1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   信越化学工業株式会社

所在地  東京都千代田区丸の内一丁目4番1号

 

2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1)意見の内容

 当社は、2024年4月25日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。当社は、上記の取締役会決議に際して、下記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)に対して、本特別委員会が2024年4月25日付で当社取締役会に対して提出した答申書(以下「2024年4月25日付答申書」といいます。その概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議していました。

 その後、当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、その他の本前提条件(下記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」にて定義します。)が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月17日に受けました。当社は、これを受けて、2024年6月17日、本特別委員会に対して、2024年4月25日付答申書の意見に変更がないか検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問しました。

 本特別委員会は、2024年6月17日に上記諮問がなされたことを受け、改めて、当社に対して、2024年4月25日以後、本取引(下記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」にて定義します。)に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年4月25日以後、2024年6月19日までの事情を勘案しても2024年4月25日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年6月19日に、当社取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の答申書(以下「2024年6月19日付答申書」といいます。その概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を提出しました。

 なお、本特別委員会は、本取引公表後の当社株式の市場株価は、一部の期間において、本公開買付価格をやや上回る水準で推移していたものの、これは、本取引の存在を前提に、現時点で実際にはなされていない対抗提案や、市場株価上昇に起因して公開買付者が本公開買付けの成立のために本公開買付価格を引き上げることへの期待等、本取引に対する様々な思惑の影響を受けて形成されたものであると推測されること、及び、かかる事実を踏まえても、本公開買付価格が当社の本源的価値に照らして妥当性が確保された金額であると考えられること等からすれば、本公開買付価格の妥当性は2024年6月19日付答申書の作成日時点においても維持されていると判断しています。

 また、公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間である20営業日から31営業日に変更していますが、当該変更は、一般に少数株主の利益に資するものであり、当社株主が本公開買付けに応募するか否かを判断するための十分な時間を確保できるようにするという公開買付者による変更の理由も合理的なものであることを踏まえれば、本特別委員会は、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、2024年6月19日付答申書の作成日時点において、本取引に係る手続は公正であると判断しています。

 その上で、当社は、本特別委員会から提出された2024年6月19日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2024年6月20日現在においても、2024年4月25日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断しました。なお、当社は、本取引公表後の当社株式の市場株価は、一部の期間において、本公開買付価格をやや上回る水準で推移していたものの、これは、本取引の存在を前提に、現時点で実際にはなされていない対抗提案や、市場株価上昇に起因して公開買付者が本公開買付けの成立のために本公開買付価格を引き上げることへの期待等、本取引に対する様々な思惑の影響を受けて形成されたものであると推測されること、及び、かかる事実を踏まえても、本公開買付価格が当社の本源的価値に照らして妥当性が確保された金額であると考えられること等から、2024年6月19日付答申書の内容も踏まえ、本公開買付価格の妥当性は2024年6月20日時点においても維持されていると判断しました。

 以上より、当社は、2024年6月20日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計8名のうち、中澤正幸氏を除く7名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をしました。

 また、当社の監査役4名全員が上記取締役会に出席し、出席した監査役の全員が上記決議につき、異議がない旨の意見を述べています。

 なお、2024年4月25日付及び2024年6月20日付の上記各取締役会決議は、いずれも、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役の異議のない旨の意見」に記載の方法により決議されています。

 

(2)意見の根拠及び理由

 本「(2)意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいています。

① 本公開買付けの概要

 公開買付者は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場している当社株式を13,733,824株(所有割合(注1):42.75%)直接所有する当社の筆頭株主であり、また、公開買付者の完全子会社である信越半導体株式会社を通じて当社株式を359,424株(所有割合:1.12%)間接所有しており、合わせて当社株式を14,093,248株(所有割合:43.87%)所有することにより、当社を持分法適用関連会社としています。

(注1) 所有割合とは、当社が2024年3月29日に提出した当社決算短信に記載された2024年2月29日現在の発行済株式総数35,497,183株から、同日時点の当社が所有する自己株式数(3,373,302株)を控除した株式数(32,123,881株)に対する割合をいいます。

 

 公開買付者は、2024年4月25日付「三益半導体工業株式会社株式(証券コード8155)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「公開買付者2024年4月25日付プレスリリース」といいます。)において公表しましたとおり、同日開催の公開買付者取締役会において、当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、国内外(日本、台湾)の競争法に基づく必要な手続及び対応を終えること(注2)その他の各条件(注3)(以下、これらの条件を総称して「本前提条件」といいます。)が充足された場合(又は公開買付者が本前提条件を放棄した場合)に速やかに本公開買付けを実施することを決定し、2024年7月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指していたとのことです。

(注2) 日本及び台湾における競争法上の届出に係る承認又は待機期間の満了が含まれるとのことです。

(注3) 本公開買付けにつきましては、上記国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応を終えることのほか、①当社取締役会において賛同・応募推奨決議がされ、かつ、変更又は撤回がされていないこと、②当社が設置した特別委員会において賛同・応募推奨に肯定的な内容の答申が行われ、かつ、変更又は撤回がされていないこと、③当社の財政状態に重大な悪影響を与える事由(法第27条の11第1項但書に定める事由をいいます。)が生じていないこと、④司法・行政機関等に対して、本公開買付けの開始を禁止又は制限することを求める旨のいかなる申立て、訴訟又は手続も係属しておらず、かつ、本公開買付けの開始を禁止又は制限する司法・行政機関等の判断等が存在しないこと、並びに⑤当社に関する未公表の重要事実(法第166条第2項に定める重要事実をいいます。)及び公開買付け等事実(法第167条第2項に定める事実をいいます。)が存在しないことを実施の前提条件としていたとのことです。

 

 その後、公開買付者は、日本における競争法上の届出について、2024年5月14日付で「排除措置命令を行わない旨の通知書」を公正取引委員会より受領し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。)第10条第2項に基づく本公開買付けによる株式取得(以下「本株式取得」といいます。)が禁止される期間が2024年5月16日をもって終了することを確認したとのことです。また、台湾における競争法上の届出について、公開買付者は、2024年6月17日(現地時間)付で、台湾公平交易委員会から本株式取得については競争制限に係る懸念を生じさせないため、待機期間を短縮する旨の文書を受領し、同日(現地時間)付で本株式取得の承認がなされたことを確認したとのことです。以上をもって、本取引の実行に必要な全ての競争法上のクリアランスの取得が完了し、本株式取得を実行することが可能となったことを確認したとのことです。

 その後、公開買付者は、2024年6月20日に、以下のとおりその他の本前提条件が全て充足されたことを確認したことから、同日、本公開買付けを2024年6月21日から開始することを決定したとのことです。なお、公開買付期間については、公開買付者2024年4月25日付プレスリリースにおいては原則として20営業日とする予定としていたとのことですが、31営業日に変更しているとのことです。

 

① 公開買付者は、当社より、2024年6月20日開催の当社取締役会において、2024年6月20日現在においても、2024年4月25日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断し、改めて、本公開買付けに賛同する旨の意見表明を適法かつ有効に行い、かつ、その株主に対しても本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議がなされ、当該意見が変更又は撤回されず有効である旨の報告を受け、2024年6月20日に、当該決議が実施され、かかる意見表明が変更又は撤回されず有効であることを確認したとのことです。

② 公開買付者は、当社より、当社の特別委員会が、2024年4月25日以降、2024年6月19日までの事情を勘案しても、当社取締役会に対して賛同・応募推奨意見を表明することに肯定的な答申を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、上記意見に変更がない旨の答申書を提出し、かつ、当該答申の内容が変更又は撤回されず有効である旨の報告を受け、2024年6月20日、当該答申書が2024年6月19日に当社取締役会に提出され、かつかかる答申書が変更又は撤回されず有効であることを確認したとのことです。

③ 公開買付者は、当社より、2024年6月20日時点において、当社の財政状態に重大な悪影響を与える事由は生じていない旨の報告を受け、同日、当該事由は生じていないと判断したとのことです。

④ 公開買付者は、当社より、2024年6月20日時点において、司法・行政機関等に対して、本公開買付けの開始を禁止又は制限することを求める旨のいかなる申立、訴訟又は手続も係属しておらず、かつ、本公開買付けの開始を禁止又は制限する司法・行政機関等の判断等が存在しない旨の報告を受け、同日、当該判断等は存在していないことを確認したとのことです。

⑤ 公開買付者は、当社より、2024年6月20日時点において、当社に関する未公表の重要事実又は公開買付け等事実が存在しない旨の報告を受け、同日、当該事実は存在していないことを確認したとのことです。

 

 本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を7,682,076株(所有割合:23.91%)(注4)に設定しており、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(7,682,076株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、本公開買付けは当社を完全子会社化することを目的としていますので、買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。

(注4) 買付予定数の下限(7,682,076株)は、当社決算短信に記載された2024年2月29日現在の当社の発行済株式総数(35,497,183株)より、当社決算短信に記載された同日現在当社が保有する自己株式数(3,373,302株)を控除した株式数(32,123,881株)に係る議決権の数(321,238個)の3分の2に相当する数(214,159個)(なお、小数点以下を切り上げ。)に、当社の単元株式数である100を乗じた株式数(21,415,900株)について、さらに公開買付者が本書提出日現在所有する当社株式数(13,733,824株)を控除した株式数(7,682,076株)としているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けは、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされるため、当該手続が確実に実行可能となるよう、本公開買付け後に公開買付者が当社の総株主の議決権数の3分の2以上を所有することとなるようにするためとのことです。

