第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

   当社グループには伝統として培ってきた独自の技術の開発、新しい事に対するチャレンジ精神があります。

  それを永遠の企業文化とするために当社の理念とIDENTITYとして

 

           - 好奇心 そして行動 -        を掲げ

Imagine, Desire and Create

  21世紀の時代と社会に適応した創造性豊かな企業姿勢の確立をめざしてまいります。

(2)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

   当社グループは、時代の要求を敏感に捉え、未来を見据えた技術開発力の強化を基盤とした新市場の創造と開

  拓に努め、事業領域及び製品群の選択と集中を積極的に進めてまいります。
   対処すべき当面の課題とその対処方針としましては、次のような項目を挙げております。

   なお、文中の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもの

  であります。

 

①市場の変化に対応

積極的な業態変化を行う。また、生産ラインの効率化、組織のスリム化を進め総合的な競争力を強化する。

②グローバル化

グローバルマーケットに通用する独自の製品開発を行い、国内外の販売網も更なる充実を図る。

③品質管理

SQFの基本となるHACCP(ハサップ)の理論と手法に基づき、製品品質の安全・安心を確保する。

④環境対応

省エネルギー、省資源、脱炭素等の環境対策に全社的に取り組む。

⑤人材育成

社員の能力向上に注力し、社員一人ひとりの付加価値を高め、会社基盤を強化する。

⑥業務改善

全社的な改善活動に積極的に取り組み、業務の質的向上、効率化を図り全体最適化を図る。

 

 以下、この課題に対する具体的な取り組み状況について述べます。

① 変化する市場ニーズ及び顧客の要望に的確に対応するため、日々の営業活動や「おいしさ科学館(東京本社内)」の機能を通して積極的な情報の収集・発信に努めました。また、海外生産拠点の拡充を進める中で、ジョブローテーションを含めて海外生産拠点に生産部門の人材と経験、技術を投入することにより生産ラインの効率化、適正化を推進しました。

 

② グローバルマーケットに通用する独自の製品群を製造販売するため積極的な展開を図っております。生産拠点として、中国に鶏卵加工品等加工食品素材の開封太陽金明食品有限公司、緑茶抽出物の無錫太陽緑宝科技有限公司、インドに食物繊維「サンファイバー」のタイヨーカガクインディアプライベイトリミテッドがあります。販売拠点として、アメリカの現地法人タイヨーインタナショナルインク、韓国の現地法人タイヨーインタコリアリミテッド、中国の現地法人上海太陽食研国際貿易有限公司、及びドイツに現地法人Taiyo GmbHがあります。また、中国にベーカリー製品の製造、販売を目的とする香奈維斯(天津)食品有限公司があります。

 

③ 確かな品質の製品をお客様へお届けするために、世界的な食品安全管理規格であるGFSI認証スキームのSQF(国内工場)、FSSC22000(海外工場)の認証を取得しております。これらの認証は、HACCP(ハサップ)の理論と手法に基づいた管理を根幹としており、これらの活動を通じて、安全・安心な製品をお客様へ提供するために全社を挙げて取り組んでまいります。

 

④ 地球環境への負荷低減が人類と企業の持続的発展のための重要課題と認識し、自然との調和に配慮した企業活動を積極的に行っています。節電対策として継続したデマンド管理の徹底、最新省エネ機器への更新、全社的な省エネ活動による温暖化対策を推進しています。また、廃棄物の適正な再資源化にも継続的に取り組み、産業廃棄物の最終処分量の削減に貢献しています。今後も環境基本法の遵守を第一に、引き続き省資源・省エネルギー、廃棄物の発生抑制、3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進を全社的に取り組んでまいります。

⑤ 社員一人ひとりのスキルアップが、会社の成長に繋がるとの考えから、当社においては、幅広い経験を通して視野を拡げることを目的に定期的なジョブローテーションを実施しております。また、2010年より導入した基本行動研修(基本道場)を通して、社員自らがトレーナーとなり、会社の行動目標・会社知識・5S・衛生管理・安全知識に関する基本知識を始め、あいさつを中心とした基本行動(マナー)の習得を進めて参りました。今後も、社内教育システムの充実を図り、社員一人ひとりの能力向上に努めます。

 

⑥ 全社的な改善活動に積極的に取り組み、業務の質的向上、効率化を図り全体最適化を図るために、前期に引き続き、全社各チームが改善目標を決め改善活動に取り組みました。また、各部門の改善状況や成果を確認するために、定例指導会での進捗確認、改善現場での社内自主研究会や成果発表会を開催しました。

 

⑦ 社会から信頼され、必要とされる企業となるために当社の理念である「好奇心 そして行動」の精神の下、社業に取り組み進化し続けることが、当社グループの社会的な責任としCSR推進委員会を設立しました。ISO26000の中心課題「組織統治、環境、人事・労働慣行、公的な事業慣行、消費者(顧客)に対する課題、コミュニティ参画・課題」に準じて、推進責任者を設置し、目標達成に向けた施策と検証を行っております。また、2019年9月より国連グローバル・コンパクト(UNGC)に加入しました。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります

なお文中の将来に関する事項は当連結計会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

 

サステナビリティ基本方針

 太陽化学グループは、社業に取り組み「進化」し続けることが社会的責任であると考え、経営理念“私たちは、世界の人々の健康と豊かな生活文化に貢献します。”のもと全社員が一丸となって常に社会から信頼され、発展・成長し続ける企業を目指します。

