第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」を標榜し、社会資本の整備を責務として事業を展開しております。当社グループにおいてはこの考え方をもとに、道路建設を主軸に土木、水利・環境、舗装資材の製造販売等の事業領域を確保し、社会基盤整備の担い手として、健全な発展と存続を目指しております。

 

(2) 中期経営計画(2021‐2023年度)の総括

『2030年のあるべき姿』に向けた第1フェーズとなる「中期経営計画(2021‐2023年度)」では、「真に強靭な企業グループへ」の基本方針のもと、本業のさらなる競争力強化による安定収益の拡大につとめるとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するべく、各種施策を推進してまいりました。計画最終年度となった2023年度の業績につきましては、社会経済環境の不確実性が高まるなか、資源・エネルギー価格の上昇等によるコスト増加をすべて転嫁・吸収するには至らず、利益の面においては目標未達となりましたが、受注高の成長は当初の計画を上回り、また、資本収益性につきましても、ROEは当社が認識する株主資本コスト(5.5~6.5%)を上回る水準まで回復するなど、収益基盤の底上げ、株主価値改善の取り組みは着実に進捗しているものと捉えております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題等

道路建設業界におきましては、防災・減災、国土強靭化に関する施策が推進されるなかで、建設投資は底堅く推移することが期待されますが、一方では、人件費をはじめとしたコストの上昇や将来の担い手不足などといった多くの課題が顕在化しており、企業として健全に存続し、持続的に成長するためには、競争力の維持・向上は勿論のこと、サステナビリティを巡る課題への取り組みが必要不可欠となっております。

当社は、本年5月、長期ビジョン『2030年のあるべき姿』=「人の成長と企業の成長を両立し持続可能な社会の実現に貢献する真に強靭な企業グループ」の実現に向けた第2フェーズとなる新たな「中期経営計画(2024-2026年度)」を策定いたしました。

本計画については、「『2030年のあるべき姿』の実現に向け加速」するフェーズとして、成長を実現しながら、さらに持続的成長に向けた種を仕込んでいく期間と位置付けております。

当社グループでは、気候変動、人口減少等の社会課題を踏まえたサステナブル経営の推進も含め、本業の収益拡大・成長基盤の確立、将来の成長ドライバー創出(獲得)といった本フェーズの主要課題に全社を挙げて取り組み、引き続き、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」として、持続的な成長と中長期的な企業価値、株主価値の向上を目指し、変革を推し進めてまいります。

 

 

 (長期ビジョンおよび中期経営計画の概要)

①長期ビジョン『2030年のあるべき姿』

「人の成長と企業の成長を両立し 持続可能な社会の実現に貢献する 真に強靭な企業グループ」

 

□ 当社にとって最も重要な経営資源は「人」である。

  従業員エンゲージメントの高い企業風土のもと、充実した教育体制により磨き上げられた従業員一人ひとりが実力を遺憾なく発揮することで、企業をさらに成長させていく。

□ コロナ禍、自然災害等、予測不能な事態が頻発するなか、何かに備えるのではなく、基礎体力・危機対応力を向上させ「真の強靭化」を果たすことで、自らが持続可能な存在となる。

□ 有事・平時を問わず、生活基盤創造企業として期待される責務を誠実に果たし続けることにより、持続可能な社会の実現に貢献する。

 

 

「基本方針」

1.安定収益の拡大

当社は、道路舗装を主とした建設事業および舗装資材製造販売事業において、近年、一定の利益を確保するに至ったが、これら本業における技術と経験を磨き上げ、さらなる競争力強化に努め、安定収益を拡大する。

2.収益源の多様化

当社の事業は、国内道路建設市場の動向に大きく影響を受けるため、既存事業の領域拡大、さらには新たな事業分野の開拓も視野に入れ、収益源の多様化に挑戦し、環境変化に強い企業体質づくりを推進する。

3.人を基軸とした経営の実践

競争力の源泉である「人」の育成コストを経費ではなく「投資」と捉え、人材の成長に取り組むとともに、多様な人材を確保し、活躍の場を提供することにより、当社グループの組織力向上を図る。

4.新しい働き方の確立

長時間労働の是正はもとより、職場環境の再整備、デジタル化による業務プロセス改善等を図り、従業員のワークライフバランスと、組織の生産性向上を両立させる新しい働き方を確立、定着させる。

5.経営・財務基盤の充実

コーポレートガバナンスのさらなる改善やリスクマネジメントの強化、コンプライアンス重視の企業風土醸成等に継続的に取り組むとともに、財務健全性の確保および安定的な株主還元に努め、強靭で健全な経営・財務基盤を構築する。

 

『2030年のあるべき姿』重要業績評価指標(KPI)[連結]

項 目

2030年度目標

(2021年5月策定時)

2030年度目標

(2024年5月更新)

売上高

1,000億円

1,100億円

営業利益

80億円

80億円

当期純利益

50億円

50億円

ROE

10.0%

10.0%

自己資本

500億円

総資産

1,000億円

自己資本比率

50.0%

50%程度

 

 

②中期経営計画(2024-2026年度)

「個別戦略・重点施策」

1. 本業のさらなる競争力強化による安定収益の拡大

(建設事業)

・施工実績の蓄積と対応体制の強化(国交省・高速道路会社発注工事)

・インフラ老朽化対策、防災・減災分野、再生可能エネルギー事業への営業展開強化

(舗装資材製造販売事業)

・販売量確保に向けた地域戦略

・低環境負荷商品の販売強化(常温合材販売の事業基盤強化)

・優位性確保および環境対策を目的とした設備投資計画の実施

(技術開発)

低炭素アスファルト混合物によるCO2低減技術など社会環境の変化を見据えた技術開発および高度な技術提案

 

2. 事業領域の拡大、新たな事業分野開拓への挑戦

(社会インフラ整備における新しい技術と価値の提供)

・道路インフラの長寿命化

・リサイクル技術等環境関連技術の拡充

(道路等包括的民間委託への取り組み継続)

