第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

足許の環境変化を踏まえた経営課題の認識と、今後の経営戦略の考え方は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

自動車業界は、地球温暖化対策としての電動化に加え、AIやIoT等テクノロジーの発展により、人の移動とモノを運ぶための手段であった自動車の概念が大きく変わり、「100年に一度」の、大変革の時代を迎えています。

 

これまで当社グループは、当事業年度までの3年間、中期経営計画「Small but Beautiful」に沿って様々な取り組みを実施いたしました。主な取り組みは次のとおりです。

・ 固定費削減/コスト構造改革は、目標に掲げた固定費20%削減を1年前倒しで実現しました。

・ コア地域とするASEANへ経営資源を集中、新中期経営計画以降発売する新商品の開発を進めました。並行して

  欧州の事業構造を改革し収益化を果たしています。

・ カーボンニュートラルの実現に向け、電動車ラインナップ強化と電動技術開発・次世代化も進めることがで

  きました。

縮小均衡に陥ることなく収益性を改善するために、2021年度から「手取り改善活動」と称した収益改善活動を推進しました。工場出荷を起点に、ディストリビューター、ディーラー、そしてお客様に納車するまでの各プロセスにおける取引条件を精査・改善し、当社グループの台当たり売上単価を最大化する活動です。同時に、この活動は価値訴求の販売に繋がり、三菱自動車ブランドの底上げに貢献していると考えております。

 

このような状況の中で当社グループは今年3月に、2023年度から2025年度までの新中期経営計画「Challenge 2025」を発表しました。これまで行ってきた構造改革により筋肉質で機動的となった経営体質を基盤に、地域戦略の「選択と集中」と、全社で取り組んでいる「手取り改善活動」を継続し、安定的な収益基盤を確立してまいります。「Challenge 2025」は、これまで以上に研究開発費と設備投資を安定的に投じることで、将来への更なる成長と次の時代へのチャレンジに繋がる経営計画であり、具体的には以下の主要項目の実現に取り組んでまいります。

 

1.販売台数110万台、営業利益2,200億円(営業利益率7%)を目標

2.今後5年間で16車種(内、電動車9車種)を投入

3.アセアン・オセアニア地域での更なる成長とアセアン向け商品を活用した他地域の収益力アップ

4.アライアンスを活用した日本を初めとする先進技術推進地域への対応

5.カーボンニュートラルの実現に向け温室効果ガス排出削減

6.デジタル化推進と新ビジネス領域への進出

7.更なるアライアンスとの連携強化(OEM商品相互補完等)

 

以上の取り組みにおいて当社グループは、コンプライアンスを最優先に考え、お客様や社会からの信頼を損なうことのない誠実な企業として、社会や環境への配慮を強化してまいります。

「三菱自動車らしい」商品及びお客様に体感いただく機会の提供を通じ、お客様に自信を持って当社グループ商品を選んでいただける長期的な信頼関係を構築しながら、一つ一つの取組みを着実に実行し、「100年に一度」と言われる自動車業界大変革の時代に挑戦してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

当社は、国連持続可能な開発目標(SDGs)の重要性を認識し、2018年度に環境・社会・ガバナンス各分野の様々な課題から当社が取り組むべき重要課題であるマテリアリティを特定しました。その後も、当社は、社会やステークホルダーに与える、経済、環境及び人権を含む、最も著しい影響を考慮し、必要に応じてマテリアリティを柔軟に見直しております。また、マテリアリティに取り組むことで、社会やステークホルダーのニーズや期待に応えていきたいと考えております。

当社では、当社グループ全体でサステナビリティに関する取り組みを推進することを目的に、代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、環境・社会・ガバナンスに関して当社が取り組むべきマテリアリティを特定した上で、それに対応する取り組みの目標を審議し、その進捗確認を行うことにより、PDCA(Plan、Do、Check、Action)を回しています。サステナビリティに関する取組方針などの重要な事項は取締役会で審議・報告され、監督を受ける体制としています。

特に、「気候変動・エネルギー問題への対応」については、サステナビリティ委員会のもとに、経営戦略・商品・生産・調達・物流などを担当する責任部門の長で構成される検討会を設置し、気候変動リスク及び機会の評価を踏まえた中長期的な対応方針・目標などを立案しています。立案した方針・目標はサステナビリティ委員会で審議する体制としています。

 

取締役会で審議又は報告された気候変動関連の事案例

・TCFD(注)提言への賛同表明

・TCFD提言に沿った情報開示

・2050年カーボンニュートラル宣言と環境ビジョン2050の改定

・環境ターゲット2030の改定

(注)Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略称。気候関連財務情報開示タスクフォース

 

②リスク管理

当社は、2021年7月のTCFD提言への賛同表明を機に、サステナビリティ委員会のもとで全社横断的な検討チームを立ち上げ、TCFD提言にもとづいたシナリオ分析を行い、事業に影響を及ぼす可能性のある気候変動リスク及び機会を抽出・特定し、発生時期と影響度による評価を行っています。特に影響度が大きい気候変動リスク及び機会への対応については、目標・実行計画に落とし込み、サステナビリティ委員会でその進捗を確認しています。

 

(2)重要な戦略並びに指標及び目標

①戦略

当社は、気候変動・エネルギー問題への対応をマテリアリティの一つとして特定しており、気候変動リスク及び機会を、事業戦略策定上の重要な観点の一つとして捉えています。短期・中期・長期のリスク及び機会の洗い出し・評価を行い、特に影響度の大きい項目として、「燃費/CO、ZEV(注)1規制などの強化」、「カーボンプライシングの導入・拡大」、「気象災害の頻発・激甚化」、「電動車の需要拡大」を特定しました。これらの項目については、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などが公表している複数のシナリオを参照し、当社事業への影響の分析及び対応策を検討しています。

気候変動リスク及び機会への対応策を、環境への取り組みの方向性と目標を定めた「環境計画パッケージ」(注)2や事業戦略に反映させることで、事業の持続的な成長や将来リスクの低減に繋げ、企業としてのレジリエンスを高める取り組みを推進しています。

2022年9月には、当社としてサプライチェーン全体で2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、あわせて「環境ビジョン2050」を改定しました。2023年3月には、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたマイルストーンとして、「環境ターゲット2030」の目標を見直しました。

製品においては、当社独自のプラグインハイブリッド車(PHEV)と軽商用EVを起点に、アライアンスの技術を活用しながら、電動化を推進し、各国・地域のエネルギー事情やインフラ整備状況、お客様のニーズに応じた最適な電動車(注)3を積極的に投入していきます。事業活動においては、エネルギーミニマム化と再生可能エネルギーへの転換を推進し、CO排出量の削減に取り組みます。サプライチェーン全体においては、原材料・部品の生産段階や製品を含めた物流領域のCO排出量の低減、再生可能エネルギーや充電インフラの普及、カーボンニュートラル燃料の活用、V2Xの推進など、取引先や関連企業・団体、政府・自治体と連携していきます。

