第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針・経営戦略等

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、サステナビリティへの取り組みの推進と中長期的な企業価値の一層の向上を目指し、社会における存在理由である、パーパス『「安心」を支える技術と絶えざる挑戦で、人と地球のいのちを守る』を中心とした、『モリタフィロソフィー』を制定いたしております。

 

モリタ フィロソフィーの構成要素

パーパス(社会における存在理由)

 「安心」を支える技術と絶えざる挑戦で、人と地球のいのちを守る

ビジョン(実現したい社会とありたい姿)

 安全で住みよい豊かな社会へ貢献し、感謝され、愛される企業

バリューズ(大切にすべき価値観)

 お客様と社会からの信頼

  お客様と社会に寄り添い、心をこめた品質で、期待と信頼に応える

 真摯な企業経営

  あらゆる企業活動を公正に律し、社会との調和を図る

 挑戦と成長

  つねに夢と向上心をもって挑み、成長し続ける

 飽くなき革新力

  前例にとらわれず、新たな領域に果敢に取り組み、切り拓く

 多様性の尊重

  異なる価値観を尊重し合い、多様な個性の輝きを創りだす

 自然、社会との共生

  環境課題、社会課題解決に継続的に取り組み、社会と共に未来を生みだす

 

 ② 目標とする経営指標

 当社グループは、経営資源の最適な配分により、事業競争力を最大限に引き出すことで、企業価値の最大化に取り組んでおります。

  また、2025年度を最終年度とする中期経営計画「Morita Reborn 2025」において、以下の経営指標を掲げ、着実な成長を目指してまいります。

① 営業利益率          12%

② ROE(自己資本利益率)   10%

③ DOE(株主資本配当率)   2.5%以上を目安

④ 営業利益の過去最高の更新

⑤ 成長戦略投資枠(M&A含む) 200億円

 

(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 為替相場の円安進行、エネルギー価格や原材料価格の高騰など依然として経営環境の先行きは不透明な状態が続くものと予想されます。

 このような状況においても、中期経営計画「Morita Reborn 2025」の基本方針を確実に実行するとともに、広がりを見せる社会的課題を解決することが、当社グループの持続的な企業価値向上に資するものと考えております。

 当社グループは、社会的課題の解決と持続的な企業価値の向上を両立させるために、当社グループが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、サステナビリティ経営の強化を推進してまいります。

 

 

 

中期経営計画「Morita Reborn 2025」の基本方針

① 既存事業の収益力強化

② 海外事業・新規事業の育成、拡大

③ 基礎研究力・新商品開発力の強化

④ 革新力を持った人財の育成

⑤ CSR活動の推進

 

マテリアリティ

事業活動に関するマテリアリティ

① 気候変動問題への取組み

② 循環型社会への貢献

③ 安全で安心な社会への貢献

④ 絶えざる技術革新による環境価値の創出

⑤ 製品の品質と安全性の追求

 

事業基盤に関するマテリアリティ

① 実効性のあるコーポレートガバナンスの実践

② 革新力を持った人財の育成

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、消防・防災・リサイクル・環境保全といった事業活動そのもので社会的課題の解決を目指しており、そのベクトルを当社の存立の拠り所としておりますが、サステナビリティを巡る取り組みをより実効性の高いものとすべく、『「安心」を支える技術と絶えざる挑戦で、人と地球のいのちを守る』というパーパスのもと、サステナビリティ経営の推進を強化しております。

グローバルでさまざまな社会的課題が深刻化するなか、持続可能な社会の実現には、このパーパスに基づいた経営がより一層重要であると考えております。また、地球環境問題をはじめとしたさまざまな社会的課題へ真摯に向き合い、社会の発展や課題解決により大きな貢献を果たすべく挑戦することは、事業競争力の強化にもつながるものと考えています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理 

・取締役会

サステナビリティ委員会より付議されたサステナビリティに関する重要事項の報告および提言に対して、当社グループのみならず投資家を含むステークホルダーの視点を踏まえた審議・決定を行うことによって、リスクと機会を監視、管理しております。

 

