第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第20期

第21期

第22期

第23期

第24期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

経常収益

(百万円)

41,465

48,049

53,022

56,528

60,437

正味収入保険料

(百万円)

39,105

43,312

47,321

50,781

54,273

経常利益

(百万円)

2,189

2,758

3,166

3,685

4,159

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

1,525

1,586

2,112

2,284

2,729

包括利益

(百万円)

1,146

2,186

1,700

1,071

3,036

純資産額

(百万円)

23,325

25,717

27,316

28,184

30,152

総資産額

(百万円)

45,598

55,459

58,635

61,407

66,357

1株当たり純資産額

(円)

286.74

316.47

336.19

346.90

375.20

1株当たり当期純利益

(円)

18.87

19.56

25.99

28.12

34.02

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

18.85

19.55

自己資本比率

(%)

50.9

46.4

46.6

45.9

45.1

自己資本利益率

(%)

6.7

6.5

8.0

8.2

9.4

株価収益率

(倍)

48.8

55.1

25.1

18.1

17.0

営業活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

4,246

4,231

4,456

4,422

5,669

投資活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

10,263

2,129

5,485

4,066

11,132

財務活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

99

5,154

112

212

1,343

現金及び現金同等物の
期末残高

(百万円)

21,577

28,833

27,691

27,835

21,029

従業員数

(名)

665

746

847

890

933

〔外、平均臨時雇用者数〕 

178

207

230

234

381

 

(注)1 当社は、2020年10月1日付で普通株式1株につき4株の株式分割を行っています。第20期の期首に株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

2  第22期以降は潜在株式が存在しないため、潜在株式調整後1株当たり当期純利益は記載しておりません。

3 「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の適用に伴い、第22期以降の数値については当該会計基準等を適用した後の数値を算出しております。

4 従業員数欄の〔 〕外数は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第20期

第21期

第22期

第23期

第24期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

営業収益

(百万円)

1,580

1,876

1,803

2,832

5,402

経常利益

(百万円)

47

153

168

1,242

3,854

当期純利益又は

当期純損失(△)

(百万円)

32

69

0

1,158

4,371

資本金

(百万円)

7,981

8,202

8,202

8,202

8,202

発行済株式総数

(株)

20,225,900

81,309,160

81,309,160

81,309,160

81,309,160

純資産額

(百万円)

16,635

16,771

16,670

17,625

20,671

総資産額

(百万円)

17,615

22,917

22,760

23,463

26,602

1株当たり純資産額

(円)

204.02

206.39

205.17

216.93

259.43

1株当たり配当額

(円)

5.00

1.25

2.50

4.00

5.50

(1株当たり中間配当額)

()

()

()

()

()

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

0.40

0.85

0.00

14.26

54.49

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

0.40

自己資本比率

(%)

93.7

73.2

73.2

75.1

77.7

自己資本利益率

(%)

0.2

0.4

0.0

6.8

22.8

株価収益率

(倍)

2,317.6

515,099.4

35.8

10.6

配当性向

(%)

313.88

197,507.44

28.06

10.09

従業員数

(名)

34

40

33

37

35

〔外、平均臨時雇用者数〕

11

11

11

株主総利回り

(%)

119.7

134.5

87.6

69.2

79.0

(比較指標:

TOPIX(配当込))

(90.5)

(128.6)

(131.2)

(138.8)

(196.2)

(比較指標:

東証保険業(配当込))

(90.8)

(116.2)

(153.1)

(162.4)

(296.4)

最高株価

(円)

4,480

1,253

(5,340)

1,059

731

707

最低株価

(円)

2,560

990

(3,140)

601

482

508

 

(注) 1 当社は、2020年10月1日付で普通株式1株につき4株の株式分割を行っています。第20期の期首に株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

2 第21期は潜在株式は存在するものの当期純損失のため、潜在株式調整後1株当たり当期純利益は記載していません。また、第22期以降は潜在株式が存在しないため、潜在株式調整後1株当たり当期純利益は記載しておりません。

3 「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の適用に伴い、第22期以降の数値については当該会計基準等を適用した後の数値を算出しております。

