当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営の基本方針として、「企業理念体系」を制定し、「企業理念」、「私たちの価値観」を定めております。これらを踏まえ、グループ全体の企業価値向上を実現するために、一人ひとりが個性を発揮してお客様の期待に応え、私企業としての利益を追求するとともに、社会の公器として社会に貢献してまいります。
《企業理念》
私たちは「求める心とみんなの力」を結集し、セキュア(安心・確実)な社会の発展に貢献します
「求める心」には、「顧客、社会のニーズに不屈の精神で挑戦し、不可能を可能にしていく」という思いが込められています。そして、「求める心」を共有した「みんなの力」が結束してはじめて偉大な仕事ができるという、いつの時代も変わることのないグローリーの原点を表しています。
《私たちの価値観》
「私たちの価値観」は企業理念の実現のために、当社グループが大切にする考え方であり、当社グループで働くすべての人々の行動や判断の基準となるものです。
キャッシュレス化や金融機関の店舗数減少など、当社グループを取り巻く事業環境は目まぐるしく変化しています。このような環境のなか、当社グループが持続的に成長し続けるために、2026中期経営計画の策定に合わせ、当社グループの価値観と行動の原点である、企業理念体系の見直しを実施し、新たに「私たちの価値観」を定めました。
(2) 経営環境
経営環境につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、すべてのステークホルダーの皆様との良好な関係に基づく企業価値向上を目指し、自己資本当期純利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、総資産利益率(ROA)、営業利益、売上高の向上を目標とする経営を実践してまいります。
(4) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
長期ビジョン及び中期経営計画
当社グループは、2018年3月に創業100周年を迎え、次代を築くために10年後のありたい姿を描いた以下の『長期ビジョン2028』を定めました。
グローリーグループ長期ビジョン2028
『人と社会の「新たな信頼」を創造するリーディングカンパニーへ』
Confidence Enabled
当社グループは、長期ビジョンの実現に向けた第3ステップとして、2024年4月からの3ヶ年を計画期間とする『2026中期経営計画』をスタートさせました。本計画では、“GLORY TRANSFORMATION 2026 ~お客様と共に未来を創造するグローリー ~”をコンセプトに、「新たな収益源の獲得」、「コア事業の収益拡大」、「経営マネジメントの強化」「リスクマネジメントの強化」の4つを基本方針とし、世界最高の製品群とソフトウェアプラットフォームを融合し、店舗DXをサポートする企業となることを目指して、以下の重点施策に取り組んでおります。
方針1:新たな収益源の獲得
本方針では、当社グループの強みである顧客基盤や技術等を活かし、お客様の収益力強化に貢献するソリューションビジネスを新たな事業の柱として確立することを目指しております。
特に、『2023中期経営計画』において戦略的に投資を行ったリテール、金融、飲食の3市場に狙いを定め、新領域事業の収益拡大を加速してまいります。
リテール市場においては、店舗DXと売上拡大に貢献するソリューションの拡充や、Flooidグループが提供する小売業向けクラウドソリューションであるユニファイド・コマース・プラットフォームを活用した顧客層の拡大に注力いたします。
金融市場においては、店舗運営の効率化に貢献する遠隔接客サービスなど新たなツールの提供や、金融サービスへのアクセスポイントを提供するためのシェアードサービスを推進いたします。
飲食市場においては、人手不足と人件費高騰を背景とするDXの動きを追い風に、セルフサービスキオスクを中心とする次世代型飲食ビジネスソリューション事業等の確立を図ります。
方針2:コア事業の収益拡大
本方針では、通貨処理機事業等のコア事業において、新たな機会の獲得による事業成長及び収益拡大を図ってまいります。
リテール市場では、セルフ型つり銭機と新技術を掛け合わせ、人手不足対応や顧客サービスの向上に寄与するソリューションを提案してまいります。また、「UBIQULAR™」を始めとする各種ソリューションの販売を強化し、リカーリング売上の拡大を図ります。
金融市場では、多様化する店舗形態に対応し、アシストセルフ機等の省人化に対応する製品の販売拡大に取り組むとともに、新興国におけるシェア拡大を進めてまいります。
方針3:経営マネジメントの強化
本方針では、経営管理の強化、経営資源の適正な確保・分配、サステナビリティへの取組み強化を推進してまいります。
具体的には、収益力の向上を目指したROIC経営を推進するとともに、社内におけるDX推進を加速し、タイムリーな経営判断に活用できるデータの整備及び可視化や業務の抜本的効率化を図ってまいります。また、グループ再編を含む組織改革の推進や人材育成、社員エンゲージメントの向上に取り組むとともに、カーボンニュートラル実現や人権方針に基づく活動を推進し、持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。
方針4:リスクマネジメントの強化
本方針では、急激な外部環境変化に備えたBCP(事業継続計画)の改善やサイバーセキュリティの強化を推進してまいります。
特に、お客様への安定的な製品供給を行うため、当社グループ全体の適正な在庫水準の見直し・確保を行うとともに、地政学的リスク、自然災害の発生等各種リスクの軽減・低減及び事業の継続・早期復旧を可能とする体制の充実に努めてまいります。また、サイバーセキュリティ対策強化のため、情報システム及び人的リソースの拡充を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)気候変動への取組み
当社グループは、2021年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、様々な取組みを推進しております。今後は、各取組みの進捗に合わせ、TCFD提言に沿った気候変動関連情報の開示の充実を図ってまいります。
①ガバナンス
当社グループは、脱炭素社会に貢献する事業の推進を重要課題の一つとして捉え、持続可能な社会の実現に向け、事業活動のあらゆる局面での環境負荷軽減を目指した環境経営を推進しております。
気候変動に関する課題は、取締役会から指名された環境マネジメント担当役員を委員長とする「環境委員会」(年2回)によって議論しており、決定された重要事項及びそれらの取組み状況については、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」(年2回)の重要課題の一つとして報告し、承認を得ております。また、これらの活動結果は、取締役会に対し定期的に報告することとしており、サステナビリティに係る経営の意思決定と業務執行の監督が適切になされる体制を整備しております。
②戦略
当社グループは、当社グループの事業にとって重要と考えられるリスクと機会、キードライバー(当社グループの事業に影響を与えると思われる要因)、気候変動が中長期で当社事業にもたらすインパクトを、以下のとおり想定しております。
また、IPCCやIEAのシナリオに基づき、事業や財務に及ぼす影響を分析し、その対応策を立案、推進しております。今回のシナリオ分析では、パリ協定の目標に沿って気候変動対策が実施される「1.5/2℃」と、気候変動対策が実施されず、気候変動の影響が生じる「4℃」の2つのシナリオ※1を用い、TCFDが例示する典型的なリスクと機会を参考に分析を行いました。
「1.5/2℃シナリオ」(パリ協定の2℃目標が達成された世界)
炭素税の導入に伴う事業コスト増加については、中から大の財務への影響が確認された一方、エネルギー(電力、ガス、ガソリン等)価格変動の影響については、事業コスト減少による中程度の影響が確認されました。
「4℃シナリオ」(現在のペースでCO2が増え続け、地球温暖化が進む世界)
河川氾濫や高潮により、生産や物流拠点が被災し、復旧にかかる費用、事業・操業停止による利益の減少が想定されますが、これらの財務への影響はともに小さいことが確認されました。
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リスク/機会 |
キードライバー (要因) |
事業インパクト |
期間※2 |
財務インパクト※3 |
当社グループの対応 |
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分類 |
