第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第74期

第75期

第76期

第77期

第78期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(百万円)

65,167

56,490

69,645

71,834

77,815

経常利益

(百万円)

2,770

2,219

2,712

1,939

1,602

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

1,897

1,603

1,816

1,321

1,235

包括利益

(百万円)

1,581

1,906

1,939

1,645

1,752

純資産額

(百万円)

17,632

19,114

20,629

21,536

22,551

総資産額

(百万円)

41,406

40,533

48,662

45,625

59,107

1株当たり純資産額

(円)

1,680.08

1,822.51

1,968.06

2,055.58

2,190.88

1株当たり当期純利益

(円)

181.12

152.83

173.23

126.24

119.20

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

118.78

自己資本比率

(%)

42.6

47.2

42.4

47.2

38.2

自己資本利益率

(%)

11.1

8.7

9.1

6.3

5.6

株価収益率

(倍)

4.22

6.24

7.24

9.21

13.95

営業活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

2,755

3,091

1,960

4,192

1,919

投資活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

22

7

122

516

2,992

財務活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

939

706

535

1,009

3,701

現金及び現金同等物

の期末残高

(百万円)

9,807

6,017

7,320

9,986

8,775

従業員数

(人)

580

602

619

631

668

[外、平均臨時雇用者数]

263

254

251

243

249

(注)1.第77期以前の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2.臨時雇用者数は[ ]内に平均臨時雇用者数を外数で記載しております。

3. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第76期の期首から適用しており、第76期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第74期

第75期

第76期

第77期

第78期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(百万円)

63,075

54,669

68,332

69,858

75,806

経常利益

(百万円)

2,697

2,167

2,753

1,882

1,776

当期純利益

(百万円)

1,854

1,530

1,835

1,296

1,408

資本金

(百万円)

4,324

4,324

4,324

4,324

4,324

発行済株式総数

(千株)

10,614

10,614

10,614

10,614

10,614

純資産額

(百万円)

16,943

18,213

19,750

20,627

21,649

総資産額

(百万円)

40,116

39,130

47,418

44,304

57,985

1株当たり純資産額

(円)

1,614.51

1,736.64

1,884.16

1,968.82

2,103.27

1株当たり配当額

(円)

40.00

40.00

60.00

64.00

70.00

(うち、1株当たり

中間配当額)

(20.00)

(20.00)

(20.00)

(30.00)

(35.00)

1株当たり当期純利益

(円)

177.06

145.90

175.03

123.92

135.93

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

135.45

自己資本比率

(%)

42.2

46.5

41.7

46.6

37.3

自己資本利益率

(%)

11.4

8.7

9.7

6.4

6.7

株価収益率

(倍)

4.31

6.54

7.17

9.39

12.23

配当性向

(%)

22.59

27.42

34.28

51.65

51.50

従業員数

(人)

521

542

560

578

595

[外、平均臨時雇用者数]

50

47

48

48

40

株主総利回り

(%)

87.6

112.6

152.0

148.9

211.0

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(90.5)

(128.6)

(131.2)

(138.8)

(196.2)

最高株価

(円)

1,027

1,020

1,415

1,626

1,667

最低株価

(円)

666

663

852

1,125

1,141

(注)1.第77期以前の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2. 臨時雇用者数は[ ]内に平均臨時雇用者数を外数で記載しております。

3.最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。

4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を、第76期の期首から適用しており、第76期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

2【沿革】

1937年3月山本末男が、大阪府南河内郡丹南村(現大阪府松原市)において個人経営の山本工務店を創業し、土木建築請負業を始めたのが当社の起源であります。その後事業を拡大発展させ、1947年3月資本金19万5千円をもって株式会社大末組を設立し、本店を大阪府松原市に置きました。

その後の主な変遷は次のとおりであります。

1955年7月

建設業法により建設大臣登録(チ)第4432号を完了

1959年4月

東京出張所を東京支店に昇格

1961年10月

大阪証券取引所市場第2部に上場

1962年2月

定款の一部を変更し事業目的を追加(不動産売買業)

1963年4月

本店を大阪市南区(現大阪市中央区)に移転、名古屋営業所を名古屋支店に昇格

1963年7月

東京証券取引所市場第2部に上場

1966年9月

宅地建物取引業法により建設大臣免許(1)第139号を取得(以後3年ごとに免許更新)

1967年5月

東京・大阪証券取引所市場第1部に上場

1970年1月

九州営業所を九州支店に昇格

1970年3月

社名を「大末建設株式会社」に改称

1970年9月

和歌山県において温泉付別荘地を開発するため、南部梅ケ丘温泉㈱を設立

1972年1月

仙台営業所を仙台支店に昇格

1972年6月

南部梅ケ丘温泉㈱を、大末サービス㈱に社名変更

1973年12月

九州支店を福岡支店に改称

1974年1月

建設業法改正により、建設大臣許可(特-48)第2700号の許可を受ける(以後3年ごとに許可更新)、高松営業所を四国支店に改称昇格

1983年3月

定款の一部を変更し事業目的を追加(土木建築工事の設計、監理並びにコンサルティング業務)

