第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループの理想は「福祉社会の創造」です。地域社会とのコミュニケーションを通じ、ホスピタリティ(厚遇)の創造を追求し、住み良い環境、福祉社会の実現に貢献してまいります。

また、当社グループの目的は「生き甲斐の創造」です。「人のケア」「家族のケア」「街のケア」のトリプルケアを通し、お客様の生き甲斐を創造してまいります。そのために、当社グループは、「お客様第一主義」を徹底し、全社員が“お客様から片時も目を離さないこと”を念頭に安心と満足と喜びという信頼を、サービスと商品で提供してまいります。この「お客様第一主義」を推進することにより、当社グループの安定成長につながるものと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、継続的な成長及び株主価値の最大化を目標としており、売上高成長率6~7%(2022年3月期:6.5%)、売上高営業利益率6~7%(同5.9%)の達成、維持に努めてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループにおきましては、介護保険制度の変化に対応していくとともに、中重度・医療的ニーズの高いお客様への対応を重要課題として、「これまでも、これからも、ずっと在宅」をスローガンとして掲げ、お客様が住み慣れた地域で生活し続けることを可能にするソリューションを提供してまいります。

介護保険制度においては、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを継続できるよう、医療、介護等のサービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される体制である「地域包括ケアシステム」が推進されております。

当社グループは、成長戦略として訪問看護、看護小規模多機能型居宅介護、小規模多機能型居宅介護を重点投資サービスと定め、積極展開を進めております。

 

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これらのサービスを中心に、様々な関係者との連携を強化した多機能型拠点のモデル構築を推進し、地域介護の担い手として、求められる多様なニーズへ対応できるサービス提供体制を整備してまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、当社グループは感染症予防及び拡大防止対策を実施し、安全を確保した上で可能な限りサービス運営を継続してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上の課題

①地域包括ケアシステムの構築・推進

わが国では、今後も高齢者人口の増加が見込まれるなか、要介護状態となっても住み慣れた地域で生活が続けられるよう、「住まい」・「医療」・「介護」・「予防」・「生活支援」のサービスを一体的に提供できる体制(地域包括ケアシステム)を構築する取り組みが進んでおります。

そのなかでは、介護・医療などそれぞれが単独でサービスを行うだけではなく、地域における各機関が連携することによって、お客様を中心とした「点から面」によるサービス提供体制が求められております。

当社グループといたしましては、それぞれの地域で最も必要とされる存在となることを目指して「コミュニティNo.1拠点」の展開を推進しており、2022年3月末時点で16箇所の整備が進んでおります。

コミュニティNo.1拠点においては、「看護小規模多機能型居宅介護又は小規模多機能型居宅介護」と「訪問介護」、「訪問看護」の3サービスをユニット化し、活動の中心的な役割を担うソーシャルコミュニティリーダーを配置します。ソーシャルコミュニティリーダーは介護の課題解決に向けて、同業他社も含めた各機関との連携を深め、地域の特性に応じたサービス提供を進めてまいります。

この連携の促進によって生まれるお客様のサービス需要に対応していくことで、高品質・高収益の事業モデルを目指すとともに、住み慣れた地域で、安心して自分らしい生活を続けられるよう、地域全体で要介護者の生活を支える地域包括ケアシステムの実現に取り組んでまいります。

 

   コミュニティNo.1拠点イメージ

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②人材の確保の取り組み

介護サービス業界では、サービスの運営基準上必要となる有資格者(看護師・介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護福祉士等)が必要不可欠であるものの、慢性的に人材が不足しております。さらに当社におけるコミュニティNo.1拠点の構築を目指す上では、その中核となるソーシャルコミュニティリーダーの育成も必要となってまいります。また、感染症の流行下においても、サービス提供の維持が求められており、重要な社会インフラを担う事業者としても人材の確保は課題となっております。

当社グループといたしましては、2022年2月より交付された「介護職員処遇改善支援補助金」の活用をはじめ、継続的な待遇改善を実施するなど、スタッフが誇りをもって活き活きと働ける職場環境の整備に取り組んでおります。

