文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「人と社会の役に立つ」という経営の基本理念のもと、2018年11月に中期経営計画(2024年3月期までの5ヵ年)を策定のうえ、石炭生産以外の事業分野への積極投資による事業ポートフォリオの多様化を行ってまいりました。
中期経営計画最終年度の2024年3月期においては、生活関連事業の株式会社ジャパン・チェーン・ホールディングスや株式会社プラスワンテクノの子会社化など、これまでの着実なM&Aの実行により非石炭生産事業の営業利益52億円、ROE25.36%となり、中期経営計画は総じて達成いたしました。
2024年5月より、新たに策定した「経営戦略2024」の確実な遂行を経営の基本方針としております。
(参考)2018年度策定中期経営計画(2024年3月期までの5ヵ年)の主な数値目標
・非石炭生産事業の営業利益 47億円(2024年3月期)
・ROE 8%以上(2024年3月期)
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、収益性の維持・拡大と共に、株主に対する十分な利益還元を行うことを目指しており、自己資本に対する経営の効率性を表す自己資本利益率(ROE)を重視しております。
(3) 対処すべき課題
当社グループは長年にわたり石炭生産・石炭販売を中心としたエネルギー事業を展開してまいりました。一方で、これらの石炭関連事業は石炭の需要や価格、為替変動により大きく収益が左右されることから、石炭相場や為替変動等の影響を受けにくい事業分野への進出を経営の重要課題と位置付け、積極的なM&A投資を実施し、収益基盤の安定化・多様化に取り組んでまいりました。
このような中、豪州での炭鉱事業において2023年の既存鉱区終掘に伴い、鉱区延長に係る環境許認可申請を行っておりましたが、現地当局より否認されたため、エネルギー事業の石炭生産分野及び石炭販売分野は2024年3月期をもって終了いたしました。
上記状況を踏まえ、当社ではM&A投資により収益基盤を拡充することで中期経営計画を達成いたしましたが、引続きM&A投資の実施による企業価値の最大化を目指してまいります。
当企業集団における各事業の課題は、次のとおりであります。
① 生活関連事業
(生活消費財分野)
日本ストロー株式会社は、大手乳業・飲料メーカー等の優良顧客との間で築きあげた安定的な取引基盤をもとに、国内伸縮ストロー市場において圧倒的なシェアを誇るリーディングカンパニーです。
近年、世界的に脱プラスチックの気運が高まる中、環境に配慮した素材を使ったストローの製造・販売を重要な取組課題と位置付け、同社は他社に先駆けて2010年よりバイオマスプラスチック、2019年より海洋生分解性素材を原料とする各種ストローの開発・量産化を進めてまいりました。今後も取引先の環境対応素材ストローに対する需要の増加を見込んでおり、いち早く需要に対応することで先行者利益を確保しつつ、国内市場を中心に更なる顧客基盤の強化・拡大を図ってまいります。
株式会社花菱は、「オーダースーツ」の先駆者として国内で初めて重衣料(スーツ・コート等)の工業システム化に成功し、1935年の創業以来、完全国内縫製の高品質なオーダースーツを数多くのお客様に提供し続けてまいりました。
現在は、国内縫製において歴史と実績を誇る御幸毛織株式会社に生産を委託することで、国内18か所の自社店舗での販売に特化した事業を行っておりますが、プロフェッショナルな販売スタッフがお客様のニーズに合わせてお仕立てするオーダースーツに加え、シーンを問わず活躍するオーダーカジュアル商品などの「HANABISHI」ブランドの一着は、多数のお客様から高い信頼と評価を得ております。また、2024年3月には吉村株式会社と業務資本提携を結びました。今後は同社の自社工場活用による納期の大幅短縮・高い縫製技術力による品質向上・生産コスト低減、そして将来的な店舗拡大・ブランド認知度アップなど、製販両面においてスケールメリットを活かした付加価値向上を目指します。
当社は株式会社花菱を持分法適用関連会社として、株式持分の34%を保有し続けることで、引続き株式会社花菱の更なる成長、企業価値向上を支援してまいります。
株式会社明光商会は、1960年に日本で初めてシュレッダーの製造・販売を開始し、創業以来の実績と独自の技術・ノウハウにより国内オフィス用シュレッダー市場で揺るぎない地位を確立しております。現在では主力のシュレッダーや受付自動案内システムに加え、リサイクル・環境ソリューションのご提案まで「紙」の枠を超えた事業を展開しております。
タイの現地法人では、オフィス用シュレッダー販売台数の約8割を製造することが可能であり、製造技術を確実にグループ内で維持・発展させ、オフィス用シュレッダー市場での更なるシェア拡大を目指します。
個人情報保護や情報セキュリティに関する意識の高まりを下支えに、主力商品であるシュレッダーに対する需要は底堅く推移していくことが見込まれますが、市場環境を慎重に見極め、需要状況に応じた商品開発や組織体制を構築することが課題と認識しております。