4 従業員数欄の〔 〕外数は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。

5 最高株価、最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。なお、第21期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しております。

6 株主総利回り及び比較指標の最近5年間の推移は以下のとおりです。

7 第21期の株価収益率及び配当性向については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

 

〔株主総利回り〕


 

 

 

 

2 【沿革】

当社は、「anicomどうぶつ健康保障共済制度」(以下、「どうぶつ健保」という)を営む「anicom(動物健康促進クラブ)」を前身としています。どうぶつ健保とは、対象となる動物の病気・ケガに要した診療費の一部を補償するペット共済です。当社は、この「anicom(動物健康促進クラブ)」から、どうぶつ健保の保険事務を受託することを目的とする「株式会社ビーエスピー」として、2000年7月に設立されました。「株式会社ビーエスピー」設立以後の当社に係る経緯は、次のとおりです。

年月

概要

2000年7月

anicom(動物健康促進クラブ)から「どうぶつ健保」(ペット共済)に係る事務を受託するため、東京都豊島区に「株式会社ビーエスピー」(現当社)を設立(資本金41百万円)

2000年11月

anicom(動物健康促進クラブ)が「どうぶつ健保」(ペット共済)募集開始

 

動物病院向けカルテ管理システム「アニコムレセプター」販売開始

2001年7月

幼齢ペット向け共済商品(アニコム損害保険株式会社の「どうぶつ健保べいびぃ」の原型)の販売開始

2004年12月

ペットコミュニティ雑誌の発行及び発送業務を行うため東京都新宿区に100%子会社として「アニコム パフェ株式会社」を設立(資本金10百万円)

2005年1月

「株式会社ビーエスピー」を「アニコム インターナショナル株式会社」に商号変更

 

本社を東京都豊島区から、東京都新宿区に移転

2005年2月

東京都新宿区に100%子会社として「アニコム フロンティア株式会社」を設立(資本金10百万円)

2006年1月

東京都新宿区に保険会社設立準備子会社「アニコム インシュアランス プランニング株式会社」を100%子会社として設立(資本金1,500百万円)

2006年4月

会社分割により、ペット保険事業に係る営業基盤を当社からアニコム インシュアランス プランニング株式会社に委譲

2006年6月

改正保険業法の施行を受け、anicom(動物健康促進クラブ)が特定保険業者の届出を行う

2007年12月

「アニコム インシュアランス プランニング株式会社」が「アニコム損害保険株式会社」に商号変更

 

「アニコム インターナショナル株式会社」が保険持株会社の認可を、アニコム損害保険株式会社が損害保険業の免許を金融庁より取得

2008年1月

アニコム損害保険株式会社が損害保険業を開始

2008年6月

「アニコム インターナショナル株式会社」を「アニコム ホールディングス株式会社」に商号変更

2009年1月

アニコム損害保険株式会社においてオンライン加入手続を開始

2009年4月

「anicom(動物健康促進クラブ)」が特定保険業の廃業届を関東財務局に提出

2009年11月

日本の家庭動物に関するデータ集「家庭どうぶつ白書」を初発刊。以降、毎年刊行。

2010年3月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2014年1月

動物医療分野における基礎研究の推進、先進医療の開発に向けた臨床等を行うため、東京都新宿区に100%子会社として「日本どうぶつ先進医療研究所株式会社(現 アニコム先進医療研究所株式会社)」を設立(資本金75百万円)

2014年6月

東京証券取引所市場第一部に市場変更

2015年7月

コーポレート・ベンチャー・キャピタル事業を行うため、東京都新宿区に100%子会社として「アニコム キャピタル株式会社」を設立(資本金50百万円)

2016年4月

当社49%、富士フイルム株式会社51%出資の動物の再生医療に関する合弁事業として、セルトラスト・アニマル・セラピューティクス株式会社を設立

2017年3月

当社49%出資の中国における動物医療に関する合弁事業として、Hong Kong Anicom Company Limited(香港愛你康有限公司)を設立

 

 