また、質の高いサービスを提供する専門性の高い介護事業者を目指し、知識・技術向上をサポートするためにWebによる研修体制を充実させ、スタッフがより柔軟に学べる環境づくりを推進しております。

介護スタッフのキャリアアップの取り組みとしては、スタッフが多様な活躍ができるように、営業所やエリアのマネジメントを担う管理職、サービス現場のスペシャリストのほか、次世代の育成者としてインストラクターといった複数のキャリアパスを用意しており、これらの取り組みによって、魅力的で選ばれる企業グループを目指し、人材を確保してまいります。

 

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③収益基盤の強化について

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、当社グループでもサービス提供を休止するなど、業績への影響が生じております。当社グループでは、このような環境や社会情勢の変化に際しても、お客様や地域のニーズに柔軟に対応し、事業を継続・成長させるためには、収益基盤の強化が必要と考えております。

当社グループといたしましては、既存営業所エリアに新規開設することで、複合的なサービス提供体制が整備され、その相乗効果による事業規模拡大の成長戦略を描いております。新規開設においては、開設前の効果的な営業活動や日々の稼働状況の適切な把握など、これまで蓄積してきたノウハウを活用することで、早期黒字化につなげてまいります。

既存営業所においては、2021年の介護報酬改定により新たに創設された「科学的介護推進体制加算」も含め、介護保険法の定める加算取得を積極的に進めていくことで成長を促進させるほか、ICTの活用などによる業務の効率化により収益基盤を確保してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)介護保険制度について

当社グループの主要な事業であります介護サービス事業のうち、介護保険法上の訪問介護、訪問入浴介護、居宅介護支援、訪問看護、福祉用具貸与・販売、通所介護(デイサービス)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム)、短期入所生活介護(ショートステイ)、看護小規模多機能型居宅介護等のサービスが、当社グループの連結売上高の大部分を占めるため、当社グループの事業は介護保険法の影響を強く受けることとなり、次のようなリスクがあります。

①  法的規制について

介護保険法に基づく介護サービスを行うには、事業所としての指定を都道府県知事等から受ける必要があります。指定を受けた事業所は、サービス毎に定められた事業の人員、設備及び運営に関する基準、並びに労働法規(労働基準法及び最低賃金法等)を遵守する必要があります。この基準及び労働法規を遵守することができなかった場合やサービス費を不正に請求した場合などにおいては、指定の取消又は停止処分を受ける可能性があります。

また、事業所の指定取消処分がなされ、その理由となった不正行為に対して事業者(法人)の組織的関与が認められた場合、当該事業者及びそのグループ会社(当該事業者の親会社、子会社、兄弟会社)は、同一のサービス類型の他事業所について新規指定や更新を受けることができないものとされております(連座制)。なお、指定事業所としての指定は6年ごとに更新を受けなければ効力を失うものとされております。

当社グループでは、介護サービスを提供する子会社各社において、選任された法令遵守責任者を中心とした業務管理体制の中で事業所の運営体制を常時指導・監督するとともに、当社品質管理部を中心として、各種マニュアルの整備及び研修を充実させることで管理体制の強化や教育の徹底を行い、適切な事業経営に努めております。また、当社人事部を中心として、研修・指導を実施することで各事業所における労働法規の遵守に努めております。

なお、当該リスクが顕現する可能性については、近年において軽微な指導や自主的な過誤調整などが発生しているものの、指定の取消又は停止処分を受ける事案は発生しておりません。しかし万一、一部の事業所において指定の取消又は停止処分を受けた場合には、当該事業所の収益を失う可能性があります。さらに、連座制が適用された場合には、当該子会社及びグループ各社における当該サービス類型の事業所の新規指定及び更新を受けられず、計画している収益を達成できない可能性があります。