 

 公開買付者は、本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に公開買付者が当社を完全子会社とするため、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。

 

② 公開買付者における本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

 公開買付者は、1926年9月に信越窒素肥料株式会社として発足したとのことです。1940年3月に社名を信越化学工業株式会社に変更し、1949年5月に東京証券取引所に株式を上場したとのことです。本書提出日現在、公開買付者の株式は、東京証券取引所プライム市場、株式会社名古屋証券取引所プレミア市場にそれぞれ上場しているとのことです。

 公開買付者は、本書提出日現在、135社の子会社及び当社を含む11社の関連会社を有しているとのことです(公開買付者並びにその子会社及び関連会社を総称して、以下「公開買付者グループ」といいます。)。公開買付者グループは、素材と技術によって他の追随できない価値を社会と産業のために生み出し、公開買付者の株主の皆様のご期待にお応えしていくことを目指し、以下4つのセグメントにおいて事業を行っているとのことです。

(ⅰ)生活環境基盤材料事業:上下水道などのインフラ(社会基盤)から、住宅、農業、生活用品まで、私たちの生活に欠かせない塩化ビニル樹脂の他、か性ソーダ、メタノール、クロロメタン、ポバール等の素材を提供しているとのことです。

(ⅱ)電子材料事業:半導体の基幹材料であるシリコンウエハーを筆頭に、半導体製造工程に使用されるフォトレジスト、フォトマスクブランクス、半導体用封止材料等を生産しているとのことです。また、環境対応車や電化製品などに使われるモータの省電力化に不可欠なレア・アースマグネット(希土類磁石)や、光ファイバーの原料等に使用される高純度の合成石英製品も供給しているとのことです。

(ⅲ)機能材料事業:幅広い産業で使われるシリコーンや、医薬・食品・工業用など用途が多岐に亘るセルロース誘導体をはじめ、合成性フェロモン、金属ケイ素、液状フッ素エラストマー、ペリクル等、求められるより良い機能を実現する多彩な機能材料製品を提供しているとのことです。

(ⅳ)加工・商事・技術サービス事業:樹脂加工製品の提供、技術・プラント輸出、商品の輸出入、エンジニアリング等のサービスを手掛けているとのことです。

 

 一方、当社は、1969年6月、計測器・試験機の販売を目的とする三益産商株式会社(1963年12月設立)の研磨部から分離独立し、半導体シリコンウエハーの鏡面研磨加工を目的として設立されました。また、当社は、1983年12月に当社を存続会社とし、三益産商株式会社及び株式会社三益エンジニアリングを消滅会社とする合併をしました。その後、当社は、1997年4月に東京証券取引所市場第二部に株式を上場し、また1998年11月には東京証券取引所市場第一部に指定され、2022年4月の東京証券取引所における市場区分の見直しにより、本書提出日現在においては、東京証券取引所プライム市場に上場しています。

 当社の事業は、シリコンウエハーの研磨加工を行う半導体事業部、計測器、試験機その他精密機器等及びエンジニアリング事業部による製作品の販売を行う産商事業部並びに半導体関連自動化装置等の開発及び設計・製作を行うエンジニアリング事業部で構成されています。

 当社は、「遵法に徹し公正な企業活動を行い、半導体産業の基礎を支える先端技術を通じて、暮らしや産業、社会に貢献する。」を企業理念として、三事業部門が緊密に連携し、それぞれの強みを活かし競争力を高めることで、企業価値の向上及びエレクトロニクス社会の進展への貢献に努めています。とりわけ主力のシリコンウエハー加工分野においては、最先端加工技術のたゆまぬ研鑽により高品質・低コストを実現し、積極的な事業展開を図っています。

 

 公開買付者と当社の持分法適用関連会社としての資本関係は、2005年8月に公開買付者が当社による第三者割当増資(以下「本割当増資」といいます。)を引き受け、当社株式7,733,824株(本割当増資後の発行済株式総数に対する割合:27.10%)を保有することにより始まりました。当社は、長年に亘り公開買付者グループよりシリコンウエハー加工を受託していたところ、シリコンウエハー加工事業の業容拡大等を目的とした本割当増資により、公開買付者の持分法適用関連会社となりました。その後、2006年2月に公開買付者は、当社とより強固な提携関係を構築することを目的として、当社株式に対する公開買付けを実施し、当社株式13,733,824株(当時の発行済株式総数に対する割合:40.54%)を保有することになりました。

 公開買付者は、2005年8月に半導体シリコン事業における関係強化を図るため公開買付者が当社を持分法適用関連会社として以降、両社は相互に企業価値を高め合える長期的なパートナーであることを確認してきたとのことです。また、公開買付者はこれまでも、当社とのシナジーを発揮するために、公開買付者のポートフォリオの中で当社の事業をどう位置付けるかについて検討を重ねてきたとのことです。特に、公開買付者グループの電子材料事業の成長のためには、世界シェアトップのシリコンウエハー(注1)をはじめとする半導体事業の多面的な拡大が不可欠であるところ、当社の有する半導体事業、産商事業、エンジニアリング事業それぞれが大きな力になると考えているとのことです。上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本書提出日現在、当社は、公開買付者の持分法適用関連会社です。しかしながら、公開買付者としては、半導体業界においては、中長期的に半導体デバイス需要の増加が見込まれている(注2)中、足元では在庫調整や資源価格高騰等の激しい変化に直面しており、また、半導体業界は一般的に景気循環の影響を受けやすく需給の逼迫・緩和の移り変わりが激しい業界であり、このような市場環境が今後も継続する見込みであることから、より高度な技術開発や供給の安定化等の変革が当社において必要な時期であると認識しているとのことです。

(注1) SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)レポートに基づく市場規模並びに各社決算情報に基づく各社売上高より市場シェアを算出したもの。

(注2) McKinsey & Company「The semiconductor decade:A trillion-dollar industry」(2022年4月)に基づく。

 

 このような状況の中、公開買付者は、当社との間で、今後の望ましい資本関係の在り方や、両社の企業価値を向上することを目的とした諸施策について、協議・検討を開始したとのことです。具体的には、公開買付者は、当社との間で、2024年1月中旬、かかる諸施策に関する具体的な検討を開始したとのことです。その結果、公開買付者は、2024年2月上旬に、現在のように、当社が持分法適用関連会社のままでは、両社の人材及び経営資源の活用は不十分であり、下記(ⅰ)~(ⅶ)のようなシナジーを生み出し、両社の企業価値の更なる向上を図るためには、両社がより強固な協力体制を構築していくことが必要であると判断し、当社を公開買付者の完全子会社とし、経営資源の相互活用に対する制約を排除し機動的な経営判断を行うことができる経営体制を構築することが急務であるとの認識に至ったとのことです。また、公開買付者は、当社の既存の商流や取引先については、当面は現状の体制を尊重し変更しない方針であり、本取引により公開買付者グループや当社に事業運営上の不利益や悪影響が生じることは想定していないとのことです。なお、一般的に、株式の非公開化に伴うデメリットとして、資本市場からエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなること、また、上場会社であることに伴う社会的な信用の向上といったこれまで上場会社として享受してきたメリットを喪失し、それに伴う取引先その他のステークホルダーへの影響や従業員のモチベーション低下が挙げられるとのことです。しかしながら、公開買付者は、本取引の実行後に、当社が公開買付者グループの資金、知名度・ブランド力及び社会的な信用を活用できることから、本取引を通じて株式の非公開化を行うデメリットは限定的であると考えているとのことです。

 

 公開買付者は、本取引を通じて、以下のようなシナジーが期待できると考えているとのことです。

(ⅰ)ウエハー生産能力のより円滑な適時適所配置

・公開買付者グループにおいては、継続的に増加する半導体デバイスの需要に伴い、半導体の基板材料であるシリコンウエハーの生産技術や更なる品質の向上、デバイスの微細化進展に対応する最先端の技術開発に取り組んでいるとのことです。公開買付者グループと当社が今後も競争優位性を維持するためには、高度化する技術要請への対応と、安定した品質及びお客様への安定供給を実現することが必要不可欠であるとのことです。

・当社は、従来より、公開買付者グループからのみプライムウエハーの加工を受託しており、その結果、高精度かつ生産性の高いシリコンウエハー加工プロセスを確立し、現在、世界最高レベルのクリーンルームを有する300mmウエハーの最先端工場における量産体制を構築しています。公開買付者と当社は、両社の生産技術、生産設備及びリソースの共有により、生産の最適化及び在庫や物流の最適化を図ることができ、需給や市況の変化が激しい半導体業界において、サプライチェーンの強靭化が図られ、お客様への安定供給体制を強化し、より一層競争力を高めることが可能であると考えているとのことです。

