1 【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名 称 JX金属株式会社

所在地 東京都港区虎ノ門2丁目10番4号

 

2 【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1) 意見の内容

当社は、2022年12月21日開催の取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議しておりました。

当社は、上記取締役会の決議に際して、下記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③当社における意思決定に至る過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)に対して、本特別委員会が2022年12月20日付で当社取締役会に対して提出した答申書(以下「2022年12月20日付答申書」といいます。)の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。

特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付価格の公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び当社における特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。

 

公開買付者は、2022年12月21日付「タツタ電線株式会社株式(証券コード:5809)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「公開買付開始予定プレスリリース」といいます。)、2023年6月30日付、2023年9月26日付、2023年12月27日付、2024年1月31日付、2024年2月29日付、2024年3月26日付、2024年4月26日付、2024年5月31日付、及び2024年6月12日付「(開示事項の経過)ENEOSホールディングス株式会社の完全子会社(JX金属株式会社)によるタツタ電線株式会社株式(証券コード 5809)に対する公開買付け実施に向けた進捗状況のお知らせ」(以下、2024年1月31日付のものを「2024年1月31日付公開買付者プレスリリース」、2024年6月12日付のものを「2024年6月12日付公開買付者プレスリリース」といいます。)において公表したとおり、2022年12月21日開催の取締役会において、当社を完全子会社とすることを目的として、①国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応(注1)を終えること、②当社の取締役会において全会一致の賛同・応募推奨決議が適法かつ有効に行われ、かつ、変更又は撤回がされていないこと、③当社が設置した特別委員会において賛同・応募推奨に肯定的な内容の答申が行われ、かつ、変更又は撤回がされていないこと、及び④当社の財政状態に重大な悪影響を与える事由(金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)第27条の11第1項ただし書に定める当社又はその子会社の業務又は財産に関する重要な変更その他の本公開買付けの目的の達成に重大な支障となる事由又はそれらに類似し若しくは準じる事由をいいます。)が生じていないこと等(注2)の各条件(以下、これらの条件を総称して「本公開買付前提条件」といいます。)が充足された場合(又は放棄された場合)、速やかに実施することを決定していたところ、当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月12日に受けました。当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会に対して、2022年12月20日付答申書の意見の内容に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問することとしておりました。

 

(注1) 日本及び中国における競争法上の届出に係る承認又は待機期間の満了が含まれます。なお、中国競争法上の届出については、中国競争法に基づく届出の要否に係る基準額の引き上げ等を内容とする法改正が予定されており、本公開買付けにおいて当該基準額を満たすかは当社グループ(下記「(2) 意見の根拠及び理由」の「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」で定義します。)の中国における売上高を考慮する必要があるところ、当該売上高は法改正前の基準額(4億人民元)を上回るものの、法改正施行後の基準額(8億人民元)を下回ることとなるため、当該法改正が施行された場合には本公開買付けにつき中国における競争法上の届出は不要となる旨お知らせしていたとのことです。もっとも、その具体的な施行時期は不明であったことから、2023年1月17日付で、中国における競争法上の届出を提出し、同年2月23日付で受理されており、2024年6月11日付で承認がなされているとのことです。なお、公開買付者は、2024年1月31日付公開買付者プレスリリースにおいて公表したとおり、中国競争法に基づく届出の要否に係る基準額の引き上げ等を内容とする法改正については、2024年1月26日付で施行されましたが、中国における競争当局から、問題解消措置に関する協議が行われていた状況を踏まえ、中国競争法に関する届出の取り下げを行って本公開買付けを実行することは認めないとの見解が示されたため、本公開買付けを直ちに実行するために当該取り下げは申請していないとのことです。

(注2) 公開買付者は、本公開買付けにつきましては、上記①乃至④のほか、⑤司法・行政機関等に対して、本公開買付けの開始を禁止又は制限することを求める旨のいかなる申立、訴訟又は手続も係属しておらず、かつ、本公開買付けの開始を禁止又は制限する司法・行政機関等の判断等が存在しないこと、及び、⑥当社に関する未公表の重要事実(法第166条第2項に定める重要事実をいいます。)又は公開買付け等事実(法第167条第2項に定める事実をいいます。)が存在しないことを実施の前提条件としていたとのことです。

 

そこで、本特別委員会は、当社に対して、2022年12月21日以後、本取引(下記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下同じです。)に影響を及ぼし得る重要な状況の変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2022年12月21日以後、2024年6月20日までの事情を勘案しても2022年12月20日付答申書の意見の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年6月20日に、委員全員一致の決議により、当社取締役会に対して、2024年6月20日付の答申書(以下「2024年6月20日付答申書」といいます。)を提出いたしました。

その上で、当社は、本特別委員会から提出された2022年12月20日付答申書及び2024年6月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2024年6月20日においても、2022年12月21日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、2024年6月20日開催の当社取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしております。

また、上記2022年12月21日及び2024年6月20日開催の各取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤当社における利害関係を有しない取締役の承認」に記載の方法により決議されております。

 

(2) 意見の根拠及び理由

本「(2) 意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

① 本公開買付けの概要

公開買付者は本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を22,739,218株(所有割合(注):36.81%)直接所有し、また、公開買付者の子会社であるJX金属商事株式会社(以下「JX金属商事」といいます。)を通じて当社株式を136,311株(所有割合:0.22%)間接所有しており、合わせて当社株式を22,875,529株(所有割合:37.03%)所有することにより、当社を持分法適用関連会社としております。公開買付者は、2022年12月21日開催の取締役会において、当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議しており、本公開買付前提条件が充足された場合(又は放棄された場合)、速やかに実施することを予定し、2023年6月には本公開買付けを開始することを目指していたとのことです。

 

(注) 「所有割合」とは、当社が2024年6月21日に提出した「第100期有価証券報告書」(以下「当社第100期有価証券報告書」といいます。)に記載された2024年3月31日現在の当社株式の発行済株式総数(70,156,394株)から、当社第100期有価証券報告書に記載された当社が所有する同日現在の自己株式数(8,377,260株)を控除した株式数(61,779,134株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下同じです。

 

今般、公開買付者によれば、2024年6月12日付公開買付者プレスリリースでお知らせしておりましたとおり、中国の競争法に基づくクリアランスの取得が完了し、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したとのことです。これを受けて、以下のとおり、公開買付者は、国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応を終えることを含む本公開買付前提条件が充足されたことを2024年6月20日に確認し、同日付で、本公開買付けを2024年6月20日より開始することを決定したとのことです。なお、本公開買付けの条件(本公開買付価格(下記「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景及び目的」で定義します。)を含みます。)については、公開買付開始予定プレスリリース記載のものから変更ないとのことです。

なお、中国の競争法に関するクリアランスの取得は完了しているとのことですが、当該クリアランスの取得の条件として、当該クリアランス取得日以降一定の期間、公開買付者は、自らが供給している製品と当社が供給している製品を正当な理由なく組み合わせて中国において供給しないこと等を内容とする問題解消措置を実施することが必要とされているとのことです。

① 日本における競争法上の届出について、本公開買付けによる当社株式の取得(以下「本株式取得」といいます。)については、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。以下「独占禁止法」といいます。)第10条第2項に基づき、公正取引委員会に対して本株式取得に関する計画をあらかじめ届け出なければならず(以下、当該届出を「事前届出」といいます)、同条第8項により、事前届出が受理された日から原則として30日(短縮される場合もあります。)を経過するまでは本株式取得を行うことができないとのことです(以下、本株式取得が禁止される当該期間を「取得禁止期間」といいます。)。公開買付者は、本株式取得について、2023年2月6日付で公正取引委員会に対して事前届出を行い、同日付で受理されているとのことです。公開買付者は、本株式取得に関して、2023年3月3日付で、独占禁止法第17条の2第1項に基づく排除措置命令を行わない旨の通知を公正取引委員会より受領し、取得禁止期間が2023年3月3日をもって終了することを確認したとのことです。また、中国における競争法上の届出について、上記(注2)記載のとおり、届出の要否に係る基準額の引き上げ等を内容とする法改正が施行された場合には本公開買付けにつき中国における競争法上の届出は不要となる旨お知らせしていたとのことですが、その具体的な施行時期は不明であったことから、2023年1月17日付で、中国における競争法上の届出を提出し、同年2月23日付で受理されており、中華人民共和国国家市場監督管理総局から2024年6月11日付で本株式取得を承認する旨の決定が公表され、公開買付者は、同日、本株式取得の承認がなされたことを確認したとのことです。なお、公開買付者は、2024年1月31日付公開買付者プレスリリースにおいて公表したとおり、中国競争法に基づく届出の要否に係る基準額の引き上げ等を内容とする法改正については、2024年1月26日に施行されましたが、中国における競争当局から、問題解消措置に関する協議が行われていた状況を踏まえ、中国競争法に関する届出の取り下げを行って本公開買付けを実行することは認めないとの見解が示されたため、本公開買付けを直ちに実行するために当該取り下げは申請していないとのことです。

② 公開買付者は、当社より、2024年6月20日開催の当社取締役会において、2024年6月20日現在においても、2022年12月21日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断し、改めて、本公開買付けに賛同する旨の意見表明を適法かつ有効に行い、かつ、その株主に対しても本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議がなされ、当該意見が変更又は撤回されず有効である旨の報告を受け、2024年6月20日に、当該決議が実施され、かかる意見表明が変更又は撤回されず有効であることを確認したとのことです。

 

③ 公開買付者は、当社より、本特別委員会が、2022年12月21日以後、2024年6月20日までの事情を勘案しても、当社取締役会に対して賛同・応募推奨意見を表明することに肯定的な答申を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、上記意見に変更がない旨の答申書を提出し、かつ、当該答申の内容が変更又は撤回されず有効である旨の報告を受け、2024年6月20日に、2024年6月20日付答申書が当社取締役会に提出され、かつかかる答申書が変更又は撤回されず有効であることを確認したとのことです。

④ 公開買付者は、当社より、2024年6月20日時点において、当社の財政状態に重大な悪影響を与える事由は生じていない旨の報告を受け、同日、当該事由は生じていないと判断したとのことです。

⑤ 公開買付者は、当社より、2024年6月20日時点において、司法・行政機関等に対して、本公開買付けの開始を禁止又は制限することを求める旨のいかなる申立、訴訟又は手続も係属しておらず、かつ、本公開買付けの開始を禁止又は制限する司法・行政機関等の判断等が存在しない旨の報告を受け、同日、当該判断等は存在していないことを確認したとのことです。

⑥ 公開買付者は、当社より、2024年6月20日時点において、当社に関する未公表の重要事実又は公開買付け等事実が存在しない旨の報告を受け、同日、当該事実等は存在していないことを確認したとのことです。

 

本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を18,446,882株(所有割合:29.86%)に設定しており、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(18,446,882株)に満たない場合には、応募株券等の全ての買付け等を行わないとのことです。他方、本公開買付けは当社を完全子会社化することを目的としているとのことですので、買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全ての買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(18,448,182株)は、当社第100期有価証券報告書に記載された2024年3月31日現在の当社の発行済株式総数(70,156,394株)より、当社第100期有価証券報告書に記載された同日現在当社が所有する自己株式数(8,377,260株)を控除した株式数(61,779,134株)に係る議決権の数(617,791個)に3分の2を乗じた数(411,861個(小数点以下を切り上げ))から、当社株式1単元(100株)を乗じた株式数(41,186,100株)について、さらに公開買付者が本書提出日現在所有する当社株式数(22,739,218株)を控除した株式数(18,446,882株)としているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けは、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされるため、本取引を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者が当社の総株主の議決権数の3分の2以上を所有することとなるようにするためであるとのことです。

本公開買付けに際して、公開買付者は、本取引検討中における機密保持の観点から、本公開買付けの開始予定の公表以前に公開買付者の連結子会社であるJX金属商事への本公開買付けに関する説明は行っておらず、JX金属商事との間で、JX金属商事が所有する当社株式の全て(合計所有株式数:136,311株、合計所有割合:0.22%)について、本公開買付けに関する合意をしていないとのことでしたが、公開買付者としては、本公開買付けの開始予定の公表後、JX金属商事に対し、その所有する当社株式の全てを本公開買付けへ応募するよう要請し、2022年12月21日、JX金属商事から、同社が所有する当社株式の全てについて、本公開買付けに応募する意向があるとの連絡を受けたとのことです(応募合意に係る契約については、締結していないとのことです。)。

公開買付者は、本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に公開買付者が当社を完全子会社とするため、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の一連の手続を実施することを予定しているとのことです。

 

 

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針

当社は、公開買付者より、本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針につき、以下の説明を受けております。

(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景及び目的

公開買付者は、1905年12月11日、久原房之助氏が茨城県日立市の赤沢銅山の買山契約を締結し、同26日に、久原鉱業所日立鉱山として創業を開始したとのことです。その後、個人企業であった久原鉱業所を改組し、1912年9月18日に久原鉱業株式会社(以下「久原鉱業」といいます。)を設立したとのことです。久原鉱業は、公開持株会社制に移行すべく、1928年12月29日に、日本産業株式会社(以下「日本産業」といいます。)に商号変更し、1929年4月24日には、日本産業の鉱業部門を分離独立させて日本鉱業株式会社(以下「日本鉱業」といいます。)を設立させたとのことです。その後、日本鉱業は、1949年11月に東京及び大阪の各証券取引所第一部に上場したとのことです。1992年11月1日、日本鉱業から同社の金属資源開発部門、金属事業部門、金属加工事業部門を承継した日鉱金属株式会社(同年5月28日設立。以下「日鉱金属」といいます。)が営業を開始したとのことです。その後、日鉱金属は、1998年8月4日に東京証券取引所市場第一部に株式上場しているとのことです。一方で、日鉱金属分離後の日本鉱業は1992年12月1日付で共同石油株式会社と合併し、株式会社日鉱共石が発足したとのことです。なお、同社は、1993年12月1日付で、株式会社ジャパンエナジー(以下「ジャパンエナジー」といいます。)に商号変更したとのことです。2002年9月27日には、日鉱金属とジャパンエナジーが共同持株会社として新日鉱ホールディングス株式会社(以下「新日鉱ホールディングス」といいます。)を設立し、東京、大阪及び名古屋の各証券取引所第一部に上場、それに伴い日鉱金属とジャパンエナジーは上場廃止となっているとのことです。2006年4月1日には、日鉱金属、株式会社日鉱マテリアルズ(1981年4月7日設立の日鉱グールド・フォイル株式会社が、1999年7月1日にジャパンエナジーから同社の電子材料事業を承継するとともに商号変更を実施。以下「日鉱マテリアルズ」といいます。)及び日鉱金属加工株式会社(2003年10月1日に日鉱金属の金属加工事業を分離独立させ設立)は、日鉱マテリアルズを存続会社として合併・統合し、新・日鉱金属株式会社が発足したとのことです(以下「新・日鉱金属」といいます。)。

