当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、経営理念を「我々は信用を第一とし、情報の具現化によって、相互の利益を追求する」と定め、自らの意思で情報を具体的なビジネスへと形にし、今までにないマーケットを創出することを目指しています。
当社グループが運営するBESS事業においては、『「住む」より「楽しむ」』をブランドスローガンに、ログハウスなど自然材をふんだんに使った個性的な木の家の提供を通じて、「ユーザー・ハピネス」の実現を目指します。家がモノとして完成した際の満足=カスタマー・サティスファクションよりも、ユーザーが暮らしてからの満足=“楽しい暮らし”を大切にし、日本人の暮らし文化の「明日」を創っていきます。
(2)経営環境
当連結会計年度のわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行された後、自律的な回復がみられ始めました。GDPは名目・実質ともに過去最大水準(円ベース)となり、企業部門の業績が好調となる一方、それが賃金上昇や投資拡大に十分には結び付かず、個人消費や設備投資等の内需は力強さを欠く状況となりました。今後においては、総合経済対策の進捗に伴い、官民連携した賃上げを始めとする所得環境の改善や企業の設備投資意欲の後押し等が相まって、民間需要主導の経済成長が実現することが期待されますが、海外景気の下振れリスクや物価動向、金融資本市場の変動の影響等に十分留意する必要があります。
国内の住宅市場では、木材価格の上昇は一服したものの、コンクリート等の資材価格の高騰が続いていることや、労務費の上昇により、建築費が高止まりしています。こうしたコスト高が個人の持家の建設需要の下押しにつながり、2023年4月~2024年3月の新設住宅着工数が前期比7.0%減、うち新設戸建持家木造住宅着工数も同10.5%減となり、今後も弱含みで推移するものと思われます。さらに、住宅市場においては、建築省エネ法の改正などにより、マーケティング、商品及び営業における一層の対策並びに対応力が求められる状況にあります。
(3)経営戦略等
当社グループでは、これまでの経営基盤強化策の実行及び戦略的な費用投下により、財務体質の改善や新規来場数等の先行指標等の回復を果たしながら、業績回復に向けて歩みを進めております。
その中で、当社の主力事業であるBESS事業においては、原点回帰を掲げ、LOGWAY等での感動を起点としたファンづくりをベースとする農耕型営業を推進するとともに、集客強化策としてSNS(YouTube、Instagram等)での発信の強化や新商品の開発等を進めてまいりました。また2024年年初より、「BESS復活の狼煙、オアシス」をスローガンに、市場(集客)・商品・売り方の3要素をそれぞれ強化する施策を講じて業績の向上に向け、取り組んでおります。
4期連続の営業損失となった結果を真摯に受け止め、既に着手している諸施策を引き続き推進していくとともに、新規施策の実行により、早期の業績回復に努めます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するために客観的な指標等
現在の経営状況を踏まえ、経営再建による営業利益の黒字化を最重要指標と考えております。そのほか、成長性、収益性(営業効率)の観点から、売上高の先行指標としてBESS LOGWAY数、全国LOGWAYにおける新規来場件数及び再来場件数、契約(受注)高及び件数、また、資本効率及び株主価値創造の尺度としてROE(自己資本当期純利益率)、加えてDOE(純資産配当率)を重要な経営指標と認識しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 事業戦略
イ BESS事業における感性マーケティングの推進
引き続きBESS事業の強みである感性マーケティング(潜在マーケットに向け、感性に働きかけるマーケティングで市場を創造する)の原点に立ち返ったファンづくりを進めます。また、従来の営業研修等にさらなるスキルアップや資格取得促進など盛り込み、営業力の強化を図ります。
ロ ワンダーデバイスのリニューアル及びキャンペーンの実施
2023年10月に発売開始した「三角WONDER 間貫けのハコ」に続き、BESS商品の柱であるワンダーデバイスについて、その誕生から20周年となることを機に、2024年4月にリニューアルを実施しました。「住人が主役になる家」としての魅力を再訴求し、価格面の見直しや用地対応力及びアレンジ対応力を強化することで、今まで以上に顧客に選ばれる商品にしていきます。さらに、誕生20周年を記念したキャンペーン及びプロモーションを展開するとともに、BESSホームページを改訂し、オウンドメディアとの統合を行い、商品の魅力を多面的に訴求できるコンテンツ発信を行っていきます。
ハ 地方と繋がる事業提携や業務連携の推進
BESSのソフト面を強みとして、各自治体や企業など、地方と繋がる事業提携や業務連携を模索していきます。「梺ぐらし」においては、小諸市と移住定住促進を軸とした連携協定を締結しておりますが、今後さらに、地方自治体や宅地開発業者とのコラボレーションや提携により事業を広げていく構想です。
ニ BtoB事業(特建事業)の推進
特建事業において、当期は、日本初となる防火地域での3階建てCLT(直交集成材)ログハウスを竣工させた等の実績を上げましたが、事業としてはいまだ途上にあります。住宅に次ぐ事業の柱として育てていく観点で、引き続き、体制面を含めた足固めを進め、商業施設等の大型受注も視野に活動を進めていきます。
ホ 歳時住宅事業のスタート
2024年4月より歳時住宅事業が本格的にスタートしました。歳時住宅とは、BESS住宅の中古仲介事業及びそれに伴うリフォーム・メンテナンス事業を手掛けるもので、BESSが提供した木の家の経年価値を独自の査定基準を用いて適正に評価し、BESSファン同士の継承ができる仕組みを現実化した事業です。BESSホームページへの販売物件や物件募集についての掲載をスタートし、今後の拡大を目論みます。
②財務戦略
イ 財務の健全化
当社は、前連結会計年度末において、複数の金融機関との間で締結したシンジケーション方式による金銭消費貸借契約における一定の財務制限条項に抵触している状況にありましたが、2023年3月30日付の代官山資産売却に係る不動産売買契約に基づく売却代金の精算が行われたことにより、2023年4月25日において本借入金全額を返済しており、本件は解消しております。今後につきましては、木材市況等の経営環境や事業の行方を注視しながら、引き続き、金融機関との関係性を保持しつつ、手元流動性資金の残高維持(月商の3ヵ月分以上)に努めてまいります。
ロ 資本効率の向上
当社は、地区販社とのパートナーシップ(フランチャイズシステム)により、本部(当社)の陣容拡大を抑えながら売上成長を可能にする高効率の収益構造を目指しております。これにより、事業成長局面でも最小限の設備投資・在庫でフリーキャッシュフローを増大させるビジネスモデルを確立しています。引き続き経営環境の変化に対して機動的かつ柔軟に対応しつつ、販社の営業拠点等による小資本型事業のメリットを最大限に活かしてさらなる資本効率の向上を目指します。
アールシーコアグループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ共通
サステナビリティの基本方針
当社グループは、「我々は信用を第一とし、情報の具現化によって、相互の利益を追求する。」を経営理念とし、自らの意思で情報を具体的なビジネスの形にし、今までにないマーケットを創出することを目指しております。その中で、BESS事業を立ち上げ、木の自然材を多用した住宅を商品とし、「自然の恵みを生かしたおおらかで心豊かな暮らし」を提供しています。
また、当社グループは、文化や感性を重視した価値観があり、その価値観をベースにビジネスを営むことで、文明偏重や合理性を優先とせず、行き過ぎた感のある現代社会を日本的な価値観で再構築する事を目指しています。
当社グループの主軸を担うBESS事業は、自然の恵みを活かした木材を使用するビジネスモデルを構築していることから、自然環境とのかかわりも深く、木材を通じた環境負荷の低減及び環境レジリエンスの向上は必須であるとともに、それら取組みは当社グループのブランド価値の向上にもつながると考えています。