MOS株式会社は、レシート等の原紙である感熱レジロールの加工販売において高い市場シェアを獲得し、業界No.1の地位を確立しております。同社は、大手製紙会社との長年にわたる良好な取引関係や、顧客からの要望に迅速に対応できる高い技術力と生産能力を強みとしており、業界のリーディングカンパニーとして揺るぎない地位を築いております。また、2023年10月には株式会社カツマタの感熱紙の加工販売事業を譲り受け、感熱レジロールの消費量が多く、成長分野でもある大手コンビニエンスストアチェーンに係る市場へ参入いたしました。
今後も、海外からのインバウンド需要の回復等に伴いレシートの使用量が増加することで、同社製品の需要は安定的に推移することが見込まれております。
株式会社ケイエムテイは、予防医学に基づいた高品質プレミアムペットフードの企画・販売を行っております。同社は、ヒューマングレードの原材料を使用、添加物・着色料・副産物を不使用とするなど、ペットの健康に配慮した商品を展開していることから、全国のペットブリーダー・動物病院からも高い支持を獲得しており、高品質プレミアムペットフードの市場において強いブランド力と高いシェアを有しております。
今後もオリジナルブランドの認知度向上に加え、業容拡大を見据えた生産・品質管理体制の構築に取り組んでまいります。
株式会社システックキョーワは、ドアストッパーや耐震ラッチ等の住宅関連部材の企画・製造・販売を行っております。同社は、企画から金型・成形・組立まで、自社およびタイ現地法人で一貫生産を行い、大手住宅・建材メーカーとも直販取引による強固な取引関係を構築し、業界内で高いシェアを有しております。
足下では、住宅着工に関する経済指標はコロナ禍前の水準には戻っておりませんが、リフォーム・非住宅分野への展開も含め、引続き住宅関連部材市場におけるプレゼンスを維持・向上していけるものと考えております。また、株式会社明光商会のシュレッダーへの軽量筐体やキャスターの提供など、グループ会社との協業によるシナジー創出も図ってまいります。
(産業用製品分野)
CST株式会社は、1977年に国内初のマスクブランクス専業メーカーとして創業以来、液晶パネル・有機EL・電子部品等の製造に用いられるフォトマスクの材料であるマスクブランクスの成膜加工を手掛け、国内外の有力フォトマスクメーカーに販売しております。
今後は次世代通信規格5Gや人工知能(AI)等の分野で成長が期待されており、マスクブランクスに対する需要は底堅く推移すると見込んでおります。更なる収益性の向上に向け、品質改善による歩留まりの向上や最適な生産ラインの構築などに取り組んでまいります。
三生電子株式会社は、あらゆる電子機器に搭載され、特にスマートフォン等の無線接続機器に必要不可欠な電子部品である「水晶デバイス」の製造装置および計測機器を製造・構築しております。同社は、水晶デバイスの製造工程のうち組立から検査まで幅広くカバーしたインラインシステムを製造できる国内唯一の装置メーカーであり、①高い技術力、②顧客との強固なリレーション、③価格競争力を強みとしております。また、2024年1月にはSaunders & Associates, LLC及びその傘下にあるグループ会社を子会社化しました。同社の計測器は水晶デバイス製造工程の全工程(ブランク工程、組立工程、検査工程)において使用されており、水晶デバイスの製造に必要不可欠なものとなっております。
今後、5Gスマートフォン等の更なる普及や自動車のEV化・自動運転支援機能の拡大等に伴い、同社製品および生産システムに対する需要も底堅く推移すると見込んでおります。引続き、水晶デバイスメーカーのニーズに確実に応えることで、更なる企業価値の向上を図ってまいります。
日本カタン株式会社は、鉄塔と送電線を連結する「送電線用架線金具」を取り扱っており、同市場において、国内トップシェアを誇る専門メーカーです。同社では、得意先である国内電力会社からのオーダーメイド発注にも柔軟に対応できる高い技術力を有し、業界屈指の試験設備を駆使することで高い品質を保ちながら、業界のリーディングカンパニーとして揺るぎない地位を確立しております。
今後、老朽化設備の更新等により送電線工事量は安定的に推移していくことが想定され、同社製品に対しても将来的に底堅い需要が見込まれますが、同社製品の製造・販売に加え、送電線全般におけるさまざまな技術的対応や研究開発に積極的に取り組み、長期的な電力の安定供給に貢献してまいります。また、各種試験の受託なども行っており、電力業界に留まらず、広く社会に貢献してまいります。
株式会社プラスワンテクノは、計量装置製造を主体に、その周辺機器などの製造を手掛けており、計量装置大手が参入しないコンマ単位の軽量領域というニッチ市場でトップシェアを誇っております。特に、パイプフィーダ式自動計量機においては業界シェアNo.1となっており、インスタント食品やお茶、ペットフード、サプリメント等、生活に身近な製品の製造ラインでご使用いただいております。製品は個別受注生産で、お客様の製造ラインに合わせて開発・改良しており、全国各地の工場だけでなく、海外の工場への導入事例もあります。
