当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは以下の企業理念に基づいて、持続的成長のために、全社的な生産性向上による既存事業の更なる強化や新たな事業分野へ積極的に取り組むことによって収益基盤を強化いたします。また、経営の透明性の確保、企業の社会的責任を果たすことにより企業価値の向上に努めてまいります。
企業理念は社内的な判断や意思決定の拠り所として、また、人事考課や日々の業務に取り入れ、積極的に活用しております。
<企業理念>
(2)経営戦略等
当社は、2024年5月に「中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)」を公表しました。併せて、新たな「ありたい姿」として‟「つなぐ想い」でお客様の未来を創造し、社会に貢献する企業グループへ”を定め、これを実現していくために、事業活動を通じて解決すべき重要課題として5つの「マテリアリティ」を特定しました。
<中期経営計画>
当社は、お客様と深くつながり、その想いを理解することが大切であるという前提のもと、これまでのプロダクトアウトからマーケットインの視点への転換が必要であると考えております。中期経営計画では、成長戦略として「お客様が主役のビジネスへ転換」、「戦略的パートナー企業との協業」、「地域密着で社会課題を解決」の3つを掲げております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)」で掲げた3つの成長戦略を実行するとともに、経営基盤となるコーポレート機能も強化し、中期経営計画期間内において、親会社株主に帰属する当期純利益:100億円以上、ROIC:10%以上の達成を目指してまいります。
中期経営計画初年度となる2025年3月期の通期連結業績予想は、売上高4,184億円(前期比 6.8%減)、営業利益88億円(同9.3%増)、経常利益143億円(同15.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益80億円(同14.1%増)を見込んでおります。
売上高はコンシューマ事業における省令改正および店舗数減少の影響等により減少する見込みですが、成長事業に必要な投資を行いつつ、全社の業務の効率化、人員体制の適正化を図ることにより、営業利益は増益となる見込みです。
なお、当社は2024年5月9日公表の「希望退職募集に関するお知らせ」のとおり、中期経営計画の実行にあたり一層の収益力の向上と経営基盤の強化のため人員構成の適正化を図り、効率的な体制を構築していく必要があることから、希望退職募集を実施することといたしました。本業績予想には、希望退職募集に伴う一時費用約17億円が特別損失に含まれております。
<財務KPI>
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 重要課題
当社グループは、5つのマテリアリティを各事業の戦略策定やビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付けております。全ての事業活動を通じて、社会が抱える課題を解決するために、各マテリアリティの小項目にKPIを設け、グループ全体の成長を目指してまいります。
② 各セグメントの取組み
<コンシューマ事業>
コンシューマ事業の主力であるモバイル市場は、スマートフォンの高機能化等に伴う価格の上昇や、法規制、5G通信の普及など目まぐるしく事業環境が変化しております。当社グループはマーケットインの視点に立ち、お客様のニーズに対し、当社の強みである全国各地の店舗・人財とこれまで培ったノウハウを生かしたサービスを提供することで、お客様へ新たな感動体験を提供するとともに、成熟した業界において持続的な成長を目指してまいります。
具体的には、新たに当社オリジナルショップの展開に挑戦し、回線契約だけでなくコンサルティングや修理対応、さらにはAI等の最先端の技術を体験してもらう感動の場を設け、キャリアショップでは、お客様と安心を「つなぐ」重要な場として、通信事業者とともにより魅力的なサービスを提供します。また、スマートフォンアクセサリー等のリテール事業につきましては、実店舗だからこそ提供できるリアルの価値と、ECサイトやオンライン接客などのデジタルの価値を融合させ、ビジネスチャンスの拡大を図るとともに、販路・商材を充実させてまいります。
<法人事業>
法人事業では、労働力の減少やデジタル人財不足等が社会課題として問題視される中、携帯電話をベースとしたモバイルソリューションを引き続き幅広い企業に提供してまいります。特に中堅・中小企業に向けソリューションを強化し、お客様の豊かなDX環境構築をサポートします。また、CRM構築により市場、顧客分析を行うとともに業種別専任組織を創設するなど体制整備と人財育成にも注力してまいります。
スマートサポート事業については、業務効率化やセキュアなネットワーク環境のサポートなど、質の高いサービスを提供します。専門資格を持つ人財による提案力を高め、お客様のご要望に沿った最適なITソリューションを提供することで、信頼を築くとともに、収益拡大を目指してまいります。
<地方創生・クオカード事業>
地方創生・クオカード事業では、各地域における社会課題や健康問題などのお困りごとに対し、当社グループにおける全国のアセットを最大限に活用することで、事業を通じた社会貢献を実現してまいります。新たな取り組みである地方創生事業を推進するため、各地域に密着した体制を構築し、地域活性化や各地域に住むみなさまの健康と住みやすさをサポートします。地方創生の入り口となる自治体への提案につきましては、当社各事業部による接点に加え、自治体施策等で実績のあるクオカードとも連携してまいります。
決済事業は、デジタルマーケティングの強化や、コンビニエンスストアをはじめとしたパートナー企業との連携強化による販路拡大を進めていきます。クオカード事業は、次世代のサービスを検討しながら、QUOカードとQUOカードPayの取り扱いを拡大していくことで、贈る文化の醸成とギフト市場における確固たる地位を築いてまいります。
③ コーポレート・ガバナンス