また、2023年3月に公表した新中期経営計画「Challenge 2025」では、主要なChallengeの一つにカーボンニュートラル対応を掲げ、電動車強化第2フェーズ(2026-2028年度)に向けた電動車開発とアライアンスの強化に取り組むとともに、今後5年間で9車種の電動車を投入していくことを予定しています。

 

(注)1.Zero Emission Vehicleの略称。排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車

2.「環境計画パッケージ」の詳細は当社ホームページをご覧ください。

https://www.mitsubishi-motors.com/jp/sustainability/environment/initiatives/

3.電気自動車(バッテリーEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)

 

②指標及び目標

・指標

当社グループは、リスク・機会を管理するため、スコープ1、2(注)1については「事業活動からのCO排出量」を、更に、サプライチェーン全体の排出量の約7割を占めるスコープ3(注)1のカテゴリ11(販売した製品の使用)に係る温室効果ガス排出量については 「新車からの平均CO 排出量」と「電動車販売比率」を、主な指標として設定しています。また、2022年度からは、サステナビリティへの対応が当社グループの経営上の重要課題であるとの認識のもと、執行役の中長期業績連動報酬を決定する指標として「事業活動からのCO排出量」などのESG関連項目を追加しました。

 

・目標

当社グループは、2050年までにサプライチェーン全体でカーボンニュートラルの実現を目指し、そのマイルストーンとして2030年度に向けた目標を設定しています。

 

<主な2030年度目標と進捗>

指標

2030年度目標

実績(2021年度)(注)2

新車からの平均CO排出量

(Tank to Wheel)

▲40%(2010年度比)

▲14%

電動車販売比率

50%(2035年度100%)

7%

事業活動からのCO排出量

(スコープ1、2総量)

▲50%(2018年度比)

▲31%

 

<スコープ1、2のCO排出量の実績>                     (単位:千t-CO

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度(注)2

スコープ1

119

110

80

92

スコープ2

469

416

285

319

合計

588

526

365

411

(注)1.スコープ1、2、3についてはGHGプロトコルに準拠

スコープ1:事業者自らによる直接排出(燃料の燃焼など)

スコープ2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出

スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社などの排出)

2.2022年度の実績については、2023年秋発行予定のサステナビリティレポートをご覧ください。

 

(3)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標

①戦略

(人材育成方針)

・当社グループでは、三菱グループ共通の理念及び当社ビジョン・ミッションの実現に向けた行動指針である「MMC WAY」を制定しており、当社は社員が「MMC WAY」を実践できることを人材育成の基本として考えております。2017年に制定された従来の「MMC WAY」に、これからの変革の時代にお客様や社会へ価値を提供しながら持続的成長をしていくため、新たな価値観を加え、見直しを行いました。

 

MMC WAY

1. お客様を第一に考え、常に信頼を得続ける Think of Our Customers, Strengthen Trust

2. 社会の発展に貢献する Enrich Society

3. 事実を直視し、悪い情報ほど迅速に共有する Welcome All Facts, Share Difficult News First

4. プロとして、自ら行動し枠を超えて挑戦する Conduct and Challenge Yourself Professionally

5. 互いに敬意を払い、組織や属性を越えて共働する Respect All, Work as a Broader Team

 

・当社は、急速な環境変化の中で事業戦略の実現を確かなものとするため、社員が高い目標に安心してチャレンジできる環境を整え、また、高い専門性とスキルを獲得・発揮することを促すため基幹人事制度を刷新しました。

 

(社内環境整備方針)

・当社グループでは、企業価値向上と持続的成長のためには、社員の多様性を尊重し、社員一人ひとりがやりがいを持ちながら、心身ともに健康でいきいきと働き、活躍することができる職場環境を整えることが重要であると考え、ダイバーシティ推進策、エンゲージメント向上策等の取り組みを進めています。

・また、社員一人ひとりの健康保持・増進が、その大切な土台との考え方から、代表執行役社長を健康経営推進責任者とし、以下の「健康宣言」を掲げて、事務局である人事本部が健康保険組合・労働組合・産業医等とも連携し取り組んでいます。

 

「健康宣言」

・社員が、充実した会社生活と幸せな人生を送ること。その土台となるものは、すべての社員とその家族の心身の健康と、笑顔があふれいきいきと働ける環境づくりです。三菱自動車は、社員一人ひとりの健康増進に、積極的に取り組むことを宣言します。

 

②指標及び目標

・指標

上記方針に沿った指標として、人材育成方針に関しては、従業員行動指針(MMC WAY)及び基幹人事制度(等級・評価・報酬)を、社内環境整備方針に関しては、女性社員の活用、育児休業の取得、中途採用促進、従業員エンゲージメント、健康優良法人認定をそれぞれ設定しました。

 

・目標と実績

従業員行動指針(MMC WAY)については、リニューアルし、これを浸透させることを2022年度の目標として設定し、2022年7月に社内及び関係会社への新しい従業員行動指針のアナウンスを行い、以降各職場でのワークショップ等の浸透施策を実施しました。基幹人事制度(等級・評価・報酬)については新制度の導入・展開を2022年度の目標として設定し、2022年10月には管理職の人事制度を、2023年4月には非管理職の人事制度の一部をそれぞれ改正しました。

女性社員の活用については、女性管理職比率の向上を2022年度の目標とし、2023年3月時点では6.1%となり、2021年度から1ポイント向上しました。育児休業の取得については、男性育児休業等と育児目的休暇の取得率の向上を2022年度の目標とし、2022年度中に68.4%の取得率となりました。中途採用促進については、中途採用者数300名を2022年度の目標とし、2022年度中に304名採用しました。従業員エンゲージメントについては、従業員エンゲージメントスコアの向上を2022年度の目標とし、2021年に実施したサーベイ結果に対して、2022年に実施したサーベイ結果が2ポイント向上しました。健康優良法人認定については、健康優良法人2023認定取得を目標とし、2023年3月に認定取得しました。

なお、当社での施策も参考に連結子会社各社でも各種施策に取り組んでいます。

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要な事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下はそのすべてを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスクのいずれによっても、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

なお、以下の記載において将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、将来生じうる実際の結果と異なる可能性がありますので、ご留意ください。

 

(1)市場及び事業に係るリスク(オペレーショナルリスク)

① 部品・原材料調達の影響

当社グループは、製品の品質、コスト競争力向上の観点からグローバルに原材料、部品等を調達しており、部品・材料により集中発注、複数発注等、最適な発注形態を取ることとしておりますが、パラジウムやロジウム等、産出量が少ないだけでなく、産出が特定の国や地域に限られる希少金属も使用しております。