項目 |
1.5℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
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移行 リスク |
政策/ 法規制 |
炭素税の導入 |
炭素税の導入により事業コストが増加 |
中期 |
<中> コスト増加 |
・計画的な省エネ/再エネ設備への投資の実施 ・再生可能エネルギー比率の向上 ・排出権取引の導入 |
|
|
長期 |
<大> コスト 増加 |
<中> コスト 増加 |
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|
対象法令の拡大/複雑化 |
法令遵守対応のためのコストが増加 |
短~ 長期 |
<中> コスト増加 |
・法規制に対応する技術/製品開発への取組み ・専任スタッフによる各国法規制の動向注視/対応 |
|||
|
技術 |
省エネ製品/サービスへの市場ニーズの高まり |
市場競争力維持/向上のための研究開発費が増加 |
中~ 長期 |
<中> コスト増加 |
市場/業界動向を踏まえた技術/製品開発 |
||
|
環境配慮型製品の開発遅れによる売上高の減少 |
<中> 売上減少 |
||||||
|
市場 |
原材料コストの上昇 |
エネルギー(電力、ガス、ガソリン等)価格の変動 |
中期 |
<中> コスト 減少 |
<中> コスト 増加 |
再生可能エネルギー比率の向上 |
|
|
長期 |
<中> コスト 減少 |
<中> コスト 増加 |
|||||
|
評判 |
ステークホルダーからの脱炭素化に向けた要求の高まり(温室効果ガス排出量削減に向けた社会的要請の高まり) |
脱炭素に向けた取組みや情報開示を怠った場合、投資家の投資判断が悪化 |
短~ 長期 |
<大> |
中長期環境計画の遂行と、取組みの適切かつ積極的な開示 |
||
|
ESG関連情報開示基準の厳格化による対応コストの増加 |
<大> |
||||||
|
リスク/機会 |
キードライバー (要因) |
事業インパクト |
期間 |
財務インパクト |
当社グループの 対応 |
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|
分類 |
項目 |
2℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
||||
|
物理的 リスク |
急性 |
自然災害の激甚化 |
自社工場や従業員の被災(台風や洪水等)等により、操業/営業停止等の損失が発生 |
中期 |
<小> |
・生産拠点の水害リスク評価を実施するとともに、事業継続計画(BCP)を策定 ・原材料の調達先や供給体制、輸送ルート等におけるリスクの分散化 |
|
|
長期 |
<小> |
||||||
|
建物/生産設備の損壊により設備復旧のコストが増加(高潮、河川氾濫、洪水) |
中期 |
<小> |
|||||
|
長期 |
<小> |
||||||
|
自然災害対策費用や保険料等のコストが増加 |
短~ 長期 |
<小> |
|||||
|
部品調達先の操業不能により部品供給が停止 |
短~ 長期 |
<小> |
|||||
|
慢性 |
海面の上昇 |
海抜の低い生産/物流拠点の操業停止 |
中~ 長期 |
<小> |
|||
|
平均気温の上昇 |
空調設備の負荷上昇により運転コストが増加 |
短~ 長期 |
<小> |
省エネルギー対策、高効率な空調設備の導入 |
|||
|
従業員の業務効率が低下 |
短~ 長期 |
<小> |
|||||
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機会 |
製品/サービス |
環境配慮型製品の需要拡大 |
環境配慮型製品の需要拡大による売上高の増加 |
中~ 長期 |
<大> |
環境配慮型製品の創出 |
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※1 使用したシナリオ
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評価内容 |
使用したシナリオ |
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炭素税、エネルギー価格 |
IEA WEO2022/NZE,APS,STEPS |
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自然災害 |
IPCC:AR6/RCP2.6,RCP4.5,RCP8.5 |
※2 期間の定義
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区分 |
期間 |
備考 |
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短期 |
~2026年度まで |
当社グループの「2026中期経営計画」期間 |
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中期 |
~2030年度まで |
2030年までの中期環境目標を設定済 |
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長期 |
~2050年度まで |
ネットゼロを想定した2050年までの長期環境目標を設定済 |
※3 財務インパクトの定義
|
評価結果 |
影響金額 |
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大 |
10億円以上 |
|
中 |
1億円以上10億円未満 |
|
小 |
1億円未満 |
③リスク管理
当社グループは、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、事業運営上の様々なリスクへの対応を行っており、気候変動リスクについても、リスク項目の一つとして特定しております。気候変動リスクの特定とその対応については、環境マネジメントシステムの仕組みを活用し、適切に管理しております。
④指標と目標
当社グループは、気候変動における指標をCO2排出量と定め、2050年度にカーボンニュートラルの実現(スコープ1・2についてCO2排出量実質ゼロ)を目指す「2050環境目標」と、そこからバックキャスティングしたマイルストーンとして「2030環境目標」を設定しております。2024年4月からの3カ年を計画期間とした「2026中期経営計画」の策定に伴い、中長期環境目標の見直しを実施し、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認定基準に基づく目標に変更しました。事業活動におけるCO2排出量(スコープ1・2)については、集計範囲を当社及び国内連結子会社(ISO14001認証取得拠点)から当社及び国内・海外連結子会社に拡大するとともに、2030年度に向けた目標を42.4%削減(2022年度比)に変更し、グローバルで取組みを推進してまいります。
具体的には、各生産拠点における高効率な設備の計画的な導入・更新や太陽光発電の導入拡大、CO2フリー電力の購入、社用車のエコカーへの切り替えなどを進めてまいります。
また、スコープ3についても、2030年度に向けた削減目標を新たに設定し、バリューチェーンでカーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
(2)人的資本に関する取組み
当社は、企業理念に基づき、事業を通じた社会課題の解決に取り組むことで、中長期的な企業価値の向上及び持続的な成長を目指しています。新たな価値創造に向けた変革に取り組み、社会課題の解決を成長へのエンジンへと転換していくため、グローリーグループ長期ビジョン2028『人と社会の「新たな信頼」を創造するリーディングカンパニーへ』の実現に向けた第3ステップとなる「2026中期経営計画」では、人材戦略目標として「競争力の源泉となる人的資本の充実」を掲げています。DX戦略を牽引していく人材の確保・育成や次世代の経営を担う人材の育成・強化など“個人と会社の成長”につながる施策とともに、健康経営の推進をはじめとした“働きやすさの向上”に向けた施策を推進することで人材戦略を着実に実行し、人的資本経営の基盤づくりに取り組んでいきます。
①人権の尊重
当社グループは、企業理念の実現のために当社グループが大切にする考え方であり、グループ全従業員の行動や判断の基準となる、「私たちの価値観」を新たに制定しました。「私たちの価値観」では、「社会とお客様のために」、「誠実」、「挑戦」、「スピード」に加え「多様性の尊重」や「チームワーク」を掲げ、多様な価値観や文化、一人ひとりの個性を尊重するとともに、チームの力を最大化することで不可能を可能にすることを目指しています。