 

CSR基本方針

 ■従業員、株主・投資家の皆様、お客様、お取引先様等すべてのステークホルダーとのコミュニケーションを大切にし満足度向上に努めます。

 ■法令遵守のみならず事業活動にて生じる社会への影響に対処し、広く社会からの期待、要望に答えることにより、社会貢献に努めます。

 ■人と地球にやさしい企業として地球環境の負荷低減に積極的に取り組みます。

 ■法令遵守の徹底や不祥事の未然防止を図るため、リスクマネジメントやコンプライアンスの更なる強化徹底に取り組みます。

 

具体的な取り組み

 当社は、持続可能性を意識した事業活動を展開するため、2019年7月にCSR推進委員会を発足、同年9月には持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みである国連グローバル・コンパクト(UNGC)に加入する他、サステナビリティ評価機関である「EcoVadis」の認証取得やCDP質問書(温室効果ガスの排出量や、気候変動などに対する取り組みに関する質問書)への回答を行っております。

 また、当社が取り組むべきサステナビリティ課題をSDGsの17のゴールと紐づけ、課題毎に推進責任者を配置し、目標達成に向けた施策と検証を行っています。

 各推進責任者はそれぞれの課題とテーマを設定し、年間を通じてマネジメントを行い、CSR基本方針の遂行に寄与しています。

 また、社会の持続可能な成長に貢献することを目的に、CSRへの取り組みを、お取引先様と協力してサプライチェーン全体に拡げる「CSR調達」を推進しています。

 この取り組みを通じて当社とお取引先様双方の企業価値を向上させることも目指し、CSR調達にかかるガイドラインを制定、サプライヤーと共有しています。

 

 サステナビリティに関する考え方、各種取り組みは、当社ウェブサイト
(https://www.taiyokagaku.com/csr/)
にて公表しております。

 

(1)ガバナンス

 当社は、社会的な責任を果たし、かつ持続的な成長、発展を遂げて行くことが重要であるとの認識に立ち、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視、管理するためのガバナンスの強化に努めております。

 

≪取締役会による監視体制≫

 取締役会は、毎年一回、CSR推進委員会が特定したマテリアリティ(重要課題)、戦略及び目標についての諮問を受け審議します。

 また、半年に一度、取組状況及び目標の達成状況の報告を受け、必要に応じて是正を指示します。

 

≪経営者の役割≫

 サステナビリティ担当役員は、CSR推進委員会の管掌役員としてマテリアリティ(重要課題)、戦略及び目標を評価し、必要に応じて見直しを指示します。

 また、取組状況及び目標の達成状況をモニタリングし必要に応じて是正を指示します。

 

 当社CSRマネジメントの詳細については、当社ウェブサイト
(https://www.taiyokagaku.com/csr/management/)
にて公表しております

 

 

(2)戦略

ESGに関連するサステナビリティ重要課題と主な取り組み

要素

マテリアリティ

具体的な取組み

対応する

SDGsゴール

環境

(E)

地球環境の負荷低減

資源循環

サーマルリサイクル(熱エネルギーとしての利用)やマテリアルリサイクル(飼料・肥料としての活用)など再生利用の促進

廃プラスチックの減容化、原料容器のリユース

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大気汚染防止

燃料にLNG(液化天然ガス)を採用し、硫黄酸化物(SOx)を低減

蒸気ボイラー設備には低NOxバーナーを採用し窒素酸化物の排出を抑制

排水の水質管理

排水処理設備にて放流水及び処理工程に応じた監視測定を行い、異常を早期発見出来る体制を整備

省エネルギー

プラント毎にエネルギー消費量を「見える化」しエネルギー削減活動の推進

夏期には節電対策会議を開催し、ピーク時の電力使用量を削減

消泡剤「アワブレークシリーズ」により泡の

発生を長時間に渡って抑制し、製造稼働時間

を減少

プラスチックゴミ削減

海洋汚染防止

ポリ乳酸改質剤「チラバゾールVR」により「100%植物由来」のバイオプラスチック製造に寄与

社会

(S)

フードロス低減

微生物対策

お茶に含まれるポリフェノール「カテキン」や乳化剤の持つ“抗菌”機能により、経時的な腐敗や微生物汚染から食品を守る

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酸化防止

酸化防止素材「スーパーエマルジョンTSシリーズ」により食品の酸化を抑制し、賞味期限を延長

物性コントロール

増粘多糖類製剤にて物性コントロールし、出来立てのおいしさを長時間維持

鮮度保持

太陽化学メソポーラスシリカ(TMPS)により野菜・果物等の鮮度を保持

健康寿命の延伸

QOL向上

機能性素材の研究・開発

機能性素材の研究、開発を通じて健康寿命の延伸に貢献

水溶性食物繊維「サンファイバー」を使った『おむつゼロ』運動の推進。

自立支援介護の知識や自然な排便コントロールの普及啓発活動

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健康意識向上の推進

腸の健康の重要性に気付きを促し、食物繊維摂取の重要性をを発信する活動として「快腸ビジネスプロジェクト」を立ち上げ、社内外に展開

人的資本の拡充

ダイバーシティと機会均等

年1回の自己申告制度の実施

育児や介護のための休暇や勤務時間短縮の制度を利用しやすくなるなど、従業員が働き続けられる環境の整備

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ジョブローテーション

幅広い経験を通して視野を拡げることを目的とした定期的なジョブローテーションの実施

ワークライフバランス

育児、介護に関する制度、在宅勤務制度など従業員が安心して働き続けられる環境の整備

 