2010年4月1日には、新日鉱ホールディングスと新日本石油株式会社は、共同株式移転により統合持株会社「JXホールディングス株式会社(以下「JXホールディングス」といいます。)」を設立し、傘下のグループ会社の再編を行ったとのことです。その結果、同年7月1日には、新日鉱ホールディングスは新・日鉱金属を吸収合併してJX日鉱日石金属株式会社に商号変更し、事業会社へと転換したとのことです。その後、2016年1月1日には現商号のJX金属株式会社に変更したとのことです。なお、JXホールディングスは、2017年4月1日付でJXTGホールディングス株式会社に、また、2020年6月25日付でENEOSホールディングス株式会社(公開買付者の親会社であり、以下「ENEOSホールディングス」といいます。)に、それぞれ商号変更したとのことです。

ENEOSホールディングスは、2019年5月13日付で公表された「2040年JXTGグループ長期ビジョン」において、アジアを代表するエネルギー・素材企業をありたい姿として掲げており、その中において公開買付者は、電子材料や銅資源・製錬を担うものとして、ENEOSホールディングスにおける中核事業会社3社の一つに挙げられているとのことです。公開買付者はENEOSホールディングスの完全子会社であり、純粋持株会社であるENEOSホールディングスとの間には原則として商取引は存在しておりませんが、公開買付者からENEOSホールディングスへの人材派遣等は行われているとのことです。公開買付者の事業運営や重要な経営判断については、ENEOSホールディングスの社長決裁や取締役会決議を経た上で行われるとのことです。

公開買付者グループ(公開買付者、連結子会社70社及び関連会社18社(本書提出日現在)により構成される企業グループをいい、当社グループ(当社及び当社の連結子会社6社(本書提出日現在)により構成される企業グループをいいます。以下同じです。)を除きます。以下同じです。)は、非鉄資源と素材を安定的に供給することが社会的使命であるとの認識のもと、以下の5つのセグメントにおいて事業を行っているとのことです。

 

(1) 機能材料事業:フレキシブル回路基板(注1)等に使われる主力製品の圧延銅箔や、コネクター等に使われるチタン銅、コルソン合金(注2)、りん青銅といった高機能製品の供給をグローバルに展開しているとのことです。

(2) 薄膜材料事業:半導体向け用途を含む多種多様なスパッタリングターゲット(注3)をはじめ、化合物半導体材料、高純度金属及び表面処理剤等、最先端IT機器、医療機器及び電気自動車等の各種高機能デバイスへと応用できる製品をグローバルに供給しているとのことです。

(3) 資源事業:公開買付者グループが権益を保有するチリ共和国に所在するカセロネス銅鉱山の安定操業と更なる生産性向上に努めており、今後先端素材分野での需要拡大が期待されるレアメタル鉱山の調査・開発にも積極的に取り組んでいるとのことです。

(4) 金属リサイクル事業:銅精鉱とリサイクル原料から、製錬プロセスを通じて銅・貴金属等高品質の金属地金を効率的に生産し、日本及びアジア地域へ安定的に供給をしているとのことです。また、製錬で培った焼却・溶融技術を応用した産業廃棄物の無害化事業も手掛けているとのことです。

(5) タンタル・ニオブ事業:公開買付者の子会社であるTANIOBIS GmbHは世界有数のタンタルとニオブを素材とした材料を製造するメーカーであり、金属タンタル粉の製造・販売量では世界第一位を誇っているとのことです。公開買付者はTANIOBIS GmbHとともにコンデンサや半導体材料用の金属粉、SAWデバイス(注4)や光学レンズ用の酸化物、半導体用の塩化物、高機能粉末材料等を安定的に供給しているとのことです。

(注1) 「フレキシブル回路基板」とは、ポリイミド等の絶縁性を持つ薄く柔らかいフィルムと極薄の銅箔等の誘導性金属を貼り合わせた基材に、電気回路を形成した基板のことをいうとのことです。

(注2) 「コルソン合金」とは、ニッケルやケイ素を主な副成分とする特殊銅合金の一種のことをいうとのことです。

(注3) 「スパッタリングターゲット」とは、物理的気相成長法の一つであり、真空状態の装置内で不活性ガスを用いて行われるスパッタリング法により、シリコンウェハーやガラス等の基板上に薄膜を形成する際に用いられる成膜材料のことをいうとのことです。

(注4) 「SAWデバイス」とは、圧電体の薄膜、又は基板上に形成された規則性のあるくし形電極により弾性表面波を励振させる構成を持つフィルターデバイスのことをいうとのことです。

 

公開買付者は、2019年6月27日付で「2040年 JX金属グループ長期ビジョン」を公表したとのことです。これは、「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」への転身を基本方針とするものであり、この中では機能材料事業、薄膜材料事業及びタンタル・ニオブ事業を「フォーカス事業」、また、資源事業、金属・リサイクル事業を「ベース事業」と位置付けており、成長戦略のコアである「フォーカス事業」の更なる発展と、組織基盤を支えるための「ベース事業」の両立により、国際競争の中にあっても持続的成長と高収益体質を実現するとともに、SDGsが目指す持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでいるとのことです。

 

一方、当社は、1945年9月に設立し、1947年10月には、電線製造・販売を創業、1948年7月には現在のタツタ電線株式会社に商号を変更し、電線・ケーブルの専門企業として事業を運営していく中で、給配電用及び通信用ケーブルの製造を手がけておりました。1981年11月には、光ケーブルの開発に取り組んだ後、1987年1月に銅導電性塗料の開発、販売を開始しました。2000年3月には現在も当社の主力製品である「電磁波シールドフィルム」の開発、販売を開始、2003年9月には自社生産品の出荷を開始しました。現在では、電線・ケーブル事業、電子材料事業のほか、コア技術をさらに他方面に展開し、センサー&メディカル事業、環境分析事業等を行っております。当社は1954年2月に株式会社大阪証券取引所(現・株式会社大阪取引所)(以下「大阪取引所」といいます。)に株式を上場、1961年10月には東京証券取引所に株式を上場しており、東京証券取引所における市場区分の見直しにより2022年4月4日から東京証券取引所プライム市場に移行しております(なお、2013年7月に行われた東京証券取引所と大阪取引所の現物市場統合により、現在は、当社は大阪取引所には上場しておりません。)。また、本書提出日現在、当社の連結対象会社は6社(全て完全子会社)になります。

 

当社グループは、経営理念である「①電線・ケーブル事業及び電子材料事業をコア事業とし、次代を担う事業の開発にも継続的かつ積極的に取り組み、活力・スピード感に溢れ、公正かつ透明性の高い連結経営を推進することにより、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させるとともに、②地球環境問題に配慮しつつ、顧客ニーズにマッチした特長ある商品・サービスを提供することにより、持続的な社会の発展に貢献する」の実現を目指し、電線・ケーブル事業、電子材料事業、センサー&メディカル事業及び環境分析事業を柱に事業活動を展開しております。各事業の概要は以下のとおりです。

(a) 電線・ケーブル事業

当社グループは、インフラ、産業機器向けの電線・ケーブルの製造及び販売をしております。具体的には、①発電所やプラントで使用されるインフラ向けの電線・ケーブル、②鉄道やFA(注5)・ロボット、音響や放送等の様々な産業機器に対応する電線・ケーブルを製造及び販売しております。

(b) 電子材料事業

当社グループは、電子機器向け電磁波シールドフィルム、電子機器向け導電性ペースト及び電子部品配線用の極細電線を製造及び販売しております。

(c) センサー&メディカル(医療機器部材)事業

当社グループは、センサー事業においては漏水検知技術や高精度・高品質光ファイバ(注6)応用技術等、センシング技術(注7)を応用した製品を製造及び販売しております。また、メディカル(医療機器部材)事業においては電線・ケーブル・機能性材料の開発・製造で培った要素技術を医療機器に応用して医療用のセンサー、チューブ、電線等の医療用機器・部品・素材を製造及び販売しております。

(d) 環境分析事業

当社グループは、水質・大気・土壌分析、作業環境測定、騒音振動測定等にはじまり、アスベスト、ダイオキシン類等、PCB(注8)等の次々と顕在化する有害物質分析やRoHS(注9)分析、製品の不具合・不良の原因解析等のサービスを展開しているほか、土壌汚染調査・浄化や作業環境の改善指導等のコンサルティングに至るまで幅広いサービスを提供しています。

(注5) 「FA」とは、「Factory Automation」の略で、生産工程の自動化を図るシステムの総称をいいます。

(注6) 「光ファイバ」とは、ガラスや透明なプラスチック等を細長く加工したものを被覆で覆った構造の線材をいいます。

(注7) 「センシング技術」とは、センサーと呼ばれる感知器等を使用して様々な情報を計測して数値化する技術の総称をいいます。

(注8) 「PCB」とは、「Poly Chlorinated Biphenyl」の略で、ポリ塩化ビフェニルのことをいいます。

(注9) 「RoHS」とは、Restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment」の略で、電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州連合による指令をいいます。

 

なお、当社グループの製品の主要原料は銅であり、公開買付者グループの持分法適用関連会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社等の取引先から原料銅の仕入を行っているとのことです。

 

 

公開買付者の前身である日本鉱業は、当社に対しては電線向け銅原料の供給を行っていたところ、電線業界の不振等に伴う資金不足解消を目的とした当社からの資金的援助の要請に応える形で、1954年に当社と資本関係を有するに至りました。それ以降、1992年11月には上述のとおり日本鉱業の金属・金属加工事業を日鉱金属に分離独立させたことに伴い、当時の日本鉱業の保有株式22,257,000株(当該時点における発行済株式総数に対する所有株式数の割合(以下「出資比率」といいます。):30.31%)は日鉱金属が保有することになったとのことです。その後、日鉱金属は、当社による転換社債の転換等により、1994年3月には22,277,000株(出資比率:30.34%)、1995年3月には22,287,000株(出資比率:30.35%)、1997年3月には22,697,218株(出資比率:30.91%)、2000年3月には22,739,218株(出資比率:30.95%)を保有していたとのことです。2006年4月には、新・日鉱金属(上記のとおり、2006年4月1日付の日鉱金属の合併・統合により新・日鉱金属が発足しているとのことです。)の保有株式22,739,218株(出資比率:32.41%)は新日鉱ホールディングスが保有することになったとのことです。2010年7月には、新日鉱ホールディングスの保有株式22,739,218株(出資比率:32.41%)はJXホールディングス(2017年4月にJXTGホールディングス株式会社に商号変更、現在はENEOSホールディングス)が保有することになったとのことです。

 

公開買付者は、本格的なIoT、AI社会の到来に向けて、使用される電子部品やデバイス数の飛躍的な増加に対応するため、2017年度から2019年度までの中期経営計画において「技術立脚型事業群としての電材加工事業の育成・強化」を図ることとしていたとのことです。その一環として、公開買付者は2018年6月27日付で当時のJXTGホールディングス株式会社が保有していた当社株式(22,739,218株、出資比率:32.41%)を取得し、当社と直接の資本関係を持ち、関係を強化することで、電子材料を中心とした金属事業の川下分野により迅速かつ効果的に事業展開できるよう、当社を持分法適用関連会社化したとのことです。これにより、公開買付者が当社に対して、電気銅や金ショット・銀ボール及び圧延銅箔等の供給等を行うことに加えて、両社双方がスタートアップの技術や事業に関する情報をスタートアップイベント、ベンチャーキャピタル等を通じて入手し、お互いに情報交換を進めながら、両社の事業に貢献する可能性のあるスタートアップを日本国内外で探索する等、技術面における連携を深めてきたとのことです。

 

当社グループでは、2017年5月12日に、経営理念の実現に向けて、2017年から2025年までの9年間における事業運営の在り方についてグループの有するコアコンピタンスや今後の目指すべき方向・ありたい姿(ビジネスモデル)を定めた長期事業戦略である「2025長期ビジョン」を策定いたしました。長期ビジョンの実行にあたっては、当社グループの有する各事業の成長段階・競争力等に応じ「利益追求事業」、「成長追求事業」、「中長期育成事業」の3つのグループに分類した上で、第1期(2017~2019年度)、第2期(2020~2022年度)、第3期(2023~2025年度)に区切り、事業展開を進めてまいりました。

しかしながら、2025長期ビジョン第2期(2020~2022年度)の最終年度である2022年度では、半導体不足の段階的解消、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題からの経済活動回復等を見込んでおりましたが、エネルギー・原材料価格の高騰及び成長追求事業の収益貢献の遅れ等を主因に大幅な計画未達となっており、2025長期ビジョン第3期(2023~2025年度)の目標・達成時期等の再検証が必要な状況と認識しておりました。また、2023年度は、足元の業績回復を最優先課題として当社グループを挙げて集中して取り組み、一定の成果をあげたものの、資源・エネルギー価格が高水準で推移し、それに伴う物価・労務費の上昇等、不透明な事業環境が継続していることを踏まえ、2025長期ビジョン第3期(2023~2025年度)の目標・達成時期等は2024年度も検討を継続することとしております。なお、長期ビジョンにおいて、当社グループは、2025年度には売上高1,000億円・営業利益100億円を達成することを目標とし、電線・電子材料関連のフロンティアを開拓して、独創的な先端部品・素材を供給するニッチトップサプライヤーとなることを目指しております。そのために、特に市場の拡大が期待される機能性ペースト分野及び医療機器部材分野においては積極的に投資を実行して成長を追求し、その他の既存事業分野においては効率化投資の推進、高機能製品へのシフト等により回収利益の最大化を追求することを基本としております。

 

