第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、デジタル化やグローバル展開など一歩先を行く取組みに挑み続け、多様化するお客様のライフステージに応じた質の高いサービスを提供することで人々の楽しみという価値を常に創造してまいります

そして、最も身近な存在として、より豊かな生活の実現を支え続け、地域や社会に、より大きな安心と喜びを提供していきたいとの想いから、グループ理念、グループビジョン及びグループスローガンを、以下のように設定しております。

 

① グループ理念

「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」

 “未来の美と健康”を考え抜き、新たな顧客体験を創り出し輝きを増していく生活・地域社会の実現に貢献する。

 

② グループビジョン

「美しさと健やかさを、もっと楽しく、身近に。」

 私たちは、美と健康という分野を軸に新しい技術やアイデアを積極的に取り入れ、人々の毎日の生活がもっと楽しさに満ちたものになることを目指します。

 そして、人の想いに敏感で身近な存在であり続けることを大切にし、生活や地域に、より大きな安心と喜びをお届けするために挑戦してまいります。

 

③ グループスローガン

「Find your“!”」(!は“wow”(ワオ)と読みます)

 訪れるたびに、思わず“wow!”と叫んでしまうほどの驚きや喜びがあり、「次はどんなことに出会えるだろう!」とワクワクした気分になってきていただきたいとの意味をこめて設定しております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、社会・生活のインフラ企業となることで、地域社会の美と健康に最も身近な存在として貢献できるほか、ヘルス&ビューティー分野で圧倒的なプレゼンスを獲得することで、国内ドラッグストア業界を力強く牽引することを目指してまいります。また、ドラッグストアの社会的使命である地域包括ケアシステムの構築を推進するとともに、将来的には「美と健康の分野でアジアNo.1」を目指してまいります。

その過程におけるグループ経営目標として、アジアNo.1のドラッグストアとなり、美と健康の分野でのリーディングポジションを確立すべく、「グループ売上高1.5兆円、営業利益率7.0%(2026年3月期)」を設定しております。また、当社グループは、「ROE(自己資本当期純利益率)10%以上」を新たな目標として設定しており、既存事業の拡充、KPI管理の徹底や事業ポートフォリオの見直し、バランスシートのスリム化、株主還元の充実などにより、収益性と効率性を高めていくことで、継続的な目標達成を目指してまいります。

 

(3)経営環境

① 市場環境

わが国経済は、新型コロナウイルスの5類感染症への移行や各種政策の効果もあり、企業収益や雇用・所得環境が改善し、景気が緩やかに回復している一方で、エネルギー価格、原材料価格の上昇に加え、国際情勢不安も重なり、先行き不透明な状況が続いております。

 

② 競合他社の状況

ドラッグストア業界においては、業種・業態を超えた競合企業の新規出店、商勢圏拡大に向けた新たなエリアへの侵攻、M&Aによる規模拡大、同質化する異業種との競争、それらが要因となる狭小商圏化など厳しい状況が継続しております。

 

 

③ 顧客動向

少子高齢化や都市部への人口流入など社会構造が変化を続ける環境の中で、当社はお客さまのライフスタイルの変化や嗜好・ニーズを的確に捉えてまいりました。例えば厚生労働省がすすめる「健康サポート薬局」の認可と地域医療連携を進めることで、すべての人の健康をサポートしております。

インバウンドに関しましては、新型コロナウイルスの5類感染症への移行により、今まで訪日できなかった多くの海外のお客様が日本に入国され、当社店舗でご購入いただける機会も徐々に増えてきております。

また、訪日されていない海外のお客様についても、各国に展開する当社店舗や越境ECをご利用いただいている状況です。

 

④ 法改正

今後、定期的に実施される調剤報酬及び薬価の改正により一定程度の影響を受ける可能性もありますが、引き続き健康サポート薬局化の推進や技術料の向上を進めることで、調剤事業の拡大とその影響の最小化に努めております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 

当社グループは、少子高齢化、急激な消費動向の変化や競合企業の新規出店・M&Aによる規模拡大など、常に変化する経営環境に対応し、持続可能な経営を実践していくため、4つの経営の前提とそれに紐づく5つのマテリアリティへの取組み、そして、当社グループが更に成長するための4つの重点戦略を連動させ、推進しております。

 

それぞれの内容は、以下のとおりです。

 

 


 

< 持続可能な経営に向けて >

当社グループは、グループ理念、グループビジョンの実現に向けた経営の前提として、当社グループの成長を支える基盤となる「人間性尊重の職場」、「ガバナンスの充実・強化」、当社グループがさらに成長するための戦略となる「美と健康への貢献」、「地球環境の保全」を区分し、それに紐づく5つのマテリアリティを、以下のように特定しております。

 

人間性尊重の職場

マテリアリティ:「従業員の成長」

目指す姿:   従業員にとって働きがいがあり、従業員とともに成長する企業グループとして存在している。

 

② ガバナンスの充実・強化

マテリアリティ:「ガバナンス・コンプライアンスの充実」

目指す姿:   経営の効率性・透明性や企業モラルを維持・向上し、信頼され続ける企業グループとして存在している。

 

美と健康への貢献

マテリアリティ:「お客様の美と健康を考える」、「地域生活を支える医療を考える」

KGI:       グループ売上高1.5兆円、営業利益率7.0%、ROE10%以上を目指し、いつまでもしく健康であり続けたいを叶える美と健康の分野において無くてはならない存在となる。

 

④ 地球環境の保全

マテリアリティ:「地球の健康を考える」

KGI:       2050年度グループ全体(店舗・オフィス含む)でCO2排出量実質0、PB商品環境配慮型比率100%を目指し、エシカル社会に貢献する存在となる。

 

< 重点戦略及び対処すべき課題 >

当社グループは、常に変化する経営環境に対応し、持続可能な成長を目指すべく、国内戦略(戦略テーマ:お客様のライフステージに応じた価値提供)とグローバル戦略(同:アジア市場での更なるプレゼンス向上)にわけて、4つの重点戦略を設定しております。

 

国内における重点戦略及び対処すべき課題は、次のとおりであります。

 

① 利便性の追求 - お客様との繋がりの深化

当社グループは、お客様の価値観が多様化し、ライフスタイルが変化しつつある社会において、お客様の最も身近な存在として、より深く繋がり、変わりゆくニーズを的確に捉えていくことが必要であると考えております。そのため、デジタル技術を活用し、店舗からお客様に届ける仕組みの更なる拡大や、新たなデジタルサービスによる様々な買い物スタイルの提供など、利便性を追求していくことで、お客様により深く寄り添う企業を目指してまいります。