(ⅱ)人員確保及び人材相互活用

・現状では、持分法適用関連会社に留まることによる一定の制約のもと、人材交流が限定的であるところ、本取引を通じて公開買付者グループ及び当社の研究開発部署の活発な人材交流により、シリコンウエハー加工技術の更なる向上や、デバイスの更なる高集積化、高速度化、低消費電力化に対応する次世代向けの技術及び新材料の共同開発が可能となると考えているとのことです。

・また、近年、国内労働力人口の減少や半導体業界の急速な技術の進歩により、半導体エンジニアの人材不足が顕在化する中で、公開買付者は、グループ全体として人材の確保と育成に努め、持続可能な組織体制を構築できるものと考えているとのことです。さらに、当社と同地区の公開買付者グループ群馬事業所を中心とした人材相互活用も期待できると考えているとのことです。

(ⅲ)多種多様なウエハー需要により良く応える品揃えの拡充

・現状では、持分法適用関連会社に留まることによる一定の制約のもと、両社がそれぞれの自社事業を最適化する観点を持った上での連携となるため、効果が限定されているところ、本取引を通じて公開買付者グループ及び当社がそれぞれ独自に有する製品情報・知見・技術・ノウハウ等が統合され、それらの多様性及び深度が増すことにより、両社において自社の製品を相手方に販売してもらうクロスセルを含めて、長期的な目線で相互補完の効果が期待できると考えているとのことです。また、今後の生成AI用半導体デバイス等最先端半導体向けのシリコンウエハーの需要拡大にも対応できることになると考えているとのことです。

(ⅳ)当社の投資コストの軽減

・公開買付者は、中長期的なシリコンウエハー需要の拡大が見込まれる中、当社が事業を強化・拡大するためには、今後も継続的に大規模な投資が必要となる可能性があると考えているとのことです。このような投資を当社が独自に行う場合、外部借入等の方法により高い資金調達コスト負担を強いられるところ、本取引を通じて、当社は、公開買付者グループの資金力を活用できるようになり、更なる事業拡大への貢献が可能であると考えているとのことです。

・また、このような多額の設備投資は、資本市場から必ずしも十分な評価が得られない可能性があると想定されるところ、本取引により当社は、短期的な資本市場からの評価にとらわれず、中長期的な企業価値向上に資する施策を実行できるようになると考えているとのことです。

(ⅴ)公開買付者グループのウエハー再生技術・知見の応用

・当社は、長年に亘って培ってきた研磨・洗浄技術や成膜技術を応用し、シリコンウエハーの再生(再加工)にも取り組んでいます。公開買付者は、このような当社の技術を活用し、新品ウエハーの製造に必要なエネルギーを削減することで、脱炭素社会に向けたグリーントランスフォーメーションへの取り組みが加速できるものと考えているとのことです。

(ⅵ)スピンプロセッサーの販路拡大

・公開買付者は、当社のスピンプロセッサー(注3)は、国内のパワー半導体向けの顧客を中心に高い評価を受けている一方で、海外市場への販路拡大が課題であると認識しているとのことです。一方、公開買付者グループは、海外製造拠点に加えて、多数の海外顧客や販売ネットワークを有しているとのことです。

・本取引を通じて、当社が持つ商品開発力・技術力と、公開買付者グループの海外における顧客ネットワーク・営業ノウハウを組み合わせることで、海外市場におけるスピンプロセッサーの販路拡大を図ることが可能であると考えているとのことです。

(注3) 「スピンプロセッサー」とは、ウエハーを1枚ずつ回転させながら薬液を滴下して表面処理する装置をいいます。ウエハーバックグラインド後のシリコンエッチングや各種メタルエッチングといったエッチング処理を主とする装置と、レジスト剥離やポリマー残渣除去及び金属不純物の洗浄といった洗浄処理を主とする装置に大別されます。特にスピンエッチング装置についてはエッチング処理の終点管理に特徴があり、処理後のウエハーの厚さを一定に揃えることが可能となります。

(ⅶ)災害時リスク分散強化

・公開買付者グループと当社は、現状半導体の原材料の売買取引や加工サービスの提供を行っていますが、本取引を通じて両社の利益相反関係が解消されることにより、公開買付者及び当社双方における安定調達・供給体制をさらに強化することが可能となり、また、公開買付者は、このような当社との連携強化により、災害や天災等の場合にも、製造設備等の損害やサプライチェーンの分断の影響を分散し、最小限に抑えることが可能であると考えているとのことです。

 

 このような認識のもと、公開買付者は、2024年1月中旬にリーガル・アドバイザーとして柏木総合法律事務所を選任し、社内検討を行った上で、2024年2月9日に、当社に対して公開買付けを通した完全子会社化の意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出したとのことです。その後、2024年2月中旬に公開買付者及び当社から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を選任することで、本取引に関する検討体制を構築したとのことです。

 その上で、公開買付者は、本取引の実現可能性の精査のためのデュー・ディリジェンスを2024年2月下旬から2024年4月上旬まで実施したとのことです。それと並行して、2024年4月上旬より、当社との間で、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下(以下「本公開買付価格」といいます。)に関する協議を重ねてきたとのことです。具体的には、公開買付者は、2024年4月3日に本公開買付価格に関する最初の提案(1株当たり3,150円、提案前営業日である2024年4月2日の終値2,954円に対して6.64%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとします。)のプレミアムを加えた価格)を行ったとのことですが当社は、2024年4月5日に、当該価格は少数株主の利益に対して十分な配慮がされた水準とは認められないとの理由から、公開買付者に対し、提案内容の再検討を要請するとともに、当該価格の算定の前提となる当社事業に対する見立てに関して、どのような評価を行ったかについての質問を行いました。公開買付者は、2024年4月9日に、当社から受領した質問に対して、当社事業の特性を踏まえて、当社株式価値算定における事業の評価方法について、回答を行ったところ、当社より、2024年4月12日に、当該評価方法に対しては理解するものの、依然として少数株主の利益に対して十分な配慮がされた水準とは認められないとの理由から、改めて価格の再提案を要請されたとのことです。これを受けて、公開買付者は、2024年4月16日に、本公開買付価格を3,560円(提案前営業日である2024年4月15日の終値2,940円に対して21.09%のプレミアムを加えた価格)とする旨の再提案を行ったとのことですが、当社は、2024年4月18日に、当該再提案価格に対し、少数株主の保護のため更なる配慮をしてほしいとの理由から、本公開買付価格を3,870円とすることを検討するよう要請しました。また、本特別委員会からも、公開買付者に対し、2024年4月18日に、少数株主の保護の観点から当社からの提案価格を十分に考慮した検討を行うよう要請しました。その後、公開買付者は、2024年4月23日に、本公開買付価格を3,700円(提案前営業日である2024年4月22日の終値2,751円に対して34.50%のプレミアムを加えた価格)とする旨の再々提案を行ったところ、当社より、2024年4月24日に、本公開買付価格を3,700円とする提案を受け入れる旨の回答を受けたとのことです。

 これらの協議・交渉を経て、公開買付者は2024年4月25日開催の取締役会において、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、当社株式を本公開買付けにより取得すること、及び本公開買付価格を3,700円とすることについて決議したとのことです。

 また、公開買付者は、上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、2024年6月18日開催の取締役会の決議に基づき一任された公開買付者代表取締役社長斉藤恭彦氏により、その他の本前提条件が充足されたことを2024年6月20日に確認し、同日、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを決定したとのことです。

 

③ 本公開買付け後の経営方針

 本取引が成立した後の経営方針については、公開買付者は、当社の企業価値向上のための経営戦略の具体的な施策として、主に上記「② 公開買付者における本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の各施策を講じることを考えているとのことですが、具体的な内容及び方法については、本取引完了後に当社と協議しながら決定していく予定とのことです。

 また、本取引後も、原則として現行の事業運営体制を維持する考えでいるとのことですが、詳細につきましては今後当社と協議しながら決定していく予定とのことです。

 

④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

 当社は、上記「② 公開買付者における本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2024年2月9日に、公開買付者から本意向表明書を受領しました。当該提案を受けて、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本公開買付価格の公正性その他本公開買付けを含む本取引の公正性を担保することを目的として、2024年2月22日、取締役会決議により、中村修輔氏(当社社外取締役)及び星野公洋氏(当社社外取締役)並びに社外有識者である寺田芳彦氏(公認会計士・税理士、トラスティーズ・アドバイザリー株式会社)の3名によって構成される、公開買付者グループ及び当社のいずれからも独立した、本特別委員会を設置しました(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。また、2024年2月中旬に、公開買付者グループ及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を、フィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「DTFA」といいます。)をそれぞれ選任し、本特別委員会から、いずれも独立性及び専門性に問題がないとして、それぞれ、当社のリーガル・アドバイザー、第三者算定機関及びフィナンシャル・アドバイザーとして承認を受けています。

 また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」及び「⑥ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者グループから独立した立場で、本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行う体制(本公開買付けの検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築し、検討を進めてきました。

 

 当社は、上記体制のもと、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、公開買付者から受けた本公開買付価格の提案内容を適時に本特別委員会に共有し、当社の少数株主の利益に配慮する観点から、当社としての交渉方針に係る本特別委員会からの意見、指示、要請等に基づいた上で、DTFA及びTMI総合法律事務所の助言を受けながら、本公開買付けの実行の是非に関して公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を行いました。