不透明かつ厳しい事業環境にはありますが、当社グループとしては、当社グループの提供する製品・サービスは、IoT(モノのインターネット化)、AI(人工知能)、5G通信の進展、医療の高度化等に伴い必要とされるものであり需要は拡大するとの中長期的な見方に変更はなく、各種課題に対処するとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題によって停滞した経済活動の回復に合わせ拡販・製品開発活動に努めてまいります。

各事業における主な取り組みとしては以下のとおりです。

(a) 電線・ケーブル事業

当社グループは、通信電線事業及び国内機器用電線事業を利益追求事業と、海外機器用電線事業を中長期育成事業と位置づけ、これまで「新市場・海外市場への展開」、「高機能・差別化新製品の開発」及び「事業提携を含めた製品ラインアップ拡充と生産販売体制強化策の企画・実行」を進めるべく、2021年7月に通信電線事業本部と機器用電線事業本部を「ワイヤー&ケーブル事業本部」として統合するとともに「市場開発部」を新設し、海外機器用電線事業の拠点である常州拓自達恰依納電線有限公司にて営業拠点を拡充しておりましたが、今後は増産・増販に向けて営業・生産のネットワーク作りを進めてまいります。

(b) 電子材料事業

当社グループの主力製品である機能性フィルムについて、携帯通信機器における通信高度化に向けてミリ波(注10)対応基地局・機種の普及が予想されておりますが、当社グループは、既にミリ波対応のシールドフィルムを開発しており、本格的な普及に合わせて事業機会拡大につなげております。加えて、今後ますます成長が予想される車載向けセンサーやカメラ、インバーター(注11)、パワーウインドウ、ヘッドライト等の電子部品の電磁波遮断を目的にした高耐熱シールドフィルムを開発いたしました。当社グループとしては、車載向けシールドフィルムをスマートフォン向けに次ぐ事業の柱とすべく精力的に取り組んでおります。

また、成長追求事業として位置付けている機能性ペーストにつきましては、顧客企業の認定活動の停滞等もあり、収益貢献が大幅に遅れておりますが、顧客企業での材料認証も進んでおり、引き続き顧客企業からの要請に的確に応え量産化段階に進めるべく精力的に取り組んでおります。

(c) センサー&メディカル(医療機器部材)事業

当社グループは、成長追求事業として位置付けているメディカル(医療機器部材)事業において、当社グループの有する光ファイバ技術を活用した低侵襲がん治療(注12)向けPDTプローブ(注13)の生産・販売を開始するとともに、大手医療機器メーカーからのOEM製品の量産化も開始いたしました。また、先進的な医療技術製品の開発に取り組むスタートアップ企業への出資・業務提携も開始し、両社製品の量産段階での製造受託さらには当社グループ技術との融合による新製品開発等に取り組んでおります。

(d) 環境分析事業

当社グループは、今後のさらなる成長を目指し、ダイオキシン分析の短納期化や、土壌分析等の地盤環境事業のワンストップ化等、事業の一環の高付加価値化を推進するとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)化による効率化・サービスの品質向上を進めてまいります。

(注10) 「ミリ波」とは、電波の中で、波長が1~10ミリメートル、周波数が30~300ギガヘルツのものをいいます。

(注11) 「インバーター」とは、直流電流を交流電流に変換する回路をいいます。

(注12) 「低侵襲がん治療」とは、身体への負担が小さいがん治療をいいます。

(注13) 「PDTプローブ」とは、「Photodynamic Therapy」の略で、光線力学的療法をいいます。

 

 

公開買付者は、公開買付者及び当社が属する非鉄金属産業を取り巻く環境は大きく変容しつつあり、資源不足・枯渇の深刻化、国内市場の縮小、先端素材に対するニーズの拡大等、様々な対応が求められる状況にあると考えているとのことです。こうした状況の中、公開買付者グループにおいては、グローバル企業として持続的な成長とSDGsをはじめとする国際的な開発目標への取り組みの両立が必須であるものと認識しており、「技術立脚型企業」への変革により先端素材で社会の発展と革新に貢献するグローバル企業となることを目指して、上記のとおり、2019年6月27日に「2040年 JX金属グループ長期ビジョン」を公表したとのことです。公開買付者は、成長戦略のコアである「フォーカス事業」の更なる発展と、組織基盤を支えるための「ベース事業」の両立により、国際競争の中にあっても持続的成長と高収益体質を実現するとともに、SDGsが目指す持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでいるとのことです。一方で、公開買付者は、当社においても、祖業である電線・ケーブル分野における国内市場の停滞、同分野における価格競争等を背景に、事業ポートフォリオ変革が急務との認識の下、機能性フィルム等電子材料事業を強化し、加えて、高い収益率と売上規模を両立する会社に成長していくため、2017年5月12日に「2025長期ビジョン」を策定し、電線・電子材料関連のフロンティアを開拓し独創的な先端部品・素材を供給するニッチトップのサプライヤーとなることを目指して、市場の拡大が期待される機能性ペースト事業及び医療機器部品・材料事業における積極的な投資、そして成長追求等、各種取り組みを推進していると認識しているとのことです。

公開買付者は、上記のとおり当社の祖業である電線・ケーブル事業や公開買付者の金属製錬事業をそれぞれ、組織基盤を支える事業としながらも、より成長が期待され、かつ長年にわたり祖業で培った技術を生かせる電子材料関連事業を成長戦略のコアとなる事業に据えている点において、公開買付者は、両社の取り組みが方向性を同じくするものと理解しているとのことです。公開買付者はこれまでも、当社とのシナジーを発揮するために、上記のとおり2018年にJXTGホールディングスが保有していた当社株式を公開買付者に移管するなど、公開買付者のポートフォリオの中で当社の事業をどう位置付けるかについて検討を重ねてきたとのことです。特に、公開買付者が「2040年 JX金属グループ長期ビジョン」を達成するためには、「フォーカス事業」の成長と「ベース事業」の安定化が必要不可欠であるところ、当社の有する電子材料事業及び電線・ケーブル事業の両方が大きな力になると考えているとのことです。

このような中で、公開買付者は、当社との関係をより強化することについて検討を行い、下記(a)乃至(d)のようなシナジーを創出するためには、現在の当社を持分法適用関連会社とする関係では、意思決定のスピード及び効率性、技術情報の秘匿性等の観点から、両社の人材及びノウハウ等の様々な経営資源の相互活用は不十分であるため、下記(a)乃至(d)のようなシナジーを享受し、両社の企業価値の更なる向上を図ることを目的として、経営資源の相互活用に対する制約を排除し一体とすることができる当社を完全子会社とする関係が望ましいと、2022年7月上旬に判断したとのことです。当社においては、本取引により、当社グループの経営の独立性が尊重されつつ、公開買付者グループのリソースを当社が活用できるようになることで、当社の事業を発展させる上で様々な選択肢を得ることができ、さらに積極的な事業運営が可能となり、これが当社グループの従業員のモチベーションの維持及び向上を図ることにもつながるものと考えているとのことです。また、公開買付者は、当社グループの商流や取引先については当社グループの独立性を尊重する方針であり、取引内容への関与は想定していないため、当社グループの重要な取引先との関係に悪影響は生じないものと考えているとのことです。

公開買付者は、本取引を通じて、以下のようなシナジーが期待できると考えているとのことです。

(a) 両社の経営資源の効率的活用

公開買付者は、現状では両社それぞれが、情報共有等における一定の制約のもと、自社事業を最適化する観点を持った上での交流となるため、効果が限定されているところ、両社間におけるより活発な人的交流の実施及び財務基盤をはじめとする諸機能の相互補完や最適化により、当社の長期ビジョン達成並びに今後の継続的な成長に寄与するものと考えているとのことです。具体的には、経営企画・技術戦略や海外拠点、基礎技術開発、スタートアップとの協業、M&Aにおけるネットワーク等の相互補完や最適化を通じて、両社の成長分野におけるグローバルサプライチェーンの進化及びエレクトロニクス市場特有のスピード感への対応が可能となり、加えて、スタートアップ及びM&Aの活用時に必要となる外部の信用を得られる企業規模、リスクに耐えうる資金調達力及びこれらの取り組みを担える人材を強化することが可能となると考えているとのことです。

 

(b) 重要技術における更なる連携

公開買付者は、現状では秘匿性の高い知的財産については両社間で非開示となっているところ、本取引を通じて公開買付者グループ及び当社がそれぞれ独自に有する知見・技術・情報・資材・ノウハウ等が統合され、それらの多様性及び深度が増すことにより、両社において自社の製品を相手方に販売してもらうクロスセルや公開買付者が当社の事業部門や開発部門のために、技術課題の解決に資する技術を探索する活動であるテックスカウティング等を含めて長期的な目線で相互補完の効果が期待できると考えているとのことです。また、これらの利用機会を最大化することにより、当社研究開発品の利用価値及び研究開発の成功率向上に寄与する可能性があると考えているとのことです。

(c) 電子材料分野における事業競争力の更なる強化

公開買付者は、現状当社では両社の経済的メリットの観点から技術系人材の交流や技術開発センターの活用は未実施となっており、また、情報管理の観点から顧客情報や市場情報を公開買付者から当社に共有できていないとのことですが、本取引を通じてこれらの制約を排除し、機能性フィルム事業や機能性ペースト事業、医療機器部材事業等、開発分野での協業体制の更なる推進や、公開買付者サプライチェーンにおける情報網の活用による当社電子材料の拡販等を行うことにより、当社事業の更なる成長に寄与するものと考えているとのことです。公開買付者は、具体的な協業体制としては、公開買付者の有する高性能圧延銅箔技術、金属薄膜の成膜技術及びシミュレーション技術の活用による新製品開発等を期待できると考えているとのことです。

(d) 当社電線・ケーブル事業及び公開買付者金属事業の事業基盤の強化

公開買付者は、本取引を通じて現状電線・ケーブルの原料である電気銅の売買取引を行っている両社の利益相反関係が解消されることにより、公開買付者/当社双方における電気銅の安定調達/供給体制をさらに強化することが可能となり、また、スクラップ集荷網等の公開買付者グループ及び当社グループの経営資源の利活用・連携を進めることで、銅スクラップの安定確保や、リサイクル促進によるSDGs推進体制の構築にも繋がるものと考えているとのことです。特に、両社間で共有する情報の量・質の向上や需要に応じた公開買付者から当社への優先的な銅原料の供給、当社から公開買付者へのスクラップ供給関係がより強固になることによる公開買付者におけるリサイクル原料比率の向上が期待できると考えているとのことです。

 

 

公開買付者は、上記の検討を踏まえ、2022年7月中旬、公開買付者及び当社から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を選任し、2022年7月下旬、リーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所(現在は西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)を選任することで、本取引に関する検討体制を構築し、社内検討を行った上で、2022年9月26日に、当社に対して公開買付けを通した完全子会社化の具体的な提案書(以下「本提案書」といいます。)を提出したとのことです。その後、当社にて本特別委員会を設置する等の体制構築を行いました。

その上で、公開買付者は、本取引の実現可能性の精査のためのデュー・ディリジェンスを2022年11月上旬から2022年12月上旬まで実施したとのことです。それと並行して、2022年11月下旬より、当社との間で、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)に関する協議を重ねてきたとのことです。具体的には、公開買付者は、2022年11月25日に本公開買付価格に関する最初の提案(1株当たり610円、提案日である2022年11月25日時点の終値446円に対して36.77%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じです。)プレミアム)を行ったとのことです。公開買付者は、2022年11月29日に本特別委員会から、妥当な価格に達していないとの理由で提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、その後、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券と本公開買付価格の検討を行い、当社に対して、2022年12月6日に本公開買付価格に関する2回目の提案(1株当たり680円、提案日である2022年12月6日の終値425円に対して60.00%プレミアム)を行ったとのことです。公開買付者は、2022年12月8日に本特別委員会から、依然として妥当な価格に達していないとの理由で再度提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、その後、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券と本公開買付価格の検討を行い、当社に対して、2022年12月9日に本公開買付価格に関する3回目の提案(1株当たり710円、提案日である2022年12月9日の終値426円に対して66.67%プレミアム)を行ったとのことです。公開買付者は、2022年12月12日に本特別委員会から、依然として妥当な価格に達していないとの理由で再度提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、その後、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券と本公開買付価格の検討を行い、当社に対して、2022年12月14日に本公開買付価格に関する4回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月14日の終値430円に対して67.44%プレミアム)を行ったとのことです。公開買付者は、2022年12月15日に本特別委員会から、依然として妥当な価格に達していないとの理由で再度提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、その後、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券と本公開買付価格の検討を行い、4回目の提案は公開買付者として想定できるシナジーを含めて当社の価値を最大限反映したものであり、当該価格以上の上乗せは困難であるとの結論に至ったことから、当社に対して、2022年12月16日に本公開買付価格に関する5回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月16日の終値422円に対して70.62%プレミアム)を行ったとのことです。公開買付者は、2022年12月19日に本特別委員会から、依然として妥当な価格に達していないとの理由で再度提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、その後、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券と本公開買付価格の検討を行い、4回目の提案は公開買付者として想定できるシナジーを含めて当社の価値を最大限反映したものであり、当該価格以上の上乗せは困難であるとの結論に至っていることに加えて、当社株主の皆様に当社の将来的な成長の価値を享受いただける価格であるとして、当社に対して、同日に本公開買付価格に関する6回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月19日の終値424円に対して69.81%プレミアム)を行ったとのことです。そして、当該協議・交渉の結果、公開買付者と当社は、2022年12月19日、本公開買付価格を720円とすることで合意に至ったとのことです。

これらの協議・交渉を経て、公開買付者は2022年12月21日開催の取締役会において、本公開買付前提条件が充足されていること(又は放棄されていること)を条件として、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として本公開買付けを実施すること、本公開買付価格を720円とすることについて決議し、同日付で公開買付開始予定プレスリリースを公表したとのことです。なお、上記の公開買付者における取締役会決議に至るまでの間、上記の公開買付者と当社との間の協議・交渉の進展に応じて、ENEOSホールディングス取締役会にて当該協議・交渉の内容の報告が為されているとのことです。その上で、ENEOSホールディングスは2022年12月21日開催の取締役会において、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、本公開買付価格を720円とすることについて決議したとのことです。その後、当社は最新で2024年6月21日に当社第100期有価証券報告書を提出しております。上記を踏まえても、公開買付者として、当社の企業価値に重大な影響を与える事象はないと考え、本公開買付価格を変更せず本公開買付けを開始することとしたとのことです。

