文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、「社会の進歩向上に寄与する製品を供給する」、「相互信頼にもとづく安定した取引を確立する」、「社員とその家族の生活の安定向上をはかる」を経営基本理念とし、「環境への貢献」、「省エネルギー・リサイクル」を事業戦略の中心に掲げ、メーカーとしての製造・販売プロセスの効率化を促進させ、市場変化に柔軟に対応できるスピード感のあるガバナンスを構築し、揺るぎ無い収益基盤の確立を目指します。
当社は2023年4月に新たにスタートした中期経営計画(H-CHALLENGE2025)に掲げた重点施策の実現を重要課題とし、当社の未来に続く経営戦略を推進してまいります。
① ラワン合板代替品としてのMDF販売推進
② MDF製造を通じた気候変動対応
③ 住宅関連アイテムの販売促進及び開発
④ 既存市場の深耕
⑤ 新市場進出と新製品開発
⑥ 原材料価格変動の抑制及び製造に関するCO2排出量の削減
当社においては、2024年度に2年目を迎えた中期経営計画(H-CHALLENGE2025)において、当社は装置産業であることから、中長期的な視点で設備投資による投資効果を評価できる、「ROIC」、「EBITDA」、「営業利益」を重要な経営指標と位置づけております。
当社の経営環境として、インバウンド需要や賃金上昇による国内景気の回復が期待されるものの、住宅価格の高騰や、住宅ローン金利の上昇懸念により、新設住宅着工戸数は低迷が続くと予測されます。また、今後は2024年問題による物流コストの上昇、建設現場の人工不足が更なる新設住宅着工戸数の減少をもたらす懸念があります。
さらには、異常気象による大型台風などの自然災害リスクも年々増加しています。不安定な世界経済により原油価格や為替の変動は大きく、原材料費やエネルギー費、物流費も大きく変動すると予測されます。このような厳しい環境の中、経営においてはテレワークをはじめとした働き方改革に加え、安定的なサプライチェーンの確立、SDGsを軸とした環境配慮型運営が強く求められる時代となってきています。
当社といたしましては、変化の激しい経営環境に対応すべく働き方改革の推進による人材確保と業務効率改善をベースとし、環境配慮型商品であるMDFの更なる付加価値追求により住宅建材市場でのシェア拡大を図ります。また、製造・販売のプロセス改善においては、省エネ・リサイクルをより色濃く反映させた取り組みを実施し、中長期的な視点でこれを確実に実現することで、安定した収益基盤の確立を目指します。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、Sustainability Vision 2030「木と向き合い、未来を拓く」をスローガンに掲げて、サステナビリティの重要課題として以下の活動に取組んでまいります。
・環境:木材(木質資源)利用を通じた地球環境への貢献活動の推進
・技術:MDFの新たな価値・可能性を拡げる製造技術革新への取り組み
・人材:持続可能なモノづくりを支えるヒトづくり
当社では気候変動を含む環境・社会課題を経営上の重要課題として捉え、取締役会において議論し、経営戦略やリスク管理に反映しております。具体的な対応や取り組みは、代表取締役社長が委員長として設置したサステナビリティ委員会で協議し、委員会での議論の内容は、少なくとも年2回の頻度で取締役会に報告されます。報告された内容に関する具体的施策及び管理指標については、取締役会にて決裁を受けます。また報告された内容に対し適切に監督する体制を構築しております。
SDGs推進ワーキンググループでの活動内容は、サステナビリティ委員会にて報告されます。
サステナビリティ委員会は、当社の経営会議メンバーおよび管理部長、ならびに経営企画室長で構成され、2023年度より年2回開催しています。委員会では、サステナビリティ活動に関する全体計画の立案、進捗状況のモニタリングする体制を構築しており、重要な事項については経営会議や取締役会へ内容を報告します。

当社が重要と定める「気候変動」と「人的資本」について戦略を示します。
(気候変動)
当社事業の原材料である木質材料は持続可能な天然資源であり、その適切な活用によって地球環境へ貢献することができると考えています。一方で天然資源であるがために「気候変動」がもたらす「リスク」と「機会」の影響が大きく、当社として重要なテーマと定めております。「気候変動」に対する具体的な対策を講じ、企業として環境課題の解決と利益創出の両立に努めることが長期的な事業継続と成長にもつながると考えております。
気候変動に伴う当社にとってのリスクと機会
(人的資本)
また、当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