また、当社グループの全従業員が遵守すべき法令や倫理規範を定めた「グローリー法令遵守規範」においては、差別やハラスメントの禁止をはじめとした人権保護に関する項目を掲げるとともに、国連が提唱する「人権・労働・環境・腐敗防止」についての普遍的原則である国連グローバル・コンパクトへ署名・参加するなど、人材の多様性を含む、人権を尊重した企業活動、環境づくりに取り組んでいます。
このような状況の中、昨今の企業活動と人権に関する社会的要請や期待の高まりを受け、「2026中期経営計画」において、「人権の尊重」をサステナビリティ最重要課題の一つとして位置づけるとともに、2024年4月には取組みの指針として、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った「グローリーグループ人権方針」を制定しました。今後も本方針に基づき、当社グループにおける取組みをさらに強化し、人権を尊重した経営を推進していきます。
②ダイバーシティの推進
1)女性活躍推進
当社では、性別を問わず優秀な人材の採用・育成に努めており、その能力を十分に発揮できる環境整備に取り組んでいます。女性のさらなる活躍機会の拡大に向け、「女性活躍推進法」に基づく行動計画を策定・推進するとともに、働き方改革や両立支援など、女性の管理職登用のさらなる推進に向け、キャリア意識醸成を目的とした異業種合同の通年参加型プログラムに、毎年、女性従業員を派遣しています。
2023年度の新卒採用者における女性比率は19.0%、女性管理職数は31名(2024年3月末現在)であり、2025年度の目標値(女性比率25%以上、女性管理職数44名)に向け継続活動してまいります。
また、男性の育児休業取得も推進しています。2023年度の取得率は55%であり2025年度の目標値30%以上を達成していますが、さらに取得日数の増加を推奨し啓発活動を続けています。
2)中途採用者の活躍
当社は、多彩な知見、専門スキル、バックグラウンド、キャリア等を有する即戦力人材を積極的に獲得しています。特に現時点においては、経営方針に合わせ、経営の中核を担う人材や、IT・DX知識等、新事業分野の推進を担う高度専門人材等の採用、管理職や専門職への登用も積極的に行っています。
なお、2024年3月末時点の管理職における中途採用者の比率は、25.4%です。
3)外国籍人材の活躍
当社では、事業のグローバル化に伴い、「国籍を問わず優秀な人材の採用及び管理職への登用を行う」ことを方針に掲げ、外国籍人材も含めたグローバル人材を積極的に採用しています。コーポレート部門、海外事業部門等において、多様なバックグラウンドを持つ外国籍の従業員が活躍しています。
日本国内では、2024年3月末時点で、中国やオーストラリアをはじめ18名の外国籍の従業員が活躍しており、今後も、外国籍従業員の採用を積極的に推進し、管理職への登用も進めてまいります。
また、当社グループ全体では6,000名以上(約53%)が外国籍従業員であり、各現地法人は、経営幹部、管理職とも外国籍従業員が中心となり運営されています。
4)障がい者雇用
当社グループでは、障がい者の自立を支援し、社会で活躍する場を提供しています。例えば、1999年に特例子会社として設立したグローリーフレンドリー株式会社では、「人と人とのふれあいを大切にしながら、自分たちの持っている力を充分に発揮し、創造ゆたかな職場をつくっていく」ことをスローガンに、各人の個性や能力に合わせ、構内美化や緑化作業、社内書類・郵便物の集配、廃棄物管理などの業務を担当しています。また、職域の拡大にも注力しており、各人が強みを活かし、活き活きと働くことのできる場面を提供し続けたいと考えています。
③次世代の経営、事業を担う人材の育成・強化
1)DX人材の育成
当社では、社内におけるDX推進を加速することを経営課題の一つと認識しており、以下のとおり、全体を4階層に分けた研修を実施する予定です。
〈2026年度の目標値〉
2)グローバル人材の育成
近年の海外事業展開の加速により当社グループの売上高に占める海外売上高の比率は半分超にまで高まっており、2024年3月末現在のグループ全体の外国籍従業員比率は約53%です。こうした状況から、グローバル事業を支える人材の育成にも注力しており、以下をはじめとする諸施策を実施しています。
海外短期留学制度:海外短期留学制度を設けており、海外の語学学校で、ビジネスに通用する語学力・スキル・経験等を獲得することを通じて、グローバル視点を持つ人材の育成を図っています。2014~2019年の6年間で23名が利用しました。
海外トレーニー制度:海外グループ会社における1年間のOJTを通して、グローバルに活躍できる経験とスキルを持った人材の早期育成を目的とする制度を設けています。制度創設後、開発部門や営業部門等の従業員26名が本制度を利用しました。
3)次世代中核人材の育成
次期経営幹部育成プログラム(GBC):次世代の幹部人材の育成を目的に、管理職層の従業員を対象とした「GLORY Business College」を実施しています。本研修は、約7カ月間にわたる全7回のプログラムと社外セミナーに参加し、幹部として必要なスキルや知識の習得などを目指すものです。また、メンバー同士の意見交換や異業種交流などを通じ、社内外のネットワーク構築にもつながっています。
④個性や強みを発揮出来る環境整備
1)社員エンゲージメントの向上
当社では、働きがいのある職場づくりを目指し、執行役員・社員・シニア社員を対象に、社員エンゲージメントや社員を活かす環境、ハラスメントに関する意識、サステナビリティに関する意識の浸透度などをテーマに従業員意識調査を行っています(2017年度:2,859名回答(回答率86%)、2019年度:3,375名回答(回答率96%)、2023年度:3,191名回答(回答率90%))。結果は各部門の管理職層にフィードバックし、主要内容は従業員に公開しています。この調査を継続的に行い、現状および経年変化を把握することで課題を抽出し、改善に向けた施策の立案・実施に向け取り組み、施策の効果を次回の調査で確認していきます。
2)自己成長プログラム(まなVIVA)
当社では、今年度から従業員が自己実現に向けて必要なスキルを身につけるために、自ら考え、選択して学び、自己の価値を高める機会を自己成長プログラム(まなVIVA)として充実させていきます。具体的には、ビジネススキルや専門職種のスキル、IT・デジタルスキルを強化するためのオンライン学習プラットフォームの提供や語学力強化を目的とした学習ツールの提供、視野を広げるための他社交流プログラム・越境学習といった様々な学びの場を準備し、従業員のキャリア形成をサポートしていきます。
3)キャリア面談
当社では、従業員が持つ知識やスキル、経験、キャリアに関する志向等を明確にし、従業員一人ひとりの働きがい向上と人事情報を経営資源として有効活用することを目的に、「人材データベースシステム」を導入しています。各職場において、本データベースを基に、上司と部下がキャリア面談を実施することにより、従業員一人ひとりが自身のキャリアビジョンを明確にし、自律型人材として能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
4)社内公募制度
当社では、従業員が自律的なキャリア形成にチャレンジできるよう「社内公募制度」を設けています。新たな人材を求める部署が必要人材を公募し、希望する従業員は自由に応募できる制度です。従業員の主体的なキャリア形成に加え、社内活性化や従業員のモチベーション向上にもつながる制度です。
⑤多様な人材の活躍を支える主な制度・取り組み
1)GLORY WorkStyle
当社では、テレワークの活用を進めており、主に内勤者対象の在宅勤務制度や外勤者対象のモバイルワークを導入するなど、場所や時間の制約を受けない柔軟な働き方を支援しています。
2)健康経営
当社は、従業員の健康を良好に保つことが、企業活動における重要な経営課題と捉え、「健康経営宣言」を制定し、従業員の健康維持に向けたさまざまな取り組みを推進しています。
経済産業省及び日本健康会議が策定する「健康経営優良法人認定制度」大規模法人部門で「健康経営優良法人」に2020年から現在まで継続して認定されています。
主な指標(実績及び目標)
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マテリアリティ |
指標 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
目標値 |
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社会 |