当社グループは、平素より法令および社内規程の遵守、倫理維持といったコンプライアンスを業務遂行上最重要事項の一つと位置付けています。引き続き、コンプライアンスに関する研修の充実や社内SNSの活用等を通じて啓発活動を行い、リスクの早期発見と対応に取り組んでまいります。
また、取締役会における独立社外取締役の構成を過半数にするなど、ガバナンス体制の強化に取り組んでおります。当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を全て実施しております。
当社グループは、2021年に策定した「ティーガイアグループサステナビリティ方針」に沿って、事業活動を通じた社会の持続的な成長に貢献します。様々な社会課題の解決に取り組み、豊かな未来のために価値を創造し続けます。
(1)ガバナンス
当社グループは、環境・社会の課題に関し、全社委員会(サステナビリティ委員会)にて評価・管理を行っております。サステナビリティ委員会は経営会議の諮問機関であり、環境・社会の課題における当社のサステナビリティ向上に向けた方針・戦略・施策などを策定・審議いたします。委員会討議内容はその重要性に応じて経営会議に報告し、重要な案件については取締役会への付議を進言しております。
・取締役会
サステナビリティ委員会が策定・審議した方針・戦略・施策、全社リスクについて報告を受け、重要な事案について意思決定を行います。サステナビリティ全般に関する取り組みについて監督します。
・経営会議(議長:執行役員社長)
会社経営に関するサステナビリティの方針・戦略・施策、全社リスクについて協議します。サステナビリティ委員会からの報告を受け、取締役会への付議・報告を判断します。
・サステナビリティ委員会(委員長:サステナビリティ担当役員)
環境・社会の課題解決に貢献できるようにサステナビリティの方針・戦略・施策を策定・審議します。さらにリスク管理委員会と連携しながら気候変動関連のリスクを管理します。
(2)リスク管理
TGマテリアリティにおいても、環境・社会の課題への取り組みを重要課題のひとつとして認識しております。当社グループの事業活動に係る様々なリスクに関し、リスク管理委員会にて識別・評価・管理を行います。また、リスク管理委員会は環境・社会対応に関する戦略・施策を取り扱うサステナビリティ委員会と連携し、当社グループのサステナビリティに関する課題に取り組んでまいります。
<マテリアリティ特定におけるアプローチ>
・リスク管理委員会(委員長:CFO)
事業のマテリアリティについて識別・評価を行い、サステナビリティ委員会と連携しながら、環境・社会関連のリスクの管理を行います。
(3)戦略・指標及び目標
① 気候変動問題への対応
当社は、自社の事業活動における温室効果ガス排出量(Scope1,2)を2040年までに実質ゼロとする目標(2030
年時点の中間目標:2019年度比で50%削減)を設定しました。また、その実現のために、再生可能エネルギー由来電力の比率を2030年度時点で50%、2040年時点で100%の導入を目指します。2023年1月には「再エネ100宣言RE Action」へ参加しています。
当社だけでなく当社グループとしても、持続可能な社会の実現に向けた気候変動対策を引き続き積極的に推進していきます。
気候変動対策の一つとして、当社は、気候変動リスク・機会が当社のビジネス戦略や財務計画へどのような影響があるかを、2021年12月に賛同表明した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に準拠した形で「リスク重要度評価」、「シナリオ選択(4℃と1.5℃)」、「事業インパクト評価」、「対応策の検討」の4つのステップに分けて分析をしております。
・リスクの重要度評価
異常気象の激甚化は、自社店舗の損壊を含むサプライチェーンの寸断等、当社事業に損失を与えるリスクがあります。一方で、再生可能エネルギー事業の需要が高まることにより、当社にとって大きな財務効果が得られる機会を生み出す可能性があります。
リスクの重要度評価の詳細は下記のとおりです。
大(当期純利益:10%以上)、中(当期純利益10%未満~1%以上)、小(当期純利益:1%未満)
<主要なリスク>
<主要な機会>
・シナリオ選択(4℃と1.5℃)および事業インパクト評価
気候変動に係るリスク・機会の定性的な分析を踏まえ、「4℃シナリオ」、「1.5℃シナリオ」を利用し、それぞれの事業インパクト評価を行っております。
4℃シナリオでは、異常気象の激甚化による店舗の被害が増加することを想定し、全国約360の直営店舗周辺の洪水、土砂災害リスクをハザードマップで確認し、影響度を「中」と評価しました。BCP対策を見直し、事業継続に大きな影響が出ないように対策を講じております。
1.5℃シナリオでは、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税等の政策・規制が強化されることを想定しております。Scope 1・2・3の算定結果を踏まえ、再生可能エネルギー電力(以下、「再エネ電力」という。)の導入やGHG削減の目標策定をしておりますが、その目標を達成した場合、財務上の影響が限定的だと判明しました。また、太陽光発電を始めとした再エネ電力の需要が増加することが想定され、当社グループの再生可能エネルギー事業において、事業機会の拡大に繋がり得ることも判明しました。事業機会を着実に獲得するために、供給体制を整えるとともに、多様な手法で再エネ電力を提供できるよう取り組んでまいります。
・対応策の検討
特定されたリスクと機会への対応策として、当社はサステナビリティ方針を定めております。また、BCP対策の見直しを行っており、今後も継続して具体的な対応策を検討してまいります。
なお、Scope 1・2・3におけるGHG排出量の実績は、当社ウェブサイトおよび統合報告書に掲載しております。
気候変動問題など、環境への当社の取り組みにつきましては、統合報告書をご参照下さい。
② 人的資本・多様性
当社のありたい姿を実現させるため、全社員がワクワクしながら働き続けられる環境づくりの実現を目指し、人事戦略を中心に「多様性の尊重と人財育成の促進」、「ダイバーシティ&インクルージョンの実現」、「健康経営の推進」を掲げ、様々な取り組みを進めています。