1986年1月

大阪本店を大阪総本店(建築本店、土木本店等)に、東京支店を東京本店に改組・改称

1990年4月

大阪総本店(建築本店、土木本店等)を建築本店並びに土木本店に改組・改称

1991年9月

本社、建築本店並びに土木本店を大阪市福島区に移転、福岡支店を九州支店に、仙台支店を東北支店にそれぞれ改称

1994年6月

建築本店、土木本店を大阪総本店に統合

定款の一部を変更し事業目的を追加(地域開発、都市開発に関する企画、調査、設計並びにコンサルティング業務等)

1995年1月

建設業法改正により、建設大臣許可(特-6)第2700号の許可を受ける(以後5年ごとに許可更新)

1996年9月

宅地建物取引業法改正により建設大臣免許(11)第139号を取得(以後5年ごとに免許更新)

1998年6月

大阪総本店(建築本店、土木本店等)を大阪本店に改組・改称

1999年5月

本社、大阪本店を大阪市中央区南船場に移転

2005年9月

大末サービス㈱がテクノワークス㈱の全株式を取得

2008年2月

大末サービス㈱からテクノワークス㈱の全株式を取得

2009年9月

本社、大阪店を大阪市中央区久太郎町(現在地)に移転

2010年3月

東北支店を閉鎖

2012年2月

宮城県に東北支店を開設

2014年4月

2017年4月

2017年7月

 

 

2020年1月

2021年9月

2022年4月

 

2023年11月

四国支店を中四国支店に改称

安積エンジニアリング㈱の全株式を取得

大末サービス㈱、テクノワークス㈱、安積エンジニアリング㈱がテクノワークス㈱を存続会社として合併し大末テクノサービス㈱(現連結子会社)に社名変更

訪問看護事業を行うため、やすらぎ㈱(現連結子会社)を設立

建設業法により国土交通大臣許可(特-1)第2700号の許可を受ける

宅地建物取引業法により国土交通大臣(16)第139号の免許を取得

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行

㈱神島組(現連結子会社)、川西土木㈱の全株式を取得

 

3【事業の内容】

当社グループは、当社、子会社4社及び金岡単身寮PFI株式会社他1社で構成され、建設事業を主な事業としております。当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。

なお、当社グループは、建設事業並びにこれらの付帯業務の単一の報告セグメントであるため、事業区分別に記載しております。

 

建 設 事 業

当社、連結子会社である大末テクノサービス株式会社及び株式会社神島組、非連結子会社である川西土木株式会社、関連会社である金岡単身寮PFI株式会社は、建設事業を営んでおります。

そ  の  他

当社及び連結子会社である大末テクノサービス株式会社は、不動産事業を営んでおります。また、大末テクノサービス株式会社は、保険の代理業、労働者派遣業、警備業を営んでおります。連結子会社であるやすらぎ株式会社は訪問看護事業を営んでおります。

 

0101010_001.png

 

(注)※は持分法非適用会社であります。

 

4【関係会社の状況】

     (連結子会社)

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の所有割合

(%)

関係内容

大末テクノサービス㈱

大阪市中央区

50

建設事業

その他

(労働者派遣業、警備業、不動産管理業、保険代理業)

100.0

当社からの土木建築工事の請負業務及び当社への労働者派遣業務、警備業務、保険代理業務、不動産の管理業務等

やすらぎ㈱

東京都江東区

50

その他

(訪問看護事業)

100.0

㈱神島組

兵庫県西宮市

20

建設事業(土木)

100.0

 土木事業の協業、資金の借入

 役員の兼任あり

(注)1.主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。

   2.当社は、2023年10月29日付で㈱神島組と株式譲渡契約を締結し、2023年11月7日付で全株式を取得し子会社と

     しました。

 

     (その他の関係会社)

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の所有割合

(%)

関係内容

ミサワホーム㈱

東京都新宿区

11,892

工業化住宅の製造・施工・販売

宅地の造成・販売

増改築・リフォーム工事を中心とする事業

被所有

20.08

資本業務提携契約

当社に対する建築工事の発注

 

 

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

区分

従業員数(人)

建設事業

556

[35]

その他

37

[209]

全社(共通)

75

[5]

合計

668

249

(注)1.従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(契約社員、派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を[  ]内に外数で記載しております。

 2.全社(共通)として記載されている従業員数は、本社の経営企画部等管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

595

40

41.4

17.0

7,504,899

(注)1.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(契約社員、派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を[  ]内に外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.平均勤続年数は、定年後の再雇用、継続雇用者も入社日より通算して計算しております。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、大末建設労働組合と称する労働組合があり、1979年2月3日に結成され、上部団体である日本基幹産業労働組合連合会に加盟しております。

なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

5.9

72.7

76.8

76.7

69.9

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

労働者に占める女性の割合が全産業に比べ建設業では少なく、当社も同様の傾向となっており、比例して管理職に占める女性労働者の割合も少なくなっております。これが労働者の男女の賃金の差異に大きな影響を与えております。労働者に占める女性の割合を増加させることで、将来的に男女の賃金の差異は改善、解消される見込みです。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合

(%)