年月

概要

2020年1月

株式会社シムネットの全株式を取得し、完全子会社化

2021年3月

富士フイルム株式会社との合弁契約を解消し、セルトラスト・アニマル・セラピューティクス株式会社の事業をアニコム先進医療研究所株式会社にて承継

 

アニコム キャピタル株式会社の解散を決議

2022年2月

Hong Kong Anicom Company Limited(香港愛你康有限公司)の増資引き受けを行い子会社化

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、市場第一部からプライム市場に移行

2022年10月

アニコム パフェ株式会社がアニコム フロンティア株式会社を吸収合併

2024年3月

株式会社フローエンスの株式を取得し、連結子会社化

 

 



 

3 【事業の内容】

アニコムグループは、保険持株会社である当社、アニコム損害保険株式会社をはじめとした連結子会社5社により構成されています。

当社は、経営管理及びそれに附帯する業務を行う持株会社として、各連結子会社の経営状況を把握し、グループのリスク管理及び、コンプライアンスの強化に努めるとともに、グループとしての事業戦略の策定及び、グループ間におけるシナジー発揮の促進等を業とし、経営管理料を収受しています。

なお、当社は、特定上場会社等に該当しており、これによりインサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとしています。事業の系統図は以下のとおりです。


 

当社グループは、中核事業となる「(1)損害保険事業」、「(2)ペット向けインターネットサービス事業」「(3)その他の事業 ①動物病院支援事業 ②保険代理店事業 ③動物医療分野における臨床・研究事業 ④遺伝子検査等事業 ⑤その他事業」を行っており、各事業の内容は以下のとおりです。

 

(1) 損害保険事業 


 

アニコム損保のペット保険は、契約者が保険契約に基づく保険料を支払い、保険契約期間中に対象となるペット(犬、猫、その他(鳥、うさぎ、フェレット、モモンガ、リス、ハムスター、ネズミ、モルモット、ハリネズミ、カメ、トカゲ、チンチラ、ヘビ)の15種)が病気やケガで診療を受けたとき、その診療費に対し、約款に基づき保険金を支払うものです。なお、アニコム損保の保有契約件数は1,193,560件となっており、取扱商品は以下のとおりです。

 

商品

対象動物

窓口

精算

通院

入院

手術

概要



ご家庭等で飼養されている所定年齢以下の指定の動物種を対象にしています。(犬、猫、鳥、うさぎ、フェレット以外につきましては、継続契約のみをご契約対象としています)

保険期間は1年、保険の対象となる診療費の50%・70%を支払限度の範囲内でお支払いします。



満0歳の犬、猫をご購入されると同時にペットショップ等の動物取扱業者でご契約いただける商品です。

保険期間は1年、診療費につきましては、保険期間の初日から1ヶ月は保険の対象となる診療費の100%を、その後の11ヶ月はご契約のプランにより、50%・70%をお支払いします。

これは、どうぶつが生後間もない時期は、病気等にかかりやすいことに対応したものです。



・どうぶつ健保すまいるべいびぃ

満0歳の犬、猫のお引渡日から1ヶ月に限り保険の対象となる診療費の100%をお支払いする商品です。

ペットショップ等の動物取扱業者が保険を付保して販売することで、お客様がより安心してご家族としてお迎えいただけるように開発した商品です。

・どうぶつ健保すまいるふぁみりぃ

「どうぶつ健保すまいるべいびぃ」の責任期間(1ヶ月)終了時にあわせて、ご契約いただける商品です。



満1歳11ヶ月以下の指定の動物種をご購入されると同時にペットショップ等の動物取扱業者でご契約いただける商品です。



保護犬・猫などを対象に、お迎えと同時に譲渡団体等の動物取扱業者でご契約いただける譲渡専用の商品です。契約年齢の上限はありません。

保険期間は1年、診療費につきましては、保険期間の初日からご契約のプランにより、50%・70%をお支払いします。



×

×

入院と手術の補償に特化した商品で、保険料を安価に設定しています。

保険期間は1年、保険の対象となる診療費の70%を支払限度の範囲内でお支払いします。



×

従来商品では新規でご契約いただけなかった、満8歳以上(上限なし)の犬・猫専用の商品です。

入院と手術の補償に特化した商品です。付帯サービスの「どうぶつ健活」の結果が良好であれば「どうぶつ健保ふぁみりぃ」へ移行することもできます。

保険期間は1年、保険の対象となる診療費の50%・70%を支払限度の範囲内でお支払いします。

 