②  介護保険制度の改正について

介護保険法については、定期的に法律全般に関する検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等が行われるとともに、概ね3年に1度介護報酬の改定が行われることとされております。2021年4月に行われた介護報酬改定では、全体として0.70%のプラス改定となっており、引き続き給付の適正化が行われる一方で、介護サービス事業者として感染症等への対応力強化やICT化の促進が求められるなど、メリハリある改定内容となっております。

介護サービスに係る単位数、地域区分による一単位の単価及び一人当たりの支給限度額等については、介護保険法及びその他の省令により定められているため、その変更等は当社グループの収益性に影響を与える可能性があります。さらに、高齢化の進展に伴い年金・医療・介護等の社会保障財政上の課題が生じ、お客様や介護サービス事業者にとって不利となるような制度の見直しが行われた場合には、お客様数や売上単価の減少によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループでは、多様なサービスアイテムを揃えることで地域性やお客様ニーズの変化に対応していく方針のもと、引き続き制度改正に対して広く情報収集に努め、柔軟に対応してまいります。

 

(2)有資格者の確保について

当社グループがお客様に提供するほとんどの介護サービスについては、看護師・介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護福祉士・実務者研修修了者等の有資格者によるサービスが義務付けられております。

当社グループでは、給与や待遇の改善により労働環境の改善を図り、有資格者の採用を強化すると同時に、実務経験に応じた段階的な技術向上を図り資格の取得を推奨するなど、有資格者の確保に努めております。

しかし、いずれの職種においても同業他社及び医療機関等と雇用関係で継続的に競合しているため、今後有資格者の確保が思うように進まない場合、当社グループの事業の維持、拡大に影響を与える可能性があります。

(3)安全管理及び健康管理について

当社グループの提供する介護サービス事業のお客様は主に要介護認定を受けた高齢者を対象としており、お客様の転倒事故の発生や状態急変といった体調悪化の危険が高いものと考えられます。また、新型コロナウイルス等の感染症等がお客様やスタッフにおいて生じた場合には、状況に応じて当社グループの判断や自治体からの要請によりサービスの縮小や休止となる状況が生じるおそれがあります。

当社グループは、介護サービス手順のマニュアルによる標準化や社内研修の充実により、事故の発生防止や感染症の感染・拡大の防止、お客様の状態急変等の緊急時対策について積極的に取り組んでおり、緊急時には当社において対策本部を立ち上げ、グループの状況を把握・指示できる体制をとっております。しかし万一、サービス提供時に重大な事故等が発生し、又は感染症が拡大し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

(4)災害等発生時の対応について

グループホームや有料老人ホーム等の介護施設において地震・洪水等の災害や火災が発生した場合、入居されているお客様は主に要介護認定を受けた高齢者であるため、避難が困難となる危険性を有しております。

当社グループでは、お客様が宿泊される全ての施設においてスプリンクラーを設置しております。また、防災マニュアルを作成し周知徹底するほか、防火管理者等を選任し避難訓練や防火訓練を実施する等火災の予防や被害発生の最小化に努めております。2021年4月の介護報酬改定では、2024年3月31日までに各事業所における「感染症や自然災害発生時の事業継続計画」の策定が義務付けられており、当社グループでは2023年3月期中に計画を策定し、自然災害が発生した場合においても、必要なサービスが継続的に提供でき、早期に復旧ができる体制を整備してまいります。

しかし、万一災害等が発生し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

(5)お客様の情報管理について

当社グループが提供しているサービスは主にお客様個人を対象としているため、当社グループのスタッフは、お客様本人の個人情報はもちろん、そのご家族等を含めた様々な個人情報に日々接することになります。これらの情報は、その機密保持について十分な配慮をしなければならないと認識しております。

当社グループでは、個人情報の管理方法についての教育研修を定期的に実施するほか各種マニュアルを整備するなど、様々な機会でその重要性を周知徹底しておりますが、万一情報管理上の問題が発生した場合、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)コンプライアンスについて