当社を取り巻く事業環境は急激に変化しており事業戦略を実現するために必要となる人財像も大きく変化しています。この変化に対応するため、社員の自律的な学びを促進し成長を支援するとともに、社員一人ひとりが自分らしく活躍できる環境づくりを目指していきます。
なお、女性管理職比率、男性育休取得率、男女間賃金差異に関する指標については「第1 企業の概況 5. 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。
人財育成方針
・多様な支援・プログラムによる人財育成・活用
社員一人ひとりの自律的な学びを促進し成長を支援するとともに、自分らしく活躍できる環境づくりを目指し、多様な支援・プログラムによる人財育成・活用を継続していきます。
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社員のキャリア開発支援を目的とした挑戦できる機会と 環境を整備 |
・社内公募 ・FA制度 ・副業許可 ・事業会社との人財交流 |
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社員の成長を支援する「TGトレーニングプログラム」による 役割に応じた知識・スキルの習得 |
・階層別研修 ・ショップスタッフ向け研修 |
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次世代リーダー育成を目的に、体系的なメソッドで全社的な 視点や経営スキルを習得 |
・ビジネススクール派遣 |
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最先端のテクノロジーの知識を活用し、自社や顧客に価値を 提供できる人財を育成 |
・デジタル人財育成プロジェクト ・全従業員向けIT基礎研修の実施 |
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パートナー企業とのコミュニケーション促進と最新の ICT情報等を収集 |
・海外トレーニー制度 |
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社員のキャリア自律を促進するとともに人財の可視化を行い 人財の配置・育成を最適化 |
・HRシステムの活用 ・キャリアアセスメント ・人財活用計画の実施 |
社内環境整備方針
・イノベーションを創出するダイバーシティ&インクルージョン
多様な背景や価値観等を持つすべての社員が、働く喜びを実感しながら活躍できる職場環境づくりを目指し、ダイバーシティ&インクルージョンの実現と、時間と場所を問わない多様な働き方の促進に取り組んでいきます。
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次世代管理職育成研修や女性活躍推進に資する管理職向け研修等の実施(目標: |
・女性活躍推進 女性管理職比率: |
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定着支援に向けた定期面談や交流会、PCスキルサポート等の実施(目標:2023年度障がい者雇用率 2.5%) |
・障がい者採用と定着支援 |
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男性育児休業等の取得促進、不妊治療と仕事の両立サポート、 産・育休中社員向け情報交換会の実施 |
・育児・介護・不妊治療等両立社員の支援 |
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シニア人財の働き方の拡充やキャリア選択の支援 |
・副業・兼業制度の運用の柔軟化 ・柔軟な就業時間設定 |
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多様なSOGIに対応した設備や制度の整備や、 社内啓発活動の実施 |
・社外相談窓口やジェンダーレスな 「みんなのトイレ」の設置 ・「同性パートナーシップ制度」 「社内通称使用」の導入 ・アライセミナー等の実施 |
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働き方の多様性の促進と、労働生産性向上への取り組み |
・スーパーフレックスやテレワークの拡充 ・ペーパレス化の促進 ・RPA・AI等のデジタル活用推進 ・支社・支店等での駐在勤務の活性化 |
※1 女性管理職比率、障がい者雇用率はいずれも2024年4月時点
※2 男性育児休業等取得率は、当社独自の休暇制度(「イクメン支援休暇制度」)を含む2023年度の実績
・「ティーガイア 健康宣言」に基づく健康経営の促進
社員とその家族がより健康で、エネルギーに満たされた状態にあることが、当社の事業発展にとって不可欠であると捉え、労働環境の整備をはじめ、社員の「こころ」と「身体」の健康維持・増進を積極的に支援し、一人ひとりがいきいきと仕事に取り組むことができるよう、様々な健康施策を実施していきます。
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定期健診・人間ドックの結果を基にした保健指導の実施や、 ストレスチェックの受検推奨等 |
・産業医による職場巡視 ・保健師面談 |
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カウンセラーによる相談室の設置や、 メンタルヘルスリテラシー向上のためのラインケア・ セルフケア研修の実施 |
・TG-Support Lounge ・メンタルヘルス教育 |
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疲労回復とストレス軽減がもたらす労働生産性の向上を目的 とした施策の展開 |
・マッサージルームの運営 ・ウォーキングイベントへの参加 |
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がんをはじめとする病気やけがの治療と仕事を両立する社員 へのサポート体制の構築 |