当社では、「社会の進歩向上に寄与する製品を供給する」「顧客との相互信頼関係を築く」「社員とその家族の生活の安定向上をはかる」という経営基本理念のもと、2020‐2022年度の中期経営計画に基づいて、将来のホクシンを担う多様な人材の確保と、多様な働き方ができる土台づくり、評価制度・教育プログラムの充実に取り組んできました。今後、2030年に向けた“SustainabilityVision2030”の実現に向けて、持続可能なものづくりを支えるひとづくりを一層強化しています。具体的には、重要テーマとして『安心で安全な職場環境づくり』『多様な働き方への対応推進』『未来を担う人づくり』を取上げ、全ての取組みにおいてDXの推進を通じて誰もが長所を生かし、成長をし続けられる職場環境づくりを進めていきます。

当社は、気候変動に起因する移行リスク(低炭素社会への移行リスク)及び物理的リスクが、地球環境のみならず、地域経済や当社の事業運営、戦略、財務計画に重大な影響を与えることを認識しております。
当社事業の最大リスクとしては、資源枯渇、自然災害の発生で自社及び取引先が被災し、サプライチェーンが寸断されることによる基幹事業への影響と捉えております。地球温暖化による異常気象は、原材料集荷地、日本国内を含む世界各地の取引先及び物流網に甚大な被害を及ぼします。これを回避すべく温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化防止へ貢献するため、引き続きCO2排出量の算定とそのしくみを構築し、排出量削減に向けた施策の立案を行うことと致しました。
また、認識したリスクに対しては、サステナビリティ基本方針において「温暖化ガスの排出削減」を掲げるだけでなく、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を設定するとともに、プラスの機会に対しては、マーケットの要求に積極的に対応していくために具体的な取組内容を取り決めしていきます。
気候変動マネジメント体制における会議体と役割
当社は、2030年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標を策定するために、まずは当社のCO2排出量の総量及び推移を把握するために算定作業とその会社全体としての仕組みの構築を行うとともに、排出量削減に向けた各種施策の目標設定を行い実施に向けて取り組んでまいります。
また、当社では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
※正社員採用を前提とする契約社員を含む
採用した労働者に占める女性労働者の割合(推移)
※正社員採用を前提とする契約社員を含む
当社の事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社の事業に関連の深い住宅市場及びその関連市場は、経済の状況に大きく左右されます。好況時の個人消費が旺盛なときは、総じて業績も好調に推移しますが、景気が後退し個人消費が低迷すると業績も下降する可能性があります。また、海外木工メーカーより低価格の完成品及び半製品の輸入が拡大し、日本の木工業界が衰退するようなことがあると業績に大きく影響します。
原油や天然ガス価格は、産出国の情勢及び国際的な需給バランスで大きく変動する要素があります。それにより、当社製品の接着剤原料となる石化製品や電力及びLNGなどのエネルギー価格に変動が生じた場合、製造原価に大きな影響を及ぼす可能性があります。原材料仕入及び電気・ガスにおいては、安定供給・安定価格を重視した交渉及び供給先の検討を毎年実施しております。
当社の製品の原材料となる木材チップのおよそ80%は海外からの輸入に依存しています。安定した取引先を東南アジアに確保しておりますが、木材資源国での伐採規制が強化される中、東南アジアの木材産業の衰退や縮小が起こると原材料の確保が困難になり、会社の存続に影響を及ぼすことになります。当社としては、その影響を緩和するため、植林木チップ、建築解体材などのリサイクルチップ及び国産針葉樹チップ等の新たな供給先をリサーチするとともに、製品のマテリアルリサイクルにも積極的に取り組んでおります。
当社の仕入商品の売上高は、総売上高のおよそ14%を占めておりますが、仕入先からの安定的な供給量の確保や適正な仕入価格が維持できない場合は、当社の業績に多大な影響を及ぼす可能性がありますが、輸入先との良好な相互信頼関係の維持のため、定期的な輸入先への訪問による情報交換や品質向上に向けた技術支援を実施しております。
当社の製品は為替レートの変動に少なからず影響を受けます。円高の場合は、主要な原材料である木材チップやエネルギー費が下がり、製造原価の低減に寄与しますが、その反面、海外MDFメーカーの日本市場参入を容易にし、価格競争が激化するなどの現象も生じ、業績に影響を受ける可能性があります。逆に円安の場合には、木材チップの仕入価格が上昇し、販売価格に転嫁できなければ収益減少要因となり利益が低下するリスクがあります。当社では急激な為替レートの変動によるリスクを低減するため為替予約を行っております。