人権と多様性の尊重 |
取締役の多様性の確保 |
女性1名 |
女性2名 |
- |
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17.4% |
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※ |
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29名 |
|
※ |
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|
|
15名 |
|
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|
|
22.1% |
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|
||
|
|
2.46% |
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(2023年度法定雇用率) |
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※ハラスメントに関する研修 |
e-learning受講率 99.5% |
e-learning受講率 |
|
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21,154円 |
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13件 ※うち、ハラスメントに関する相談8件 |
※うち、ハラスメントに関する相談18件 |
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安全・健康的に働ける環境の整備 |
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2,013時間 |
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健康経営の推進 |
・新型コロナウイルス感染予防対応及びワクチン接種の推進 ・全社禁煙に向けた継続的な啓蒙実施 ・法定健診、二次検診の受診の啓蒙実施 ・ストレスチェック受検率向上の取り組み |
・全社禁煙に向けた継続的な啓蒙実施 ・法定健診、二次検診の受診の啓蒙実施 ・ストレスチェック受検率向上の取り組み |
健康管理計画に基づいた取り組みの実施 |
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14.9日 |
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前年度以上 |
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・休業災害度数率 0.53 ・休業災害強度率 0.020 |
・休業災害度数率 ・休業災害強度率 0.005 |
前年度以下 |
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2026中期経営計画においては、以下の目標を追加し取り組みます。
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マテリアリティ |
指標 |
2026年度KPI |
2024年度目標値 |
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社会 |
事業戦略に資する人材の確保・育成 |
DX推進による人材の育成 |
①DX・IT案件を自ら考え、作り出せる人材(130人) ②DX・IT案件を推進もしくは支援する素養を備えた人材(300人) ③守りのDXを先頭に立って牽引する人材(100人) ④DX・ITの基礎知識を備えデジタルツールを使いこなせる人材(3,500人) |
①20人 ②100人 ③20人 ④1,000人 |
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働きやすい職場環境の確保 |
エンゲージメントの向上 |
社員意識調査の全設問に対する肯定回答率 55% |
簡易サーベイで状況確認 |
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人権の尊重 |
人権尊重に向けた取り組み強化 |
①人権方針の策定・浸透 ②人権DDの実施 |
①人権方針の策定 ②人権DDのプロセス検証 |
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当社グループでは、2019年3月期よりグループ全体のリスクマネジメント体制を整備し、リスク管理委員会を中心に、重点領域を設定して対策強化を行うとともに、これらの情報については取締役会に報告する体制としております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)リスクマネジメント体制
当社は、社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、当社グループのリスク管理体制の維持・強化を進めております。
(2)リスク管理プロセス
リスク管理活動は、下記のPDCAを回すことでリスクの特定と評価を行っています。洗い出されたリスクを、影響度と発生可能性の二軸で評価し、重要リスクと特定した事項について、主管部門を中心に平時における予防措置を講じるとともに、危機発生時に迅速に対応できる体制の確保・向上に努めており、リスク管理委員会では、その結果に基づき、諸対策について審議しています。また、その概要については、定期的に取締役会に報告しております。
(3)事業等のリスク
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リスク分類 |
リスク項目 |
リスク内容 |
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事業環境 |
キャッシュレス化の急速な進展/現金処理機への高い依存 |
当社グループは、DMP事業などの非現金分野を含む新領域事業の拡大に取り組んでおりますが、新領域事業が成長するまでの間に、中央銀行によるデジタル通貨の発行など急激なキャッシュレス化がグローバルに、また短期間に進展した場合には、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、2026中期経営計画において、リテール・金融及び飲食市場を注力市場とし、ソフトウェアプラットフォームの提供によりお客様の店舗DXのサポートを行うことで、新領域事業の拡大を進めてまいります。 |
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海外事業展開 |
当社グループは、海外市場への事業展開を積極的に行っておりますが、戦争や紛争の発生・激化など国際情勢の変化による事業活動への影響を含む地政学的リスクに加えて、予想の範囲を超える為替相場や金利の変動、知的財産の侵害等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、世界各地で高まる地政学的リスクの影響を低減する中長期的な事業戦略と生産戦略の立案と推進、また為替相場の変動に備えた為替ヘッジ施策、未来創造と事業収益に直結した知的財産活動により、事業展開を進めてまいります。 |
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各国の法令・各種規制 |
当社グループは、事業活動を行っている国及び地域において、事業の許認可や輸出入規制のほか各種法令の適用を受けております。これらの法令の改廃や新たな公的規制の新設等がなされた場合、また、それ以外の特殊な市場環境要因が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、各国法規制の動向を調査のうえ、かかる規制等の適用を受ける業務の特定、リスク評価と対応策の実施ならびに社員教育を進めてまいります。 |
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競争の激化 |
当社グループが関連する事業分野において競争が激化し、他社による競争力のある新製品・新サービスの提供、大幅値下げ等の積極的な販売活動の展開、低価格品への需要シフト等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、世界最高品質の製品群とソフトウェアプラットフォームを融合し、お客様の課題解決のための店舗DXに貢献するトータルソリューションを提供することで新たな信頼を創造し、お客様と共に未来を創造するパートナー企業を目指してまいります。 |
