第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(経営方針)

 当社グループは以下の経営理念を掲げており、働く者全員が夢と情熱を持って努力できる会社にすると同時に、ステークホルダーの皆様の期待を超える価値を提供し、存在を期待される企業であり続けたいと考えております。

 

 経営理念

 (1)社員が自身の夢実現に向けて努力できる会社にする

 (2)お客様に対して優秀品を最も良心的に提供する会社にする

 (3)社会一般からも信頼される会社にする

 

 この経営理念のもと、2030年ビジョン「Change the Future~技術と創造力で新時代に新価値を提供します~」を掲げ、自動車部品製造事業で培った技術と、技術の源泉である従業員の創造力を基盤に、自動車部品製造事業以外の新規領域でも持続可能で豊かな社会の実現に対して貢献してまいります。

 

(経営環境と経営戦略)

 当社が属する自動車業界では、電動化の加速度的進展、CASEやMaaSに代表されるように自動車に対するニーズや価値観の変化といった大変革期にあり、その影響の中で特に重要なものを次のとおり認識しております。

 

 ① 環境問題の中でも特に脱炭素化により、当社の主力事業・主力製品である自動車部品製造事業のエンジン部品

   製造において長期的に社会的需要の低下が見込まれる。(2024年3月期の連結売上高に対するロッカーアーム

   Assyの比率は約60.3%)

 ② 主要顧客である本田技研工業株式会社は2040年のエンジン搭載四輪車の販売をゼロにする目標を公表してお

   り、同社グループ向けのエンジン部品の長期的な需要低下が見込まれる。(2024年3月期の連結売上高に対す

   る同社グループ向け売上高比率は約70.6%)

 

 このように社会環境が大きく変化する中、当社が社会課題の解決を通じて価値を提供し、成長を続けるために次のとおり、中期経営計画(2023年3月期~2027年3月期)を策定し推進しております。

 

(1)基本方針

 現在の中核事業である自動車部品製造事業の深化と同時に、新規事業の創出とモビリティ事業の強化の実行

 

(2)組織体制

 2030年ビジョンを達成するためには、既存の自動車部品製造事業を「深化」して収益力・競争力をより強固にする経営と、イノベーションによる新たな成長機会を「探索」し、ビジネスとして、ものにしていく経営の両立が重要と考えております。この2つの経営では、人材や財務を始めとした経営資源について大きく異なるマネジメントが求められることから、既存の自動車部品製造事業を担う「部品製造事業部」、事業化の加速と新たな価値創造を担う「ソリューション事業部」を設置し、この2つの事業部に、既存の自動車販売事業である「モビリティ事業部」を加え、3事業部制とし、また、グループシナジーの強化及びより効率的な事業運営を行うことを目的にグループを横断して統括するコーポレート機能として「管理本部」を設置しております。事業部制への移行により、各事業部がその役割に集中して取り組める環境の整備と成果の透明性を向上させ、2030年ビジョンの実現を目指します。

 

(3)事業部別方針

 ① 部品製造事業部

  ・電動車向け製品の展開強化、顧客の拡大、収益力・競争力の強化

 ② ソリューション事業部

  ・自動車部品製造事業で培った接着剤要素技術と、自動化設備技術を活用したモノづくりソリューション事業の

  拡大

  ・新たなコアコンピタンスの探索

 

 ③ モビリティ事業部

  ・四輪車、二輪車の販売に捉われない、モビリティ全般の事業推進

 

(4)事業部別戦略

① 部品製造事業部

 変革期にある自動車産業においても、部品製造事業部は中核事業としてその事業を盤石なものとすることが、当社グループにとっての成長の大前提であり、その上で創出したキャッシュをソリューション事業部の新規事業創出へ分配を行ってまいります。またそれと同時に生産性向上を実現する投資、社内資源の有効活用、収益力強化を目的にDXを含めた抜本的なモノづくりプロセスの改革の実行により競争力を強化いたします。