 

ガバナンス

(G)

経営の透明性・健全性の向上

コンプライアンスの徹底

ガバナンス

コーポレートガバナンス体制の強化

 

リスクマネジメント

想定される事業リスクの抽出、評価及び基本方針の策定

コンプライアンス教育

基本道場やe-ラーニング、コンプライアンス通信等を利用したコンプライアンス教育の実施

 

■人材育成及び社内環境整備方針

 私たちは互いの人格と個性を尊重し、多様な人財がワークライフバランスを保って働くことのできる、健康的で意欲あふれる職場づくりを推進します。

 ・私たちは従業員一人ひとりを大切にします

 ・私たちは最も大切な財産は人であると考え人が活きる企業活動を行います

 ・私たちは明るく健康的な職場づくりに取り組みます

 ・私たちはお互いの人格と個性を尊重し思いやりと信頼を基に行動します

 ・私たちは共に働く仲間の長所を認め合い自分の長所を更に伸ばします

 ・私たちは次世代を担う人材育成に努めます

 

■人材育成に関する具体的な取り組み

①ダイバーシティと機会均等

 従業員のキャリアについては、現在の業務状況や今後のキャリア希望などを毎年自己申告する機会があります。

従業員が自身のキャリアを考えながら、職域拡大の要望を反映させる仕組みを取り入れ、現在従事する業務に関する内容はもちろん、新たな職域へ挑戦できる環境を整えています。また、子育て中の従業員が仕事と家庭の両立を図ることができるよう、子が小学校2年の始業式に達するまで、育児短時間勤務制度を活用することができます。作業工程や手順を明確化することで仕事内容の共有化を図り、育児や介護のための休暇や勤務時間短縮の制度を利用しやすくなるなど、従業員が働き続けられる環境づくりを実施しています。

 

②ジョブローテーション

 特定分野の専門性を追求する「専門家」も必要ですが、当社においては、幅広い経験を通して視野を拡げることを目的に定期的なジョブローテーションを実施し、「専門家」よりも複数分野における専門性を身につけた「プロフェッショナル」になることを社員に期待しています。また、企業内研修では外部の講師だけでなく、社員自身が社内講師となり、社員を指導する企業内研修を活発に行っています。社員が考え、実践することで、その社員自身の成長を図ります。

 新入社員研修では、現場実習を実施し、製造会社である当社にとって大切な「ものづくり」を経験し知識を深め、様々な部署を経験することで円滑なコミュニケーション、成長を促す実習カリキュラムを組みます。

 この新入社員研修では、期間中の指導者として、入社2年目以降の若手先輩社員が業務や精神的なサポートを行う、メンター制度を設けており、若手社員自身が教えることで、自身の成長へ繋がることを期待しています。

 

■社内環境整備に関する具体的な取り組み

 ワークライフバランス(働き方改革の推進)

 当社は、従業員が安心して働き続けられる環境づくりを推進しています。

 

 育児に関する制度、取り組み

プレママ

ミーティング

妊娠~産休に入るまでの間、人事女性担当者と本人とその上司で面談を実施する取り組み。

産休までの働き方、復帰後の働き方を上司とも共有しながらサポートしていきます。

育児休業制度

出産~育児に伴い最長2歳(諸条件あり)まで取得できる制度

育児短時間勤務制度

産休復帰後より小学校2年生の始業式までの間、所定労働時間を6時間へ変更することができる制度

育児のための

時差出勤制度

育児のために所定労働時間を前後1時間変更し勤務できる制度

子の看護休暇

小学校2年生の始業式までの子を養育する従業員は、病気や予防接種、健康診断の際に、取得できる休暇制度(無給・上限あり)

 

 介護に関する制度

介護休業制度

対象家族1人につき、原則として通算100日間の範囲で介護休暇が取得できる制度

介護休暇制度

要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日々雇用する者は除く)当該家族が1人の場合は1年間につき6日、2人以上の場合は1年間につき12日を限度に特定休暇として、介護休暇(無給)を取得できる制度

介護短時間勤務制度

介護のために所定労働時間を6時間へ変更することができる制度

介護のための

時差出勤制度

介護のために所定労働時間を前後1時間変更し勤務できる制度

 

 ワークライフバランスにおける取り組み

在宅勤務制度の導入

従業員のワークライフバランス、業務効率化を目的に導入

(2019年4月より導入開始)

ストック休暇制度

失効する年次有給休暇のうち一定限度を積み立て、特定の事由において使用できる制度(2009年4月より導入開始)

 

 安全・安心な職場づくり

 当社グループでは、従業員を守るためにも、災害・事故防止対策は最重要課題と認識しています。労働安全衛生法に基づき、安全衛生に関する基本方針及び年間安全衛生目標スローガンを掲げ、安全衛生委員会を毎月開催。事故防止策の徹底、社内教育の実施により、無事故・無災害を目指すとともに、情報共有を図ることで、社員一人ひとりの安全意識の向上に取り組んでいます。

 

  当社人財育成方針の詳細については、当社ウェブサイト
 (https://www.taiyokagaku.com/csr/social/employee/)
にて公表しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、リスクの種類に応じた委員会を設置のもと、全社的・体系的なリスク管理体制の整備・強化を図っています。