 

また、公開買付者は、上記「①本公開買付けの概要」に記載のとおり、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応を終えることを含む本公開買付前提条件が充足されたことを2024年6月20日に確認し、同日付で、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを決定したとのことです。なお、公開買付者が公開買付開始予定プレスリリースにおいて公表したとおり、ENEOSホールディングスは2022年12月21日開催の取締役会において、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、本公開買付価格を720円とすることについて決議しているとのことですが、本公開買付けの開始にあたり、当該決議内容を超える意思決定が必要となる場合を除き、ENEOSホールディングスの取締役会決議は求められていないとのことです。

 

(ⅱ)本公開買付け後の経営方針

本取引が成立した後の経営方針については、公開買付者は、当社グループの企業価値向上のための経営戦略の具体的な施策として、主に上記の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景及び目的」に記載の各施策を講じることを考えているとのことですが、具体的な内容及び方法については、本取引完了後に当社グループと協議しながら決定していく予定であるとのことです。

なお、公開買付者は、本取引後も、当社グループの経営の独立性を尊重し、当社グループの事業、従業員の雇用及び処遇を維持する方針であり、当社グループの商号・ブランド、スタートアップ企業に対する出資・連携等の取り組みを維持する予定とのことです。また、公開買付者によれば、本取引後も当社グループには、「2025長期ビジョン」に掲げる方針及び目標の実現に向けて独立性を有した経営を行っていただき、公開買付者は当該ビジョンの実現のために助力すること、シナジーの実現にあたっては当社グループと十分に協議して進めることを考えているとのことです。その他、今後の当社グループの役員体制につきましては本書提出日現在において未定であるとのことです。詳細につきましては今後当社グループと協議しながら決定していく予定とのことです。

③ 当社における意思決定に至る過程及び理由

上記「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景及び目的」に記載のとおり、当社は、2022年9月26日、本提案書を受領しました。当該提案を踏まえ、当社は、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2022年10月11日、当社の社外取締役である花井健氏、原戸稲男氏(弁護士)及び谷口悦子氏(公認会計士)の3名によって構成される、公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立した、本特別委員会を設置し(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、同日付で、フィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任しております。また、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤当社における利害関係を有しない取締役の承認」に記載のとおり、公開買付者グループ及び当社グループから独立した立場で、本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行う体制(本公開買付けの検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築し、検討を進めてまいりました。

当社は、上記体制を整備した後、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、みずほ証券及びTMI総合法律事務所の助言を受けながら、本公開買付けの実行の是非に関して公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を行いました。

 

具体的には、当社は、公開買付者から、2022年11月25日に本公開買付けに関する最初の提案(1株当たり610円、当該時点の終値446円に対して36.77%プレミアム)を受けましたが、2022年11月29日に、当社株式の市場株価の過去推移、当社のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券による株式価値評価の試算、及び東京証券取引所や経済産業省等において議論されているとおり、PBR1倍の水準は当社の株主より広く意識されうる基準の一つであること等を総合的に勘案した結果、公開買付者に対して、妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、2022年12月6日に、公開買付者から、本特別委員会からの再検討の要請を踏まえて本公開買付価格に関する2回目の提案(1株当たり680円、提案日である2022年12月6日の終値425円に対して60.00%プレミアム)を受けましたが、2022年12月8日に、上記の考え方に基づき、いまだ妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、2022年12月9日に、公開買付者から、本特別委員会からの再検討の要請を踏まえて本公開買付価格に関する3回目の提案(1株当たり710円、提案日である2022年12月9日の終値426円に対して66.67%プレミアム)を受けましたが、2022年12月12日に、上記の考え方に基づき、いまだ妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、2022年12月14日に、公開買付者から、本特別委員会からの再検討の要請を踏まえて本公開買付価格に関する4回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月14日の終値430円に対して67.44%プレミアム)を受けましたが、2022年12月15日に、いまだ妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、本公開買付価格に関する4回目の提案は公開買付者として想定できるシナジーを含めて当社の価値を最大限反映したものであり、当該価格以上の上乗せは困難であるとして、2022年12月16日に、本公開買付価格に関する5回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月16日の終値422円に対して70.62%プレミアム)を受けましたが、2022年12月19日に、いまだ妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、本公開買付価格に関する4回目の提案は公開買付者として想定できるシナジーを含めて当社の価値を最大限反映したものであり、当該価格以上の上乗せは困難であるとの結論に至っていることに加えて、当社株主の皆様に当社の将来的な成長の価値を享受いただける価格であるとして、同日に、本公開買付価格に関する6回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月19日の終値424円に対して69.81%プレミアム)を受けました。

その上で、当社は2022年12月21日に、みずほ証券から2022年12月20日付けで取得した株式価値算定書(以下「2022年12月当社株式価値算定書」といいます。)の内容、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2022年12月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら(2022年12月20日付答申書の概要については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本取引について、企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。

 

 

その結果、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであると判断しております。

当社は、上記「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景及び目的」に記載のような市場環境及び経済状況を踏まえ、当社の長期ビジョンの目標・達成時期等の再検証が必要な状況と認識している中で、当社が公開買付者グループに入り、当社の経営の独立性を尊重されつつ、公開買付者グループのリソースを当社が活用できるようになることで、当社の事業を発展させる上で様々な選択肢を当社が得ることができ、さらに積極的な事業運営が可能となると考えております。また、それにより当社の従業員が取り組むことができる業務の領域が広がるため、当社が上場会社でなくなったとしても、当社の従業員のモチベーションの維持及び向上を図ることは可能と考えています。さらに、公開買付者は、当社の商流や取引先については当社の独立性を尊重する方針であり、取引内容への関与は想定していないため、当社の重要な取引先との関係に悪影響は生じないものと考えております。

 

当社は、本取引を通じて、以下のような効果を期待し得ると考えています。

(a) 両社の経営資源の効率的活用

両社間におけるより活発な人的交流の実施及び財務基盤等、諸機能の相互補完や最適化により、当社の長期ビジョンの達成及び今後の継続的な成長に寄与するものと考えています。具体的には、経営企画・技術戦略や海外拠点、M&Aにおけるネットワーク等の相互補完や最適化を通じて、両社の成長分野におけるグローバルサプライチェーンの進化及びエレクトロニクス市場特有のスピード感への対応が可能となり、加えて、スタートアップ及びM&Aの活用時に必要となる外部の信用を得られる企業規模、リスクに耐えうる資金調達力を強化することが可能となると考えております。

(b) 電子材料分野における事業競争力の更なる強化

機能性フィルム事業や機能性ペースト事業、医療機器部材事業等、開発分野での協業体制の更なる推進や、公開買付者のサプライチェーンにおける情報網の活用による当社電子材料の拡販等を行うことにより、当社事業の更なる成長に寄与するものと考えております。具体的な協業体制としては、公開買付者の有する高性能圧延銅箔技術、金属薄膜の成膜技術及びシミュレーション技術の活用による新製品開発等を期待できると考えております。

(c) 電線・ケーブル分野の事業基盤の強化

公開買付者/当社双方における電気銅の安定調達/供給体制をさらに強化することが可能となり、また、スクラップ集荷網等の公開買付者グループ及び当社グループの経営資源の利活用・連携を進めることで、銅スクラップの安定確保や、リサイクル促進によるSDGs推進体制の構築にも繋がるものと考えております。特に、両社間で共有する情報の量・質の向上や需要に応じた公開買付者から当社への優先的な銅原料の供給、当社から公開買付者へのスクラップ供給関係がより強固になることにより公開買付者における電気銅リサイクル原料比率の向上が期待できると考えております。また、長期的には、電気銅リサイクル原料比率が向上することで、差別化の難しい電線ケーブル事業製品の付加価値向上、事業機会拡大に繋がる可能性があると考えております。加えて、公開買付者の有する海外拠点・海外ネットワーク等を活用することを通じて、電線・ケーブル分野の海外展開を促進させることができる可能性があると考えております。

(d) 上場維持コスト及び管理部門における業務負担軽減

当社株式の上場を維持するための体制については、近年の新市場区分における上場維持基準への対応やコーポレートガバナンス・コードの改訂等年々強化することが求められています。これらに対応するための上場維持コストは年々増大しており、本取引により公開買付者のみが当社の株主となり完全子会社となることによって、上場維持コスト及び上場維持のための業務負担を軽減できるものと考えております。

 

 

また、当社は、本公開買付価格について、上記の協議・交渉を踏まえ、(ⅰ)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「②当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による2022年12月当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価基準法及び類似企業比較法の算定結果の上限を上回っており、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額となっていること、(ⅱ)本公開買付価格が、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値419円に対して71.84%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値430円に対して67.44%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値438円に対して64.38%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例50件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して39.87%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.81%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して43.36%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して44.58%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して43.42%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して43.18%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.02%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して43.56%))と比して相当なプレミアムが付されていると考えられること、(ⅲ)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤当社における利害関係を有しない取締役の承認」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られたうえで、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で十分な交渉を重ね、公開買付者より本公開買付価格の引き上げ余地がこれ以上存在しない旨複数回主張される水準まで引き上げられた経緯の下で決定された価格であること、(ⅳ)本公開買付価格は、当社の2022年9月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(778.83円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2022年9月末)上、資産全体(58,704百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,393百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(3,085百万円))の割合は19.55%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられること等を踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。

以上より、当社は、2022年12月21日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

 

また、上記取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した本特別委員会に対して、本特別委員会が2022年12月20日付で当社取締役会に対して提出した2022年12月20日付答申書の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。

 

 

その後、2022年12月21日時点以降、当該時点の想定以上に中国競争法の審査が長期化しており、公開買付けの開始予定の公表日から公開買付けが開始されるまでの期間(以下「公開買付予告期間」といいます。)が本邦でも有数の水準で長期となる見込みであること、また、2022年12月21日から2024年3月8日までの東証株価指数(TOPIX)が44.02%上昇しており、公開買付予告期間における東証株価指数(TOPIX)の上昇率が本邦でも有数の水準で高い数値となる可能性があることを踏まえ、本特別委員会は、2024年3月8日以降、本公開買付けの開始時点における本公開買付けへの賛同及び応募推奨の可否等についての検討を再開しました。

具体的には、2024年3月11日に、本特別委員会は公開買付者に対して、公開買付けの開始の遅れに関連して、中国競争法対応の長期化の理由及び本公開買付けの開始時期の後ろ倒しによる影響や、本公開買付価格に関連して、2022年12月21日以降、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価が上昇基調にあることを踏まえて本公開買付価格の変更に係る検討状況について質問し、2024年3月22日に公開買付者からこれらに対する回答(以下「第1回公開買付者回答」といいます。)を受領しました。当該回答によれば、公開買付者は、公開買付けの開始の遅れに関連する質問に対しては、中国競争法の審査において当社と協力の上で、一貫して早期の中国競争法のクリアランス取得に向けて最大限の努力をしていることに加えて、本公開買付けの開始時期の後ろ倒しの影響について懸念している事項は特段無く、2022年12月21日時点に想定していたシナジーの一部が期待できないといったことはないと考えているとのことでした。また、本公開買付価格に関連する質問に対しては、公開買付者としても、2022年12月21日時点から第1回公開買付者回答時点にかけて株式市況全体は上昇基調にあることは認識しているものの、全ての企業が必ずしも市場株価が上昇しているとは限らず、個別企業の状況に応じて市場株価は推移しているものと理解している中で、公開買付者は、当社の業績が、当社が作成した事業計画対比で未達成の期があること等を総合的に考慮しても、本公開買付価格の変更を検討する必要はないと考えているとのことでした。

その後、本特別委員会は中国競争法の審査における論点が限定されつつある状況や、第1回公開買付者回答を踏まえた上で、2024年5月30日に、当社は公開買付者に対して、本取引の目的に関連して、本取引の目的の変更の有無及び本公開買付け後の経営方針の変更の有無や、第1回公開買付者回答時点から2か月以上が経過していたことを踏まえた最新の時点における本公開買付価格に関連する公開買付者の見解に加えて、中国競争法対応の長期化に関連して、2022年12月21日時点での長期化の予見可能性に関する公開買付者の見解について質問し、2024年6月6日に公開買付者からこれらに対する回答(以下「第2回公開買付者回答」といいます。)を受領しました。当該回答によれば、公開買付者は、本取引の目的に関連する質問に対しては、2022年12月21日以降に変更が生じたと認識している事由が特段無いことに加えて、本公開買付け後の経営方針についても変更はなく、本公開買付け以降も当社グループの経営の独立性を尊重し、原則として現行の経営方針を維持することを想定しているとのことでした。また、本公開買付価格に関連する質問に対しては、公開買付者としても、2022年12月21日時点から第2回公開買付者回答時点にかけて株式市況全体は上昇基調にあることは認識しているものの、全ての企業が必ずしも市場株価が上昇しているとは限らず、個別企業の状況に応じて市場株価は推移しているものと理解している中で、本公開買付価格の妥当性について検討を行ったところ、当社の業績が、当社が作成した事業計画対比で2024年3月期の業績が未達成であること等により、本公開買付価格よりも高い価格を設定することは難しい一方で、当該価格よりも低い価格を設定するべきではないと考えていることから、本公開買付価格を維持することとしたいとのことでした。なお、中国競争法対応の長期化に関連する質問に対しては、公開買付者は専門家の意見も踏まえて中国における競争当局への対応を都度判断していたものの、2022年12月21日時点に中国競争法対応の長期化を予想することは困難であったと考えているとのことでした。

 

本特別委員会は第2回公開買付者回答を受けて、2024年6月10日に、公開買付者に対して、本公開買付価格の引き上げを求める一部の当社株主の意見を踏まえた上での本公開買付価格に関する公開買付者の見解や、公開買付者として中国競争法のクリアランス取得に向けて最大限の努力を尽くしたかという点に関する公開買付者の見解について質問し、当該質問に対しては、2024年6月12日に本特別委員会と公開買付者の代表取締役社長が面談を行い、当該面談にて公開買付者より回答を受けました。当該面談での公開買付者からの回答によれば、本公開買付価格に関しては、株式市況全体の上昇は認識しているものの、本公開買付価格から価格を引き上げることは公開買付者の経済合理性の観点から困難であり、当社の市場株価が本公開買付価格を上回って推移している状況を踏まえても本公開買付価格を引き上げることは困難であるとのことでした。これに加えて、中国競争法対応の長期化に関しては、当社及び公開買付者の事業性が毀損されないよう問題解消措置に関する中国競争当局との協議について慎重に対応していたことで時間を要したものの、本公開買付けを早期に開始すべく適切な対応を進めた結果であったと考えているとのことでした。