 具体的には、当社は、公開買付者から、2024年4月3日に本公開買付価格に関する最初の提案(1株当たり3,150円、提案前営業日である2024年4月2日の終値2,954円に対して6.64%のプレミアムを加えた価格)を受けました。当社は、2024年4月5日に、当該価格は少数株主の利益に対して十分な配慮がされた水準とは認められないとの理由から、公開買付者に対し、提案内容の再検討を要請するとともに、当該価格の算定の前提となる当社事業に対する見立てに関して、どのような評価を行ったかについて質問を行いました。公開買付者は、2024年4月9日に、当社から受領した質問に対して、当社事業の特性を踏まえて、当社株式価値算定における事業の評価方法について、回答を行いました。その後、当社は、2024年4月12日に、公開買付者からの事業の評価方法に関する当該回答に返答するとともに、当該回答を踏まえても、3,150円という提案価格は依然として少数株主の利益に対して十分な配慮がされた水準とは認められないとの理由から、改めて提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、2024年4月16日に、本公開買付価格を3,560円(提案前営業日である2024年4月15日の終値2,940円に対して21.09%のプレミアムを加えた価格)とする旨の再提案を受けました。当社は、2024年4月18日に、当該再提案価格に対し、少数株主の保護ため更なる配慮をしてほしいとの理由から、公開買付者に対し、本公開買付価格を3,870円とすることを検討するよう要請しました。また、本特別委員会も、2024年4月18日に、公開買付者に対し、少数株主の保護の観点から当社からの提案価格を十分に考慮した検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、2024年4月23日に、本公開買付価格を3,700円(提案前営業日である2024年4月22日の終値2,751円に対して34.50%のプレミアムを加えた価格)とする旨の再々提案を受けました。当社は、2024年4月24日に、本公開買付価格を3,700円とする提案を受け入れる旨の回答をし、本公開買付価格を3,700円とすることについて公開買付者との間で合意に至りました。

 さらに、当社は、TMI総合法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2024年4月25日付答申書の提出を受けました(2024年4月25日付答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、2024年4月25日開催の当社取締役会において、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた法的助言及びフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるDTFAから2024年4月24日付で取得した当社株式に係る株式価値算定報告書(以下「本株式価値算定報告書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2024年4月25日付答申書の内容を最大限尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するものか、また、本公開買付価格を含む本取引における諸条件は妥当なものであるか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。

 

 その結果、当社としても、中長期的に半導体デバイス需要の増加が見込まれ、より一層のシリコンウエハーの高品質化が顧客より要請されることが想定される一方、こうした需要を先取りする技術開発や海外企業との競争激化に対応するための機動的な設備投資の実行がますます重要となり、加えてそれらに要する資金が大幅に増大することが予見される現在の経営環境において、短期的な業績変動及び資本市場からの短期的な評価にとらわれない中長期的な観点での取り組みや、当社及び公開買付者グループ間における顧客基盤、事業基盤、財務基盤等の経営資源の相互活用等を可能にすることを、本取引を通じて実現することが当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。

 

 具体的には、本取引を通じて以下のシナジー効果を期待することができ、当社の企業価値向上に資するものと考えています。

(ⅰ)当社の既存事業の海外への販売機会の拡大

 例えば、当社のスピンプロセッサーは、国内のパワー半導体顧客におけるIGBT(注1)製造ラインで使用されるスピンエッチャー(注2)を中心に高い評価を受けている一方で、当社は、海外市場への販路拡大が課題であると認識しています。上記「② 公開買付者における本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者グループは、海外製造拠点や多数の海外顧客及び販売ネットワークを有しています。本取引を通じて、当社が持つ商品開発力・技術力と、この公開買付者グループが持つ海外顧客基盤と販売ネットワーク及び営業ノウハウを活用することで、当社の既存事業の販売機会の拡大が期待できると考えています。

 また、当社が取り扱う300mm再生ウエハーは、高品質及び安定供給力により世界No.1シェア(2024年1月時点、当社による顧客への毎月の聞き取り調査の結果)を有していますが、本取引を通じて、公開買付者グループの海外顧客基盤と販売ネットワークを活用することで、更なるシェアの拡大が期待できるものと考えています。

(注1) 「IGBT」とは、Insulated Gate Bipolar Transistorの略語であり、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタとも呼ばれ、高速スイッチング、高耐圧・低オン抵抗という特徴を持ったパワー半導体デバイスの一種をいいます。

(注2) 「スピンエッチャー」とは、半導体の製造においてエッチング加工をするために使用される装置で、ウエハーバックグラインド後のシリコンエッチングや各種メタルエッチングといったエッチング処理を主とする装置をいいます。

 

(ⅱ)経営資源の共有による経営効率の向上

 近年、半導体デバイスの製造プロセスは製品の高性能化に伴って、ますます多様化し複雑に変化しており、それによりシリコンウエハーに対する要求品質も格段に厳しさを増しています。

 そうした中で、公開買付者グループは市場における高い競争力を確保するため、デバイスの微細化に対応する最先端の技術開発に取り組んでいますが、当社も同様にシリコンウエハーの最先端の加工技術の開発に精力的に取り組んできました。

 本取引を通じて、両社で開発成果に関する緊密な情報交換が可能となり共同開発を強力に推進し、コスト削減や開発スピードの加速化が図られるものと考えています。また、両社の生産技術、生産設備及びリソースの共有により、生産の最適化及び在庫や物流の最適化を図ることができ、需給や市況の変化が激しい半導体業界において、サプライチェーンの強靭化が図られ、当社の顧客への安定供給体制を強化し、より一層効率的な経営が可能になると考えています。

 

(ⅲ)300mmシリコンウエハー加工技術の更なる向上

 当社の中核事業である300mmシリコンウエハー事業は、常に最先端領域での競争に打ち勝つことが事業発展の要となっています。現状では、当社は、公開買付者の持分法適用関連会社に留まっているため、両社間の情報交換に一定の制約があります。本取引を通じて公開買付者グループと一体化することにより、公開買付者グループが取引を行っている半導体デバイスメーカーに接近した最新の情報や知見が得られ、双方の技術資産や人材の融合によるシナジーによって、最先端の加工技術の開発が加速されるものと考えています。これにより300mmシリコンウエハー事業における当社の競争力を格段に高め、事業の安定的な発展が期待できるものと考えています。

 

(ⅳ)中長期的な視点に立った設備投資の実行及び当社の投資コストの軽減

 半導体デバイスは、先端領域におけるシリコンウエハー貼り合わせ技術等の導入によって、より高度化・多様化しており、複雑に変化しています。また、中国企業をはじめとする新規メーカーの台頭もあり、市場における競争は著しく激化しています。

 このような経営環境において、当社が競争力を維持・強化するために必要であると見込まれる次世代に向けた設備投資は、加工ラインの自動化・高精度化を求めて高度かつ複雑になり、投資金額は従来水準を大幅に上回る規模で増大することが見込まれています。また、当社の中長期的な事業価値の向上のために、そのような大規模な設備投資を今後も継続的に実施していくことは避けられないと考えています。そのため、本取引を通じて、当社株式を非公開化することで、短期的な業績変動や資本市場からの短期的な評価にとらわれない、より中長期的な観点での設備投資の実行を可能とする必要があると考えました。

 また、当社が上記のような大規模な設備投資を独自で行う場合、外部借入等の方法により高い資金調達コストを強いられるところ、本取引を通じて、当社は、公開買付者グループの資金力を活用できるようになると考えています。

 

(ⅴ)上場維持のためのコスト削減・業務負担の軽減と、それによる経営資源の振替

 当社は、当社株式の上場を維持するための体制に関して、近年の新市場区分における上場維持基準への対応やコーポレートガバナンス・コードの改訂等の点において、年々、体制の強化が求められています。これらに対応するための上場維持コスト(株主総会の開催・運営費用、監査法人への監査費用、株主名簿管理人への事務委託に要する費用、有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する費用等)は年々増大しており、上場維持のための業務負担(投資家対応、適時開示及びコーポレートサイトでの情報発信の強化、決算説明の充実といったIR活動)も増加しています。

 当社は、本取引を通じて、当社株式を非公開化することで、上場維持のためのコストや業務負担が軽減されると考えており、この結果、当社が上場維持のために用いていた経営資源を、当社の事業部門へ振り替えることで、当社の事業の成長の加速に繋げることができるものと考えています。

 

 なお、一般に、株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなること、また、上場会社であることに伴う社会的な信用の向上といったこれまで上場会社として享受してきたメリットを喪失し、それに伴う取引先その他のステークホルダーへの影響や従業員のモチベーション低下が挙げられます。しかしながら、本取引によって、公開買付者グループの資金力の活用を中心に資金調達を行うことが可能となること並びに当社の現在の財務状況及び昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、当面の間、エクイティ・ファイナンスの必要性は高くはなく、また、当社における人材採用面で重要となる当社の知名度・ブランド力や社会的な信用は、事業活動を通じて獲得・維持されている部分が大きく、非上場化によって特段影響を受けないと考えられること、また、本取引の実行後は公開買付者グループの知名度・ブランド力や社会的な信用を人材採用で活用することができると考えられることから、当社が、本取引を通じて株式の非公開化を行うデメリットは限定的であると考えています。