 CSR推進委員会は、毎年一回サステナビリティ全般に関するマテリアリティ(重要課題)を特定し、具体的な取組について取締役会に諮問します。

 CSR推進委員会は、特定したマテリアリティ(重要課題)に対する取組状況及び目標の達成状況を半年に一度、取締役会及びリスク管理委員会に報告します。

 リスク管理委員会は、その他全社的リスクと合わせて取組状況をモニタリングします。

 

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、気候関連リスクを管理するため、温室効果ガス(Scope1・2)排出量を指標とし中長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定しております。

項目

基準年

2023年度実績

目標年

目標値

Scope1・2

2013年度

21,755 t-CO2

19,644 t-CO2

9.7%減

2030年

46%削減

 

 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2030年度目標

労働災害度数比率

2.45%

0.00%

2.21%

2.28%

3.45%

4.45%

0.0%

女性採用比率

37.5%

37.5%

33.3%

50.0%

33.3%

45.0%

40.0%

管理職女性比率

4.4%

5.8%

5.7%

4.7%

5.2%

8.7%

15.0%

障がい者雇用率

2.85%

2.71%

2.73%

2.50%

2.26%

2.76%

2.9%

有給休暇取得率

66.0%

67.07%

62.93%

61.48%

66.71%

68.94%

70.0%

女性従業員育児休暇取得率

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

男性従業員育児休暇取得率

66.7%

100.0%

 

 当社取り組みの詳細については、当社ウェブサイト
(https://www.taiyokagaku.com/csr/social/employee/)
にて公表しております。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループは、経営戦略、経営環境の変化に対するリスクを始め、日々の事業活動において想定される様々なリスクの正しい認識・評価とリスク低減のため、各リスクに対応する委員会を定期的に開催するなどリスク管理体制の強化・充実に努めております。なお、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ビジネスチャンスの「選択と集中」について

 当社グループは、時代の要求を敏感に捉え、未来を見据えた技術開発力の基盤を強化し、新市場の開拓と共に、事業領域及び製品群の選択と集中を積極的に進め、時代の流れに対応する経営を目指しております。

 特に当社の得意とする界面コントロール技術及び機能性素材の製造、販売を日本を含めグローバルに展開することで成長を図る戦略を推進しております。事業領域の縮小リスクにつきましては、事業部間の相互連携と販売地域の拡大及び深耕により回避する戦略を実施しております。

 

(2)競合等による収益の圧迫について

 緑茶抽出物、機能性アミノ酸のテアニン、水溶性食物繊維、鉄補給製剤など機能性素材は、飲料・健康食品などへの利用拡大が進み、また、海外においてもアメリカのサプリメント市場などで評価され、順調な成長を示しております。しかしながら成長分野である機能性素材については、大手資本による参入も予測され、そのため関係各社との生産、販売の協業をグローバルに展開し、競争優位を保つ施策を講じております。

 

(3)原料変動のリスクについて

 当社製品の原料は、天然産物の占める割合が高く、また、世界各国より原料を調達している為、天候・商品相場・地域情勢に影響を受ける可能性があります。当社グループでは、生産者との直接契約による購買、購買地域の分散、複数社購買などリスク分散を考慮した購買システムの構築を行っております。しかしながら、広範な地域の天候不順や地域紛争などにより、生産地が壊滅的な被害を被った場合、原料調達に支障をきたしたり、原料価格高騰の可能性があります。

 

(4)情報管理について

 情報システムに関するリスク低減を目的として、IT委員会を設置し、情報の消失、情報の漏洩、通信回線障害、システム障害、コンピューターウィルスによる障害等への対策を全社的に進めております。

 現時点において下記の仕組みを構築しております。

① 通信回線障害に対する回線の二重化

② 情報の消失、システム障害対策としてデータの日々のバックアップと保管及び重要データの遠隔地へのバックアップ

③ 外部からの攻撃を防ぐ対策としてファイアーウォールの設置

④ 外部、内部からのコンピューターウィルス侵入対策としてウィルス対策ソフトの導入

⑤ 「社内ネットワーク及び情報管理規程」の制定、及び情報管理に関する従業員教育の徹底

 

(5)品質保証について

 当社製品の品質に問題が発生して製品回収や廃棄が必要になる可能性があります。また、当社製品を利用されたお客様で商品回収や廃棄が必要になりその損害賠償を受ける可能性があります。これらの品質リスクを排除するため、太陽化学グループにおける品質保証体制は以下の図の通りとなっております。原材料仕入れから顧客への製品納入にいたるサプライチェーン全体に対する品質保証を実現するために、各事業部の研究開発部門には設計品質担当を、生産部門には品質管理担当を配置し、安全安心な製品作りの体制を構築しております。又、品質保証部は事業部やその他関係部門の活動を品質保証の視点でサポートし、品質に関するマネジメントを行なっております。

 

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(6)特許について

 他社の当社事業に影響する関係特許につきましては、定期的調査を行い担当研究員が調査結果に基づき検討しております。当社事業に影響する関係特許が発見された場合、担当研究員は事業部長に報告するとともに、知財担当部署と対応を協議し、必要に応じて顧問弁理士又は弁護士と連携して適切な対応ができる体制を構築しております。

 また、職務発明に関する発明者に対する報奨金制度につきましては、発明者に対し出願報奨、登録報奨を支給しております。また、特許権の実施により一定の利益を得た時には、知的財産権管理規程に準じて発明者に対して実施報奨金を支給しております。因みに、2024年3月期における公開特許は12件、登録特許は10件となっております。