各種理念、方針の詳細につきましては、以下Webページをご参照ください。
経営理念:https://www.rccore.co.jp/identity/principle.html
バランシズム・イン・ビジネス:https://www.rccore.co.jp/business/
①ガバナンス
当社は、サステナブルな経営の取組みをより強化・促進するため、経営会議の下部組織としてサステナビリティ委員会を設置しています。同委員会は、取締役社長が委員長及び議長を務め、業務執行取締役、執行役員、常勤監査等委員、子会社社長の委員7名で構成されています。サステナビリティ委員長であり、議長である取締役社長は、本業や経営戦略との一体化を図りながらサステナビリティへの取組みを推進しています。同委員会では、気候変動を含む社会・環境に係るサステナビリティ課題の対応方針の策定・実践状況のレビューを定期的に(半期に1回以上)実施します。なお、全社におけるリスクについては、取締役社長を委員長とし取締役全員で構成されるリスク管理委員会で審議され、同委員会に連携されます。人的資本及び知的資本に関する課題については、それぞれ組織活性化委員会及び知的財産委員会にて対応が審議され、サステナビリティ委員会に連携されます。サステナビリティ委員会で審議された事項は、取締役社長が議長を務め、業務執行取締役 、執行役員、常勤監査等委員、子会社社長で構成されている経営会議に定期的に報告されます。また、経営会議は、サステナビリティに関する課題に係る事項を取締役会に報告し、取締役会から監督を受けます。
②戦略
当社の主軸であるBESS事業においては、「人間も、自然の一部」という考えのもと、社会的、精神的、身体的な「健康」を育くみ、自然にとっても人間にとってもサステナブルな経営を促進するため、「BESSの家 健康宣言」として、①余分なものはつくらないことで「社会責任」を果たし、②家を便利にしすぎないことで「心の健康」を応援し、③自然との調和を心がけることで「身体の健康」を妨げないことを掲げています。
「社会責任」として、当社グループのビジネスモデルに必要不可欠な自然資本である木材を中心に、木の有効活用や森林サイクルの促進に取組み、環境負荷を低減するとともに、環境レジリエンスの向上や当社グループのブランド価値向上につなげていきます。
また「心の健康」及び「身体の健康」に関しては、自然資本である木材を使用した「BESSの家」という器を通じて、“住むより楽しむ”をコンセプトに、モノ(物質的価値)にこだわるのではく文化や感性を重視した価値観を実現し、豊かさやよろこびを創出、暮らしの精神的・身体的な質への向上という社会価値を生み出していきます。

③リスク管理
当社グループにおけるサステナビリティ関連を含む事業リスクは、リスク管理委員会にて包括的に抽出・評価及び特定されています。各事業グループから報告されたリスクは、リスク管理委員会にて、経営に及ぼす影響の大きさを「発生頻度」と「損害規模」の2軸で評価し、最終的にリスク対応の方向性ごとに「①対策を講ずるもの」、「②改善対象とするもの」、「③事前の備えが必要なもの」、「④容認又は保険などで対応するもの」の4つにカテゴライズされます。評価・特定されたサステナビリティ関連のリスクは、サステナビリティ委員会に連携され、同委員会にて実践状況をモニタリングし、具体的な対応方針を審議しています。
④指標及び目標
当社グループのマテリアリティの特定及び指標については現在検討中であり、今後の開示に向けて準備をしてまいります。
(2) 気候変動
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスにおいても、サステナビリティ委員会が担い、経営会議を通じて取締役会に報告し、監督を受ける形となります。前項①をご参照ください。
②戦略
当社グループは「木を使う責任」がある企業として、自然資本である木材を多用するログハウス等を商品としたビジネスモデルを構築していることから、気候変動によるリスク及び機会への対応は必須であると考えております。現時点では、以下のリスク及び機会につき検討を進めてまいります。
<リスク>
イ 輸入資材に係る急激な価格高騰や異常気象の対応
対応策:国内では、戦後植林された樹木が生長し、その積極的な活用が求められており、BESSでは国産材の比率を高めるため、持続的な国産材サプライチェーンのプロジェクトに積極的に取り組んでおります。
ロ 気候変動に係る法規制対応
対応策:建築物省エネ法の改正など、法規制の強化をリスクと捉えます。そのため法律や規制に関するモニタリングを強化するとともに、改正への100%対応の早期化を目指します。
ハ GHG排出量に関する規制強化
対応策:Scope1,2,3の算定と削減目標の設定を検討してまいります。
<機会>
イ 低炭素商品のニーズ増加
・サステナブルな家づくり
自然材にこだわって、丈夫で長持ちする飽きのこないデザインの木の家(サステナブルな家)に、長く愛着を持って住んでいただくことが住宅の長寿命化につながり、環境の持続性に貢献すると考えております。当社では歳時住宅のほか、独自の最大60年間の住宅瑕疵保証を提供しており、ユーザーが安心して長く住んでいただけるようメンテナンス等の充実したサポートも行っております。
・材料代替によるCO2排出削減効果
木造住宅は建築時の炭素排出が少ないことや、木は炭素を固定し貯蔵する特性があることから、地球環境にやさしい工法として、従来の木造住宅はもちろんのこと、公共施設や商業施設における大型木造特殊建築へのニーズが高まっています。なお、下のグラフは、136㎡の住宅を想定して、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造の住宅を建てた場合に、材料加工時に排出する炭素の量を比較したものです(*注)。家を建てるときに木造を選べば、材料を製造するときの温室効果ガス排出量が鉄筋コンクリートの4分の1、鉄骨造の3分の1で済むことになります。これが、材料代替による排出削減効果と呼ばれるものです。
また、二酸化炭素(CO2)を吸収して育った樹木は、木材になってもCO2を貯蔵し続けます。普通の木造住宅の3倍以上である約50本分もの木材を組み合わせて作ったログハウスでは、より多くのCO2を固着し、地球温暖化防止に貢献しています。
木は生長の過程でCO2を吸収していきますが、吸収力は木の生長とともに衰えるため、木を計画的に伐採して使い、そこに若木を植えることが、CO2吸収力の高い森林を育てることにつながります。木の家に住むことは、「CO2を固着」し、「森のCO2吸収力を促進」するという2つの点で地球温暖化防止に貢献すると考えております。
ロ 企業ブランドの認知向上
当社グループは、1998年に設立したBESSフォレストクラブにおいて、森林保全活動や、全国のLOGWAYで木や森と触れ合う様々なイベントを開催しています。具体的には、全国のNPO法人の協力の下、間伐や枝打ち、下草刈りや散策など自然を感じながら森を元気にするフィールド活動を広げ、ログハウスの良さを知ってもらうきっかけづくりにもつなげています。2023年度の活動実施回数は16回となりました。また、BESSフォレストクラブの設立以来、国内外の様々なプロジェクトに寄付を行い、自然活動を支援し続けてきました。累計募金額は3億円を超え、現在は国内外の森林保全を推進する3団体の活動をサポートしています。
③リスク管理
気候変動に係るリスク管理は、前項と同様に、リスク管理委員会とサステナビリティ委員会との連携により、審議されることとなります。前項③をご参照ください。
④指標及び目標
当社グループのマテリアリティの特定及び指標については現在検討中であり、準備をしてまいります。
(3) 人的資本
①ガバナンス
当社グループは、社員の働く環境や教育体制整備のために組織活性化委員会を設置しています。同委員会は、取締役社長を議長とし、委員は業務執行取締役、執行役員、部門長の一部で構成されています。毎月2回開催しており、定期的にサステビリティ委員会やリスク管理委員会と連携の上、人的資本経営にかかわる施策の策定や進捗状況の把握等を審議しています。審議した内容は、取締役社長が議長を務め、業務執行取締役、執行役員、常勤監査等委員、子会社社長で構成されている経営会議へ付議し、承認されます。承認事項は事務局である総務部を通じて、実行に移され、実行結果は事務局を通じて組織活性化委員会へ報告される体制を構築しています。