今後は商流別マーケティング戦略実践、重要顧客との関係強化、海外販売活動強化などの営業施策に加え、遠隔監視技術を取り入れた保守サービスでフォローアップを密にし、売上拡大を目指します。
株式会社ジャパン・チェーン・ホールディングスは、傘下に株式会社杉山チエン製作所、ゼクサスチェン株式会社及びMAXCO Chain, Ltd.の3社を擁し、グループとして産業用ローラーチェーン及びコンベヤチェーンの製造・販売等を展開しております。
同グループは1910年のチェーン生産開始以来、国内外の様々な産業のお客様から高い信頼を獲得しており、特に動力機械伝達用のローラーチェーンは、フルラインナップの品揃えで国内外のお客様より高い評価をいただいていることに加え、水処理施設向け等の大型コンベヤチェーンに係る国内市場においてトップシェアを誇ります。
今後は同グループの営業・生産体制の最適化に取り組み、更なる企業価値の向上を図ってまいります。
② エネルギー事業
(石炭生産分野)
良質な石炭を産する豪州リデル炭鉱における安定操業を通じた収益確保に努めてまいりました。なお、2023年の既存鉱区終掘に伴い、鉱区延長に係る環境許認可申請を行っておりましたが、現地当局より否認されたため、石炭生産分野は2024年3月期をもって終了いたしました。
(石炭販売分野)
日本の鉄鋼会社、電力会社、一般産業などの優良需要家とのネットワークを効率的に活用した営業活動を展開してまいりましたが、上記の石炭生産分野同様、石炭販売分野も2024年3月期をもって終了いたしました。
(再生可能エネルギー分野)
近年、世界規模で地球温暖化などの環境問題に配慮したエネルギーの活用が進められており、太陽光をはじめとした再生可能エネルギーは国のエネルギー政策において重要な位置を占めるようになってきました。
MMエナジー株式会社は現在稼働中の「メガソーラーつやざき発電所(6MW)」の効率的かつ安定的な運営を図り、今後とも環境貢献と収益確保の両立に努めてまいります。
当社グループは、「人と社会の役に立つ」を経営の基本理念として、より豊かな活気ある社会づくりに向けての事業展開を行い、常に社会から必要とされる企業を目指して邁進していく所存であります。
株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
TCFD (Task Force on Climate‐related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)は、G20の要請を受け、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討することを目的に、2015年12月、金融安定理事会(FSB)により設立されました。TCFDは2017年6月に最終報告書(TCFD提言)を公表し、その中で、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する項目について開示することを推奨しています。
当社では、東京証券取引所の定めたコーポレートガバナンスコードの趣旨に則り、TCFD提言に沿った開示を進めてまいります。
(1) TCFD提言における推奨開示項目
TCFD提言は、企業の開示において、以下の観点からの開示を推奨しております。
(2) TCFD開示推奨項目における当社の対応(下記の枠で囲んだ部分)
① ガバナンス(気候関連のリスクと機会に関する組織のガバナンスを開示する)
② 戦略(気候関連のリスク及び機会がもたらす組織のビジネス・戦略・財務計画への実際の及び潜在的な影響を、そのような情報が重要な場合は、開示する。)
当社では、戦略を次の4つのステップに区分して対応して参ります。
ステップ1:気候変動によって当社グループが直面するリスクや機会の特定
気候変動による影響を「移行リスク」と「物理リスク」に区分して特定を行います。「移行リスク」とは低炭素社会に移行するために生じる政策規制や市場変化などによる影響のことであり、炭素税の導入や石炭需要の逓減などがこれに該当致します。「物理リスク」とは気候変動による災害や海面上昇等の影響のことです。機会とは低炭素社会移行に伴って新たな収益機会が生まれることであり、例えば温室効果ガスの排出低減に役立つ製品を生産・販売することが新たな収益機会に繋がるというものです。
ステップ2:シナリオ分析
TCFD提言では、地球全体の気温が何℃上昇する想定で影響を分析するかの「シナリオ」を複数選択し、地球温暖化や気候変動そのものの影響や、気候変動に関する長期的な政策動向による事業環境の変化等を予想することで、事業や経営状況にどのような影響を及ぼし得るかを検討することが推奨されています。
ステップ3:事業インパクトの評価