・発注者の抱える課題解決に向けた「事業モデル」の創出

・道路の点検・診断技術等のブラッシュアップ

(海外事業展開を含めた事業領域の拡大)

・既存事業とのシナジーや事業領域・マーケットの拡大につながるM&A・提携等の推進

・新たな事業分野開拓に向けた成長戦略の推進

 

3. 人材の「採用・定着・育成」における好循環の創出

(積極的なD&Iの推進・エンゲージメント向上)

・ダイバーシティ採用の推進および教育機関との結びつき強化による採用体制の強化

・働きやすく働きがいのある「魅力ある職場づくり」を推進することによるエンゲージメントの向上

(多様化する人材の能力向上)

・多様化する人材に応じた柔軟なキャリア形成の推進および教育体系の充実化

 

4. 生産性向上に資する新しい働き方の確立

(生産性の向上と業務効率化)

・ICTの積極活用と業務のデジタル化および分業の加速

(AI×人材=労働生産性向上)

・働き手を支え、働き方を変えるAIの導入

・社内業務の軽減

 

5. 強靭で健全な経営・財務基盤の構築

(ステークホルダーからの信用・信頼の回復)

・独占禁止法違反再発防止策の完全実施、その他法令順守の徹底

(コーポレートガバナンスの強化)

・非財務情報を含む情報開示のさらなる充実

・サステナブル経営の推進(マテリアリティへの取り組みの展開)

 

 

「財務資本戦略」

1. 持続可能な事業基盤構築に向けた継続的・戦略的投資の実施

2. 財務健全性と資本効率のバランスに配慮したBSのコントロール

3. DOE基準による、安定的かつ積極的な株主還元

 

「サステナブル重要テーマ(マテリアリティ)への取り組み」

<『2030年のあるべき姿』の実現に向け目指す姿>

(環境保全)

・事業活動を通じた負荷低減、事業活動における負荷抑制の両面で環境に貢献

(インフラ)

・すべての人が安心・安全・快適に利用できるインフラの整備に貢献

(自然災害)

・災害発生時の復旧・復興工事を通じ、地域の経済活動・生活再建に貢献

(地域住民)

・良き企業市民、地域社会の一員として、より良い生活環境の実現に貢献

(働きがい)

・誰もが働きやすい環境の構築、担い手を惹きつける企業への変革

(ガバナンス・コンプライアンス)

・当社グループにとって最良のガバナンスを追求

・コンプライアンス経営の推進により信頼を取り戻す

 

中期経営計画(2024-2026年度)主要経営指標[連結]

項 目

2026年度計画

2024年度予想値

売上高

1,000億円

969億円

営業利益

60億円

55億円

当期純利益

40億円

37億円

ROE

9.5%

自己資本比率

50%程度

 

 

文中における見通し、予想等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、様々な不確定要素が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティを巡る課題への対応に関する基本的な考え方

当社グループではサステナビリティについての取り組みを重要な課題と認識しており、世紀東急工業コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて「当社は、社会資本整備の一端を担う企業として、サステナビリティを巡る課題への対応について、リスクの減少および収益機会の両面から、その重要性を認識し、これらの課題に対する積極的・能動的な取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めるものとする。」と定めております。

 

(2) ガバナンス

サステナビリティ関連のリスクおよび機会に関する取締役会の監督体制

取締役会では、長期ビジョンを策定する過程において、その他のリスク・機会とあわせて、サステナビリティに関するリスク・機会とその対応策などについて審議を行い、その内容は、当社グループの「2030年のあるべき姿」、「マテリアリティ」および「中期経営計画」に反映されております。

気候変動、人的資本関連を含むサステナビリティ課題への対応に関し、重要事項については取締役会に報告されており、当社グループのサステナビリティへの対応状況を監督しております。

 

サステナビリティ関連のリスクおよび機会の評価・管理における経営陣の役割

当社におけるリスク管理は、管理本部担当役員をリスク管理総括管理者、取締役社長を最終的な責任者としております。

また、当社では、サステナビリティに関する方針策定、目標設定、取組の推進などを行う組織として、サステナブル経営戦略プロジェクト、ダイバーシティ推進プロジェクトを設置しております。両プロジェクトは取締役社長直下の組織として設置され、適宜、プロジェクトの取り組み状況を取締役会に報告し、監督を受けております。

なお、気候関連を含む環境全般への対応については、取締役社長が委員長を務め、環境マネジメントシステム総括管理責任者である事業推進本部担当役員ほか数名が委員を構成する環境対策委員会において審議され、必要に応じ、経営資源の投入や環境施策の追加・修正について指示を行うとともに、重要事項については取締役会に報告されております。

 

(3) リスク管理

サステナビリティ関連を含む全社的なリスクおよび機会については、通常の事業活動のなかで、それぞれの所管部署において検討・管理されており、必要に応じ、リスク管理総括管理者を委員長、内部監査の機能を有する内部統制推進部を事務局としてリスク管理委員会を組成することで、実効性あるリスク管理体制を構築・運用しております。

なお、特に重要なリスクおよびその対応策に関しては、取締役会に報告されており、サステナビリティ関連の対応に関しても、こうしたリスク管理のプロセスに組み込まれております。

 

(4) 戦略

リスクおよび機会

サステナビリティ関連を含むリスクおよび機会については、長期ビジョンおよび中期経営計画を策定する過程において、その他のリスクおよび機会とともに外部環境および内部資源として分析・検討を行い、その概要について公表しております。

 

マテリアリティ

当社では、長期ビジョン『2030年のあるべき姿』策定に際し、中長期的な時間軸での将来の社会の姿、当社のビジネスモデル、当社の強み・弱み・リスク・機会、当社および社会における重要性等を勘案しつつ、あらためて「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立に向けた重要課題を体系的に整理し、長期ビジョンと一体不可分のものとしてサステナブル重要テーマ(マテリアリティ)を特定し、公表いたしました。

