文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社経営の基本方針
当社グループは、「リズムグループ経営理念」を次のとおり定めております。
(リズムグループ経営理念)
たゆみない創造と革新を続け、豊かで楽しい安全な社会づくりに貢献する
(私たちが求め向かう企業像)
1. 人々に喜ばれる製品・サービスを創造する
2. 世界の国々における取引を通じ関係者の繁栄を図る
3. 活力ある企業風土を築く
(2) 中長期的な会社の経営戦略、対処すべき課題及び目標とする経営指標
①目標とする経営指標
当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、次の項目を経営目標に設定しております。
※1 削減割合は2019年3月期比、削減対象はスコープ1+2、原単位は売上高百万円当たりのCO2排出量とする。
※2 算定次第、当社WEBサイト内のサステナビリティページにて公開予定。(https://www.rhythm.co.jp/sustainability/)
※3 2022年3月23日発表の中期経営計画目標値(当社25%以上)を修正。対象は当社と国内関係会社の合計5社における正社員・契約社員・パート従業員とする。
②経営戦略等
「もの造りで圧倒的な強さを発揮し、自ら変化を作り出す企業へ」を長期ビジョンに、本中期経営計画を「成長戦略の実現」フェーズと位置づけ、3つの経営戦略とそれら戦略の実現を支える経営基盤の強化について、次の方針を策定しております。最終年度となる2025年3月期は、事業収益の拡大を最優先とし活動を推進してまいります。
a.事業戦略「製販技一体戦略による成長領域の拡大」
中期経営計画においては、精密部品事業を成長ドライバーと位置づけ、全社的成長を加速させるとともに、事業戦略のキーとして「海外」「車載」「快適品」の拡大を目指してまいります。
イ.精密部品事業
車載関連事業の拡大、超高難度精密技術による成長領域の拡大、グループ間連携によるコスト競争力強化を中期経営計画の重点戦略としております。
2025年3月期は、長期ビジョンを見据え、車載関連の新規顧客、新規案件の獲得に向けて、グループ一体営業を強力に推進いたします。自動車の電動化、自動化あるいは多機能化は、電装部品、センサーカメラ部品を得意とする当社にとって大きな追い風であります。また、2024年3月期にM&Aによりグループ入りしたリズム翔栄株式会社は、ヘッドアップディスプレイをはじめ、これまでの当社にない製品領域、欧米販路を有しております。グループ内の強みを活かし合い、車載関連事業の加速度的な成長を目指してまいります。また、セキュリティ・認証関連といった次なる成長分野における高難度精密成形品の受注活動も継続いたします。
生産拠点においては、自動化、省力化による徹底した合理化と合わせて、付加価値創出を目指し技術目録を整備し、生産技術力の向上と生産能力の最大化に努めてまいります。2024年3月期に発表したグループ最大の生産拠点であるベトナム二社の統合については、現地当局手続きや取引先への影響を考慮しつつ、早期に統合を実現し、一体運営による効率化、シナジー発揮による機能強化、将来的な生産能力の増強を目指してまいります。
ロ.生活用品事業
快適品事業の確立、クロック事業の維持・効率化、D2C販売の強化を中期経営計画の重点戦略としております。
2023年3月期より、クロック分野でのテコ入れ、再建に加え、快適品拡大という抜本的な構造改革を断行してまいりました。中国生産拠点においては、クロック市場縮小に伴う生産高の減少、コスト高騰を受け、製品仕様から部材調達、生産工程まで、もの造りの抜本的な見直しや、工場の省スペース化、品質の適正化により、現状の事業規模に即した効率的な生産体制の整備を進めてまいりました。2024年3月期のアイ・ネクストジーイー株式会社の解散を含め、大幅なテコ入れを進めてきた結果、2025年3月期にはその改革成果が実り、業績改善が見込まれております。
こうした建直しの一方で、快適品事業については、ヒット商品であるモバイルファンについて、2024年夏の商戦期に向けて早期受注・生産活動を積極的に展開しております。国内大手ECサイト、アジア圏を中心とした海外などは今後の伸びしろも大きく、更なる販路拡張に向けて積極的な営業活動を進めてまいります。足元の業績安定化を早期に実現し、快適品の次期ヒット商品の開発強化、生産規模の拡大による収益向上を目指してまいります。長期ビジョンの実現に向けては、防災行政ラジオの新機種売上拡大も重点施策に位置付けております。
b.財務戦略「事業成長重視の戦略的投資と株主還元の向上」
成長ドライバーである精密部品事業への積極投資や、新製品開発など生活用品事業における新たな柱(快適品)への育成投資、システム・IT投資等、持続的成長に向けた積極投資を実行してまいります。
2025年3月期は収益改善に加えて、全社を挙げた在庫の適正化をはじめバランスシートの効率化を進めながらキャッシュ創出力を高め、事業成長の源泉となる設備投資や研究開発投資、人的資本投資を強化してまいります。2024年3月期にリズム翔栄株式会社の買収を行い車載関連分野への投資を行いましたが、M&A投資も引き続き重要な成長戦略の一つに位置付けてまいります。
