文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
当社は、「お客さまの心ゆたかな価値の創造に協力し、社会の発展に貢献します」の企業理念のもと、「企業価値の向上」を基本方針とし、受注・コスト両面での競争力の強化をはかり、収益性を向上させていくとともに、企業信頼度を向上させることで、お客さまや株主のみなさまから選択される価値ある企業を目指している。
(2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
わが国経済の先行きは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策を講じ、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあり景気が持ち直していくことが期待されるが、ロシアのウクライナ侵攻等の世界情勢を背景とした原材料・エネルギー価格の上昇や為替市場の変動等による下振れリスクが懸念される。
建設業界においては、公共投資は弱含みで推移していくことが見込まれ、民間設備投資はこのところ持ち直しの動きが見られるものの、今後の受注環境は不透明な状況である。
このような状況のもと、当社は、2021年度中期経営方針の一部施策などを見直し、2022年度中期経営計画を策定した。
東北と新潟のお客さまを基盤に「関東圏での収益拡大」「リニューアル営業の強化」「海外事業の強化」を基本戦略として、4つの力点を推進し、定量目標「2025年度(連結)売上高2,400億円・営業利益120億円、(個別)売上高2,200億円・営業利益100億円」の達成を目指していく。
具体的には、電気・空調管設備工事の一括受注、情報通信部門の建築付帯情報通信設備工事などの受注拡大をはかっていく。また、お客さまの設備更新ニーズを捉えたリニューアル営業やCO2削減に向けた技術提案を通じた受注拡大などにも積極的に取り組んでいく。
電力インフラ設備工事においては、災害復旧対応を考慮した施工力の確保により、電力の安定供給に貢献していくとともに、2023年4月から導入される新たな託送料金制度による影響を注視しながら、一層の効率化をはかり、利益の創出に努めていく。
さらに、成長市場の取り込みに向け、引き続き、関東圏における営業活動、施工体制の強化による収益拡大、東北各地で計画されている大型風力発電所関連工事の受注拡大、情報通信部門の5G関連工事等の受注獲得に努めるとともに、海外では現地子会社であるYURTEC VIETNAM CO.,LTD.とSIGMA ENGINEERING JSCの連携を強化し、事業拡大をはかることとしている。
加えて、「成長戦略に基づく投資枠」の活用については、優良案件への投資を進め、当社グループとして事業拡大をはかっていく。
《2021年度中期経営方針(2021~2025年度)》
[中期基本目標]
能動的な行動と変革への挑戦で新たな時代を築く
~環境変化への適応とスピードある経営の実現~
[定量目標(2025年度)]
(連結)売上高2,400億円/営業利益120億円
(個別)売上高2,200億円/営業利益100億円
[成長戦略に基づく投資枠]
2024年度までに300億円
[主要課題]
①安全確保、施工品質及び企業倫理・法令遵守の意識向上、取り組みの定着・徹底
②電力工事の受注量に応じた効率的な体制の構築と一般工事受注拡大に向けた営業強化・原価の低減
③戦略的な経営資源の配分、投資の具現化による成長市場の取り込み
④当社の強みを活かした「東北電力グループ中長期ビジョン」への取り組みによる収益拡大
⑤人財育成、生産性向上、業務変革継続による企業体質強化と働き方改革への対応
[主要施策(力点)]
力点①:グループ大での「安全・品質・信頼」の共有と実践
力点②:地域との信頼関係強化と事業環境変化への対応
◎東北・新潟のお客さまとの信頼関係維持・強化をベースとした事業展開
◎東北電力ネットワークの効率化施策に対応した電力インフラ本部の収益確保
力点③:成長分野への展開加速による企業価値の向上
力点④:成長を支える人財の育成と業務変革の継続
◎成長を支える人財の育成と施工体制の構築
◎業務変革の継続による競争力強化と働き方改革への対応
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 電力設備投資の抑制
売上の約4割を占めている東北電力㈱及び東北電力ネットワーク㈱による工事発注量の抑制、競争発注の拡大により工事受注量減少、受注競争激化がさらに進む恐れがあり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、エリア外への進出、一般・官公庁工事の受注拡大等により、収益の拡大に努めていく。
(2) 民間設備投資の抑制
少子高齢化・人口減少の進展、景気の動向等により建設需要が低迷した場合には、工事受注量減少、受注競争激化の恐れがあり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、既存顧客との信頼関係維持・強化や営業、施工体制の強化等により、収益の拡大に努めていく。また、電気・空調管設備工事の一括受注や有利受注等の拡大、及び効率化等の徹底により収益の確保に努めていく。
(3) 自然災害等の発生
地震、台風等の大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症等の拡大などにより、工事の中断や大幅な遅延、当社グループの事業所等が大規模な被害を受け、事業活動が停滞した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、自然災害については、国、自治体が指定するハザードマップ等を踏まえた事業所ごとの防災計画見直し等の強化に取り組んでいく。新型コロナウイルス感染症については、危機管理対策本部において、感染の予防・拡大防止、社員の安全確保、事業継続への影響などについて対策を検討し、実施していく。また、収束後、対応等に係る課題の再検証により、さらなるBCP(事業継続計画)の強化に向けて取り組んでいく。
