回復が見られたものの、資源や人手不足が顕在化し、ヒト・モノ・カネの調達コストの上昇圧力にさらされた一年となりました。
これらの状況は、当社グループにおけるコスト構造にマイナスの影響を及ぼす一方で、顧客企業においてはITを利用した生産性向上のための投資を加速させる結果となっており、当社グループを含む情報サービス産業全体にとってプラスの影響が継続しております。
当社グループとしては、このようなビジネスチャンスを的確に掴むことで「中期経営計画2026」に掲げる目標を達成しステークホルダーの期待にお応えするために、以下の課題認識のもと諸施策を速やかに実行し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。
①不採算プロジェクトの発生防止
当連結会計年度において、当社の複数の大型案件において不採算が発生したことが影響し、「中期経営計画2023」において目標としていた連結営業利益額50億円には到達したものの、計画していた営業利益率10.0%を達成することができませんでした。不採算プロジェクトが発生した場合、収束に向けて多額の人件費・外注費を投入する必要があるだけでなく、新規案件にリソースを振り向けることができず機会損失をもたらすことになるため、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼします。不採算プロジェクトは技術・品質の問題だけでなく、見積ミスや顧客との調整不足など様々な要因によって発生することから、発生原因を徹底的に追求し、今後同様の事態を起こさないようにするための仕組みと体制を構築してまいります。
②ITエンジニアの確保と育成
「中期経営計画2026」で掲げる連結売上高700億円の達成のためには、幅広い技術領域と顧客のビジネスに精通したITエンジニアの確保が必要不可欠であります。この経営課題に対し、当社グループでは、一層のブランディング活動と採用活動の強化を行うとともに、M&A案件やビジネスパートナーの発掘、ニアショア(子会社やビジネスパートナーとの協業による国内分散開発)やオフショア(ベトナム現地企業との協業による国外分散開発)を強化することでエンジニアの母集団を増やすとともに、人財開発・育成プログラムを刷新してエンジニアを含めたすべてのグループ社員の水準の底上げを図ってまいります。また、給与水準の見直しやテレワーク・オフィス環境、安全衛生等の労働環境の整備を継続することで、従業員のエンゲージメントを高めるための諸施策を実行してまいります。
③グループ連携を軸にした顧客への提案活動
売上高の確保に向けて、大中小の様々な規模の案件を効率的に受注するためには、当社グループ各社が独自に商圏の拡大を目指すだけでなく、営業案件のグループ内での融通や、要員・技術・ソリューションの抱き合わせによる提案活動が重要であると判断しております。
このような経営課題に対して、当社グループでは、当社のグループ統括本部を中心に、グループ役員・営業担当・開発人員の交流機会を増やし、顧客企業からの要望に対して機動的に対応することでグループシナジーを最大化するための体制を構築してまいります。
④デジタルソリューション事業の売上高の増加と収益性の向上
近年、顧客企業においては、少子高齢化に伴う人手不足や物価高騰に伴うコスト構造の変化、企業間競争のスピードの激化に直面しており、従来のように自社で要員や設備を抱えたり、長い時間をかけた研究開発を行うことが困難な状況になっております。この状況を打破するための解決策として、AI・クラウド・RPA等の技術を活用したデジタルソリューションに注目が集まっており、今後の需要拡大が期待されていることから、当社グループとしても経営資源をデジタルソリューション事業に集中し、同事業の売上高を確保するとともに収益性を引き上げることが重要であると判断しております。
このような経営課題に対して、当社グループでは、各種イベント・勉強会の開催や技術コミュニティ活動の促進、共同案件の獲得を通じてITエンジニアの市場価値の引き上げを図るほか、自社ブランドソリューションの更なる開発やソリューションを有する提携先企業の発掘を進めることにより、事業全体の利益率の向上を目指してまいります。
⑤生産性の向上
「中期経営計画2026」の推進に当たり、営業・採用・調達・M&A/PMI等の業務や法規制等に対応するための活動等が増加することが予想されます。また、当社グループが主力とする受託型ソフトウェア開発においても、顧客からの要求レベル(仕様や条件等)が高まるものと考えられます。このような変化に的確に対応するためには、生産性の向上が必要不可欠であり、営業利益率を高めるカギにもなると判断しております。
具体策として、ITリテラシー教育を促進し、デジタルソリューションを用いた業務の効率改善と集約化を進めることで間接コストの抑制を図るとともに、グループ役員・社員が本業に集中できる環境を整備してまいります。また、アジャイル開発やRPA・生成AIの導入を促進することにより、開発効率の向上と製造コストの抑制を図ってまいります。
⑥サステナビリティ経営及び人的資本経営の推進
当社グループは経営上の目標・指標を定めており、これを達成する責務を負っておりますが、一方で、企業価値の向上と社会課題の解決の双方を実現する「サステナビリティ経営」や、人材の価値を最大限に引き出して中長期的な企業価値の向上を実現する「人的資本経営」を推進することが求められております。
このような経営課題に対し、当社グループは、2022年度に「サステナビリティに関する基本方針」を制定し、持続可能な社会の実現に向けた行動を推進していくことを明らかにいたしました。また、「健康経営宣言」「マルチステークホルダー方針」を公表し、従業員をはじめとした多様なステークホルダーとの価値共創を進めていくことを明らかにしております。中期経営計画2026においては、当社グループのマテリアリティ(重要課題)を明記しており、今後も引き続き、これらの方針等に則った事業活動を展開し、適時適切な情報開示に努めてまいります。
なお、サステナビリティ経営及び人的資本経営に関する詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは2022年4月、持続可能な社会の実現に向けた、積極的かつ能動的な取り組みを推進する姿勢を明確にするため、「サステナビリティ基本方針」を策定しました。