当社グループは、社会的信用が企業価値に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループでは、コンプライアンスの徹底による社会的信用の構築を図るため、コンプライアンス推進の方針を定め、教育研修を行うなどにより、事業の適切性や運営の透明性維持を図り、従業員のコンプライアンスに対する意識の啓蒙・強化に努めております。また、内部統制委員会を設け、内部統制体制及びコンプライアンス体制の検証を行い、改善に努めております。

また、コンプライアンス違反の早期発見・是正を図るために、従業員から通報・相談を受け付ける内部通報窓口を整備しております。

しかし、万一コンプライアンスに反する事態が発生した場合などには、当社グループへの社会的信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

(7)環境問題への対応について

今後の気候変動に伴い自然災害の激甚化や環境に対する法的規制の強化等により、想定以上の対策コストや関連する費用が生じた場合、当社グループの事業や業績、財務状況に影響が生じる可能性があります。

当社グループにおいては、この可能性を最小限に留めるとともに、気候変動への取り組みを持続可能性の確保及び中長期的な企業価値向上のための重要な課題として認識し、気候変動に関するガバナンスを整備、強化し、リスクを管理してまいります。

また、今後、外部専門家の知見を活用し気候変動がおよぼす当社グループの財務的な影響について国際的に確立された枠組みに基づいた情報の開示に取り組む考えにあります。

 

①  ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ基本方針を定め、それに基づき2022年4月に代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を発足させております。当委員会では、気候変動への対応をその重要な課題のひとつとして位置づけ、課題に対する目標設定・進捗状況をモニタリング、評価し管理してまいります。この活動状況はガバナンス委員会を経て取締役会に報告されることとなっております。

②  リスク管理

当社グループにおいては、内部統制担当役員のもと内部統制委員会を通し内部統制の推進、リスク管理及びコンプライアンス体制の整備に取り組んでおります。リスク管理においては、管理本部、品質企画本部等がそれぞれの所管領域においてリスクの識別、評価、管理を行うと共に、その状況について定期的に取締役会への報告がなされております。

事業の安定的な運営の観点から、大規模な自然災害発生時への対応として事業継続計画(BCP)を策定し、それに基づいて体制等の整備が進められておりますが、今後におきましてはサステナビリティ委員会が中心となって気候変動関連リスクを当社グループのリスクマネジメントへの織り込みをはかり取り組みを強化してまいります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ワクチン接種の進展等により経済社会活動が持ち直しの動きを見せたものの、ウクライナ情勢等に起因する地政学リスクの高まりにより、世界的な経済活動の停滞が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、超高齢社会を背景に今後サービスに対する需要の増加が予想されております。その一方で、生産年齢人口の減少とともに人材の確保がより一層厳しさを増しているものの、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき、介護職員の収入を3%程度(月額 9,000 円相当)引き上げるための措置として2022年2月より介護職員処遇改善支援補助金が交付されるなど、国の政策は追い風となっております。また、新型コロナウイルス感染症に対してはお客様、従業員及びその家族の安全確保、感染予防、感染拡大防止対策を講じ、事業継続に向けた対策を徹底してまいりました。

当社グループは、介護サービスの領域におけるお客様の多様なニーズに対応した付加価値の高いサービス・商品を幅広く提供しております。このような事業展開により、感染拡大・再拡大下においては、訪問介護や訪問看護等の訪問系サービスが堅調に推移いたしました。施設系サービスでは特にデイサービスを中心に感染症予防のための利用控え等の影響を色濃く受けました。集客面では夏場の第5波及び冬場の第6波といった感染の波に連動するような形でアップダウンする期となりましたが、前期及び当期において新規開設した拠点の貢献や11月に株式会社福祉の里を連結子会社化したこともあり、売上高は488億76百万円(前年同期比6.5%増)となりました。