 

 また、当社は、本公開買付価格が、(ⅰ)下記「(3)算定に関する事項」に記載されているDTFAによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果の上限を上回るとともに、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内であること、(ⅱ)本公開買付けの開始予定についての公表日である2024年4月25日の前営業日である2024年4月24日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,777円に対して33.24%、2024年4月24日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,925円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。)に対して26.50%、過去3ヶ月間の終値単純平均値3,088円に対して19.82%、過去6ヶ月間の終値単純平均値2,959円に対して25.04%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降、2024年4月3日までに公表された上場関連会社及び上場子会社の完全子会社化を目的とした公開買付けの事例(ただし、公開買付不成立の事例は除く。)69件におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値に対して41.78%、公表日の前営業日までの過去1カ月間の終値単純平均値に対して43.37%、公表日の前営業日までの過去3カ月間の終値単純平均値に対して43.08%、公表日の前営業日までの過去6カ月間の終値単純平均値に対して43.54%)と比較して高いとはいえないものの、①少数株主による当社株式に対する現在の評価が表れている直前営業日の終値に対するプレミアムとの比較では、これらの事例における直前営業日の終値に対するプレミアムの第一四分位である28.37%から第三四分位である50.46%のレンジの範囲内であり(注3)、②これらの事例における時価総額が500億円以上であり、かつ、対象となる株式が案件公表前からPBR1倍を超えている案件として抽出された13件の直前営業日の終値に対するプレミアムの中央値35.63%と比較して合理的な水準であり、③本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2024年4月24日までの当社株式の上場来最高値である3,490円(2024年1月22日)に対しても6%の超過水準となっていること、(ⅲ)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅳ)上記公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られた上で、公開買付者と当社との間で、独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(ⅴ)本特別委員会が、事前に交渉方針を確認するとともに、適時にその状況の報告を受け、交渉上重要な局面において意見、指示、要請等を行った上で、本公開買付価格について妥当である旨の意見を述べていること等を踏まえ、当社取締役会は、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、2024年4月25日時点においては、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断しました。

(注3) 四分位とは、値を昇順に並び替えた際の区切り値であり、上記の第一四分位とは、上記の69件の事例における直前営業日の終値に対するプレミアムを昇順に並び替えた際の最小値と中央値における中央値となる事例のプレミアムをいい、第三四分位とは、上記の69件の事例における直前営業日の終値に対するプレミアムを昇順に並び替えた際の中央値と最大値における中央値となる事例のプレミアムをいいます。

 以上より、当社は、2024年4月25日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計8名のうち、中澤正幸氏を除く7名)の全員一致で、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合、これに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。

 本公開買付けについては、本前提条件が充足され又は放棄された場合、速やかに開始することを予定しているとのことですが、国内外の競争当局における手続等に要する期間を正確に予想することは困難であるとされていた点に鑑み、当社は、上記取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した本特別委員会に対して、本特別委員会が2024年4月25日付で当社取締役会に対して提出した2024年4月25日付答申書の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議していました。

 その後、当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、その他の本前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月17日に受けました。当社は、これを受けて、2024年6月17日、本特別委員会に対して、2024年4月25日付答申書の意見に変更がないか検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問しました。

 本特別委員会は、2024年6月17日に上記諮問がなされたことを受け、改めて、当社に対して、2024年4月25日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年4月25日以後、2024年6月19日までの事情を勘案しても2024年4月25日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年6月19日に、当社取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の2024年6月19日付答申書を提出しました。

 なお、本特別委員会は、本取引公表後の当社株式の市場株価は、一部の期間において、本公開買付価格をやや上回る水準で推移していたものの、これは、本取引の存在を前提に、現時点で実際にはなされていない対抗提案や、市場株価上昇に起因して公開買付者が本公開買付けの成立のために本公開買付価格を引き上げることへの期待等、本取引に対する様々な思惑の影響を受けて形成されたものであると推測されること、及び、かかる事実を踏まえても、本公開買付価格が当社の本源的価値に照らして妥当性が確保された金額であると考えられること等からすれば、本公開買付価格の妥当性は2024年6月19日付答申書の作成日時点においても維持されていると判断しています。

 また、公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間である20営業日から31営業日に変更していますが、当該変更は、一般に少数株主の利益に資するものであり、当社株主が本公開買付けに応募するか否かを判断するための十分な時間を確保できるようにするという公開買付者による変更の理由も合理的なものであることを踏まえれば、本特別委員会は、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、2024年6月19日付答申書の作成日時点において、本取引に係る手続は公正であると判断しています。

 その上で、当社は、本特別委員会から提出された2024年6月19日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、本書提出日現在においても、2024年4月25日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断しました。なお、当社は、本取引公表後の当社株式の市場株価は、一部の期間において、本公開買付価格をやや上回る水準で推移していたものの、これは、本取引の存在を前提に、現時点で実際にはなされていない対抗提案や、市場株価上昇に起因して公開買付者が本公開買付けの成立のために本公開買付価格を引き上げることへの期待等、本取引に対する様々な思惑の影響を受けて形成されたものであると推測されること、及び、かかる事実を踏まえても、本公開買付価格が当社の本源的価値に照らして妥当性が確保された金額であると考えられること等から2024年6月19日付答申書の内容も踏まえ、本公開買付価格の妥当性は2024年6月20日時点においても維持されていると判断しました。

 以上より、当社は、2024年6月20日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計8名のうち、中澤正幸氏を除く7名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をしました。

 また、当社の監査役4名全員が上記取締役会に出席し、出席した監査役の全員が上記決議につき、異議がない旨の意見を述べています。

 なお、2024年4月25日付及び2024年6月20日付の上記各取締役会決議に至る意思決定過程の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役の異議のない旨の意見」をご参照ください。

 

(3)算定に関する事項

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、フィナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、大和証券は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。大和証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、公開買付者は2024年4月24日付で大和証券から算定書(以下「公開買付者算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者は、大和証券から本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

 大和証券による当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。

 

市場株価法  2,777円~3,088円

DCF法   3,098円~4,304円

 

 市場株価法では、2024年4月24日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値2,777円、直近1ヶ月間の終値単純平均値2,925円、直近3ヶ月間の終値単純平均値3,088円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値2,959円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を2,777円から3,088円までと算定しているとのことです。

 DCF法では、当社が作成した2025年5月期から2029年5月期までの事業計画を、直近までの業績動向、公開買付者が当社に対して行ったデュー・ディリジェンスの結果、本取引を通じて実現することが期待されるシナジー、一般に公開された情報等の諸要素を考慮し、公開買付者において調整を行った当社の事業計画に基づき、2024年5月期第4四半期以降に当社が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を3,098円から4,304円と算定しているとのことです。

 

 公開買付者は、大和証券から取得した公開買付者算定書の算定結果に加え、公開買付者が当社に対して行ったデュー・ディリジェンスの結果、当社の取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2024年4月25日開催の取締役会の決議によって、本公開買付価格を1株当たり3,700円と決定したとのことです。

 その後、公開買付者は、当社の業況や本取引を取り巻く環境等に重大な変化が見られず、当社の企業価値に重大な影響を与える事象はないと判断し、2024年6月20付で、本公開買付価格を変更しないこととしているとのことです。

 なお、本公開買付価格である1株当たり3,700円は、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日である2024年4月24日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,777円に対して33.24%、2024年4月24日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値2,925円に対して26.50%、2024年4月24日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値3,088円に対して19.82%、2024年4月24日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値2,959円に対して25.04%のプレミアムをそれぞれ加えた価格とのことです。

 

② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者グループ及び当社から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてDTFAに当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年4月24日付で本株式価値算定報告書を取得しました。なお、DTFAは、公開買付者グループ及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載した措置等を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、DTFAから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していません。また、本取引に係るDTFAに対する報酬には、本取引の過程に複数のマイルストーンを設定し、各マイルストーンに到達する都度支払われるマイルストーン報酬(但し、固定報酬であり、成立した本取引の株価に応じて変動するものではありません。)が含まれていますが、報酬の多くを占める部分がマイルストーン報酬以外として設定されており、仮に案件が成功しなくても当社に相応の金銭負担が生じること、本取引の成否が不透明な中において、報酬の一部をマイルストーン報酬とする方が当社の金銭的負担の観点からも望ましく双方にとって合理的であると考えられること及び同種の取引におけるフィナンシャル・アドバイザーに関する報酬体系の実務慣行に鑑み、上記報酬体系によってDTFAが本取引の成否に関して少数株主と異なる重要な利害関係を有するものとは認められず、独立性が否定されるわけではないと判断しています。

 

(ⅱ)当社株式に係る算定の概要

 DTFAは、当社株式の価値算定にあたり必要となる情報を収集・検討するため、当社の経営陣から事業の現状及び将来の見通し等の情報を取得して説明を受け、それらの情報を踏まえて、当社株式の価値算定を行っています。複数の株式価値算定手法の中から当社の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提のもと、当社の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、また将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法をそれぞれ採用して、当社の株式価値を算定しています。