・サステナビリティ委員会

当社の取締役、執行役員によって構成され、マテリアリティ(重要課題)の特定や、目標とすべき指標等の設定などについて審議しております。同委員会はサステナビリティワーキンググループならびにマテリアリティ作業部会に対する指揮・監督を通じて、事業に影響を及ぼし得るリスク及び機会を識別・評価し、課題の解決に向けた全社的な取組みの推進を担っており、その活動内容について取締役会へ報告・提言されることによって当社グループ全体のリスク管理に統合されております。

 


 

(2)戦略

  サステナビリティに関する様々な社会課題のうち、特に当社グループの事業との関連性が高いと認識される課題をマテリアリティとして特定しております。

マテリアリティの特定は、サステナビリティ委員会の指揮・監督のもとサステナビリティワーキンググループが中心となり、以下のプロセスに沿って実行いたしました。

(Step1)社会的課題の抽出

SDGsやGRIスタンダードなどの国際的枠組みから、当社に関連あると考えられる社会的課題を抽出しました。

(Step2)ステークホルダーアンケート

Step1で抽出した社会的課題に対し、ステークホルダーの視点による優先順位づけを行うため、株主・投資家、お取引先様および当社従業員を対象としたアンケート調査を行いました。

(Step3)グループ役員アンケート

Step1で抽出した社会的課題に対し、当社の視点による優先順位づけを行うため、当社グループの役員を対象としたアンケート調査を行いました。

(Step4)経営層による検討と機関決定

Step2および3の結果をもとにサステナビリティ委員会において選考した一次候補に対し、当社グループの取締役、監査役ならびに執行役員からの意見を踏まえた最適化を行い、二次候補を決定。当社取締役会において承認されました。

 


 

①気候変動

当社グループでは気候変動が経済や社会にもたらす短期・中期・長期にわたる影響をTCFD提言のフレームワークに基づき想定したうえで、当社グループの主要事業である消防車輌事業および防災事業にとって特に重要であると考えられるリスクと機会を特定しました。

特定した各リスクと機会が当社グループに与える財務影響を、気候変動への対応や規制が強化されることが想定される2℃未満シナリオと、災害の甚大化がより深刻となることが想定される4℃シナリオに分けて検討しました。また、各リスクと機会についてはその財務的影響と発生可能性を考慮し、当社グループとしての事業インパクトの重要性を評価しています。

検討に必要な情報の取得にあたってはIEA(International Energy Agency)WEO 2022 Net Zero by 2050 やIEA ETP2020等を参照しました。

 

②人的資本

 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りであります。

■人材育成方針

当社グループは人材を『人財』ととらえ、『人財』育成に取り組んでおり、中期経営計画「Morita Reborn 2025」の基本方針の一つに「革新力を持った『人財』の育成」を掲げております。

従来は、各年次などで求められる職務遂行態度・職務遂行能力の習得を目的とした研修や、自己啓発支援を中心とした研修体系としておりましたが、これに加えて、「革新力を持った『人財』の育成」に向けて選抜研修に重きを置いた研修体系に再構築しております。具体的には、基礎研究力・新商品開発力の強化に向けた博士号取得を目指す社会人大学への派遣、海外事業・新規事業の育成のためのグローバル人材育成研修、業界・年代の垣根を超えて仕事の成果につながる実践力を高める能力開発研修などを拡充しております。さらに、管理職層の等級改革にも着手し、従来から運用していたマネジメントコースに加えて高い専門性を有するスペシャリストコースを創設し、革新力を持った『人財』を登用する環境を整備し、管理職候補者には6カ月間のアセスメント付き研修を展開しております。また、常に学び続ける姿勢そのものを称える企業文化醸成の観点から、自己啓発の取り組みを推奨する人事制度を構築しております。

 

■社内環境整備方針

持続的な企業価値向上のためには、技術革新やイノベーションが重要であり、そのためには多様な経験、価値観、発想が必要と考えております。そこで、性別・国籍・年齢等に関係なく、多様な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、活力ある組織の構築を推進するため、ダイバーシティ推進室を発足させて取り組んでおります。具体的には以下の環境を整備しております。