当社グループは、社会に新しい価値を提供し、利益を上げると共にステークホルダー全体の利益も考慮していくべきだと考えております。E(環境:Environment)、S(社会:Social)、G(企業統治:Governance)は、国連が提唱する「社会的責任投資(SRI)」における、企業が認識すべき「社会から企業への期待」であり、政府が2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言したことを踏まえ、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るため、ESGにおいて「何ができるか」を思考し、行動し、継続することを大切にしております。
「事業を通じた活動」、「持続可能な社会への貢献」の2軸からESG経営に紐づき整理・設定した6つの重点テーマに分類し、SDGsが提唱する17の国際目標のうち、10項目を開発目標と位置づけ、事業活動に取り組んでいます。

当社グループのマテリアリティ
・DX/イノベーションによる持続的な社会の実現
・継続的なガバナンスの点検と向上による価値提供の維持
グローバルな経営環境の変化への対応と事業機会の拡大、社会課題の解決を目指し、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するための柔軟なガバナンスを構築しております。
取締役会は、リスクや機会を含むサステナビリティに関する監督及び管理の責任を持ち、そのもとで社長執行役員及び配下の各部門が業務執行を担っています。社外取締役が逐次経営層に対して監督・助言し、それらを勘案して取締役会において経営判断を行っており、様々な社内施策や取り組みに的確かつ迅速に反映され、実行に移される機能が備わっております。また、サステナビリティ関連の業務執行、人的資本の活用については、経営企画担当部署、人事担当部署が中心になりマネジメントを行っており、サステナビリティへの取り組みの方向性を協議の上、各部門と連携して活動し、取締役会への議案の提出及び活動状況の報告を行っております。
当社グループ事業活動をとりまく国内外の情勢は今後も大きく変動することが予測されますが、そこで想定されるリスクの低減や事業機会の創出を図り、レジリエンスを強化するため、ESG視点の戦略、ビジネスモデルの重要性が高まっております。
日々の報道で頻繁に見聞きする深刻な社会課題に対応し、サステナブルな社会を実現するためには、技術革新、特にIT技術は必須であり、サステナビリティへの取り組みを進める上で、IT技術を応用した「デジタル変革(DX)」は、欠かせないツールであることに間違いはありません。
当社グループの展開するビジネスモデルは、お客様のDX支援です。当社グループのITサービス事業、デジタルソリューション事業は、お客様の作業効率性や付加価値の上昇、「働き方改革」を含めた社会(S)や、環境負荷の低減や環境保全といった環境(E)に寄与するものです。このことは私たちの社会的使命であり、存在価値、そして存在理由そのものであると考えております。中期経営計画2026においては、サステナビリティ経営をESGの視点で整理し、5つのマテリアリティを踏まえて7つの成長戦略を策定しました。当社グループとして当該戦略を具現化していくことにより、『顧客とともに持続的に成長し、社会を前進させる』、サステナビリティ経営の実現に取り組んでまいります。
当社グループは、創業以来、IT技術を応用した“システム開発(モノづくり)”に徹底的にこだわり、成長してまいりました。技術と品質に裏打ちされたESG視点でのビジネスモデルは、当社グループの持続的な成長を支え、人、社会、地球にインパクトを与えることができるものと考えております。加えて、ESG活動が、自らのリスク低減や事業機会の創出につながり、事業の成長を促進し、そこで創出された利益が様々なステークホルダーや社会に還元される、といったサイクル(価値創造プロセス)を形成していくと考えております。
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティガバナンスのもと、リスク低減と事業機会の創出を確実にするため、リスク管理及び機会管理を強化しています。リスク管理においては、リスクの重要性を内部統制委員会で定期的にモニタリングしております。その中でも、特に経営への影響が大きく、速やかな対応を要する人財、内部統制に関するリスク等については常務会、取締役会でとり上げ、リスクオーナーを選定し、進捗管理を行っております。各部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。機会管理においては、当社グループ全体でテーマを共有し、優先順位の設定とESG視点での活動を促進する仕組みや管理体制を構築し、具体的な事業活動に繋げております。
当社グループは、上記(1)に示した6つの重点テーマ毎に、目標を定めております。目指すべき方向性を明確にし、的確な進捗管理を可能とすることで、ESG経営を着実に実行しています。サステナビリティガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取り組みに反映しております。
イ 競争力の源泉
当社グループの競争力の源泉は「人財」です。重要な財産である人材の「材」は「財」であるという認識のもと、当社は、経営戦略と連動した人財戦略を策定し、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を掲げております。
なお、当社グループにおいて、これらの方針のもと、具体的な取り組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社において同じ取り組みが行われているわけではなく、企業規模による違いや当社グループに加わって間もない会社もあるため、当社グループとしての記載が困難なものがあります。このため、以下の各取り組みについては、当社グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。

ロ 人財育成方針
当社は、成長を楽しみ互いに高め合う風土や自立・挑戦といったマインドをベースに、「スペシャリティ強化」「キャリア開発支援」「基礎力向上」の3つを柱として様々な取り組みを実施しております。自ら学び挑戦し成長を楽しみながら、「一人ひとりが輝きスペシャリティを活かしたキャリアを実現する人財育成モデル企業」を目指しております。

a.ITプロフェッショナルの育成
自己の実力を最大限に発揮するために、「資質」「人間力」「技術力」「仕事力」の4つの力が重要であると考えています。この4つの力が高い状態であるほど、より大きな成果を生み出すことができます。当社の人財育成では、もともと備わっている「資質」に加え、「人間力」「技術力」を磨き、これらの力を成果に結びつける「仕事力」を高め、市場で活躍するITプロフェッショナルを育成しております。
b.DX人財育成