2030年に向けて目指す姿を明確にし、各種の課題に取り組むとともに、気候変動関連を含むサステナビリティに関するリスクおよび機会を考慮した、人的資本、知的資産、設備・施設、M&A等への投資を戦略的に進めています。

なお、中期経営計画(2024-2026年度)においては、個別戦略との両輪と位置づけ、計画に組み込み、経営戦略との統合を図っております。

 

人的資本に関する事項

イ. 人的資本への投資

当社グループにおいて、人材は価値創造の源泉であり、長期ビジョンにおいても、「本業における技術と経験を磨き上げ、競争力強化に努める」旨、「人を基軸とした経営の実践」、「新しい働き方の確立」を、基本方針として明示いたしております。

人的資本への投資については、人材の確保育成に向けた費用を、コストではなく投資と捉え、役職員の能力向上、職場環境・住環境の改善、従業員の処遇見直し、採用活動の強化等への取り組みを積極的に推進しております。

ロ. 多様性の確保に向けた考え方

当社では、多様なバックグラウンドを持つ人々の雇用促進は、将来にわたり人材を確保し価値を創造していくためには欠かすことができない課題と捉え、女性、外国人、社会人経験者を積極的に採用するとともに、ジェンダーや年齢、国籍に関係なく、個人の違いをお互いに認め尊重し合う風土を醸成し、社員一人ひとりが、能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めております。

また、管理職等の登用に関しても同様の考え方に立ち、従前よりジェンダーや国籍、新卒採用・中途採用の別に関係なく、公正な評価に基づき人物・能力本位で行っております。

ハ. 人材育成方針・社内環境整備方針(長期ビジョン等において明示する方針(主なもの))

長期ビジョン『2030年のあるべき姿』、中期経営計画(2024-2026年度)、世紀東急工業グループコンプライアンス行動規範および世紀東急工業コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて次のとおり、方針を明示しております。

■『2030年のあるべき姿』(長期ビジョン)

(長期ビジョン)

人の成長と企業の成長を両立し持続可能な社会の実現に貢献する真に強靭な企業グループ

◇当社にとって最も重要な経営資源は「人」である。従業員エンゲージメントの高い企業風土のもと、充実した教育体制により磨き上げられた従業員一人ひとりが実力を遺憾なく発揮することで、企業をさらに成長させていく。

(基本方針3.人を基軸とした経営の実践)

競争力の源泉である「人」の育成コストを経費ではなく「投資」と捉え、人材の成長に取り組むとともに、多様な人材を確保し、活躍の場を提供することにより、当社グループの組織力向上を図る。

(基本方針4.新しい働き方の確立)

長時間労働の是正はもとより、職場環境の再整備、デジタル化による業務プロセス改善等を図り、従業員のワークライフバランスと、組織の生産性向上を両立させる新しい働き方を確立、定着させる。

 

■中期経営計画(2024-2026年度)

(個別戦略3:人材の「採用・定着・育成」における好循環の創出)

1. ダイバーシティ採用の推進および教育機関との結びつき強化による採用体制の強化

2. 働きやすく働きがいのある「魅力ある職場づくり」を推進することによるエンゲージメントの向上

3. 多様化する人材に応じた柔軟なキャリア形成の推進および教育体系の充実化

(個別戦略4:生産性向上に資する新しい働き方の確立)

1. ICTの積極活用と業務のデジタル化および分業の加速

2. 働き手を支え、働き方を変えるAIの導入

3. 社内業務の軽減

■世紀東急工業グループコンプライアンス行動規範

(行動規範①)

業務の遂行にあたり、安全が全てに優先することを認識する。

(行動規範⑨)

健全かつ良好な職場環境を整備し、維持する。

■世紀東急工業コーポレートガバナンス・ガイドライン

(多様性の確保)

当社は、異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保するうえでの強みとなり得ると認識し、女性の活躍促進を含む人材の多様性の確保に向けた諸施策を推進するものとする。

 

気候変動に関する事項

イ. 気候変動下におけるレジリエンス

当社グループは「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」という企業理念のもと、社会に対する永続的な価値の提供と、中長期的な企業価値の向上を目指しています。深刻化する自然災害などが社会に大きな不安を与えるなかで、気候変動関連をはじめとするサステナビリティを巡る課題の解決に取り組み、当社グループのレジリエンス、さらには社会全体のレジリエンスを高めていくことは、企業理念の実現につながるとともに、持続可能な社会の実現にも貢献し得るものと考えております。

ロ. シナリオ分析

当社グループでは、気候変動に起因する事業への影響を考察し、経営計画の戦略立案・検討に反映させるため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等の公開情報を参照し、下記の気候変動シナリオを用いて分析を行っており、定性・定量の両面からリスクと機会を考察し、その対応について検討しております。

(4℃シナリオ) :現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される。

(1.5℃シナリオ):脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される。

 

シナリオの概要

 

4℃シナリオ

(IEA:STEPS/IPCC:SSP5-8.5シナリオ等)

1.5℃(2℃未満)シナリオ

(IEA:NZE/IPPC:SSP1-1.9シナリオ等)

・2100年時点の気温上昇は、産業革命時期比4.4℃を

 想定。

 

・夏季の労働生産性の低下により工期が長期化し利益

 率が低下、また作業者の健康リスクが増加

 

・異常気象の激甚化の進行により工場、事務所、施工

 現場における物理的リスクが増加

 

・物理的リスクの顕在化や対策意識の高まりにより、

 防災・減災工事へのインフラ投資が増加

・2100年時点の気温上昇は、産業革命時期比1.5℃以

 下に抑えられる。

 

・炭素価格等のコスト増加により企業収益に影響、

 建設コスト上昇で工事発注量への影響も懸念

 

・太陽光発電をはじめ再エネ発電に関連するインフ

 ラ投資のさらなる増加

 

・需要家の意識や行動変容に伴い、低炭素化・脱炭

 素化にかかる技術力は勿論、企業としての取り組

 みも競争優位に影響

 

・中期的には4℃シナリオと同等の物理的リスク及び

 それに関連する機会が想定される(2030年時点で

 は、気温上昇ペースは、ほぼ同等。)