②戦略
<人材育成方針>
当社グループは、文明偏重や合理性優先ではなく、行き過ぎた感のある現代社会を日本的価値観で再構築(バランシズム・イン・ビジネス)することを目指しており、これを実現できる人材の育成が重要と考えています。すなわち、人間にしかない意思や感性といった「意識」や、つくりたい未来像をしっかりと持ち、自ら道を拓くような「創造者」であって欲しいと考えています。このような考えの下、社員に対して、個々の専門的な知識・スキル・能力、マーケットにおける新たな付加価値創出の源泉となる柔軟な思考力を強化し、その力を自ら積極的に職務で発揮することができる人材の育成を念頭に、投資を行っています。なお、当該方針は、BESSブランド商品を高品質でユーザーにお届けすることを目的に、BESSブランド商品の販売から建築までを手掛ける地区販社従業員にも一部適応されます。
イ コア社員の育成
MAKE MARKET を標榜してきた当社においては、求める社員の姿として、人柄と逞しさを兼ね備えた「コア社員」の定義を具体化し、「コア社員」の要素を自身の行動に落とし込むために、個々の力を発揮してもらうための各種研修を提供しています。コア社員の定義については、信用される人柄(コア社員の資格)と、ビジネスパーソンとしての逞しさ(会社を育てる力を持つ)の両面から求める人物像を表現し、研修等を通じて具体化しています。
特に、入社したばかりの新卒・キャリア社員に対しては、入社時研修の提供に注力しており、当社の考え方や求める社員の姿を説明する機会を設けています。また、事業理解の深化・視点の高まりと広がりを図るため、社長面談を始め、各種事業研修から施工現場研修などを研修プログラムに含んでおり、受講後は企業及び事業への理解度を確認するため、レポート提出を課題としています。その他、新商品やマーケティング方針などを説明する「ブランド研修」「新商品研修」等、後述する専門人材を含むグループ社員合同の研修を実施しています。
ロ 専門人材の育成
BESS事業を支える専門スキルを持った人材基盤の強化のため、当社社員に加え、地区販社従業員を含む、BESS事業に関わるメンバーを対象に、各種専門スキル(営業系、技術系等)の習得と向上、BESS事業への理解を促進する研修を提供しています。営業系スキル人材には担当者及びリーダーなど階層別の「営業研修」や「商品研修」等を提供しています。技術系スキル人材には「設計技術研修」や「技術者講習・試験・研修」等を提供しています。
その他、当社グループ社員を対象に、新商品やマーケティング方針などを説明する「ブランド研修」「新商品研修」を実施しています。
ハ マネジメント人材の育成
将来の企業経営を担う、次世代マネジメント人材の育成、人数確保・増強のため、マネジメント人材の育成体制を構築しております。また、当社グループ社員に加え、地区販社従業員も対象に加えた、営業拠点のマネジメント人材の育成にも注力しております。
<社内環境整備方針>
当社グループは、未来をつくる「創造者」となる社員一人一人が、心を開放して想像力を発揮し続けられるような働き場所でありたいと考えています。その実現のため、性別・年齢・国籍・キャリアによらない、公正な評価を踏まえた質の高い採用と能力の発揮度合いに基づく処遇の提供によるエンゲージメントの醸成と、安心安全に働ける職場環境とその運営体制の整備に取り組んでいます。
イ 公正な評価を踏まえた質の高い採用
当社グループは、文化風土にマッチする人材の採用のため、採用基準を明確化しております。採用試験には、レポート課題を組み込んでおり、応募者の目指すキャリアやビジョンと当社グループの方針との相性を評価しています。また、採用者においては、試用期間を設け、「理念理解度」と「スキル評価」の2軸で定性的評価を実施した上で、本採用の是非を決定しています。
その他、社員人材紹介制度及びアルムナイ(退職社員の再雇用)を実施しており、コア社員として活躍する社員からの紹介及び再入社を促すことにより、当社グループにマッチする人材の採用機会拡大と定着率の向上を図っております。
ロ 能力の発揮度合いに基づく処遇
当社グループは、多様な人材が自身の職務内容にやりがいを感じるとともに、個人の個性・特徴・経験を活かすには、公正な評価を踏まえた登用・処遇の提供が重要と考えております。社員の能力発揮度合いに基づく評価を実現するため、当社グループでは、社員に求められるスキルレベルを4つに区分し、各職系別(事務系、営業系、技術系、その他)に定義したランク・職系別スキル定義表を策定し活用しています。また、社員各々が自らの生産性を高める行動や会社が求める社員像として掲げるコア社員としての言行を奨励する表彰制度を設けています。また、社員が直接社長に自身のアイディアを進言できる制度も設けております。
ハ コンプライアンス違反の防止
全ての当社グループ社員は、経営理念を実践する主体者と位置付けられています。その目的を果たすためには、単に利益を追求するのみならず、利益を健全な企業活動を通じて生み出すことによって、会社が永続していくことが前提になるとしています。 当社グループは、コンプライアンス体制の強化を目的に、委員長を取締役社長とするコンプライアンス委員会を設置し、施策の検討や法令などへの対応及び社員への教育を推進しております。また、人権尊重、差別・ハラスメント防止や内部通報制度を含むコンプライアンスマニュアルを策定しており、入社時研修プログラムに当該マニュアルを使用したコンプライアンス研修を組み込むことで、全社員への周知徹底を図っています。
労働規範の遵守のための対策も進めており、個別社員の労働時間を一元管理し、必要に応じて管理職及び人事部門による面談を実施しています。また、DX活用による現場の労働時間の削減にも取り組んでおり、360度カメラを施工現場に設置し、現地調査や定期的な現場記録、住宅内の安全美化パトロールを実施する他、アプリを導入し、スマホのビデオ通話による遠隔での品質検査の実施を可能にしました。
ニ 安全な労働環境
当社グループは、労災など労働環境における事故が発生しないよう、労働安全衛生マネジメントシステムを導入しており、労働安全衛生リスクを特定・評価、及び労災の削減に取り組んでいます。
③リスク管理
当社グループにおける人的資本等サステナビリティ関連を含む事業リスクは、リスク管理委員会にて包括的に抽出・評価されています。各事業グループから報告されたリスクは、リスク管理委員会にて、経営に及ぼす影響の大きさを「発生頻度」と「損害規模」の2軸で評価され、最終的にリスク対応の方向性ごとに「①対策を講ずるもの」、「②改善対象とするもの」、「③事前の備えが必要なもの」、「④容認又は保険などで対応するもの」の4つにカテゴライズし、対策を進めています。評価・特定された人的資本関連のリスクは、サステナビリティ委員会及び組織活性化委員会に連携され、同委員会にて実践状況をモニタリングし、具体的な対応方針を審議しています。
④指標及び目標
当社グループのマテリアリティの特定及び指標については現在検討中であり、今後の開示に向けて準備をしてまいります。
(4) 知的財産
①ガバナンス
当社グループは、企業活動によって創造したアイディアや創作物等、企業の競争力の源泉となる知的財産の取組みを強化するため、知的財産委員会を設置しています。
同委員会は、知的財産担当役員が委員長を務め、業務執行取締役や各部門長(ブランディング部門、商品開発部門、企画部門、販社管理部門、総務部門、知的財産管理責任者及びその他の知的財産担当役員が任命する者)の9名で構成されています。サステナビリティ委員会やリスク管理委員会と連携の上、知的財産担当役員は四半期に1回、知的財産委員会を招集し、知的財産戦略の構築とその具体化推進など、知的財産に関する各事項について討議、決定します。決定された内容は必要に応じて、取締役社長が議長を務め、業務執行取締役、執行役員、常勤監査等委員、子会社社長で構成されている経営会議に付議し、承認されます。
なお、決定された事項は知的財産担当役員の指揮・統括の下、知的財産管理室にて、各部門に配置した知的財産担当者が出席する知的財産担当者会議に指示され、知的財産にかかわる具体的な実務として推進されます。一方で、実施された事項については、知的財産担当者会議にて報告された内容を知的財産管理室により月報及び年報が作成され、知的財産委員会へ報告されます。