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戦略投資 |
当社グループは、中長期にわたる持続的な企業価値向上を目的として、コア事業の拡大及び新領域事業創出に向けて積極的に経営資源を投入しております。2024年3月期末現在、企業買収に伴い発生した「のれん」及び「顧客関係資産」の金額は、それぞれ連結総資産の18.0%(84,171百万円)及び5.7%(26,838百万円)を占めており、事業環境の変化等により期待した成果が得られない場合には減損損失が発生し、業績に影響を与える可能性があります。また、持分法適用会社となった投資先が事業計画を達成できない場合には、持分法による投資損失が発生し、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、戦略投資委員会規程に基づき、投資先の事業を取り巻く環境の評価を定期的に実施し、取締役会等において報告を行うことで、投資後の管理を確実に行い、投資時のシナリオに沿った成長戦略の推進を行っております。 |
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事業環境 |
サプライチェーン |
当社グループは、天災や事故等によりサプライヤーの生産活動が停止した場合や、半導体や原材料等、世界的な需給バランスの崩れにより、納期遅延が発生した場合は、生産に影響が生じ、業績に影響を与える可能性があります。 また、インフレーション等により部品・原材料の価格が高騰した場合には、原価 が上昇し、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、入手性の高い部品・原材料への切替えや、需給バランスの崩れが予測される半導体などの電気部品の中期的な販売予測に基づく先行発注を行うなど、安定的な部材確保の方策を進めております。 |
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人材の確保 |
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、多様な国籍、価値観、専門性等を持つ従業員が働いております。当社グループの中長期的な成長は、これらの人材に大きく依存していることから、優秀な人材、特に新領域事業拡大に必要なDX人材等の確保・育成が中長期的に計画どおり進まなかった場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、競争力の源泉となる人的資本の充実を人材戦略の目標に掲げ、社員エンゲージメントの向上策として、個人と会社の成長が実感できる人材育成と健康経営を中心とした働きやすさの向上や、ダイバーシティの推進、人権の尊重に取り組むことにより、DX人材を中心とした人材の確保・育成に注力してまいります。 |
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事業運営 |
知的財産権 |
当社グループは、当社グループ製品による第三者の重要な知的財産権の侵害を防止するとともに、第三者により当社の知的財産権を侵害されないよう他社製品の継続的な調査を行っておりますが、当社グループのような研究開発型企業においては、他社との知的財産紛争が生じる可能性があります。このような事態が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、知的財産部門と事業部門が連携し、知的財産における当社の市場ポジションを示す“IPランドスケープ”を実施することにより、第三者の知的財産権の調査を通して、知的財産紛争発生のリスク低減を図っております。 |
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情報セキュリティ |
当社グループは、顧客等の個人情報や機密情報の漏洩等の防止は、必要不可欠の事項と捉え、規程の制定、社内教育の徹底、情報セキュリティシステム構築等の措置を講じていますが、情報漏洩等の事態が発生した場合、当社グループの信用低下につながるだけでなく、顧客等に対する損害賠償責任が発生するおそれがあります。また、当社グループの事業活動において、情報システムの重要性が高まっており、不正アクセスによる事業活動の停止リスクも増大しております。なお、2023年7月に当社グループが管理するサーバーに対する第三者による不正アクセスが発覚いたしました。
<対応策> 当社グループは、このような事態を抑制するため、新たに設置したグループCISOを中心に情報セキュリティガバナンスの統制を行い、社員教育の徹底、システム運用状況のモニタリング等の対策を継続・強化しております。 |
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リスク分類 |
リスク項目 |
リスク内容 |
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事業運営 |
製品・サービスの品質 |
当社グループの提供する製品やサービスは、金融機関や流通店舗での現金の取扱い等、安定的な運用が強く求められていることから、製品の設計・評価・部品調達・製造などのすべての部門で品質及び安全性の検証を行い、信頼性の高い製品を提供することに注力しております。また、保守サービスにおきましても、定期点検などにより、製品の品質と安全にかかわる大きな問題発生を未然に防ぐ努力をしております。しかしながら、製品やサービス機能の高度化に伴う不確実要因など、開発・生産・保守サービスの一連のプロセスにおいて、想定外の品質問題の発生もあり得るため、これらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<対応策> 当社グループは、品質問題が発生した場合や法規に抵触する可能性のある不具合が発生した場合は、迅速にマネジメント担当役員に情報が届くシステムを設定し、対応に遅れが出ないようにしております。 |
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資金調達 |
当社グループは、事業活動の資金を内部資金及び金融機関からの借入れや社債の発行等により調達しています。米州、欧州を中心としたインフレ対策のための政策金利の利上げや、格付機関による当社信用格付けの引下げ等が生じた場合には、資金調達コストが増加し、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、資金繰り計画を適時に更新するとともに、銀行借入れや社債発行など資金調達の多様化を進めることにより、流動性リスクの低減を図っております。 |
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環境 |
気候変動 |
当社グループは、気候変動問題を喫緊の課題と捉え、事業活動における温室効果ガスの排出量削減や環境配慮型製品の開発に取り組んでおりますが、各国における法規制や要求が予測を超えることにより「移行リスク」が高まった場合、省エネ/再エネ設備への投資や炭素税・排出量取引等の導入等によるエネルギー調達コストの増加、さらには販売機会損失や企業ブランド棄損による企業価値低下が発生するなど、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、気候変動により台風・豪雨等の自然災害が激甚化することにより、「物理的リスク」が高まった場合、自社工場及び従業員の被災や部品調達先の操業停止等の影響を受け、当社グループの事業活動が制限され、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、「温室効果ガス排出量の削減」をサステナビリティの最重要課題の一つと位置付け、「2026中期経営計画」からは海外連結子会社も対象にしたグローバル規模で、かつ、国際基準(SBT)に基づいた温室効果ガスの削減目標(スコープ1・2)に変更し、その達成に向け取り組んでおります。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同してその取り組みを推進しており、今後は提言に沿った情報開示の充実を図ってまいります。 |
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内部統制 |
内部統制 |