 

② 独自性の追求 - 体験やサービス提供の新化

当社グループは、激しい競争環境の中で、1億4,778万のお客様接点から蓄積されたデータとマーケティング分析力を活かし、面白さや楽しさに満ちた魅力的な商品・サービス、店舗モデルの開発や、広告配信事業の展開など、独自性を追求し、当社ならではのブランド体験を提供していくことで、お客様に選ばれ、日々の生活がより楽しさに満ちたものとなっていただけるよう、取り組んでまいります。

 

③ 専門性の追求 - トータルケアの進化

当社グループは、少子高齢化が進み、健康長寿社会の実現を目指す我が国において、様々なお客様のライフステージに応じた質の高いサービスを提供することで、地域社会により大きな安心と喜びを提供していくことが求められていると考えております。そのため、当社の強みとデジタル技術を活用し、セルフメディケーションの推進、調剤事業拡大に加え、心と身体の両面でのビューティーケアなど、ヘルス&ビューティーとウエルネスの3つの分野を軸に専門性を追求していくことで、地域包括ケアシステムを支え、すべての人がいつまでも美しく、健康で心豊かな生活を送れるよう取組んでまいります。

 

グローバルにおける重点戦略及び対処すべき課題は、次のとおりであります。

 

④ グローバル事業の更なる拡大

当社グループは、アジアを中心とした新たな進出国の開拓や海外店舗展開、訪日されるお客様の更なる獲得のため、海外SNSの活用やグローバル会員獲得によるアプローチ強化、グローバルで活躍する人材と海外で支持される商品の開発などに積極的に取組み、各国の経営資源を効率的に、かつ最大限活用することで、美と健康への意識が高まっているアジア地域での事業規模拡大とプレゼンス向上を目指してまいります。

 

< 株主還元 >

当社は、株主の皆様への利益還元を経営の最重要項目の一つと位置付けております。そのため、当社では経営基盤の強化と収益力向上に努め、配当は、累進配当を基本として、DOE(純資産配当率(連結))3%以上・配当性向(連結)30%以上を目指します。また、自己株式の取得は、財務状況や株価水準などを勘案し、機動的に実施します。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、「持続可能な経営は、未来を見据え、その未来の形成に当社がどのような貢献をしていくのか」という考えのもと、当社グループは、ドラッグストア・薬局としての使命である“社会・生活インフラ”としての役割を果たしつつ、“美と健康”を通して、ライフステージに応じた価値を提供し、常にお客様に寄り添う企業となり、地域社会へより大きな安心と喜びを提供することで、持続可能な社会の実現へ貢献します。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)推進体制(ガバナンス) 

持続可能経営の実践サイクル

 

当社は、持続可能経営の推進を図るため、「サステナビリティ委員会(構成:代表取締役社長(委員長)をはじめ、常勤取締役及び監査役、当社の全部門長、その他委員長の指名者)」を設置し、当委員会を中心に次のように実践します。

① マテリアリティを特定します。

② マテリアリティに紐づくKGI/KPIを設定します。

③ 当KGI/KPIの達成に向けて各部門が執行します。

④ サステナビリティ委員会は、当KGI/KPIの進捗レビュー・モニタリングし、マテリアリティ及び当KGI/KPIを再評価します。

⑤ 上記の持続可能経営の実践サイクルの状況は、サステナビリティ委員会より、定期的に取締役会へ報告・提言します。

 

 


 

 

 

(2)持続可能な社会の実現に向けた価値創造プロセス(戦略・目標)

 

 

当社グループは、人権や地球・環境、社会、ガバナンスにおける課題に対応し、持続可能な経営を実践していくことで、SDGs達成に貢献し、企業価値を創造してまいります。

 

〇当社経営の4つの前提

当社は、グループ理念、グループビジョンの実現に向けた経営の前提として、当社グループの成長を支える基盤となる、「人間性尊重の職場(人間・人権:Human)」、「ガバナンスの充実・強化(ガバナンス:Governance)」、そして、当社グループが更に成長するための戦略となる、「美と健康への貢献(社会:Society)」、「地球環境の保全(地球・環境:Environment)」を特定し、これら「H・E・S・G」のサイクルにより、当社グループの企業価値を創造し、SDGs達成へ貢献してまいります。

 

〇当社の5つのマテリアリティ

当社は、4つの経営の前提を踏まえ、当社グループにおいて優先すべき課題を5つのマテリアリティとして特定しております。そして、それに紐づく、目指す姿・KGI及びKPIを設定しております。

 

 


 

 

 

経営の前提

人間性尊重の

職場

(人間・人権:Human)

ガバナンスの

充実・強化
(ガバナンス:Governance)

美と健康への貢献

(社会:Society)

地球環境の保全
(地球・環境:Environment)

マテリアリティ

従業員の成長

ガバナンス・コンプライアンスの充実

お客様の美と

健康を考える

地域生活を支える医療を考える

地球の健康を

考える

目指す姿・KGI

〈 目指す姿 〉

従業員にとって働きがいがあり、従業員とともに成長する企業グループとして存在している

〈 目指す姿 〉

経営の効率性・透明性や企業モラルを維持・向上し、信頼され続ける企業グループとして存在している。

〈 KGI 〉

グループ売上高1.5兆円、営業利益率7.0%、ROE10%以上を目指し、いつまでも美しく健康であり続けたいを叶える “美と健康”の分野において無くてはならない存在となる。

〈 KGI 〉

2050年度グループ全体でCO2排出量実質0、PB商品環境配慮型比率100%を目指し、エシカル社会に貢献する存在となる

KPI

目標時期

2026年3月期

・従業員意識調査3.94P

・ホワイト500取得

・女性管理職比率25%

・特定保健指導実施率50%

・独立社外取締役比率40%以上

・マツキヨココカラWAY行動評価46.9P

・PB商品リスクの低減

・品質管理CSR監査の実施(委託先企業様の60%)

・マツキヨココカラWAY研修受講率100%

・障がい者雇用率2.7%

・グループ会員数3,000万人

・グループ出店年間150店舗以上

・matsukiyoLAB店舗50店舗

・ヘルス&ビューティーカテゴリ(医薬品+化粧品)75%

・PB商品:売上高構成比 15%

 美と健康に特化、品質重視

・健康サポート薬局250店舗

・地域連携薬局380店舗

・専門医療機関連携薬局20店舗

・地域包括ケアモデル20拠点

・次世代自動車への切替保有車両台数のうち15%

・EV車急速充電器設置自社保有施設2拠点

・2030年度グループ全体でCO2排出量40%削減

・グループ店舗のLED照明導入80%以上

・グループ店舗への太陽光パネル導入20店舗

・PB商品環境配慮型比率40%以上

 

