独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

 

 

2024年6月21日

オムロン株式会社

 

 

取締役会 御中

 

 

 

有限責任監査法人トーマツ

 

 

京都事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

佐藤 嘉雄

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

川添 健史

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

辻 知美

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているオムロン株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主持分計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、注記及び連結附属明細表について監査を行った。

 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令(平成14年内閣府令第11号)附則」第3項の規定により米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、オムロン株式会社及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 会社は事業を通じて社会的課題を解決することで、よりよい社会を作ることを目指しており、テクノロジーの進化が求められるなか、スタートアップ企業をはじめとする技術力のある企業とのアライアンス、M&A、出資を通じたイノベーションを加速している。

 

 当年度において、連結財務諸表注記事項 Ⅱ.X「企業結合等」に記載されているとおり、会社は持分法適用会社である株式会社JMDC(以下、JMDC社)に対する公開買付をおこない、2023年10月16日付で同社を連結子会社とした。また、会社の既存ビジネスとJMDC社が協働し、モノづくりから、データを軸に新たな価値を創造するソリューションビジネスへの進化を先導するために、JMDC社を含むデータソリューション事業本部(以下、DSB)を2023年12月21日付で新設した。会社は、DSBを報告単位とし、JMDC社の子会社化によるのれんをDSBに配分している。

 

 JMDC社の子会社化によるのれんの増加により、会社の当連結会計年度末ののれん残高は361,783百万円となり、総資産に占める割合は前年度比で22.4%増加している(当年度26.7%、前年度4.3%)。一方で、当連結会計年度末の関連会社に対する投資及び貸付金残高は13,931百万円となり、その大部分はAliveCor, Inc.に対する投資で構成されている。JMDC社の子会社化により、関連会社に対する投資及び貸付金が総資産に占める割合は前年度比で12.5%減少し、相対的な重要性が低下している(当年度1.0%、前年度13.5%)。

 

 当監査法人は、会社ビジネスの変化を踏まえた相対的なリスク及び量的重要性の変化を考慮し、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項を下記のとおり、変更している。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

データソリューション事業本部ののれんの評価

 

関連会社に対する投資の評価(株式会社JMDC)

 

関連会社に対する投資の評価(AliveCor, Inc.)

 

 

 

データソリューション事業本部ののれんの評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

DSBののれんは、連結財務諸表注記事項 Ⅱ.G「のれんおよびその他の無形資産」に記載のとおり312,634百万円であり、総資産の23.1%を占めている。なお、連結財務諸表注記事項 Ⅱ.X「企業結合等」に記載されているとおり、当連結会計年度末時点において、JMDC社の子会社化に関連する取得資産および引受負債の公正価値は現在算定中であり、取得原価の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っている。

 

会社は、のれんの評価について、少なくとも年に1回又は減損の兆候が識別された場合に減損テストを実施している。減損テストの結果、のれんを含む報告単位の帳簿価額が報告単位の公正価値を超えている場合には、報告単位に配分されたのれんの金額を上限として、超過額を減損損失として認識する。当期において、会社は減損損失を計上していない。

 

連結財務諸表注記事項 Ⅱ.G「のれんおよびその他の無形資産」に記載されているとおり、会社は、市場株価法とディスカウント・キャッシュ・フロー法の2つの評価技法を使用して公正価値を算定している。市場株価法は、DSBに含まれる上場会社JMDC社の株価に、コントロール・プレミアムを調整して評価金額を求める手法であり、以下の重要な仮定が含まれている。

①JMDC社の株価のボラティリティが高いことを考慮して直近一定期間の平均株価を評価に使用

②コントロール・プレミアムの評価

 

ディスカウント・キャッシュ・フロー法による評価金額は、経営者によって承認された5カ年の将来事業計画を基礎として算定されており、以下の重要な仮定が含まれている。

①将来の事業計画に含まれるヘルスビッグデータ事業におけるデータ種類の拡充と付加価値向上及び取引マーケットの拡大による売上成長

②事業計画終了後の継続価値算出に使用されるExit multiple法の採用と基礎となる類似会社の選定

③加重平均資本コストによる割引率

 

当監査法人は、会計上の見積りの基礎となる重要な仮定には不確実性があり、経営者の主観的な判断を伴うこと、並びに、DSBののれん残高の金額的重要性も考慮し、当該のれんの評価を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 

当監査法人は、DSBののれんの評価のために会社が算定した公正価値の妥当性を検討するために、主として以下の監査手続を実施した。

 

・コントロール・プレミアムの評価の妥当性およびディスカウント・キャッシュ・フロー法による評価において使用された重要な仮定の妥当性の検討を中心とした会社ののれんの減損テストに関連する内部統制の有効性を評価した。

 

・市場株価法に使用される左記の重要な仮定について、監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、下記の手続を実施した。

①過去一定期間における市場価格の変動分析を実施し、直近一定期間の平均値を使用することの合理性を検討した。

②過去のTOB事例実績や取得日時点の会社のコントロール・プレミアムの評価との整合性を検討した。

 

・ディスカウント・キャッシュ・フロー法に使用される左記の重要な仮定について、下記の手続を実施した。

①経営者等に質問を実施するとともに外部のマーケットデータを入手し、市場の成長性や競合他社の状況、過去の実績成長率を考慮したうえで、売上成長の合理性を検討した。

②監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、事業計画終了時点のJMDC社の規模と市場環境を考慮し、Exit multiple法の採用の妥当性の検討と選定された類似企業とJMDC社の類似性を検討した。

③監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、利用可能な外部データとの比較により、使用される割引率の合理性を検討した。

 

・市場株価法とディスカウント・キャッシュ・フロー法により計算された評価結果の整合性を確認し、公正価値の妥当性を検討した。

 

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、オムロン株式会社の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、オムロン株式会社が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

 

 ※1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E01755-000 2024-06-21 E01755-000 2024-06-21 jpcrp_cor:Row1Member