 なお、第三者の特許等に抵触する場合、当社グループの事業継続ができなくなるリスクがあります。

 

(7)債権管理について

 当社の直接の販売先は約1,300社に渉り、販売金額も小口分散化しております。また、回収サイトの長い販売先もあることから債権管理に注力し、信用状態を継続的に把握し、与信設定や限度額設定を行うなど不良債権の発生を極力抑えるよう努めております。

 貸倒引当金の計上に関しては、一般債権については貸倒実績率により、また、貸倒懸念債権等特定の債権については、民間信用調査機関の評点により個別に回収可能性を勘案し回収不能見込額を計上しております。

 昨今の経済情勢によっては不測の事態が生じる可能性は否定できませんが、2024年3月期においては、破産、倒産等による貸倒債権額は発生しておりません。

 

(8)自然災害等のリスクについて

 地震等の自然災害によって、当社グループの拠点等が損害を受ける可能性があります。当社グループは、災害対策として、工場設備・建物の耐震対策、危機管理マニュアルの作成、緊急連絡網の作成、国内事業所間でのデータの相互バックアップ体制などの対応を行っております。

 しかしながら、幹線道路や原料供給先などが壊滅的な損害を被った場合、納期の遅延が発生することがあり、お客さまへ提供するサービスの低下、さらに拠点等の修復又は代替原料の検討のために費用を要することとなる可能性があります。

 災害リスクの転嫁としては、相当額の地震保険並びに火災保険に加入しておりますが、保険でカバーできない大規模災害によるリスクが発生する可能性があります。

 加えて、新型コロナウイルスなどの感染症の拡大により、供給先、納入先、当社グループの工場などのサプライチェーンに影響が生じた場合や、当社グループの従業員に影響が生じた場合にも、同様の影響が生じる可能性があります。

 

(9)リスク管理に係わる委員会等の現状

① リスク管理委員会

 会社が事業を継続するにあたり、想定される事業リスクの抽出を行うとともに基本方針の策定を行うこととしております。また、事業リスクを事前に予測することにより、その発生を可能な限り回避するとともに、仮に事象が生じた場合でも、迅速に対応・処理をすることで、会社への被害や損害を最小限に抑えることを目論んでおります。そのため、下部組織として個別の委員会を設置し、統括的に管理をすることとしております。(主管部署はコーポレート本部)

 

② SQFマネジメント委員会

 品質リスク防止に関する会議体として、SQFマネジメント委員会を設置しております。SQFマネジメント委員会では、世界的な食品安全管理標準規格であるGFSI認証スキーム(国内工場:SQF、海外工場:FSSC22000)に基づく品質マネジメント活動をレビューし、活動を活性化することを目的として実施しております。

(主管部署は品質保証部)

 

③ 中央安全衛生委員会

 労働災害の防止や安全衛生に取り組んでおります。毎月開催する委員会活動を通じて、関係法令への対応、労働安全衛生に関する各部署からの報告に基づいた指導を行っております。(主管部署はコーポレート本部)

 

④ IT委員会

 ITに関するハード/ソフト面におけるリスクの低減に取り組んでおります。各部署のIT委員を中心に、セキュリティ管理の充実、システム信頼性の向上を図っております。(主管部署はコーポレート本部)

 

⑤ コンプライアンス委員会

 法令遵守、社内規則遵守、行動規範遵守に関するリスクについて、全社的なコンプライアンス体制の推進を図るために、「従業員行動規範」を掲示して周知に努めるとともに、従業員が個人的にコンプライアンスに関する相談ができるシステムとして内部通報制度を設けております。(主管部署はコーポレート本部)

 

⑥ 環境管理委員会

 当社環境マネジメントシステムの運用管理を中心に、温室効果ガス及び廃棄物削減の推進、関係法令遵守のための課題解決に向けての協議の場としております。(主管部署はコーポレート本部)

 

 これらの他にも、環境関連、労務関連等に関し訴訟を提起される可能性、不祥事を巡るトラブルなど潜在的リスクが存在します。また、事業のグローバル化に伴う通貨リスク、異文化理解度によるリスク、政治的混乱、暴動、テロなどリスクは多岐にわたり、完全に把握することは不可能であり、ここに記載されたリスクが全てのものではありません。当社グループとしましては、さまざまな事業等リスクを認識し適切な対応策を構築しておくことが企業価値を損なわず経営目標を達成させるために必要な手段であり、全社のリスクを統括的に管理することを目的にリスク管理委員会において、予防対策の強化に努めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識、分析・検討内容は次のとおりであります。

 

①業績等の概要

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、経済活動および社会活動の正常化に向けた動きが見られました。しかしながら、原材料やエネルギー価格の高騰、中国経済の減速やウクライナ・中東情勢による地政学リスク、日米の金利格差による円安進行など、先行きが不透明な状況が続きました。

 当社事業の主要分野であります食品業界におきましては、インバウンド消費の増加に伴い外食産業向け商品の需要は回復基調となりましたが、物価高の影響によって消費者の節約志向が強まり、企業を取り巻く事業環境は依然として厳しい状況が続きました。

 このような環境の中で当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は、引き続き対処すべき課題として、①市場変化への対応、②グローバル化、③品質管理体制の維持・強化、④環境への取り組み、⑤人材育成、⑥ガバナンスの強化を掲げ、企業価値の向上に取り組んでおります。

 この結果、当連結会計年度の売上高は476億65百万円(前年同期比10.9%増)、営業利益は45億12百万円(前年同期比12.7%増)、経常利益は29億54百万円(前年同期比28.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は24億11百万円(前年同期比15.6%減)となりました。