 

(3)TCFD提言(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同

当社は、持続可能な経営の実践に向け、5つのマテリアリティ(重要課題)を設定しており、そのひとつに「地球の健康を考える」を掲げております。気候変動への対応を重要な経営課題として認識し、環境負荷を低減し、地球の健康を維持するため、当社グループだけでなくステークホルダーの皆さまと繋がりながら、低炭素社会への貢献・当社PB商品の環境配慮型へのシフト・事業を通じたエシカル消費の普及など、取組みを進めております。

地球温暖化による気候変動が全世界的な課題である現在、当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、TCFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」について次のとおり設定いたしました。環境負荷低減に継続して取組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります

 

 

① ガバナンス

当社は、事業活動を通じて持続可能な社会への貢献を目指し、代表取締役社長を委員長として、常勤取締役、常勤監査役、全室長が委員として構成するサステナビリティ委員会」(年4回開催を設置しております 

同委員会を中心に次の体制により、気候変動への対応を推進してまいります。

機関及び部門

役割

取締役会

・サステナビリティ委員会の監督
・気候変動にかかる重要方針や事項の審議・意思決定

サステナビリティ委員会

・気候変動対応の執行状況の進捗管理、報告
・取締役会への報告、提言(年4回・必要に応じて適宜)

・気候変動対応にかかる各分析や対策等の審議・評価

総務企画室(同委員会事務局)

及び関係各部

・気候変動に関するリスクと機会の分析
・事業戦略への影響の把握
・気候変動の緩和や適応につながる対策検討及び情報開示

 

 

② 戦略

気候変動に伴うリスク及び機会は、GHG(温室効果ガス)排出に関する規制等の低炭素社会への「移行」に起因するものと、気象災害の激甚化等の気候変動による「物理的」変化に起因するものが考えられます。当社では、これらのリスクや機会による影響を次のとおり整理しております。

当社グループはグループの小売事業を中心にリスクと機会について、IEAのNZEシナリオ及びIPCCが想定するシナリオに基づき、炭素価格の導入や電力価格の上昇による店舗コストの増加、気象災害の激甚化による当社への影響分析を行っております。

主なリスクと機会

財務影響

移行

リスク

炭素価格の導入・引き上げ、GHG(温室効果ガス)排出規制強化

・店舗運営コストの増加

・原材料調達コストの増加

・製造コストの増加

約35億円(年間)

※カーボンプライシング制度導入による影響額を記載しております。

NZEシナリオに基づき炭素価格1t当たり140ドルで算出しております。

電力価格の上昇

・エネルギーコストの増加

・原材料調達コストの増加

・製造コストの増加

フロン規制強化

・店舗のノンフロン設備等への投資コストの増加

約8億円(年間換算)

※対象店舗数に1店舗当たりの平均設備投資額を5百万円として算出しております。

プラスチック規制強化

・プラスチック規制に対応した代替原材料の調達コストの増加

当社グループの事業及び財務への影響がやや大きくなることが想定される。

消費者思考の変化

・環境配慮への遅れによるブランドイメージの低下

当社グループの事業及び財務への影響が軽微であることが想定される。

物理的

リスク

気象災害の激甚化

・価値創造の源泉となる従業員の被害

・店舗自体への被害、店舗休業による売上の減少

当社グループの事業及び財務への影響がやや大きくなることが想定される。

平均気温上昇

・店舗における電気使用量の増加

約7億円(年間)

※空調・冷蔵設備の電力使用量に対し、増加率10%で算出しております。

機会

炭素価格の導入・引き上げ、GHG(温室効果ガス)排出規制強化

・低排出量エネルギー源使用による炭素価格増加時の運営コストの削減

約17億円(年間)

※CO2排出量削減率50%及びNZEシナリオに基づき算出しております。

省エネルギー設備投資

・低排出量エネルギー源使用による電力消費の削減

約12億円(年間)

※省エネルギー設備導入可能店舗比率及び使用電力量削減率30%で算出しております。

消費者思考の変化

・環境配慮型商品・サービスの開発による売上の増加

約18億円

※2026年3月期の売上高目標、PB商品売上高構成比及びPB商品環境配慮型比率におけるKPIを全て達成した前提で、かつ売上増加率2%として算出しております。

 

 

 

③ リスク管理

現在、当社における気候関連リスクは、当社のリスク管理の一環で実施するリスクアセスメントの項目に「気候変動リスク対策の遅れ」として組み込み、全社リスクのうちの一つとして統合し管理しております。また、当社は、マテリアリティとして「地球の健康を考える」を特定しており、そのリスクの優先度を高めております。

当社は、戦略欄に記載のリスクと機会を、サステナビリティ委員会の事務局となる総務企画室とその関係する部門にて、引き続き分析を進めてまいります。その結果や対策は、サステナビリティ委員会にて審議し、同委員会より取締役会へ報告します。この結果を踏まえて、必要に応じて社内のリスクアセスメントの項目を更新し、他のリスクと同様に社内のリスクマネジメント実施計画に則り執行するというプロセスを実践してまいります。

 

④ 指標及び目標

当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、ガバナンス、戦略、リスク管理について公表しております。当社のマテリアリティ「地球の健康を考える」に紐づく各目標としてKGIを2050年度グループ全体(店舗・オフィス含む)でCO2排出量実質0、PB商品環境配慮型比率100%を目指し、エシカル社会に貢献する存在となります。また、KPIに2030年度グループ全体(店舗・オフィス含む)でCO2排出量40%削減(2021年度比)、2026年3月期を目標として、PB商品環境配慮型比率40%以上、保有車両の次世代自動車への切替え、EV車急速充電器の設置、グループ店舗のLED照明導入、オフィス・店舗への太陽光パネル設置や再生可能エネルギー電力の導入を実施し、サプライチェーン全体での省エネルギー・省資源化を推進してまいります。

評価機関「CDP(気候変動)」に情報開示し、第三者として評価をしていただき、気候変動への取組みは「B」の評価を獲得しました

具体的な対応につきましてはサステナビリティ委員会にワーキンググループとして、タスクチームを設置し、当チームを中心に、気候変動が当社に及ぼす影響を分析してまいります。

 

 