 

 

リスク、機会および対応策の概要

 

区分

影響する変化

(主なもの)

時間軸

事業

インパクト

(財務的影響度

[2030年度])

対応中、または今後対応するもの

4℃

1.5℃

移行

リスク

カーボンプライシング導入=コスト増加

(中・長)

SBTに基づくGHGガス排出量削減への取組

エネルギー・資材等の価格上昇

(中・長)

燃料転換、代替アスファルト等の研究開発

顧客等ステークホルダーの評価軸変化

(中・長)

CNに資する技術開発および製品・施工の提供、情報開示

物理的

リスク

自然災害(直接被害、工期遅延、工場操業停止等)

(短・中・長)

BCP等による工場・事業所のレジリエンス強化

夏季の気温上昇による健康リスク、

労働生産性低下

(短・中・長)

熱中症対策など労働環境の改善

施工の省力化・無人化、生産性向上技術の開発

機会

国土強靭化・再生可能エネルギー関連等のインフラ投資拡大

(短・中・長)

道路整備の効率化・長寿命化を実現する技術・サービス開発

再エネ関連インフラ整備需要への営業強化

低炭素化・脱炭素化技術のニーズ拡大

(短・中・長)

ニーズを捉えた製品・サービスの開発・提供

 

※IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等の公開情報等に基づく4℃および1.5℃

 (一部2℃)シナリオを描き、短期(~2026年:中期経営計画(2024-2026)最終年度)・中期(2030年頃)・

 長期(2050年頃)の時間軸で想定される移行面および物理面のリスク・機会を特定し、事業インパクトおよ

 び財務的影響度を大・中・小の3段階で評価。

 

(想定されるリスクへの対応)

特に大きな財務的影響が想定されるリスク項目としては、1.5℃シナリオ下のカーボンプライシング導入によるコスト上昇があげられます。リスクを軽減するため、2022年8月にSBT認定を受けたGHG排出量削減目標の達成に向け、各種取り組みを進めております。

物理的リスクに関しては、気温上昇による労働生産性の低下や健康リスクの増加が懸念されますが、ICT施工の高度化・DXによる施工の省人化・自動化・遠隔化、生産性向上技術の研究開発を推進するなど、担い手不足への対応と合わせ、影響緩和に向けた取り組みを進めております。

(想定される機会への対応)

社会全体が気候変動への対応に取り組むなか、カーボンニュートラルや気候変動下における社会のレジリエンスに貢献する技術、製品、サービスの需要は、今後さらに拡大していくものと想定されます。当社グループにおいても、再生可能エネルギー関連のインフラ整備や道路等社会インフラの長寿命化・脱炭素化といった市場のニーズを的確に捉え、事業機会の拡大につなげていきたいと考えております。

 

ハ. 当社グループの取り組み

当社グループでは、従前より、全国のアスファルト合材工場において運用改善により製造効率・燃費の向上に取り組むとともに、「ZEB Ready」の評価認証を受けた本社ビルをはじめ各事業所・工場にて、太陽光発電パネル、高性能バーナー、LED等、省エネ設備の導入を進め、燃料や電気の使用量削減に努めています。

引き続き、全社を挙げて省エネルギー化の取り組みを推進するほか、特に自社排出の約8割を占める舗装資材製造販売事業における削減にあたっては、計画的な設備の更新に加え、重油からの燃料転換、再生可能エネルギーの活用等も検討しながら、削減目標の達成を目指してまいります。

 

(5) 指標及び目標

人的資本に関する事項

イ. 多様性の確保等に関する自主的かつ測定可能な目標

■長期ビジョンおよび中期経営計画

(新卒採用(総合職)における女性比率)

・2023年度(実績):13.9% 2026年度(目標):20% 2030年度(目標):20%

(総合職における女性社員数)

・2023年度(実績):65名 2026年度(目標):100名 2030年度(目標):140名

(管理職における女性社員数)

・2023年度(実績):4名 2026年度(目標):5名 2030年度(目標):7名

なお、当社では現在、本格的にグローバルな事業展開を行っておらず、外国籍の職員数も少数にとどまることから、外国人の管理職登用に関する目標は定めておりません。

また、中途採用者に関しては、従前より人物・能力本位で登用が行われ、採用時期によって特段の差が生じているとは認識していないため、あえて区分することにより生じうる懸念も考慮し、同様に、管理職登用に関する目標は定めておりません。

■「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」(2024.4-2026.3)

(目標1)

男女間の勤続年数の差を1年縮める。

(目標2)

総合職女性採用比率を20%以上とする。

ロ. 働きがい、働きやすさの向上に関する自主的かつ測定可能な目標

■長期ビジョンおよび中期経営計画

(従業員エンゲージメントスコア)

・2023年度(実績):B 2026年度(目標):BB以上 2030年度(目標):A以上

(有給休暇取得率)

・2023年度(実績):61.0% 2026年度(目標):70% 2030年度(目標):70%

(男性育児休暇取得率)

・2023年度(実績):55.6% 2026年度(目標):85% 2030年度(目標):85%

 

(注) 連結子会社においては、関連する指標のデータ管理が行われていないため、当社単体の指標、目標および実績を記載しております。

 

気候変動に関する事項

当社は、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減に向けて以下の目標を設定し、2022年8月にSBT認定を取得しました。なお、排出量削減の進捗状況につきましては、当社統合報告書において公表しております。

 

 

2020年度

排出量(t)

2030年度までの10年間の削減目標

2022年度

排出量(t)

スコープ1

50,751

スコープ1、スコープ2の排出量合計を、年平均4.2%、2030年度までの10年で42%削減する。(1.5℃水準)

47,472

スコープ2

12,405

8,717

スコープ3

 

(カテゴリー1)

419,722

 

(356,629)

カテゴリー1に分類される「購入した製品やサービスに係る排出量」を年平均2.5%、2030年度までの10年で25%削減する。(WellBelow2℃水準)

368,749

 

(305,767)