 

また、当社は、公開買付者より、中国の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応を終えることを含む本公開買付前提条件がいずれも充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月12日に受けました。当社は、下記「3 本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会に対して、2022年12月20日付答申書の意見の内容に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問しておりました。そこで、本特別委員会は、当社に対して、2022年12月21日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況の変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2022年12月21日以後、2024年6月20日までの事情を勘案しても2022年12月20日付答申書の意見の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年6月20日に、委員全員一致の決議により、当社取締役会に対して、2024年6月20日付答申書を提出いたしました。

 

加えて、当社は2024年6月20日に、みずほ証券から2024年6月19日付で取得した株式価値算定書(以下「2024年6月当社株式価値算定書」といいます。)の内容、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2022年12月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら(2024年6月20日付答申書の概要については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本取引について、企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。

 

その結果、当社は、上記の本特別委員会と公開買付者との質疑の中で、本取引の目的に関して、公開買付者として2022年12月21日時点から変更が生じたと認識している事由が特段無いことや、本公開買付け後の経営方針について、いずれも変更はないことに加えて、本公開買付け後も公開買付者はこれまでと同様に当社グループの経営の独立性を尊重し、原則として現行の経営方針を維持する想定であることを確認いたしました。これを踏まえ、本取引は、2024年6月20日時点においても引き続き当社の企業価値の向上に資するものであると判断しております。

 

 その上で、当社は、本特別委員会から提出された2022年12月20日付答申書及び2024年6月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境及び上記の公開買付者への確認を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行ってまいりました。その結果、当社は、本公開買付価格について、(ⅰ)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「②当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による2024年6月当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価基準法及び類似企業比較法の算定結果の上限を上回っており、DCF法の算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額となっていること、(ⅱ)本公開買付価格は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値419円に対して71.84%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値430円に対して67.44%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値438円に対して64.38%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例66件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して38.72%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.17%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.13%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.80%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して40.67%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.68%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して40.23%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して40.88%))と比して相当なプレミアムが付されていると考えられる(なお、本公開買付けの開始予告の公開日の前営業日を基準としたプレミアム率・ディスカウント率を踏まえた検討は行っていない)ことに加えて、かかるプレミアムの水準は公開買付予告期間の株式市況全体の上昇率(2022年12月21日から本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日までの東証株価指数(TOPIX)の上昇率は44.12%)を踏まえても一定のプレミアムが付されていると考えられること、(ⅲ)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤当社における利害関係を有しない取締役の承認」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られたうえで、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で本公開買付価格の引き上げに関する検討状況を複数回質問し、書面を通じた質疑を重ねたことに加えて、本特別委員会は公開買付者の代表取締役社長と面談を実施し、公開買付者としては、当社の市場株価が本公開買付価格を上回って推移していることを踏まえても本公開買付価格を引き上げることは困難であることを公開買付者の代表取締役社長より直接確認する等、本公開買付価格の引き上げの余地が存在しない旨を公開買付者に対して複数回確認した価格であること、(ⅳ)公開買付予告期間において、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価は上昇基調にあるものの、個別企業の状況に応じて市場株価は推移している中で、国内電線メーカー各社は中期経営計画又は業績予想を一定程度達成していることが認められる一方、当社は2025長期ビジョン及び2022年12月当社株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画と比較して2023年3月期及び2024年3月期の業績が下振れていること(当社は、2017年5月12日公表の2025長期ビジョンにおいて2023年3月期の目標営業利益70億円を掲げていたのに対して、2023年3月期の実績値は営業利益約17億円であり、公表済みの目標営業利益対比で実績営業利益が75.71%下振れていること。なお、2025長期ビジョンは2022年12月当社株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画とは異なるもの)を踏まえると、本公開買付けが公表されていなかった場合の当社の市場株価が、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価と同様に上昇していたとは必ずしも言い切れないと考えられること、(ⅴ)2024年6月12日以降、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日時点までに当社の市場株価は本公開買付価格を上回って推移しているものの、当該市場株価の推移の理由としては、中国における競争法上の届出の承認がなされたのが2024年6月11日であることを踏まえても、主に本公開買付けの開始に伴う市場参加者の期待心理に基づく、当社の一部株主による売買の結果として上昇したものと考えることが合理的であることに加えて、足許の市場株価で売却(株式の現金化)できるのは当社の一部の株主に限定され、当社の全ての株主に本公開買付価格で当社株式を現金化する機会を提供することができる公開買付者の提案は、引き続き当社の株主の利益に資するものと考えられること、(ⅵ)本書提出日時点で公開買付予告期間が1年6ヶ月となっていることを踏まえると、公開買付者以外の者にも当社株式の買付け等を行う機会は実質的に確保されていたにもかかわらず、本書提出日時点で公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)が現れていないこと、(ⅶ)本公開買付価格は、当社の2024年3月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(828.50円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2024年3月末)上、資産全体(61,119百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,112百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(2,633百万円))の割合は17.58%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられること等を踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。

 

なお、当社は、2022年12月21日以後、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当を実施していないところ、当該事情は、上記結論に影響を与えないものと判断いたしました。すなわち、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券は、当社株式の1株当たりの株式価値の算定にあたって、市場株価法、類似会社比較法及びDCF法を用いており、当該算定においては、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当も行われないことを前提としているとのことであるところ、みずほ証券によれば、本公開買付価格が上記の前提の下で決定されている場合において、仮に配当が実施された場合、当社の総資産のうち、株主への配当相当分が減少することに伴い当社株式の1株当たりの株式価値が減少するとのことですので、当社が2022年12月21日以後、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当を行った場合、公開買付者において、当該配当金額分、本公開買付価格の引下げを行うことについて合理性が認められることとなります。したがって、これらの剰余金の配当が実施されなかったことは、本公開買付価格が妥当であるとする判断に影響を与えないものと判断いたしました。

 

以上より、当社は、2024年6月20日においても、2022年12月21日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、当社は、2024年6月20日開催の当社取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしております。

 

2022年12月21日開催の取締役会及び2024年6月20日開催の取締役会における各取締役会決議の詳細は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤当社における利害関係を有しない取締役の承認」をご参照ください。

 

 

(3) 算定に関する事項

① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

当社は、公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立した第三者算定機関として、みずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2022年12月20日に、2022年12月当社株式価値算定書を取得いたしました。また、当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、2022年12月21日から2024年6月19日までの間の当社株式の価値の変動の有無及びその内容を検討し、本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するため、2024年6月19日付で、下記に記載の前提条件その他一定の条件の下で、2024年6月当社株式価値算定書を取得しました。なお、みずほ証券は、公開買付者及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、みずほ証券は、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)と同じ株式会社みずほフィナンシャルグループの一員であり、みずほ銀行は、公開買付者及び当社に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っておりますが、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、みずほ証券は、法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で、当社の株式価値の算定を行っているとのことです。当社は、当社の株式価値算定にあたり、みずほ証券において適切な利益相反管理体制が構築され、かつ実施されていると判断し、みずほ証券を第三者算定機関に選定いたしました。なお、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」乃至「⑥他の買付者からの買付機会を確保するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、みずほ証券から本公開買付けの価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、本取引に係るみずほ証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりせん。

 

② 算定の概要
(ⅰ)2022年12月当社株式価値算定書の概要

みずほ証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準法を、比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社の市場価値との比較において株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値算定を行っております。

みずほ証券が上記の手法に基づいて算定した当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

 

市場株価基準法 : 419円から451円

類似企業比較法 : 244円から474円

DCF法      : 266円から1,044円

 

市場株価基準法では、算定基準日を2022年12月20日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値419円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値430円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値438円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値451円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を419円から451円と算定しております。

 

類似企業比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を行い、当社株式の1株当たりの価値の範囲を244円から474円までと算定しております。

DCF法では、当社が作成した2023年3月期から2026年3月期までの事業計画における収益予測及び投資計画を前提として、当社が2023年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値及び株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を266円から1,044円と算定しております。

なお、DCF法による算定に用いた2023年3月期から2026年3月期までの当社の事業計画(連結)には大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれます。具体的には、2024年3月期において、電線・ケーブル事業の売上高の水準が2022年下期と同程度の水準で推移することに伴い運転資本の増減が殆ど見込まれないことから、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおりました。2026年3月期において、電線・ケーブル事業で注力分野である産業機器電線の拡販やコスト改善、電子材料事業で中国やマレーシアでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウンや半導体不足等による影響からの回復及び認証取得済みの新製品の拡販及びセンサー&メディカル(医療)事業での受注拡大が進むことに伴い、前年度比35.4%の営業利益の増益を見込んでいることに加えて、電線・ケーブル事業における大型の設備投資が完了することで設備投資額が減少することからフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおりました。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、当該時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。また、当社が2022年10月28日付けで公表した「2023年3月期第2四半期(累計)の業績予想値と実績値の差異および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、当社の2023年3月期通期連結業績予想数値につきましては下方修正しておりますが、当該修正は本取引とは関係なく実施しております。

みずほ証券は、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報(前記の事業計画を含みます。)については、当社の経営陣による当該時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当該財務予測については、本特別委員会が当社との間で質疑応答を行うとともに、その内容や前提条件等の合理性を確認しております。

 

(ⅱ)2024年6月当社株式価値算定書の概要

みずほ証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準法を、比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社の市場価値との比較において株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値算定を行っております。

みずほ証券が上記の手法に基づいて算定した当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

 

市場株価基準法 : 419円から451円

類似企業比較法 : 303円から593円

DCF法      : 413円から861円

 

 

市場株価基準法では、2022年12月21日付の当社プレスリリースによる本公開買付価格を含む本公開買付けについての公表により、当社の株価が影響を受けたと考えられることを踏まえ、かかる公表による影響を受ける直前の営業日である2022年12月20日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値419円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値430円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値438円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値451円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を419円から451円と算定しております。

類似企業比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を行い、当社株式の1株当たりの価値の範囲を303円から593円までと算定しております。

DCF法では、当社が作成した2025年3月期から2029年3月期までの事業計画における収益予測及び投資計画を前提として、当社が2025年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値及び株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を413円から861円と算定しております。

なお、DCF法による算定に用いた2025年3月期から2029年3月期までの当社の事業計画(連結)には大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれます。具体的には、2026年3月期において、電線・ケーブル事業の運転資本が増加するものの、電子材料事業の営業利益が増加することや当該事業の大規模設備完成が後ろ倒しになったことに伴い2025年3月期に一時的に増加した設備投資額が2024年3月期と同程度の水準に減少することから、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。2027年3月期において、電子材料事業の営業利益が増加することに加えて、2026年3月期に一時的に増加した投融資額が2025年3月期と同程度の水準に減少することから、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。また、2028年3月期において、電線・ケーブル事業で注力分野である産業機器電線の拡販や、電子材料事業で注力分野であるアドバンストペーストの新製品の拡販及びコスト改善に伴い、前年度比33.3%の営業利益の増益を見込んでいることに加えて、電線・ケーブル事業における大型の設備投資や電子材料事業における各拠点の更新投資が完了することで設備投資額が減少することからフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、2024年6月当社株式価値算定書の日付(2024年6月19日)時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。

みずほ証券は、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報(前記の事業計画を含みます。)については、当社の経営陣による当該時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当該財務予測については、2022年12月当社株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画と比較して、電子材料事業における新製品の立ち上がりの遅れ(期ずれ)を主因として業績が下振れておりますが、当該財務予測全体としては、引き続き計画期間最終期(2029年3月期)の業績は2022年12月当社株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画における最終期(2026年3月期)と殆ど同水準となることを見込んでおり、本特別委員会が当社との間で質疑応答を行うとともに、その内容や前提条件等の合理性を確認しております。

 

(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とするための本取引の一環として、本公開買付けを実施するとのことです。本公開買付けが成立したにもかかわらず、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付け成立後に、以下の方法により、当社株式の全ての取得を目的とした手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。

 

① 株式売渡請求

公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者の所有する当社株式に係る議決権の総数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全てを売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主全員から、その所有する当社株式の全てを取得するとのことです。そして、売渡株主の所有していた当社株式1株当たりの対価として、公開買付者は、各売渡株主に対し、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。

なお、当社は、公開買付者より株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社の取締役会において、かかる株式売渡請求を承認する予定です。

株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法の規定として、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、当該申立てがなされた場合の売買価格は、最終的に裁判所が判断することになります。

 

② 株式併合

本公開買付けの成立後に、公開買付者が当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至らなかった場合には、公開買付者は、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「株式併合」といいます。)及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)の開催を当社に要請する予定とのことです。公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認を頂いた場合には、株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認を頂いた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、交付されるべき株式の数が1株に満たない端数となる株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てが行われる予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定とのことですが、公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。この場合の具体的な手続については、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。

 

株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした規定として、株式併合がなされた場合であって、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 

上記①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があるとのことです。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該当社の株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。

以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。

なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

(5) 上場廃止となる見込み及びその事由

本書提出日現在、当社株式は東京証券取引所プライム市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該上場廃止基準に該当しない場合でも、公開買付者は、その後上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、適用法令に従い、本スクイーズアウト手続により当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社の所有する自己株式を除きます。)を取得することを予定しているとのことですので、その場合には、当社株式は、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、当社株式が上場廃止となった場合は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできなくなります。上場廃止を目的とする理由及び少数株主への影響及びそれに対する考え方については上記「(2)意見の根拠及び理由」の「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」及び上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。

 

(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

当社は、本書提出日現在において公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主との取引等には該当いたしません。もっとも、公開買付者は、本書提出日現在において、当社株式を22,739,218株(所有割合36.81%)所有する当社の主要株主かつ筆頭株主であり、当社を持分法適用関連会社としていること、公開買付者は当社の完全子会社化を目的としていること、当社の役職員に公開買付者の出身者又は同社からの出向者がいること等から、本公開買付けを含む本取引において、公開買付者及び当社は、本公開買付けの段階から本取引の公正性を担保するとともに、本取引に関する当社の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、また利益相反の疑いを回避する観点から、以下のとおり、本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を講じております。また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 