(4) 材料費及び労務費の高騰等
原材料価格の上昇、人手不足等の影響により、材料費、労務費が高騰している中、工事進捗遅延等による大幅な追加コストを工事請負金額に反映することが困難、また自社内で吸収できない場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、工事請負契約への反映を協議するとともに、原価低減策として競争発注の拡大、集中購買によるボリュームディスカウント等に、引き続き取り組んでいく。また、さらなるコストマネジメントを推進していく。
(5) 工事契約に係る収益
工事契約に係る収益は工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度の見積りに大きく依存しており、見積りの前提となる工事の状況が変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、適正かつ合理的に見積りを算定し、収益認識の信頼性を引き続き確保していく。
(6) 法令遵守
建設業法、独占禁止法、労働基準法、労働安全衛生法等による法的規制の改廃や新設、適用基準等の変更があった場合、またはコンプライアンスに反する事象が発生し、企業のイメージダウン、社会的信頼が失墜した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、法令改正等を注視するとともに、「企業倫理委員会」の設置、企業倫理担当役員の配置、さらには業務遂行時における行動規範を示した「ユアテック企業行動指針」及び「企業倫理規程」の制定・示達により、役員・社員一人ひとりの企業倫理と法令遵守に基づく行動を徹底している。
また、労働時間管理について、「働き方改革推進委員会」を設置しており、労働時間管理の適正化及び業務改善や効率化の推進、意識改革などに引き続き取り組んでいく。
(7) M&A等に伴うリスク
投資先企業の経営悪化、施工ミス・トラブル、不祥事等が発生した場合、当社グループのブランドを棄損するとともに、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、外部専門家による投資前の調査(デューデリジェンス)、及び投資後の経営管理、指導・支援等を確実に実施していく。
(8) のれんの減損リスク
投資先企業の事業環境の変化により事業計画に大幅な修正が生じ、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、のれんの減損損失が計上され、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクに対して、投資先企業の事業計画を定期的にモニタリングし、指導・支援していく。
(1) 経営成績等の状況の概要
a 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や生産に持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響が残る厳しい状況となった。
建設業界においては、公共投資が堅調に推移し、民間設備投資は持ち直しの動きがみられた。
このような状況のもと、当社は、2021年度中期経営方針(2021~2025年度)に基づき、「関東圏での収益拡大」「リニューアル営業の強化」「海外事業の強化」を基本戦略として事業拡大をはかってきた。
関東圏においては、成長市場に強みを持つ顧客に対する営業強化を中心とした受注戦略を実践するとともに、協力会社の体制強化などにより施工体制を構築し、収益の拡大に努めてきた。
リニューアル工事については、施工物件の履歴情報活用等による時宜を得たお客さまへの提案、設計・施工からメンテナンス、維持・管理までをワンストップでサービス提供するなど、受注拡大に注力してきた。
海外事業においては、現地子会社YURTEC VIETNAM CO.,LTD.に加え、中期経営方針に掲げた「成長戦略に基づく投資枠300億円」の施策の一環として、昨年6月にベトナム国大手設備エンジニアリング企業SIGMA ENGINEERING JSCを完全子会社化するなど、事業基盤の強化に取り組んできた。
また、東北各地で計画されている大型風力発電所関連工事の受注拡大、情報通信部門の5G関連工事等の受注獲得に向け、積極的に営業活動を展開してきた。
さらに、昨年6月には、お客さまに分かりやすい営業体制・効率的な業務推進体制の構築等を目的に本部体制を見直し、一般工事の受注拡大をはかってきた。
こうした取り組みに加え、働き方改革の一環として生産性向上をはかるため、デジタル化(DX)の推進や継続的な業務見直しなど、効率的な業務運営の基盤づくりにも取り組んでいるところである。
当社グループの当連結会計年度の業績は、受注工事高は217,395百万円(個別ベース)と前連結会計年度に比べ27,478百万円(14.5%)の増加となり、売上高は225,317百万円と前連結会計年度に比べ28,224百万円(14.3%)の増収となった。
利益面については、営業利益は9,492百万円となり、前連結会計年度に比べ1,008百万円(11.9%)の増益、経常利益は10,040百万円となり、前連結会計年度に比べ867百万円(9.5%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は6,700百万円となり、前連結会計年度に比べ937百万円(16.3%)の増益となった。
セグメント別の業績は、次のとおりである。
(設備工事業)
当社グループの中核をなす設備工事業の業績は、外部顧客への売上高は221,981百万円となり、前連結会計年度に比べ28,425百万円(14.7%)の増収、セグメント利益は8,578百万円となり、前連結会計年度に比べ955百万円(12.5%)の増益となった。
(その他)