株主還元についても重要経営課題と認識しております。配当性向30%以上、一株当たり配当金30円以上を基本方針とし、業績、手元資金、投資の状況に応じてその水準の更なる引き上げを目指しております。
この方針の下、成長投資資金を確保しつつ、株主還元を強化することは更なる株主価値・企業価値向上に資するものと考え、2024年3月期末配当については、配当性向83.8%、一株当たり48円50銭とさせていただきます。2025年3月期末配当については、更なる増配を予定しており、一株当たり73円とさせていただき、配当性向50.2%となる見込みです。
また、2023年3月期よりROIC、ハードルレート等を事業ポートフォリオ分析や個別投資案件評価に採用するなど、資本コスト経営の実践、高度化を進めております。2024年3月には「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を開示いたしました。引き続き、業績回復による企業価値向上を第一に、資本コストや株価を意識した経営の実現、PBRの向上に努めてまいります。
なお、プライム市場上場維持基準に関しては、移行基準日時点において「流通株式時価総額」「1日平均売買代金」が未達でありましたが、2024年3月末日時点においてはいずれも適合しております。
c.サステナビリティ戦略「事業・企業活動を通じた社会価値創出」
取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会の設置をはじめサステナビリティ経営のフレームワークを構築し、「サステナビリティ基本方針」に基づいた全社横断的な取組を推進することを中期経営計画として策定し、実施しております。気候変動への対応をはじめとした「環境」と、人権や人的資本等の社会的課題に関する「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を重要なテーマと捉え、これらの活動を通じた社会価値創出により、企業価値の向上を図ってまいります。
2025年3月期は、環境においては、CO2排出量削減、環境コスト低減に向けて、太陽光発電の導入拡大や、省エネ設備への入替、電気契約の見直しなどを進めてまいります。また、2023年3月期より回答しているCDPアンケートの継続実施に加えて、TCFDについては当初計画の2025年3月期から2026年3月期の情報開示にスケジュールを変更し対応いたします。D&Iにおいては、女性活躍のほか、人権尊重への取組として人権DDの実施、障がい者雇用に向けた対応などが重要課題です。人権DDについては、まずは「負の影響の特定・評価」を進めており、今後、「負の影響の防止・軽減」に向けた具体的な施策を策定し、実行してまいります。
d.経営基盤「経営基盤の更なる強化による戦略実現サポート」
ガバナンス、人財、IT、SR(Stakeholder Relations:ステークホルダーとの関係)の各活動を強化することで、中期経営計画に定める上記事業戦略、財務戦略、サステナビリティ戦略の実現を支えてまいります。
2025年3月期は、管理職や技術職の人財育成、人事制度刷新、中長期的将来を見据えた人事政策のロードマップ化といった人財戦略を強化するほか、コーポレートガバナンス・コードでも要請される後継者計画の策定、基幹システムの刷新への取組、株主はじめ当社ステークホルダーに向けた活動の強化等、幅広いテーマで活動を行い、当社事業、経営を支える経営基盤の強化を進めてまいります。
(3) 2025年3月期の連結業績予想
国内及び世界経済は、米国では個人消費を中心に堅調さを維持する一方、エネルギー・原材料価格をはじめとする世界的な物価上昇、中国経済の減速、歴史的な為替変動などを背景に、先行き不透明な状況が継続しております。これらの影響により、当社においては2024年3月期下半期以降回復を見込んでいた工作機械関連、家電関連部品の受注回復に遅れが生じました。こうした状況は当面継続が見込まれるものの、2025年3月期下半期以降はこれらの受注回復と生活用品事業における構造改革の効果が現れ、通期では前期比増収増益を予想しております。
以上のことから、2025年3月期の連結業績予想につきましては、売上高は355億円(当期比8.9%増)、営業利益は 18億円(当期比146.4%増)、経常利益は20億円(当期比58.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億円(当期比151.2%増)としております。
(1) サステナビリティ戦略について
当社グループでは、重要な3つの戦略の1つにサステナビリティ戦略を掲げております。事業・企業活動を通じた社会価値の創出を企業価値の向上につなげていくとともに、社内のみならずサプライチェーン全般にわたる人権や環境への取組は、企業の持続可能性を高める重要な要因と捉えております。
当社グループのマテリアリティを気候変動への対応をはじめとした「環境」と人権や人的資本等を包含する「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」に設定し、これらを推進するため、サステナビリティ委員会を中心とする推進体制を構築いたしました。また、サステナビリティ基本方針をはじめとした理念体系を整備している他、CO2削減などの目標を設定し、その実現を図るための具体的な取組施策を策定、実施しております。これらを定期的・定量的にモニタリングし、目標を達成してまいります。