(4)人的資本に関する「戦略」並びに「指標及び目標」

[1]人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループは、グループ理念に基づきグループビジョン・グループ経営目標を達成するために組織・人材戦略を経営上の重要テーマと捉え人的資本の価値を最大限にするよう努力しております。なぜならば、事業戦略の実行も、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するのも全て人が行うものであり、従業員の理解や納得が得られたときに価値を最大限にできると認識しているからです。「美しさと健やかさを、もっと楽しく、身近に。」というグループビジョンに掲げているように当社グループは、美と健康という分野を軸に新しい技術やアイディアを積極的に取り入れ、人々の毎日の生活がもっと楽しさに満ちたものになることを目指しております。そして、人の想いに敏感で身近な存在であり続けることを大切にし、生活や地域に、より大きな安心と喜びをお届けするために挑戦しております。

今回、この情報を開示するにあたり、当社グループの人的資本経営の考え方と変化、そして従業員に対する思いを感じ取っていただければ幸いです

 

[2]人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針についての指標並びに当該指標に関する目標及び実績

多様な人材が多様な活躍ができる環境

男性育児休業取得率

少子化対策への対応であると共に多様な働き方につなげるために推進しております。当社グループの取組みとしてロールモデルの情報発信や育児休業に入る前に面談を実施し、安心して復職することができることを共有しております。この活動により2023年度の取得率は50.0%と前年度から7.4%上昇しております。平均取得日数は38日間と前年度から6日短くなりましたが取得率の増加に表れている様に育児休業を取得することが一般的といった考えが社風として浸透しております。(厚生労働省発表:全国平均取得率46.2%)

引き続き出産を機に夫婦お互いに協力しながら育児するという環境の整備に取組んでまいります

 


※参考情報:厚生労働省発表 全国平均 46.2%

 

 

女性管理職比率

女性の積極的な登用の拡大としてチャレンジ店長制度(注1)の更なる充実とスムーズな運用サポートや女性のためのキャリア研修の開催、メンター制度の実施、社外取締役監修のもと相互情報交換の場を設けております。株式会社マツモトキヨシにおいては1日4時間まで休憩が取得できる「フレキシブル育児・介護休憩制度」や始業・終業時間や休憩時間を一定のルール内で育児に合わせて設定できる「育児スーパーフレックスタイム制度」を導入しておりますので仕事と育児の両立につながっております。幹部職が女性管理職のメンターとなり、成長をサポートするメンタリングプログラムを導入し、経験豊富なリーダーが女性社員にアドバイスを提供できる環境作りが進んでおります。様々な取り組みの影響により2023年度の管理職比率は22.8%と前年度から1.8%上昇しておりマツキヨココカラ&カンパニー発足後、初めて女性部長が誕生しております。

(注1)チャレンジ店長制度:教育担当及び近隣店舗のトレーナー店長によるサポートのもと、店長候補者に店長を実体験させながら店長業務を習得させて店長に昇進させる研修制度

 

女性管理職比率の実績と目標(%

 


※参考情報:2023年度全国平均 12.7%

 

主要な小売事業会社の株式会社マツモトキヨシ、株式会社ココカラファインヘルスケア、株式会社マツモトキヨシ甲信越販売及び株式会社マツモトキヨシ九州販売は女性が能力を発揮しやすい職場環境が整備できていると認められ「えるぼし3段階」(注2)の認定を得ております。2023年度は株式会社愛安住及び株式会社MCCソレイユも「えるぼし3段階」の認定を得ることができましたので、グループ全体に好事例を共有しています。

(注2)女性の活躍推進状況に応じて認定される制度

 


 

男女間賃金差異

社会問題として取り上げられることが多い男女間賃金差異について2023年度の当社グループ実績は全従業員ベースで1,748千円/年、賃金差異は52.5%(前年差+1.6%)でした。以下の円グラフは男性の賃金に対する女性の賃金の割合を表示しており、棒グラフは男女間賃金差異額を表示しております。

優秀な人材の非正規社員から正規社員への登用や管理職への登用は進んでおりますので賃金格差は小さくなる傾向です。働きやすい環境の整備にも力を入れており、指標の一つとして取り上げられることが多い有給休暇取得率について2023年度の当社グループ実績は全従業員ベースで78.1%でした。(退職者の取得は除く)2022年度に導入された特定目的型の週休3日制度により働き方の選択肢が増加したことで、生活の変化に応じた働き方やワークライフバランスの改善につながり多様な人材が多様な働き方で活躍できる環境の整備につながり男女間の賃金格差の是正につながっております

 

男女間賃金差異:全従業員ベース

 


 

 

週休3日制取得イメージ

 


 

障がい者雇用率

障がいの有無に関わらず「誰もが生き生きと働き続けられる企業」を目指し、多様な人材が能力を発揮できる新しいワークスタイルを創造し、企業や社会に貢献できる事業を推進するために特例子会社「株式会社MCCソレイユ」を設立しております。店舗では期限チェック、清掃を行い、本社では経理作業補助、郵便物の仕分けや印刷業務、物流センターで商品仕分け業務を行うなど幅広い業務を受託し、障がい者雇用を促進しております。経営統合した2021年度の雇用率は2.30%でしたが、2023年度は全国3,400を超える店舗網や各本社支社における雇用が進み2.52%(法定雇用率2.30%)に上昇しております。法定雇用率は2026年7月から2.70%に引き上げられますが担える業務の幅を広げながら多様な人材が多様な活躍ができる環境を整備してまいります

 

高年齢者再雇用

株式会社MCCソレイユと同じく機能会社の「株式会社MCCアソシエ」はグループ内における優れた人材を活用することで、持続可能な地域社会の実現に貢献すべく事業を展開しています。一般労働者派遣事業・有料職業紹介事業と共に、グループ内のドラッグストアや薬局、事務スタッフなど定年を迎えた従業員を再雇用してグループ内外の店舗、事務所などへ派遣し、優秀な人材が長く活躍できる環境を提供しています。店舗支援事業ではグループ内の人材を活用し、一部店舗にて業務(主に商品陳列)を請け負っています。2023年4月からデリバリー課が新設され、ドライバーとしての機能を有しており、今後拡大する店舗宅配業務の支援を行っています。

労働者の減少という社会問題の対策として株式会社MCCアソシエは事業の多元化に挑戦し、グループ内外の人材の適材適所に貢献しておりますので2025年度には店舗支援事業において3,000名を超える従業員が活躍できる状態になり、多くの人材が活躍できる環境を整備してまいります

 

 