その他の事業においては、車両・事務用機器・工事用機械等のリース事業、警備業並びにミネラルウォーターの製造業等を中心に、外部顧客への売上高は3,335百万円となり、前連結会計年度に比べ200百万円(△5.7%)の減収、セグメント利益は1,013百万円となり、前連結会計年度に比べ68百万円(7.2%)の増益となった。
b 財政状態
(資産の部)
資産合計は216,016百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,899百万円増加した。これは、受取手形・完成工事未収入金等が9,547百万円、のれんが3,213百万円、電子記録債権が3,119百万円増加したことなどによるものである。
(負債の部)
負債合計は86,469百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,261百万円増加した。これは、短期借入金が3,299百万円、電子記録債務が2,639百万円、支払手形・工事未払金等が2,460百万円増加したことなどによるものである。
(純資産の部)
純資産合計は129,546百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,637百万円増加した。これは、親会社株主に帰属する当期純利益6,700百万円の計上による増加及び配当金1,430百万円の支払による減少などによるものである。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末から2.0ポイント減少し、59.9%となった。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が10,175百万円、法人税等の支払額が3,852百万円となったことなどにより、全体では7,930百万円の収入(前連結会計年度は2,648百万円の収入)となった。前連結会計年度に比べ5,282百万円の収入増加となったが、その主な要因は未払消費税等が4,396百万円増加、仕入債務が3,707百万円増加した一方、法人税等の支払額が1,596百万円増加、売上債権が1,397百万円増加したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、SIGMA ENGINEERING JSCを連結子会社化したことによる連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が4,462百万円、事業用の土地、建物及び機械装置等の有形固定資産の取得による支出が4,051百万円、グループファイナンスへの預け金の預入による支出(純額)が1,250百万円となったことなどにより、全体では9,808百万円の支出(前連結会計年度は4,621百万円の支出)となった。前連結会計年度に比べ5,187百万円の支出増加となったが、その主な要因は連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が4,176百万円増加、有形固定資産の取得による支出が1,151百万円増加したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払額が1,429百万円となったことなどにより、全体では1,455百万円の支出(前連結会計年度は3,059百万円の支出)となった。前連結会計年度に比べ1,604百万円の支出減少となったが、その主な要因は連結子会社によるリース資産取得のための長期借入れによる収入が1,700百万円増加したことなどによるものである。
以上の項目に換算差額を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ3,245百万円減少し、残高は37,039百万円となった。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算している。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算している。
3 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている負債(リース債務を除
く。)を対象としている。
4 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動に
よるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を使用している。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業においては生産実績を定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載していない。
また、事業の大部分を占める設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそ ぐわない。加えて、設備工事業以外においては受注生産形態をとっていないことから、「受注及び販売の実績」については「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」において記載している。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の実績
a 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高に
その増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
b 受注工事高
(注) 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
c 完成工事高
(注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度