 1)営業・技術開発戦略

 営業及び技術開発領域を一体化させ新設した「営業技術部」により顧客ニーズを的確に捉え、より一層スピーディーな価値提案の実現を目指します。開発初期段階から顧客の技術課題の解決に応える強みを活かし、新たな顧客の開拓と収益力のある新規部品の受注獲得につなげます。実現のためには、当社のもう一方の強みである試作品生産から量産工程設計・量産・品質保証までの一貫提供体制を活かしつつも、他社との連携も柔軟に取り入れ、自動車の電動化で需要増加が見込まれる製品について軽量化・低コスト化・高品質化・高機能化につながる技術開発を推進し、重点的に受注活動を展開しております。

 また、同じく新設した「戦略企画部」は、中長期的に国内外の市場ニーズを捉え、国内及び海外子会社営業機能の連携強化と技術開発リソースの分配最適化・運用効率の最大化を図るべく、戦略方向性の企画及び実行フェーズにおける組織間調整を推進いたします。

 2)生産戦略

 ソリューション事業部で取り組むAI/IoTを活用したスマートファクトリーの実験的導入を促進し、生産性の向上を図り、収益力を強化します。また、中長期的に量産製品の構成比が変化し、ロッカーアームAssyを中心とした伝統的な製品の需要が減ることが想定されることから、こうした製品については収益性の確保・向上のため、抜本的な生産拠点の再編や生産工程の改善を継続検討しております。

 3)人材戦略

 1)、2)の戦略を実行し、ビジョンを実現するには従業員一人ひとりがその能力を伸ばし、発揮することが欠かせません。そのために必要となるのが人材マネジメントの推進であり、個人の専門性を業務分野別に活かすため、コース別人材マネジメントの仕組みを導入しております。これとともに、専門教育の充実やOff-JTも含めた自己成長の機会の創出など教育制度を刷新し、職務遂行に努力している従業員の意欲向上・組織の活性化・生産性の向上を図っております。

 

② ソリューション事業部

 モノづくりソリューションの事業拡大と新たなコアコンピタンスの探索をミッションとし、部品製造事業・モビリティ事業に加わる中核事業の構築を目指します。

 1)戦略事業

 部品製造事業で培ったFA(ファクトリーオートメーション)設備の開発を推進し、モノづくり現場での問題解決に貢献する「FA設備・ソフトウエア事業」及び、当社独自の接着剤技術を接着積層モーターコアの製造技術へ転用し、モーターの高効率化に貢献する「モーターコア製造技術事業」、接着剤技術をその他のモーター部品製造技術へ転用し、製造分野における生産性と環境負荷低減に貢献する「モーター部品製造技術事業」を戦略事業として推進いたします。

 2)営業・技術開発戦略

 顧客ニーズとマーケティングに基づき、成長市場におけるモノづくりソリューション商材の開発を継続的に行い、市場の要求に応えるスピードで技術投入を推進いたします。また、アライアンスの強化によるリソースの有効活用と開発競争力の向上、商材ラインナップの拡充を図ります。

 3)人材戦略

 自社商材の開発や新規事業領域の探索を行うソリューション事業部は、多くのトライ&エラーへの取り組みが重要であり、これまで以上に柔軟性・スピード・自発性・適応力が求められるため、こうした環境にマッチする人材の社内異動や外部採用を実施いたします。また、新たな価値を生むには多様性に富んだ意見交換が重要であり、海外子会社の人材との交流や、外国人人材の採用の検討を進めるとともに、フラットで学習し続ける組織としてまいります。

 

③ モビリティ事業部

 モビリティ事業部は車両販売やアフターサービスといったクルマの活用、保有ステージにおけるビジネスとして、また収益面及びグループ唯一の“BtoC”事業としてもグループシナジーを生み出す重要な事業と位置付けております。国内における自動車販売業界においては、少子高齢化や消費者のニーズが所有から利用へ変化する中で、販売や整備・修理の需要が減少していくことが想定され、将来の事業課題に対応するため、中長期観点での経営戦略及び事業計画などを企画する機能の強化を目的に「企画室」を新設し、お客様に選ばれる店舗であるために継続的な店舗への投資、自動車の電動化等技術の進展に伴う設備投資、経営へのデジタル技術の採用を図ります。

 また、経営基盤・財務基盤の強化を図り持続的な成長を実現するため、富山県西部の販社を合併し、当社モビリティ事業部の富山県内におけるホンダ車販売シェアは約20%から34%(2024年3月期実績)としました。近距離モビリティ「WHILL」の販売・レンタルや四輪車、二輪車、発電機などのレンタル事業も展開しており、経営統合を機にこのような新しい移動手段の提案を通じたお客様とのつながりをより強化してまいります。