当社グループは、財務報告等の正確性を確保するため、業務プロセスの文書化や厳密な内部監査の実施等により内部統制システムの強化に努めておりますが、その内部統制システムが有効なものであっても、従業員等の作業ミスや不正等によって機能しなくなる場合があります。このような事態が生じた場合には、財務情報を修正する必要が生じ、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、2022年2月に発覚した国内子会社における金銭横領事件を受け、経理・財務関連規程や現預金管理の厳正化等の再発防止策の取り組みを通して、グループ全体における内部統制と子会社ガバナンス体制を強化するとともに、コンプライアンス意識の浸透・徹底を図っております。 |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国においては堅調な設備投資や個人消費を背景に景気が拡大傾向となりましたが、欧州や中国では回復に遅れが見られました。また、不安定な国際情勢による影響が懸念される状況が継続いたしました。
わが国経済におきましては、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、社会経済活動が正常化したことやインバウンド需要の持直しもあり、景気は回復基調となりました。一方で、円安の進行や物価上昇が継続し依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
こうした状況のなか、当社グループは、2021年4月からの3ヶ年を計画期間とする『2023中期経営計画』の最終年度として、「コア事業と新領域事業のクロス成長」をコンセプトに事業活動に取り組んでまいりました。
コア事業につきましては、海外市場において、金融市場及びリテール市場ともに、人件費高騰や人手不足対応に伴うセルフ化ニーズが継続し、製品・サービスの需要は堅調に推移いたしました。加えて、半導体を始めとする部品調達難が解消し、生産が正常化したことにより主要製品の販売が増加いたしました。また、当社の米国連結子会社であるGlory Global Solutions Inc.とRevolutionグループとの間で米州地域における販売・保守事業の一元化を進めるなど、両社の統合による事業効率化に向けた準備を行ってまいりました。(*) 国内市場においては、金融市場及び流通・交通市場では、2024年7月3日に予定されている新紙幣発行に伴う製品の更新や改造作業が通期にわたって継続し、製品売上高、保守売上高ともに大幅に増加いたしました。また、遊技市場では、スマート遊技機向けカードシステムの販売が好調に推移いたしました。
新領域事業につきましては、海外においては、Acrelecグループが展開するセルフサービスキオスク関連事業が堅調に推移いたしました。また、リテール市場向けソリューションの充実やソフトウェア事業の拡大を目的に、小売業向けクラウドソリューションであるユニファイド・コマース・プラットフォームを開発・販売する英国Flooidグループを2024年1月に買収いたしました。国内においては、当社のリテールメディア事業「BUYZO Media」の拡大に向け、業務提携や実証実験に取り組んでまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、372,478百万円(前期比 45.6%増)となりました。このうち、製品及び商品売上高は、231,844百万円(前期比 49.5%増)、保守売上高は、140,633百万円(前期比 39.5%増)でありました。利益につきましては、営業利益は、51,276百万円(前期比 9,709.2%増)、経常利益は、48,438百万円(前期は 2,720百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は、29,674百万円(前期は 9,538百万円の損失)となり、売上高、利益ともに過去最高を更新いたしました。
(*)Glory Global Solutions Inc.によるRevolutionグループの吸収合併を2024年2月28日付で決議し、2024年4月1日付で手続きが完了いたしました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(金融市場)
主要製品である「オープン出納システム」及び窓口用「紙幣硬貨入出金機」や「紙幣両替機」の販売は、好調でありました。加えて、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高も増加いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は、78,422百万円(前期比 116.3%増)、営業利益は、24,179百万円(前期比 15,785.3%増)となりました。
(流通・交通市場)
主要製品である「レジつり銭機」及び警備輸送会社向け「売上金入金機」の販売は好調でありました。加えて、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高も増加いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は、74,774百万円(前期比 64.0%増)、営業利益は、10,593百万円(前期は 571百万円の損失)となりました。
(遊技市場)
主要製品である「カードシステム」の販売は、スマート遊技機向けのユニットが好調でありました。加えて、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高も増加いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は、28,201百万円(前期比 86.3%増)、営業利益は、10,030百万円(前期比 517.4%増)となりました。
(海外市場)
米州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<RBG/GLRシリーズ>」及びリテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は好調であり、売上高は、89,419百万円(前期比 29.0%増)となりました。
欧州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<RBG/GLRシリーズ>」の販売は低調でしたが、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は順調であり、売上高は、79,489百万円(前期比 12.3%増)となりました。
アジアでは、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は好調であり、売上高は、16,330百万円(前期比 3.3%増)となりました。
また、Acrelecグループの売上高は、29,916百万円(前期比 33.2%増)であり、Revolutionグループの売上高は、17,994百万円(前期比 1.3%増)でありました。
この結果、当セグメントの売上高は、185,239百万円(前期比 18.8%増)、営業利益は、6,645百万円(前期比 1,422.4%増)となりました。
その他の事業セグメントにつきましては、売上高は、5,840百万円(前期比 96.6%増)、営業損益は、173百万円の損失(前期は 1,118百万円の損失)となりました。
また、当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べ85,799百万円増加し、467,072百万円となりました。主な要因は、のれん28,642百万円、受取手形、売掛金及び契約資産26,418百万円、棚卸資産16,068百万円の増加であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ53,038百万円増加し、238,326百万円となりました。主な要因は、長期借入金24,985百万円、未払法人税等10,583百万円、賞与引当金7,811百万円の増加であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ32,761百万円増加し、228,746百万円となりました。主な要因は、資本剰余金12,286百万円の減少、及び、利益剰余金25,566百万円、為替換算調整勘定14,389百万円の増加であります。