そのため、原材料、部品等の需給状況の急激な変動、調達先の国における政情の変化・経済安全保障に関わる輸出入規制の強化、自然災害の発生等の理由により、それらの調達先からの供給が停止した場合、又は適時に競争力のある価格で調達ができない場合には、当社製品の生産の遅延・停止やコストの増加が生じるおそれがあります。

また、当社グループの人権尊重の取り組みにかかわらず調達先において人権侵害が発生又は発覚した場合には当社グループのレピュテーションが毀損される可能性があります。

これらのリスクは、当社グループの中長期的な事業計画に与える影響も大きく、対策の重要性はより高まっております。当社グループでは、事業・業績への影響を最小化する為、サプライチェーンの見直し及び強化を継続的に行っておりますが、地政学リスクの高まりを受け、本事業年度、関連部門が参画する形で全社横断的なチームを立上げ、更なる対策強化を検討・実行中です。しかしながら、これらのリスクが顕在化する可能性はあります。

 

② 製品の品質・安全性の影響

当社グループは、製品品質の改善のため、市場からの情報に基づき関連部門が連携して迅速に不具合原因の究明及び対策を実施すること、また、潜在リスクの検証を適切に行うことに努めております。

当社グループによる製品及びサービスの品質向上及び安全性の確保の努力にかかわらず、製品の欠陥又は不具合によるリコール又は改善対策等が大規模なものとなる場合、あるいは製品の欠陥又は不具合による大規模な賠償請求がお客様からある場合には、多額の費用負担、当社製品への評価、ブランド・イメージの毀損及び販売の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法規制等の影響

当社グループは、事業を展開する各国において自動車業界に関連する排出ガス、燃費、騒音、化学物質、リサイクル、水資源等の環境に係る様々な法律や政府による規制の適用を受けています。

また、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、労働規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法(関税含む)、独占禁止法、贈収賄防止法等内外の広範な法令の適用を受けております。

これらの規制や法令に対応するため、当社グループは、規制や法令の遵守体制を整え、各担当部門が違反の未然防止の対策を講じ、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しております。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反が生じ、あるいは対応の内容、効果、迅速性等が不十分との指摘を受ける可能性があります。その場合、規制当局による行政調査の対象となったり、罰則を受けたり、あるいは関連する訴訟の当事者となる等の可能性があります。これらの可能性が現実に生じた場合には、当社グループのコンプライアンス・レピュテーションに悪い影響を及ぼしたり、当社グループの経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。

 

④ 訴訟その他の法的手続の影響

当社グループは、事業活動を行っていく中で、ユーザー、取引先、第三者などとの間で様々な訴訟その他の法的手続の当事者となる可能性があります。それらの法的手続において、あるいは現在進行中の法的手続において、当社に不利な判断がなされた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、法的手続きのうち製造物責任に関する損害賠償請求訴訟については、敗訴等の場合の損害賠償金をカバーし得ると思われる製造物責任保険に加入していますが、想定外の内容の判決が出るなどした場合、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 知的財産権侵害の影響

当社グループは、技術・ノウハウ等の知的財産の保護の対策を講じるとともに、第三者の知的財産権の侵害防止の対策を講じております。しかしながら、当社グループの知的財産権が不法に侵害されて訴訟費用が発生した場合、又は、第三者から予期せぬ知的財産権侵害の指摘を受けることに伴い、当社グループの製品の製造販売の中止、想定外のライセンス料支払、賠償金支払、当社製品への評価及び需要の低下等が生じた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 情報技術及び情報セキュリティの影響

当社グループの運営や製品・サービス等に利用する情報及びこれを保存するネットワーク、システム等の情報技術は、委託先管理のものを含め、多岐にわたります。コネクティッドサービスやIoT技術の進展を踏まえ、当社グループは、ハードウェア・ソフトウェアの安全管理対策を、個人情報保護対策を含めて実施する他、当社グループ従業員への情報セキュリティ教育を実施しております。それにもかかわらず、当社グループ又は取引先においてインフラや製品・サービス等へのハッキング・サイバー攻撃、当社グループ内部若しくは委託先での管理不備ないし人為的な過失、又は自然災害等の発生により、当社技術情報等の機密情報・個人情報等の漏えい、重要な業務やサービスの停止、不適切な事務処理、又は重要データの破壊・改ざん等が発生し、当社グループのブランド・イメージや社会的信用の低下による販売の減少、法的請求、訴訟、賠償責任若しくは制裁金や罰金の支払義務発生、又は生産停止等の運営の支障が生じた場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業戦略や競争力維持に係るリスク(戦略リスク)

① 営業戦略、競合他社動向への対応の影響

自動車業界では現在、世界的な規模で激しい競争が展開されています。また、電動化に加え、テクノロジーの発展により、人の移動とモノを運ぶための手段であった自動車の概念が大きく変わり、「100年に一度」の大変革の時代を迎えています。当社グループは、「安定収益基盤確立に向けた地域戦略」「カーボンニュートラル対応の促進」「デジタルトランスフォーメーション、新事業への取り組み」を主要なチャレンジとする中期経営計画「Challenge 2025」を推進し、三菱自動車らしい製品や体験をお客様に提供することで、販売台数やマーケットシェアの維持拡大、及び収益力の向上に努めております。しかしながら、今後、そういった戦略が想定通りに進まず、競合他社に対して優位な施策を講じることが出来ない場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 製品・技術開発の影響

当社グループは『環境×安全・安心・快適』を実現する技術に裏付けられた信頼感により『冒険心』を呼び覚ます心豊かなモビリティライフを提供するために、地域毎の多様な要請、カーボンニュートラル対応等、自動車メーカーに求められる技術や姿勢が急激に変化している中において、お客様の価値観とニーズに対応した有用かつ現実的で使いやすく、「三菱自動車らしさ」を具現化した新技術や新製品をタイムリーに投入することが重要と考え、開発に日々取り組んでおります。しかしながら、きめ細かな調査に基づく研究・開発であっても、お客様の価値観とニーズを十分にとらえることができない場合、又は内部・外部的な要因により、新技術や新製品を、タイムリーに開発しお客様に提供することができない場合には、販売シェアの減少、売上高及び収益力の低下を引き起こす可能性があります。

 

③ 他社との提携等の影響

当社グループは、経営資源の効率化や相乗効果を期待し、研究開発、生産、販売等の分野において共同出資関係を含む他社と業務提携・合弁による事業運営を行っておりますが、相手先の事業戦略の変更、当事者間の提携方針の不一致、出資比率の変更等により、提携・合弁関係を変更する又は維持できなくなる可能性や期待どおりの成果を生まない可能性があります。期待どおりの成果を生まない場合、提携・合弁先の財務状態が悪化した場合、又は出資関係の変更・大幅な提携の変更・提携の解消が生じた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 人事労政戦略の影響