(2) サステナビリティに関するガバナンスとリスク管理について
経営レベルでのサステナビリティへの取組強化を目的とし、2022年6月、取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会はサステナビリティ活動の方針や重要課題等の審議、実績のモニタリング・評価を実施し(年4回)、経営会議を経て取締役会に報告を行います(年2回)。
また、サステナビリティ委員会の下位組織として、マテリアリティである「環境」と「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」それぞれについて、グループ横断的なワーキンググループ(部会)を設置しており、当社の全部門と当社グループ全社から推進責任者と担当者を選出し、従業員とのコミュニケーションを大切にした活動を行っております。
サステナビリティに関するリスク管理については、「
(3) 各種マテリアリティにおける目標と実績、取組など
①環境
a.目標と実績
当社グループは2031年3月期までにCO2排出量(スコープ1+2)を30%削減(原単位において)、また、2051年3月期までに実質ゼロとする目標を掲げております。2023年3月期は17%の削減を達成いたしました。2024年3月期の実績は算定でき次第、
(https://www.rhythm.co.jp/sustainability/environment.html)
※売上高百万円あたりのCO2排出量
b.取組
再生可能エネルギーの利用拡大を進めており、2023年3月期は当社会津工場、2024年3月期はKYOSHIN VIETNAM CO., LTD.において太陽光発電を導入し、2025年3月期も当社五所川原工場での導入が決定しております。また、使用電力を削減すべく当社グループ全拠点において設備の入替を含め節電対策を行い、また毎月省エネパトロールを実施することで更なる改善点の発見に取り組んでおります。社内報を活用した啓発活動についても継続的に実施しております。
また、当社はサステナビリティ・トランジション・ファイナンスを活用した資金調達を実施し、融資契約先の金融機関に対し上記の目標に向けたSPT(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット)の宣言と定期的なレポーティングを行っております。
②D&I(ダイバーシティ&インクル―ジョン)
当社グループは、多様性の実現が企業成長につながると考え、当社グループの従業員のあるべき姿を「リズムD&Iビジョン」として制定し、その実現に向けた人権や人的資本に関連する各種方針を整備いたしました。これらの方針に基づき人権の尊重や多様な人材の活躍、働き方・企業風土改革に関する取組を実施しております。また、「リズムD&Iビジョン」の実現に向けて「多様な人材が能力を発揮できる職場づくり」と「女性の活躍」を重要な課題と捉え、関連性の高い指標をモニタリングし、特に重要性の高い指標については目標を設定し、評価を実施しております。
a.人材育成方針
イ.人材に対する考え方
・人材はリズムグループの持続的な発展のために重要な経営資源と考える。
・変化する事業環境において、性別、国籍、経験等の異なる様々な人材が活躍し、共に新たな価値を創造することがリズムグループの事業発展につながるものと考える。
ロ.目指す人物像
リズムD&I ビジョンの実現に向けて以下のマインドを持ち、リズムグループの発展に寄与する。
・多様性を認め合う。
・コミュニケーションを大切にし、信頼関係を築く。
・成長のために自らチャレンジし、また他者のチャレンジを支援する。
ハ.育成に向けた取組みの概要
・多様性を認め合い、事業に活かす力を培うための研修や啓発活動を実施する。
・組織全体や従業員間のコミュニケーションを活性化させるための取組みを定例的に実施する。
・従業員それぞれの適正や階層に応じ、その能力を最大限発揮できる人事制度の運用と教育機会の提供を行う。
・中核人材の育成については、能力や資質を鑑み、リズムグループの持続的な成長をけん引し、グローバルな視点を持って将来的な経営を担うリーダーを育成するために、必要とされるファクター、行動特性、スキルや技能を定め、その習得に向けた育成支援を行う。
b.社内環境整備方針
イ.社内環境整備に対する考え方
多様な人材が個々の能力を最大限発揮することがグループの事業発展に直結すると認識し、個々の活躍を支援し多様性を確保するための社内環境整備に努める。
ロ.目指すべき環境
・様々な価値観を理解し、認め合い、取り入れる風土
・多様性を取り入れる意識の醸成やスキルの習得、従業員の更なる成長、キャリアパスの実現に向けた教育・支援体制
・一人ひとりの個性や能力を活かし、誰もが活躍するために必要な設備や柔軟な制度
c.各種目標と実績
当社グループの女性活躍推進においては、海外では比較的高い水準となっている一方、国内では更なる女性の活躍が求められる状況です。また、意思決定における多様性確保や、女性活躍と経済成長の好循環の実現の観点から、女性役員比率を高める必要性を認識しております。これらの背景のもと、当社グループの現状からまずは女性従業員比率と女性管理職比率を高め女性活躍の土壌づくりを図るべく、それぞれに目標値を設定しております。また、多様な人材が能力を発揮できる職場づくりの推進に向けて男性育休取得率と障がい者雇用率についても目標を設定しております。