(注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

大末テクノサービス㈱

22.2

81.8

60.5

61.3

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「男性労働者の育児休業取得率」の「」は育児休業取得の対象となる男性労働者がいないことを示しています。

 

第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

誠実をもってお客様の信頼を得るという一貫した理念に基づき、建設業を通じて豊かな人間生活に貢献することを経営理念としております。当社グループの強みは、「お客様の期待に応える対応力」と「高い技術と革新性を常に追求する姿勢」であり、洗練された最高の住環境をお客様と共に創り上げる総合建設企業として、日々夢をもって技術向上を目指し、研鑽を積んでまいります。

今後の見通しにつきましては世界的な物価高や金融引締めに伴う経済の減速懸念に加え、地政学的リスクによる社会経済への影響など、依然として不透明な状況が想定されます。

建設業界におきましては、エネルギー価格や原材料価格の高止まり、更なる人件費の上昇など、引き続き厳しい環境が続くものと思われます。

このような情勢のなか、当社グループは、新中長期経営計画「Road to 100th anniversary~飛躍への挑戦~」を策定し、2037年に迎える創業100周年に向けて、「建築事業の強靭化」「高収益ポートフォリオの拡充」「経営基盤の次世代化」という3つの挑戦を通じて、収益性の改善・企業価値の向上を目指してまいります。

また、お客様の満足を実現するために、株主、協力会社、地域社会等の皆様と共生し、社員と家族が安心できる、誇りとやりがいをもって働ける組織づくりを目指してまいります。

さらに、今後も安定した配当を継続するための財務体質の強化、継続的な発展を可能にする人材育成に注力し、企業価値の更なる向上に努めてまいります。

同時に、内部統制の強化、コンプライアンスの徹底等、社会的責任への対応も継続し、建設業を通じて豊かな人間生活に貢献すべく、全社一丸となって取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、持続的な企業価値の向上を実現するための指針として、2020年5月に2030年ビジョン「安心と喜びあふれる空間を創造する会社」を策定しております。2030年ビジョンの実現には、自社の持続的な成長に加え、当社を取り巻くさまざまな社会課題と向き合い、持続可能な社会の実現に貢献していくことが重要であるとの認識のもと、中期経営計画「Challenges for the future」(2020~2024年度)で「CSR及びSDGsに対する取り組み方針」を定め、サステナビリティ関連課題の解決に取り組んでおります。

 2023年11月には、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと認識し、気候変動タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明するとともに、気候変動が事業にもたらすリスクと機会の分析を実施し、分析結果を踏まえた情報開示を行っております。

 2024年度からスタートした中長期経営計画「Road to 100th anniversary~飛躍への挑戦~」(2024~2030年度)では、サステナビリティ関連課題について、当社が取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を新たに設定し、取り組みを進めております。

 なお、本項における記載は、連結グループにおける記載が困難であるため、連結グループにおいて主要な事業を営む提出会社単体の記載としております。

 

(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組状況

 ①ガバナンス

 当社は、代表取締役社長を委員長とする、気候変動を含むサステナビリティ関連課題に関する方針や施策の審議・検討、実施状況の評価、モニタリングなどを行うサステナビリティ委員会を2023年4月より設置しております。サステナビリティ委員会で審議された内容は取締役会に報告され、取締役会で報告内容について審議・決定が行われる体制となっております。

 

 ②戦略

 当社は、「CSR及びSDGsに対する取り組み方針」で、環境、社会、ガバナンスの3分野で4つの重要課題を設定し取り組んでおります。特に、低炭素社会・循環型社会の実現に向けた取り組みの一つである既設建物の長寿命化は、ステークホルダーからの期待が大きいテーマであり、当社の一般建築・リニューアル事業の拡大方針にも合致することから、最重要課題と認識し取り組みを進めております。

 2024年度からスタートした中長期経営計画では、環境、社会、ガバナンスの3分野で、カーボンニュートラルに向けた取り組みの推進など、9テーマの重要課題を新たに設定し、事業活動を通じた課題解決に取り組んでおります。

 

 ③リスク管理

 当社は、気候変動を含むサステナビリティ課題に関連するリスクについて、サステナビリティ委員会でリスクの特定や評価、対応策の審議・検討を行っています。

 

 ④指標と目標

 当社は、「CSR及びSDGsに対する取り組み方針」で、リニューアル・リノベーション受注金額などの5つの目標管理指標を設定し、決算説明資料やコーポレートレポートなどを通じて実績を公表しております。

 2024年度からスタートした中長期経営計画では、新たに設定した重要課題について、17項目の目標管理指標(KPI)を設定しており、実績を公表していく考えです。

 

マテリアリティ(重要課題)

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(2)人的資本

 ①戦略

当社は、新中長期経営計画の人材戦略において、「働きがいの向上」「人材育成の加速」「多様な人材の活躍推進」を通じて、飛躍的な成長を支える人材基盤のさらなる強化・拡充を図ることとしております。

(a)人材育成の方針

当社は、「人」こそが企業価値向上の重要な基盤であるとの考えのもと、組織目標達成に貢献できる人材を育成するため、人材マネジメント計画を策定し、一年を通じて全社員への研修を実施しています。また、若手社員に特化した研修や資格取得促進策の整備等により早期戦力化、能力の底上げを図れる体制を整えております。