 当社子会社がこれまで有してこなかった地域の店舗網と、当社の強みである豊富な人材・投資力・マネジメントノウハウとのシナジー効果により、2027年3月期の売上高80億円を目指してまいります。

 

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

 自動車業界においては、電動化の加速度的進展、CASEやMaaSに代表される自動車に対するニーズや価値観の変化といった大変革期にあり、その影響の中で特に重要なものを前述の「経営環境と経営戦略」で記載のとおり認識しております。

 このように社会環境が大きく変化する中、前述の「経営環境と経営戦略」で記載のとおり、2030年ビジョンを達成するために、既存の自動車部品製造事業を「深化」して収益力・競争力をより強固にする経営と、イノベーションによる新たな成長機会を「探索」し、ビジネスとして、ものにしていく経営の両立が求められると考え、組織体制を事業部制に変更しております。既存の自動車部品製造事業を担う「部品製造事業部」、事業化の加速と新たな価値創造を担う「ソリューション事業部」を設置し、これに既存の自動車販売事業である「モビリティ事業部」を加えた3事業部制とし、各事業部がその役割に集中して取り組める環境の整備と成果の透明性を向上させてまいります。なお、事業部ごとの方針・戦略においては前述の「(経営環境と経営戦略)」で記載のとおりであります。本中期経営計画の実行を通じて、社会課題の解決に貢献するとともに中長期的な企業価値向上を実現してまいります。

 財務上の課題といたしましては、親会社の財務体質改善が優先的に対処すべき課題であり、親会社での着実な利益の創出と、優良な財務体質の海外子会社からの資金還流により達成してまいります。

 

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 部品製造事業部に対する収益力向上投資やソリューション事業部への積極的な投資により、中期経営計画最終年である2027年3月期における連結売上高は、中長期的にエンジン部品の減少が想定される中でも340億円、営業利益率5%を目指しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

<サステナビリティ基本方針>

 当社グループは、サステナビリティ基本方針を推進するために体制を強化しており、代表取締役 社長執行役員 田中 英一郎がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有し、経営会議で協議・決議された内容についての監督を行っております。

 

(2)戦略

<マテリアリティの特定とプロセス>

 当社グループは、国際的なガイドライン(SDGs169、ISO26000、GRIスタンダード、SASBなど)を参考に社会課題を抽出し、当社の経営理念・企業文化を踏まえた現在又は将来的に事業を通じて解決したい項目を整理しています。ステークホルダーと当社グループの重要性から優先順位付けを行い、マテリアリティマトリクスを作成しております。(詳細は当社ホームページを参照ください。)

<中長期的なビジョン>

 マテリアリティマトリクスを通じて、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上を図り、信頼される企業となることを目指しております。

<人材戦略>

 当社グループにおける人材戦略に関しては、取締役会における経営視点での方針の議論を得て「人材開発会議」にて具体的な課題や施策に関する検討決裁、進捗状況の共有を行っています。また、当社グループでは、人種、国籍、年齢、性別などお互いを尊重し受け入れることにより、多様なバックグラウンドを持つ社員一人ひとりが活き活きと働き活躍できる組織を目指します。多様な人材の活躍がイノベーション創出や企業価値向上及び健全かつ持続的な成長につながると考えております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、サステナビリティに関連するリスク及び機会を特定し、経営会議での議論と決議を経て、取締役会が監督を行っております。このような体制を基にして、当社グループは、サステナビリティに係るリスク低減及び機会を識別し、管理しております。

 

(4)指標及び目標

当社グループは、特定した4つのマテリアリティに対し、それぞれKPIとその考え方を設定し、取り組んでおります。それぞれのKPIと当年度の実績は以下のとおりであります。

 ①気候変動への取り組み

KPI:2030年度 CO2排出量 46%削減(2019年度比)

KPIの考え方:国及び主要顧客の方針に沿って、2050年カーボンニュートラル実現に向けた2030年のマイルストーンを設定しております。燃料及び電気の消費を抑えるロス削減活動や設備更新時の省エネルギー設備の導入、地域特性に応じた再生可能エネルギーの活用により、目標達成を目指します。