ステップ1で特定したリスクや機会の項目がステップ2で想定したシナリオごとの異なる想定によってどのような影響を受けるのかを定量評価するものです。
ステップ4:対応策の策定
ステップ3にて定量評価した影響への対応策の策定を行います。
③ リスク管理(気候関連リスクについて、組織がどのように識別・評価・管理しているかについて開示する。)
④ 指標及び目標 (気候関連のリスク及び機会を評価・管理する際に使用する指標と目標を、そのような情報が重要な場合は、開示する)
TCFD提言では、排出量については以下の区分にて温室効果ガスの排出量を算定し、開示することが推奨されています。
Scope1: 燃料の燃焼
Scope2: 電気の使用
Scope3: Scope1・2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出。要するにサプライチェーンでの排出量)
① 戦略
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループは石炭生産以外の事業分野への積極投資による事業ポートフォリオの多様化を目標として、新規M&Aによる収益基盤強化を主とした中期経営計画(2024年3月期までの5ヵ年)の確実な遂行を経営の基本方針としておりました。このたび経営戦略2024を策定しましたが、同戦略を確実に遂行し、当社グループが更なる発展・成長を遂げるためには、引き続きこれまでと同様に以下の取組が必要であると考えております。
上記の取組の確実な実行が、当社グループ全体の持続的な発展・成長につながると考えております。加えて、当社が発展・成長することは従業員が活躍するフィールドが更に広がることと同じであると捉えております。つまり、性別・年齢に囚われない多様な人材が活躍する環境と企業風土、従業員の心身両面の充実、および人生100年時代の自律的キャリアの形成と自己実現につながり、結果として従業員満足度が向上し、働きがいのある会社になると考えております。そのような働きがいのある会社になることで、中途採用市場においても当社の魅力度が増し、優秀なプロフェッショナル人材の採用にもつながっていくという好循環を実現できると考えており、今後もこのような取組みを着実に続けてまいります。
※ 尚、プロフェッショナル人材が活躍するために、当社は以下の人事戦略の方針を定め、実行してまいります。
● プロフェッショナル人材のポテンシャル、及び即戦力の厳選採用
● 採用後の自律的なキャリア形成支援(例:自己開発支援、副業・兼業 等)
● 成果を踏まえた公正な評価と処遇
● 多様なライフイベントを支える柔軟な働き方(例:フレックスタイム、在宅勤務 等)
② 指標及び目標
①で記載した方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社としましては、①に記載のとおり、(ⅰ)M&Aプロフェッショナル集団(ⅱ)会計・税務・法務・人事・内部統制・システム各分野のプロフェッショナル(ⅲ)経営全般のプロフェッショナルといった人材を当社の業容や戦略の方向性に合わせて、適切に確保することが肝要と考えております。そのためには、年齢や性別等を問わず、実力本位で優秀な人材の獲得、育成に努めてまいります。
直近1年間については、M&A、内部監査、システム、及び経営全般(営業)のプロフェッショナル各1名、計4名を採用しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 投資等のリスク
当社は、積極的なM&Aを実施し、収益基盤の安定化・多様化に取り組んでおります。しかしながら、新規案件への投資が遅れたり、買収した会社の業績が悪化するなどして、計画していた利益水準を確保できない場合、取得した資産やのれんの減損損失発生などにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 人材の確保・育成に関するリスク
当社においては、M&A、会計、税務、法務、人事、内部統制、システムの各分野及び経営全般のプロフェッショナルといった人材を適切に確保することが肝要と考えております。加えて、グループ各社においては、専門知識、技術及び資格等を有する人材の確保・育成も重要な課題と認識しております。これらの人材の安定確保・育成が計画通り進まない場合、生産性や競争力の低下につながり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 情報漏洩リスク
当社グループはM&Aに関する機密情報や顧客情報、専門性の高い技術情報等を保有しております。これらの重要情報が人的ミスや外部からの攻撃等により漏洩すると、新規買収案件の失敗や、取引先・お客様からの信頼低下につながり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の業績につきましては、生活関連事業のMOS株式会社(生活消費財分野)や株式会社ジャパン・チェーン・ホールディングス(産業用製品分野)の子会社化などによる増収があったものの、エネルギー事業の石炭生産分野における石炭価格の下落などにより、売上高は77,472百万円と前年同期比2,543百万円(3.2%)の減収となりました。