・「特定疾病サポート休暇」制度 ・団体長期障害所得補償保険(GLTD)加入 |
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社員の禁煙サポートと受動喫煙防止に対する取り組み、 社内啓発活動の実施 |
・「吸わんスワン+1 ティーガイア禁煙の日」の制定 ・オンライン禁煙プログラムの無料提供 |
③ サプライチェーンを含む人権尊重
当社グループは、2023年2月に持続可能な調達を行う「ティーガイアグループCSR調達方針」、人権課題への取り組みを強化する「ティーガイアグループ人権方針」を定めました。
リスクと機会の認識
当社グループの事業における特徴は、サプライチェーンに代理店・量販店の販売委託先を含むこと、顧客が個人・法人・自治体など様々であることが挙げられます。グループ全体の従業員も、販売・営業・事務・システム開発などその職種は多岐にわたっています。
人権尊重の対応が不十分であれば、これら広域なサプライチェーンへの影響は大きく、また、「人財」を基軸に多角化してきた事業のさらなる発展に影響を及ぼします。当社グループの一人ひとりが人権尊重の重要性を理解しビジネスにその対応を組み込むことで、事業基盤をさらに強化し、社会と当社グループの持続的な成長・発展を目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) マクロ動向の影響について
わが国経済は、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。先行きについては、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に留意する必要があるものと考えられます。
(2) 通信事業者との代理店契約について
①代理店契約について
当社グループの主な事業分野である携帯電話サービス等の販売・取次事業は、各通信事業者と代理店契約に基づく所定の条件の下で展開しております。各通信事業者との代理店契約は、通信事業者および当社が契約継続に同意する限り自動的に更新されますが、当社の株主構成または経営主体に重大な変更等があった場合は、通信事業者において手数料の支払い停止や代理店契約を解除できる旨等が定められているため、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
②移動体通信市場における市場環境や通信事業者の事業方針について
当社グループのコンシューマ事業においては、事業活動の前提として通信事業者が提供する通信サービスや携帯電話端末等に依存しています。近年は新規参入事業者やMVNOとの競争を活性化させるための関係法令・ガイドラインの改正等により通信事業者間の料金、サービス、品質等の競争が激しくなっており、各通信事業者間の競合状況が、当社の各通信事業者の契約数に影響を及ぼす可能性があります。
③取引条件について
当社グループのコンシューマ事業、法人事業においては、通信事業者が取り扱う携帯電話端末等の仕入れ販売や、通信サービスの取次を行うことによる取次手数料、店舗を受託運営することによる対価で利益を得ています。これらの取引条件は各通信事業者の方針により定期的に見直しが行われるため、大幅な変更が行われた場合は当社業績にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 各事業に共通のリスクについて
①競争環境の激化と新たなサービス等について
当社グループ各事業の業績は、同業他社・新規参入者との競争激化や取引条件の変更、新たなサービスの登場、法的規制・法改正等により、影響を受ける可能性があります。
当社グループは、健全な財務体質の維持、人的資本の価値向上、並びにDXの高度化を基盤として成長戦略を実現し、更なる企業価値向上を図ってまいります。
②事業パートナーについて
当社グループには事業パートナーと共同で行う事業があります。当該事業パートナーとは、共同事業の継続・拡大に取り組んでおりますが、共同事業パートナーの方針や経営環境の変化等で、当社の業績や事業継続に影響が出る可能性があります。
当社グループは、共同事業の推進の取り組みと共同事業パートナーとの良好な関係の継続等に努めてまいります。
③外部委託先について
当社グループの各事業分野において、専門性の高い部分等で外部委託先と共に事業を遂行することがあります。当該外部委託先との取引においては、事業の目的やその必要性、ならびに信頼性等を考慮して行っておりますが、外部委託先の方針や経営環境の変化等により当社の業績に影響が出る可能性があります。
当社グループは、外部委託先との良好な関係の継続等に努めてまいります。
(4) 今後の事業拡大に向けた企業買収等のリスクについて
当社グループは、今後も事業拡大のため、企業買収や新たな事業創出および育成に関する投資を行う可能性があります。当該投資等が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
また、今後の市場動向や経済環境の変化によっては、当該投資等が当初期待した結果を生み出す保証はなく、投資等の実行後の進捗状況によっては、投下資本の回収が困難になる等、当社グループの業績および事業計画等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、投資等の実行に際し、当社事業とのシナジーやその効果に留意すると共に、実行後は実績の検証等により効果の最大化に努めてまいります。
(5) 人財の確保について
コンシューマ事業では、更なるお客様満足度や販売品質の向上にむけ、スマートフォン等の高機能端末の普及やサービスの多様化に伴う接客時間の増加、人財の質および定着率の向上等が課題となっております。
また、法人事業や地方創生・クオカード事業等においては、事業拡大および多様化に伴い、デジタル分野等の専門性を有する人財の確保と育成等が課題となっております。