 

■その他主な特約

ペット賠償責任保険

ご契約いただいたどうぶつが、他人または他人の物に咬み付いたり、引っかいたりすること等によって、他人に損害を与え、飼い主様に法律上の賠償責任が生じた場合に、保険金をお支払いする特約です。

所定の特約保険料を支払うことにより、「どうぶつ健保ふぁみりぃ」「どうぶつ健保べいびぃ」「どうぶつ健保すまいるふぁみりぃ」「どうぶつ健保はっぴぃ」「どうぶつ健保きずな」「どうぶつ健保しにあ」の商品に付帯することができます。

 

(注) 1  「どうぶつ健保ふぁみりぃ」「どうぶつ健保すまいるふぁみりぃ」「どうぶつ健保はっぴぃ」「どうぶつ健保きずな」の保険金支払限度額は、通院・入院は1日につき10,000円(50%プラン)、14,000円(70%プラン)とし、手術は1回につき100,000円(50%プラン)、140,000円(70%プラン)を限度としています。なお、通院・入院の限度日数は年間20日まで、手術の限度回数は年間2回までとなっています。

2 「どうぶつ健保べいびぃ」の保険金支払限度額は、通院・入院は1日につき20,000円、手術は1回につき200,000円までです。なお、通院・入院の限度日数は年間20日まで、手術の限度回数は年間2回までとなっています。

3 「どうぶつ健保すまいるべいびぃ」の保険金支払限度額は、通院・入院は1日につき20,000円、手術は1回につき200,000円までです。なお、通院・入院の限度日数は月間20日まで、手術の限度回数は月間2回までとなっています。

4 「どうぶつ健保しにあ」の保険金支払限度額は、入院は1日につき10,000円(50%プラン)、14,000円(70%プラン)とし、手術は1回につき100,000円(50%プラン)、140,000円(70%プラン)を限度としています。なお、入院の限度日数は年間20日まで、手術の限度回数は年間2回までとなっています。

5 「どうぶつ健保ぷち」の保険金支払限度額は、入院は1日につき14,000円とし、手術は1回につき500,000円を限度としています。

6  保険料は動物の種別(犬、猫、鳥、うさぎ、フェレット、モモンガ、リス、ハムスター、ネズミ、モルモット、ハリネズミ、カメ、トカゲ、チンチラ、ヘビ)と年齢によって異なります。犬の場合のみ、品種に応じて5クラスに分類しており、それぞれ異なる保険料設定としています。なお、支払割合(50%・70%)は契約者が選択可能であり、その支払割合に応じて保険料を設定しています。

 

<商品の改定及び開発の状況>

年月

概要

2008年4月

 

ペット保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」「どうぶつ健保べいびぃ」「どうぶつ健保すまいる」の引受開始

2010年10月

以下の商品改定を実施
①入・通院限度日数を無制限に

②支払割合90%・70%プランの新設

2012年7月

支払割合90%プランの取扱いを停止

2014年11月

以下の商品改定を実施

①入・通院限度日数ありプランの新設(無制限プランの新規契約の取扱いを停止)

②鳥・うさぎ・フェレットの新規引受を停止(「どうぶつ健保ふぁみりぃ」)

③健康割増引制度の導入

2015年2月

「どうぶつ健保はっぴぃ」の引受開始

2016年11月

「どうぶつ健保はっぴぃ」のご契約対象どうぶつに「モモンガ、リス、ハムスター、ネズミ、モルモット、ハリネズミ、カメ、トカゲ」を追加

2017年9月

鳥・うさぎ・フェレットの新規引受を再開(「どうぶつ健保ふぁみりぃ」)