女性従業員比率、女性管理職比率、男性育休取得率は当社と国内関係会社の合計5社における正社員・契約社員・パート従業員の集計。障がい者雇用率は、障害者雇用促進法に基づき、障害者雇用率制度の対象となる当社と国内関係会社がそれぞれ算出。
なお、海外グループにおける女性従業員比率は62%、管理職比率は31%となっております。上記の指標の他、従業員の採用・定着・能力発揮の観点から性別などの多様性に関する従業員の各種構成比率等を定期的にモニタリングし、当社グループの多様性の状況を把握し、さらなる多様性の確保に向けた取組に反映してまいります。
d.取組
当社グループは、社内環境整備方針に示す目指すべき環境の構築に向け、風土づくり、教育支援、設備や制度の整備に取り組んでおります。2024年3月期は、以下の取組を実施いたしました。
・管理職に向け女性従業員のキャリア形成を後押しするための意識改革を図る女性活躍推進研修
・グループ全社でのタウンミーティングの実施による経営層と現場層の双方向コミュニケーション促進
・D&Iへの理解促進、多様性の尊重を啓発するための従業員座談会
・人権研修など人権尊重への取組
・定額制研修制度による従業員への教育機会提供
・社内報やイントラネットを通じたD&Iの啓発や育休関連制度等に関する周知
・コンプライアンスマニュアルの配布、コンプライアンスミーティング、コンプライアンス研修の実施
なお、当社は次世代育成支援対策推進法に基づき「くるみん認定」を受けております。また、埼玉県「多様な働き方実践企業」プラチナ認定を取得しております。
e.人権尊重への取組詳細
当社グループでは企業に求められる人権尊重への取組みとして人権方針を策定・公表しており、2024年3月期は「ビジネスと人権に関する国連指導原則」や「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に基づき人権デューディリジェンスに着手いたしました。まずは「負の影響の特定・評価」を進めており、今後、負の影響の防止・軽減に向けた具体的な施策を策定し、実行してまいります。
また、前期に続き人権研修を開催し、2024年3月期は「ビジネスと人権」をテーマに従業員教育を行いました。
(4) サステナビリティに関する情報開示について
サステナビリティに関する各種方針やそれに基づく取組、目標、実績等は
また、環境に関しては、環境分野における国際的な非営利団体であるCDPの気候変動と水セキュリティ関する調査に回答しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 為替変動のリスクについて
当社グループの海外拠点における事業活動の拡大に伴い、外貨建取引の増加や外貨建債権債務残高の増大により為替レートの変動による影響を受けやすくなっております。そのため当社グループは為替予約及び通貨オプション等によるリスクヘッジを行うとともに、海外販売の強化を進めておりますが、為替レートの急激な変動により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 生活用品生産拠点の海外集中について
当社グループの生活用品事業の製品は、海外生産が中心であるため、海外において政治経済や法規制の変化など予期せぬ事象が発生した場合には、生産活動や商品供給に支障をきたすなど、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 減損リスクについて
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や、事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) M&A及び業務提携等に関するリスクについて
当社グループは、M&Aや業務提携等を通じた事業強化に取り組んでおります。実行にあたっては対象企業に対する詳細な調査を踏まえた検討を行いますが、事業展開が計画どおり進まない場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 地震等の自然災害や感染症等によるリスクについて
世界各地に展開する当社グループの生産拠点、販売拠点及びそれら周辺地域において、大規模な自然災害が発生した場合には、生産活動や商品供給に支障をきたしたり、復旧費用等、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症等のパンデミックが発生し世界経済に影響を及ぼす場合、当社グループの経営成績や財政状態にさらなる悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 原材料や部品の調達に関するリスク