この結果、自己資本比率は48.8%(前連結会計年度末は50.7%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,520百万円減少し、35,173百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、41,854百万円の収入となりました(前期は16,486百万円の支出)。これは、主に税金等調整前当期純利益46,814百万円、減価償却費13,380百万円、のれん償却費7,560百万円等の資金の増加があった一方、棚卸資産の増加9,901百万円、売上債権の増加20,278百万円等の資金の減少があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、33,577百万円の支出となりました(前期は9,364百万円の支出)。これは、株式会社フュートレック等の株式売却による収入が1,138百万円があった一方、製品の製造に係る金型・治工具類にかかる有形固定資産の取得による6,376百万円の支出、ソフトウェア等の無形固定資産の取得による1,876百万円の支出、Flooid Topco Limitedの株式取得等による28,002百万円の支出があったためであります。
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは8,276百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、13,957百万円の支出となりました(前期は8,526百万円の収入)。これは、主に借入金の純増減額による18,954百万円の収入があった一方、Sitrade Italia S.p.A.株式の追加取得による支出14,600百万円、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払い5,804百万円等の支出があったためであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループ(当社及び連結子会社)の生産実績のうち、当社及び主な海外連結子会社の金額を記載しております。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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金融市場(百万円) |
26,324 |
127.0 |
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流通・交通市場(百万円) |
29,498 |
134.3 |
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遊技市場(百万円) |
11,492 |
196.1 |
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海外市場(百万円) |
49,667 |
111.9 |
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報告セグメント計(百万円) |
116,982 |
125.9 |
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その他(百万円) |
691 |
190.1 |
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合計(百万円) |
117,673 |
126.1 |
(注)金額は当社及び主な海外連結子会社の製造原価によっております。
b.受注実績
当社グループの製品は、大部分が見込生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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金融市場(百万円) |
78,422 |
216.3 |
|
流通・交通市場(百万円) |
74,774 |
164.0 |
|
遊技市場(百万円) |
28,201 |
186.3 |
|
海外市場(百万円) |
185,239 |
118.8 |
|
報告セグメント計(百万円) |
366,637 |
145.0 |
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その他(百万円) |
5,840 |
196.6 |
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合計(百万円) |
372,478 |
145.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績等の概要)
■ 売上高 : 372,478百万円(前期比 116,621百万円増)
生産の正常化、及び国内の新紙幣発行に伴う製品の更新や改造作業により、前期比45.6%増加いたしました。
■ 営業利益 : 51,276百万円(前期比 50,754百万円増)
経常利益 : 48,438百万円(前期比 51,158百万円増)
親会社株主に帰属する当期純利益 : 29,674百万円(前期比 39,212百万円増)
売上高の増加、及び半導体等の部材価格高騰の影響が緩和し、大幅な増益となりました。主な増益要因といたしましては、売上高の増加による効果が41,582百万円、原価率の改善による効果が29,777百万円でありました。一方、減益要因といたしましては、円安影響による海外コストの増加や新紙幣発行への対応に伴う物流コストなどの増加等により販管費が20,604百万円増加いたしました。また、為替の影響につきましては売上高でプラス15,731百万円、営業利益でプラス1,097百万円の影響がありました。
なお、当社グループは、2023中期経営計画期間(2022年3月期から2024年3月期)において、目標とする経営指標を、自己資本当期純利益率(ROE)、売上高、及び営業利益としております。当事業年度の自己資本当期純利益率(ROE)は、14.1%でありました。売上高、営業利益につきましては前述のとおりであり、ともに過去最高となりました。
(セグメント別の概況)

■ 海外市場
売上高につきましては、金融市場向け「紙幣入出金機(RBG/GLRシリーズ)」及び、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売が継続するセルフ化ニーズを捉え好調でありました。また、保守売上高の増加や円安の進行に加え、Acrelecグループの売上高増加により増収となりました。営業利益につきましては、売上高の増加や部材価格高騰の影響緩和により大幅に改善いたしました。
地域別では、米州におきましては、金融市場向け「紙幣入出金機<RBG/GLRシリーズ>」、及びリテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は、セルフ化ニーズを捉え好調でありました。加えて、円安や保守売上高の増加により大幅な増収となりました。また、Revolutionグループの売上高は前期並みでしたが、Acrelecグループの売上高は前期から大幅に増加いたしました。
欧州におきましては、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<RBG/GLRシリーズ>」の販売は低調でありましたが、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は好調でありました。また、Acrelecグループの売上高の増加に加え、円安や保守売上高の増加により地域全体で増収となりました。
アジアにおきましては、金融市場向け「紙幣整理機」の販売が増加いたしました。また、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は好調に推移いたしました。加えて、Acrelecグループの売上高も増加いたしましたが、地域全体では前期並みとなりました。
子会社につきましては、Acrelecグループは、特に欧州のファストフードチェーンにおける販売は好調に推移し、売上高は29,916百万円(前期比 7,452百万円増)となりました。
地域別では、米州におきましては、米国でセルフサービスKIOSKの販売が順調に推移しているほか、大手F&B向けの大口商談も活発化しております。
欧州におきましては、ドイツや英国での販売が増加しております。英国ではファストフードチェーン等への販売が順調であり、ドイツでは大手ガソリンスタンド向けにKIOSKを販売するなど、飲食以外にも市場が拡大しています。
アジアにおきましては、フィリピン、台湾、タイ、日本などの大手ファストフードチェーン向けにセルフサービスKIOSKの販売が進みました。
Revolutionグループにつきましては、売上高は17,994百万円(前期比 236百万円増)と前期並みとなりました。