2017年11月

「どうぶつ健保ぷち」の引受開始

2018年12月

以下の商品改定を実施

①腸内フローラ測定サービス「どうぶつ健活(けんかつ)」の付帯開始(「どうぶつ健保ぷち」は付帯対象外)

②被保険者の範囲を拡大

2019年3月

「どうぶつ健保はっぴぃ」のご契約対象どうぶつに「チンチラ、ヘビ」を追加

2019年11月

「どうぶつ健保しにあ」の引受開始

2020年11月

「どうぶつ健保きずな」の販売開始

 

 

[アニコム損保の事業と強み]

アニコムグループは、2000年7月に創業し、当社グループの主たる事業であるペット保険事業では、2009年から2023年までの15年間連続で国内シェアNO.1(※)となっています。そうした当社グループの強みは、大きく以下の4つがあると考えています。

(※)ペット保険会社各社のディスクロージャー誌及び決算公告等から当社が推計したもの

 

 ・アニコム損保事業と強み ① 「窓口精算システム」の確立による圧倒的な利便性

 ・アニコム損保事業と強み ② 全国をカバーする営業力と、豊富な販売チャネル

 ・アニコム損保事業と強み ③ 私たちの9人に1人が獣医師

 ・アニコム損保事業と強み ④ ペットに寄り添うカスタマーサービス

 

アニコム損保の事業と強み ① 「窓口精算システム」の確立による圧倒的な利便性

 


 

アニコム損保では、人の国民健康保険と同様、窓口で保険証を提示すれば、自己負担分を支払うだけで済む保険の仕組み「窓口精算システム」を日本で初めて構築しました。このシステムは、少額かつ高頻度に利用されるペット医療の特性に合わせ、保険の使いやすさを重視したビジネスモデルであり、アニコム損保の最大の強みだと考えています。例えば、契約者が郵送で保険会社に請求する従来型のビジネスモデルでは、1件ごとに振込手数料、郵送費、査定等の事務コストがかかりますが、この「窓口精算システム」により、これらのコストを大幅に圧縮することができています。アニコム損保には、年間約430万件の保険金の請求が行われていますが、そのうち約9割が、この「窓口精算システム」による請求となっており、高い業務効率を達成しています。現在、この窓口精算ができる「アニコム対応病院」は約6,800病院(全国の病院の5割以上)を超え、その数は他社と圧倒的な差があります。

また、2017年5月からは業界初の試みとして、コミュニケーションアプリ「LINE」での保険金請求サービスを開始しています。これまで保険契約者に必要であった書類の記入や郵送の手間を省き、早く簡単に保険金請求ができるようになっています。

 

アニコム損保の事業と強み ② 全国をカバーする営業力と、豊富な販売チャネル

 

[01 NB(New Born)チャネル]

アニコム損保の最大のチャネルは、ペットショップの新生児を対象とした「NB(New Born)チャネル」です。国内の主要なペットショップやブリーダーと代理店契約を締結し(1,518社と代理店契約締結。店舗数は4,941店舗)、生体販売時にペット保険を販売しています。こうしたペットショップ代理店では、アニコム損保の主力商品のひとつである「どうぶつ健保べいびぃ(ペットショップで販売される0歳の犬・猫を契約対象とするペット保険)」を販売し


ており、お客様がペットの購入と同時に保険を申込むことで、ペットショップの店頭から自宅にペットを連れて帰る、その瞬間から補償が開始されることになります。アニコム損保では、現在、ペットショップに加えて、猫の譲渡会やブリーダーからの直販のチャネルの開拓も進めており、さまざまなペットとの「出会いの場面」における保険販売に注力していきたいと考えています。

 

 

[02.一般チャネル]

Web(当社直販・Web代理店)や銀行窓口などの金融機関の窓口で販売するチャネルです。主に、既に飼育されている全年齢の犬や猫などが対象であり、豊富なマーケットが特徴です。NBチャネルに比べ加入時の年齢が高いことから、損害率への影響を考慮しながら戦略的なマーケティングを行いつつ、拡大させており、注力しているチャネルです。


 

 