当社は、確定給付型の企業年金制度及び確定拠出型の企業年金制度を設定していますが、退職給付債務等の計算に必要な基礎数値(昇給率、割引率、従業員平均残存年数)の見直しや年金資産の運用環境によって退職給付費用が増減することがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業継続計画(BCPという)を策定し、地震・台風等の自然災害や感染症の拡大など非常事態が発生した際には、BCPに定める危機管理マニュアル等に基づき避難指示や社員の安全確保、災害対策本部の設置による早期復旧などの対応にあたることとしております。しかしながら、想定外の大規模な地震や津波、台風や洪水等の不可避な自然災害によって、生産、販売、物流拠点に甚大な被害を受ける可能性があります。
また、新たな感染症の発生や世界的なパンデミックの再発により、工場の操業停止やサプライチェーンの寸断等が発生した場合、当社の事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報セキュリティ
当社は、情報セキュリティ基本方針のもと情報セキュリティ規程を定め、情報流出の防止、外部からのシステム侵入への対応に努めておりますが、予期せぬ不正アクセスやコンピュータウイルス侵入により情報システムの停止や情報流出が発生した場合、当社の事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ37百万円減少し、143億41百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて78百万円減少し、81億7百万円となりました。これは主に受取手形及び電子記録債権の増加と売掛金、商品及び製品、原材料及び貯蔵品の減少によるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて41百万円増加し、62億33百万円となりました。これは主に投資有価証券、関係会社株式の増加と減価償却による有形固定資産の減少によるものです。
流動負債は、前事業年度末に比べて90百万円減少し、62億10百万円となりました。これは主に短期借入金、未払消費税等の増加と買掛金、1年以内返済予定の長期借入金の減少によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べて1億円減少し、21億86百万円となりました。これは主に繰延税金負債の増加と長期借入金の減少によるものです。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて1億90百万円減少し、83億96百万円となりました。
純資産は、前事業年度末に比べて1億53百万円増加し、59億44百万円となりました。これは主に利益剰余金、その他有価証券評価差額金の増加によるものです。
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の政府方針の転換に伴い、社会経済活動の正常化が進み、インバウンド消費や個人消費の持ち直しの結果、国内の経済活動は回復基調となりました。一方、欧米各国と我が国との金融政策の違いによる円安進行や海外経済の減速懸念、ロシア・ウクライナ問題の長期化や緊迫した中東情勢及び原油生産国の施策によるエネルギー・資材価格の高止まりにより、先行きが不透明な状況が続いておりました。
当社と関係の深い住宅業界におきましては、資材価格の高止まり及び賃金上昇による住宅価格の高騰、加えて住宅ローン金利、特に固定金利の上昇により住宅取得マインドが低下しました。結果として新設住宅着工戸数は、4月から3月累計で前年同期比7.0%の減少となりました。特に当社の販売に関係の深い持家の新設住宅着工戸数が、28か月連続前年同月比マイナスが続き、同累計で前年同期比11.5%減と大幅に落ち込む結果となりました。
この結果、当事業年度の売上高は109億79百万円(前年同期比14.8%減)となりました。国内製品のスターウッドは、54億98百万円(同14.1%減)、スターウッドTFBは、39億75百万円(同13.0%減)となりました。輸入商品は15億4百万円(同21.1%減)となりました。営業利益は1億26百万円(同74.1%減)、経常利益は1億90百万円(同61.1%減)、当期純利益は1億58百万円(同52.2%減)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、17億7百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によって得られた資金は、2億59百万円(前事業年度は4億63百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益、減価償却費、棚卸資産の減少によるものです。主な減少要因は、仕入債務の減少、割引手形の減少によるものです。