当社の人材マネジメント計画は、職責階層別に求められる「能力・意欲・スキル」を明確にした教育・研修プログラムを策定することにより、実効性の高い効果的な教育システムを構築しています。

 

人材マネジメント計画

職責/階層別

主な取り組み

階層

執行役員・管理職 DX基本~応用

入社10年以上   能力開発を自発的に学ぶオンデマンド型による研修

入社10年未満   能力・意欲・スキル向上を促す対面型による研修

全階層      Eラーニングの導入《各階層に求められる「能力、意欲、ス

         キルの向上」「人間力強化、拡充」》

若手技術者

入社4~10年目  施工管理に必要とする能力スキル向上を促す研修

入社3~5年目  施工図実習、Auto CAD講習

入社1~3年目  施工管理に必要とする施工管理スキル向上を促す研修、

         外部機関が実施する施工管理講座

昇格

基幹職候補者研修、監督職候補者研修、管理職候補者研修

その他

営業力強化プログラム・スキル向上講座

法定資格取得支援(一級建築士・級建築施工管理技士 他)

労働時間管理に関する講座、ダイバーシティ関連講座

「新入社員導入時・6ヶ月フォロー」「入社1年後・1年6ヶ月後フォロー」「入社2年後・2年6ヶ月後フォロー」

 

(b)社内環境整備の方針

当社は、近年のグローバル化、国内の少子高齢化等、社会環境が変化する中で、多様化するお客様のニーズにお応えしていくためにも、ダイバーシティの推進は必要不可欠と考えております。性別や身体状況、国籍、世代等にとらわれない多様な属性の人材・能力を活かしていくこと、子育て・介護と仕事の両立支援など、多様な働き方に対応できる環境を整備していくことが、社員一人ひとりの充実した社会生活につながるという考えのもと、制度や環境を整えることで社員の働きがいの向上に取り組みます。

 

具体的な取り組み

ⅰ)時差出勤制度、在宅勤務制度の制定

ⅱ)法定基準を上回る育児介護休業制度の制定

ⅲ)入社20日後からの有給休暇付与

ⅳ)全社一斉有給休暇取得促進日の設定(2024年度は6日間)

 v )資格取得奨励金の支給

 

②指標及び目標

ESG

マテリアリティ

(重要課題)

指標(KPI)

目標

実績(2024年3月期)

社会

(S)

ワークライフバランスの推進

時間外労働時間

2025年3月期

前期実績以下

21時間33分(/月・人)

男性労働者の育児休業等(育児目的休暇を含む)取得率

72.7%

従業員満足度

2025年3月期より実施

ダイバーシティの推進

女性管理職の増加(女性管理職の割合)

15.0%(2031年3月期)

5.9%

女性従業員の増加(女性従業員の割合)

15.0%(2026年3月期)

13.3%

労働者の採用者数に占める労働者の経験者採用数の割合

毎期20%程度

25.0%

 当社は、2024年度からスタートした中長期経営計画で、重要課題と目標管理指標(KPI)を設定しております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組状況 ④指標と目標」をご参照下さい。

 今後、重点施策、目標数値等の検討をさらに進め、公表していく考えです。

3【事業等のリスク】

当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、建設業の特性である工事の着工から完成引渡しまでの期間が長く、引き渡し後も契約不適合について訴求されやすいという事情があり、以下の項目を認識しております。

なお、以下の項目には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループがリスクとして判断したものであります。

 

リスク

の種類

リスクの概要

発生

可能性

影響度

対応策等

建設業特有のリスク

事業環境の変化

・当社グループは建設事業、特に分譲マンション建設事業を主業としており、建設事業が著しく縮小した場合、業績の悪化に繋がる可能性があります。

・非マンション分野の強化、不動産・土木事業への進出による、バランスの取れた事業ポートフォリオの構築

・競争優位性の確保

資材価格等の変動

・建設事業はプロジェクトが長期にわたるため、計画・見積段階から労務賃金・資材価格が大幅に上昇し、それを価格転嫁することが困難な場合には、工事原価が上昇し業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・予測可能な範囲で各工事原価に内包

・物価高騰時に価格転嫁交渉を行う旨、事業主に契約段階で確認

取引先の信用不安

・建設事業は、建設業界特有の商習慣により売上高の増加に伴い売掛金が増加します。工事代金を受領する前に事業主である取引先が信用不安等に陥った場合、回収遅延や貸倒損失の発生などにより、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・取引開始前の与信管理の徹底

契約不適合の発生

・設計、施工等において重大な契約不適合責任による損害賠償が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・工程内検査、完成検査等各種品質検査の実施

・社員教育の徹底

重大事故の発生

・人身や施工物等に関わる重大な事故が発生した場合、工事の中止・遅延が発生し、工事原価の上昇を招く場合があります。また損害賠償、指名停止を含む取引停止、営業停止等の行政処分などに繋がる場合も想定され、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・安全パトロールの厳格化、安全教育の徹底