アニコム損保の事業と強み ③ 私たちの9人に1人が獣医師


当社グループには、獣医師資格を持つアニコムファミリーが106名在籍し、日本で最も獣医師が集まる企業の一つです。この専門家集団の利点を活かし、他社には真似できない保険引受体制や査定体制の質の向上を図っています。また、疾患統計の抽出・分析、遺伝子や腸内細菌等の研究、論文や学会での発表、専門誌への執筆、獣医師向けセミナーの実施など、専門性を活かして獣医療業界の発展にも寄与しています。獣医師の他にも、当社グループには、医学/農学/理学/薬学博士、弁護士、公認会計士、アクチュアリー(保険数理士)、弁理士、データサイエンティストやデザイナーなど、多種多様な専門家が働いており、これらの人材が当社グループの戦力の源泉となっています。

 

アニコム損保の事業と強み ④ ペットに寄り添うカスタマーサービス


 

獣医師が集まる「信頼感」のブランドを顧客サービスにつなげるため、電話やLINEで獣医師に相談できるサービスなどを展開し、ペットの健康を第一に考えたサービスの拡充を図っています。具体的には、メールマガジンやWEBメディア「anicom you」などを通じて、予防情報を配信していることに加え、ペットが迷子になった際に利用するための迷子捜索サポートや、対応病院検索サイト、全国で受けられる優待サービスなどの多種多様なサービスを提供し、顧客満足度の向上を図っています。また、今後は、自治体等とも連携し、自然災害等の発生時における支援活動等にも取り組んでいきたいと考えています。

 

[事業系統図]

当社は持株会社として各連結子会社の経営管理を行い、経営管理料を収受しています。なお、各連結子会社との系統図は事業の内容の冒頭に記載のとおりです。

 

[保険募集・保険金支払体制]

アニコム損保における保険募集・保険金支払体制の概要は以下のとおりです。


 

①保険募集体制

NBチャネルでは、ペットショップ代理店において、「どうぶつ健保ふぁみりぃ」「どうぶつ健保べいびぃ」「どうぶつ健保すまいるべいびぃ」「どうぶつ健保すまいるふぁみりぃ」「どうぶつ健保はっぴぃ」「どうぶつ健保ぷち」の6種のペット保険商品を取り扱っています。これらの商品は、アニコム損保とペット保険契約者との契約となりますが、「どうぶつ健保すまいるべいびぃ」は、同社とペットショップとの契約となり、同契約を締結したペットショップで販売された0歳の犬・猫が、ペット保険の補償対象になります。

 

②保険金支払体制

1 契約者がアニコム損保の対応動物病院にて診療を受けた場合は、対応動物病院の会計窓口で保険金相当分を差し引いた金額のみをお支払いいただき保険金請求手続きは完了します。

2 契約者がアニコム損保の対応動物病院ではない、未対応の動物病院にて診療を受けた場合は、一旦窓口で診療費の全額を支払い、別途アニコム損保へ請求を行うことで、後日保険金が支払われます。

3 「どうぶつ健保べいびぃ」及び「どうぶつ健保すまいるべいびぃ」では、保険契約後の1ヶ月間は、補償対象となる診療費の100%が補償されます。

 

 

(2) ペット向けインターネットサービス事業 


 

2020年1月にグループインした株式会社シムネットにおいて、ブリーダーとのマッチングサイトや譲渡などの里親マッチングサイトの運営等のペット向けインターネットサービス事業を行っています。

同社が運営する「みんなのブリーダー」「みんなの子猫ブリーダー」は日本最大のブリーダーマッチングサイトであり、このプラットフォームを活用することで、当社グループの中核事業である損害保険事業のペット保険契約件数の増加に向けた効果的・効率的な施策につなげるとともに、ブリーダーサポートサービスの拡大につなげています。

 

(3) その他の事業

① 動物病院支援事業


 

アニコム パフェ株式会社において、動物病院経営に必要となる顧客管理、レセプト精算、診療明細書の発行等の機能を有している動物病院カルテ管理システム「アニコムレセプター」の開発、販売及び保守業務等を行っています。