なお、公開買付者は、上記のとおり、本書提出日現在、当社株式22,739,218株(所有割合36.81%)を所有しているため、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定していないとのことですが、公開買付者及び当社において以下の①から⑥までの措置が講じられていることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに当たり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、フィナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、大和証券は公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。大和証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法、当社と比較可能な上場会社が存在し類似会社比較による当社の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、公開買付者は2022年12月20日付で大和証券から算定書(以下「公開買付者算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者は、大和証券から本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

大和証券による当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。

 

市場株価法     419円~451円

類似会社比較法 452円~524円

DCF法       570円~929円

 

市場株価法では、2022年12月20日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値419円、直近1ヶ月間の終値単純平均値430円、直近3ヶ月間の終値単純平均値438円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値451円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を419円から451円までと算定しているとのことです。

類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて当社株式の株式価値を計算し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を452円から524円までと算定しているとのことです。

DCF法では、当社が作成した2023年3月期から2026年3月期までの4期分の事業計画を、直近までの業績動向、公開買付者が当社に対して行ったデュー・ディリジェンスの結果、想定されるシナジー、一般に公開された情報等の諸要素を考慮し、公開買付者において調整を行った当社の事業計画に基づき、2023年3月期第3四半期以降に当社が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を570円から929円と算定しているとのことです。なお、大和証券がDCF法に用いた事業計画は本取引の実行を前提としており、本取引により想定されるシナジー効果を見込んでいるとのことです。

また、大和証券がDCF法に用いた事業計画においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2025年3月期以降において、電線・ケーブル事業で注力分野である産業機器電線の拡販やコスト改善、電子材料事業で中国やマレーシアでの新型コロナウイルス(COVID-19)によるロックダウンや半導体不足等による影響からの回復及び認証取得済みの新製品の拡販、センサー&メディカル(医療)事業での受注拡大及び想定されるシナジー効果の実現に伴い、2025年3月期は前年度比42.8%増、2026年3月期は前年度比39.1%増となることを見込んでいるとのことです。

 

 

公開買付者は、大和証券から取得した公開買付者算定書の算定結果に加え、公開買付者において2022年11月上旬から2022年12月上旬まで実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社の取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2022年12月21日開催の取締役会の決議によって、本公開買付価格を1株当たり720円と決定したとのことです。なお、類似取引事例におけるプレミアムの実例は考慮していないとのことです。その後、当社が最新で本書提出日である2024年6月21日に当社第100期有価証券報告書を提出しておりますが、これらを踏まえても、公開買付者として、当社の企業価値に重大な影響を与える事象はないと考え、本公開買付価格を変更せず本公開買付けを開始することとしたとのことです。なお、上記決定に当たっては、2022年12月20日付の公開買付者算定書に加えて、改めて大和証券から算定書を取得することはしていないとのことです。

なお、本公開買付価格である1株当たり720円は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値419円に対して71.84%、2022年12月20日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値430円に対して67.44%、2022年12月20日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値438円に対して64.38%、2022年12月20日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であります。また、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日の終値794円に対して9.32%、本書提出日の前営業日である2024年6月20日の終値757円に対して4.89%のディスカウントをそれぞれ行った価格であります。

 

② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

当社は、公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立した第三者算定機関として、みずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2022年12月20日に、2022年12月当社株式価値算定書を取得し、2022年12月21日から2024年6月19日までの間の当社株式の価値の変動の有無及びその内容を検討し、本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために2024年6月当社株式価値算定書を取得いたしました。

当社がみずほ証券から取得した2022年12月当社株式価値算定書及び2024年6月当社株式価値算定書の詳細については、上記「(3) 算定に関する事項」の「② 算定の概要」をご参照ください。

 

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ)2022年12月20日付答申書の取得

当社は、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2022年10月11日に、花井健氏(当社社外取締役)、原戸稲男氏(当社社外取締役、弁護士)及び谷口悦子氏(当社社外取締役、公認会計士)の3名から構成される公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立した本特別委員会を設置いたしました(なお、本特別委員会の委員の報酬については、固定額となっており、成功報酬は採用しておりません。また、当社は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。)。

当社取締役会は、本特別委員会設置の決定に際し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項、(ⅱ)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項、(ⅲ)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)及びその他の事項を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付に関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否か(以下「本諮問事項」と総称します。)について諮問いたしました。さらに、当社取締役会は、本取引に関する決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件等について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定(本公開買付けに対する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含む。)を行わないことを併せて決議しております。

 

加えて、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(ⅰ)当社の費用負担の下、本取引に係る調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含む。)を行うことができる権限、(ⅱ)当社に対し、(a)本特別委員会としての提案その他の意見又は質問を公開買付者に伝達すること、及び(b)本特別委員会自ら公開買付者(本取引に係る公開買付者のアドバイザーを含む。)と協議・交渉する機会の設定を求めることができ、また、本特別委員会が当該機会の設定を求めない場合であっても、当社は、公開買付者と協議・交渉を行った場合にはその内容を速やかに本特別委員会に報告し、本特別委員会は、当該内容を踏まえ、公開買付者との協議・交渉の方針について、当社に対して意見を述べ、また、必要な指示・要請を行うことができる権限、(ⅲ)必要と認めるときは、当社の費用負担の下、本特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができ、また、本取引に係る当社のアドバイザーに対して必要な指示を行うことができるほか、必要と認めるときはアドバイザーの変更を求めることができる権限を付与いたしました。これを受けて、本特別委員会は、当社の第三者算定機関及びフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券、並びに当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、当社の第三者算定機関及びフィナンシャル・アドバイザー並びにリーガル・アドバイザーとして承認し、また本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。

本特別委員会は、2022年10月14日より2022年12月20日までの間に合計12回開催され、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われました。具体的には、本特別委員会は、(ⅰ)公開買付者に対する、本取引の目的・背景、本取引の条件及び本取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、(ⅱ)当社に対する、みずほ証券による当社株式の株式価値算定の前提とした事業計画の内容及び策定方法、並びに公開買付者の提案内容及び本取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、並びに(ⅲ)みずほ証券に対する、当社株式の株式価値算定に関する事項のヒアリング等を行っております。

本特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2022年12月20日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、本諮問事項につき大要以下を内容とする2022年12月20日付答申書を提出しております。

(a) 答申内容

① 本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的である。

② 本取引の実施方法や対価の種類を含む本取引の取引条件は妥当である。

③ 本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正である。

④ 上記①乃至③を踏まえ、当社の取締役会が、(ⅰ)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、及び(ⅱ)本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではない。

 

(b) 答申理由

I.本取引の目的の合理性

本特別委員会は、本取引の目的及び本取引が当社の企業価値に与える影響について、当社及び公開買付者から説明を受け、質疑を行った。それらの内容をまとめると、概要は以下のとおりである。

・ 当社グループは、経営理念である「①電線・ケーブル事業及び電子材料事業をコア事業とし、次代を担う事業の開発にも継続的かつ積極的に取り組み、活力・スピード感に溢れ、公正かつ透明性の高い連結経営を推進することにより、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させるとともに、②地球環境問題に配慮しつつ、顧客ニーズにマッチした特長ある商品・サービスを提供することにより、持続的な社会の発展に貢献する」の実現を目指し、電線・ケーブル事業、電子材料事業、センサー&メディカル事業及び環境分析事業を柱に事業活動を展開している。

 

・ 当社グループでは、2017年5月12日に、経営理念の実現に向けて、「2025長期ビジョン」を策定した。長期ビジョンの実行にあたっては、当社グループの有する各事業の成長段階・競争力等に応じ「利益追求事業」、「成長追求事業」、「中長期育成事業」の3つのグループに分類した上で、第1期(2017~2019年度)、第2期(2020~2022年度)、第3期(2023~2025年度)に区切り、事業展開を進めてきた。

・ 長期ビジョンにおいて、当社グループは、2025年度には売上高1,000億円・営業利益100億円を達成することを目標とし、電線・電子材料関連のフロンティアを開拓して、独創的な先端部品・素材を供給するニッチトップサプライヤーとなることを目指している。そのために、特に市場の拡大が期待される機能性ペースト分野及び医療機器部材分野においては積極的に投資を実行して成長を追求し、その他の既存事業分野においては効率化投資の推進、高機能製品へのシフト等により回収利益の最大化を追求することを基本としている。

・ しかしながら、2025長期ビジョン第2期(2020~2022年度)の最終年度である2022年度では、半導体不足の段階的解消、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題からの経済活動回復等を見込んでいるが、エネルギー・原材料価格の高騰及び成長追求事業の収益貢献の遅れ等を主因に大幅な計画未達となる見込みであり、2025長期ビジョン第3期(2023~2025年度)の目標・達成時期等の再検証が必要な状況と認識している。

・ 当社グループとしては、当社グループの提供する製品・サービスは、IoT(モノのインターネット化)、AI(人工知能)、5G通信の進展、医療の高度化等に伴い必要とされるものであり、需要は拡大するとの中長期的な見方に変更はなく、各種課題に対処するとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題によって停滞した経済活動の回復に合わせ拡販・製品開発活動に努めているところである。

・ 当社は、上記のような市場環境及び経済状況を踏まえ、当社の長期ビジョンの目標・達成時期等の再検証が必要な状況と認識しているところ、当社が公開買付者グループに入り、当社の経営の独立性を尊重されつつ、公開買付者グループのリソースを当社が活用できるようになることで、当社の事業を発展させる上で様々な選択肢を当社が得ることができ、さらに積極的な事業運営が可能となると考えている。また、それにより当社の従業員が取り組むことができる業務の領域が広がるため、当社が上場会社でなくなったとしても、当社の従業員のモチベーションの維持及び向上を図ることは可能と考えている。さらに、公開買付者は、当社の商流や取引先については当社の独立性を尊重する方針であり、取引内容への関与は想定していないため、当社の重要な取引先との関係に悪影響は生じないものと考えている。

・ 当社は、本取引を通じて、以下のような効果を期待し得ると考えている。

① 両社の経営資源の効率的活用

両社間におけるより活発な人的交流の実施及び財務基盤等、諸機能の相互補完や最適化により、当社の長期ビジョンの達成及び今後の継続的な成長に寄与するものと考えている。具体的には、経営企画・技術戦略や海外拠点、M&Aにおけるネットワーク等の相互補完や最適化を通じて、両社の成長分野におけるグローバルサプライチェーンの進化及びエレクトロニクス市場特有のスピード感への対応が可能となり、加えて、スタートアップ及びM&Aの活用時に必要となる外部の信用を得られる企業規模、リスクに耐えうる資金調達力を強化することが可能となると考えている。

② 電子材料分野における事業競争力の更なる強化

機能性フィルム事業や機能性ペースト事業、医療機器部材事業等、開発分野での協業体制の更なる推進や、公開買付者のサプライチェーンにおける情報網の活用による当社電子材料の拡販等を行うことにより、当社事業の更なる成長に寄与するものと考えている。具体的な協業体制としては、公開買付者の有する高性能圧延銅箔技術、金属薄膜の成膜技術及びシミュレーション技術の活用による新製品開発等を期待できると考えている。

 

③ 電線・ケーブル分野の事業基盤の強化

公開買付者/当社双方における電気銅の安定調達/供給体制を更に強化することが可能となり、また、スクラップ集荷網等の公開買付者グループ及び当社グループの経営資源の利活用・連携を進めることで、銅スクラップの安定確保や、リサイクル促進によるSDGs推進体制の構築にも繋がるものと考えている。特に、両社間で共有する情報の量・質の向上や需要に応じた公開買付者から当社への優先的な銅原料の供給、当社から公開買付者へのスクラップ供給関係がより強固になることにより公開買付者における電気銅リサイクル原料比率の向上が期待できると考えている。また、長期的には、電気銅リサイクル原料比率が向上することで、差別化の難しい電線ケーブル事業製品の付加価値向上、事業機会拡大に繋がる可能性があると考えている。加えて、公開買付者の有する海外拠点・海外ネットワーク等を活用することを通じて、電線・ケーブル分野の海外展開を促進させることができる可能性があると考えている。

④ 上場維持コスト及び管理部門における業務負担軽減

当社株式の上場を維持するための体制については、近年の新市場区分における上場維持基準への対応やコーポレートガバナンス・コードの改訂など年々強化することが求められている。これらに対応するための上場維持コストは年々増大しており、本取引により公開買付者のみが当社の株主となり完全子会社となることによって、上場維持コスト及び上場維持のための業務負担を軽減できるものと考えている。

・ 以上を踏まえ、当社は、本取引は当社の企業価値のより一層の向上に資するものである、との結論に至った。

・ 公開買付者としても、以下のようなシナジー効果を見込んでいる。

① 現状では両社それぞれが、情報共有等における一定の制約のもと、自社事業を最適化する観点での交流になるため、効果が限定されているところ、両社間におけるより活発な人的交流の実施及び財務基盤等、諸機能の相互補完や最適化により、当社の長期ビジョン達成並びに今後の継続的な成長に寄与するものと考えている。具体的には、経営企画・技術戦略や海外拠点、基礎技術開発、スタートアップとの協業、M&Aにおけるネットワーク等の相互補完や最適化を通じて、両社の成長分野におけるグローバルサプライチェーンの進化及びエレクトロニクス市場特有のスピード感への対応が可能となり、加えて、スタートアップ及びM&Aの活用時に必要となる外部の信用を得られる企業規模、リスクに耐えうる資金調達力及びこれらの取り組みを担える人材を強化することが可能となる。

② 現状では秘匿性の高い知的財産については両社間で非開示となっているところ、本取引を通じて公開買付者グループ及び当社が独自に有する知見・技術・情報・資材・ノウハウ等が統合され、それらの多様性及び深度が増すことにより、両社において自社の製品を相手方に販売してもらうクロスセルや公開買付者が当社の事業部門や開発部門のために、技術課題の解決に資する技術を探索する活動であるテックスカウティング等を含めて長期的な目線で相互補完の効果が期待できる。また、これらの利用機会を最大化することにより、当社研究開発品の利用価値及び研究開発の成功率向上に寄与する可能性がある。