・適切な工事保険の付保

建設技術者・技能労働者不足

・長時間労働による人材流出や、需給関係が急激に逼迫し、必要人員の確保が困難になった場合、受注機会の喪失や労働力不足による工事遅延や工事原価の上昇により業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・DXの推進、新工法や新技術の採用による省力化、効率化

・建設技術者の計画的な採用

・協力会社会による技能労働者の確保

 

 

 

リスク

の種類

リスクの概要

発生

可能性

影響度

対応策等

事 業全般のリスク

大規模自然災害の発生

・天候等の原因により予期せぬ大規模災害が発生した場合、従業員や保有資産に対する損害の他、社会的責任及びその使命として社会インフラの復旧等を優先することがあります。これにより施工中の一般工事の取扱が劣後となり、当該工事の遅延や工事原価の上昇を招き、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・大規模災害に備えた危機管理マニュアルの整備

・BCPの継続的見直しや訓練の実施

法令違反・法的規制

・当社グループが事業を行う上で遵守すべき法令等を一部において何らかの理由で遵守できなかった場合、工事の遅延や営業活動の停止などにより業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、新たな法規制や法令の改廃等があった場合には、事業計画の変更による工事の大幅な変更や遅延により業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・コーポレートガバナンス体制の強化

・法令等の教育の徹底

・外部専門家の活用

新規事業やM&Aのリスク

・リスクや偶発債務の事後的な判明や急激な市場変化の発生、買収した企業について効率的な経営資源の活用ができなかったこと等により、利益計画が未達となったり、のれんの減損や株式評価損の計上を余儀なくされた場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・事業計画の精査

・専門家を交えた財務や法務などの各種調査

・M&A後の速やかな統合作業(PMI)

金利水準の変動リスク

・金利が急激に上昇した場合、資金調達コストの増加により事業収支が悪化し、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・中長期の資金計画による資金需要の把握

・資金調達方法の多様化

気候変動に関するリスク

・脱炭素社会への移行に向けて、建築物の新築に関連する各種規制の強化や炭素税の導入等がなされた場合、また気候変動に伴う物理的な影響として、気温上昇に伴う労働環境の悪化や気象災害が増加・激甚化が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・TCFD提言への賛同を表明し、気候変動関連リスク・機会の特定及び、分析結果に基づく対応策を推進

保有資産の時価下落

・当社グループの保有する不動産・株式等について、時価が大幅に下落した場合、業績等に一定の影響を及ぼす可能性があります。

・保有資産の適正管理

 

 

リスク

の種類

リスクの概要

発生

可能性

影響度

対応策等

 

情報漏洩

・顧客情報などの個人情報の流出、役職員のパソコン・スマートデバイス等の紛失・盗難、操作上の錯誤等による情報漏洩が発生した場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージの毀損、取引停止、損害賠償金の支払などにより業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・個人情報の取り扱いに関するルール、体制整備

・適切な情報の取り扱い、セキュリティシステムの構築

・社員教育の徹底

サイバー攻撃

・標的型メールやマルウェアによるウィルス感染、不正アクセス等のサーバー攻撃の被害にあった場合、事業活動や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

・ウィルスの常時監視等情報セキュリティ対策の強化

・重要データのバックアップ体制の構築

・標的型メール訓練など社員教育の徹底

繰延税金資産

・繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合や、法人税の減税等制度面における変更により、繰延税金資産の額が過大となった場合には、繰延税金資産は費用として計上され、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・安定的な収益基盤の構築

感染症の流行

・新型コロナウイルス感染症の影響は、感染者数の減少とともに現時点では限定的になっておりますが、再度の感染拡大や新たな感染症が発生する可能性は否定できず、事業環境の悪化により業績等に影響を及ぼすリスクと判断しています。

・テレワークの推進・時差出勤の設定

・新規取引先の開拓

・購買ルートの多面的な拡大

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、経済活動が正常化し、雇用・所得環境も改善され、緩やかな回復が続いております。一方、中東情勢の悪化、円安を始めとした為替の動向、金融政策の変更などによる景気への影響も引き続き注視していく必要があります。

当建設業界では、公共投資は底堅く推移し、民間設備投資も持ち直しの動きがみられるものの、建設資材の価格高騰や労働者賃金の上昇及び労働者不足の問題などにより、厳しい事業環境が続いております。

このような情勢のなか、当社グループは、中期経営計画「Challenges for the future」(2020年度~2024年度)の目標達成を目指して営業活動を展開した結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度比13,482百万円増の59,107百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度比12,467百万円増の36,556百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度比1,014百万円増の22,551百万円となりました。

 

b.経営成績

受注高が94,324百万円(前連結会計年度比8.5%増)、売上高は77,815百万円(前連結会計年度比8.3%増)、繰越工事高は103,716百万円(前連結会計年度比20.8%増)となりました。利益面につきましては、営業利益が1,590百万円(前連結会計年度比15.7%減)、経常利益が1,602百万円(前連結会計年度比17.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,235百万円(前連結会計年度比6.5%減)となりました。