当社グループは、高度な専門性を持つ人材の確保と、活躍機会の提供が極めて重要であると考えており、要員構成の是正による適切な人員配置、役割に基づいた処遇制度の整備、多様な働き方を支える風土の醸成と、個々の成長を促す仕組みづくりを推進しております。

しかしながら、採用難や労働市場の流動性の高まりにより、計画通りの採用や定着化が進まなかった場合には、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性があります。

また、当社グループではグローバルに事業を展開し、持続的に成長するためには、人権尊重の取り組みが社会的責任を果たしていく上で不可欠な要素であると認識しており、「人権方針」で制定した差別の禁止や不当な労働慣行の排除等に取り組んでいます。しかしながら、当社グループ及び関係者が人権上問題のある行動を取った場合には、お客様の信用・信頼を失う、又は社会的信用の低下等によるブランド・イメージの毀損等が事業基盤に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 気候変動の影響

当社グループは、燃費/CO2排出規制やZEV規制の強化、カーボンプライシング等の導入拡大を想定し、当社グループの環境への取り組み方針と目標を定めた「環境計画パッケージ」に基づき、電動化の推進や各拠点での省エネルギー活動と再生可能エネルギーの導入等を進めております。しかしながら、想定を超えて気候変動政策が強化され、燃費/CO2排出規制やその他規制の更なる強化への対応により原価が高騰する場合、又はカーボンプライシングなどの導入拡大によって生産や調達の原価が高騰する場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、グローバルでのCO2の削減が進まず、気温が上昇し続け、現在よりも広域で台風、豪雨等の自然災害が頻発・激甚化することに備えて、事業継続計画の策定などの適応策の推進にも努めております。しかしながら、当社グループや取引先の生産拠点等が所在する国・地域において、想定以上の洪水等の自然災害の頻発や激甚化により、部品調達、製品の生産や販売、物流等が遅延又は停止する場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)金融・経済に係るリスク(財務リスク)

① 為替変動の影響

海外売上高比率が約8割を占める当社グループでは米ドル、ユーロ、豪ドル等の外貨建債権を有しており、また、タイ子会社にてグローバルでの輸出生産を行っていることから、タイバーツを中心に外貨建債務も有しております。

円と外国通貨の為替相場が変動すると、外貨建資産(売掛金等)や外貨建負債(買掛金等)の価値が増減するため、当社グループの円ベースの損益に影響を及ぼします。

現在、インドネシア生産車の輸出、タイ生産車の現地販売拡大等、為替影響低減のために必要な措置を適宜進め、為替相場変動の影響削減に中長期的に取り組んでおりますが、大幅な為替変動が発生した場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 市場環境変化の影響

当社グループは、世界各国で事業を展開しており、様々な国、地域で生産活動を行い、製品を販売しております。

これらの事業活動は、それぞれの国、地域の経済低迷、金融危機などにより影響を受ける可能性があり、また、輸送費の上昇、輸送のための船腹が確保できない、又は手配が遅れる場合には、生産・販売活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 取引先等の信用リスク

当社グループは、事業活動を行っていく中で、販売業者や、販売金融事業による顧客・リース先等の取引先の信用リスクを伴っております。

販売業者等の取引先に対する信用リスクについては、カントリーリスクや取引先の財務状況に対する継続的な評価を行いながら適切な債権保全を図ることで、その抑制に努めております。また、販売金融事業から生じるリスクに対しては、厳格な審査・回収管理を行い、破綻の発生及び回収不能額の抑制に努めております。しかしながら、外部環境等の悪化等を要因とし、これらのリスクに基づく損失が当社グループの想定を上回る場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 資金の流動性の影響

当社グループは、金融機関からの借入に加え、コマーシャル・ペーパーの発行等により資金調達を行っております。当社は事業環境の悪化による資金需要の増加に備えるべく、コミットメントライン約1,500億円に加えて、海外子会社においても資金調達枠を設定することで十分な流動性を確保すると共に、メインバンクをはじめ取引金融機関との良好な関係性の維持に努めております。しかしながら、経済・金融危機等の発生、又は当社グループの信用格付けの引き下げ等により、金融市場から適切な条件で必要とする金額の資金調達ができなくなった場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事業の継続に係るリスク(ハザードリスク)

① 戦争・テロ・政治不安・治安の悪化の影響

当社グループは、日本及び世界各地に開発、製造、販売等の拠点の施設を有しており、当該各地でテロ、戦争、内戦、政治 不安、治安不安等が発生することにより、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合があります。

かかる状況を想定し、経済安全保障クロスファンクショナルチームにより想定される支障の軽減策を準備・実行すると共に、仮にこうした事象が発生した場合には、関係部門が参画した対策会議を立ち上げ、全社横断的な観点で対応を行っております。

しかしながら、想定を超える規模でテロ、戦争、内戦、政治不安、治安不安等が発生し、部品調達、製品の生産や販売、物流等が遅延若しくは停止する場合、又はコストの増加をもたらした場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 自然災害や事故、感染症等の影響

当社グループは、日本及び世界各地に開発、製造、販売等の拠点の施設を有しており、当該各地で大規模な地震・台風・豪雨・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症の発生により、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合があります。

これらに備え、当社グループ事業へ影響が大きいと想定されるシナリオに基づき、BCM*委員会において事業継続計画を策定するとともに、定期的な訓練による有効性検証を行い、今後の新たな脅威に備えております。

しかしながら、想定を超える規模で自然災害、事故、感染症等が発生し、開発、製造、販売等の拠点の施設の損壊、又は部品調達、製品の生産や販売、物流等が遅延若しくは停止する場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

*:Business Continuity Managementの略

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、本項において含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績

新型コロナウイルスは年を通じて流行しましたが、ワクチン接種率の向上や治療薬の開発等により、重症化リスクも制御されてまいりました。こういった状況下で世界各国が感染対策緩和に舵を切り、社会経済活動も徐々に正常化に向かいつつあります。一方で、依然として出口の見えないロシア・ウクライナ情勢、収束する気配のない物流の混乱や、エネルギー価格の高騰、またこの数十年見られなかったレベルのインフレの広まり、それらを抑制するための急激な金利上昇等、舵取りが難しい経営環境でした。

このような経営環境の中、全地域で販売の質向上あるいは「手取り改善活動」を推進した成果と、円安効果により、前年度比で大幅に改善いたしました。

結果、通期販売台数はグローバルで前年度比11%減の83万4千台、通期売上高は前年度比21%増の2兆4,581億円となりました。通期営業利益は、資材費高騰及び半導体・船腹不足等の厳しい環境ながら、年度を通じ販売の質向上に伴う収益の改善効果に、為替の追い風も加わり、1,905億円(前年度比+1,032億円)となりました。なお、経常利益は1,820億円(前年度比+810億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,687億円(前年度比+947億円)と、全ての利益項目で過去最高益となりました。