当社グループは、上記課題に対応すべく、効率的な人財配置や店舗内業務の負担軽減等、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を推進し生産性向上に努め、また、正社員化を推進する人事制度、リモートワーク・フレックス勤務形態等を導入し、働き方の多様化やワークライフバランスを促進する等により魅力的な職場環境の構築を進めております。
(6) コンプライアンスについて
当社グループでは、コンプライアンス違反の発生により業績や社会的信頼に影響を及ぼす可能性があることから、コンプライアンスを業務遂行上の最重要課題の一つとして位置づけ取組んでおります。
当社グループの各事業において、さまざまな商品・サービス・情報を取り扱っておりますが、各事業の拡大並びに収益の確保への取り組みと共に、企業の社会的責任を含めた倫理とその啓発にも注力しております。また、通信事業者が提供する通信サービスへの利用契約の取次事業において、代理店も含めた不正契約の撲滅や予防策の推進とコンプライアンスの啓発を行っております。
同時に、個人の情報発信の浸透及び手段の多様化(SNS等)、情報の取扱い・事故への関心の高まりの中、当社の改善・啓発活動も随時高度化させながら日々取組んでまいります。
(7) 法的規制・法改正等について
電気通信事業者等の代理店業務については、次の法令等の規制があります。
・「電気通信事業法」
・「独占禁止法」(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)
・「景品表示法」(不当景品類及び不当表示防止法)
・「個人情報保護法」
・「携帯電話不正利用防止法」(携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)
・「下請代金支払遅延等防止法」等
当該法令等について、以下のような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
・法令等の改正による販売方法や市場の変化、通信事業者との取引条件の変更等があった場合。
・総務省等の行政機関による政策の推進、ガイドラインの制定・改定等が実施された場合。
・法令等に違反し、当社グループに対する信頼の低下に加えて、損害賠償請求や代理店契約の解除、営業停止等の処分を受けた場合。
また、当社グループの連結財務諸表は、関係法令や基準に準拠して作成しておりますが、これら法令等に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、当該法令等の遵守のため、従業員への教育・啓発を含めた社内管理体制の強化に取り組んでまいります。
(8) 災害等のリスクについて
わが国においては、大雨や大型台風、地震の発生頻度は増加傾向にあります。また、これら災害等の被害は、これまでの想定を大きく越える規模のものも起きてきています。
当社グループは、災害等の発生を想定した対策を整備・運用しておりますが、これら災害等の状況により、当社の事業継続や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、従業員の安否確認や安全確保など、緊急危機対応についての手順を纏めており、有事に備えた訓練等の運用を行っております。また、事業継続に重要なシステムの災害対策にも取り組んでおり、今後も、引き続き従業員の安全と事業継続に向けた対応に取り組んでまいります。
(9) 訴訟リスクについて
当社グループには各事業分野において、事業運営に関する訴訟リスクが継続的に存在します。当社グループは、各事業において契約内容の確認等も行っておりますが、訴訟本来の性質を考慮すると係争中または将来発生し得る訴訟の結果を予測することは不可能であり、係争中または将来発生し得る訴訟において、当社グループにとって不利な結果に終わった場合、当社グループの事業展開に支障が生じる、または当社グループに対する信頼が低下する可能性や、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。先行きについては、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に留意する必要があるものと考えられます。
当社の主な事業分野である携帯電話等販売市場では、2019年10月施行の電気通信事業法改正による事業者間の乗り換え円滑化の影響もあり通信事業者間の新規契約の獲得競争が過度に行われてきました。当連結会計年度に入り、値引き競争は沈静化しつつあり、2023年12月27日には新たな端末の割引上限規制を含む電気通信事業法施行規則等の一部改正が施行されました。今後は競争環境の適正化により、正常な市場に移行することが期待されます。一方で、スマートフォンの高機能化等に伴う価格の上昇や、物価高による買い控えにより端末の平均使用年数は長期化の傾向にあります。通信事業者各社は金融サービスとの連携など新たな価値提案を始めており、当社をはじめ携帯電話等販売代理店に期待される役割もますます高まっていくことが予想されます。
このような事業環境において、当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)は、中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の全社戦略として掲げた「TG Universe(ティーガイア内エコシステム)の実現」および「TGマテリアリティ(8つの重要課題)への取り組み」を進めてまいりました。モバイル事業中心に当社独自商材の拡販、ショップ運営の効率化を進め、収益の改善を図りました。さらには、モバイル事業に依存しない事業ポートフォリオへの変革を行い、複数の新たなビジネスに取り組みました。
また、次期中期経営計画を見据え、店舗をお客様目線でのビジネスモデルへ変えるべく、2023年4月にプロジェクト組織を、10月には各拠点に地方創生チームを発足させました。これまでの物販中心の考え方(プロダクトアウト)から、コンシューマ向け事業および法人顧客向け事業ともに、お客様のご要望に沿ったサービスを提供する考え方(マーケットイン)へ転換していくことで、収益拡大を目指しております。