スペシャリティ強化の一つとして、ITサービス事業DXの観点では、エンジニア集団としてお客様に価値を提供し続けるために、デジタル技術、ビジネスデザイン(ビジネスをお客様と共創できる)スキルを身に付けた、次世代のビジネスをリードできるDX人財を育成しております。
また、社内業務DXの観点では、当社自身のDX(社内業務効率化、社内業務改革)を実現するために、デジタル技術やデータ活用に関する知識や技術を活用して、DXへの取り組みを推進できるDX人財を育成しています。DX人財の基礎教育として、例えば、次のプログラムを実施し、エンジニアだけでなく、社内間接部門についても育成を行っております。

c.次世代人財育成
当社グループが持続的に発展していくためには、これからを創造、牽引できる人財の育成が重要であると考えています。当社では、2022年より「次世代マネジメント育成プログラム」をスタートさせ、毎年管理職候補者を選抜し、バックキャスト(思考)を用いたこれからの在りたい姿を描きながら、自身の強み・弱みを踏まえたキャリアの設定、マネジメントとしてのマインドや考え方を学び、優秀な人財の発掘と育成を行っております。
d.キャリア開発支援
個人が自律的・主体的にキャリア開発に取り組み、持続的に成長することによって新たな価値を創造し続け、それが企業の成長、ひいては社会貢献にも繋がるとともに、個人の成長を支えるという循環を生み出します。個人の成長あっての企業の成長という考えのもと、一人ひとりが自らのキャリア形成に取り組めるよう、キャリアデザインシートの活用やキャリア相談窓口、クレスコアカデミア(企業内大学)を通じて、社員をサポートしております。今後はタレントマネジメントを活用し、さらに社員の成長を後押しします。
e.人財獲得
IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人財不足は否めず、人財の獲得と開発体制の強化は継続的な課題となっております。当社は、経営戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、外国人、障がい者や「これだけは負けない」という国内・国外で秀でた実績・経験を持つ方を採用するユニーク採用等、多様な人財獲得についても強化しております。また、就職活動中の学生をターゲットに魅力的な企業イメージを持ってもらうため、採用広告でのブランディングにも力を入れています。
ハ 社内環境整備方針
当社グループは多様な属性・専門性・経験・価値観を持つ個人を尊重し、一人ひとりがその能力を最大限に発揮することにより、新たな価値を創造できると考えております。このため、多様な人財が活躍できる環境を整備するとともに、お互いを認め、高め合う職場を実現するため様々な取り組みを進めております。
a.人財活用
新卒社員が現場に定着し着実に成長できるよう、指導員制度とメンター制度を設けております。指導員は職場の先輩が担当し、1年間のOJTを通して、業務上で必要な技術・知識・マインドを指導しています。メンターは2年間、他部門の社員が担当し、直接の業務から離れた立場でのアドバイスを行っています。メンター制度についてはキャリア入社者にも適用し、早期に職場に慣れるよう支援しています。また、配置については、経営戦略と社員の能力・適性をマッチングさせた戦略的な配置と社員が自ら希望する部門へ異動を申し出ることができる社内公募・FA制度を実施し、最適かつモチベーション向上に寄与する配置を行っております。
b.人事制度
社員と当社のさらなる成長のために、「スペシャリティの追求」「実力本位に基づく処遇」「多様な人財が活躍できる職場の実現」をコンセプトとした人事制度では、個々の専門性や強みを追求できるよう職務・職責を7等級・16職種に分類し、複線型のキャリアパスを歩めるようにしています。担当する職務・職責と成果創出に応じたメリハリのある処遇を実現し、より高いレベルで「実力」を発揮することを促す制度としています。また報酬については市場の動向も踏まえながら、3年連続でベースアップを実施し、人財への投資も積極的に行っております。
c.健康経営
当社では「健康経営宣言」を掲げ、社員が健康で安心して、やりがいを持って働くことができる職場を実現するため、健康保持・増進に取り組んでいます。健康経営推進体制を整備し、健康リテラシー向上の研修やウォーキングイベントの開催、健康増進手当の導入等により、非喫煙者率や高ストレス者率等の改善につながり、2024年3月には「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」に認定されております。
なお、当社の健康経営の推進目的と体制、主な取り組みにつきましては、当社ウェブサイトに掲載されている
d.働き方改革
働く“時間”については、コアタイムのない「フルフレックスタイム制度」のもと社員が働く時間帯を自由に選択できるようにしています。その上で、健全な就業環境の実現にも力を入れており、時間外労働は低い水準を継続し、年次有給休暇は80%を超える取得率を達成しています。働く“場所”と“時間”ともに柔軟性を高め、多様な人財が生産性の向上やワークライフバランスを実現できるよう支援しております。働く“場所”については、テレワークと出社を組み合わせた「ハイブリッド型勤務」を推進しています。特別な事由がある場合、フル在宅勤務を適用することができる一方、出社時のオフィス環境については、「コミュニケーション促進」と「集中力向上」をコンセプトに本社のレイアウトを変更し、対面機会を創出する等、社員一人ひとりが最適な働き方ができるよう支援しています。
e.ダイバーシティ&インクルージョン
多様性を受け入れ、活かすことは、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くため、必要不可欠であります。当社グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。その中で女性の活躍を支援し、女性管理職比率の増加にも注力するほか、外国人や障がい者も積極的に採用し、活躍できるよう取り組んでおります。LGBTに対する取り組みについてもパートナーシップ制度を導入しております。また、2022年には「男性育休100%宣言」に賛同する等、男性の育児休業取得にも積極的に取り組み、性別を問わず仕事と育児の両立を支援しています。
f.エンゲージメント
エンゲージメント(会社と社員の関係性)を可視化して、それをもとに対話していくことで会社と社員の想い描くビジョンを重ね、Win-Winの関係性を築くことを目指し、2021年よりエンゲージメントサーベイを実施しています。当社グループの行動指針「さらなる高みへ」「勇敢に進もう」「もっと面白く」、ブランドロゴに込めた「枠にとらわれない考え方や開発に挑戦し、社会を前進、成長させる」という想いの浸透を確認するための重要なKPIとしてスコアの向上とともに、エンゲージメントの向上が実感できるよう取り組んでまいります。