当年度までの実績:35%削減(当年度までの目標:17%削減)

 ②人材戦略・人材マネジメントの強化

KPI:個人、企業の成長に資する人員配置 70名(2019年度起点2026年度まで)

KPIの考え方:付加価値を生み出す事業、成長が期待される事業への異動・配置、個人及び組織の成長・強化に資する異動・配置を人的資本シフトと定義し、この人員配置に該当する人数をKPIに設定しております。

当年度までの実績:累計37名(進捗率:53%)

 ③地域社会との共生で持続可能な社会の実現

KPI:地域社会との連携強化

KPIの考え方:サステナビリティ基本方針にならって、事業環境の変化に左右されることなく、継続的に社会貢献していくための基準を活動方針として定義しております。また、活動の数ではなく活動そのものに重点を置くべく、定量的ではなく、定性的な指標としております。

当年度の実績:定性的指標に基づいて社会貢献活動を実施しました。

 ④コーポレートガバナンスの強化

KPI:①取締役会実効性評価平均点4点以上(5段階評価) ②内部監査の指摘項目対応100%

KPIの考え方:①経営レベルのガバナンス強化として、取締役会の実効性評価を自己評価形式で年に一度実施し、会社経営への貢献度を評価しております。取締役自身の自己の成長及び取締役会の機能を向上させることでコーポレート・ガバナンスの強化に繋がります。

②オペレーションレベルのガバナンス強化として、内部監査の指摘に対する継続的改善を促進し、透明性と信頼性を向上させることで、組織のコンプライアンス確保に繋がります。

当年度の実績:①3.9点 ②指摘項目9件全項目対応完了(100%実行)

 

当社グループは、今後もサステナビリティに関する取組を一層強化し、持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況の変化について
 様々な要因による経済の低迷、消費者の購買意欲低下は、四輪車、二輪車及び汎用製品の需要低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」で事業展開をしており、全世界の市場に当社の製品を供給していることにより、各々の国における経済悪化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当社グループは、国をまたぎ複数拠点を持つ強みを生かし、一部市場低迷による影響の最小化に向けた、相互補完体制を強化してまいります。

(2)特定の産業への依存について
 当社グループは、自動車部品の製造販売を主な事業内容とし、「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」において自動車部品の製造販売を行っており、また、併せて日本において自動車販売事業を営んでおります。連結売上高に占める比率は自動車部品製造事業が大きく、当社グループの業績は生産拠点各国の自動車生産台数の影響を受ける可能性があり、また自動車販売事業につきましても国内自動車販売台数の影響を受ける可能性があります。
 当社グループは、前連結会計年度より、機能別の本部体制から事業部制へと組織体制を変更し、自動車部品製造事業を担う部品製造事業部では電動車向け製品の展開を強化し、また新たな価値創造を担うソリューション事業部では、自動車部品製造事業で培った要素技術と、自動化設備技術を活用したモノづくりソリューション事業の拡大への取り組みを推進してまいります。

(3)特定の取引先への依存について
 当社グループの主な販売先は、本田技研工業株式会社及びその関係会社であり、連結売上高に占める同グループ向けの販売は高い比率を占めております。従いまして、同グループの四輪車、二輪車及び汎用製品の販売状況により当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。
 当社グループでは、開発初期段階から顧客の課題の解決に応え、顧客の拡大に努めてまいります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

連結売上高に
占める割合(%)

金額(千円)

連結売上高に
占める割合(%)

本田技研工業㈱

6,224,551

18.2

7,030,672

16.5

ホンダ・ ディベロップメント・アンド・ マニュファクチュアリング・オブ・アメリカ

8,354,642

24.4

10,388,527

24.4

その他本田技研工業㈱の関係会社

9,981,635

29.2

12,637,244

29.7

合計

24,560,829

71.8

30,056,444

70.6

連結売上高

34,228,274

100.0

42,545,163

100.0

 