当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を外部業者から調達しており、これらの外部業者とは、安定供給のための協力体制を築いております。しかしながら市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには外部業者の不慮の事故等により原材料や部品の不足が生じた場合、製造原価の上昇、さらには生産停止に伴う売上減少を招く等、当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 製品の品質に関するリスク
当社グループは国際品質マネージメントシステムやそれに準じたシステム、または顧客が求める厳しい基準で、設計、製造、品質管理を行っております。しかしながら万一、品質上の欠陥やそれに起因するリコールが発生し、リコールや製造物責任の追及がなされた場合、多額の費用の発生、また当社グループの評価が低下することに伴う売上の減少を招き、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) その他のリスクについて
上記以外でも、国内外の主要市場における貿易規制、経済動向、株式市場や債券市場の大幅な変動などにより当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日)における国内及び世界経済は、コロナ禍から正常化に向かいましたが、ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢の悪化等による地政学リスクや資源価格への影響、世界的な金融引締めに伴う為替への影響や中国経済の低迷等、先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような状況のもと、当社グループの業績は、自動車関連につきまして受注が堅調であることや第2四半期連結会計期間よりリズム翔栄株式会社の連結子会社化による業績貢献の一方、工作機械関連や家電製品関連につきまして、市況回復ペースが鈍く想定以上に在庫調整局面が長期化しており、業績回復が遅れております。利益面につきましては、原材料の価格高騰、円安による仕入価格の上昇が業績に影響をあたえました。
以上のことから、当連結会計年度の売上高は326億2百万円(前期比4.4%増)、営業利益は7億30百万円(前期比17.6%減)となりました。経常利益は、為替差益の計上もあり12億59百万円(前期比1.0%増)と増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、リズム翔栄株式会社の取得に伴う負ののれん発生益や固定資産売却益を計上したものの、当社のシステム開発計画の変更に伴うソフトウェア資産(建設仮勘定)や生活用品事業における事業環境悪化に伴う金型資産等の減損損失、当社の連結子会社であるRHYTHM INDUSTRIAL(DONG GUAN)LTD.の生活用品事業における事業環境悪化に伴うリース資産の減損損失、当社の連結子会社であるアイ・ネクストジーイー株式会社の解散に伴う整理損等の計上により4億77百万円(前期比39.8%減)と減益となりました。
以上から業績は次のとおりとなりました。
(単位:百万円)
セグメント別の状況は次のとおりです。
①精密部品事業
国内では、自動車関連製品はエコカーでの新規採用増加や2023年9月よりグループ入りしたリズム翔栄株式会社が売上を牽引したこと等により、受注増加傾向が継続しております。
一方、工作機械関連は中国景気減速による投資抑制等から受注低迷、空調を含めた家電製品関連も在庫過多な状況が継続しております。これらにより国内では増収減益となりました。
海外では、中国での電気自動車の市場変化が著しく、日系自動車会社の苦戦による受注減少やベトナムでのOEM製品の受注減少がありました。一方、円安による為替換算額の押し上げやのれん償却費の減少により、海外では増収増益となりました。
これらの結果、精密部品事業全体では増収減益となりました。
②生活用品事業
国内では、新たな事業の柱と位置付けている快適品につきましてはバリエーションも増え売上に貢献しております。今後の拡大に向け販売活動も順調に進んでおり、来年度はさらに大きな貢献を見込んでおります。クロックにつきましては、オンライン・量販店の販売は善戦、下期においては前年度を上回り、挽回傾向に転じることができましたが、上期減少分をカバーするにはいたらず減収となりました。利益面につきましては、為替市場における円安の影響を受け減益、営業損失となりました。また、アイ・ネクストジーイー株式会社は、2024年3月をもって解散となりました。生活用品の経営資源を快適品とクロックに集約し、さらなる効率化による利益創出に注力してまいります。
海外では、新たに販売を始めた快適品は好調に推移し、前年度より大きく売上を伸ばしました。クロックにおいては、新たな施策により中国・欧州・中東向け販売が伸びるも、北米・アジア向けは低調な販売となり、減少分をカバーするにはいたらず減収となりました。利益面では、売上減少に加え、半導体・原材料の高騰の影響から、減益、営業損失となりました。
これらの結果、生活用品事業全体では減収減益、営業損失となりました。なお、中国拠点においては採算改善に向けた取組が大きく進んでおり、来年度の業績より本格的な貢献を見込んでおります。
③その他
その他事業では、アルコール検知器等の販売が一服となりましたが、物流関係が堅調に推移した結果、全体では減収増益となりました。
(2) 財政状態