①多様な人材の採用

 年間採用者のうち、キャリア採用、女性採用、海外出身者の採用比率について数値目標を掲げております。多様な知識・経験を持った人材の採用に積極的に取り組み、その能力が最も発揮される登用を行っております。

②人材育成

 人事制度の運用会議にて、従業員が発揮した成果や強み・改善点を確認するとともに、次にどのような機会を提供すればさらなる能力開発が期待できるかを役員および管理職で共有しております。

③制度改革

 ライフイベントを迎えても従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分発揮できる仕組みづくりや、安心して働き続けることができる職場環境づくりに取り組んでいます。具体的には、以下を整備しております。

・育児、介護休業取得者の業績評価や昇格要件のルール化

・小学校までの子を持つ従業員を対象とした、時間に自由度を持たせた働き方の推進

・介護休業期間の延長及び介護休業中の給与補償制度の整備

 

 (3)指標および目標

気候変動

気候変動リスクを低減し、脱炭素社会に貢献するにあたって、当社グループではGHG排出量を指標の一つとして設定し、管理に取り組んでおります。今後はGHG排出量の算定結果を踏まえ、再生可能エネルギーの活用や、リサイクル率の向上を通してGHG排出量の削減に積極的に取り組んでまいります。

 なお、GHG排出量実績については数値の精緻化も含めて検証中であり、当社ウェブサイトにて2024年9月頃を目途に開示する予定です。(https://www.morita119.com/sustainability/)

 

 ②人的資本

 当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

(2030年度)

(注1)

実績

(当連結会計年度)

(注1)

年間採用者に占めるキャリア採用比率

50%

37.8%

年間採用者に占める女性採用比率

40%

8.9%

年間採用者に占める海外出身者採用比率

10%

2.2%

女性管理職比率

5%以上

(注2)3.6%

男性育休取得率

80%以上

64.3%

 

(注)1 目標、実績ともに国内主要会社(㈱モリタホールディングス、㈱モリタ、モリタ宮田工業㈱、㈱モリタ環境テック、㈱モリタエコノス、㈱モリタテクノス)を対象に算出し海外子会社は除外しております。多様な人材獲得や職場環境整備を取り組みテーマとするうえで、人事労務環境は国や地域により異なり、指標や目標数値の設定は国や地域毎の特色を踏まえる必要があり、国内と同一の目標水準で設定・管理することは妥当でないと考えるためであります。

  2 2024年3月末時点の割合を示しております。

 

各マテリアリティの取り組みテーマや指標及び目標等の詳細については、当社のウェブサイトをご覧ください。なお、当該サイトは2024年9月頃を目途に更新予定です。(https://www.morita119.com/sustainability/)

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

 

(1) 市場環境について

当社グループは、消防車、消火器、防災設備、環境保全車輌、環境機器の製造販売及び環境プラントの設計・施工を主な事業としております。主な売上先は官公庁及び一般企業のため、国の政策や経済状況の影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、海外市場においても事業を行っておりますが、カントリーリスクや為替変動リスクなど特有のリスクが存在します。政治又は法律の変化、経済状況の変動、戦争やテロ行為等、予測困難な事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 製品の欠陥について

当社グループは、法で定められた安全基準及び独自の厳しい規格に基づき製品の製造を行っておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来にリコール等が発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながる製品の欠陥は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) コンプライアンスリスクについて

当社グループは、社会に信頼される企業であり続けることが企業として最も大切であるという信念に基づき、「モリタグループ コンプライアンス基本方針」を定め、法令等の遵守、適切な情報開示と管理、人権や環境の尊重、反社会的勢力・行為との関係断絶に真摯に取り組んでおります。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

 

(1) 部品等の調達について

当社グループは、多数の取引先から原材料、部品等を調達しておりますが、取引先の経営状態や生産能力の事情による納品の遅延、価格の高騰等が生じ主要な材料の調達が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 新製品開発について

当社グループは、継続して新技術・新製品の研究開発に取り組んでおります。革新的な技術・製品をタイムリーに開発できず、顧客に提供できない場合には、持続的成長と収益性を低下させる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 人財の確保、育成について