当社グループの当連結会計年度における業績につきましては、売上高4,489億54百万円(前期比1.0%減)、営業利益80億51百万円(同15.1%増)、経常利益は123億90百万円(同6.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は70億13百万円(同11.7%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益の減益は、主に当連結会計年度においてソリューション事業の連結子会社Relay2,Inc.に係る減損損失を特別損失に計上したためです。
なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの業績については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、2,482億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億91百万円増加いたしました。主な増減要因は次のとおりであります。
項目別の増減要因
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分類項目 |
前連結会計年度比増減額 |
主な要因 |
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流動資産 |
52億23百万円の増加 |
現金及び預金26億29百万円の減少は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ④連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。また、連結子会社において営業投資有価証券が155億円増加し、差入保証金が140億49百万円減少いたしました。 |
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固定資産 |
30億32百万円の減少 |
主として、のれんが16億34百万円、連結の範囲の変更等により投資有価証券が13億40百万円減少いたしました。 |
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,708億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億25百万円減少いたしました。主な増減要因は次のとおりであります。
項目別の増減要因
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分類項目 |
前連結会計年度比増減額 |
主な要因 |
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流動負債 |
12億51百万円の増加 |
未払法人税等が11億15百万円、カード預り金が6億36百万円増加し、1年以内返済予定の長期借入金を返済したことにより18億75百万円減少いたしました。 |
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固定負債 |
15億77百万円の減少 |
金融機関に返済する借入金を、固定負債から流動負債に振り替えたことにより18億71百万円減少いたしました。 |
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は774億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億17百万円増加いたしました。主な増減要因は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ③連結株主資本等変動計算書」をご参照ください。この結果、自己資本比率は31.2%(前連結会計年度末は30.2%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ26億29百万円減少し、当連結会計年度末には430億22百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、84億11百万円(前連結会計年度は99億96百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益103億87百万円計上したこと、営業投資有価証券の増加額154億85百万円、差入保証金の減少額134億円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、41億43百万円(前連結会計年度は35億58百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出29億79百万円、無形固定資産の取得による支出20億63百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、78億26百万円(前連結会計年度は171億65百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額41億85百万円、長期借入金の返済による支出38億38百万円によるものであります。
④ 仕入および販売の実績
a.商品等仕入実績
当連結会計年度の商品等(支払手数料含む)仕入実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
モバイル事業 |
321,172 |
97.2 |
|
ソリューション事業 |
29,517 |
108.7 |
|
スマートライフ・クオカード事業 |
22,055 |
77.4 |
|
報告セグメント計 |
372,745 |
96.5 |
|
その他 |
- |
- |
|
合 計 |
372,745 |
96.5 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.販売等実績
当連結会計年度の販売等(受取手数料含む)実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
モバイル事業 |
377,892 |
99.1 |
|