(4)特定の製品への依存について
 当社グループは、自動車部品の製造販売を主な事業内容としております。当社グループが取扱う自動車部品には四輪車、二輪車、汎用のエンジン部品、ミッション部品、シャーシ部品等、多数の品目があります。それぞれの品目及び新規製品での受注拡大を図るための活動を推進しておりますが、連結売上高に占める自動車部品四輪エンジン部品のロッカーアームAssyの割合が大きく、2023年3月期56.1%、2024年3月期60.3%となっております。従いまして、当社取引先がロッカーアームに替わる新機構や、内燃機関に替わる新動力源を大幅に適用した場合、また競合他社との競争により受注を失った場合には、当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。
 当社グループは、自動車の電動化において需要の増加が見込まれる製品について軽量化・低コスト化・高品質化・高機能化につながる技術開発を推進し、重点的に受注活動を推進してまいります。

(5)品質問題について
 当社グループは、製造工程等での予期せぬ品質不具合の発生が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、グローバル規模での品質保証体制を構築し、品質の維持、向上に引き続き努めてまいります。

(6)為替変動について
 当社グループは、製造及び販売する製品を海外のグループ会社と直接取引及び商社を介した取引を行っております。商社を介した取引は、自国通貨決済のため仕入れ値変動はありませんが、直接取引では、自国通貨安の場合は仕入れ値が上昇し、当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。また、連結決算を組む際、海外子会社の業績を期末の為替レートで邦貨換算するため、為替変動が大きく影響を受ける可能性があります。

(7)災害・戦争・テロ・ストライキ等の影響について
 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、それらの事業は自然災害、疫病、戦争、テロ、ストライキ等に影響されやすく、これらの事象が発生した地域においては、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、それが長引くようであれば、当社の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、海外生産拠点における生産の分散化、仕入先との連携強化を図るとともに、生産管理体制の強化を行うことにより、リスクの最小化に努めてまいります。

(8)特定の地域における事業所の集中について
 当社グループは、国内の生産拠点及び自動車販売事業の販売店は全て富山県下に集中しております。また、外注加工先につきましても同じく富山県下に集中しております。従いまして、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止を生じさせる自然災害等がこの地域に発生した場合、当社の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、グローバル規模での生産管理体制の強化を推進しており、海外生産拠点における生産の分散化、仕入先との連携強化を図ることにより、リスクの最小化に努めてまいります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社を取り巻く環境は、経済活動及び社会活動の正常化が進む一方で、為替相場の急激な変動やウクライナ情勢等を受けた資源価格の高騰等、先行き不透明な状況が依然続いております。その影響から、取引先である自動車業界は、半導体等の供給制約が緩和されたことによる回復基調により、全世界の販売台数は増加いたしました。
 このような環境の中、生産回復による増収及び為替換算影響により、売上高42,545百万円(前期比24.3%増)、営業利益3,663百万円(前期比67.5%増)、経常利益3,974百万円(前期比39.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,218百万円(前期比117.0%増)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。
1.部品製造事業
 部品製造事業につきましては、生産回復及び電動化領域におけるアルミ部品等の新規受注品立上りによる増収、また為替換算影響により、売上高は33,812百万円(前期比23.4%増)となり、セグメント利益は3,181百万円(前期比52.0%増)となりました。
2.ソリューション事業
 ソリューション事業につきましては、FA関連設備の販売、接着積層モーターコアの製造装置の販売や試作等により、売上高は882百万円(前期比32.5%増)となり、セグメント利益は135百万円(前期はセグメント損失171百万円)となりました。
3.モビリティ事業
 モビリティ事業につきましては、慢性的な部品供給不足による納車遅れはありましたものの、四輪及び中古車の販売台数増により、売上高は7,850百万円(前期比27.6%増)となり、セグメント利益は320百万円(前期比90.6%増)となりました。
 
 総資産につきましては、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ3,402百万円増加し、42,680百万円となりました。負債の部では、有利子負債の減少等により、1,424百万円減少し、12,534百万円となりました。なお、純資産の部では、利益剰余金の増加等により、4,826百万円増加し、30,146百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度と比較して1,357百万円増加し、当連結会計年度末には8,800百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は7,422百万円(前期比49.2%増)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益3,873百万円、減価償却費2,653百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は2,823百万円(前期比154.9%増)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出2,535百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は3,664百万円(前期比37.4%増)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,710百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

1.生産実績

 当連結会計年度の部品製造事業及びソリューション事業の生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

部品製造事業

33,738,239

122.2

ソリューション事業

834,298

188.4

合計

34,572,537

123.3

 

2.仕入実績

 当連結会計年度のモビリティ事業の仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

モビリティ事業

5,652,061

113.9

 