 

なお、削減目標の達成に向けた具体的な取り組みについては、現在、前出のサステナブル経営戦略プロジェクトを中心に検討を進めているところです。

 

 

③ その他の事項

当社では、サステナブル重要テーマ(マテリアリティ)に関するその他の取り組みとして、以下の目標を設定しております。

■長期ビジョンおよび中期経営計画

(建設廃棄物のリサイクル率)

・2022年度(実績):96.2% 2026年度(目標):98.0% 2030年度(目標):98.0%

(工事成績評点(対象年度平均))

・2022年度(実績):79.0点 2026年度(目標):80点 2030年度(目標):80点

(役職員の安否確認訓練回答率(但し、訓練開始後、就業期間中:3時間以内、就業時間外:6時間以内))

・2023年度(実績):55.8% 2026年度(目標):90% 2030年度(目標):90%

(コンプライアンス研修参加率)

・2023年度(実績):100% 2026年度(目標):100% 2030年度(目標):100%

 

(注) 連結子会社においては、関連する指標のデータ管理が行われていないため、当社単体の指標、目標および実績を記載しております。

 

上記のほか、サステナビリティに関する考え方および取り組みに関する事項につきましては、その概要を統合報告書(https://www.seikitokyu.co.jp/sustainability/)において公表いたしております。

 

 

文中における見通し、予想等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、様々な不確定要素が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済情勢について

当社グループの事業内容のうち、主要な部分を占める建設事業および舗装資材製造販売事業の業績は、公共工事の発注動向に大きく影響されます。したがいまして、公共事業費の過度の縮減傾向は、当社グループの収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、同様の理由から取引先の経営状態が悪化した場合、貸倒れの発生等により当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 資材価格の変動について

当社グループで製造する舗装資材の主要な原材料はストレートアスファルトであり、原材料の仕入値は原油市場の動向に大きく左右されます。仕入価格の上昇を製品価格に転嫁できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、急激な需要動向の変化に伴う需給逼迫、あるいは為替の変動により資機材価格が上昇する可能性があるほか、建設事業につきましても同様に、資機材価格の高騰により利益率が低下する可能性があります。

 

(3) 法規制等について

当社グループは事業を遂行するうえで、建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等による法的規制等を受けております。当社グループでは、各種マニュアルの策定、教育・研修および内部監査の実施等により、これらの法的規制等の順守に努めておりますが、コスト増加や事業上の新たな制約につながる法的規制の新設や改廃、適用基準の変更等があった場合、または法的規制による行政処分等を受けた場合には、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 契約不適合責任について

品質管理につきましては、品質保証に関する国際規格の認証を取得するなど、重要課題として取り組んでおりますが、当社グループの施工物件に契約不適合責任が発生した場合には、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) シンジケートローンならびに金利の変動について

当社は安定的な金融取引体制の構築を目的として、金融機関数社との間にシンジケートローン契約を締結いたしておりますが、本契約には一定の財務制限条項が付されており、これらの条件に抵触した場合には期限の利益を喪失し、一括返済を求められる可能性があります。

また、本契約による借入金残高は全て変動金利によるものであり、将来の金利情勢の動向により当社グループの経営成績が変動する可能性があります。

 

(6) 関係会社等に関する重要事項について

当社は、その他の関係会社である東急株式会社および東急建設株式会社をはじめとする東急グループ各社との間で、工事受注等の取引を継続的に行っております。

 

(7) 国際事業の展開に伴うリスクについて

国際事業を展開するうえで、海外諸国の政治・経済情勢、為替や法的規制等、事業環境に著しい変化が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(8) 感染症等の拡大に係るリスクについて

感染症等の拡大により、建設事業における工事の中止や、舗装資材製造販売事業における工場の操業停止を余儀なくされる事態に至った場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、工事の発注状況に大きな変動が生じた場合にも、(1)と同様の理由により悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調を辿りましたが、物価高や地政学リスクの高まりにより、次第に先行き不透明感の強まる展開となりました。

 道路建設業界におきましては、公共投資、民間設備投資ともに底堅く推移したものの、円安や原油高の影響により、主要材料であるアスファルトの仕入価格が高止まりするなど、コスト上昇が収益を圧迫しており、依然として予断を許さない事業環境となりました。

 このような情勢のもと、当社グループでは、『2030年のあるべき姿』を示す長期ビジョンおよびその第1フェーズとなる「中期経営計画(2021-2023年度)」に基づき、本業のさらなる競争力強化による安定収益の拡大に努めるとともに、「真に強靭な企業グループへ」と進化を遂げ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するべく、各種施策を推進してまいりました。

 当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、受注高(製品売上高およびその他の事業売上高を含む)は95,914百万円(前連結会計年度比4.0%増)、売上高は88,037百万円(同4.7%減)、経常利益は4,078百万円(同54.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,740百万円(同143.2%増)となりました。なお、当連結会計年度は「中期経営計画(2021-2023年度)」の最終年度でありましたが、工事受注は堅調であった一方で、コストの増加や大型工事における進捗の遅れ等が影響し、主要経営指標として掲げた売上・利益目標の達成には至りませんでした。

 

 セグメントの概況を示すと、次の通りであります。

 なお、完成工事高、売上高および営業利益(セグメント利益)については、セグメント間の内部取引高等を含めた調整前の金額をそれぞれ記載しております。

 

「建設事業」

 当連結会計年度の業績につきましては、受注高は78,189百万円(前連結会計年度比4.9%増)、完成工事高は70,311百万円(同5.9%減)、営業利益は5,563百万円(同0.4%増)となりました。

 

「舗装資材製造販売事業」

 当連結会計年度の業績につきましては、製品売上高は31,384百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業利益は1,841百万円(同208.9%増)となりました。

 

「その他」

 当社グループでは、建設事業および舗装資材製造販売事業のほか、売電事業等を営んでおり、その他の事業における売上高は953百万円(前連結会計年度比6.4%増)、営業利益は172百万円(同2.5%増)となりました。

 

 