ソリューション事業 |
41,403 |
110.0 |
|
スマートライフ・クオカード事業 |
29,639 |
86.7 |
|
報告セグメント計 |
448,935 |
99.0 |
|
その他 |
18 |
7.0 |
|
合 計 |
448,954 |
99.0 |
(注1)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(注2)最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
KDDI㈱ |
61,092 |
13.5 |
53,557 |
11.9 |
|
㈱NTTドコモ |
60,183 |
13.3 |
52,553 |
11.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、および②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、移動体通信市場における市場環境や通信事業者の事業方針の変化、企業買収、人財の確保等があります。
移動体通信市場における市場環境や通信事業者の事業方針の変化については、新規参入事業者やMVNOとの競争を活性化させるための関係法令・ガイドラインの改正等により通信事業者間の料金、サービス、品質等の競争が激しくなっており、各通信事業者間の競合状況が、当社の各通信事業者の契約数に影響を及ぼす可能性があります。これに対し当社グループでは、独自ビジネスのさらなる拡大、店舗を中心とした業務効率化・生産性向上に取り組んでおります。
企業買収等については、当連結会計年度に当社の連結子会社Relay2,Incに係るのれん等を減損損失として計上いたしましたが、当社は、引き続き多彩なビジネスモデル、広範な取引関係、全国にある営業拠点等の当社の強みを複合的に活用できる企業買収等に取り組んでまいります。
人財の確保については、モバイル事業を中心とした更なるお客様満足度や販売品質の向上にむけ、人財の質および定着率の向上に取り組んでおります。また、ソリューション事業、スマートライフ・クオカード事業においては、事業拡大および多様化に伴い、デジタル分野等の専門性を有する人財の確保と育成等に注力しております。当社グループでは、働き方の多様化やワークライフバランスの促進等により魅力的な職場環境の構築を進めております。
その他の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。
また、経営成績等を踏まえた各セグメントの取組みは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ②各セグメントの取組み」に記載のとおりであります。
(モバイル事業)
モバイル事業における回線契約数は、スマートフォン価格の高騰等による買い替えサイクルの長期化により、305.3万回線(前期比:6.2%減)となりました。
キャリアショップでは、リモートで初期設定サポートやスマートフォンの利用説明を行う「スマートオンラインサポート」も導入しており、当社業務の効率化および専門スタッフがお客様に応じたサポートを行うことによるお客様満足度の向上を図っております。新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後には来店予約の無いお客様の受け入れを再開しており、当社直営店舗の来店客数は回復基調にあります。また、前連結会計年度より店舗数の最適化を進めるとともに、業務の効率化・生産性向上に取り組んでおり、販売費及び一般管理費を抑制することができました。
この結果、売上高は3,778億92百万円(前期比0.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は43億円(同66.4%増)となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業における回線契約数は32.6万回線(前期比:2.3%減)となり、スマートデバイスの売上高および受取手数料は減少しました。引き続き当社グループ全体で人財育成に取り組むなど営業力の強化を図るとともに、販路の拡大に注力しております。
LCM事業については、商材・サービスを拡充しており、回線管理サービス(movino star)やヘルプデスク等の管理ID数は前年同期を上回りました。movino starは対象デバイスをスマ-トフォンだけではなくPCにも拡大したことでID数の増加につながりました。また、高齢化社会を見据え、介護施設への音声対話型AIサービスや介護用見守りカメラなどの提案を通じ事業領域拡大と新たな顧客層の獲得にも注力しました。
一方で、営業システムの機能拡充を行ったことにより、償却費等が前期に比して増加いたしました。
固定回線系商材においては、独自ブランドの光アクセスサービス「TG光」の累計保有回線数が堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は414億3百万円(前期比10.0%増)、特別損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純損失は95百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益20億32百万円)となりました。
(スマートライフ・クオカード事業)
スマートライフ事業については、PIN・ギフトカードの取扱高は前期と比べ減少しました。ゲームや音楽・動画配信等の様々なデジタルコンテンツの需要は生活様式の変化に伴い落ち着きつつあります。コンビニエンスストア等を中心としたスマートフォンアクセサリーの卸売りや、ウェアラブルディバイス「Fitbit」の販売は堅調に推移いたしました。
また、2023年11月には女性特有の健康課題解決につながる商品やサービスを提供するサロン型のフェムテックストア「FEMTECH LAB」1号店をオープンいたしました。12月にオープンしたオンラインショップとも連携し、リアルとデジタルが有機的に融合したサービスの展開に取り組んでおります。