なお、当社グループは単一の報告セグメントのためセグメント情報の記載は行っておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加などにより、1,919百万円の資金の減少(前連結会計年度は4,192百万円の資金の増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出などにより、2,992百万円の資金の減少(前連結会計年度は516百万円の資金の減少)となりました。

また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入などにより、3,701百万円の資金の増加(前連結会計年度は1,009百万円の資金の減少)となりました。

これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度より1,210百万円減少し、8,775百万円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載しておりません。

a.受注実績

(単位:百万円)

 

区分

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

建設事業

86,958

94,324

合計

86,958

94,324

(注)当社グループにおいては建設事業以外では受注生産形態をとっておりません。

 

b.売上実績

(単位:百万円)

 

区分

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

建設事業

71,054

76,453

その他

780

1,361

合計

71,834

77,815

(注)売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上実績及びその割合は、次のとおりであります。

前連結会計年度

  売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はございません。

当連結会計年度

  穴吹興産株式会社           8,516百万円   10.9%

 株式会社フージャースコーポレーション 8,137百万円   10.5%

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

建設事業における受注工事高及び施工高の状況

a.受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高

(単位:百万円)

 

期別

区分

期首繰越
工事高

期中受注
工事高

期中完成
工事高

期末繰越
工事高

前事業年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

建築工事

69,877

85,365

155,243

69,846

85,397

土木工事

14

14

7

6

69,877

85,380

155,258

69,854

85,403

当事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

建築工事

85,397

92,818

178,216

75,224

102,991

土木工事

6

6

6

85,403

92,818

178,222

75,230

102,991

(注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、期中受注工事高にその増減額を含みます。したがって、期中完成工事高にもかかる増減額が含まれます。

2.期末繰越工事高は(期首繰越工事高+期中受注工事高-期中完成工事高)であります。

 

 

 

 

b.受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

(単位:%)

 

期別

区分

特命

競争

前事業年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

建築工事

55.7

44.3

100

土木工事

100.0

0.0

100

当事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

建築工事

57.4

42.6

100

土木工事

 

c.完成工事高

(単位:百万円)

 

期別

区分

官公庁

民間

前事業年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

建築工事

69

69,777

69,846

土木工事

7

7

77

69,777

69,854

当事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

建築工事

26

75,197

75,224

土木工事

6

6

33

75,197

75,230

(注)完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

  穴吹興産株式会社           7,016百万円   10.0%

当事業年度

  穴吹興産株式会社           8,516百万円   11.3%

 株式会社フージャースコーポレーション 8,137百万円   10.8%

 

d.手持工事高(2024年3月31日現在)

(単位:百万円)

 

区分

官公庁

民間

建築工事

1,106

101,884

102,991

土木工事

1,106

101,884

102,991

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

<資産>

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度比13,482百万円増の59,107百万円となりました。流動資産は前連結会計年度比9,132百万円増の48,655百万円、固定資産は前連結会計年度比4,349百万円増の10,451百万円となりました。

流動資産増加の主な要因は、「受取手形、完成工事未収入金及び契約資産」が10,752百万円増加したことなどによるものです。

<負債>

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度比12,467百万円増の36,556百万円となりました。流動負債は前連結会計年度比8,866百万円増の30,848百万円、固定負債は前連結会計年度比3,601百万円増の5,707百万円となりました。

流動負債増加の主な要因は、「電子記録債務」が6,613百万円増加したことなどによるものです。

<純資産>

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度比1,014百万円増の22,551百万円となりました。

増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により「利益剰余金」が512百万円増加したことなどによるものです。

 

b.経営成績

<受注高>

当連結会計年度の受注高は、建設資材の価格高騰や労働者賃金の上昇及び労働者不足の問題などにより、厳しい事業環境が続くなか、当社グループは、中期経営計画「Challenges for the future」(2020年度~2024年度)の目標達成を目指して営業活動を展開した結果、前連結会計年度比7,366百万円増(8.5%増)の94,324百万円となりました。

<売上高>

売上高につきましては、期首手持工事完成高の増加により、「完成工事高」が前連結会計年度比5,399百万円増(7.6%増)の76,453百万円、「不動産事業等売上高」が前連結会計年度比581百万円増(74.4%増)の1,361百万円となり、全体の売上高につきましては、前連結会計年度比5,980百万円増(8.3%増)の77,815百万円となりました。

<利益>

(営業利益)

売上総利益につきましては、前連結会計年度比261百万円増(4.9%増)の5,646百万円、販売費及び一般管理費の増加により、営業利益につきましては前連結会計年度比297百万円減(15.7%減)の1,590百万円となりました。

(経常利益)

営業外収益につきましては、前連結会計年度比24百万円増(26.7%増)の117百万円となりました。営業外費用につきましては、「支払手数料」が47百万円増加したことなどにより、前連結会計年度比64百万円増(159.2%増)の105百万円となりました。

 

これらの結果、経常利益につきましては、前連結会計年度比337百万円減(17.4%減)の1,602百万円となりました。

(税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比26百万円減(1.4%減)の1,904百万円となり、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を差引いた親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、前連結会計年度比85百万円減(6.5%減)の1,235百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,919百万円の資金の減少(前連結会計年度は4,192百万円の資金の増加)となりました。