②戦略
当社グループは、知的財産基本方針として「知的創造サイクル(創造⇒保護⇒活用)の永続的循環、全社的浸透による知的財産経営実現」を定めています。高付加価値となる卓越したデザインやノウハウ、独自技術といった知的財産権を保護することで、販社及び他パートナーと正当な対価で知的財産権を許諾・活用し、利益を保証することができると考えております。企業の信頼性の獲得及び競争力の源泉でもある知的財産への対応は重要であり、知的財産強化のための取組みとして様々な対策を進めています
<知的財産の創造>
当社グループビジネスの要であるBESSブランドは、当社が保有するデザイン、ノウハウ、独自技術をはじめとした個別の「創造」によって、模倣不可の「世界感」を作り上げ、それを元に永続的な「卓越性」の実現を目指しています 。研究開発を行う商品開発部では、不断の研究開発活動を通じ、BESSとしての「個性」を強く発揮させるためのデザイン(外観デザイン、空間特徴、各仕上げ仕様)の強化に取り組むとともに、次世代の担い手の育成に注力することで、継続的な知的財産の創造に努めています。
また、取締役やすべての社員(有期雇用、臨時社員、パート、アルバイト含む)による発明を奨励しており、発明の保護及び活用による企業経営の発展への寄与を目的とした職務発明取扱規程を定めるとともに、経営会議メンバーなどから構成される職務発明委員会では、取締役や社員から届けられたすべての発明の審議を行っています。審査を経て認定された発明は、企業の知的財産権として承継し、発明者に対価を支払う制度を設けています。
<知的財産の保護>
イ 権利侵害及び被侵害への対策
知的財産管理規程にて、他人から知的財産権侵害を理由とする警告や起訴提起を受けた場合及び当社所有の知的財産の侵害又はその恐れがあることを発見した場合の対応を定めており、速やかにしかるべき措置を講じる体制を構築しています。また、各部門長は、新製品の開発や既存品の改良、工程や設備変更及び新規採用、商標の選定等、知的財産管理責任者に知財診断(知的財産権で保護すべき知的創作の存否、その保護の状況及び他人の知的財産権との権利関係の存否に関する判断)を求めることを必須としています。
自社権利の保護に関しては、強靭な法務機能により、当社商品の外観デザインにおける「意匠権」を当社唯一のものとし、他住宅会社による模倣を防いでいます。
他社権利の侵害及び当社権利の侵害を含む知的財産関連諸法に関する内容は、コンプライアンスマニュアルに記載するとともに当該マニュアルを使用したコンプライアンス研修を入社時研修プログラムに組み込むことで、全社員への周知を徹底しています。
ロ 外部流出対策
知財の外部流出対策としては、アクセス制限、アクセス記録の保管、適切な秘密情報の保管・廃棄、施設のセキュリティ管理等、社員の教育・誓約書の取交し、社外との秘密保持契約等などを定め、取り組んでおります。
<知的財産の活用>
イ 地区販社との知的財産活用
当社グループでは、保有する知的財産をライセンス化し地区販社に実施行為を担わせることで、ロイヤリティを確保、地区販社による当社商品の販売から建設までの実施を可能にしており、全国的なBESSファンの創造に貢献しています。
ロ 感性マーケティングを具現化するLOGWAY戦略
BESSでは、LOGWAYクラブ会員制度を設置し、既存のBESSユーザー(LOGWAYコーチャー)と、BESSの家の購入を検討するお客様(LOGWAYクラブ会員)を繋ぎ、お客様間で暮らしの楽しさや家づくりの計画サポートを提供する仕組みを構築しています。BESSファンがBESSファンをつくる、「BESSファンづくりサイクル」は、当社独自のビジネスモデルとして特許出願をしています。
ハ 知的財産の社内活用の促進
知的財産管理室を設置し、数多くある自社の知的財産関連資料を整理したうえで社内での円滑な活用を促進しています。また、新規事業の企業化、既存事業の重要な工程変更、新製品の製造・販売、技術開発に対し、知的財産権的見地から参画・協力をし、知的財産のノウハウを活用しています。
③リスク管理
当社グループにおける知的財産を含むサステナビリティ関連のリスクは、リスク管理委員会にて事業リスクとして包括的に抽出・評価されています。各事業グループから報告されたリスクは、リスク管理委員会にて、経営に及ぼす影響の大きさを「発生頻度」と「損害規模」の2軸で評価され、最終的にリスク対応の方向性ごとに「①対策を講ずるもの」、「②改善対象とするもの」、「③事前の備えが必要なもの」、「④容認又は保険などで対応するもの」の4つにカテゴライズされます。評価・特定された知的財産関連のリスクは、知的財産管理委員会にて実践状況をモニタリングし、具体的な対応方針が討議、決議され、事務局である知的財産管理室を通して、知的財産担当者会議に対応を指示します。
④指標及び目標
当社グループのマテリアリティの特定及び指標については現在検討中であり、今後の開示に向けて準備をしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.外部環境に起因するリスク
(1)経済環境、金利動向、住宅関連税制等
当社グループの主たる顧客は一般個人であることから、雇用情勢、地価の推移、金利の動向、住宅関連税制の変更、自然災害ならびに疫病の発生・蔓延等による個人消費低下の影響を受ける可能性があります。
(2)自然災害の発生
地震や台風などの自然災害の発生により、当社の施工物件、LOGWAY設備等への直接的な被害のほか、建設材料・資材の調達先企業における被害により部資材の調達等への支障が生じた場合など、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)原材料、資材等の調達
調達先において、異常気象による被害、社会不安(テロ、戦争、伝染病等)により調達が困難になった場合や、当社の主要構造部材である木材ほか建設資材等の急激な価格高騰や為替相場の変動などの局面等で仕入価格が上昇した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)輸入取引に関するリスク
当社グループは、住宅部材の一部を北欧から直接輸入しているため、これに伴い以下のようなリスクが存在しています。
① 為替変動リスク
欧州から部資材を直接買い付けする際に、ユーロ建て決済(年間約1百万ユーロ)を行っており、為替変動による業績への影響の可能性があります。これに対して、為替予約等のリスクヘッジ策を講じているため、期中の為替変動に伴う業績への影響は比較的軽微ですが、対ユーロの円安傾向が長期化する場合や、期末の急激な為替変動が生じた場合などには、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 海上輸送に伴うリスク
欧州からの部資材の輸送を、主に海上輸送に依存しているため、テロや地域紛争、国際関係の悪化による治安、情勢不安などによる運航リスク、原油価格の高騰などによる輸送コストの上昇、コンテナ需給の逼迫による輸送遅延などのリスクがあり、これらの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)法的規制等
当社グループが行う事業は、日本国内において建築基準法、住宅品質確保促進法、建築物省エネ法その他多数の法令により、規制を受けており、その改正動向に対し適時に対応するよう努めてまいりますが、これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
① 建築基準法
当社グループの商品には、外壁に天然木を使用しているために、各地域の防火規制により建設可能地域が限定されているものがあります。これまでの技術開発により、BESS商品ラインナップ7シリーズ及びCLT構造材について、既に準防火地域での建設が可能になっておりますが、今後の規制の動向によって影響を受ける可能性があります。
② 住宅品質確保促進法