「アニコムレセプター」を導入した動物病院では、顧客へ診療費の明細書を作成すると同時にアニコム損保への保険金請求(レセプト請求)用のデータが作成されます。同社に当該データを送付すると、調査後に保険金の支払いが実行される仕組みであり、これは動物病院の作業効率を高めるとともに、同社における保険金支払い業務の効率化に貢献しています。また、不正請求や計算ミスを未然に防止することも可能となることから、ペット保険に係る健全な業務体制構築の一助となっています。

 

② 保険代理店事業


 

アニコム パフェ株式会社において、ペット関連の取引先企業等に対して損害保険及び生命保険の募集・販売を行っています。

 

③ 動物医療分野における臨床・研究事業


 

アニコム先進医療研究所株式会社において、どうぶつ医療分野における基礎研究の推進、科学的根拠に基づく診療方法の確立及び予防・先進医療の開発に向けた研究・臨床・開発等を行っています。

 

④ 遺伝子検査等事業


 

アニコム パフェ株式会社において、ペットショップ及びブリーダー向けに遺伝子検査を実施し、避けられる遺伝病を繁殖前後(親・子)の検査によって回避することで経常収益への貢献と保険金の削減を図っています。加えて、どうぶつの健康チェックを目的とした腸内フローラ測定サービス(どうぶつ健活)の販売等を行っています。

 

⑤ その他事業

アニコム パフェ株式会社において、オンラインショップ「アニコムパフェオンラインショップ」、各検査をキーにした「きみのごはん」(保険契約者向けが中心)や「みんなのごはん」(保険契約者以外も含む)の販売、ペットの健康に関する24時間365日の電話相談サービス「アニコム24」の提供など、動物と飼い主の暮らしをサポートする事業を幅広く行っています。また、ペットを失った悲しみ(ペットロス)を支えるWebサイト「アニコム メモリアル」を運営しています。さらに、動物関係者に特化した人材紹介サイト「アニジョブ」を運営するとともに、主にペット関連の専門学校に対して「ペット保険講座」「損害保険募集人試験対策講座」等のオリジナル講座を提供するなど、将来ペット関連市場で働く学生に対する教育事業を行っています。

2024年3月に子会社化した株式会社フローエンスにおいては、環境エンリッチメントに配慮した犬・猫のブリーディング事業を行っています。

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は

出資金

主要な事業の内容
(注)1

議決権の
所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

アニコム損害保険株式会社
(注)2,3

東京都

新宿区

百万円

6,550

損害保険事業

100.0

経営管理契約にもとづく経営管理料の受取、役員の兼任(2名)、従業員の兼務・出向等

株式会社シムネット

宮城県

仙台市

宮城野区

百万円

100

ペット向けインターネットサービス事業

100.0

経営管理契約にもとづく経営管理料の受取、役員の兼任(1名)、従業員の兼務・出向等

アニコム パフェ株式会社

東京都

新宿区

百万円

50

その他

(動物病院支援等)

100.0

経営管理契約にもとづく経営管理料の受取、役員の兼任(2名)、従業員の兼務・出向等

アニコム先進医療

研究所株式会社

東京都

新宿区

百万円

50

その他

(動物医療分野における臨床・研究)

100.0

経営管理契約にもとづく経営管理料の受取、役員の兼任(2名)、従業員の兼務・出向等

株式会社フローエンス

千葉県

市原市

百万円

100

その他

(ブリーディング事業)

74.1

従業員の兼務・出向等

(持分法適用非連結子会社)

 

 

 

 

 

香港愛你康有限公司

中国

香港

万USD

191

その他

(動物病院事業)

65.6

従業員の兼務・出向等

その他1社

 

 

 

 

 

(持分法適用関連会社)

 

 

 

 

 

株式会社EPARK

ペットライフ

東京都

千代田区

百万円

100

その他

(情報サービス業)

21.3

従業員の兼務・出向等

 

(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しています。

2 特定子会社です。

3 アニコム損害保険株式会社については、2024年3月期における経常収益金額の連結経常収益金額に占める割合が10%を超えています。

主要な損益情報等

(1) 経常収益

55,313百万円

 