従業員エンゲージメントの改善・向上

従業員の安全衛生および健康管理に焦点を当て、これらの分野においてより効果的な支援を提供し従業員の健康と幸福に対する取り組みを強化し、グループ全社の健康経営を推進するため2023年12月1日にウエルネスサポートセンターを設立しました。本編においてはウエルネスサポートセンターが取組んでいるウエルビーイングに関する事例をご紹介します。

 

① 健康診断受診率及び特定保健指導実施率

生産性の向上につながるパフォーマンスを発揮するために心身の健康は不可欠ですので健康診断の受診を促しており受診率100.0%と完全実施できております。測定データは健康保険組合の各種データを活用して特定保健指導を実施しており、いわゆるメタボ層の従業員に対して専用アプリを用いて日常生活における運動(歩数、消費カロリー等)や体組成(体重など)、循環(血圧など)、各種データの計測・記録を行い日々の健康状態を管理しております。

当社グループの管理栄養士がバイタルデータや過去のエビデンスデータを活用して特定保健指導を行っており、対象者は少人数のため専任の管理栄養士が指導する環境を整備しております。2022年度の健康診断に対する実施率は37.8%と前年度から2.8%上昇しており従業員の健康維持だけでなく医療費の削減につながるため引き続き「持続可能な生活改善」に重点を置いた支援でリバウンドやリピーターの削減を目指します。なお、グループ外からの保健指導も受託しておりますので展開の拡大と職域の拡大に取組んでまいります

 

特定保健指導実施率の実績と目標(%

 


 

※参考情報:2023年度の健康診断結果を用いた特定保健指導を継続実施しております。

 

ストレスチェック及びプレゼンティーズム

健康状態は身体ばかりでなく心も重要な要素ですので従業員に対してストレスチェックを実施しており100.0%の実施率となっております。

ストレスチェックを行うだけにとどまらず、現在はプレゼンティーズムの結果を踏まえたストレスチェック集団分析結果をもって、各部門・部署にて改善計画を立案して実行しています。出勤しているものの、心身の健康上の問題により、充分な仕事ができない状態を軽減して従業員の健康状態の維持増進だけでなくパフォーマンスの向上につなげています

 

 

③ 健康経営優良法人

従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する健康経営の取組みが評価され、マツキヨココカラ&カンパニーは、2020年から5年連続で経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。「従業員の成長」をマテリアリティの一つとして特定し、そのKPIとして「ホワイト500の取得」を掲げ取組んでおります。

 

 

 

 


 

現在、企業経営における「人的資本経営」の重要度は加速度的に高まっています。同時に、企業における取り扱う商品やサービスは同質化が進んでおりますので企業が持つ特徴は、従業員が持つコミュニケーション能力、チームワーク能力、問題解決能力、独創性、ストレス耐性への依存度が高まっています。更には、働く人の仕事に対する意欲が多様化していく中、モチベーションを高め、企業のミッション実現へと導いていくことが、企業の重要な役割へとなってきました。

当社グループは、グループ理念の「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」とグループビジョン「美しさと健やかさを、もっと楽しく、身近に。」を理想とする姿として少しでも近づけるよう様々な施策を講じて人的資本経営を後押ししてきました。毎年、人的資本に関する情報をまとめて振り返りを行っておりますが、その都度人的資本経営の目指すべきことは企業としての社会的役割・存続意義の実現であり、そのための源泉は「従業員エンゲージメント(企業と従業員の相互理解)」の向上であることを認識しております。

これからもミッションの実現に向けて様々な変化を起こしていきます。同時に、従業員エンゲージメントの測定を通じて従業員と対話し、相互理解の状態を実現し続けることで、当社グループ一丸となって成長してまいります。

※データは全て連結会社(国内)の実績を使用しております

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがあります。

ただし、文中の将来に関する記載は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、以下の記載は必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。

なお、各リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については合理的に予見することが困難であるため記載しておりませんが、当社グループはこれらのリスクに対する管理体制を「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備し、リスクマネジメント活動を行っております。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 競合状況の発生、競争の進化について

当社グループは、同業のドラッグストアに加えて、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ディスカウントストア等の小売業や、ネット通販等の店舗を持たないeコマース企業とも競合しています。これらの企業との競争が激化することにより当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらの企業との競争のために、各種販売促進策、PB(プライベートブランド)商品を含む商品・サービスの品揃えの強化や品質の向上、多様な店舗フォーマットの開発やデジタル・マーケティングの推進を実施しています。

 

② インバウンド需要について

当社グループの店舗をご利用される外国人観光客は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行以前の水準まで回復しつつありますが、今後もこれらの国における政治・経済情勢や自然災害・伝染病等の発生によって、日本への渡航規制等による訪日外国人の減少が起きた場合には、インバウンド需要が減少して当社グループの事業計画や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

ⅰ)許認可・免許等に関する規制等について

当社グループは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「医薬品医療機器等法」という。)」に基づき、医薬品、医療機器等を販売するための店舗販売業許可、薬局開設許可、高度管理医療機器等販売業許可等が必要であり、医薬品等の販売や陳列等についても広く規制されております。介護事業については、介護保険法に基づく居宅介護支援事業者指定、訪問介護(介護予防)指定等を受けております。その他にも労働関連規制、個人情報保護規制等様々な法規制の適用を受けています。そのため、これらの法規制の改正及び予期し得ない処罰・訴訟の提起による対応コストの増加、社会的信用の低下等により当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅱ)出店に関する規制等について

当社グループは、1,000㎡超の店舗の新規出店及び既存店の増床等について、「大規模小売店舗立地法」による規制を受け、都道府県知事(政令指定都市においては市長)への届出が義務付けられています。また、「大規模小売店舗立地法」の規制に準じて、地方自治体との調整が必要になる場合があります。このため、新規出店及び既存店の増床等において、出店地域によっては出店政策に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 薬剤師等の確保について

医薬品医療器等法上、薬剤師が薬局を、薬剤師又は医薬品登録販売者が店舗販売業の店舗を、実地に管理しなければならないとされ、また、医薬品の販売は薬剤師又は医薬品登録販売者が行わなければならないとされています。更に、「薬剤師法」では、調剤業務は薬剤師が行わなければならないとされています。このため、店舗展開においては薬剤師及び医薬品登録販売者を確保することが重要となり、十分に確保できない場合には当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、雇用条件や職場環境の改善等を行うとともに、積極的な採用活動を通じて安定した人材確保に努めています。

 