② 財政状態について

「資産の状況」

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較し2,719百万円減少の76,042百万円となりました。現金預金が増加する一方、売上債権が減少したことなどにより流動資産は2,838百万円の減少となりましたが、有形固定資産の増加などにより固定資産は119百万円の増加となりました。

 

「負債の状況」

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較し3,592百万円減少の35,509百万円となりました。仕入債務が減少したことなどにより流動負債は2,451百万円の減少となり、また、退職給付に係る負債の減少などにより固定負債は1,141百万円の減少となりました。

 

「純資産の状況」

当連結会計年度末の純資産合計は、配当金2,734百万円の支払などの減少要因はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益2,740百万円の計上や退職給付に係る調整累計額の増加などにより、前連結会計年度末と比較し873百万円増加の40,533百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

「営業活動によるキャッシュ・フロー」

 当連結会計年度におきましては、税金等調整前当期純利益4,025百万円の計上に減価償却費等の非資金項目や営業活動に係る債権・債務を加減算した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、10,949百万円の資金増加(前年同期は2,380百万円の資金増加)となりました。

 

「投資活動によるキャッシュ・フロー」

 当連結会計年度におきましては、アスファルト合材工場の設備更新や施工機械の取得、事務所の建替えに伴う支出などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは2,873百万円の資金減少(前年同期は5,028百万円の資金減少)となりました。

 

「財務活動によるキャッシュ・フロー」

 当連結会計年度におきましては、配当金の支払や長期借入金の返済による支出などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは2,823百万円の資金減少(前年同期は2,022百万円の資金減少)となりました。

 

以上に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度の期末残高と比べ5,267百万円増加し、13,440百万円となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

イ. 受注実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業

アスファルト舗装

57,243

8.5

コンクリート舗装

1,126

△24.2

土木工事等

19,818

△2.3

78,189

4.9

舗装資材製造販売事業

17,637

0.1

その他

88

△12.5

合計

95,914

4.0

 

(注) セグメント間の内部取引については相殺消去しております。

 

ロ. 売上実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業

アスファルト舗装

52,114

△7.9

コンクリート舗装

1,257

17.0

土木工事等

16,939

△0.8

70,311

△5.9

舗装資材製造販売事業

17,637

0.1

その他

88

△12.5

合計

88,037

△4.7

 

(注) 1 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

2 主要相手先別売上状況

    総売上高に対する割合が100分の10以上に該当する相手先は次のとおりであります。

 前連結会計年度

該当する相手先はありません。

 当連結会計年度

該当する相手先はありません。

3 セグメント間の内部取引については相殺消去しております。

 

 

ハ. 建設事業における受注工事高、完成工事高及び繰越工事高

 

期別

工種別

前期繰越工事高
(百万円)

当期受注工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成工事高
(百万円)

次期繰越工事高(百万円)

前連結会計年度

 

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

アスファルト舗装

26,195

52,778

78,974

56,557

22,417

コンクリート舗装

325

1,485

1,811

1,075

736

土木工事等

10,017

20,282

30,299

17,067

13,231

36,538

74,546

111,085

74,700

36,384

当連結会計年度

 

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

アスファルト舗装

22,417

57,243

79,660

52,114

27,546

コンクリート舗装

736

1,126

1,863

1,257

605

土木工事等

13,231

19,818

33,049

16,939

16,110

36,384

78,189

114,573

70,311

44,261

 

(注) 1 前期以前に受注した工事で契約の更改等により請負金額や工種に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。

2 次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致します。

 

なお、参考のため提出会社単独の事業の状況を次に示しております。

(建設事業)

a. 受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は特命と競争入札に大別されます。

 

期別

区分

特命(%)

競争入札(%)

合計(%)

前事業年度

 

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

アスファルト舗装

56.7

43.3

100.0

コンクリート舗装

46.7

53.3

100.0

土木工事等

76.8

23.2

100.0

当事業年度

 

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

アスファルト舗装

55.2

44.8

100.0

コンクリート舗装

34.0

66.0

100.0

土木工事等

72.2

27.8

100.0

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

 

b. 完成工事高

 

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

前事業年度

 

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

アスファルト舗装

22,773

28,890

51,663

コンクリート舗装

505

569

1,075

土木工事等

4,732

12,335

17,067

28,011

41,795

69,806

当事業年度

 

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

アスファルト舗装

19,371

28,019

47,391

コンクリート舗装

731

526

1,257

土木工事等

3,912

13,026

16,939

24,015

41,573

65,588

 

 

前事業年度の完成工事のうち主なものは次のとおりであります。

 

工事名称

発注者

札樽自動車道発寒高架橋床版防水工事

東日本高速道路株式会社

補助72号線および新築建物外周区道工事

東急株式会社・

株式会社東急レクリエーション

大野油坂道路田野地区他舗装他工事

国土交通省近畿地方整備局

中央自動車道駒ヶ岳SA(下り線)舗装改良工事

中日本高速道路株式会社

阪奈高速道路事務所管内舗装補修工事(令和2年度)

西日本高速道路株式会社

 

 

当事業年度の完成工事のうち主なものは次のとおりであります。

 

工事名称

発注者

東北自動車道R4盛岡管内舗装補修工事

東日本高速道路株式会社

東北自動車道宇都宮管理事務所管内舗装補修工事

東日本高速道路株式会社

北陸自動車道(特定更新等)富山管内舗装補修工事(2020年度)

中日本高速道路株式会社

神戸総合運動公園ユニバー記念競技場改修工事

神戸市

令和4年度西条維持出張所管内舗装修繕他工事

国土交通省中国地方整備局

 

 

 

c. 手持工事高(2024年3月31日現在)

 

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

23,638

19,603

43,242

 

 

手持工事のうち主なものは次のとおりであります。

 

工事名称

発注者

完成予定年月

八戸自動車道R5八戸管内舗装補修工事

東日本高速道路株式会社

2025年2月

R5・R6・R7厚木出張所管内維持工事

国土交通省関東地方整備局

2026年3月

東海環状自動車道北勢IC~大安IC間舗装工事

中日本高速道路株式会社

2025年8月

舗装補修大規模修繕工事(2023-4-湾)