 

 当連結会計年度におけるセグメントの概況は次のとおりであります。

 

■ ニュートリション事業

 医療、健康食品及び飲料業界等にカテキン(緑茶抽出物)、テアニン(機能性アミノ酸)、水溶性食物繊維等の機能性食品素材、ミネラル製剤、ビタミン製剤等を製造、販売しております。

 水溶性食物繊維は、アジア及び欧州市場は減少しましたが、国内及び米国市場が増加しました結果、売上高は前年を上回りました。

 カテキンは、欧米市場は減少しましたが、国内及びアジア市場が増加しました結果、売上高は前年を上回りました。

 ミネラル製剤は、アジア市場は減少しましたが、国内及び欧米市場が増加しました結果、売上高は前年を上回りました。

 テアニンは、国内及び米国市場が増加しました結果、売上高は前年を上回りました。

 この結果、売上高は、118億55百万円(前年同期比11.4%増)、営業利益は、18億89百万円(前年同期比7.8%増)となりました。

 

■ インターフェイスソリューション事業

 乳製品、飲料、菓子、パン、加工油脂等の業界、及び化粧品、トイレタリー業界等に、乳化剤等の品質改良剤を製造、販売しております。

 化粧品、トイレタリー用途は、欧米市場が減少しましたが、国内及びアジア市場が増加しました結果、売上高は前年並みで推移しました。

一般食品用途は、アジア市場が減少しましたが、国内市場が増加しました結果、売上高は前年を上回りました。

 飲料用途は、国内及びアジア市場が増加しました結果、売上高は前年を上回りました。

 この結果、売上高は、129億81百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は、16億51百万円(前年同期比4.7%増)となりました。

 

■ ナチュラルイングリディエント事業

 乳製品、飲料、菓子、パン、総菜、即席めん、農産加工業界等に、鶏卵加工品、たん白素材、即席食品用素材、農産加工品等の食品素材、品質改良剤、安定剤等を製造、販売しております。

 鶏卵加工品は、国内市場の調味料用途等向けの液卵加工品、めん用途、調味料用途等の粉末卵が増加しました結果、売上高は前年を上回りました。

 即席食品用素材は、国内市場の即席めん用途が増加した結果、売上高は前年を上回りました。

 安定剤は、飲料用途が減少しましたが、デザート用途、冷菓用途及び総菜用途が増加しました結果、売上高は前年を上回りました。

 この結果、売上高は、226億67百万円(前年同期比13.3%増)、営業利益は、9億23百万円(前年同期比46.7%増)となりました。

 

■ その他

料理飲食等の事業を行っております。

 売上高は、1億61百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益は、47百万円(前年同期比9.7%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、52億87百万円(前連結会計年度より13億84百万円増加、35.5%増)となりました。
 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度における営業活動により55億47百万円の資金を獲得いたしました(前連結会計年度より49億89百万円増加、895.1%増)。

 その主な理由は、税金等調整前当期純利益が29億64百万円、自己金融効果としての減価償却費20億49百万円、持分法による投資損失20億80百万円、棚卸資産の減少4億70百万円、未払金の増加1億40百万円、その他負債の増加3億6百万円、利息及び配当金の受取額1億46百万円、保険金の受取額1億65百万円による資金の増加の他、受取利息及び受取配当金1億39百万円、為替差損益1億6百万円、受取保険金1億65百万円、売上債権の増加7億44百万円、その他の資産の増加3億18百万円、仕入債務の減少2億18百万円、法人税等の支払額10億98百万円による資金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度における投資活動により15億73百万円の資金を支出いたしました(前連結会計年度より16億93百万円の支出の減少、51.8%減)。

 その主な理由は、定期預金の払戻による収入が16億80百万円、定期預金の預入による支出が13億39百万円、有形固定資産の取得による支出が18億99百万円となったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度における財務活動により29億65百万円の資金を支出いたしました(前連結会計年度は7億42百万円の獲得)。

 その主な理由は、短期借入れによる収入65億円の他、短期借入金の返済による支出85億円、配当金の支払額が8億63百万円になったことによるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ニュートリション事業

8,394,613

81.9

インターフェイスソリューション事業

12,804,866

108.9

ナチュラルイングリディエント事業

14,489,769

105.2

報告セグメント計

35,689,249

99.7

その他

合計

35,689,249

99.7

(注)1. 金額は販売価格をもとに算出しております。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ニュートリション事業

11,855,276

111.4%

インターフェイスソリューション事業

12,981,623

106.6%

ナチュラルイングリディエント事業

22,667,311

113.3%

報告セグメント計

47,504,211

110.9%

その他

161,772

110.8%

合計

47,665,984

110.9%

(注)1. いずれの事業にも属さない料理飲食等の売上についてはその他の売上として計上しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び財政状態

 

有価証券

 市場価格のない株式等以外のものは、市場価格等に基づく時価法、市場価格のない株式等については、移動平均法による原価法により評価しております。

 

棚卸資産

 主として総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。

 

固定資産

 1998年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)並びに2016年4月1日以降に取得した建物附属設備及び構築物については定額法、それ以外の有形固定資産については定率法を採用しており、また、無形固定資産については定額法を採用しております。なお、在外連結子会社においては、主に国際会計基準に基づく定額法を採用しております。

 