投資活動によって使用した資金は、80百万円(前事業年度は3億29百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入と有形固定資産の取得による支出によるものです。
財務活動によって使用した資金は、1億44百万円(前事業年度は1億34百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金の純増、長期借入による収入と長期借入金の返済による支出、配当金の支払等によるものです。
当事業年度における生産実績を事業部門等ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
当事業年度における仕入実績を事業部門等ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当社は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当事業年度における販売実績を事業部門等ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 事業部門等間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注)前事業年度における双日建材㈱の販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」の(重要な会計方針)に記載のとおりであります。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ37百万円減少し、143億41百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて78百万円減少しました。これは主に受取手形及び電子記録債権が7億29百万円増加した一方、売掛金が3億5百万円減少、商品及び製品が4億51百万円減少、原材料及び貯蔵品が65百万円減少したことなどによるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて41百万円増加しました。これは主に有形固定資産が76百万円減少し、投資有価証券の評価額増加により14百万円増加、関係会社株式の評価額増加により90百万円増加したことなどによるものです。
流動負債は、前事業年度末に比べて90百万円減少しました。これは主に売上原価の減少により、買掛金が3億44百万円減少、短期借入金が6億30百万円増加、1年以内返済予定の長期借入金が5億3百万円減少したことなどによるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べて1億円減少しました。これは主に長期借入金が1億58百万円減少したことなどによるものです。
純資産は、前事業年度末に比べて1億53百万円増加しました。これは主に繰越利益剰余金が33百万円増加、その他有価証券評価差額金が98百万円増加したことなどによるものです。
当事業年度における当社業績につきましては、新設住宅着工戸数の減少とともに、主力の建材用途及びフロア基材用途、構造用途の販売が低迷いたしました。第3四半期に入り、販売量が僅かながら回復してきており、販売単価を維持しながらも、販売量維持に努めてまいりました。生産においては、年間を通して生産調整を継続してまいりました。原油価格と連動するエネルギー費及び接着剤費も依然高止まりではあるものの、生産活動によるコストダウンが進み、収益を確保することができました。
この結果、当事業年度の売上高は109億79百万円(前年同期比14.8%減)となりました。国内製品のスターウッドは、54億98百万円(同14.1%減)、スターウッドTFBは、39億75百万円(同13.0%減)となりました。輸入商品は15億4百万円(同21.1%減)となりました。営業利益は1億26百万円(同74.1%減)、経常利益は1億90百万円(同61.1%減)、当期純利益は1億58百万円(同52.2%減)となりました。
また、当社の重視する経営指標であるEBITDAは5億14百万円となり、ROICは1.4%となりました。
EBITDA=経常利益+支払利息+手形売却損+減価償却費
ROIC=(経常利益+支払利息+手形売却損-受取利息)×(1-法定実効税率)÷(株主資本+有利子負債)
ROICは法定実効税率を30.62%を前提として計算しております。
2025年度を最終年度とする中期経営計画(H-CHALLENGE2025)の目標及び実績については、次のとおりであります。
2024年度は、中期経営計画(H-CHALLENGE2025)の2年目となります。当社と関係の深い住宅業界におきましては、インバウンド需要や賃金上昇による国内景気の回復が期待されるものの、住宅価格の高騰や、住宅ローン金利の上昇懸念により、新設住宅着工戸数は低迷が続くと予測されます。また、今後は2024年問題による物流コストの上昇、建設現場の人工不足が更なる新設住宅着工戸数の減少をもたらす懸念があります。そのような状況下ではありますが、当社としては2023年度よりスタートした中期経営計画(H-CHALLENGE2025)において掲げた以下の重点施策を重点課題として捉え、2025年度の最終目標達成に向けて今後より一層努力してまいります。