上記「①戦略 ロ、ハ」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標につき、当社グループにおいては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われております。但し、一部の指標については、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社グループとしての記載が困難なものがあります。このため、次の指標に関する目標及び実績のうち、「年間研修時間40時間到達率」及び「エンゲージメントスコア」については、当社グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)(以下、「女性活躍推進法」といいます。)の規定に基づき算出しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
3.就業時間中に研修、セミナー、eラーニング、勉強会等に参加した時間を集計し、年間40時間に到達した社員の割合を算出しております。
4.㈱アトラエが提供するエンゲージメントサーベイ「Wevox」によりエンゲージメントスコアを算出しております。
気候変動は、現在及び将来世代が豊かな生活文化を実現することに対する大きなリスクとなっております。当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献するため、気候変動への対応の必要性を認識しております。
現時点では、社内体制が未整備のため、TCFDに賛同しておりませんが、可能な範囲で、気候変動に関する取り組みを行い、環境負荷の低減と事業活動の効率性の向上のため以下の活動に取り組んでおります。
※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
■気候変動リスク・機会の事業インパクト評価と対応策検討
TCFD提言に従い、現行シナリオ(4℃シナリオ)及び移行シナリオ(2℃未満シナリオ)に基づく分析を行い、2050年までの中長期的なリスク・機会の項目を抽出しました。分析に当たっては、以下2つのシナリオの世界観を気候変動ドライバーごとに整理しました。
2050年までを想定したシナリオ分析を実施した結果、当社における気候変動関連リスクの影響は、影響度大のものはなく、大多数が影響度中から小であると判明いたしました。ITサービスやデジタルソリューションの提供を主とする当社グループの事業特性上、気候変動リスクによる財務インパクトは当社グループにとっては限定的であり、リスク削減のための喫緊の対応等は特段必要無いものと考えております。但し、今後も引き続き気候変動に関連する情報収集に努め、状況の著しい変化が想定される場合には、シナリオ分析の再実施により改めてリスクと機会を特定し、必要に応じ対応策の策定・推進に努めてまいります。
他方、気候変動関連の機会についても、影響度大のものは認められませんでしたが、気候変動関連のお客様ニーズにお応えすることで売上を伸ばす機会項目が複数認められ、環境負荷低減への貢献を通じて当社グループが成長できると考えております。
主な事業リスクと機会
■ITを通じた地球環境保全活動
当社グループは、ITを通じ、様々な業種、業態のお客様向けに、ITサービス事業(システム開発)およびデジタルソリューション事業(クラウド、AI、ロボティクス、IoTなど)を展開しております。事業活動を通じて、お客様の情報システムの導入や更改による環境負荷低減を実現し、ひいては社会の環境負荷低減に貢献してまいります。
■環境負荷の低減活動
気候変動により平均気温が上昇することは、環境や社会に非常に大きな影響を及ぼすことから、「環境負荷の低減活動」を実行することが、重要であると認識しています。当社グループの事業における最大のネガティブインパクト(CO2削減や環境への影響)は、電力の消費量やコピー等の紙の使用量であるため、日常的に省電力や節電やペーパーレスに取り組んでおります。これらの取り組みは、システム開発におけるエネルギー利用の効率化やコストダウンにも繋がります。
■GHG排出量
当社グループ各社におけるオフィス、事業等に係る電力コストから、温室効果ガスの排出量を算出、計測しております。なお、当社の本社ビルにおいては、再生可能エネルギー(電力)の購入による温室効果ガス削減への取り組みを行い、環境負荷軽減に努めております。
今後、「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」の実現に寄与すべく、更なるCO2削減にむけた具体的な目標、取り組みを検討してまいります。
なお、2021年度、2022年度の当社実績および2023年度の当社グループにおけるScope別Co2排出量は下記のとおりです。
(注)1.事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)に係るもの。
2.他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出に係るもの。
3.Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)に係るもの。
4.地方拠点増床による電力使用量が増加したため、対前年度比較で増加しております。
5.算出・計測の範囲を当社単体から当社グループに拡大したため、対前年度比で増加しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は『リスク管理規程』を制定し、当該規程に基づいて当社グループにおけるリスクを区分・管理しております。当社取締役会は、リスクの種類・内容に応じて責任部門を定め、各責任部門長、各業務執行取締役及び内部統制委員会がリスク管理体制の整備とモニタリングを行っております。
① サービスリスク
サービスリスクは、当社グループが提供するソフトウェア開発・保守等のサービスに関連して発生する不採算リスクや納品物の不具合による損害賠償リスク等をいいます。当社グループでは、十分な収支計画や技術的な検証を行ったうえで受注を決定しておりますが、顧客からの仕様変更要求、予期せぬ技術的なミスマッチ等により追加の工数が発生した場合や、納品したソフトウェアの契約不適合責任等に基づく損害賠償請求を受けることとなった場合に、信用の悪化も含めて当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、当社の品質・プロセス統括本部を中心に品質マネジメントプロセスの推進を図っており、当該リスクを未然に防止しております。