③ 現状当社が公開買付者の完全子会社でないために両社の経済的メリットの観点から両社の技術系人材の交流や公開買付者の技術開発センターの当社による活用は未実施となっており、また、情報管理の観点から顧客情報や市場情報を公開買付者から当社に共有できていないが、本取引を通じてこれらの制約を排除し、機能性フィルム事業や機能性ペースト事業、医療機器部材事業等、開発分野での協業体制の更なる推進や、公開買付者サプライチェーンにおける情報網の活用による当社電子材料の拡販等を行うことにより、当社事業の更なる成長に寄与するものと考えている。具体的な協業体制としては、公開買付者の有する高性能圧延銅箔技術、金属薄膜の成膜技術及びシミュレーション技術の活用による新製品開発等を期待できる。

 

④ 本取引を通じて現状電線・ケーブルの原料である電気銅の売買取引を行っている両社の利益相反関係が解消されることにより、公開買付者/当社双方における電気銅の安定調達/供給体制をさらに強化することが可能となり、また、スクラップ集荷網等の公開買付者グループ及び当社グループの経営資源の利活用・連携を進めることで、銅スクラップの安定確保や、リサイクル促進によるSDGs推進体制の構築にも繋がるものと考えている。特に、両社間で共有する情報の量・質の向上や需要に応じた公開買付者から当社への優先的な銅原料の供給、当社から公開買付者へのスクラップ供給関係がより強固になることにより公開買付者における電気銅リサイクル原料比率の向上が期待できる。

 

本特別委員会は、上記事項の具体的な内容及びこれらを踏まえた当社の企業価値向上の可能性等について、当社及び公開買付者との質疑応答を行い、その合理性を検証した。

その結果、当社及び公開買付者の認識に特に不合理な点は認められない。

また、本特別委員会としても、公開買付者との質疑応答の内容を踏まえると、公開買付者は当社の経営の独立性を尊重する方針であり、以下のシナジー及びメリットが期待できると考えるに至った。

・ 当社が、公開買付者グループとの新たな協働や支援を受けることにより、特に営業マーケティング、新規投資、資金調達及び新規製品開発等の当社が課題としている事項の解決が図られ、当社の更なる飛躍的な成長につながる可能性が高まること。

・ 現在、当社は、人材の登用、教育及び育成について一定の成果を上げている一方で、当社の長期ビジョン等に示された事業展開の実現のためにはグローバルな人材や専門的な人材の活用が必要であるところ、本取引によって公開買付者グループ及び当社間における人材交流の活発化及び強化が期待できること。

・ 本取引によって、当社グループの企業基盤が強化されることにより、当社グループの従業員の雇用条件及び処遇の向上が図られる可能性があること。

 

さらに、本取引が当社の非公開化を前提とするものであることから、本特別委員会は、当社における非公開化に伴う影響についても検討した。

 

上場会社が非公開化することによって、一般的には、従業員のモチベーション、事業の商流又は取引先との関係の変化等が懸念されるところ、当社によれば、当社が公開買付者グループに入り、経営の独立性を尊重されつつもそのリソースを当社が活用できるようになることで、当社の事業を発展させる上で様々な選択肢を当社が得ることができ、さらに積極的な事業運営が可能となると考えているとのことである。それにより当社の従業員が取り組むことができる業務の領域が広がるため、非公開化により上場会社でなくなったとしても、当社の従業員のモチベーションの維持及び向上を図ることは可能と考えているとのことである。また、当社が公開買付者の完全子会社となったとしても、公開買付者は、当社の商流や取引先については当社の独立性を尊重する方針であり、取引内容への関与は想定していないため、当社の重要な取引先との関係に悪影響は生じないものと考えているとのことであった。

 

以上のようなことから、当社における非公開化による懸念は特段ないと考えられる。以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は、当社の中長期的観点からの企業価値の向上に資するものと認められ、その目的に合理性を有するものであると考えるに至った。

 

 

Ⅱ.本取引の取引条件の妥当性

(ⅰ)みずほ証券による株式価値算定書

当社がみずほ証券から取得した2022年12月当社株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると419円から451円、類似企業比較法によると244円から474円、DCF法によると266円から1,044円とされているところ、本公開買付価格は、720円であり、市場株価法及び類似企業比較法による算定結果の上限値を上回っているとともに、DCF法による算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額に位置する金額である。

なお、本公開買付価格は、当社の2022年9月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(778.83円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2022年9月末)上、資産全体(58,704百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,393百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(3,085百万円))の割合は19.55%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられる。

そして、本特別委員会は、みずほ証券から株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、みずほ証券及び当社に対して評価手法の選択、算定の基礎となる当社の事業計画に基づく財務予測を含む前提条件等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。

(ⅱ)本公開買付価格の市場株価に対するプレミアム水準

本公開買付価格は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値419円に対して71.84%、2022年12月20日までの過去1ヶ月間の当社株式の終値単純平均値430円に対して67.44%、2022年12月20日までの過去3ヶ月間の当社株式の終値単純平均値438円に対して64.38%、2022年12月20日までの過去6ヶ月間の当社株式の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であって、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例50件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して39.87%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.81%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して43.36%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して44.58%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して43.42%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して43.18%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.02%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して43.56%))と比して当社株主にとって有利な水準であることを確認した。

(ⅲ)交渉過程の手続の公正性

下記「Ⅲ.本取引の手続の公正性」記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、「Ⅲ.本取引の手続の公正性」の(ⅳ)「当社及び本特別委員会による協議・交渉」記載のとおり、かかる交渉により、実際に、公開買付価格の引き上げ余地がこれ以上存在しない旨、公開買付者より複数回主張される水準まで公開買付者が提示した価格を引き上げており、本公開買付価格は、そのような交渉を経て決定されたものであると認められる。

(ⅳ)対価の種類

本取引の対価は、本公開買付け及びその後に実施される予定の本スクイーズアウト手続を通じて、現金であることが予定されているところ、公開買付者の株式は上場していないため十分な流動性がなく、本取引の対価として妥当ではないことから、本取引の対価の種類は妥当であるといえる。

 

(ⅴ)本公開買付け実施の前提条件

本公開買付けは、本公開買付前提条件が充足されたとき(又は公開買付者が本公開買付前提条件を放棄した場合)に速やかに実施されるとされているが、本公開買付けにおいて、中国を含む国内外の競争当局における手続等に要する期間を正確に予想することが困難な状況であることを踏まえると、不合理なものではないといえる。

(ⅵ)小括

以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。

 

Ⅲ.本取引の手続の公正性

(ⅰ)特別委員会の設置

公開買付者が当社に対して本取引を提案し、当社が公開買付者に対して本取引を本格的に検討する旨を回答した当初から本特別委員会が設置され、アドバイザー等の選任権限が付与された上、当社において、本特別委員会の答申内容について最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定(本公開買付けに対する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含む。)を行わないこととする旨決議がされているところ、本特別委員会の独立性、専門性・属性などの構成、アドバイザーなどの検討体制についても特段の問題は認められない。

(ⅱ)当社による検討方法

当社は、本公開買付価格の公正性の担保、本取引の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本取引について検討するにあたっては、公開買付者、及び当社のいずれからも独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券、並びにリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、当社の企業価値向上ひいては株主共同の利益の観点、並びに、当社株主に対する合理的な条件での売却機会の提供の観点から、本公開買付価格をはじめとする買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。

また、本特別委員会としても、必要に応じてみずほ証券及びTMI総合法律事務所より専門的助言を受けることができることを確認し、現に助言・意見等を得ている。

(ⅲ)当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、みずほ証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼し、2022年12月20日付で同社から2022年12月当社株式価値算定書を取得した。

(ⅳ)当社及び本特別委員会による協議・交渉

当社は、本特別委員会から提示された交渉方針及び助言に沿って、本公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。

具体的には、当社はみずほ証券を通じて、当社株式の市場株価の過去推移、当社のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券による株式価値評価の試算、及び東京証券取引所や経済産業省等において議論されているとおり、PBR1倍の水準は当社の株主より広く意識されうる基準の一つであること等を総合的に勘案した上で、延べ5回にわたり、本特別委員会から提示された交渉方針及び助言に従い、公開買付者に対して本公開買付価格の引上げを求め、最終的に、公開買付者から、これ以上本公開買付価格を引き上げることはできない旨の意向が複数回示されるまで交渉を行った。

そして、かかる交渉により、公開買付者から提示される価格を引き上げた結果として、1株当たり720円という本公開買付価格が決定されている。

(ⅴ)当社における独立した検討体制の構築

当社は、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築している。

 

(ⅵ)本取引の交渉過程及び意思決定過程における特別利害関係人の不関与

当社の立場で本取引を検討・交渉する取締役には、本取引に特別な利害関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者その他の本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。

なお、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、当社の取締役のうち、公開買付者の常務執行役員を兼任している百野修氏並びに公開買付者の出身者である山田宏也氏、今井雅文氏及び堂岡芳隆氏は、当社取締役会における本取引の検討に関する議題の審議には一切参加しておらず、当社の立場において本取引の検討、本取引に係る公開買付者との協議・交渉にも一切参加していない。

(ⅶ)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件

本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考えられることから、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定していないとのことである。もっとも、本公開買付けにおいては、公開買付者及び当社において適切な公正性担保措置が実施されていることから、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する下限が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる。

(ⅷ)本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げられていない。

また、公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」という。)について、法令に定められた最短期間の20営業日に設定しているところ、本公開買付けの開始は本取引公表日より一定期間経過後となる見込みであることから、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者以外にも当社株式の買付け等を行う機会が実質的に確保されるため、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる。

(ⅸ)適切な情報開示

本取引においては、本公開買付けが成立した場合に、その後に実施される予定の本スクイーズアウト手続について、公開買付者が提出する公開買付届出書、当社が公表するプレスリリース等において、十分な開示がなされることが予定されている。

なお、本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を行う場合、本公開買付けに応募しなかった当社の株主に交付される金銭の額が、株式等売渡請求の場合においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を交付することを定める予定である旨が、株式併合の場合においては、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう株式併合により生じる端数の合計数の売却代金が算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定であると認められ、本公開買付けに応募することの強圧性が低減される適切な措置が採られているといえる。

(ⅹ)小括

以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。

 

 

Ⅳ.当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否かについて

上記を踏まえ慎重に検討した結果、当社取締役会が本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。すなわち、当社の取締役会が、(ⅰ)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、(ⅱ)本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。

(ⅱ)2024年6月20日付答申書の取得

また、当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応を終えることを含む本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月12日に受けました。当社は、本特別委員会に対して、2022年12月20日付答申書の意見の内容に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問することとしておりました。

本特別委員会は、下記a.に記載する検討等を重ねた結果、2024年6月20日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下を内容とする2024年6月20日付答申書を提出しております。

a.本特別委員会が行った検討等

本特別委員会は、本諮問事項に対する答申(以下「2024年6月20日付答申」という。)を行うにあたり、2022年12月21日以後、本日まで、2022年12月20日付答申書の内容に変更がないかを慎重に協議及び検討した。

具体的には、以下の検討等を行った。

1.特別委員会の開催等

本特別委員会は、2022年12月21日以後、2024年3月8日から本日に至るまで計7回開催され、当社の業績、市場環境、公開買付者による国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応の状況の進捗等を確認した。さらに期日間においても、詳細な審議及び検討を行った。

2.関係者からの説明聴取等

(1) 当社の役職員に対するヒアリングを通じて、当社に対して、公開買付予告期間の長期化に伴う業況及び本取引を取り巻く環境の重大な変更等の有無、並びに本公開買付けの開始予告の公表時からの、本取引の目的に係る当社の考えの変更の有無等について確認を行った。

(2) 当社のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、当社株式の市場株価の動向、東証株価指数(TOPIX)の変動等の株式市場全体の動向その他みずほ証券による当社株式の価値算定上考慮すべき事象の有無等の確認を行った。

(3) 当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所より、本取引の手続の公正性、公開買付者による国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応の状況等に関する法的助言を受けた。

(4) 2024年3月11日、公開買付者に対して、公開買付予告期間の長期化に伴う本取引への影響並びに中国競争法の必要な手続及び対応の進捗状況について、書面による質問を実施し、2024年3月22日、公開買付者より回答書を受領した。

(5) 2024年5月30日、公開買付者に対して、改めて、本取引の目的の合理性及び取引条件の妥当性について重大な変更事由がないかの確認並びに中国競争法の必要な手続及び対応の進捗状況について、書面による質問を実施し、2024年6月6日、回答書を受領した。

(6) 2024年6月12日、公開買付者の代表取締役社長に対して、公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性等について、ヒアリングを実施した。

 

3.株式価値算定書の取得

当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、みずほ証券に対して、改めて当社の株式価値の算定を依頼し、2024年6月19日付で同社から2024年6月当社株式価値算定書を取得した。

本特別委員会は、みずほ証券より、2024年6月当社株式価値算定書の前提となった当社の事業計画の内容、及び2024年6月当社株式価値算定書に基づく当社株式の算定結果について説明を受けるとともに、質疑応答を行った。

 

b.本諮問事項に対する本特別委員会の意見

本特別委員会は、検討の結果として、特別委員全員の一致により、本諮問事項に関して、以下の意見を答申する(以下「本答申」という。)。

2022年12月20日付答申書における本特別委員会の意見に変更はなく、

① 本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的である。

② 本取引の実施方法や対価の種類を含む本取引の取引条件は妥当である。

③ 本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正である。

④ 上記①乃至③を踏まえ、当社の取締役会が、(ⅰ)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、及び(ⅱ)本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではない。