 DTFAによる当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりです。

 

市場株価法  2,777円~3,088円

DCF法   3,475円~4,349円

 

 市場株価法では、算定基準日を2024年4月24日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の算定基準日終値2,777円、算定基準日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値2,925円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,088円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値2,959円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を2,777円から3,088円までと算定しています。

 DCF法では、当社事業計画を基礎として、当社が、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮して作成した、2025年5月期から2029年5月期までの財務予測(以下「本財務予測」といいます。)に基づき、2024年5月期第4四半期以降に当社が創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を、3,475円から4,349円までと算定しています。その際、割引率(加重平均資本コスト)については、株式価値評価実務において一般的に用いられているCAPM(資本資産価格モデル)理論に基づき分析を行っており、9.10%から10.10%を使用しています。また、継続価値の算定にあたっては、PA(Perpetuity Assumption)法を採用しており、その際、永久成長率については0.70%から1.70%を使用しています。

 DTFAがDCF法による分析において前提とした本財務予測は以下のとおりです。本財務予測については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しています。

 また、当社においては、中長期的に半導体デバイス需要の増加が見込まれることに鑑み、新たな生産工場として300mmシリコンウエハー専用工場棟の建設に着手しており、2025年7月の竣工を予定しています。竣工後は生産設備の拡充に取り組む予定です。この新工場棟に係る設備投資の影響に伴い、本財務予測におけるフリー・キャッシュ・フローは各事業年度において、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれています。具体的には、以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

 

2024年5月期

(3ヶ月間)

2025年5月期

2026年5月期

2027年5月期

2028年5月期

2029年5月期

売上高

21,297

84,367

89,891

101,983

108,218

112,533

営業利益

1,245

10,232

11,956

14,662

16,073

17,534

EBITDA

4,272

21,232

21,026

32,666

35,133

34,597

フリー・キャッシュ・フロー

4,076

190

7,244

1,313

9,164

18,376

 DTFAは、当社の株式価値算定に際して、当社から提供を受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全であること、当社の株式価値算定に重大な影響を与える可能性がある事実で当社からDTFAに対して未開示の事実はないこと等を前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っておりません。また、DTFAは、当社の資産及び負債(デリバティブ取引、簿外資産・負債、その他偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自の評価又は鑑定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。また、かかる算定において参照した当社の財務見通しについては、当社により現時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に準備・作成されたことを前提としていること、並びにかかる算定は2024年4月24日現在の情報と経済情勢を反映したものであることを前提としています。

 

 当社の取締役会は、2024年4月25日開催の取締役会から2024年6月20日時点までの状況を考慮しても、本株式価値算定報告書に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えており、DTFA及びTMI総合法律事務所から受けた助言も踏まえ、本株式価値算定報告書は引き続き有効であると考えています。

 

(4)上場廃止となる見込み及びその事由

 本書提出日現在、当社株式は東京証券取引所プライム市場に上場されていますが、公開買付者は本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けが成立した場合は、本公開買付けの成立時点では当該上場廃止基準に該当しない場合でも、公開買付者は、その後適用法令及び下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載する本スクイーズアウト手続に従って、当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社の所有する自己株式を除きます。)を取得することを予定していますので、その場合には、当社株式は、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、当社株式が上場廃止となった場合は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。

 

(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

 公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とするための本取引の一環として、本公開買付けを実施するとのことです。本公開買付けが成立したにもかかわらず、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付け成立後に、以下の方法により、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。

 

① 株式売渡請求

 公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者の所有する当社株式に係る議決権の数の合計が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全てを売り渡すことを請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。本株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して本株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により本株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、本株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主全員から、その所有する当社株式の全てを取得するとのことです。そして、売渡株主の所有していた当社株式1株当たりの対価として、公開買付者は、各売渡株主に対し、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。

 なお、当社は、公開買付者より本株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社の取締役会において、かかる本株式売渡請求を承認する予定です。

 本株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法の規定として、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、当該申立てがなされた場合の売買価格は、最終的に裁判所が判断することになります。

 

② 株式併合

 本公開買付けの成立後に、公開買付者が当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至らなかった場合には、公開買付者は、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本株主総会」といいます。)を、2024年10月中旬を目途に開催することを当社に要請する予定とのことです。公開買付者は、本株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

 本株主総会において本株式併合の議案についてご承認を頂いた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本株主総会においてご承認を頂いた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端株が生じるときは、交付されるべき株式の数が1株に満たない端数となる株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請される予定です。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定です。この場合の具体的な手続については、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。

 本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対して、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。なお、当該申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 

 上記①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。

 以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。

 なお、本公開買付けは、本株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いします。

 

(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

 当社は、本書提出日現在において、公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主との取引等には該当しません。もっとも、公開買付者は、本書提出日現在において、当社株式を13,733,824株(所有割合42.75%)所有する当社の主要株主かつ筆頭株主であり、当社を持分法適用関連会社としていること、本取引は当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引であること及び本公開買付けの成立後に公開買付者が当社の支配株主となった場合、本公開買付け後に予定されている当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした本株式併合(上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。)は、東京証券取引所の企業行動規範に定める「支配株主との重要な取引等」に該当するところ、本公開買付けは、本株式併合を含む本取引の一環として行うものであることに鑑み、公開買付者及び当社は、本公開買付けの段階から本公開買付けの公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社における意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、また利益相反の疑いを回避する観点から、以下の措置を講じています。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 なお、本書提出日現在、公開買付者は、当社株式13,733,824株(所有割合:42.75%)を所有しているため、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定していませんが、公開買付者としては、公開買付者及び当社において以下の措置を講じていることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。また、本特別委員会(なお、本特別委員会の構成及び具体的な諮問事項、検討の経緯及び判断内容については、下記「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)は、2024年4月25日付答申書において、他の公正性担保措置が十分に講じられていること等を考慮すると、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではない旨判断しており、当社としても同様に判断しています。

 

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、フィナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、大和証券は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、公開買付者は、上記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の諸要素を総合的に考慮し、かつ当社との協議及び交渉を経て本公開買付価格を判断・決定しているため、大和証券から本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

 

 公開買付者が大和証券から取得した当社株式の株式価値に関する公開買付者算定書の概要については、上記「(3)算定に関する事項」の「① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

 

② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者グループ及び当社から独立した第三者算定機関として、DTFAに当社の株式価値の算定を依頼し、2024年4月24日付で本株式価値算定報告書を受領しています。なお、DTFAは、公開買付者グループ及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、上記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載した措置等を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、DTFAから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していません。また、本取引に係るDTFAに対する報酬には、本取引の過程に複数のマイルストーンを設定し、各マイルストーンに到達する都度支払われるマイルストーン報酬(但し、固定報酬であり、成立した本取引の株価に応じて変動するものではありません。)が含まれていますが、報酬の多くを占める部分がマイルストーン報酬以外として設定されており、仮に案件が成功しなくても当社に相応の金銭負担が生じること、本取引の成否が不透明な中において、報酬の一部をマイルストーン報酬とする方が当社の金銭的負担の観点からも望ましく双方にとって合理的であると考えられること及び同種の取引におけるフィナンシャル・アドバイザーに関する報酬体系の実務慣行に鑑み、上記報酬体系によってDTFAが本取引の成否に関して少数株主と異なる重要な利害関係を有するものとは認められず、独立性が否定されるわけではないと判断しています。

 当社がDTFAから取得した当社の株式価値に関する本株式価値算定報告書の詳細については、上記「(3)算定に関する事項」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(ⅱ)当社株式に係る算定の概要」をご参照ください。

 

③ 当社における独立した法律事務所からの助言

 当社は、本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、公開買付者グループ及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けています。

 なお、TMI総合法律事務所は、公開買付者グループ及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。

 

④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

 当社は、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2024年2月22日に、取締役会決議により、中村修輔氏(当社社外取締役)、星野公洋氏(当社社外取締役)及び社外有識者である寺田芳彦氏(公認会計士・税理士、トラスティーズ・アドバイザリー株式会社)の3名から構成される、公開買付者グループ及び当社のいずれからも独立した本特別委員会を設置しました(なお、本特別委員会の委員の報酬については、固定額となっており、成功報酬は採用しておらず、その独立性について本特別委員会において確認しています。また、当社は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選任しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。)。当社は、寺田芳彦氏が本取引と同様の公開買付けを含む上場会社株式の非公開化を目的とする取引につき豊富な経験を有することを理由として、外部有識者としての就任を依頼しています。

 当社取締役会は、本特別委員会設置の決定に際し、本特別委員会に対し、(a)本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)、(b)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)、(c)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)、及び(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否か(以下「本諮問事項」といいます。)について諮問しました。さらに、当社取締役会は、本取引に関する決定を行うに際して、本特別委員会の判断内容を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引に賛同しないこととする旨を併せて決議しています。