なお、当連結会計年度において、受注損失引当金を99,562千円計上しております。
② 情報漏洩・システムリスク
サイバー攻撃や当社グループの過失等により第三者の秘密情報・資産を漏洩又は消失した場合には、当社グループは損害賠償責任や信用の悪化を招くことになり、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、定期的にコンプライアンスチェックを実施しており、役員・社員のコンプライアンス意識の向上を図るとともに、セキュリティ事故発生時の体制を整備することでその悪影響を最低限にとどめるようにしております。
③ 災害等リスク(疫病を含む)
大規模な自然災害や疫病が発生した場合には、事業上必要となる情報システムへの被害や外出の危険性の観点から、当社グループの事業継続が困難となり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社グループでは、システムのクラウド化の推進、テレワーク体制の充実等のBCP(事業継続計画)を策定・実行しております。
④ 開発人材の獲得に関するリスク
当社グループの事業の特性上、計画どおりに開発に従事する人材を獲得することができず、協力会社と適宜・適切に連携ができない場合、プロジェクトの立ち上げや遂行、サービスの提供に支障が生じ、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、テレワーク・オフィススペース戦略等の働き方改革を推進することで積極的な採用活動を進めるとともに、オフショアを進めることで国内人材不足に対応しております。
なお、当連結会計年度において、連結子会社2社の本店の移転決定に伴い固定資産の減損損失を87百万円計上しております。
⑤ 事業投資(M&A・アライアンス)及び資金の運用に関するリスク
当社は、事業領域の拡大を目的として積極的なM&A・アライアンス投資を進めるとともに、多額の金融商品の運用を行っております。したがって、M&A・アライアンスが当初想定した効果を発揮できない場合や金融市場が大きく変動した場合に、保有する金融商品の価値が下落し、のれんや有価証券の評価損を計上するなど当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社ではグループ統括本部を中心としたグループ管理体制を構築するとともに、財務経理部による運用管理体制を整備しております。
なお、当連結会計年度において、日本ソフトウェアデザイン㈱の取得に係るのれんについて減損損失を2億9百万円計上しております。
⑥ 重大な訴訟等に関するリスク
上記の他、当社グループの事業遂行過程で第三者に対して損害を与えた場合に、損害賠償責任を追及する訴訟等を提起され、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社グループでは、上記のリスク管理体制により当該リスクを未然に防止しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)においては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更となり、人出が回復するとともにニューノーマルを模索する動きが加速した一方で、円安が再度進行したことにより企業や家計のコスト上昇への警戒感が更に強まってきております。
当社グループが属するIT産業においては、生成AIが企業の人手不足対策や生産性向上に与える影響に注目が集まるとともに、サイバー攻撃に対する脅威がますますクローズアップされ、企業のIT投資意欲は一段と高まっていくものと判断しております。
このような経営環境のもと、当社グループは当連結会計年度において主に下記の取組みを行ってまいりました。
組織及び体制等
当社においては、2023年4月より更なる品質強化と業務効率化の促進を目的として、当社の品質管理本部を再編し、品質・プロセス統括本部として改組いたしました。また、デジタルソリューション事業を中心とした当社グループの事業拡大のため、当社の営業統括部をビジネスイネーブルメントサービス本部の直下組織といたしました。
また、当社グループの財務情報と非財務情報(経営理念、事業内容、価値創造プロセス、サステナビリティ/ESGの取組みなど)を整理し、詳述した「統合報告書2023」を創刊し、当社ホームページに掲載いたしました。
さらに、2024年2月には、「中期経営計画2023」における目標の一つである当社全体でのISMS認証取得を達成いたしました。
財務
当社は、2023年5月10日付の取締役会決議に基づき、当連結会計年度において自己株式500,000株(取得価額の総額995,644,700円)を市場買付けの方法により取得するとともに、2023年9月8日をもって自己株式1,000,000株の消却を行いました。この結果、当連結会計年度末における発行済株式総数は22,000,000株となりました。
また、2024年2月には配当方針の変更を決定し、2025年3月期の中間配当より配当性向を40%を目処とすることを発表するとともに、3月には当期の期末配当金額の2円増配を公表いたしました。
さらに、2024年3月には、当社において今後のM&A資金及び運転資金に充当することを目的として総額19億円の長期借入れを実行いたしました。
事業
当社
デジタルソリューション事業に関して、2023年4月に大手RPAベンダーであるUiPath社の「UiPath Japan Partner Awards 2022」において「Revenue Growth Partner of the Year」を受賞いたしました。7月には、ウイングアーク1st㈱と販売代理店契約を締結し、同社の電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」とUiPathを連携させることで経理業務のペーパーレス化と自動化を実現するソリューションの提供を開始するとともに、2024年2月には、自身で業務自動化を実現できる人材の育成をサポートする「UiPath寄り添いサービス」の提供を開始いたしました。