 

c.意見の理由の概要及び検討内容について

1.本取引の目的の合理性

2022年12月21日以後、本特別委員会において慎重に検討及び協議した結果、(ⅰ)上記「a.本特別委員会が行った検討等」の「2.関係者からの説明聴取等」の(4)及び(5)を通じて、公開買付者において、本公開買付けの開始予告の公表時から本取引の目的に係る公開買付者の考え及び本公開買付け後も公開買付者はこれまでと同様に当社グループの経営の独立性を尊重し、原則として現行の経営方針を維持する想定であることについて変更がないことが確認できたこと、並びに(ⅱ)上記「a.本特別委員会が行った検討等」の「2.関係者からの説明聴取等」の(1)を通じて、当社グループにおける足元の経営環境変化や業績推移と、当社グループの属する業界における競争優位性を維持する必要性に鑑みた場合に、本取引を実施するメリットが増しており、本取引により実現することが期待されるシナジー効果が、本公開買付けの開始予告の公表時点よりも高まっているとの当社の考えについて、深く理解ができたことから、2022年12月21日以後、2022年12月20日付答申書の「c.意見の理由の概要及び検討内容について」の「1.本取引の目的の合理性」に記載の事項に変更すべき事情はないと判断した。

2.本取引の取引条件の妥当性

2022年12月21日以後、本特別委員会において慎重に検討及び協議した結果、以下の理由により、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。

(1) 2024年6月当社株式価値算定書

当社がみずほ証券から取得した2024年6月当社株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると419円から451円、類似企業比較法によると303円から593円、DCF法によると413円から861円とされているところ、本公開買付価格は、720円であり、市場株価法及び類似企業比較法による算定結果の上限値を上回っているとともに、DCF法による算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額に位置する金額である。

 

なお、本公開買付価格は、当社の2024年3月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(828.50円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2024年3月末)上、資産全体(61,119百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,112百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(2,633百万円))の割合は17.58%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられる。

そして、本特別委員会は、みずほ証券から株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、みずほ証券及び当社に対して評価手法の選択、算定の基礎となる当社の事業計画に基づく財務予測を含む前提条件等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。

(2) 交渉過程の手続の公正性

ア 本公開買付けの開始予告の公表時の手続

2022年12月20日付答申書の「c.意見の理由の概要及び検討内容について」の「3.本取引の手続の公正性」に記載のとおり、本取引に係る取引条件の決定に至るまでの、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、「第4 意見の理由の概要及び検討内容について」の「3.本取引の手続の公正性」の「(4)当社による協議・交渉」に記載のとおり、当社は、公開買付者に対して延べ5回にわたり、本公開買付価格の引き上げを求め、かかる交渉により、実際に公開買付者が提示した価格を引き上げており、最終的には公開買付者から、これ以上価格を引き上げることはできない旨の意向が示されるまで交渉を行い決定されたものであると認められる。

イ 本公開買付けの開始予告の公表後の手続

本特別委員会は、2022年12月21日以後、当該時点の想定以上に中国競争法の審査が長期化しており、公開買付予告期間が本邦でも有数の水準で長期となる見込みであること、また、2022年12月21日から2024年3月8日までの東証株価指数(TOPIX)が44.02%上昇しており、公開買付予告期間における東証株価指数(TOPIX)の上昇率が本邦でも有数の水準で高い数値となる可能性があることを受けて、上記「a.本特別委員会が行った検討等」の「2.関係者からの説明聴取等」の(4)乃至(6)に記載のとおり、公開買付者に対して、複数回、公開買付価格の引き上げを含む本取引の取引条件に対する公開買付者側の見解について質疑応答を行った。これに対して、公開買付者より、本公開買付価格に関しては、株式市況全体の上昇は認識しているものの、本公開買付価格から価格を引き上げることは公開買付者の経済合理性の観点から困難であり、当社の市場株価が本公開買付価格を上回って推移している状況を踏まえても本公開買付価格を引き上げることは困難であることから、本公開買付価格は1株あたり720円を維持する意向である旨の回答を受け、本公開買付価格は引上げの余地がないことを確認している。

(3) 対価の種類

本取引の対価は、本公開買付け及びその後に実施される予定の本スクイーズアウト手続を通じて、現金であることが予定されているところ、公開買付者の株式は上場していないため十分な流動性がなく、本取引の対価として妥当ではないことから、本取引の対価の種類は妥当であるといえる。

(4) 東証株価指数(TOPIX)の上昇と本公開買付価格との関係

ア 東証株価指数(TOPIX)の上昇が当社株式の市場株価に与える影響

本公開買付けの開始予告の公表を行った2022年12月21日以後、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日に至るまで、東証株価指数(TOPIX)の株価上昇率は44.12%であり、公開買付予告期間において、2022年12月21日以後、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価も上昇基調にあるものの、個別企業の状況に応じて市場株価は推移している。

 

もっとも、国内電線メーカー各社は中期経営計画又は業績予想を一定程度達成していることが認められる一方、当社は2025長期ビジョン及び当社が2022年12月20日付でみずほ証券より取得した株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画と比較して2023年3月期及び2024年3月期の業績が下振れていることを踏まえると、本公開買付けが公表されていなかった場合の当社の市場株価が、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価と同様に上昇していたとは必ずしも言い切れないと考えられる。

イ 本公開買付価格の市場株価に対するプレミアム水準

本公開買付価格は、本公開買付けの開始予告の公表日の前営業日である2022年12月20日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値419円に対して71.84%、2022年12月20日までの過去1ヶ月間の当社株式の終値単純平均値430円に対して67.44%、2022年12月20日までの過去3ヶ月間の当社株式の終値単純平均値438円に対して64.38%、2022年12月20日までの過去6ヶ月間の当社株式の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例66件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して38.72%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.17%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.13%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.80%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して40.67%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.68%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して40.23%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して40.88%))と比して相当なプレミアムが付されていることに加えて、かかるプレミアムの水準は公開買付予告期間の株式市況全体の株価上昇率(2022年12月21日から本公開買付けの開始についての公開日の前営業日である2024年6月19日までの東証株価指数(TOPIX)の上昇率は44.12%)を踏まえても一定のプレミアムが付されていると考えられる。

したがって、上記アも踏まえると、本公開買付価格は妥当であると判断した。

(5) 剰余金配当との関係

なお、当社は、2022年12月21日以後、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当を実施していないところ、当該事情は、上記結論に影響を与えないものと判断した。

すなわち、公開買付者によれば、当社株式の1株当たりの株式価値の算定にあたって、市場株価法、類似会社比較法及びDCF法を用いているが、当該算定においては、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当も行われないことを前提としているとのことであるところ、みずほ証券によれば、本公開買付価格が上記の前提の下で決定されている場合において、仮に配当が実施された場合、当社の総資産のうち、株主への配当相当分が減少することに伴い当社株式の1株当たりの株式価値が減少するとのことであるから、当社が2022年12月21日以後、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当を行った場合、公開買付者において、当該配当金額分、公開買付価格の引下げを行うことについて合理性が認められることとなる。

したがって、これらの剰余金の配当が実施されなかったことは、本公開買付価格が妥当であるとする本特別委員会の判断に影響を与えないものと判断した。

 

(6) 当社株式の市場株価と本公開買付価格との関係

2024年6月12日以降、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日時点までに当社の市場株価は本公開買付価格である1株720円を上回って推移している。

もっとも、中国における競争法上の届出の承認がなされたのが2024年6月11日であることを踏まえると、当該市場株価の推移の理由としては、主に本公開買付けの開始に伴う市場参加者の期待心理に基づく、当社の一部株主による売買の結果として上昇したものと考えることが妥当であり、当社の全ての少数株主の期待を表しているものではないと考えることが合理的である。

また、足許の市場株価で売却(株式の現金化)できるのは当社の一部の株主に限定されることから、当社の全ての株主に本公開買付価格で当社株式を現金化する機会を提供することができる公開買付者の提案は、引き続き当社の株主の利益に資するものと考えられる。

(7) 小括

以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。

 

3.本取引の手続の公正性

(1) 本特別委員会の開催等

本特別委員会は、「a.本特別委員会が行った検討等」の「1.特別委員会の開催等」及び「関係者からの説明聴取等」に記載のとおり、本公開買付けの開始予告の公表後の期間においても、詳細な審議及び検討を行った。

(2) 2024年6月当社株式価値算定書

当社は、「a.本特別委員会が行った検討等」の「3.株式価値算定書の取得」に記載のとおり、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、当社から独立した第三者算定機関であるみずほ証券に対して、改めて当社の株式価値の算定を依頼し、2024年6月当社株式価値算定書を取得した。

(3) 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

公開買付者及び当社は、2022年12月21日以後においても当社が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げられていない。

また、公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間の20営業日に設定しているところ、本公開買付けはいわゆる事前公表型公開買付けであり、本公開買付価格を含む一連の取引条件は2022年12月21日付で公表されており、2024年6月20日付答申書作成時点で、当該公表から既に約1年6ヶ月が経過していることを踏まえると、当社の株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による対抗的な買付け等を行う機会は既に確保されており、公開買付者以外にも当社株式の買付け等を行う機会が実質的に確保されていると考えられる。

(4) その他の事項

上記(1)及び(3)の他、当社は、2022年12月21日以後、2022年12月20日付答申書「第4 意見の理由の概要及び検討内容について」の「3.本取引の手続の公正性」の(1)乃至(9)に記載の事項に変更すべき事情はないことを確認した。

(5) 小括

以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。

 

 

4.本取引(本公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)が少数株主に不利益でないことについて

上記1.乃至3.を踏まえて、慎重に検討及び協議した結果、特に、本公開買付けの開始予告時点では想定されていなかった中国競争法対応の長期化(公開買付者及び当社の本公開買付けの開始予告の公表資料等においては2023年6月に本公開買付けを開始することを目指している旨の記載がなされていたことからも、ここまでの長期化が想定されていなかったことは明らかである。)と、当該影響により長期化した公開買付予告期間における東証株価指数(TOPIX)の大幅な上昇に加えて、当社の市場株価が本公開買付けの開始についての公表日の前営業日時点において本公開買付価格を上回って推移していることを考慮すると、本特別委員会として少数株主の立場に立ち、本取引の取引条件が妥当であるか否かについて検討を要する確認事項が多く存在した。そのため、「a.本特別委員会が行った検討等」に記載のとおり、本特別委員会は、フィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券及びリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から必要な助言を受けながら、公開買付者及び当社からの説明聴取を含め、追加的かつ専門的な検討を行った。その結果、当社にとって本取引を実施するメリットが増していることや、本公開買付価格が本公開買付けの開始予告時点において、公開買付者との度重なる交渉を経て決定されたものであること等も踏まえ、2022年12月21日以後、2022年12月20日付答申書「c.意見の理由の概要及び検討内容について」の「4.当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否かについて」に記載の事項に変更すべき事情はないことが確認できたことから、当社取締役会が本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。

すなわち、当社の取締役会が、(ⅰ)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、(ⅱ)本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。

 

④ 当社における独立した法律事務所からの助言

当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして、TMI総合法律事務所を選任し、本公開買付けに関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。

なお、TMI総合法律事務所は、公開買付者グループ及び当社グループのいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、TMI総合法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。

 

⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認

当社取締役会は、TMI総合法律事務所から受けた法的助言及び2022年12月当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2022年12月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関して、当社の企業価値向上、本取引に関する諸条件の妥当性等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。

その結果、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社における意思決定に至る過程及び理由」に記載のとおり、当社は、本公開買付けを含む本取引は当社グループの企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2022年12月21日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社株主の皆様に対し公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

また、当社の2022年12月21日開催の取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、本特別委員会に対して、2022年12月20日付答申書の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。

 

当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応を終えることを含む本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月12日に受けました。これを受け、当社は、本特別委員会から提出された2022年12月20日付答申書及び2024年6月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2024年6月20日においても、2022年12月21日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断いたしました。

以上より、当社は、2024年6月20日開催の当社取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。

上記の2022年12月21日付及び2024年6月20日付の各取締役会においては、当社の取締役9名のうち、山田宏也氏、今井雅文氏、百野修氏及び堂岡芳隆氏を除く取締役5名が審議及び決議に出席し、出席した取締役の全員の一致により決議されております。なお、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、当社の取締役のうち、公開買付者の常務執行役員を兼任している百野修氏並びに公開買付者の出身者である山田宏也氏、今井雅文氏及び堂岡芳隆氏は、当社取締役会における本取引の検討に関する議題の審議には一切参加しておらず、当社の立場において本取引の検討、本取引に係る公開買付者との協議・交渉にも一切参加しておりません(なお、当社の取締役である前山博氏も公開買付者の出身者ではございますが、公開買付者に在籍していたのが7年以上前である事情に鑑みて、本取引の公正性に影響を与えないと判断されたことから、本取引の検討に関する議題の審議に参加しております。)。

 

⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置

公開買付者は、当社との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っていないとのことです。

 

また、公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間である20営業日としているとのことです。もっとも、本公開買付けはいわゆる事前公表型公開買付けであり、本公開買付価格を含む一連の取引条件は2022年12月21日付で公表されており、本書提出日時点で、当該公表から既に1年6ヶ月が経過していることを踏まえると、当社の株主の皆様の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による対抗的な買付け等を行う機会は既に確保されており、もって本公開買付価格の適正性も担保されていると考えているとのことです。

 

(7) 公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項

公開買付者は、JX金属商事との間で、JX金属商事が所有する当社株式の全て(合計所有株式数:136,311株、合計所有割合:0.22%)について、本公開買付けの開始予定の公表後、JX金属商事に対し、その所有する当社株式の全てを本公開買付けへ応募するよう要請し、2022年12月21日、JX金属商事から、同社が所有する当社株式の全てについて、本公開買付けに応募する意向があるとの連絡を受けているとのことです(応募合意に係る契約については、締結していないとのことです。)。

 

 

4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

 

普通株式

氏名

役名

職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

山田 宏也

代表取締役 会長

5,386

53

森元 昌平

代表取締役 社長執行役員

30,389

303

今井 雅文

取締役 常務執行役員

4,594

45

久甫 望

取締役 執行役員 総務人事部長

百野 修

取締役

堂岡 芳隆

取締役(常勤監査等委員)

花井 健

取締役(監査等委員)

16,729

167

原戸 稲男

取締役(監査等委員)

谷口 悦子

取締役(監査等委員)

57,098

568

 

(注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。

(注2) 取締役の百野修、堂岡芳隆、花井健、原戸稲男及び谷口悦子の各氏は、社外取締役であります。

(注3) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社の役員持株会を通じた所有株式数(小数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めております。

 

5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

該当事項はありません。

 

6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

該当事項はありません。

 

7 【公開買付者に対する質問】

該当事項はありません。

 

8 【公開買付期間の延長請求】

該当事項はありません。

 

以 上