阪神高速道路株式会社

2024年10月

令和5年度隼人道路隼人東舗装工事

西日本高速道路株式会社

2025年7月

 

 

(舗装資材製造販売事業)

製造及び販売状況

 

期別

アスファルト合材

その他
売上金額
(百万円)

売上高計
(百万円)

生産実績(千t)

売上数量(千t)

売上金額
(百万円)

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

1,649

1,257

12,811

5,044

17,855

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

1,582

1,213

12,741

5,360

18,101

 

(注) 1 アスファルト合材の生産実績と売上数量との差異は、当社の請負工事に使用した数量であります。

2 その他製品売上金額は、アスファルト乳剤、砕石等の販売による売上高であります。

 

(その他)

売上状況

前事業年度

14百万円

当事業年度

15百万円

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容

① 経営成績について

工事の発注動向が堅調に推移したことにより、受注高は前年実績を上回ったものの、複数の大型工事において本格的な施工の着手時期が翌期に繰越となった影響などにより、売上高は前年実績には及びませんでした。一方で損益面については、コスト上昇の影響を一定程度転嫁・吸収したことや、販売費及び一般管理費の減少などにより、営業利益率に改善が見られたほか、特別利益を計上したことなどにより、前年実績を大きく上回る結果となりました。

当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、受注高(製品売上高およびその他の事業売上高を含む)は95,914百万円(前連結会計年度比4.0%増)、売上高は88,037百万円(同4.7%減)、経常利益は4,078百万円(同54.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,740百万円(同143.2%増)となりました。

 

セグメントの経営成績につきましては、次の通りであります。

「建設事業」

建設事業におきましては、国土交通省や高速道路会社発注の大型工事の受注確保に注力するとともに、事業所の所在する地域顧客への営業も強化するなど、収益の源泉となる受注拡大に努めてまいりました。また、現場における長時間労働の抑制や生産性向上等に関する取り組みも推進してまいりました。

当連結会計年度の業績につきましては、工事の受注が堅調に推移したことなどにより受注高は78,189百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりましたが、大型工事における進捗の遅れ等が影響し、完成工事高は70,311百万円(同5.9%減)となりました。損益面については、資材価格や人件費上昇の影響を吸収し、利益率に若干の改善が見られ、営業利益は5,563百万円(同0.4%増)となりました。

 

「舗装資材製造販売事業」

舗装資材製造販売事業におきましては、原材料価格の高止まりや製品需要の減少傾向が続き、厳しい事業環境となりましたが、適正価格による販売に注力するとともに、設備の更新や拠点の整備・拡充により、製品の付加価値向上や販売数量の確保に努めてまいりました。

当連結会計年度の業績につきましては、製品売上高は31,384百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりましたが、損益面については、製造効率改善の成果に加え、十分とは言えないながらも徐々に製造・運搬に係るコスト上昇分の販売価格への転嫁が進んだことにより、営業利益は1,841百万円(同208.9%増)となりました。

 

「その他」

当社グループでは、建設事業および舗装資材製造販売事業のほか、売電事業等を営んでおり、その他の事業における売上高は953百万円(前連結会計年度比6.4%増)、営業利益は172百万円(同2.5%増)となりました。

 

② 財政状態について

財政状態の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要」に記載のとおりでございます。

当社グループでは、ここ数年、将来の健全な存続と持続的成長に向け、機械装置の更新や施工用機械の取得など事業の根幹を支える投資に注力しておりますが、かかる投資については、主に自己資金により行われており、当連結会計年度末における固定比率につきましては71.3%となっております。

また、当連結会計年度末における純資産合計につきましては、配当金2,734百万円の支払などの減少要因はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益2,740百万円の計上や退職給付に係る調整累計額の増加などにより、前連結会計年度末と比較し873百万円増加の40,533百万円となり、自己資本比率は53.3%となっております。

なお、財政状態については事業全体で管理を行っており、セグメントごとでの記載が困難なため記載しておりません。

 

③ キャッシュ・フローについて

当社グループの資金状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて10,949百万円の資金増加 (前年同期は2,380百万円の資金増加)となり、前連結会計年度と比較し増加額は8,568百万円増加いたしました。

一方、投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、アスファルト合材工場の設備更新や営業所事務所の建替えに伴う支出などにより、2,873百万円の資金減少(前年同期は5,028百万円の資金減少)となりました。

なお、「中期経営計画(2021-2023年度)」における投資計画では、工場・事務所・施工用機械等の維持更新・取得に、3年累計で150億円程度の設備投資を計画しておりましたが、計画期間中における投資活動によるキャッシュ・フローのうち、有形固定資産の取得による支出につきましては、計画1年目は3,516百万円、計画2年目は5,047百万円、計画最終年度となる当連結会計年度は2,933百万円となり、3年累計で11,497百万円の資金の支出となりました。

また、配当金の支払や長期借入金の返済による支出などにより財務活動によるキャッシュ・フローは2,823百万円の資金減少(前年同期は2,022百万円の資金減少)となっております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性について

当社における資金の使途は、大別すると、運転資金、事業投資(設備投資、戦略投資、研究開発、人材投資等)、株主還元となります。運転資金を含む手元資金については、支出先行のビジネスモデル、請負工事の大型化、社会資本整備を担う企業としてあるべき財務健全性等に鑑み、月商の2倍程度の手元流動性は確保すべきであると考えております。

事業投資につきましては、将来の持続的成長を実現するためには、継続的・戦略的な設備投資、技術開発が不可欠であり、当面は、環境負荷低減や生産性向上に向けた事業資産の質的な転換期にあることから、「中期経営計画(2024-2026年度)」期間においては3年累計で、総額105億円程度の設備投資を計画し、さらにM&A等により15億円程度の戦略投資を見込んでおります。