当社グループは、持続的成長のために、多様で優秀な人財の確保に努めております。しかしながら、人財の確保・育成・配置が計画通りに進まなかった場合には、事業活動の停滞等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 固定資産の減損損失について

当社グループは、事業用の設備・不動産や企業買収により取得したのれんなど、様々な有形固定資産及び無形固定資産を保有しております。これらの資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少し、減損損失が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 災害、感染症の流行等予測困難な事象による被害について

地震、台風等の自然災害、火災、停電等の事故災害、感染症の流行等が発生した場合、当社グループの設備等の損壊や国内外の経済活動の停滞等が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、営業上・技術上の機密情報を保有しており、また個人情報等を入手することがあります。当社グループでは、これらの情報に関する管理体制の強化や従業員への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等により、システム障害や機密情報が社外に漏洩する可能性があります。こうした事態が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 退職給付債務について

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は蓄積され、将来にわたって規則的に認識されるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらの影響を軽減するために、当社及び国内の主要な連結子会社は確定給付企業年金制度の一部を確定拠出企業年金制度へ移行する施策を実施しております。

 

(8) 季節変動について

売上高のうち、消防車輌事業の官公庁向け売上高の占める割合が高いこと等から、当社グループの業績は、上半期より下半期に集中する傾向があります。

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

上半期

下半期

上半期

下半期

金額
(百万円)

比率(%)

金額
(百万円)

比率(%)

金額
(百万円)

比率(%)

金額
(百万円)

比率(%)

売上高

28,156

34.6

53,188

65.4

34,588

36.3

60,617

63.7

営業利益

702

13.8

4,379

86.2

1,856

19.6

7,597

80.4

経常利益

864

14.6

5,048

85.4

2,048

21.3

7,578

78.7

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、為替相場の円安進行、エネルギー価格や原材料価格の高騰など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

このような環境のもと、当社グループは中期経営計画「Morita Reborn 2025」に掲げたグローバルな総合防災ソリューション企業の実現に向け、企業価値の向上に向けた諸施策に取り組んでおります。

当連結会計年度の業績につきましては、受注高は前連結会計年度比2,566百万円増加し87,443百万円3.0%増)、売上高は前連結会計年度比13,860百万円増加し95,205百万円17.0%増)となりました。損益につきましては、営業利益は前連結会計年度比4,371百万円増加し9,453百万円86.0%増)、経常利益は前連結会計年度比3,714百万円増加し9,627百万円62.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比2,014百万円増加し6,011百万円50.4%増)となりました。

 

中期経営計画「Morita Reborn 2025」において、「営業利益率12%」、「ROE(自己資本利益率)10%」、「DOE(株主資本配当率)2.5%以上を目安」を掲げております。その進捗状況につきましては、当連結会計年度においては、「営業利益率9.9%」、「ROE(自己資本利益率)6.9%」、「DOE(株主資本配当率)2.6%」となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 消防車輌

消防車輌事業は、国内において製品の売上が順調に推移し、前年同期比では売上高は9,510百万円増加し54,379百万円(21.2%増)、セグメント利益(営業利益)は2,945百万円増加し4,716百万円166.3%増)となりました。

 防災

防災事業は、消火器及び消火設備の売上が順調に推移し、前年同期比では売上高は2,943百万円増加し23,772百万円(14.1%増)、セグメント利益(営業利益)は1,248百万円増加し3,272百万円61.7%増)となりました。

 産業機械

産業機械事業は、製品の売上が堅調に推移し、前年同期比では売上高は297百万円増加し6,185百万円(5.1%増)、セグメント利益(営業利益)は16百万円増加し718百万円2.3%増)となりました。

 環境車輌

環境車輌事業は、製品の売上が堅調に推移し、前年同期比では売上高は1,109百万円増加し10,868百万円(11.4%増)、セグメント利益(営業利益)は161百万円増加し748百万円27.5%増)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

消防車輌

54,443

+16.0

防災

20,524

+6.8

産業機械

5,948

+0.4

環境車輌

11,175

+14.9

合計

92,091

+12.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格で表示しております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