当事業年度
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりで
ある。
前事業年度
当事業年度
d 次期繰越工事高(2022年3月31日現在)
(注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
2 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注工事高は217,395百万円(個別ベース)と前連結会計年度に比べ27,478百万円(14.5%)の増加となった。これは、屋内配線工事や配電線工事が増加したことなどによるものである。また、売上高は225,317百万円と前連結会計年度に比べ28,224百万円(14.3%)の増収となった。これは、再生可能エネルギー関連工事や配電線工事が増加したことに加え、第2四半期連結会計期間よりSIGMA ENGINEERING JSCの損益を連結したことなどによるものである。
利益面については、売上高の増加に加え、施工体制の見直しなどによる作業効率化及び生産性の向上により、営業利益は9,492百万円となり、前連結会計年度に比べ1,008百万円(11.9%)の増益、経常利益は10,040百万円となり、前連結会計年度に比べ867百万円(9.5%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は6,700百万円となり、前連結会計年度に比べ937百万円(16.3%)の増益となった。
財政状態については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態」に記載しているとおりである。
b 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク及び 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載しているとおりである。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりである。
また、当社グループの主要な資金需要は、設備工事に要する材料費・外注費等の工事費用、一般管理費やリース事業におけるリース用資産の取得費用などの運転資金のほか、工事用の機械装置や事業用の土地、建物等への設備投資資金などであり、リース事業を営む連結子会社等で銀行借入を行っている以外は、自己資金によりまかなっている。
資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払ともに概ね4か月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金収入を安定的に確保している。
なお、営業活動等によって得られた資金は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、連結配当性向30%を目安に、1株当たり年間配当金24円を下回らない配当を行うことを基本方針として株主の皆さまへ還元していく。
また、中期経営方針において、積極的に事業基盤の強化をはかっていくため、「2024年度までに300億円」の成長投資枠を設定している。具体的には施工能力強化のためのM&Aや、工事受注を目的とした風力発電所への出資など、成長分野への展開加速による企業価値の向上に活用していく。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりである。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しているとおりである。
特記事項なし。
With/ポストコロナの定着・加速、サステナビリティへの関心の高まりなど、当社を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。このような環境変化に対応し、ユアテックブランドに磨きをかけるため、技術開発で差別化をはかり、安全確保と品質向上並びに有利受注や業務負担軽減を推進するために、2021年度技術開発の基本方針を下記のように定め、技術開発に取り組んだ。
[基本方針]
1 安全確保と品質向上に関する技術開発
2 収益力拡大に向けた技術開発
3 施工現場における業務負担軽減のための技術開発
当連結会計年度における研究開発費は、
なお、子会社において研究開発活動は特段行っていない。
(設備工事業)
(1)携行型電線くせ取り器の開発
変電所の主回路を構成する電線を施工する際、接続箇所に合わせて電線の曲げ加工(くせ取り)を行っている。電線のくせ取りは治具を用いて人力で行っており、作業員の技量に委ねられるうえ、相当の労力を必要としていた。そこで、電線のくせ取りを可能とする電動工具を開発して、労力の負担軽減と品質の均一化をはかった。
(2)屋外自動照度測定ロボットの改良
照度測定業務の効率化のために2019年度に屋外自動照度測定ロボットを開発した。現場での活用の中で、改善点が抽出されたため更なる改良を加えることにした。床面測定150mm以下を確保し、70mmの段差を乗り越え可能な車体や現場設置の電子基準点の採用により、業務のさらなる省力化と効率化をはかることができた。
(3)電柱倒壊防止装置の改良
電柱へのケーブル立ち上げ工事で、電柱際を掘削するときに電柱の倒壊を防ぐ支持具として、2014年度に電柱倒壊防止装置を開発した。この装置は粘性土地盤且つ素柱電柱を使用条件としていたが、現場からは砂質土地盤且つケーブル架線状態での要望が多いため、それらに対応した装置に改良した。今後現場での実証を重ね業務への導入を計画している。
(4)ハンドホール養生装置の開発
ハンドホールの鉄蓋の交換作業でコンクリートのはつり殻等が落下し、ハンドホール内のケーブルを損傷しないように、既存ステップを利用し開口部に蓋をする装置を開発した。簡単に短時間で取付けられることから業務負担の軽減にもつながった。