⑤ 人材の確保と育成について

代表取締役をはじめとする取締役及び従業員は、当社グループ経営に重要な役割を果たしています。取締役等の経営幹部が業務執行できない事態が生じた場合、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。従業員については、事業拡大に応じた、人材の確保、育成、教育を行っていますが、他社からの引き抜き等により人材確保が十分にできなかった場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、優れた人材を確保することによる採用コスト・人件費の増加や、従業員の育成において継続的に研修コストの増加が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 調剤の事業環境について

調剤業務における売上高となる、医療用医薬品の価格(薬価)と調剤報酬は法令により定められています。今後、薬価基準や調剤報酬の改定が行われた場合、また医薬分業率が変動するなど外的環境が著しく変化した場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、調剤事業における多様な医療ニーズ・診療報酬改定への対応、地域の方々の健康増進を支援する「健康サポート薬局」、「地域連携薬局」の展開を進めます。

 

(2)事業運営に関するリスク

① 医薬品の販売について

当社グループの店舗のうち、調剤専門薬局及び調剤併設店舗においては、調剤監査システム導入等の万全な管理体制の下、調剤過誤の発生防止に細心の注意を払っています。また、要指導医薬品及び一般用医薬品についても、販売時における適正な情報収集と情報提供を行い、正しい服用方法、濫用防止に努めています。

しかしながら、調剤薬の不具合や調剤過誤等により、将来、訴訟を提起されるようなことがあった場合には、経済的損失を被るだけでなく、当社グループの社会的信用を損なう等の理由により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 商品の安全性について

近年消費者による、商品の安全性に対する要求が一段と高まっております。今後品質問題等により商品の生産・流通に問題が生じた場合及び当社グループが販売する商品に問題が生じ社会的信用を低下させた場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、お客様・患者様からの信頼を高めるため、品質管理・商品管理体制を引き続き強化してまいります。

 

③ PB商品について

当社は、PB商品の開発・販売を行っています。開発にあたっては消費者ニーズの分析や販売動向の予測を行い、新商品の開発や商品力の強化を進めています。また、関係法令を遵守し、取引先を含めた品質管理の徹底、外装やパッケージ等の表示・表現等の適正化を図っています。

しかしながら、当社PB商品に起因する事故等が発生した場合や、PB商品が消費者ニーズに合致しなくなった場合には、当社に対する信頼の低下、売上高の低迷等により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります

 

④ 店舗展開について

出店候補地については、同業のドラッグストアだけでなく、他の小売店や飲食店等との競合が発生し、思うように確保できない場合があります。また、出店交渉の進捗状況、賃貸人側の事情、「大規模小売店舗立地法」に基づく届出の進捗等により着工が遅れる場合もあります。このような場合、出店遅延や出店計画の変更などの発生により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、店舗賃貸借契約においては、敷金や保証金、建設協力金等の預託・貸付を行うことがあります。与信には十分な注意を払っていますが、賃貸人が倒産等の状況に至った場合、敷金や保証金、建設協力金等を回収できなくなることにより、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 情報漏えい、システム障害等について

当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」に定められている個人情報取扱事業者として個人情報の取り扱いに係る義務の遵守が求められます。当社グループにおいては、膨大な会員情報や調剤に関する情報等の個人情報を保有しているため、内部管理体制の強化を図り、個人情報の管理については細心の注意を払っています。同様に、当社グループは様々な機密情報を保有しているため、情報ネットワークやシステムには安全対策を施していますが、外部からの不正アクセスやコンピューターウイルスによる攻撃、従業員その他の関係者の悪意又は過失による流出といった事態により、これらの情報が漏えいした場合は、損害賠償請求や社会的信用の低下等により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

また何らかの理由により情報システムや物流システムに障害が発生した場合には店舗での営業その他重要な業務やサービスの停止等を引き起こし、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 保有資産の価値の変動について

当社グループは、店舗をはじめとする事業用の資産や企業買収の際に生じるのれん等の様々な有形・無形の資産を保有しております。これらの資産について、店舗の収益性及びその他事業環境の変化等により、減損処理が必要になった場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

2021年10月1日付けで実施した株式会社ココカラファインとの経営統合により発生した、のれん及び無形資産については、今後の事業環境等の変化により、期待する効果が得られないと判断された時は、減損処理を行う場合があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、有価証券等の金融資産を保有しており、その時価の変動によっては評価損が発生する可能性があります。

 

⑦ 介護事業について

介護事業については、老人福祉法、介護保険法等の法的規制を受けております。法改正により介護報酬額が改定された場合は、商品・サービスの設計及び料金体系の見直しが必要となります。また、人を対象とした事業であるため、施設内での事故や感染症、食中毒等が発生した場合、様々な対策を講じていますが、営業継続が困難となる可能性があります。加えて介護福祉士・看護師・ケアマネージャー等の資格を持った専門職員が不足するリスクがあり、その場合当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 海外事業について

当社グループは、マーケットの拡大が期待できる地域として特にアジア地域に重点を置いて海外事業を展開しておりますが、これらの地域において、政治・経済情勢、対日感情、労働環境、法的規制等の変化や、労働問題、大規模なデモ活動、テロ行為、自然災害、感染症の流行等が発生した場合、当社グループの事業計画や業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(3)自然災害、重大な感染症、気候変動等について

当社グループのドラッグストア及び調剤薬局等において、大地震や台風等の自然災害、著しい天候不順、予期せぬ事故等が発生した場合、客数低下による売上減のみならず、店舗等に物理的な損害が生じ、当社グループの販売活動・流通・仕入活動が妨げられる可能性があります。また、国内外を問わず、災害、事故、暴動、テロ活動並びに当社グループとの取引先や仕入・流通ネットワークに影響を及ぼす何らかの事故等が発生した場合も同様に、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ライフライン(医療機関)の一翼を担うドラッグストア・調剤薬局を中核事業とする当社グループは、未知のウイルス感染症の流行などが発生した場合、お客様、患者様や従業員の人命、安全を確保した上で、地域及び社会への責任を果たすため、感染症流行時における営業継続への対策を講じていますが感染拡大や蔓延状況に応じて営業時間の短縮や営業店舗の限定等の措置をとる可能性がありその場合当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、地球温暖化による気候変動が世界的な課題である現在、当社グループにおいても、気候変動をサスティナビリティ経営上の最重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、気候関連リスクをリスク管理の一環として実施するリスクアセスメントに「環境問題」として組み込み、全社リスクのうちの一つとして管理しております。また、マテリアリティとして「地球の環境を考える」を特定しており、そのリスクの優先度を高めております