① ラワン合板代替品としてのMDF販売推進
環境規制に伴い東南アジアから国内へのラワン合板の輸入が減少しております。当社としては、ラワン合板の代替品としてMDFを拡販してまいります。
② MDF製造を通じた気候変動対応
木質資源は温室効果ガスCO2の大気放出を抑制する「炭素貯蔵」という機能があることが知られています。
この機能に改めて着目し、木質由来であるMDFの環境に配慮した製造条件(国産材、植林木、マテリアルリサイクル率の向上)の改良とMDFの環境配慮の側面を訴求した販促活動を行ってまいります。
③ 住宅関連アイテムの販売促進及び開発
構造用途である野地板、床下地材の販売促進、薄物耐力壁の開発を行うことで、MDFの販売量を確保してまいります。
④ 既存市場の深耕
当社MDFのブランド力強化、フロア用途MDFの性能向上をはかることで既存MDF市場への拡販を推し進めてまいります。
⑤ 新市場進出と新製品開発
新市場としては、非住宅市場への進出を積極的に行ってまいります。新製品開発においては、木質に限らない新しい素材を用いたボードの開発や強度を重視した積層ボードの開発を行ってまいります。
⑥ 原材料価格変動の抑制及び製造に関するCO2排出量の削減
生産設備の国産化推進、設備の改良・改善によるCO2排出量の削減に努めてまいります。
当社の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益、減価償却費、棚卸資産の減少による収入、仕入債務や割引手形の減少による支出により、2億59百万円の収入(前事業年度は4億63百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入、生産設備への投資等により80百万円の支出(前事業年度は3億29百万円の支出)となりました。その結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額は、1億78百万円の収入(前事業年度は1億33百万円の収入)となりました。
当社の資金需要の主なものは、原材料費、エネルギー費、修繕費、設備投資、配当金の支払い等であります。また、その資金の原資は、主に営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入等であります。なお、金融機関の借入枠等を勘案すれば、充分な資金が確保できるものと認識しております。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社は、『社会の進歩向上に寄与する製品の開発』を基本コンセプトとしております。お客様のご要望に応じて、従来品の改良及び用途開発(他木質材料の基礎研究を含む)、ならびに未利用材のサステナブル利用研究を中心に、研究開発活動を行ってきました。
当事業年度は、2022年度より取り組んでおります国土交通省の補助事業「住宅生産イノベーション促進事業」の2年目の活動に注力いたしました。2年目の成果としては、高密度な薄物MDFを積層した「積層MDF」の試作と様々な性能を検証しました。中でも、4.5mmを2枚積層した厚さ9mmの積層MDFと、特注のねじを用いて、耐力壁として試験したところ、ねじ間隔@150mmピッチで壁倍率7相当という優れた性能を確認しました。単純に比較すると、一般的な9mm構造用MDFの告示仕様に必要な釘の数を約7割減らせる計算となり、工数削減の可能性の一端を示すことができました。
この補助事業は、「人口減少対策」や「脱炭素社会の実現」といった社会課題を背景として、住宅・建築物の設計・施工・維持管理等に係る生産性向上に資する新技術・サービスの開発・実証を目的とするもので、前述の当社開発基本コンセプトに合致するものです。そこで「木質繊維の高密度化による建築部材の開発と工法の検討(R4~R6)」とのテーマを掲げ、繊維板の高密度化によって期待される、高強度かつ高耐久な素材の力を引き出し、建築現場における工種・工数の削減につなげることで、住宅生産におけるイノベーションを実現できないかと考え、取り組んでおります。「高密度な木質材料」の開発は、脱炭素化において重要な「炭素固定」の推進という側面においても効果的であり、有意義な取り組みと考えます。
新事業年度は、上記補助事業の最終年度にあたり、実用化を目指し、研究開発活動を継続して行います。また2025年4月に予定されている建築基準法関連法令の大幅な改正により、構造用MDFの高い耐力や透湿性などが求められる場面が増えると期待しており、これに応える研究開発活動も実行してまいります。
また、円安を背景とした原材料費増及びエネルギー費増に対し、接着剤の組み換え、および、新規原材料の検討も引き続き行って参ります。
当事業年度の研究開発に要した費用は