また、AI分野では、社内の業務効率化と顧客への提案内容の高度化を目的として、Microsoft社の「Azure OpenAI Service」を利用した生成AIチャットサービス「CrePT(クレプト)」を構築し、2023年5月より社員向けの運用を開始いたしました。さらに、6月には当社のAI専門家による「AIエスコート」サービスの提供を開始し、10月には数理最適化手法を用いてホテルの部屋割り業務を効率化するツールである「RooMagic」をリリースしております。また、2023年11月には歯のレントゲン画像から個々の歯を識別する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの特許を取得いたしました。
クラウド分野では、2023年9月より、CAD等のシステムをテレワーク環境でも快適に操作できるサービスである「GPUSOROBAN リモートワークステーション」の提供を開始いたしました。
セキュリティ分野では、「セキュリティ脆弱性診断」のメニューに「ペネトレーションテスト」(疑似サイバー攻撃を通じた課題の洗い出し)と「IoTセキュリティ診断」を追加し、ラインナップの拡充を図っております。
資本・業務提携
2023年6月に、当社が資本出資するインド法人Cognavi India Private Limited社が、インド新卒学生向けジョブポータルサイト「Cognavi」をオープンいたしました。
また、2023年9月には、ベトナムのレストラン&リテールテックスタートアップ企業であるCAPICHI PTE. LTD.(本社:シンガポール、以下「CAPICHI社」といいます。)に出資、業務提携契約を締結いたしました。業務提携により、当社はCAPICHI社のQRモバイルオーダーシステム「Capichi OI」の日本国内総代理店となり、観光インバウンド対策を通じて飲食店、小売店、宿泊施設のDX化と外国人顧客の満足度向上に貢献してまいります。
2023年12月には、当社のセキュリティソリューションの強化を目的として、情報セキュリティサービスを展開する㈱セキュアイノベーション(本社:沖縄県那覇市)と資本業務契約を締結しております。
連結子会社
㈱クレスコ・デジタルテクノロジーズが、サブスクリプション型Wi-Fiサービスである「CROSS for Mist」及び製造業向けの「統合BOM管理ソリューション」の提供を発表しております。また、クレスコベトナムが現地の日系製造業向けに生産管理システムの販売を開始いたしました。
また、クレスコ・イー・ソリューション㈱がPanaya Japan社の優秀パートナーを表彰する「Partner Award 2023」において「Assessment Champion of the Year」を受賞したほか、㈱エニシアスがGoogle Cloud Partner Advantageプログラムでデータ分析の分野におけるパートナースペシャライゼーションを取得するとともに、Google Cloudの生成AIパートナーに認定されました。
その一方で、当社及び一部の連結子会社で新卒社員を積極的に採用したことや、従業員の採用及びリテンション対策として給与水準の引き上げを実施したこと、並びに教育投資を拡大したことに伴い、前年同期に比べて人件費や教育費が増加しております。また、ITサービス事業に関して、当社の複数の大型請負案件について、システム仕様や機能要件、開発体制等に起因する不採算プロジェクトが発生いたしました。
なお、2024年1月に当社、当社の連結子会社である日本ソフトウェアデザイン㈱及び㈱メクゼスの各社取締役会において3社間の組織再編に向けた方針につき合意したことに伴い、当連結会計年度において日本ソフトウェアデザイン㈱に関連するのれんについて減損損失(特別損失)を2億9百万円計上するとともに、連結子会社2社の本店の移転決定に伴い固定資産に係る減損損失(特別損失)を87百万円計上しております。
また、資金の運用に関連して、デリバティブ評価益(営業外収益)を2億73百万円、投資有価証券売却益(特別利益)を3億23百万円、投資有価証券償還益(特別利益)を1億8百万円計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高527億55百万円(前年同期売上高483億68百万円、9.1%増)、営業利益51億21百万円(前年同期営業利益49億98百万円、2.5%増)、経常利益56億58百万円(前年同期経常利益51億35百万円、10.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益37億28百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益33億28百万円、12.0%増)と増収増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ITサービス事業
売上高は、489億8百万円(前年同期比7.2%増)となり、セグメント利益(営業利益)は66億1百万円(前年同期比3.9%増)となりました。サブセグメント別の状況は、次のとおりであります。
エンタープライズ
売上高は、203億11百万円(前年同期比7.8%増)となりました。これは、主として「建設・不動産」「情報・通信・広告」「資源・エネルギー」の各分野において一部の連結子会社の売上が大きく伸びたことによるものであります。
また、セグメント利益(営業利益)は、20億73百万円(前年同期比12.7%減)となりました。これは、主として「人材紹介・人材派遣」「流通サービス」の両分野において不採算プロジェクトが発生したことによるものであります。
金融
売上高は、147億40百万円(前年同期比4.4%増)となりました。これは、「保険」「その他」の両分野において大型案件の収束等の影響で受注が減少したものの、「銀行」分野において既存顧客からの受注を堅調に積み上げられたことによるものであります。
また、セグメント利益(営業利益)は、20億73百万円(前年同期比13.9%増)となりました。これは、「銀行」分野において不採算プロジェクトが発生したものの第3四半期で収束し、第4四半期において高収益の案件が複数検収を受けたことによるものであります。
製造
売上高は、138億55百万円(前年同期比9.5%増)となりました。これは、主として当社及び一部の連結子会社において「機械・エレクトロニクス」分野での売上高が増加したことによるものであります。
また、セグメント利益(営業利益)は、24億54百万円(前年同期比13.6%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。
デジタルソリューション事業
売上高は、38億47百万円(前年同期比39.6%増)となりました。これは主として、当社の主力クラウドサービスである「Creage」とRPAライセンスの販売増加によるものであります。