住宅品質確保促進法により、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵に対する補修等が10年間義務付けられていますが、当社は独自の「BESS安心総合保証制度」を設け、住宅瑕疵担保責任保険法人を通して、5年ごとに定期点検及び必要な修補、保証更新の手続きを行うことで、最大60年間の瑕疵保証を供与しています。そのため、同業他社に比してその度合いは相当に低減されるものの、当社グループの引渡件数の増加に伴ってクレーム件数や保証工事が増加した場合、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、顧客に引渡した商品に重大な瑕疵があるとされた場合には、それが当社グループの責によるか否かを問わず、また、実際の瑕疵の有無によらず、当社グループの評判が低下し、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 建築物省エネ法
建築物省エネ法の改正により2025年4月から全ての新築住宅及び非住宅に省エネ基準適合が義務付けられる事となりました。これに伴い当社の商品についても本基準に合わせた商品の改良が必要となります。ログハウスについては、本基準適合の方法について現状は検討段階でありますが、丸太組という構法上からも外壁に断熱材を用いていないため、デザイン・価格・取り扱える地域等に影響が出る可能性があります。
④ 営業登録等
当社グループは、住宅及び非住宅の建築事業を営むに際し、建築士法に基づく建築士事務所登録、建設業法に基づく建設業許可及び宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業免許を取得し、各法令の規定に基づいて業務を遂行しており、それぞれの登録等において届出が必要な資格を有する者は当社内に複数在籍しております。当社グループでは、これらの登録等の諸条件や各法令の遵守に努めており、現状においては、これらの登録等が取消しとなる事由は認識しておりません。しかしながら、万一法令違反等によって登録等が取消された場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
2.当社グループ事業独自のリスク
(1)BESS事業への依存
当社グループは、ブランド名称「BESS」を使用し、ログハウスに代表される自然材(無垢材)を多用した住宅の販売及び施工事業(BESS事業)を展開しております。現在、当社グループにおいては、BESS事業に経営資源のほとんどを投入しており、BESS事業に依存しております。BESS事業は、「こころを遊ばせる暮らしを求めるユーザー」に対して、その道具としてふさわしい「自然派個性住宅」を商品として提供するビジネスです。当社グループといたしましては、その事業コンセプトは流行に左右されない普遍性があると考えており、今後も主力事業として販売等の拡大を図っていく方針であります。しかしながら、一般住宅との競合や市場環境の急激な変化等、不測の事態が生じ、販売拡大に支障を来たした場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)地区販社への依存
当社グループの主要な事業セグメントである販社部門では、フランチャイズ契約に基づき全国に20社、30拠点(連結子会社3社の9拠点を含む。)の地区販社を展開しております。その当社グループ連結売上高に占める割合は28.2%(2024年3月期)となっており、今後も全国に地区販社の営業拠点を増やす計画であります。このような状況において、以下のようなリスクが存在しております。
① 地区販社の経営リスク
地区販社に対しては、マーケティング活動に主眼を置いた顧客創造のためのフランチャイズシステムを導
入し、BESS営業システムに基づくきめ細かな指導育成を行っているほか、ブランド価値を共有するファンづ
くりパートナー関係の強化に取り組んでいます。しかしながら、地域経済の動向、自然災害、新型コロ
ナウイルス等の感染症拡大、BESS以外の事業等に起因する経営不振など、様々な要因で地区販社がBE
SS事業を継続することが困難な状況に陥った場合、当社グループの売上減少等の影響に加えて、債権の貸
倒れ発生やブランドイメージの低下を招くなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性が
あります。
② 地区販社に対するLOGWAY設備の一括譲渡
地区販社に対する本部支援策の一環として、新規のBESS LOGWAYを出店する際に、新拠点の設計からモデルハウスの建設及び演出設定までを行ったうえ一括で地区販社へ譲渡し、展示場パッケージ売買契約に基づき分割で代金回収を行う支援策を、一部の地区販社に対し実施しております。この施策は、本部の考えるブランド要件を満たしたBESS LOGWAYを新設、運営する地区販社側の財務負担軽減が目的であります。しかしながら、当該新拠点の運営成績が目論み通り進捗しなかった場合、又は運営する地区販社の業績悪化等により経営不振に陥った場合、当該代金の回収遅延や貸倒れの発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)ブランドイメージの低下
当社グループの重要な販売網である地区販社は、当社と共通の「BESS」ブランドを使用しております。これらの地区販社における不正なブランド使用(顧客の流用、無断での広告使用など)、不祥事の発生などにより、BESS事業のブランドイメージの低下を通じて、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)設計及び施工不良によるリスク
当社グループは、ログハウス等の工事を請負っておりますが、その設計及び施工に関し、外注先を含め、仕様書や業務フロー、定例会議や各施工現場の一般公開等を通じて、品質管理の徹底を図っておりますが、ルールの不徹底などにより設計や施工不良が発生し重大なクレーム等が発生した場合には、当社グループの評判が低下し、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)労働環境及び労働災害リスク
当社グループにおいては、労働環境の適正化について、勤怠管理や健康管理等に係る体制を整備し対応しておりますが、不適切な管理等により、過重労働やハラスメント等が発生した場合、法律違反による社会的信用の失墜や損害賠償請求等の発生リスクが生じます。また、建築工事等に係る外注先を含む労働災害についても、安全ルール等を設けて指導体制を敷いているものの、重大な事故災害が発生した場合は、信用の失墜や被災者への補償、工事遅延による損害金の発生などにより、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)情報漏洩
当社グループ及び地区販社では、LOGWAYの来場客等についての個人情報を保有しており、また、BESS運営に係るノウハウ等を共有している状況にあります。当該管理には、十分な注意を払い適切な対策を講じるとともに、今後、情報管理のセキュリティ機能強化等により一層の管理強化を図る方針ですが、これらの情報が何らかの事由により外部に漏洩した場合、当社グループの信用低下など、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
3.その他全般
継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、複数の金融機関との間で締結したシンジケーション方式による金銭消費貸借契約における一定の財務制限条項に抵触しておりましたが、2023年3月30日付の代官山資産の売却に係る不動産売買契約に基づく売却代金等の精算が行われたことにより2023年4月25日をもって財務制限条項に抵触していた借入金全額を返済し、先の財務制限条項の抵触は解消されました。
また代官山資産譲渡による当期純利益の計上により純資産が回復しております。さらに「第2「事業の状況」1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の対策を講じる事により営業損失も早期に解消していきます。