販売につきましては、主要顧客向けの紙幣硬貨入出金機をグローリー製品に置き換えていることもあり、Glory Global Solutions Inc.(米)(以下、「GGS Inc.」とする。)による販売への切り替えが進みました。営業利益につきましては、切り替えによる販売数量の減少やGGS Inc.との販売・保守事業の統合に向けた取り組みに伴う先行投資により営業損失が拡大しました。
なお、2024年4月1日付で当社の米国連結子会社であるGGS Inc.がRevolutionグループを吸収合併いたしました。これにより、米国市場における事業運営の効率化を図り、米州地域全体での業績向上に努めてまいります。
■ 金融市場
売上高につきましては、新紙幣発行に伴う製品の更新や改造作業により、主要製品である「オープン出納システム」の販売が前期比 179.7%増、また「窓口用紙幣硬貨入出金機」の販売は前期比 161.0%増となりました。また、保守売上高につきましても増加いたしました。
営業利益につきましては、プロダクトミックスの改善、及び改造作業に伴う増収等により大幅な増益となりました。
■ 流通・交通市場
売上高につきましては、主要製品である「レジつり銭機」の販売は前期比 77.3%増となりました。また、警備輸送会社向け「売上金入金機」の販売につきましても前期比 189.6%増と好調に推移いたしました。加えて、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高も増加いたしました。
営業利益につきましては、製品売上高、及び保守売上高の増加等により増益となりました。
■ 遊技市場
売上高につきましては、主要製品である「カードシステム」の販売は、スマート遊技機向けのカードユニットの販売が好調に推移し、大幅な増収となりました。
営業利益につきましては、売上高の増加、及び構造改革の効果等により大幅に増加いたしました。
(企業価値向上への取り組み)
当社グループは、企業価値向上への取り組みとして、PBR(株価純資産倍率)1倍以上の早期実現を目指します。2026中期経営計画で掲げる財務目標の達成に加え、負債・資本構成の最適化、生産性向上やキャッシュ創出力強化により、ROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)、ROA(総資産利益率)を改善いたします。また、財務健全性とのバランスを考慮しつつ、成長投資や株主還元の強化に取り組んでまいります。
特に、株主還元に関しましては、「2023年度(2024年3月期)の配当金額(1株につき年間106円)を基準とした累進配当及び株主資本配当率(DOE)3%以上」を配当目標と定め、安定的・継続的な増配による株主還元の強化を図ります。
また、近年社会的な要請が高まっている非財務目標への取り組みや開示の強化、投資家との継続的な対話によるエンゲージメント向上に注力することで企業価値向上に取り組んでまいります。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、財務の安全性を維持しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。
財務の安全性の維持に関しては、信用格付(R&I)「A」以上の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用を進めることにより、資本コストの低減及び資本効率向上にも努めてまいります。
設備投資及び事業投資に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。これらの方針のもと、2023中期経営計画においては3年間累計で総額940億円の投資を実施し、その内訳は長期ビジョン2028達成に向けた戦略投資が690億円、コア事業の基盤強化を目的とした設備投資が250億円となりました。また、2024年4月より新たにスタートする2026中期経営計画の3年間累計では総額500億円の投資を計画しており、300億円を設備投資に、200億円を新領域事業への機動的な戦略投資(M&A等)とDX基盤整備やコア事業の生産性向上に向けた投資に充当する計画であります。
なお、各年度の設備投資は減価償却費の範囲内とすることを原則とし、財務の安全性を維持し、妥当な水準の手元流動性を確保してまいります。
2)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。2026中期経営計画期間、イベントリスク耐性を十分に備えるべく、売上高の約2ヵ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、企業価値向上に資する戦略投資及び株主還元に配分するように考えております。
3)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、コア事業に係る資金支出では、部品・原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費(賃借料、手数料、人件費など)などがあります。
当事業年度においては、改刷対応に伴う生産影響及び部品調達に係るリスクに備えることを目的とした部材の確保等により資金需要が増加しました。
また、長期ビジョン2028に掲げる事業ドメインの拡大に向けた戦略投資に係る資金支出は、新領域事業の創出・拡大に向けた業務提携及びM&Aなどがあります。
4)資金調達
当社グループの事業活動維持及び拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部留保資金及び外部調達を有効に活用しております。
コア事業の基盤強化を目的とした設備投資には、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を活用することを基本とし、戦略投資については、設備投資に配分後の営業キャッシュ・フローを充当することを基本とした上で、資金調達手段の多様化、資本コストの低減、資本効率向上を企図し、金融機関からの借入れや社債発行等有利子負債も積極的に活用しております。当事業年度における資金需要の増加については、金融機関からの借入金で調達しております。
また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要経営課題と認識しており、当社グループの本報告書提出時点におけるR&Iの格付は「A(安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実現可能と認識しております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、紙幣・硬貨の計数、搬送、集積等で培われた媒体処理技術(メカトロ技術)、さらには認識・識別技術を当社のコア技術と捉え、それら技術を徹底的に追求していくことを研究開発の基本方針としております。また、認識・識別技術等のコア技術をベースに、顔認証技術等のバイオメトリクス関連の研究にも積極的に取り組んでおります。
現在、当社を中心に研究開発スタッフ1,493名(グループ従業員の約13%)を擁し、基礎研究分野から製品の開発、設計までを手がけており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
当連結会計年度におけるセグメントごとの研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
(1)金融市場
金融機関のATM削減による空きスペースを活用する新規市場に向け、手形電子化に伴うメール便集配削減に貢献する「メール便無人授受システム<BDL-10>」を開発いたしました。
研究開発費は、
(2)流通・交通市場
つり銭機<300シリーズ>の操作性をさらに向上させた「新型つり銭機<N300シリーズ>」を開発いたしました。また、医療機関のDXを推進する「診療費窓口支払機<FCH-950>」を開発いたしました。
研究開発費は、
(3)遊技市場
セルフによる精算と交換をワンストップで実現した「カード精算機<JCS-200>」、「回収ユニット<YJCN-11-CS>」を開発いたしました。
研究開発費は、
(4)海外市場
飲食市場の拡大に向け、当社海外向け製品最小の奥行を実現した紙幣・硬貨一体型処理機の開発を推進し、米国最大の流通向け見本市「NRF2024」、ドイツの流通向け見本市「EuroCIS」に開発試作機を出展しました。
研究開発費は、
その他の事業では、効率的な店舗運営の実現を目的に、顔認証技術と骨格認識技術を組み合わせた精度の高い分析を可能にした「新型来訪者検知システム」を開発いたしました。
その他の事業セグメントにおける研究開発費は、435百万円であります。