 

主な地域別の販売状況は次のとおりです。

 

・ アセアン        : 262千台(前年度比+ 12千台)

・ 豪州・ニュージーランド :  88千台( 同上 △  9千台)

・ 日本          :  92千台( 同上 + 17千台)

・ 中国他         :  48千台( 同上 △ 33千台)

・ 北米          : 133千台( 同上 △ 23千台)

・ 欧州          :  61千台( 同上 △ 58千台)

・ 中南米、中東、アフリカ他: 150千台( 同上 △  9千台)

 

(注)当連結会計年度より国又は地域の区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の区分に組み替えた数値で算出しております。

 

新型車につきましては、日本では新型『eKクロス EV』を昨年5月に発売しました。電気自動車(EV)は誰もが気軽に選べる身近な存在であるべきと考え、誰もが運転しやすく扱いやすい軽自動車タイプのEVとし、日常使いに十分な航続距離を実現するとともに、先進の運転支援機能等を採用しました。

日本メーカー唯一の軽商用EVである『ミニキャブ・ミーブ』についても、物流関連企業や自治体等を中心に需要が高まっており、一般販売を再開しております。

また今年1月に発表した新型『デリカミニ』は、お客様の「こういうクルマが欲しい」という要望に応えるクルマに仕上がり、5月の発売までに1万台を超える予約受注をいただいております。

当社の最重要市場であるアセアンでは、昨年10月にベトナムでコンパクトSUVのコンセプトカー『XFCコンセプト』を発表、今年3月にはタイで新型ピックアップトラックのコンセプトカー『XRTコンセプト』を発表いたしました。これらの量産モデルは今年アセアン各国で順次発売され、当社の事業基盤を更に強固にします。

欧州でも、コンパクトSUVの新型『ASX』をアライアンスパートナーであるルノーからOEM供給を受けて販売を開始しました。

 

事業別セグメントの状況は以下のとおりです。

 

(ⅰ)自動車

当連結会計年度における自動車事業に係る売上高は2兆4,420億円(前年度比+4,232億円)となり、営業利益は1,861億円(前年度比+1,026億円)となりました。営業増益は、限界利益率の改善及び為替好転影響等によるものです。

 

(ⅱ)金融

当連結会計年度における金融事業に係る売上高は351億円(前年度比△29億円)となり、営業利益は49億円(前年度比+3億円)となりました。

 

② 財政状態

当連結会計年度末の総資産は2兆2,015億円(前年度末比+2,731億円)となりました。そのうち現金及び預金は5,960億円(前年度末比+845億円)となりました。負債合計は1兆3,711億円(前年度末比+730億円)となり、そのうち有利子負債残高は、4,283億円(前年度末比△522億円)となりました。純資産は8,304億円(前年度末比+2,001億円)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

① キャッシュ・フローの基本的な考え方

当社は、財務規律を維持しつつ健全で持続可能な成長を図り、企業価値を高めることで、株主の皆様への成果配分を安定的に維持することを基本としており、フリー・キャッシュ・フローをそのための経営管理指標の一つとして設定しております。

この考え方に基づき、当社グループにおける自動車の開発・生産・販売等の事業活動における運転資金需要(材料費、人件費、各種経費、金融事業に係る貸付資金等)や、MaaS(Mobility as a Service)やCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)などの新技術や環境規制対応、老朽化した生産用設備の維持・更新などの設備資金需要の一元管理を行い、斯かる資金需要に対しては、毎年当社が新たに生み出すキャッシュ・フローを原資とすることを基本とし、必要に応じて過年度まで蓄積された内部資金の活用や金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパーの発行により資金調達を行っております。

 

(注)フリー・キャッシュ・フローの算出においては、以下の計算式を使っております。

   営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計です。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により1,736億円の収入(前年度比555億円の収入増加)、投資活動により531億円の支出(前年度比160億円の支出減少)、財務活動により619億円の支出(前年度比517億円の支出増加)となりました。加えて、現金及び現金同等物に係る為替換算差額による259億円の増加もあり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し844億円増加し、5,959億円となりました。

なお、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは、営業利益の改善等に伴う営業活動による収入の増加により、1,205億円の収入(前年度比715億円の収入増加)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による収入は1,736億円となり、前連結会計年度の1,181億円の収入に対し555億円の収入増加となりました。この収入増加は主として、営業利益の改善等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による支出は531億円となり、前連結会計年度の691億円の支出に対し160億円の支出減少となりました。この支出減少は主として、有形固定資産の売却による収入の増加によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による支出は619億円となり、前連結会計年度の102億円の支出に対し517億円の支出増加となりました。この支出増加は主として、長期借入金の返済によるものであります。

 

③ 資金の流動性及び資金調達

当連結会計年度末の連結現預金残高は5,960億円、連結有利子負債残高は4,283億円となりました。当社単体において国内金融機関からは約1,500億円のコミットメントラインを設定しており、現預金残高にコミットメントラインを加えた流動性は約7,500億円となっております。

また、事業環境の悪化による資金需要の増加に備えて、上記の流動性に加え、海外子会社においても資金調達枠を設定し、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な資金の確保に努めております。

なお、当社グループは適切な国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、格付投資情報センター:「BBB+」、S&P:「BB」となっております。

(3)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

数量(台)

前連結会計年度比(%)

国 内

457,253

108.7

海 外

562,114

93.0

   アジア

542,413

93.6

   その他

19,701

79.4

合計

1,019,367

99.5

(注)生産実績は当社及び連結子会社の完成車(国内はKDを含む)の生産台数を示し、他社へのOEM供給及び共同

開発車の当社生産分を含んでおります。

 

② 受注実績

 当社は、大口需要等特別の場合を除き、見込生産を行っております。

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

当連結会計年度

前連結会計年度比(%)

数量(台)

金額(百万円)

数量

金額

国 内

246,024

552,741

128.3

140.3

海 外

762,629

1,905,400

92.6

115.8

   北米

149,320

537,991

99.1

135.4

   欧州

52,860

154,204

54.3

65.6

   アジア

327,367

596,998

98.6

123.7

   オセアニア

86,163

281,912

90.1

110.7

   その他

146,919

334,292

99.2

121.5

合計

1,008,653

2,458,141

99.3

120.6

   (注)1.販売実績は、外部顧客の所在地別の当社及び連結子会社の完成車及びKDパックの卸売り台数を示しております。

          2.当連結会計年度より国又は地域の区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の区分に組み替えた数値で算出しております。

          3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、総販売実績の10%以上を占め

る相手先がないため、記載を省略しております。

 