引当金

 貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については、貸倒実績率により計上しております。なお、貸倒懸念債権については、個別に回収可能性を勘案した上で、回収不能見込額を計上しております。賞与引当金は、従業員に対して支給する賞与の支出に充てるため、支給見込額に基づき計上しております。役員退職慰労引当金は、役員退職慰労金規程に基づく期末要支給額を計上しております。

 

退職給付に係る会計処理の方法

 退職給付に係る負債は、連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産を控除した額を計上しております。

 

財政状態

 資産につきましては、前連結会計年度に比べ19億97百万円増加し、606億19百万円となりました。これは主に、現金及び預金が10億43百万円増加、受取手形及び売掛金が9億51百万円増加、流動資産その他が1億61百万円増加、投資有価証券が5億51百万円増加、繰延税金資産が2億63百万円増加、商品及び製品が1億5百万円減少、関係会社長期貸付金が3億2百万円減少、投資その他の資産その他が5億43百万円減少となったことによるものであります。

 負債につきましては、前連結会計年度に比べ6億69百万円減少し、116億60百万円となりました。これは主に、未払法人税等が3億46百万円増加、持分法適用に伴う負債が10億51百万円増加、流動負債その他が3億20百万円増加、短期借入金が20億円減少、繰延税金負債が5億25百万円減少となったことによるものであります。

 純資産につきましては、前連結会計年度に比べ26億66百万円増加し、489億58百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益24億11百万円を計上したことによる増加、その他有価証券評価差額金が3億45百万円の増加、為替換算調整勘定が5億94百万円増加、非支配株主持分が1億44百万円増加、剰余金の配当により8億63百万円が減少したことによるものであります。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

 

売上高

 売上高の概要については「第2 事業の状況、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、①業績等の概要」においてセグメントの概況として記載のとおりであり、476億65百万円と前連結会計年度に比べ46億95百万円、10.9%の増収となりました。

 

売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、原料面においては、原料高騰により引き続き大きく増加したほか、加工費面におきましては、新工場設備稼働に伴い減価償却費が増加となりましたが、外部委託費は内製化が進んだことにより減少となりました。また継続的な取組である「New Production System(ニュー・プロダクション・システム)」に基づく改善活動を積極的に展開し、海外生産子会社を含め全体最適化による原価低減に取り組みました。

 この結果、当連結会計年度の売上原価は、356億36百万円と前連結会計年度に比べ39億99百万円、12.6%の増加となり、売上総利益は、120億29百万円と前連結会計年度に比べ6億96百万円、6.1%の増益となりました。

 販売費及び一般管理費は、人件費の増加、またコロナウイルス感染症の収束に伴う行動制限の緩和により営業経費も増加となり、75億16百万円と前連結会計年度に比べ1億88百万円、2.6%の増加となりました。

 この結果、営業利益は、45億12百万円と前連結会計年度に比べ5億8百万円、12.7%の増益となりました。

 

営業外収益

 営業外収益は、受取保険料が増加し6億20百万円と前連結会計年度に比べ1億95百万円、46.0%の増加となりました。

 

営業外費用

 営業外費用は、持分法による投資損失が増加し21億78百万円と前連結会計年度に比べ19億6百万円、700.5%の増加となりました。

 この結果、経常利益は、29億54百万円と前連結会計年度に比べ12億2百万円、28.9%の減益となりました。

 

税金等調整前当期純利益

 税金等調整前当期純利益は、29億64百万円と前連結会計年度に比べ9億37百万円、24.0%の減益となりました。

 

非支配株主に帰属する当期純利益

 非支配株主に帰属する当期純利益は、99百万円となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、24億11百万円と前連結会計年度に比べ4億45百万円、15.6%の減益となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

ⅰ)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであり、当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、52億87百万円(前連結会計年度より13億84百万円増加、35.5%増)となりました。

 

ⅱ)資本の財源及び資金の流動性

 短期運転資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関よりの短期借入を併用いたしております。

 当社グループの当連結会計年度における資金需要として、原材料費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金のほか、設備投資は、各事業において生産設備の新設・増強・更新等を行っており、ニュートリション事業部において、新造粒設備が当連結会計年度より稼働となっております。

 海外事業関連については、インド生産子会社のタイヨーカガクインディアプライベイトリミテッドにおいて、製品倉庫の新設を行っております。

 

④戦略的現状と見通し

 

 当社グループは、将来の事業環境及び情報に基づき経営方針を決定しております。

 当社事業の主要分野であります食品業界におきましては、インバウンド消費の増加に伴い外食産業向け商品の需

要は回復基調となりましたが、物価高による消費者の節約志向の強まりや、地政学リスク・急激な為替変動などに

よる原材料やエネルギー価格の高騰など、企業を取り巻く事業環境は依然として厳しい状況が続くことが予想され

ます。

 このような事業環境において、当社グループの施策として、国内外ともに変化する市場のニーズ及び顧客の要望に的確に対応するため、デジタル・ITを活用したより付加価値の高い提案活動を行い、当社グループ製品の認知度を向上させるとともに、食品メーカーに限定されない幅広い業種の企業と新たな市場を共創する取組を目指します。

 海外の販売体制は、米国・韓国・中国・ドイツの販売子会社における地域ニーズに即した販売活動に加えて、経済発展に伴い食習慣が変りつつある東南アジア及び南米の加工食品市場に向けて、積極的な販売活動を進めてまいります。