営業利益は、エネルギー事業の上記要因などにより、25,170百万円と前年同期比10,618百万円(29.7%)の減益となりました。
経常利益は、営業外収益に受取利息890百万円を計上したことなどにより、26,004百万円と前年同期比9,928百万円(27.6%)の減益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に閉山損失引当金繰入額2,777百万円を計上し、税金費用8,490百万円を計上したことなどにより、15,117百万円と前年同期比7,859百万円(34.2%)の減益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、売上高については、セグメント間取引消去前の金額によっております。
(生活関連事業)
売上高は、MOS株式会社(生活消費財分野)や株式会社ジャパン・チェーン・ホールディングス(産業用製品分野)の子会社化などにより、41,168百万円と前年同期比11,664百万円(39.5%)の増収となり、セグメント利益は4,923百万円と前年同期比1,205百万円(32.4%)の増益となりました。
(エネルギー事業)
売上高は、石炭生産分野における石炭価格の下落などにより、35,094百万円と前年同期比13,974百万円(28.5%)の減収となり、セグメント利益は22,343百万円と前年同期比11,579百万円(34.1%)の減益となりました。
(その他の事業)
売上高は1,349百万円と前年同期比212百万円(13.6%)の減収となったものの、セグメント利益は176百万円と前年同期比28百万円(19.0%)の増益となりました。
当社グループの財政状態は、次のとおりであります。
資産合計は99,740百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,715百万円(5.0%)の増加となりました。主な要因は、連結子会社取得に伴う有形固定資産及びのれんの増加などによる固定資産の増加5,177百万円(16.3%)によるものであります。
負債合計は35,717百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,706百万円(7.0%)の減少となりました。主な要因は、短期借入金の減少などによる流動負債の減少4,664百万円(17.7%)によるものであります。
純資産合計は64,023百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,421百万円(13.1%)の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによる株主資本の増加5,916百万円(10.9%)、並びに為替換算調整勘定の増加などによるその他の包括利益累計額の増加1,753百万円(127.9%)によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は25,983百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,080百万円(31.7%)減少しました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払9,222百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益23,640百万円、売上債権の減少4,250百万円、棚卸資産の減少2,278百万円などにより21,288百万円の収入となりました。この結果、前年同期比では4,916百万円の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入1,238百万円がありましたが、定期預金の増加6,602百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出5,693百万円などにより11,692百万円の支出となりました。この結果、前年同期比では10,354百万円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出9,497百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出6,232百万円、配当金の支払3,624百万円、自己株式の取得による支出3,000百万円などにより22,748百万円の支出となりました。この結果、前年同期比では16,268百万円の減少となりました。