(4)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日における資産・負債の計上及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の計上に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積りは、過去の実績や合理的と考えられる方法に基づき行われておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。なお、市場措置に関する負債については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。

① 貸倒引当金

当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。経済状況の変化等により顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、追加引当が必要となる可能性があります。

② 製品保証引当金

当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い過去の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して計上しております。実際の製品不良率または修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。

③ 偶発損失引当金

当社グループは、将来発生する可能性の高い偶発損失に備え、偶発事象ごとに個別のリスク等を勘案し、合理的に算出した損失負担見込額を計上しております。

④ 退職給付費用及び債務

従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

⑤ 繰延税金資産の評価

当社グループでは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を控除し、純額を計上しております。評価性引当額は、将来の課税所得及びタックスプランニング等を勘案し算定しており、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。また、繰延税金資産の計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることとしております。

⑥ 投資有価証券の評価

当社グループは、価格変動性が高い公開会社の株式と、市場価格のない非公開会社の株式を保有しております。当社グループは、投資有価証券の評価を一定期間ごとに見直し、その評価が取得原価または減損後の帳簿価額を一定率以上下回った場合、減損処理を実施しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、減損処理の実施が必要となる可能性があります。

 

⑦ 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、生産用資産は主として事業会社単位、販売関連資産は主として事業拠点単位、賃貸用資産及び遊休資産は個々の資産グループとしてそれぞれグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがあります。

5【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手方

契約の内容

契約締結日

名称

国籍

三菱自動車工業株式会社

(当社)

中国航天汽車有限責任公司

瀋陽建華汽車発動機有限公司

三菱商事株式会社

エムシーアイシー持株有限公司

中国

 

中国

 

日本

マレーシア

中国における自動車用エンジン事業に関して瀋陽航天三菱汽車発動機製造有限公司を設立する契約

1997年5月15日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

日産自動車株式会社

スズキ株式会社

日本

日本

ジヤトコ株式会社に関する株主間の権利義務等を定めた契約

2007年3月15日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

プジョー・シトロエン・オートモビルズ・エス・エイ

フランス

ロシアで車両を生産するための合弁事業に関する基本契約

2008年5月19日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

広州汽車集団股份有限

公司

三菱商事株式会社

中国

 

日本

中国における車両の生産・販売等、広汽三

菱汽車有限公司の合弁事業に関する契約

2012年9月5日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

PT Krama Yudha

三菱商事株式会社

インドネシア

日本

インドネシアで車両を生産するための合弁事業に関する契約

2015年3月24日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

日産自動車株式会社

日本

日産自動車株式会社との資本業務提携に関する契約

2016年5月25日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

ダイムラーAG

ルノー

ルノー・日産会社

日産自動車株式会社

ドイツ

フランス

オランダ

日本

自動車事業における戦略的協力に関する提携契約

2018年10月3日

 

6【研究開発活動】

当社グループは、2023年3月に発表した中期経営計画「Challenge 2025」の実現に向けて、研究開発活動に取り組んでいます。

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費(自動車事業)は107,236百万円であります。

当社グループの研究開発体制、次世代技術の開発状況及び2022年4月から2023年3月にかけて発売した主な新商品は次のとおりであります。

 

(1)研究開発体制

日本では、「技術センター」及び「EV技術センター」を中心に、デザイン・技術の先行技術開発・設計・実験を行っております。海外では、北米・欧州・中国・タイに研究開発拠点を置き、地域ごとの市場特性を踏まえた技術/商品開発を連携して行っております。また、ルノー・日産とのアライアンスを活用しながら、技術/商品開発を進めております。

 

(2)次世代技術の開発状況

中期経営計画で定義づけした、三菱自動車らしさ「『環境×安全・安心・快適』を実現する技術に裏付けられた信頼感により、『冒険心』を呼び覚ます心豊かなモビリティライフをお客様に提供すること」を具現化する魅力ある商品を実現するための技術開発を推進しております。

 

① 環境技術の開発

2023年3月に発表しました「Challenge 2025」で掲げた2030年までの電動車販売比率50%達成に向けて、当社独自の『プラグインハイブリッドEVシステム(PHEV)』をコア技術として、PHEV用コンポーネント・バッテリーを電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HEV)に活用し、電動車ラインナップを拡大します。コアモデルのPHEVは、2021年に日本向けに発売した新型『アウトランダーPHEV』を2022年にオセアニア、北米へ投入、今後、欧州など販売地域を拡大していく予定です。重点戦略地域であるアセアン向けにおいては、PHEV技術を活用したHEVモデルの投入を予定しております。また、BEVについては 2022年日本向けに発売した『eKクロスEV』や再販売した『ミニキャブMiEV』に加え、アセアン向け車種への展開も計画しています。なお、今後の電動化の急速な進化(バッテリー、モーター等)に対して、迅速かつ効率的に技術開発を進めるため、アライアンス間の電動コンポーネントやパワートレインの相互活用を推進していきます。

 

② 安全・安心技術の開発

・安全技術の開発

当社は、1.交通事故を未然に防止する技術、2.交通事故の被害を軽減する技術、3.工業製品として想定される危険の回避という安全理念を共有し、お客様に安心してお乗りいただけるように、死亡事故ゼロに向けた安全技術の開発と普及に一体となって取り組んでいます。代表例として、先進予防安全技術『三菱e-Assist*1(イーアシスト)』や衝突安全技術『衝突安全強化ボディRISE*2(ライズ)』があります。また、ASEANの交通環境で、より効果を発揮する安全技術の開発を推進しています。

 

・4WD技術・オフロード性能による安心感

当社の強みである四輪駆動の統合制御技術『S-AWC*3』の進化には継続して取り組んでおります。特に、モータードライブと『S-AWC』の融合を「e-EVOLUTION(イーエボリューション)」と位置付け、走る歓びと環境性能の両立を目指して開発を推進しております。この技術は、電動車両も含め、他の車種へも活用・展開していきます。また、ASEANのお客様にも安心・快適な走りを提供するため、二輪駆動車にも活用・展開していきます。

 

・堅牢なボディとシャシーによる耐久性・信頼性

日々変化する市場の環境や路面、お客様のクルマの使い方について毎年グローバルに調査を実施し、当社テストコースでの過酷な実験条件をアップデートすることで「いつまでも、どこへでも行ける」耐久信頼性の確保に取り組んでおります。昨今は長年使用したクルマでも「安心・快適」性能が損なわれることがないよう経時劣化品質の取り組みも強化しております。当社の継続した耐久信頼性技術開発の取り組みにより、2022年にはアジアクロスカントリーラリーでチーム三菱ラリーアートの「トライトン」は初参戦で総合優勝をおさめました。

 