主な要因は、売上債権が11,165百万円増加したことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、2,992百万円の資金の減少(前連結会計年度は516百万円の資金の減少)となりました。

主な要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,770百万円などによるものです。

また、財務活動によるキャッシュ・フローは、3,701百万円の資金の増加(前連結会計年度は1,009百万円の資金の減少)となりました。

主な要因は、長期借入れによる収入3,500百万円などによるものです。

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

42.6

47.2

42.4

47.2

38.2

時価ベースの自己資本比率(%)

19.6

25.0

27.4

27.1

29.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.2

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

562.3

1,342.7

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※2020年3月期、2021年3月期及び2024年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、キャッシュ・フローがマイナスのため表示しておりません。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを基本方針としております。
 運転資金需要のうち主なものは、工事完成までの外注費用等の支出金並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であり、必要な流動性資金は十分確保しております。

 資金調達につきましては、金融機関からの借入により調達しており、市場の環境や金利の動向等を総合的に勘案したうえで決定しております。

 また、資金調達手法の一つとして金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し総合的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

  当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)株式会社三菱UFJ銀行とのコミットメントライン契約

当社は、資金調達の機動性を確保するため、株式会社三菱UFJ銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。2024年3月23日付で極度額7,000百万円にて更新しております。

 

(2)ミサワホーム株式会社との資本業務提携契約

当社は、当社の建築においての蓄積されたノウハウと、ミサワホーム株式会社の「住まい」においての深い知見を人材交流等を通し共有することで、互いの強みを活かした事業戦略を推進し、両社の更なる成長を目指していくため、2018年5月8日付で、ミサワホーム株式会社との間で資本業務提携契約を締結しております。

 

(3)株式取得による会社等の買収

 当社は、2023年10月26日開催の取締役会において、株式会社神島組の全株式を取得し、子会社化することについて決議し、2023年10月29日付で株式譲渡契約を締結しました。また、2023年11月7日付で株式会社神島組の全株式を取得し、子会社化しました。

 内容の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照下さい。

 

6【研究開発活動】

当社は、多様な社会ニーズや今後の労働者不足、施工品質や生産性向上による競争力強化に技術面から対応すべく、産学連携・同業他社との共同研究を含め、新工法の採用・ICTの推進に取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は80百万円でありました。また、当社の研究開発体制及び当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであります。

なお、子会社においては、研究開発活動は行っておりません。

 

(1) 当社独自の研究開発

 ①ICT・建設ロボット技術の活用と推進

 従来から独自開発、改良を続けているタブレット配筋検査をベースに、2023年度は、新たに機能向上に向けたシステムを開発いたしました。2024年度より順次導入し、作業所の業務改善を進めてまいります。今後も当システムをベースに新たなシステム開発に努めると共に、既存システムの改良を進めてまいります。

 また、2021年度から取り組みを進めていた建設現場支援ロボット開発では、地下ピット自律走行ヘビ型ロボットの撮影機能向上を行い、暗所での自律走行と撮影による不具合確認が可能であることを実証いたしました。2024年度より当社作業所での点検業務に順次投入を予定しております。また、ICT技術としてRTK杭芯位置確認システムを2023年10月に、電磁波(マイクロ波)を用いた有機系接着剤張り外装タイルの非破壊検査装置を2024年3月にそれぞれプレス発表いたしました。2024年度より作業所での実地検証を行い、作業所の品質向上に向けて改良を進めてまいります。また、作業所業務改善のため、他の建設現場支援ロボットの開発を進めております。

②鼻先PCa工法の採用

 従来から当社保有技術として採用している鼻先PCa工法について、品質確保を目的に採用の拡大・定着をすべく作業所へのPCa部材の安定供給に取り組んでおります。今年度は大阪・東京ともに複数の採用実績ができ、さらなる採用拡大に向け、PCa部材製作業者との連携拡充と施工ボリュームの確保に努めております。また、鼻先PCaの技術を応用して、他の部位へのPCa採用により作業所の品質確保・工期短縮になる取り組みを進めております。

③ゼロエネ関連技術への取り組み

 2023年度から、ゼロエネ関連技術として、木造・省エネ・再生建築といった領域に取り組んでおります。本年は、中大規模木造建築技術の獲得に向けた開発をスタートいたしました。自社木造寮や中高層ビルの試設計を行うことで、必要な技術を洗い出し、木材を使用した構造材の開発に取り組んでおります。将来的には特許や性能証明を取得し営業力の強化に努めます。

 

(2) 同業他社との共同開発

①柱RC梁Sハイブリッド構法の推進

 大規模案件に対応可能な工業化・合理化構法の確立や物流倉庫、工場等の長スパン建物に要求される躯体のローコスト技術として検討を続けております。直近では、柱をPCa化した物件の施工もあり、今後の広い運用に向けて取り組みを行っております。

②杭頭半固定工法

 当社では現在まで杭頭半固定工法を2件採用しております。今後も、同業他社との施工検討部会に参加し、更なる工法の改良と設計データの収集・分析を続けてまいります。

③サステナブル建築の実現に向けた技術開発

 2023年度より作業所における工事に伴う温度変化や振動などをエネルギー源とする、環境発電への取り組みを進めております。

 