また、セグメント利益(営業利益)は2億25百万円(前年同期比35.9%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上となる取引先がないため、記載しておりません
当連結会計年度末における資産総額は前連結会計年度末に比べ、60億79百万円増加し、397億14百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ54億15百万円増加し、279億2百万円となりました。これは主に、前期の「その他」に含まれていた未収入金が3億60百万円減少したものの、現金及び預金が39億52百万円、売掛金が14億25百万円、仕掛品が1億74百万円、前払費用が80百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、6億64百万円増加し、118億12百万円となりました。これは主に、のれんが4億20百万円、繰延税金資産が2億89百万円、ソフトウェアが1億4百万円それぞれ減少したものの、投資有価証券が11億99百万円、敷金及び保証金が2億43百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ28億47百万円増加し、120億33百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ13億38百万円増加し、85億88百万円となりました。これは主に、未払金が3億2百万円、未払法人税等が2億47百万円、賞与引当金が1億95百万円、1年内返済予定の長期借入金が1億57百万円、買掛金が1億53百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定負債は前連結会計年度末に比べ15億9百万円増加し、34億44百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が54百万円減少したものの、長期借入金が12億58百万円、繰延税金負債が3億16百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ32億31百万円増加し、276億81百万円となりました。これは主に、資本剰余金が4億24百万円減少したものの、利益剰余金が17億92百万円、その他有価証券評価差額金が14億31百万円それぞれ増加し、自己株式が3億37百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ39億49百万円増加し、148億64百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは32億13百万円の収入(前年度16億79百万円の収入)となりました。
これは主に、法人税等の支払額が18億円、売上債権の増加額が13億65百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が57億円、減価償却費が3億11百万円、減損損失が2億96百万円、のれん償却費が2億10百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは14億51百万円の収入(前年度8億74百万円の支出)となりました。
これは主に、投資有価証券の取得による支出が7億49百万円、「その他」に含まれる敷金及び保証金の支払額が2億76百万円、有形固定資産の取得による支出が1億84百万円、有価証券の取得による支出が1億67百万円あったものの、投資有価証券の償還による収入が21億86百万円、投資有価証券の売却による収入が5億11百万円、有価証券の売却による収入が1億75百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは7億23百万円の支出(前年度16億31百万円の支出)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入が19億40百万円あったものの、配当の支払額が10億83百万円、自己株式の取得による支出が9億98百万円、長期借入金の返済による支出が5億24百万円あったことによるものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績について、売上高は前年同期に比べて9.1%増の527億55百万円となりました。営業利益は前年同期に比べて2.5%増の51億21百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べて12.0%増の37億28百万円となりました。
ITサービス事業の売上高は、前連結会計年度に比べて7.2%増の489億8百万円となり、デジタルソリューション事業の売上高は、前連結会計年度に比べて39.6%増の38億47百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度より36億92百万円増加し、424億18百万円となりました。費目別では、労務費が14億84百万円、外注費が11億93百万円、材料費が11億15百万円、製造経費が1億5百万円増加しております。これらの増加は主として売上高の増加に伴うものですが、当連結会計年度において当社の複数の大型案件で不採算プロジェクトが発生しており、労務費や外注費が多額に発生いたしました。
この結果、売上総利益率は、前連結会計年度の19.9%より0.3%低下し19.6%となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度から5億72百万円増加し、52億15百万円となりました。これは、ベースアップ等により人件費が3億71百万円増加したことと、採用・教育コストの増加、広告・ブランディング活動の増加、統合報告書や「中期経営計画2026」の策定のためのコスト増加等により経費が2億円増加したことによるものであります。
以上の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度の10.3%から0.6%低下し9.7%となりました。
営業外収益は、前連結会計年度より2億81百万円増加し、7億64百万円となりました。これは主に、デリバティブ評価益を2億73百万円計上したことによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度から1億18百万円減少し、2億27百万円となりました。これは主に、寄付金が1億16百万円増加したものの、前期に計上していたデリバティブ評価損2億26百万円がなくなったことによるものであります。