 研究開発は、「世界の人々の健康と豊かな生活文化への貢献」を企業の行動目標とし、新たな食品素材の開発に研究投資を進め、高齢化の進む日本社会への貢献を目指してまいります。

 また、生産活動に関しては、「マーケットインに即した」生産方式を基盤とした「New Production System(ニュー・プロダクション・システム)」をより浸透・充実させるとともに、品質体制におきましても、事業の根幹となる「食の安全・安心」を担保すべく、原料トレーサビリティの確立、海外の生産子会社を含めた品質管理体制の構築・整備を続けてまいります。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。

 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、「食と健康に貢献する独創技術の開発」をモットーとして、新規素材の開発から製剤の開発、更には生産技術の開発にいたるまで、積極的な研究開発活動を行っております。
 現在、研究開発は、各セグメントに所属する研究開発スタッフ及び研究開発支援部門のスタッフにより推進されております。
 知的財産権の取得にも注力しており、当連結会計年度中に公開された当社が出願人である公開特許件数は12件であり、海外での特許取得についても積極的に取り組んでおります。
 当連結会計年度における全体の研究開発費は1,334百万円であります。
 当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(1)ニュートリション事業

 緑茶抽出物、機能性アミノ酸(テアニン)、水溶性食物繊維、ミネラル・ビタミン等の乳化製剤についてエビデンスに基づく研究開発を行い、伸張するQOL市場に向けてグローバルな展開を目指し、新規製品開発や応用開発を行っております。

 当連結会計年度の主な成果として、身近な天然素材から最先端技術を応用した新規素材までを取り扱い、研究開発型ソリューション企業として、無限の可能性を秘めた機能性食品素材の創成に実績を積み重ねております。研究の更なる発展を図るため、京都府立医科大学に寄附講座「生体免疫栄養学(太陽化学)講座」に加え、株式会社吉野家ホールディングスと産学連携共同研究講座「食と健康研究講座」にて共同研究を進めております。「生体免疫栄養学講座」では機能性素材の抗老化作用のメカニズムの解明、「食と健康研究講座」では水溶性食物繊維の栄養吸収調節作用の検証、その生理作用を活かした商品開発を目指しております。また、新たに東京工科大学、広島大学と時間栄養学的な視点に基づく共同研究を開始し、水溶性食物繊維のセカンドミール効果や機能性素材の睡眠調節作用のメカニズムの検証に取り組んでおります。

 水溶性食物繊維(ファイバー)においては、腸皮膚連関や腸脳相関にも着目し、ヒト臨床試験により肌のバリア機能および弾力への有効性、健常高齢者の認知機能や睡眠に対する有効性を明らかにし、論文発表しました。また、世界において広まる食物繊維市場にあわせ、効率の良い製造検討も行っております。

 機能性表示食品への展開においては、サンアクティブHCDの血管内皮機能改善作用や血流改善作用、モリンガの肩、首、関節の不快感への有効性に関して論文発表し、ヘルスクレームの取得を目指しています。ニュートリションデリバリーシステム(NDS)においては、オートメーション化された新工場稼働により効率的な製造や新たな製造技術の導入による世界的に需要が高まっているミネラル・ビタミン製品のラインナップ強化に取り組んでおります。

 当セグメントの研究開発費は500百万円であります。
 

(2)インターフェイスソリューション事業

 食品用乳化剤、飲料用乳化安定剤・乳化製剤、化粧品・トイレタリー用素材の研究開発を行っております。

 当連結会計年度の主な成果として、加工食品用途は油脂改質及び表面改質機能の向上に引き続き注力し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを主とした改質提案を推進しております。

 飲料用途は市場の中心であるPETボトル飲料向けの素材開発に注力しております。高い安定性が求められるPETボトル飲料向けに乳化剤製剤、乳化食品を主に展開を進めます。酸化防止剤製剤は飲料用途のみならず顧客のサステナビリティの取組みの観点から飲食品の賞味期間延長に対する展開が今後も期待されます。

 化粧品用途は強みであるクレンジング分野と並行してスキンケア関連に注力しております。界面科学・皮膚科学の両面からポリグリセリン脂肪酸エステルの新たな価値を開拓し、高機能・低刺激の強みを活かした積極的な提案活動を推進しております。
 当セグメントの研究開発費は478百万円であります。
 

(3)ナチュラルイングリディエント事業

 トレーサビリティに基づいた安全・安心な品質管理のもと、素材のおいしさや機能を活かしながら、独自の加工技術により特長ある加工食品の開発を行っております。原料高騰の影響もあり、適正な利益が確保できるよう製品の見直し等も進めております。

 当連結会計年度の主な成果として、マイクロ波加工品では、独自のマイクロ波加工技術を活かせる分野に注力し、また生産部門と連携した生産性向上に関する取組みも行っております。

 安定剤は、コンビニ関連商品や惣菜用途へ注力し、製品開発を行っております。新規分野である化粧品への採用実績も進んでおり、今後もターゲットを明確にした製品開発を行います。

 品質改良剤として従来から展開している鶏卵や蛋白質が持つ機能を活かした製品の開発に注力しております。調味料用途の物性改良目的で開発した酵素処理卵黄の採用が進んでおり、付加価値のある機能に着目した開発を進めてまいります。

 新規素材・新領域について、SDGsを意識した製品開発を行っており、プラントベース向けの新製品開発やフードロス対策・賞味期限延長などに貢献できる、抗酸化をキーワードとした製品開発を行ってまいります。
 当セグメントの研究開発費は355百万円であります。