 加えて、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(ⅰ)本特別委員会は、本取引に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることができるほか、必要に応じて、本特別委員会独自のアドバイザーを選任することもできるものとし、その場合の合理的な費用は、当社が負担するものとすること、(ⅱ)当社取締役会は、本特別委員会に事前に方針を確認するとともに、適時に交渉状況の報告を行い、重要な局面で意見を聴取し、本特別委員会からの指示や要請を勘案して交渉を行う等、本特別委員会が取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保すること、及び(ⅲ)本特別委員会は、上記(ⅰ)及び(ⅱ)に定めるもののほか、本取引に関する検討及び判断に際して本特別委員会が必要と認める事項を行うことができる旨の権限を付与しました。また、本特別委員会は、当社の第三者算定機関であり、かつ、フィナンシャル・アドバイザーであるDTFA、及び当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、当社の第三者算定機関、フィナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーとして承認し、また本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認しました。

 本特別委員会は、2024年2月29日から2024年4月24日までの間に合計10回開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行っています。具体的には、本特別委員会は、公開買付者から、本取引を提案するに至った経緯、本取引の目的、本取引の諸条件等について説明を受け、質疑応答を行い、また、当社から、本取引の提案を受けた経緯、本取引の目的、事業環境、事業計画等に関する説明を受け、質疑応答を行いました。

 その上で、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から、その独立性及び専門性に鑑み、本取引における公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容その他本取引に関する事項全般について法的助言を受けています。

 さらに、本特別委員会は、当社のフィナンシャル・アドバイザーであるDTFAの独立性及び専門性に鑑み、当社の依頼により、当社のフィナンシャル・アドバイザーである同社から説明を受け、公開買付者からより高い価格を引き出すための交渉方針について審議・検討しました。また、本特別委員会は、当社が公開買付者から本公開買付価格に関する提案を受領する都度、適時に報告を受け、当社の依頼により当社のフィナンシャル・アドバイザーであるDTFAから説明を受け、当社に対して複数回に亘り、公開買付者に対して本公開買付価格の増額を要請すべき旨を意見し、公開買付者に対する交渉方針を審議・検討すること等により、公開買付者との間の本公開買付価格に関する協議・交渉に実質的に関与しました。

 その結果、当社は、2024年4月24日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり3,700円とすることを含む提案を受け、結果として、本公開買付価格を、公開買付者の当初提案である1株当たり3,150円から3,700円にまで引き上げています。

 本特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2024年4月25日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、本諮問事項につき大要以下を内容とする2024年4月25日付答申書を提出しています。

 

1 本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項について

(1)本取引の目的等

 本特別委員会は、上記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社の企業価値の具体的内容等について、当社及び公開買付者に対して質疑を行い、当社及び公開買付者から回答を得た。

 

(2)検討

 本特別委員会は、上記の当社を巡る経営環境その他の事項を踏まえた本取引の目的の具体的な内容の当否・合理性、本取引が当社の従業員や取引先等に与える影響、及びこれらを踏まえた当社の企業価値向上の可能性等について、詳細な検討を実施した。すなわち、現在当社の置かれた経営環境の中、短期的な業績変動及び資本市場からの短期的な評価にとらわれない中長期的な観点での取り組みを含めて、公開買付者がいかなる企業価値向上の施策案及びシナジーを構想し、それがどの程度具体的で実現可能性があるか、施策案の実行及びシナジーの実現のために本取引を実施する必要性はあるのか、本取引の実施が当社の事業上どのようなメリットをもたらし、他方で、本取引の実施に伴う当社の非公開化等によるデメリットの有無、程度はどのように想定されるか等を含めて、総合的に検証を行った。

 その結果、上記(1)「本取引の目的等」に記載の当社及び公開買付者が想定している本公開買付けを含む本取引の意義及び目的には、著しく不合理な点はなく、合理的な検討の結果と認められることから、本取引は当社の企業価値向上を目的として行われるものといえ、当社が想定している各施策及びシナジーを実現する必要があるとの当社の判断に特段不合理な点は認められないと判断するに至った。

 

(3)小括

 以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は当社の企業価値の向上に資することを企図するものであると認められ、2024年4月25日時点において、本取引の目的は合理的であると判断するに至った。

 

2 本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項について

(1)DTFAによる株式価値算定書等を踏まえた公開買付価格の合理性

 当社が、公開買付者グループ及び当社から独立した第三者算定機関であるDTFAから取得した株式価値算定報告書によれば、当社株式の1株当たりの株式価値は、市場株価法によると2,777円から3,088円、DCF法によると3,475円から4,349円、とされているところ、本公開買付価格は、市場株価法による算定結果の上限値を上回るとともに、DCF法による算定結果のレンジの範囲内の金額である。

 そして、本特別委員会は、DTFAから株式価値評価に用いられた算定方法等について、DTFA及び当社から、評価手法の選択、DCF法による算定の基礎となる本財務予測の作成方法・作成過程及び内容、割引率の算定根拠等について説明を受けるとともに、質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。

 加えて、本公開買付価格(3,700円)は、当社株式の2024年4月24日の東京証券取引所プライム市場における終値2,777円に対して33.24%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値2,925円に対して26.50%、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値3,088円に対して19.82%、同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値2,959円に対して25.04%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であって、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降、2024年4月3日までに公表された上場関連会社及び上場子会社の完全子会社化を目的とした公開買付けの事例(ただし、公開買付不成立の事例は除く。)69件におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値に対して41.78%、公表日の前営業日までの過去1カ月間の終値単純平均値に対して43.37%、公表日の前営業日までの過去3カ月間の終値単純平均値に対して43.08%、公表日の前営業日までの過去6カ月間の終値単純平均値に対して43.54%)と比較して高いとはいえないものの、①少数株主による当社株式に対する現在の評価が表れている直前営業日の終値に対するプレミアムとの比較では、これらの事例における直前営業日の終値に対するプレミアムの第一四分位である28.37%から第三四分位である50.46%のレンジの範囲内であり、②これらの事例における時価総額が500億円以上であり、かつ、対象となる株式が案件公表前からPBR1倍を超えている案件として抽出された13件の直前営業日の終値に対するプレミアムの中央値35.63%と比較して合理的な水準であり、③当社株式の上場来最高値である3,490円(2024年1月22日)に対しても6%の超過水準となっている。

 総合的に見て、本公開買付価格は合理的な価格であると考えられる。

(2)交渉過程の手続の公正性

 下記3「本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項について」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本公開買付価格は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認められる。

 また、実際に、交渉の結果として、当社株式1株当たり3,150円とする公開買付者の当初の提案より、合計で550円の価格引上げ(上昇率でいえば約17%の引上げ)を引き出している。

(3)対価の種類

 本取引の対価は金銭とされている。公開買付者は上場会社であり、本取引の対価を公開買付者の株式とすることも考えられるが、上場株式は一定の流動性はあるものの価値変動リスクがあり、また対価を受け取った株主が現金化するのに一定の時間と手続きが必要になる。一方、対価を現金とする方が、価値変動リスクが低く、かつ、流動性が高いことに加えて、株主の応募判断にあたっても評価が比較的容易であると考えられる。これらを踏まえると、対価の種類は妥当と認められる。

(4)本公開買付け後の手続において交付される対価

 本公開買付けに応募しなかった少数株主は、本公開買付けの後に実施される予定の本スクイーズアウト手続において、最終的に金銭が交付されることになるところ、当該手続において交付される金銭の額については、本公開買付価格に株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定であると認められる。

(5)本公開買付け実施の前提条件

 本公開買付けは、本前提条件が充足されたとき(又は公開買付者が本前提条件を放棄した場合)に速やかに開始されるとされているが、本公開買付けにおいて、台湾を含む国内外の競争当局における手続等に要する期間を正確に予想することが困難な状況であることを踏まえると、不合理なものではないといえる。

 

(6)小括

 以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、2024年4月25日時点において、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。

 

3 本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項について

(1)特別委員会の設置

 当社は、公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主との取引等には該当しないものの、公開買付者は、当社株式を間接所有分を含めて14,093,248株(所有割合43.87%)所有する当社の主要株主かつ筆頭株主であり、当社を持分法適用関連会社としていること、本取引は当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引であること及び本公開買付けの成立後に公開買付者が当社の支配株主となった場合、本公開買付け後に予定されている当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした本株式併合は、東京証券取引所の企業行動規範に定める「支配株主との重要な取引等」に該当するところ、本公開買付けは、本株式併合を含む本取引の一環として行うものであることに鑑み、本公開買付けの公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、かつ利益相反を回避するため、中村修輔(当社社外取締役)、星野公洋(当社社外取締役)及び社外有識者である寺田芳彦(公認会計士・税理士、トラスティーズ・アドバイザリー株式会社)の3名から構成される本特別委員会を設置している。当社は、寺田芳彦氏が本取引と同様の公開買付けを含む上場会社株式の非公開化を目的とする取引につき豊富な経験を有することを理由として、外部有識者としての就任を依頼している。

 また、当社は、本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定を行わないこととしている。なお、本特別委員会の委員は、設置当初から変更されていない。

(2)当社による検討方法

 当社が本取引について検討するにあたっては、公開買付者グループ及び当社から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるDTFA並びにリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、当社の企業価値向上及び株主共同の利益の観点から、本公開買付価格をはじめとする本公開買付けの買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。