以上から、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、為替相場における円安や原材料価格などの高騰により、物価高が進行するなか、コロナ禍からの社会活動の正常化とともに、インバウンド需要を中心とした緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界経済においては、インフレ圧力による金融引締めや中国経済の先行き懸念及び中東情勢などによる景気の下振れが国内景気の下押しリスクとなっています。さらに、相次ぐ自然災害の経済への影響にも留意する必要があります。住宅市場においては、コロナ後の消費行動の変化や価格上昇により、住宅着工は弱含みの状況にあり、厳しい状況が継続しております。
このような事業環境の下、当社グループでは、BESS事業において原点回帰を掲げ、LOGWAY等での感動を起点としたファンづくりをベースとする農耕型営業を推進するとともに、集客強化策としてSNS(YouTube、Instagram等)での発信の強化や新商品の開発等を進めてまいりました。また2024年年初より、「BESS復活の狼煙、オアシス」をスローガンに、市場(集客)・商品・売り方の3要素をそれぞれ強化する施策を講じて業績の向上に向け取り組んでおります。
先行指標となる新規来場数は、全国LOGWAYでの集客イベントを再開するとともに、新商品発売に合わせたオウンドメディア等のプロモーションを実施し、SNSやYouTube等の宣伝活動を強化した結果、前期実績を大きく上回る15.7千件(前年同期比16.5%増)まで持ち直しました。受注棟数も、438棟(前年同期比27.7%増)と回復し、連結子会社BESSパートナーズ(以下「BP社」という。)を含む連結受注高は、契約単価が相対的に小さい地区販社の構成比率増と特建(BtoB)事業の伸び悩みから前年同期比0.2%増の10,043百万円となり、連結受注残高は、売上げが堅調に推移したため前年同期比18.4%減の7,062百万円となりました。
以上の結果、受注回復の遅れ及び積極的な費用投下の影響もあり、当連結会計年度の売上高は、前期比12.9%減の12,142百万円となり、利益面においても、営業損失は496百万円(前年同期は881百万円の損失)となりました。経常損失は504百万円(前年同期は886百万円の損失)となりましたが、不動産売却に伴い親会社株主に帰属する当期純利益は2,121百万円(前年同期は1,338百万円の損失)を計上しました。
(営業活動の状況)
① 商品面の取り組み
・新商品の「三角WONEDR 間貫けのハコ」を2023年10月21日に販売開始しました。これは、“つながりの暮らし”をコンセプトに、象徴として大きな縁側を配して、内装には国産杉をふんだんに使用し、外観はアルマジロをモチーフにシンプルで愛嬌のあるかたちをした商品です。それと同時に、BESSホームページにおいて本商品の紹介に新表現方法を用いるなど、オウンドメディアによるブランドプロモーションを新たにスタートさせました。2023年12月には、BESS熊谷にてモデルハウス第1号がオープン、2024年3月にBESS岐阜において2棟目がオープンしました。さらにLOGWAY外の住宅地に、将来的な建売販売を意図した期間限定のモデルハウスである「サテライト」を全国で展開中です。2024年1月には、大きさの違う2タイプを開発し、追加販売を開始しました。
・「栖(すみか)ログ」の魅力向上に向け、顧客からの反響を踏まえ、新たな空間提案で顧客の想像力を引き出し、遊び心を広げるプランやアイテムを追加しました。
・「梺ぐらし」に関連し、長野県小諸市と移住定住促進を軸とした連携協定を締結しました。なお、小諸市にて宅地販売しておりました「小諸 梅の坂下 FuMoTo」は全20区画を完売しました。
② 営業面の取り組み
・BESS事業の強みである感性マーケティングの原点に立ち返り、LOGWAY等での感動を起点とするファンづくりを丁寧に進め、また営業力の底上げを図るため、コロナ禍以降、数年ぶりとなる全国の営業担当者及び営業リーダーを集めて営業研修等を実施しました。
・特建(BtoB)事業において、北海道厚沢部町にて「栖ログ」をベースとした保育園留学向けの寮施設を株式会社キッチハイクと共同プロデュースすることとなりました。また、日本初となる防火地域での3階建てCLT(直交集成材)ログハウスを東京都福生市で竣工しました。「木材現わし」であるログハウスは、法律上、防火地域では2階までの建築のみとなっていましたが、2023年2月に「90分準耐火構造認定」を取得することで、今回の建築が実現しました。SDGs/脱炭素など環境意識の高まりや2019年建築基準法の一部改正に「木造建築の促進」が盛り込まれたことも背景に、今後は、個人住宅、共同住宅、低層ビル、商業施設も対象にした営業活動を進めていきます。
・新たな事業として、2024年4月より、BESS住宅の中古仲介事業及びそれに伴うリフォーム・メンテナンス事業を手掛ける歳時住宅事業をスタートさせました。
(業績先行指標の状況)
先行指標となる全国LOGWAYへの新規来場者数は前年同期比116.5%、連結契約(受注)棟数は
同127.7%(343→438棟)とそれぞれ伸長しました。連結契約(受注)高においては、直販部門に比べ契約単価の低い地区販社向けの構成比増と特建(BtoB)事業の伸び悩みから10,043百万円(前年同期比0.2%増)となり、当期販売高が堅調に推移したことから、期末契約(受注)残高は7,062百万円と前年度末比18.4%減少しました。
LOGWAY展開については、経営基盤強化策の一環となるBP社におけるBESS千秋の閉鎖及びBESS水戸のBESSつくばとの統合、販社契約解約によるBESS三重の閉鎖、BESS盛岡の閉鎖及びBESS駒ヶ根の一時休止から、現在の稼働拠点数は直営拠点を含めて33拠点となりました。
営業体制は、BESS事業全体(販社含む)の専任営業員数(BESS専任の営業として在籍する営業員数)は、94名と前期末より16名減少いたしました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(連結経営成績に関する分析)
当社グループの当連結会計年度における連結売上高は、前半期での受注不足から、前年同期比12.9%減の12,142百万円となりました。営業利益については、木材価格の落ち着きや商品価格改定に伴い売上総利益率が大幅に回復し、さらに人件費など販管費抑制効果があったものの、広告宣伝費等の戦略的投下もあって減収をカバーするには至らず、496百万円の損失(前年同期は881百万円の損失)となりました。経常利益は504百万円の損失(同886百万円の損失)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、代官山資産の売却益が大きく寄与して2,121百万円(同1,338百万円の損失)となりました。
(連結財政状態に関する分析)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末比で3,311百万円減少の7,884百万円、負債は同5,398百万円減少の4,915百万円、純資産は同2,087百万円増加の2,969百万円となりました。それぞれの主な増減要因につきましては、次の通りであります。
総資産につきましては、「現金及び預金」が前連結会計年度末比で886百万円増加した一方、「仕掛販売不動産」が同337百万円、固定資産の減損実行及び代官山資産売却を主因に「有形固定資産」が同2,945百万円減少したこと等によります。
負債につきましては、「未払法人税等」が前連結会計年度末比で731百万円増加した一方で、代官山資産売却による返済から「短期借入金」が同2,894百万円、「一年以内返済予定長期借入金」が同1,414百万円、「長期借入金」が同126百万円減少したこと等によります。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益2,121百万円を計上したこと等によります。
その結果、自己資本比率は37.7%となりました。
(個別業績の概要)
当事業年度における売上高は、前半期の受注(契約)不足が影響し、前年同期比12.0%減の9,557百万円となりました。また、利益面においては、上記連結経営成績に記載の状況と同様に、営業損失610百万円(前年同期は1,052百万円の損失)、経常損失606百万円(同1,055百万円の損失)となりました。当期純利益は、連結経営成績と同様に、代官山資産の売却益が大きく寄与して2,047百万円(同1,382百万円の損失)となりました。