株主還元につきましては、自己資本のコントロールを見据え、積極的な利益還元を行っており、直近では3年連続で総還元性向100%超の還元を実施しております。

なお、財源については、営業活動によるキャッシュ・フローを基本としておりますが、必要に応じ、長期借入、当座借越契約、コミットメントラインなどにより、資金調達あるいは手元流動性を確保することも想定しており、その意味でも、信用格付「BBB+」相当を目安として、財務健全性の維持・向上を図っていく方針です。

また、当社グループでは、グループ内の資金の効率化を図るため、当社と各子会社間における資金融通制度を構築・運用いたしております。

2024年3月末現在における現金及び現金同等物の期末残高は13,440百万円(前連結会計年度末は8,173百万円)、有利子負債残高は6,806百万円(前連結会計年度末は6,906百万円)となっております。

 

⑤ 株主還元方針の変更について

当社では、資本効率の維持・向上を図る観点から、2021年度および2022年度にそれぞれ総額25億円および8億円の自己株式の取得を含む、総還元性向100%を超える株主還元を2年連続して実施しました。また、一層の株主価値向上に向けて資本収益性ならびに資本コストを強く意識し、自己資本をコントロールしていく姿勢を明確にする観点から、2023年度においても配当性向119.7%の株主還元を実施しております。

今般、「中期経営計画(2024-2026年度)」の策定に伴い見直した新たな株主還元方針においては、これまでの考え方を踏襲しつつ、資本効率と財務健全性のバランスを重視しながら、中長期的に安定的かつ積極的な配当を、より透明性をもって実現していくために、指標を「DOE(純資産配当率)」に一本化し、その目標水準を6%と定めました。

なお、計画初年度となる2025年3月期においては諸条件を勘案してDOE8%の目標を継続し、暫定の方針につきましては2025年3月の期末配当をもちまして、すべて終了することといたしております。

 

⑥ 中期経営計画における主要な計画数値について

 「中期経営計画(2021-2023年度)」における主要な経営指標の計画値および実績については以下のとおりです。

 主要経営指標[連結]

項 目

2021年度

実績

2022年度

実績

2023年度

実績

2023年度

計画

売上高

851億円

924億円

880億円

916億円

営業利益

44億円

27億円

41億円

58億円

当期純利益

33億円

11億円

27億円

37億円

ROE

8.1%

2.8%

6.8%

8.6%程度

自己資本

405億円

397億円

405億円

430億円程度

総資産

783億円

788億円

760億円

860億円程度

自己資本比率

51.7%

50.4%

53.3%

50%程度

 

 

⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループを取り巻く環境は、ここ数年で目まぐるしく変化しており、こうした状況において、あらためて、当社グループはもとより社会全体の持続可能性を意識しながら、中長期的な視点・思考をもって経営に取り組むことの重要性を強く認識するところとなっております。

当社グループといたしましては、対処すべき課題(第一部 第2「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)に記載のとおり、長期ビジョンおよび中期経営計画に掲げる各種施策に真摯に取り組み、将来のどのような環境変化にも対応できる「真に強靭な企業グループへ」と進化を遂げ、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」として、社会に対する永続的な価値の提供と、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。

なお、当社の業績に影響を与える可能性のある事項につきましては第一部 第2「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑧ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

文中における見通し、予想等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、様々な不確定要素が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

近年、社会インフラの重要性が再認識されるなか、道路建設業を取り巻く環境も大きく変化しており、舗装に求められる社会からのニーズもより多様化、高度化しております。

このような状況のもと、当社では、カーボンニュートラル、建設DX、道路インフラの長寿命化、生産性向上に重点を置いた開発テーマを選定し、研究開発活動を行っております。

また、国土交通省が実施する「新技術導入促進計画」の技術公募にも積極的に参画し、現場検証を行っております。

当社の研究開発活動は、技術研究所を中心に行われており、当連結会計年度における建設事業および舗装資材製造販売事業の研究開発費は、427百万円となりました。

 

主な研究開発

(1) カーボンニュートラルに資する技術開発

アスファルト混合物およびアスファルトプラントにおけるアスファルト混合物の製造工程に着目し、カーボンニュートラルに取り組んでおります。

アスファルト混合物については、混合物を構成するアスファルト、骨材、フィラーといった既存の素材を天然由来もしくはCO2固着・吸着材料に置き換えることでCO2排出量低減を図るもので、素材を置き換えた混合物の性状確認、効果の検証を進めております。

アスファルトプラントについては、使用燃料の削減技術によるCO2排出量低減について検討を進めております。

 

(2) 代替アスファルトの開発

アスファルトについては、カーボンニュートラルや原油の減産、価格高騰の面から石油アスファルトに替わる新材料が今後必要となることが予想されます。このことから、石油アスファルトを使用しない新規バインダーを研究しております。

現在は、天然アスファルトおよび植物性原料を使用したバインダーによる混合物の試験施工を行い、今後は追跡調査で同混合物の長期耐久性を評価し、あわせて再生利用についての検証を行ってまいります。

 

(3) DX技術の開発

建設業界では生産性向上や慢性的な人手不足、働き方改革への対応として、建設機械の遠隔操作、無人化の取組みが進められています。当社では、舗装工事における中心的な施工機械であるアスファルトフィニッシャの遠隔操作システムを開発しております。現在は、混合物敷均し作業時の遠隔操作を行うことが可能となり、当期は実際の現場で検証を行い各種データの取得を行いました。今後は引き続き現場での検証を行い、最終的には舗設作業の無人化施工を視野に開発を進めてまいります。

 

(4) 道路インフラの長寿命化

直轄国道や高速道路においては、舗装の長寿命化を図る上で路盤以下の耐久性向上が求められており、当社では新たな路盤材料の検討を行っております。

また、コンクリート舗装用のひび割れ補修材「クラックリペア」については、国立研究開発法人土木研究所との共同研究による走行路試験を経て高い耐久性が確認されました。現在はサンプルによる社内の現場での適用性を確認しており、今後はコンクリート舗装用の維持用補修材として販売展開を行ってまいります。