(3)外部技術や既存工法の活用等による技術力の向上

①基礎工事省力化の推進

 従来より採用している、コンクリート基礎・地中梁が不要となる、上部構造と杭を直接接合するECS-TP工法の採用を定着することにより、物件を短工期で安定的に提供できるように取り組んでおります。

②生産性向上・品質安定の取り組み

 鼻先、マリオン、階段などのPCa化、鉄筋の先組みなど工業化工法を採用することで、品質向上・工期短縮効果が発揮できるように取り組んでおります。鉄筋の先組みでは、安定した品質確保及び工期短縮効果が期待できる鉄筋ジャバラユニット工法の採用に向けて取り組んでおります。

③CFT造施工技術獲得と採用に向けた取り組み

 近年、増えつつあるCFT造の施工について、一般社団法人新都市ハウジング協会より施工技術ランクの認定を取得し、当社におけるCFT造施工が可能となりました。2023年度は1物件で採用となりました。今後も、営業力・提案力の強化と生産性向上のため、積極的に採用拡大に向けた取り組みを進めてまいります。

④i-Constructionによる作業所業務効率化と品質向上への取り組み

 ICTの推進による作業所業務の効率化として、作業所におけるタブレットの有効活用や、ロボット技術に加え、BIM活用の検証を進めており、BIMモデルを用いた合意形成・施工図作成・施工ステップの確認・干渉チェックなどを行っております。2024年度より設計部門内にBIM課が新設され、BIM活用の更なる推進を予定しております。今後は新規ICT技術と既存技術との複合的な活用に向けても取り組み、作業所の業務効率化・品質向上・生産性向上につなげてまいります。

 

 

第3【設備の状況】

1【設備投資等の概要】

当連結会計年度の設備投資は、主にソフトウエアへの投資を目的とし、総額727百万円の設備投資を実施しました。

なお、当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。

 

2【主要な設備の状況】

(1) 提出会社

2024年3月31日現在

 

事業所

(所在地)

帳簿価額(百万円)

従業員数

(人)

建物

構築物

運搬具

工具器具

備品

土地

リース

資産

ソフト

ウエア

合計

面積(㎡)

金額

本社・大阪本店

(大阪市中央区)

209

9

230

255

3

689

1,167

261

(17)

東京本店

(東京都江東区)

454

67

1,538

807

7

1,337

265

(17)

(注)1.提出会社は単一の報告セグメントであるため、セグメント別の記載はせず、主要な事業所ごとに一括して記載しております。大半の設備は建設事業又は共通的に使用されております。

2.土地及び建物の一部を連結会社以外から賃借しております。賃借料は111百万円であります。

3.従業員数の( )は、年間の平均臨時雇用者数を外数で記載しております。

 

(2) 国内子会社

2024年3月31日現在

 

会社名

事業所

(所在地)

区分

帳簿価額(百万円)

従業

員数

(人)

建物

構築物

機械

運搬具

工具器具
備品

土地

合計

面積(㎡)

金額

大末テクノサービス(株)

本店

(大阪市中央区)

建設事業

その他

93

10

7,837

82

186

47

(209)

(注)1.上記には支店等が含まれております。

2.従業員数の( )は、年間の平均臨時雇用者数を外数で記載しております。

 

会社名

事業所

(所在地)

区分

帳簿価額(百万円)

従業

員数

(人)

建物

構築物

機械

運搬具

工具器具
備品

土地

合計

面積(㎡)

金額

(株)神島組

本店

(兵庫県西宮市)

建設事業

(土木)

11

300

2,966

189

501

17

 

3【設備の新設及び除却等の計画】

当社及び連結子会社の設備投資計画は、中期経営計画「Challenges for the future」(2020年度~2024年度)の中で、業務の効率化やセキュリティ強化を目的としたネットワークインフラの整備及び情報機器の更新並びに2021年11月「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」の策定に基づいた投資を行ってまいりましたが、当社を取り巻く経営環境やプライム上場維持の必達、PBR1倍越えの必要性の高まり等を踏まえ、より中長期目線での抜本的な変革を実現すべく、2030年に向けた中長期計画を新たに策定し、投資計画についても見直しを行っております。中長期経営計画「Road to 100th anniversary~飛躍への挑戦~」では、競争環境からの脱却に向けた「建築事業の強靭化」、積極投資・攻めの経営による「高収益ポートフォリオの拡充」、これまでの基盤の刷新による「経営基盤の次世代化」という3つの挑戦に基づいた戦略投資を積極的に実行してまいります。なお、投資は自己資金及び借入金等により充当する予定であります。

会社名

事業所名

キャピタルアロケーション

予定時期

投資予定額

(百万円)

 既支払額

(百万円)

大末建設株式会社

全事業所

・M&A投資

不動産開発・再生事業への本格参入に向けた不動産会社のM&A、設計力強化に向けた設計会社のM&A等

・成長投資

新事業領域参入や、ゼロエネ関連の技術投資、DXや基幹システム刷新に向けたDX・システム投資等

2024年~2030年

20,000