③ 快適性技術の開発

当社は、製品・サービスをご利用いただくお客様一人ひとりのニーズへの理解を深め、運転しやすい環境と心地よい車内空間で、行動意欲を高め、乗る人全員にワクワク感を提供していくことを目指しています。その実現に向けて、生活スタイルの変化を調査し日々進化するIT技術を取り入れ、情報提示や運転装置、運転支援機能などを先進的に進化させ、居住性、利便機能、コネクテッド及びおもてなしなどの性能向上や機能性の更新・充足を図っていきます。

 

*1:三菱e-Assist:電波レーダーやカメラなどによって、安全かつ快適なドライブをサポートする予防安全技術

*2:RISE:Reinforced Impact Safety Evolution

*3:S-AWC:Super All Wheel Control

 

(3)2022年4月から2023年3月に発売した主な新商品

① 新型軽EV『eKクロス EV』

② 新型『エクスパンダー クロス』

 各新商品の特長は以下に記載しております。

 

 ① 軽自動車タイプの電気自動車『eKクロス EV』を発売しました。新型『eKクロス EV』は、SUVテイストの軽自動車であるeKクロスシリーズ*4に新たに設定するEVモデルで、日常使いに十分な航続距離*5を実現しながら、お求めになりやすい価格設定としました。軽ハイトワゴン『eKクロス』と同等の広々とした快適な室内空間と使い勝手の良さに、EVならではの滑らかで力強い走り、圧倒的な静粛性と良好な乗り心地、更に先進の運転支援機能とコネクティッド技術による快適性と利便性を融合させました。

 

*4:軽ハイトワゴン『eKクロス』、軽スーパーハイトワゴン『eKクロス スペース』

*5:軽自動車及びコンパクトカーのユーザーの約8割は、1日当たりの走行距離が50km以下(自社調べ)であり、大半のユーザーは2日間充電せずに走行できる想定

 

 主な商品特長を以下に挙げます。

(ⅰ) 身近で使いやすい軽EV

(ア)日常に十分な一充電走行距離180km

・新開発した総電力量20kWhの駆動用バッテリーを搭載し、通勤、買物や送迎といった日常使いに十分な一充電走行距離180km(WLTCモード)を実現しました。軽自動車及びコンパクトカーのユーザーの約8割は、1日当たりの走行距離が50km以下(自社調べ)であり、大半のユーザーは2日間充電せずに走行できる想定です。

・普通充電(AC200V/14.5A)と急速充電の2つの充電ポートを装備しており、普通充電は約8時間で満充電、急速充電では約40分で80%の充電が完了します。普段は帰宅後に自宅で普通充電、遠出したお出かけの際には急速充電と、便利にお使いいただけます。

・駆動用バッテリーにエアコン冷媒を用いた冷却システムを採用し、電池の温度上昇を制御することで、高速走行と急速充電を繰り返したとしても、高い充電量を維持することができます。

 

(イ)EVならではの優れた走行性能

・最大トルクはガソリンターボモデルの約2倍となる195N・mを発揮、モーターの制振性能も向上させ、EVの魅力である滑らかで力強い走りを実現しています。街中ではキビキビと思い通りに走り、高速道路では余裕をもってスムーズに合流することができます。

・市街地走行に最適なNORMAL(ノーマル)、モーター出力を抑えて電費を向上させるECO(エコ)、アクセルレスポンスがよくキビキビ走れるSPORT(スポーツ)の3つのドライブモードを設定し、運転状況に応じて任意で選択することができます。

・アクセルペダルの操作で加減速をコントロールできるイノベーティブペダル オペレーションモードを採用。減速時にアクセルペダルからブレーキペダルに踏み替えることなく適切な制動力が得られるため、操作のわずらわしさや疲労を軽減します。なお、より強い減速が必要な時や完全に停止させるときはブレーキペダルでの操作が必要です。

・床下の最適な位置に薄型化した駆動用バッテリーをレイアウトし、ルーフパネルの板厚を薄くすることで低重心化を図り、コーナリング時のロールを抑えました。また、前後重量配分を理想に近い56:44としたことで四輪接地荷重のバランスを最適化し、サスペンションを専用チューニングとすることで、軽快感と安定感を両立した気持ちのよい操縦性、落ち着きのある質感の高い乗り心地を実現しました。

 

(ウ)広々とした快適な室内空間

・駆動用バッテリーを薄型化して床下にレイアウトすることで、クラス*6トップレベルの後席ニールームを実現しました。また前席ショルダールームもクラス*6トップレベルの広さとし、快適な室内空間を実現しました。

・クラス*6トップレベルの荷室容量を確保しております。さらに荷室後方からのワンアクションでシートスライドやリヤシートバックを倒す操作を可能にするなど使い勝手にもこだわりました。アンダーボックスには普通充電ケーブルを収納することができ、荷室空間を有効に利用できます。

 

*6:全高1700mm以下の軽ハイトワゴンクラス

 

(ⅱ) 乗員にも社会にも優しい軽EV

(ア)三菱自動車らしい安心感の高い走り

・どんな天候や路面でも安心してドライブを楽しめるよう、滑りやすい路面での発進をサポートするグリップコントロールを標準装備しております。雪道やぬかるんだ路面で片輪が空転した場合、スリップした車輪をブレーキ制御することができます。グリップしている車輪に、より大きな駆動力を加えることで走破性を高めます。

 

(イ)毎日の運転をサポートする「マイパイロット」

・スムーズな車庫入れをサポートする「マイパイロット パーキング」を三菱自動車として初めて採用しました。駐車可能位置を自動で検知し、後退しての駐車、前進しての駐車、縦列駐車のいずれにも対応します。(「P」にメーカーオプション設定)

・高速道路同一車線運転支援機能「マイパイロット」を搭載。レーダークルーズコントロールシステム[ACC]と車線維持支援機能[LKA]により、車間距離と車線中央付近をキープしながら走行することで、ドライバーの負担を軽減します。(「P」「G」にメーカーオプション設定)

・7インチカラー液晶メーターに自車のブレーキランプ点灯の有無や「マイパイロット」の作動状況などを分かりやすく表示することで、安全性を向上させています。

 

(ウ)繋がる安心、コネクティッドシステム「MITSUBISHI CONNECT*7

・安全・安心で快適なカーライフをサポートする「MITSUBISHI CONNECT*7」を採用しております。万が一の際のSOSコールの他、駆動用バッテリー残量やドアの開閉状況が確認できるマイカーステータスチェック、離れたところからもエアコンが開始できる今すぐエアコン、充電完了等を通知する充電管理、車両の駐車した位置を確認できるカーファインダー(駐車位置確認)などの便利な機能でカーライフをサポートします。(「P」に標準装備、「G」にメーカーオプション設定)

 