消防車輌

57,722

+0.4

35,889

+23.5

防災

11,590

+19.5

7,392

+23.9

産業機械

5,925

△4.1

4,583

△5.4

環境車輌

12,204

+6.0

9,136

+17.1

合計

87,443

+3.0

57,000

+19.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格で表示しております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

4 防災事業の防災機器部門は見込生産を行っているため、上記の実績には含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

消防車輌

54,379

+21.2

防災

23,772

+14.1

産業機械

6,185

+5.1

環境車輌

10,868

+11.4

合計

95,205

+17.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、販売実績が総販売実績の100分の10以上となる相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は139,695百万円前連結会計年度末比15,708百万円の増加)となりました。流動資産は、81,592百万円となり10,822百万円増加しました。これは主に現金及び預金が6,420百万円棚卸資産が3,842百万円増加したことによるものです。

固定資産は、58,103百万円となり4,886百万円増加しました。うち有形固定資産は、35,390百万円となり2,136百万円増加しました。これは主に建物及び構築物が2,690百万円増加したことによるものです。投資その他の資産は、20,513百万円となり3,070百万円増加しました。これは主に投資有価証券が2,873百万円増加したことによるものです。

流動負債は、38,332百万円となり8,010百万円増加しました。これは主に電子記録債務が1,742百万円短期借入金が1,432百万円未払法人税等が1,974百万円増加したことによるものです。

固定負債は、9,779百万円となり328百万円増加しました。

純資産は、91,583百万円となり7,369百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が3,979百万円その他有価証券評価差額金が2,192百万円為替換算調整勘定が1,189百万円増加したことによるものです。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の67.1%から64.8%となりました。

 

セグメントごとの資産は次のとおりであります。

消防車輌

消防車輌事業の資産は、棚卸資産の増加等により前年同期に比べ5,479百万円増加し、57,112百万円となりました。

防災

防災事業の資産は、前年同期に比べ775百万円増加し、25,009百万円となりました。

産業機械

産業機械事業の資産は、前年同期に比べ201百万円増加し、4,343百万円となりました。

環境車輌

環境車輌事業の資産は、前年同期に比べ478百万円増加し、17,499百万円となりました。

全社

全社の資産は、現金及び預金、投資有価証券の増加等により、前年同期に比べ8,604百万円増加し、36,097百万円となりました。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6,258百万円増加25,910百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ9,031百万円増加し11,172百万円の収入前年同期は2,140百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益3,248百万円売上債権の増減額2,400百万円法人税等の支払額が1,222百万円減少したことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ810百万円減少し3,479百万円の支出前年同期は2,669百万円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出が659百万円増加したことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ7,476百万円増加し1,485百万円の支出前年同期は8,961百万円の支出)となりました。主な増加要因は、短期借入金の純増減額2,394百万円長期借入金の返済による支出が5,374百万円減少したことによるものです。

                                          (百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減金額

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,140

11,172

9,031

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,669

△3,479

△810

財務活動によるキャッシュ・フロー

△8,961

△1,485

7,476

現金及び現金同等物に係る換算差額

8

51

42

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△9,480

6,258

15,739

現金及び現金同等物の期首残高

29,132

19,651

△9,480

現金及び現金同等物の期末残高

19,651

25,910

6,258

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの短期的な資金調達の主な源泉は、営業活動によって獲得した資金又は金融機関からの短期借入金です。資金需要としては、営業活動上の運転資金が主なものです。また、工場建設等の大型の設備投資や、企業買収などの資金は主に金融機関からの長期借入金にて調達しております。有利子負債につきましては、金利の固定化や通貨を変換するために適宜、金利スワップや通貨スワップの契約を締結することとしております。国内の100%子会社については原則として金融機関などの外部から直接の資金調達は行わず、当社が資金調達を一元管理することで、資金の効率化と流動性の確保を図っております。

2024年3月末現在、現金及び現金同等物の期末残高は25,910百万円であり、平均月商の3.3ヶ月となり、一定の資金の流動性を確保しております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、固定資産及びのれんの減損に係る会計基準における回収可能額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。