以上の結果、売上高経常利益率は、前連結会計年度の10.6%から0.1%上昇し10.7%となりました。
特別利益は、前連結会計年度から2億78百万円増加し4億43百万円となりました。これは主に、投資有価証券償還益が34百万円減少したものの、投資有価証券売却益が3億20百万円増加したことによるものです。
特別損失は、前連結会計年度から46百万円増加し、4億1百万円となりました。これは主に、投資有価証券評価損が1億64百万円、コーポレートロゴ等変更費用が1億13百万円それぞれ減少したものの、減損損失が2億96百万円増加したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より3億99百万円増加し、37億28百万円となりましたが、売上高当期純利益率は、前連結会計年度の6.9%から0.2%上昇し7.1%となりました。
① 市況の動向
生産労働人口の減少や昨今の物価高騰が企業のIT戦略・IT投資の姿勢に質的・量的な変化をもたらしていると考えられ、これらの動向は当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
② プロジェクトマネジメント
当社グループのプロジェクトマネジメントは標準化された手法を用いて行われておりますが、顧客とのミスコミュニケーションや仕様変更、開発人員の不足等により不採算プロジェクトや損害賠償責任が発生するリスクがあり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
③ 事業投資及び資金運用
当社が保有するM&Aやアライアンス目的の金融商品並びに資金の運用目的の金融商品は、市況及び金融市場の動向に強い影響を受けるため、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(4) キャッシュ・フロー」に記載しております。
当社グループが持続的に成長し企業価値を向上させるためには、事業活動や資金の運用を源泉とした自己資金を十分に確保することは当然として、ソフトウェア開発体制を拡充するための設備投資資金、将来の事業拡大に向けたM&A・アライアンスのための投資資金及び新規技術の獲得に向けた研究開発資金を適時適切に調達することが必要不可欠であると認識しております。
当社グループでは、原則として、これらの資金を自己資金で賄うこととしております。ただし、経営環境や業界動向、経済・金融情勢等を勘案して、多額の資金が必要となった場合には、財務健全性に配慮しつつ、証券市場からの資金調達や金融機関からの借入れを実行することも視野に入れております。
なお、当連結会計年度において、今後のM&A資金及び運転資金に充当することを目的として当社において金融機関から総額19億円の長期借入れを実行しております。
当社グループでは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要課題と位置付けており、株主資本の充実と長期的な安定収益力を維持するとともに、業績に裏付けられた適正な利益配分を維持することを基本方針としております。また、株価動向や経営に与える影響を考慮しつつ自己株式の取得を実行することも重要な株主還元政策の選択肢の一つであると考えております。
当連結会計年度において、当社取締役会決議に基づき、市場買付けの方法により自己株式500,000株(取得価額の総額995,644,700円)を取得いたしました。
なお、当連結会計年度における配当の実施状況につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、当社においては、過年度からの医療領域での高度な知識を有する医師たちとの共同研究で追究・検証し、さらに実用化へ向けた活動などを中心に行ってまいりました。継続中の研究テーマに加えて、数件の新研究テーマにも着手しております。医療領域で得られた知見を用いて産業への展開活動も行っております。AI技術による画像処理技術の研究テーマが多くなってきております。画像処理技術に続く研究テーマの柱の立ち上げに体制を強化し、お客様のご要望にお応えする新たな研究テーマに着手することに取組んでおります。研究開発のテーマとしては「先端技術に関する研究開発」「デジタルソリューションに関する研究開発」に大別されます。
先端技術に関しては、眼科及びその他の医療科目における深層学習を用いた医大や医療機関との共同研究を複数(当連結会計年度の実績で13件)行っており、その成果を眼科学会及び情報処理系の学会にて発表してまいりました。そして研究成果の社会実装に向けて、医療系学会,医療機器業界団体との連携を進めております。また、これまで進めてきた研究テーマである、疾患の診断支援に加えまして、多くの医療関係者や製薬会社の方々と協議して、病気の初期段階の検知や正常状態から予兆となる症状が見られる段階での検知・スクリーニングに関する研究がほとんど未着手状態であり、今後有益であると判断し、この領域の研究にも力を注いでおります。また、医療だけでなく、航空機エンジンなどに代表される大型で高度な産業機械に関しても、故障の特定も大切ではありますが、早期の故障検知、故障予兆の検知や予測に関しての要望が強く、従来技術(様々なセンサーデータの分析)に加えて当社の画像処理技術が有効であることがわかり、この領域での研究も進めております。医療の発展への直接的な貢献、医療AI研究で得たITへの貢献、そして、実ビジネスへの貢献のため、今後もコアとしての研究活動をしてまいります。
先端技術に関する活動の結果を用いて、実ビジネスへの展開も継続して取り組んでおります。医療機関との共同研究を進めた成果の実用化を目指し、眼科学会併設機器展示会場でデモシステムの学術展示を複数回(当連結会計年度の実績で3件)行いました。また、研究過程で見出された特異な技術の特許申請・権利化も実施してきております。医療領域の商用化は時間がかかるため、発表できるようになるまでには更なる時間を要しますが、現在複数案件の話を進めております。航空運送事業者との航空機エンジン整備支援の共同研究の成果をもとに航空機エンジン内部検査ツールを開発しました。検査ツールにより得られた検査記録をデータベース化し、より精密な内視鏡検査に取り組むとともに、今後は日々の検査で蓄積された情報と運航中に収集しているエンジンデータを融合させることで、不具合の発生を予測して事前に整備処置を行う予測整備へつなげることを目指します。産業機器の保守作業に向けて、医療と同様に画像を用いた保守作業支援の共同研究を推進してまいります。
なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は