①資産
総資産は435億73百万円となり、前連結会計年度末397億38百万円に比べ38億34百万円増加しました。流動資産は、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べ19億5百万円増加しました。固定資産は、有形固定資産や投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ19億29百万円増加しました。
②負債
負債合計は124億27百万円となり、前連結会計年度末108億65百万円に比べ15億62百万円増加しました。流動負債は、支払手形及び買掛金や1年内返済予定の長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ5億79百万円増加しました。固定負債は、社債の増加等により、前連結会計年度末に比べ9億82百万円増加しました。
③純資産
純資産合計は、311億45百万円となり、為替換算調整勘定やその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ、22億72百万円増加しました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11億43百万円増加し、当連結会計年度末には110億43百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や棚卸資産の減少により、24億59百万円の資金の増加(前連結会計年度に比べ12億73百万円の資金の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、21億43百万円の資金の減少(前連結会計年度に比べ10億73百万円の資金の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入等により、1億50百万円の資金の増加(前連結会計年度に比べ6億18百万円の資金の増加)となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は、日々の運転資金の他、事業計画に照らして必要な資金として、設備投資、研究開発投資などがあります。設備投資、研究開発投資などの投資資金需要に対しては、主に自己資金を充当し必要に応じて金融機関からの借入または社債の発行等により資金を調達することを基本方針としております。
当連結会計年度の設備投資の総額は、15億55百万円、研究開発投資の総額は1億39百万円となり、全額自己資金により充当いたしました。その結果、当連結会計年度末の有利子負債は61億50百万円となり前連結会計年度末と比べて12億91百万円の増加となりました。
資金の流動性につきましては、当社グループにおける余剰資金の有効活用に努めるほか、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態にも備えております。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は110億43百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
(6) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
②受注実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績は次のとおりです。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(1)当社は、シチズン時計株式会社と商標の使用に関する契約を以下のとおり締結しています。
(2)連結子会社による事業譲受
当社は、2023年6月26日開催の取締役会において、当社100%出資子会社として連結子会社「リズム翔栄株式会社」を新たに設立し、株式会社翔栄より、同社が運営するタッチパネル、車載用各種ミラー及び関連製品の開発・製造・販売する事業を譲り受け、新たな事業を開始することを決議し、同日付で株式会社翔栄と子会社リズム翔栄株式会社との間で事業譲渡契約を締結しました。その後、2023年9月1日付で事業譲受を完了いたしました。
詳細は、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-〔注記事項〕」の(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
当社グループの研究開発活動は、精密部品事業分野と生活用品事業分野に大別されます。
精密部品事業分野における新製品開発活動は従来製品の船舶関連機器の開発を行っております。
生活用品事業分野における新製品開発活動は、アミューズクロックの商品力強化のための高音質新音源開発、キャラクタークロック商品力強化のためのからくり時計・3D目覚まし時計・キャラクターデジタル時計の開発、大音量目覚ましの開発、デジタル放送に対応した行政防災ラジオの開発、新型モバイルファンの開発、新型加湿器の開発を行っております。
なお、当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における研究開発費の金額は