(2) 経常利益

4,069百万円

 

(3) 当期純利益

2,864百万円

 

(4) 純資産

20,100百万円

 

(5) 総資産

49,786百万円

 

4 株式会社AHBは、2024年2月21日付で株式譲渡を実行したことから、当社持分法適用の関連会社ではなくなりました。

5 株式会社フローエンスは、2024年3月22日付の株式取得により、持分法適用の関連会社から当社の子会社となりました。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

損害保険事業(ペット保険)

509

114

ペット向けインターネットサービス事業

86

34

その他

338

232

合計

933

381

 

(注) 従業員数は就業人員であり、従業員数欄の〔 〕外数は臨時従業員の年間の平均雇用人員です。

 

〔女性従業員数・男性従業員数の推移〕

 


(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

35

11

42.1

7.2

7,363

 

(注) 1 従業員数欄の〔 〕外数は臨時従業員の年間の平均雇用人員です。

2 上記のほか、当社子会社との兼務者が87名おります。

3 平均勤続年数は当社子会社を含む当社グループにおける在籍期間を通算しています。

4 平均年間給与は各月における在籍者の平均給与月額の合計であり、基準外給与を含んでいます。

5 平均年間給与は、譲渡制限付株式解除による報酬額を含んでいます。

6 従業員は、その他のセグメントに所属しています。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満な関係を構築しています。

 

 

(4) 多様性に関する指標

当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下のとおりであります。

①女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示

会社名

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

男性の育児休業

取得率(%)

男女の賃金の格差(%)

全労働者

正規雇用

労働者

非正規雇用労働者

当社

47.1

-

69.6

69.8

-

アニコム損害保険株式会社

34.0

73.0

60.4

60.8

64.1

アニコム先進医療研究所株式会社

0.0

50.0

47.1

52.9

31.2

株式会社シムネット

25.0

100.0

74.9

77.9

82.8

株式会社フローエンス

54.5

0.0

72.5

80.8

84.8

 

(注) 1 正規雇用労働者は、正社員および無期雇用準社員を含んでおります。また、時間短縮勤務を行う者を含んでおります。

2 非正規雇用労働者は、フルタイムならびにパートタイムの有期雇用社員およびアルバイトを含み、派遣社員を除いております。

3 全労働者は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者を含んでおります。

4 管理職に占める女性労働者の割合は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。管理職は、部下を持つ職務以上の者、並びに部下を持たなくともそれと同等の地位にある者で、役員を除いております。

5 男性の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

6 「―」は対象となる労働者が無いため算出不可であることを示しております。

7 男女の賃金の格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。賃金には固定給・時間外勤務手当を含み、通勤手当を含んでおりません。正規雇用労働者のうち、時間短縮勤務を行う者については、勤務時間に応じた人数調整を行っておりません。非正規雇用労働者のうち、パートタイムの有期雇用社員およびアルバイトについては、勤務時間に応じた人数調整を行っております。

 

②連結会社の状況

会社名

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

男性の育児休業

取得率(%)

男女の賃金の格差(%)

全労働者

正規雇用

労働者

非正規雇用労働者

当社及び連結子会社

33.7

68.0

59.8

62.2

50.8

 

(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成表法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としております。

2 正規雇用労働者は、正社員および無期雇用準社員を含んでおります。また、時間短縮勤務を行う者を含んでおります。

3 非正規雇用労働者は、フルタイムならびにパートタイムの有期雇用社員およびアルバイトを含み、派遣社員を除いております。

4 全労働者は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者を含んでおります。

5 管理職に占める女性労働者の割合は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。管理職は、部下を持つ職務以上の者、並びに部下を持たなくともそれと同等の地位にある者で、役員を除いております。

6 男性の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

7 男女の賃金の格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。賃金には固定給・時間外勤務手当を含み、通勤手当を含んでおりません。正規雇用労働者のうち、時間短縮勤務を行う者についての勤務時間に応じた人数調整を行っておりません。非正規雇用労働者のうち、パートタイムの有期雇用社員およびアルバイトについての勤務時間に応じた人数調整を行っております。