(報告セグメントの業績概要)
当社グループの単一事業であるBESS事業は、暮らしのブランド『BESS』の下、『「住む」より「楽しむ」』をスローガンに、個性的で楽しい暮らし方のデザインにまで踏み込んで開発した企画型住宅(=ログハウス等の自然派個性住宅)の提供を行っております。住宅引渡時点での顧客満足以上に、暮らしをスタートしてからの「“ユーザー・ハピネス”の実現」を使命としています。
その業績概要については、以下の3つの報告セグメントに区分されます。
イ 直販部門
連結売上高の34.7%(外部顧客売上高ベース)を占める直販部門は、東京都・代官山の「BESS MAGMA」、東京都・昭島の「BESS多摩」及び神奈川県の「BESS藤沢」の直営3拠点で、東京・神奈川圏を中心とする顧客との直接の工事元請契約によるBESS企画型住宅等の提供を主要事業としております。なお、「BESS MAGMA」は、経営基盤強化策の一環として売却しましたが、2025年4月まで引き続きBESSブランドの発信拠点として営業いたします。
当連結会計年度の業績は、セグメント売上高は4,244百万円(前年同期比12.9%減)となったものの、売上同利益率の改善によりセグメント利益は335百万円(同0.9%増)となりました。
業績の先行指標となる受注状況は、受注済(住宅)物件のキャンセルが生じたことや、特建(BtoB)事業の不振が響き、セグメント契約高は3,090百万円(同14.9%減)となりました。
ロ 販社部門
連結売上高の28.2%を占める販社部門は、全国20社の地区販社のLOGWAY30拠点に対して、BESSブランドと販売システム等を提供するとともに、BESS企画型住宅の部材キット等を供給する事業を行っております。
当連結会計年度の業績は、セグメント売上高5,317百万円(前年同期比11.2%減)、セグメント利益87百万円(同294百万円増)となりました。
また、セグメント契約高は4,341百万円(同14.4%増)となりました。
ハ BP社
連結売上高の37.1%を占めるBP社は、熊谷(埼玉県)、つくば(茨城県)、富士、浜松(静岡県)、東愛知(愛知県)、糸島(福岡県)、熊本(熊本県)及びその連結子会社である株式会社BESS札幌が担う札幌(北海道)、同じく株式会社BESS岐阜が担う岐阜(岐阜県)による合計9箇所のLOGWAYを営業拠点として、顧客との直接の工事元請契約によるBESS企画型住宅等の提供を主要事業としております。なお、BESS水戸(茨城県)におきましては、2023年10月、経営基盤強化策の一環として、BESSつくばと統合し、既存ユーザーへのメンテナンス事業も継続して行っています。
当連結会計年度の業績は、セグメント売上高は4,633百万円(前年同期比11.9%減)となり、セグメント損失は195百万円(前年同期は112百万円の損失)となりました。
また、セグメント契約(受注)高は4,131百万円(同8.2%増)となりました。
②受注及び販売の実績
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:百万円)
|
セグメント 区分 |
品目名称 |
前連結会計年度繰越高 |
当連結会計年度契約高 |
計 |
当連結会計年度売上高 |
次期繰越高 |
当連結会計年度施工高 |
|
|
契約残高 |
うち施工高 |
|||||||
|
直販部門 |
ログハウス等 部材キット販売 |
171 |
406 |
578 |
467 |
110 |
- |
- |
|
ログハウス等工事 |
4,425 |
3,203 |
7,629 |
4,194 |
3,434 |
183 |
4,276 |
|
|
その他 |
0 |
22 |
23 |
209 |
0 |
- |
- |
|
|
(小計) |
4,597 |
3,633 |
8,230 |
4,870 |
3,546 |
183 |
4,276 |
|
|
販社部門 |
ログハウス等 部材キット販売 |
2,570 |
2,768 |
5,339 |
3,793 |
1,546 |
- |
- |
|
その他 |
- |
- |
- |
277 |
- |
- |
- |
|
|
(小計) |
2,570 |
2,768 |
5,339 |
4,070 |
1,546 |
- |
- |
|
|
BP社 |
ログハウス等 部材キット販売 |
15 |
28 |
44 |
41 |
2 |
- |
- |
|
ログハウス等工事 |
4,956 |
3,589 |
8,545 |
4,981 |
3,564 |
32 |
4,982 |
|
|
その他 |
- |
- |
- |
△24 |
- |
- |
- |
|
|
(小計) |
4,971 |
3,618 |
8,589 |
4,998 |
3,567 |
32 |
4,982 |
|
|
合計 |
|
12,139 |
10,020 |
22,159 |
13,940 |
8,659 |
216 |
9,259 |
(注)1 前連結会計年度以前に契約したもので、契約の更改等により金額に変更のあるものについては、当期契約高に含めております。
2 次期繰越高のうち施工高については、未成工事支出金により手持工事の施工高を推定したものであります。
3 「ログハウス等工事」の施工高は(売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。
4 各部門の「その他」(販促物販売収入等)は、契約高の繰越管理を行っておりませんので、「前期繰越高」「当期契約高」及び「次期繰越高」の欄の記載は行っておりません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:百万円)
|
セグメント 区分 |
品目名称 |
前連結会計年度繰越高 |
当連結会計年度契約高 |
計 |
当連結会計年度売上高 |
次期繰越高 |
当連結会計年度施工高 |
|
|
契約残高 |
うち施工高 |
|||||||
|
直販部門 |
ログハウス等 部材キット販売 |
110 |
238 |
349 |
311 |
38 |
- |
- |
|
ログハウス等工事 |
3,434 |
2,833 |
6,268 |
3,714 |
2,553 |
76 |
3,607 |
|
|
その他 |
0 |
18 |
19 |
183 |
- |
- |
- |
|
|
(小計) |
3,546 |
3,090 |
6,637 |
4,209 |
2,591 |
76 |
3,607 |
|
|
販社部門 |
ログハウス等 部材キット販売 |
1,546 |
2,946 |
4,492 |
3,088 |
1,404 |
- |
- |
|
その他 |
- |
- |
- |
332 |
- |
- |
- |
|
|
(小計) |
1,546 |
2,946 |
4,492 |
3,421 |
1,404 |
- |
- |
|
|
BP社 |
ログハウス等 部材キット販売 |
2 |
102 |
105 |
102 |
2 |
- |
- |
|
ログハウス等工事 |
3,564 |
3,903 |
7,467 |
4,403 |
3,063 |
13 |
4,384 |
|
|
その他 |
- |
- |
- |
5 |
- |
- |
- |
|
|
(小計) |
3,567 |
4,005 |
7,573 |
4,511 |
3,066 |
13 |
4,384 |
|
|
合計 |
|
8,659 |
10,043 |
18,703 |
12,142 |
7,062 |
89 |
7,991 |
(注)1 前連結会計年度以前に契約したもので、契約の更改等により金額に変更のあるものについては、当期契約高に含めております。
2 次期繰越高のうち施工高については、未成工事支出金により手持工事の施工高を推定したものであります。
3 「ログハウス等工事」の施工高は(売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。