実際の結果がこれら見積りと異なる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における当社及び連結子会社の研究開発費の総額は、2,022百万円であり、各事業の研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

当社グループは、中期経営計画「Morita Reborn 2025」の基本方針に掲げている「基礎研究力・新商品開発力の強化」の実現に向け、2023年7月に新たな研究開発拠点「モリタATIセンター」(大阪府八尾市)を開設いたしました。事業の成長につながるイノベーションの創出に向け、分散していた研究開発拠点を移転集約するとともに、産官学連携によるオープンイノベーションを一層推進することで、総合防災ソリューション企業への飛躍を目指しております。また、次世代製品につながる研究開発においては、東京消防庁の公募型研究として、「ヘルメット装着型暗所・濃煙中視覚支援装置に関する研究」と「ポンプ駆動制御と遠隔操作による放水活動支援システムに関する研究」の2件が採択され、実用化に向けた共同検証を始めております。

消防車輌事業におきましては、持続可能な社会に貢献すべく、ゼロエミッション、低騒音・低振動化を実現した日本初のEV消防ポンプ自動車を開発し、2023年6月開催の東京国際消防防災展2023に出展いたしました。同年11月には動力消防ポンプに係る基準の特例に適合し、従来の消防ポンプ自動車と同等の性能を有することが認められました。現在、消防関係者への実機デモンストレーションを実施しており、消防隊員のご意見やご要望に沿った商品化を進めております。なお、㈱EVモーターズ・ジャパンとの次世代消防自動車向けEVシャシの共同開発も継続しております。また、可搬ポンプをはじめとした多種多様な資機材の積載が可能で、普通免許対応(3.5t未満)の多機能消防自動車「REDSEAGULL Light」を開発いたしました。搭載されている新型可搬ポンプ積載装置は、ポンプを無理なく積み下ろしできる高さまで展開可能で、消防団員の年齢や性別にとらわれない製品となっております。

これら消防車輌事業にかかる研究開発費は、1,417百万円であります。

防災事業におきましては、アルミ製消火器アルテシモシリーズにおいて、品質の安定及び納期短縮を図るために10型消火器を基準とした部材の共通化を図るべく、各機種の容器の一部を設計変更し評価試験を行い、新たに型式申請を行いました。また、工場や事業所などの制御盤や分電盤の火災リスク対策として、紫外線センサーを利用した自動消火装置を開発し、販売を開始いたしました。さらに、リチウムイオン電池搭載製品の増加や、EV(電気自動車)の普及に伴うバッテリーなどの火災リスクが想定されるなか、製造メーカーのみならず、関連の工場、物流倉庫、運搬、廃棄処分など多岐にわたる火災リスクに対し、最適な消火設備の提案に繋げるため、実際の火災事例分析を元に検証し評価を行っております。

これら防災事業にかかる研究開発費は、375百万円であります。

産業機械事業におきましては、循環型経済、脱炭素社会への移行の流れが世界的に加速するなか、鉄スクラップのより効率的かつ柔軟な処理・運用へのニーズに応えるため、移動式切断機「トラスホッパー」を開発し、2024年5月開催の2024NEW環境展に出展し、販売を開始いたしました。簡易設置、移設が可能であり、従来の鉄スクラップ業界のみならず、大規模災害の被災地やビル解体の現場などで直接処理を行うことも想定した製品となっております。

これら産業機械事業にかかる研究開発費は、65百万円であります。

環境車輌事業におきましては、2023年5月開催の2023NEW環境展で発表いたしましたEV回転式塵芥収集車「eパックマスター」のフィールドテストを行い、走行時及び収集作業時における車輌の各種データを収集し、その内容の分析によりEV車とディーゼル車の違いを明確化することで購入計画のあるお客様への提案に繋げております。当期においては第1号車を受注いたしました。また、モリタATIセンターと連携し、各作動工程時のバッテリー消費状況から消費抑制技術の構築に取り組んでおります。

これら環境車輌事業にかかる研究開発費は、163百万円であります。