 なお、本特別委員会は、DTFA及びTMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社のフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関並びにリーガル・アドバイザーとして承認している。

(3)当社による協議・交渉

 当社は、当社としての交渉方針に係る本特別委員会からの意見、指示、要請等に基づいた上で、本公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。具体的には、当社はDTFAを通じて、複数回にわたり本特別委員会での質疑応答及び意見交換の内容を尊重した上で、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券を介して価格交渉を実施した。当社が協議・交渉を行うにあたっては、公開買付価格の妥当性についての考え方や公開買付者に対する回答の仕方についても、同様に、本特別委員会での質疑応答及び意見交換の内容を尊重している。

 そして、その交渉の結果として、1株当たり3,700円という本公開買付価格の決定に至るまでには、当社株式1株当たり3,150円とする公開買付者の当初の提案より、合計で550円の価格引上げ(上昇率でいえば約17%の引上げ)を引き出している。

(4)当社における独立した検討体制の構築

 当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築している。

 具体的には、当社は、2024年2月9日付で公開買付者から本意向表明書を受領して以降、本取引に関する検討(当社の株式価値算定の基礎となる本財務予測の作成を含む。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行うプロジェクトチームを設置し、そのメンバーは、公開買付者グループ(当社を除く。)各社の役職員を兼務せず、かつ、公開買付者の出身者でもない当社の役職員のみから構成されるものとし、かかる取扱いを継続している。

 また、かかる取扱いを含めて、当社の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含む。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ている。

(5)本取引の交渉過程及び意思決定過程における特別利害関係人の不関与

 当社を代表して本取引を検討・交渉する取締役には、本取引に特別な利害関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者その他の本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は存在しない。

(6)他の買付者からの買付機会を確保するための措置

 公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間である20営業日としているが、2024年7月下旬に本公開買付けを開始することを目指しており、本公開買付けの予定の公表から本公開買付けの開始までの期間が長期に亘るため、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付価格の適正性も担保することを企図している。

 また、当社及び公開買付者は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項等を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性担保に配慮している。

(7)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件

 公開買付者によれば、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を本公開買付け成立の条件とはしていないとのことである。もっとも、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けへの応募を希望する少数株主の利益に資さない可能性があること、及び本公開買付けにおいては、適切な公正性担保措置が実施されており、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えられることからすれば、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えているとのことであり、この考え方は不合理ではない。

(8)その他の公正性担保措置の実施

 公開買付者は、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、当社株式の全ての株式売渡請求をすること又は株式併合及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会の開催を当社に要請をすることを予定しており、当社の株主に対して株式買取請求権又は価格決定の申立てが確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)株式売渡請求又は株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者及び当社を除く。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮している。

(9)小括

 以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、2024年4月25日時点において、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。

 

4 上記を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)を決定することが少数株主に不利益でないことについて

 上記1乃至3までにおいて検討した諸事項以外の点に関して、本特別委員会において、本公開買付けを含む本取引が当社の少数株主にとって不利益なものであると考える事情は特段見当たらず、したがって当社取締役会が、本公開買付けへの賛同意見の表明及び当社の株主に対して応募推奨することを含め、本取引の実施を決定することは、2024年4月25日時点において、当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。

 

 当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、その他の本前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月17日に受けました。当社は、これを受けて、2024年6月17日、本特別委員会に対して、2024年4月25日付答申書の意見に変更がないか検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問しました。

 本特別委員会は、2024年6月17日に上記諮問がなされたことを受け、改めて、当社に対して、2024年4月25日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年4月25日以後、2024年6月19日までの事情を勘案しても2024年4月25日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年6月19日に、当社取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の2024年6月19日付答申書を提出しました。

 なお、本特別委員会は、本取引公表後の当社株式の市場株価は、一部の期間において、本公開買付価格をやや上回る水準で推移していたものの、これは、本取引の存在を前提に、現時点で実際にはなされていない対抗提案や、市場株価上昇に起因して公開買付者が本公開買付けの成立のために本公開買付価格を引き上げることへの期待等、本取引に対する様々な思惑の影響を受けて形成されたものであると推測されること、及び、かかる事実を踏まえても、本公開買付価格が当社の本源的価値に照らして妥当性が確保された金額であると考えられること等からすれば、本公開買付価格の妥当性は2024年6月19日付答申書の作成日時点においても維持されていると判断しています。

 また、公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間である20営業日から31営業日に変更していますが、当該変更は、一般に少数株主の利益に資するものであり、当社株主が本公開買付けに応募するか否かを判断するための十分な時間を確保できるようにするという公開買付者による変更の理由も合理的なものであることを踏まえれば、本特別委員会は、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、2024年6月19日付答申書の作成日時点において、本取引に係る手続は公正であると判断しています。

 

⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役の異議のない旨の意見

 当社は、DTFAから取得した本株式価値算定報告書及びDTFAからの財務的見地からの助言並びにTMI総合法律事務所からの法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2024年4月25日付答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けの諸条件について、慎重に協議及び検討を行っています。その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2024年4月25日開催の取締役会において、2024年4月25日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明し、当社株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。

 上記取締役会決議においては、取締役8名のうち、中澤正幸氏を除く利害関係を有しない取締役7名全員が参加し、参加した取締役の全員の一致により決議しました。なお、中澤正幸氏は、当社の株式を1,979,360株(所有割合:6.16%。なお、当該所有株式数には、中澤正幸氏が当社の役員持株会を通じた持分として間接的に所有している当社株式44株(小数点以下を切捨て)が含まれています。)保有しており、本公開買付けに関して当社及び少数株主の皆様とは異なる利害関係を有する可能性が完全には否定できないため、取締役会における審議及び決議が本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、上記取締役会における審議及び決議には参加しておらず、また当社の立場において、本公開買付けに関する公開買付者との協議及び交渉に参加しておりません。

 また、当社の監査役4名全員が上記取締役会に出席し、出席した監査役の全員が上記決議につき、異議がない旨の意見を述べています。

 その後、当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、その他の本前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月17日に受け、その上で、当社は、本特別委員会から提出された2024年6月19日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2024年6月20日現在においても、2024年4月25日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断しました。

 以上より、当社は、2024年6月20日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計8名のうち、中澤正幸氏を除く7名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をしました。

 また、当社の監査役4名全員が上記取締役会に出席し、出席した監査役の全員が上記決議につき、異議がない旨の意見を述べています。

 

⑥ 当社における独立した検討体制の構築

 当社は、公開買付者グループから独立した立場で、本取引に係る検討及び交渉を行う体制を当社の社内に構築しました。具体的には、当社は、2024年2月9日付で公開買付者から本意向表明書を受領して以降、利益相反の疑義を回避する観点から、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉及び当社内部における検討過程において、公開買付者グループの役職員を兼務せず、かつ、公開買付者グループの出身者でもない取締役1名、監査役1名及び従業員4名の計6名による社内検討体制を構築しました。このような体制のもとで、当社は、DTFAがDCF法の算定の基礎とした事業計画を策定しており、当該事業計画の具体的な計画数値の設定過程において公開買付者による関与はありません。以上の取扱いを含めて、当社における本取引の検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会における確認を受けています。

 

⑦ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置

 公開買付者は、本公開買付けの予定の公表から本公開買付けの開始までに約2ヶ月の期間が経過していることから、当社の株主の皆様の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による対抗的な買付け等を行う機会は確保されているものと考えているとのことです。

 また、公開買付者は、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保し、もって本公開買付価格の適正性を担保することを意図して、公開買付期間を法令に定められた最短期間である20営業日より長期の31営業日に設定しているとのことです。

 さらに、公開買付者は、当社との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を一切行っていないとのことです。

 このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。

 

⑧ 当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置

 公開買付者は、上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、本株式売渡請求をすること又は本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本株主総会の開催を当社に要請をすることを予定しており、当社の株主に対して株式買取請求権又は価格決定の申立てが確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式売渡請求又は本株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。

 

(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項

 該当事項はありません。

 

4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名

役職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

中澤 正幸

代表取締役会長

1,979,360

19,793

八髙 達郎

代表取締役社長

13,490

134

山﨑 哲生

専務取締役

8,155

81

今村 耕一

取締役

半導体事業部長

1,069

10

丸山 文明

取締役

技術本部長兼技術部長

3,269

32

中村 修輔

取締役

0

0

今井 昌子

取締役

0

0

星野 公洋

取締役

0

0

岩倉 輝夫

常勤監査役

4,569

45

村岡 正三

監査役

0

0

楠原 利和

監査役

200

2

湯浅 幸男

監査役

0

0

2,010,112

20,097

 (注1) 役職名、所有株式数及び議決権数は、本書提出日現在のものです。

 (注2) 取締役の中村修輔、今井昌子、星野公洋の各氏は、社外取締役であります。また、村岡正三、楠原利和、湯浅幸男の各氏は、社外監査役であります。

 (注3) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社の役員持株会を通じた所有株式数(小数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めております。

 

5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

 該当事項はありません。

 

6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

 該当事項はありません。

 

7【公開買付者に対する質問】

 該当事項はありません。

 

8【公開買付期間の延長請求】

 該当事項はありません。

以 上