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の5類感染症への移行や各種政策の効果もあり、雇用・所得環境が改善する中、景気が緩やかに回復しておりますが、物価上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクにより、先行き不透明な状況が続いております。

ドラッグストア業界におきましても、業種・業態を越えた競合企業の新規出店、商勢圏拡大に向けた新たなエリアへの侵攻、M&Aによる規模拡大、同質化する異業種との競争、それらが要因となる狭小商圏化など、当社を取り巻く経営環境は厳しい状況が継続しております。

このような環境の中、当社グループの重点戦略は国内とグローバルに分け設定し、国内戦略として「お客様のライフステージに応じた価値提供」を戦略テーマに3つの重点戦略、①利便性の追求-お客様との繋がりの深化、②独自性の追求-体験やサービス提供の新化、③専門性の追求-トータルケアの進化と、グローバル戦略として「アジア市場での更なるプレゼンス向上」を戦略テーマに④グローバル事業の更なる拡大を重点戦略として設定し取組んでおります。

PB(プライベートブランド)商品につきましては、パーソナライズを基軸にした新発想のヘアケアブランド「MQURE(エムキュア)」に続き、スキンケア以上メイク未満をコンセプトとしてすっぴんを“ととのえる”ことに特化したコスメブランド「nake(ネイク)」の販売を開始しました。既存のPB(プライベートブランド)では、新商品の展開を順次進めております。また、自社オンラインストアの店舗配送サービス「マツキヨココカラ Q(キュー)」が本稼働するとともに、2024年1月よりマツキヨココカラ公式アプリのリリース及びECサイトのリニューアルを行い、お客様の利便性の向上を図っております。なお、経営統合によるシナジー実現に向けた取組みにつきましても、引き続き計画通り順調に進捗しております。

2024年3月末現在における当社グループの顧客接点数は、1億4,778万となり、国内店舗数は3,464店舗(うち調剤薬局数971店舗、健康サポート薬局数148店舗)となりました。今後も4つの重点戦略を実行することで収益改善を図ってまいります。

当社が展開する「マツモトキヨシ」のブランドについて、世界最大のブランディング専門会社であるインターブランド社によるグローバルに展開される日本発のブランド価値評価ランキング「Best Japan Brands 2024」において74位となり、2024年も日本のドラッグストアとしてナンバーワンブランドの評価をいただきました。

当社の健康経営について、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する取組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で選出する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されました。

 

これらの結果、当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

951,247

1,022,531

71,283

7.5

営業利益

62,276

75,705

13,428

21.6

経常利益

66,721

80,499

13,778

20.7

親会社株主に帰属する当期純利益

40,545

52,347

11,801

29.1

 

 

セグメントの業績概況について

<マツモトキヨシグループ事業>

マツモトキヨシグループ事業では、4つの重点戦略に対して、以下の取組みを実行いたしました。

①利便性の追求-お客様との繋がりの深化として、社会全体のデジタル化が進み、お客様のライフスタイルが変化しつつある中で、一人ひとりのお客様と深く繋がっていくことでニーズを的確に捉え、最も身近な存在となることが必要と考えております。そのため、デジタルと店舗網を活用したお客様に届ける仕組みづくり、様々な買い物スタイルの提供など、利便性を追求していくことで、お客様により深く寄り添う企業を目指しております。

 

②独自性の追求-体験やサービス提供の新化として、激しい競争環境の中で、お客様との様々な接点から蓄積されたデータと高いマーケティング分析力を活かし、お客様の価値観に基づいた商品・サービスや店舗モデルの開発、メーカー様向け広告配信事業の展開など、マツモトキヨシグループならではの独自性を追求していくことで、お客様に選ばれる企業を目指しております。

③専門性の追求-トータルケアの進化として、少子高齢化が進み、健康長寿社会の実現を目指すわが国においては、様々なお客様のライフステージに応じた質の高いサービスを提供することで、地域社会により大きな安心と喜びを提供していくことが求められていると考えております。そのため、セルフメディケーションの推進やオンラインを活用した服薬指導・接客などに加え、心と身体の両面でのビューティーケアなど、専門性を追求していくことで、地域包括ケアシステムを支え、すべての人がいつまでも美しく、健康で心豊かな生活を送れるよう取組んでおります。

④グローバル事業の更なる拡大では、アジアを中心とした新たな進出国の開拓や海外店舗展開、越境EC事業の拡大を図るため、海外SNSの活用やグローバル会員獲得によるアプローチ強化、グローバルで活躍する人材の開発、海外で支持される商品の開発などに積極的に取組むことで、美と健康への意識が高まっているアジア地域での事業規模拡大とプレゼンス向上を目指しております。

PB(プライベートブランド)商品につきましては、「matsukiyo」から男性向け韓国スタイルのメイクシリーズ「iisam(イイサム)」の展開をスタートしたほか、「matsukiyo LAB」からアスリートライン、サステナブルロカボライン及びインナービューティーライン、「ザ・レチノタイム」「レプリカノーツ」「アルジェラン」等よりそれぞれ新商品を発売いたしました。

2024年3月末現在におけるマツモトキヨシグループの国内店舗数は1,904店舗(うち調剤薬局数438店舗、健康サポート薬局数38店舗)となり、薬局経営支援サービスである調剤サポートプログラムの加盟店舗数は236店舗まで拡大いたしました。また、海外店舗数は、タイ王国で26店舗、台湾で23店舗、ベトナム社会主義共和国で8店舗、香港で9店舗の合計66店舗となりました。

マツモトキヨシグループでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の5類感染症移行に伴う都市部や繁華街、商業施設内等の人流の拡大や夏から秋にかけて好天に恵まれたことにより、医薬品及び化粧品、新発売やリニューアルしたPB(プライベートブランド)商品の売上が好調に推移いたしました。また、インバウンドにつきましては、コロナ禍の中でも免税対応店舗数を戦略的に拡大したことで、回復しつつある需要の獲得に繋がっております。なお、2023年12月の売上は前年同月に新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)関連の特需もあり売上が大きく増加していたため、医薬品に反動減の影響がありました。

 

<ココカラファイングループ事業>

ココカラファイングループ事業では、「利便性の追求-お客様との繋がりの深化」「独自性の追求-体験やサービス提供の新化」「専門性の追求-トータルケアの進化」という3つの国内重点戦略に対して、マツモトキヨシグループと同様の取組みを実行いたしました。

ココカラファイングループでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の5類感染症移行に伴う都市部や繁華街、駅前等の人流の拡大や夏から秋にかけて好天に恵まれたことにより、医薬品及び化粧品、新発売やリニューアルしたPB(プライベートブランド)商品の売上が好調に推移いたしました。また、販促策では、マツモトキヨシグループで培ったKPI(重要業績評価指標)管理を徹底し、ロイヤルカスタマーの醸成を図ることで、更なる収益性の改善に努めました。なお、2023年12月の売上は前年同月に新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)関連の特需もあり売上が大きく増加していたため、医薬品に反動減の影響がありました。

2024年3月末現在におけるココカラファイングループの国内店舗数は1,560店舗(うち調剤薬局数533店舗、健康サポート薬局数110店舗)となりました。

 

[国内店舗の出店・閉店の状況]

国内店舗の出店・閉店の状況は次の通りであります。

                                                                            (単位:店舗)

 

2023年3月31日現在の店舗数

出店

閉店

2024年3月31日現在の店舗数

マツモトキヨシグループ

1,863

76

35

1,904

ココカラファイングループ

1,546

38

24

1,560

合計

3,409

114

59

3,464

 

 

 

<管理サポート事業>

管理サポート事業では、当社グループ会社が取り扱う商品の仕入や当社グループ会社の経営管理・統轄、その間接業務の受託業務、当社グループ会社からの配当金収入及び、外部への商品供給・施工業務・広告宣伝等を行っております。当社グループ会社での小売事業が堅調なことから、当社グループ会社が取り扱う商品の仕入や当社グループ会社からの配当金収入が増加いたしました。

 

これらの結果、セグメントの業績は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

マツモトキヨシ

グループ事業

売上高

572,535

633,117

60,582

10.6

 

セグメント利益

41,797

51,741

9,943

23.8

 

ココカラファイン

グループ事業

売上高

376,051

386,845

10,793

2.9

 

セグメント利益

19,347

21,795

2,447

12.7

 

管理サポート

事業

売上高

565,800

636,534

70,734

12.5

 

セグメント利益

5,099

30,259

25,159

493.3

 

調整額

売上高

△563,139

△633,966

△70,827

 

セグメント利益

△3,968

△28,090

△24,122

 

合計

売上高

951,247

1,022,531

71,283

7.5

 

セグメント利益

62,276

75,705

13,428

21.6

 

 

 

 

売上及び仕入の状況は次の通りであります。

① 事業部門別売上状況

当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2023年4月1日
   至 2024年3月31日

金額(百万円)

前期比(%)

マツモトキヨシグループ事業

632,676

110.6

ココカラファイングループ事業

386,818

102.9

管理サポート事業

3,036

94.8

合計

1,022,531

107.5

 

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

② 地区別売上状況

当連結会計年度の売上実績を地区ごとに示すと、次のとおりであります。

地区別

当連結会計年度
(自 2023年4月1日
   至 2024年3月31日

金額(百万円)

前期比(%)

備考

店舗売上

 

 

 

 

北海道・東北エリア

(130店舗)

31,695

105.0

 -

関東エリア

(1,466店舗)

490,547

108.0

  27店増

甲信越・北陸エリア

(242店舗)

58,352

101.9

 - 

東海エリア

(319店舗)

70,238

102.4

 1店減

関西エリア

(731店舗)

208,707

109.6

  17店増

中国・四国エリア

(217店舗)

44,685

101.3

 2店増

九州・沖縄エリア

(280店舗)

66,064

110.6

 5店増

海外エリア

(23店舗)

4,629

120.4

 2店増

合計

(3,408店舗)

974,922

107.3

  52店増

 

(注)1.地区別売上状況は管理サポート事業を除いております。また、上記の金額には営業収入(テナントからの受取家賃及びフランチャイジーからのロイヤルティ収入等)は含まれておりません。

2.店舗数は2024年3月31日現在であります。

 

 

③ 商品別売上状況

当連結会計年度の売上実績を商品グループごとに示すと、次のとおりであります。

商品グループ別

当連結会計年度
(自 2023年4月1日
  至 2024年3月31日

金額(百万円)

前期比(%)

店舗売上

 

 

医薬品

361,892

108.2

化粧品

331,387

111.3

日用品

193,052

100.2

食品

88,590

105.7

合計

974,922

107.3

 

(注)1.当連結会計年度より、商品別名称を統一することを目的として、従来「雑貨」としておりました名称を「日用品」に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。

2.商品別売上状況は管理サポート事業を除いております。また、上記の金額には営業収入(テナントからの受取家賃及びフランチャイジーからのロイヤルティ収入等)は含まれておりません。

 

④ 主要顧客別売上状況

該当事項はありません。

 

⑤ 商品別仕入状況

当連結会計年度の仕入実績を商品グループごとに示すと、次のとおりであります。

商品グループ別

当連結会計年度
(自 2023年4月1日
  至 2024年3月31日

金額(百万円)

前期比(%)

店舗仕入

 

 

医薬品

210,493

107.6

化粧品

226,717

115.0

日用品

141,409

106.1

食品

79,044

110.0

合計

657,663

110.0

 

(注)1.当連結会計年度より、商品別名称を統一することを目的として、従来「雑貨」としておりました名称を「日用品」に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。

2.商品別仕入状況は管理サポート事業を除いております。

 

(2)財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて366億15百万円増加して7,247億47百万円となりました。これは主にのれんが73億87百万円減少したものの、現金及び預金が224億95百万円、売掛金が62億77百万円、未収還付法人税等が33億43百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

負債につきましては、41億56百万円増加して2,095億70百万円となりました。これは主に退職給付に係る負債が55億2百万円減少したものの、買掛金が36億40百万円、未払法人税等が31億4百万円、その他の固定負債が22億56百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

純資産につきましては、324億58百万円増加して5,151億76百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が36億77百万円減少、自己株式が32億57百万円増加したことによる純資産の減少があったものの、利益剰余金が390億96百万円増加したこと等によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,177億20百万円となり、前連結会計年度末と比較して224億95百万円増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、635億6百万円(前期は640億61百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益812億46百万円の計上等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、227億60百万円(前期は196億69百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出132億9百万円、無形固定資産の取得による支出69億4百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、182億73百万円(前期は237億34百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払による支出132億52百万円、自己株式の取得による支出36億89百万円等によるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資に充当しております。

 

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績」に記載のとおりであります。

・経営成績に重要な影響を与える要因

「3 事業等のリスク 」に記載のとおりであります。

・セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。  

・資本の財源及び資金の流動性

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。