クオカード事業については、「QUOカード」および「QUOカードPay」の発行高は、前年同期に自治体向けの大型施策があった影響により前年同期に比して減少いたしました。2023年7月より大手コンビニエンスストアが「QUOカードPay」の加盟店に加わるなど、加盟店の拡大に努めております。
この結果、売上高は296億39百万円(前期比13.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は27億16百万円(同9.4%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
イ.財務に関する経営者の考え方
(資金調達について)
当社グループの運転資金および投資資金の確保については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金で充当することを基本としています。更なる資金需要が生じた場合の資金調達に関しては、必要な資金量に見合う金額を適宜判断し、金融機関からの借入による資金調達を想定しております。グループ会社の資金調達については、資金調達の安定化と調達コストの低減を図るため、原則としてグループファイナンスにて対応しておりますが、 金利水準によっては金融機関からの借入により資金調達をしております。
(資金使途について)
各事業におけるM&A、携帯電話端末等の棚卸資産の購入、販売費及び一般管理費の支払い、資産取得等による外部資源の獲得や設備投資、借入の返済および利息の支払い、配当金の支払い等に資金を充当しています。当社グループは、各事業において、商材開発・M&A・周辺事業への投資を加速してまいります。
ロ.株主還元方針・資本配分戦略についての経営者の考え方
成長のための投資に必要な内部留保と、株主の皆様への配当のバランスを常に念頭に置いています。2021年度に連結配当性向は40%を目途とすることとしました。「長期にわたり安定的かつ継続的な利益還元」を実施するという方針に変更はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しており、この連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の金額および開示に影響を与える見積りや判断を必要としています。
この見積りを検討または決定するにあたっては、過去の実績、将来の見通し、発生可能性および金額の合理性その他様々な要素を考慮して、その時点の状況として合理的と考えられる最適な見積りを行っていますが、実際の結果は見積り特有の不確実性(経営環境の変化や見積もった時点での前提条件等)があるため、将来においてこの見積りとは異なる場合があります。
上記の仮定等のもとで、当連結会計年度末の連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては以下のとおりであります。
イ.カード退蔵益の見積り
ロ.㈱TFモバイルソリューションズに係るのれんおよび契約関連無形資産
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
ハ.繰延税金資産の回収可能性
当社グループにおいて、繰延税金資産の回収可能性の判断を行うにあたっては、税効果会計に係る会計基準および繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)に準拠して評価を行っております。しかしながら、繰延税金資産の回収可能性の評価は、将来の業績や課税所得の見積りに依存する部分もあり、以下の事象の発生や状況となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
・当社または連結子会社の業績が著しく悪化した場合
・税率変更を含む税制の改正等があった場合
二.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
⑴ 販売代理店契約等
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
㈱ティーガイア (当社) |
㈱NTTドコモ |
日本 |
携帯電話等通信サービスの加入取次 |
販売代理店契約 |
2024年4月1日から 2025年3月31日まで (自動更新) |
|
〃 |
KDDI㈱ |
〃 |
〃 |
〃 |
2024年4月1日から 2025年3月31日まで (自動更新) |
|
〃 |
FTTH・ADSL等通信サービスの加入取次 |
営業業務委託契約 |
2024年4月1日から 2025年3月31日まで (自動更新) |
||
|
〃 |
ソフトバンク㈱ |
〃 |
携帯電話等通信サービスの加入取次 |
販売代理店契約 |
2024年4月1日から 2025年3月31日まで (自動更新) |
|
〃 |
東日本電信電話㈱ 西日本電信電話㈱ |
〃 |
FTTH・ADSL等通信サービスの加入取次 |
販売パートナー契約 |
2024年4月1日から 2025年3月31日まで |
(注)東日本電信電話㈱および西日本電信電話㈱とは、2024年4月1日から2025年3月31日を契約期間として改めて契約を締結しております。
⑵ 吸収合併による事業の承継
① 当社は、2023年7月28日開催の取締役会において、2023年10月1日を効力発生日として、当社を存続会社、当社の完全子会社である㈱キャリアデザイン・アカデミーを消滅会社とする吸収合併をすることを決議し、2023年7月28日付で吸収合併契約を締結いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
② 当社は、2023年11月30日開催の取締役会において、2024年4月1日を効力発生日として、当社を存続会社、当社の連結子会社である㈱モバイルトラストを消滅会社とする吸収合併をすることを決議し、2023年12月1日付で吸収合併契約を締結いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 ⑴ 財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
該当事項はありません。