以上の活動によるキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物に係る換算差額1,070百万円を加算した結果、現金及び現金同等物の期末残高は25,983百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、製造原価によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 生活関連事業が著しく増加しておりますが、これは主に前連結会計年度末に連結加入した㈱MOSの生産高が当連結会計年度において年間分計上されたことによります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 生活関連事業が著しく増加しておりますが、これは主に前連結会計年度末に連結加入した㈱MOSの受注高が当連結会計年度において年間分計上されたことによります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3 当連結会計年度におけるGlencore Coal Pty Limitedの販売実績及び総販売実績に対する割合は、100分の10未満であるため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は、エネルギー事業の石炭生産分野における石炭価格の下落などにより売上高、営業利益、経常利益、親会社に帰属する当期純利益は前年同期比で減収減益となったものの、史上2番目に高い利益水準となりました。
中期経営計画(2024年3月期までの5ヵ年)につきましては、生活関連事業の株式会社プラスワンテクノや株式会社ジャパン・チェーン・ホールディングスの子会社化など、これまでの着実なM&Aの実行により非石炭生産の営業利益52億円、ROE25%超、総還元性向28%となり、中期経営計画は総じて達成いたしました 。
b. 当連結会計年度の財政状態についての分析
当連結会計年度末の現金及び預金から借入金の金額を控除したネット現預金は26,797百万円と、前年同期比42百万円の減少となりましたが、引き続き実質無借金を維持しております。加えて、自己資本比率も63.6%と高水準であることから、経営者として財務の健全性に問題はないと認識しております。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前述の「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度の経常利益に支払利息、減価償却費及びのれん償却額を足し戻したEBITDAは28,467百万円と確実にキャッシュを創出しており、現時点で資金流動性に対する懸念はないと認識しております。なお、銀行団と借入極度額を5,000百万円とするコミットメントライン契約等を締結しており、不測の事態にも対応できる態勢となっております。
(注)1 オーストラリアにおける鉱物資源の所有権は、連邦政府及び州・準州政府に帰属し、鉱物資源を開発及び使用する権利に対してロイヤリティを支払っております。
2 法人格を持たない共同事業(Unincorporated Joint Venture)であり、事業参加者は採掘開発及び生産コスト等の操業費用、資産、負債を各社の権益比率に応じて分担し、石炭生産販売による収益及び利益を各社の権益比率に応じて分配しております。
3 LIDDELL COAL MARKETING PTY.LIMITEDは、リデル炭の販売会社であります。
4 2023年の豪州NSW州リデル炭鉱区終掘に伴い、石炭生産販売は2024年3月期をもって終了いたしました。
(株式取得による会社の買収)
当社は、2023年5月16日に丸紅株式会社から、同社が保有する、MOS株式会社の株式全てを当社に売却できる権利(プットオプション)を行使する旨の通知を受領し、2023年5月17日開催の取締役会において、同社が保有するMOS株式会社の株式全て(49.9%)を追加取得することについて決議いたしました。当該決議に基づき、5月23日に同社の株式を追加取得し、議決権比率の合計は100%となりました。
当社は、2023年11月10日開催の取締役会において、株式会社ジャパン・チェーン・ホールディングス(以下、「JCH」という。)の発行済株式のうち50.1%を取得し、同社を子会社化することについて決議いたしました。また、同日付で株式譲渡契約を締結し、当該譲渡契約に基づき2023年12月4日に同社の50.1%の株式を取得しております。
また、当社は、2024年2月13日にライジング・ジャパン・エクイティ第二号投資事業有限責任組合から、同組合が保有する、JCHの株式全てを当社に売却できる権利(プットオプション)を行使する旨の通知を受領し、2024年3月4日に同組合が保有するJCHの株式全て(49.9%)を追加取得いたしました。
なお、詳細につきましては、「 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
記載すべき重要な研究開発活動はありません。