3.受注実績

 当連結会計年度の部品製造事業及びソリューション事業の受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

部品製造事業

34,772,445

119.8

2,597,340

100.9

ソリューション事業

1,396,167

231.0

569,054

151.9

合計

36,168,613

122.1

3,166,394

107.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

4.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

部品製造事業

33,812,242

123.4

ソリューション事業

882,314

132.5

モビリティ事業

7,850,607

127.6

合計

42,545,163

124.3

(注)1)セグメント間の取引については相殺消去しております。

2)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

本田技研工業㈱

6,224,551

18.2

7,030,672

16.5

ホンダ・ ディベロップメント・アンド・ マニュファクチュアリング・オブ・アメリカ

8,354,642

24.4

10,388,527

24.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、生産回復による増収及び為替換算影響により、売上高42,545百万円(前期比24.3%増)、営業利益3,663百万円(前期比67.5%増)となりました。詳細につきましては、前述の「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 また、総資産につきましては、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ3,402百万円増加し、42,680百万円となりました。負債の部では、有利子負債の減少等により、1,424百万円減少し、12,534百万円となりました。なお、純資産の部では、利益剰余金の増加等により、4,826百万円増加し、30,146百万円となりました。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,077百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は10,328百万円であります。

 資金は原則として当社で管理しており、当社グループの設備投資資金の調達につきましては、全て当社の事前承認の上実施しております。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える主要因として、主要顧客の販売状況及び当社主力製品の販売状況が挙げられます。

 その対応といたしましては、直近課題として、依然として不安定な海外情勢に伴う資源価格高騰影響や景気下振れ要因など、先行き不透明な状況が続いていることにより、自動車生産・販売は世界的に不安定な状態が継続し、先行きを見通すことが非常に厳しい状況が続くことが予想されますが、収益力向上による着実な利益の積上げにより、財務体質改善を推進してまいります。

 また、自動車業界においては、電動化の加速度的進展、CASEやMaaSに代表されるように自動車に対するニーズや価値観の変化といった大変革期にあり、それらに対応すべく戦略を前述の「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(経営環境と経営戦略)」で記載のとおり、2030年ビジョン「Change the Future~技術と創造力で新時代に新価値を提供します~」を掲げ、自動車部品製造事業の中で培った技術と、技術の源泉である従業員の創造力を基盤に、自動車部品製造事業以外の新規領域でも持続可能で豊かな社会の実現に対して貢献してまいります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値には不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

 (棚卸資産)

 当社グループは、顧客に対する供給義務を果たすために保有する補修用部品等に係る棚卸資産について、最終入庫あるいは生産終了から一定の期間を超える場合に一定の率に基づいて規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。なお、これらの棚卸資産の評価減の判定は、当社グループが過去より蓄積してきた製品等の出荷データ及び使用実績等により、ライフサイクルの実態を把握できていることを基礎としております。

 当社は、棚卸資産の評価にあたり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、将来需要や市場状況などの変化により、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、顧客ニーズに対して性能、品質及びコストパフォーマンスに優れる製品をタイムリーに生産すると同時に、将来の製品化を見据えた研究開発が重要と考えており、新製品の開発や既存製品の改良・改善によって、製品価値を高めることにより、競争力ある製品づくりに取り組んでおります。そして、それを実現するための要素技術として新素材・新製造方案・新機構・新規設備などの開発に取り組んでおります。
 研究開発活動は、主に当社の営業技術部が行っており、開発テーマを効率良く短期に完結させるために、必要に応じてプロジェクト体制で取り組んでおります。また、顧客の技術部門や、その他の産学機関などとの密接な連携のもと製品開発を進めております。
 当連結会計年度の研究開発活動の成果としては、当社主力部品であるロッカーアームで培ったアルミダイカスト技術を進化させ、鋳巣をコントロールすることで要求性能を高品質で実現することが可能になりました。電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HEV)に多く採用されるインバーターやモーター、バッテリーのハウジングやケース類の受注獲得に向け、時代と顧客ニーズに対応できる新技術の構築に取り組んでおります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、381百万円であります。当社グループは、当連結会計年度における研究開発活動のほとんどを日本の部品製造事業で行っているため、セグメント情報に関連付けての金額記載を省略しております。