4 各部門の「その他」(販促物販売収入等)は、契約高の繰越管理を行っておりませんので、「前期繰越高」「当期契約高」及び「次期繰越高」の欄の記載は行っておりません。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,086百万円となり、前連結会計年度末3,199百万円に対し886百万円の増加となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により269百万円の資金減少(前年同期は539百万円の減少)となりました。
これは、有形固定資産売却損益4,163百万円の利益(同2百万円の利益)、仕入債務の減少額437百万円(同718百万円の減少)、前受金及び未成工事受入金の減少額426百万円(同148百万円の増加)等による減少要因が、税金等調整前当期純利益3,419百万円(同1,761百万円の損失)、棚卸資産の減少額654百万円(同162百万円の減少)、貸倒引当金の増加額81百万円(同113百万円の増加)等による資金増加要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により増加した資金は5,657百万円(前年同期は359百万円の増加)となりました。
これは主に、有形固定資産売却による収入5,894百万円(前年同期は595百万円)等による増加要因が、有形固定資産取得による支出160百万円(同104百万円)等による減少要因を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は4,537百万円の減少(前年同期は239百万円の増加)となりました。これは、短期借入金2,894百万円の減少(同1,094百万円の増加)、長期借入金1,541百万円の返済(同846百万円の返済)等によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金の主要な需要は営業費用であります。具体的には、ログハウス等部材キットに係る部材等の調達費、施工に要する外注費等の「売上原価」と、人件費、広告宣伝販促費、研究開発費等の「販売費及び一般管理費」であります。
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金のほか金融機関からの借入により資金調達することとしておりますが、2023年3月30日付の代官山資産の売却に係る不動産売買契約に基づく売却代金により、2023年4月25日をもって借入金の大半を占める4,291百万円を返済しており、当連結会計年度末における金融機関からの借入残高は、返済期限により、長短合わせて764百万円が残る状況です。従って、当面の運転資金及び新規の設備資金に係る資金繰りについては、主に内部資金によるものとなります。
資金の流動性につきましては、顧客契約から売上計上及び代金の回収までのサイクルが長い(直販部門では元請工事の一般的な工期が約1年)ことなどを勘案して、借入金による調達実行の活用を含め、常に不測の事態に備えて厚めの残高(月商の3ヵ月を目安)を維持するよう努めております。
(財務政策)
当社は、株主の皆様に当社株式を長期的に保有いただくために、連結純資産配当率(DOE)を重視した「長期的な視点での安定的配当」を利益還元の柱とするとともに、将来の事業成長と経営体質の強化のために 必要な内部留保の確保にも配慮していくことを基本方針としております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産、負債の報告数値、並びに報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行う必要があります。当社の経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び過程を過去の実績や状況に応じ、合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。これらの見積りと実際の結果が異なった際は、当社グループの連結財務諸表及びセグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、重要な会計上の見積りに係る計上基準については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4 会計方針に関する事項(3)重要な引当金の計上基準」に記載の通りであります。
<BESS販社基本契約>
当社は、効率的な事業の全国展開を図ることを基本方針として、フランチャイズ形態のBESS販社基本契約を締結しております。
契約の要旨は次の通りであります。
|
契約内容 |
<当社の業務> |
|
|
① BESSブランドの統括、方針、及び戦略の策定 ② 商品の開発、関連商品の開発、及びそれらの標準価格の設定 ③ 部材キットの供給 ④ 全国宣伝、広報の実施 ⑤ 販売促進、営業、受注におけるノウハウの提供 ⑥ 商品施工における技術ノウハウの提供 ⑦ 事業運営ノウハウの提供 ⑧ BESS街区事業のノウハウの提供、推進支援 ⑨ 顧客情報の管理 ⑩ BESS商品の物件に関する情報の管理 |
|
|
<販社の業務> |
|
|
① エリア宣伝、広報の実施 ② 顧客の開拓 ③ 開拓した顧客情報の提供 ④ 物件企画、設計 ⑤ 設計監理、施工、メンテナンス ⑥ BESS街区事業等の不動産事業 |
|
契約品目 |
当社の開発したBESS商品及び当社の選定した関連商品 |
|
ロイヤリティー |
顧客との個別契約に基づく一定料率 |
|
契約期間 |
1年間。協議のうえ更に1年間更新。(以降も同様) |
|
販社契約先 |
株式会社BESSパートナーズ、株式会社BESS札幌、株式会社BESS岐阜、 株式会社BESS京神、株式会社BESS信州、株式会社BESS福岡、 株式会社BESS髙勝、株式会社BESS愛知、株式会社BESS群馬、 株式会社BESS廣岡、株式会社BESS-L、橋本建設株式会社、 長電建設株式会社、株式会社アービスホーム、安田建設株式会社、 谷口建設興業株式会社、株式会社エスケー住建、株式会社日本中央住販、 epm不動産株式会社、株式会社imayama (2024年3月31日現在、20社) |
当社グループは、主としてログハウス等の部材キット製造及び販売等のサービスを提供しており、商品の開発にかかるコンセプト、デザイン企画並びに研究開発を商品開発部にて行っております。
当連結会計年度の研究開発活動におきましては、商品開発のスタンスとして「マーケット創造のために商品力を高める」を掲げ、BESSの特徴である異端性や独自性を発揮することを前提とした取り組みから、“感動で潜在BESSファンを呼び起こす”様な商品群の開発に注力しました。また「ログハウス」と「エポックス」の2つのカテゴリーで計7つの商品シリーズを展開し、それぞれの個性を強めて区別化を進めてまいりました。
新商品の開発におきましては、新モデルを開発し市場拡大を目指すとともに、継続モデルにおいても付加価値を高める新仕様を取り入れております。研究開発においては、当社住宅性能の基本方針である「丈夫で長もち」、「健康で快適」、「環境への配慮」を実現し、高次元にバランスすべく技術の開発を進めております。
当連結会計年度の主な活動は次の通りであり、研究開発費の総額は
・暮らすログ小屋「栖(すみか)ログ」の魅力向上
2022年の発売から1年以上を経過した栖ログについて、顧客からの反響を踏まえ、新たな空間提案で顧客の想像力を引き出しまた遊び心を広げるプランやアイテムを追加しました。
・「三角WONDER 間貫けのハコ」の開発
潜在BESSファンの感性を刺激するとともに、原価を躯体から見直し、マーケットプライスを実現できる新商品として開発しました。本商品は、日本家屋にある縁側を配し、室内には国産杉をふんだんに使用した内装とし、外観はアルマジロをモチーフとしたシンプルで愛嬌のあるデザインとなっており、2023年10月21日に販売開始しました。これに続き、2024年1月には大きさの違う2タイプを開発し、追加販売を開始しております。
・ワンダーデバイス商品(四角ワンダー)のリニューアル
BESS商品の柱となる従来のワンダーデバイス商品について、価格面の見直しや用地対応力及びアレンジ対応力を強化するなど、リニューアルしました。従来から標榜している「住人が主役になる家」としての魅力を再訴求し、顧客に選ばれる商品としていきます。