*7:「MITSUBISHI CONNECT」は三菱自動車が提供するコネクティッドサービスの総称です。ご利用にはスマートフォンアプリ「My MITSUBISHI CONNECT」のインストールとユーザー登録が必要です。

 

(エ)頼もしい電力源となる大容量の駆動用バッテリー

・自宅でV2H(Vehicle to Home)機器と接続すれば、電力使用量の多い日中に駆動用バッテリーに蓄えた電力を家庭で使用し、夜間に駆動用バッテリーを充電するなど、電力のピークシフトに貢献することができます。

・駆動用バッテリーに蓄えた電力は一般家庭の約1日分*8に相当し、例えば停電などの際にはV2H機器を介して頼もしい非常用電源として活用できます。また、V2L(Vehicle to Load)機器を介して、例えばキャンプなどのアウトドアレジャーでも電化製品などを使用することができます。

 

*8:一般家庭での1日当たりの使用電力量を約10kWh/日として算出

 

(ⅲ) EVならではのクリーンなデザインと機能装備

・人とクルマを守る安心感を表現したフロントデザイン「ダイナミックシールド」など、三菱自動車ならではのSUVテイストのデザインに、ダーククロムメッキのフロントグリルやLEDのフロントフォグランプを採用するなど、EVらしいアレンジを加え、クリーンで洗練された印象としました。

・ボディカラーはクリーンな印象をもたらすミストブルーパールに、電気銅線をイメージしたカッパーメタリックのルーフを組み合わせた2トーンを新規に採用するなど、2トーン5色、モノトーン5色の全10色展開としました。

・インテリアは直感的で操作しやすい電子制御セレクターレバーや7インチカラー液晶メーターを採用し、EVらしい先進的なイメージとしています。インストルメントパネルは、USBポート(「P」に標準装備、「G」にメーカーオプション設定)や随所に設けた収納スペースなど、機能性にもこだわりました。

・メーカーオプションでプレミアムインテリアパッケージを設定しました。ライトグレーを基調に、合成皮革と立体感のあるダイヤ柄エンボス加工を施したファブリックのコンビネーションとし、上質感を演出しました。また、インストルメントパネル周りにはソフトパッドを配し、各所にカッパー色のステッチをアクセントカラーとして入れることでワンランク上のプレミアムな空間としました。(Pにメーカーオプション設定)

・7インチカラー液晶メーターは、バッテリーステータスや電費情報、ナビゲーション情報など、EVとして必要な各種情報を分かりやすく表示します。また、9インチスマートフォン連携ナビゲーションは、充電スポットや目的地までの推定電池残量などを表示します。スマートフォンと連携することで、Android AutoTM*9やApple CarPlay*10も活用でき、Apple CarPlayはiPhone*11とワイヤレスでの接続が可能です。(「P」に標準装備、「G」にメーカーオプション設定)

 

*9:Android AutoTMは Google LLCの商標です。

*10:Apple CarPlayは、米国及びその他の国で登録されたApple Inc.の商標です。

*11:iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。

 

 ② クロスオーバーMPVの新型『エクスパンダー クロス』を発売しました。新型『エクスパンダー クロス』 は、フロントとリヤのデザインを一新してさらにSUVらしく力強いスタイリングを実現するとともに、前左右輪の制動力を調整して旋回性を高めるアクティブヨーコントロール(AYC)等の採用により、走行時の安心感や乗り心地を向上させました。主な商品特長を以下に挙げます。

 

(ⅰ) SUVらしい力強さを高めたエクステリア

・フロントではデザインコンセプト「ダイナミックシールド」を進化させ、台形モチーフの大型グリルとガードバー形状のバンパーを組み合わせることで、SUVらしい力強さを与えました。ヘッドライトはワイド感を強調する特徴的なTシェイプデザインを採用し、従来はヘッドライトユニットの下に配置していたターンランプを上部のポジションランプに組み込み、被視認性を高めました。また、前後合わせて95mm延長したオーバーハングと厚みを増したエンジンフードで、ダイナミックさと安定感を増したプロポーションとしております。

・17インチのアルミホイールには、ミディアムグレーの2トーン切削光輝仕上げのラウンドリムタイプを採用。前後スキッドプレートとドアガーニッシュのグレー塗装とコーディネートし、立体感を持たせることでSUVらしいスポーティさと力強さを表現しております。また、ルーフレールはブラックとし、全体の印象を引き締めております。

・リヤではテールゲートをより立体的な形状とし、分割線を減らして質感を高めました。リヤコンビネーションランプは、水平基調のTシェイプテールランプによりワイドで安定感のあるデザインにするとともに、従来のテールランプとバックランプに加えて、ストップランプもLED式とすることで、夜間の後方からの被視認性を向上させております。

・ボディカラーは、タフさを感じさせながらモダンな上質感を併せ持つグリーンブロンズメタリックを新たに追加しました。その他、クォーツホワイトパール、ブレードシルバーメタリック、グラファイトグレーメタリック、ジェットブラックマイカをラインアップしております。

 

(ⅱ) 上質感と操作性を向上させた室内空間

・インテリアでは、室内の広がりを強調するとともに走行時の車体姿勢の変化をつかみやすい水平基調の「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」コンセプトのインストルメントパネルに、大径の4本スポークステアリングを新たに採用し、高級感を演出しました。

・より直感的に使いやすい8インチカラー液晶メーターを採用し、先進的な室内空間としました。ステアリングホイールのスポーク部に配置されたスイッチを操作すれば、平均燃費や瞬間燃費等の運転情報や、AYCの作動状態等の車両情報をメーターで確認することができ、運転に必要な情報に簡単にアクセスすることができます。

 

(ⅲ) AYC等の採用によって走行時の安心感・乗り心地向上

・前左右輪の制動力を調整して旋回性を高めるAYCを今回新たに採用しました。ハンドル角、ヨーレイト、横G・前後G、ブレーキ圧、車輪速などの情報から、ドライバーの操作や車両挙動を正確に判断し、運転操作に忠実な車両挙動となるよう、ブレーキ制御による前左右輪間のトルクベクタリングを行います。滑りやすい路面での旋回時にはコーナー内側の前輪にブレーキをかけるAYCの制御によってアンダーステアを抑制し、ドライバーが意図したとおりの軌道に近づけることが可能です。アンチロックブレーキシステム(ABS)とアクティブスタビリティコントロール(ASC)と協調し、様々な天候や路面で安全・安心で快適な運転をサポートします。

・サスペンションは、フロントのストラット取付け部の剛性を向上、リヤはショックアブソーバーのシリンダーサイズを拡大するとともに、前後とも高性能バルブを新たに採用することで、荒れた路面でもフラットで快適な乗り心地を実現します。

 

 ③ 上記のほかに、安全・機能装備の充実や、内外装の差異化、環境性能向上を図った商品を一部機種に設定し発売しました。