費用面においては、仕入れや外注派遣費等の低減が進んだ一方で、新規開設等に伴う人件費や採用費といった人的投資に関わる費用に加えて、従業員に対して特別勤務手当や休業補償、見舞金の支給などの感染拡大下のなかでサービス提供を継続するための環境整備を積極的に実施したことで人件費が増加しました。また主に、セグメントに帰属しない本社部門において、移動等の物理的な活動費は引き続き抑制されたほか、事務所の一部解約(サテライトオフィスの活用)による固定費の削減等、リモート環境の推進による効果も出ており、この結果、営業利益は28億65百万円(同2.1%増)、経常利益は28億17百万円(同1.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前第3四半期において特別損失に計上した新型コロナウイルスに関する従業員へのお見舞金及び投資有価証券評価損の反動もあり、18億36百万円(同23.6%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これによる重要な影響はありません。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご覧ください。

 

当連結会計年度におけるセグメントの業績を示すと、次のとおりであります(セグメント間取引を含む)。

 

・介護サービス事業

訪問系サービスにおいては、主に訪問介護でコロナ禍を背景としたご自宅でのサービス利用の需要を取り込み、お客様数が増加したことにより増収増益となりました。また、訪問看護は既存拠点の堅調な成長に加え、当期に開設した拠点の貢献により、売上が増加しております。一方で訪問入浴は、集客が進み増収となったものの、売上に占める人件費が増加したこと等で減益となりました。

施設系サービスにおいては、デイサービスで10月以降は一旦は回復基調となったものの、その後も新型コロナウイルス感染症予防のための利用控え等の影響により減収となり、人件費を吸収できなかったこと等で減益となりました。看護小規模多機能型居宅介護では、前期8ヶ所の開設に加えて、今期も8ヶ所を開設するなど積極的に規模拡大を進めたことで売上を大きく伸ばしております。一方で前期の開設拠点が利益貢献したものの、既存拠点や今期開設拠点における費用の増加などにより増収減益となりました。

その他、11月に株式会社福祉の里が連結子会社になったことも業績に寄与いたしました。これらの結果、売上高は477億85百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は21億38百万円(同2.3%減)となりました。

 

・その他

その他においては、ケアボット株式会社の介護ロボット販売事業では販売が堅調に推移した一方、費用が増加し利益が減少しました。また、セントワークス株式会社における介護保険ASPシステムの販売事業で費用が増加し利益が減少しました。その結果、売上高は15億1百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は78百万円(同34.4%減)となりました。

 

また、当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億80百万円増加し274億91百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ74百万円増加し138億36百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億6百万円増加し136億55百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益27億60百 万円等の営業活動による収入があった一方で有形固定資産の取得による支出長期借入金の返済による支出等に より前連結会計年度末に比べ1億77百万円減少し、当連結会計年度末には56億5百万円となりました。

 

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、25億70百万円(前年同期比12.7%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益27億60百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は、16億8百万円(同132.6%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出13億29百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4億68百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果使用した資金は、11億38百万円(同11億36百万円増)となりました。これは主に長期借入れによる収入5億円があった一方で、長期借入金の返済による支出8億26百万円、配当金の支払3億99百万円によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

介護サービス事業

1,527,267

106.2

その他

148,774

115.6

合計

1,676,042

107.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は仕入価格によっております。

 

c.受注実績

該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

介護サービス事業

47,782,332

106.6

その他

1,094,472

102.6

合計

48,876,805

106.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

千葉県国民健康保険団体連合会

5,970,541

13.0

6,096,220

12.5

神奈川県国民健康保険団体連合会

5,044,597

11.0

5,156,939

10.6

東京都国民健康保険団体連合会

4,432,022

9.7

4,600,225

9.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、売上高は488億76百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は28億65百万円(同2.1%増)、経常利益は28億17百万円(同1.2%増)及び親会社株主に帰属する当期純利益は18億36百万円(同23.6%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります(セグメント間取引を含まない)。

・介護サービス事業

各サービスの売上高では、施設系サービスにおいては、前期8ヶ所の開設に加えて、今期も8ヶ所を開設した看護小規模多機能型居宅介護(2022年3月末時点43ヶ所)において7億20百万円、小規模多機能型居宅介護(同45ヶ所)において1億58百万円、お客様数の増加によりそれぞれ増収となりました。また、訪問系サービスにおいては、当期9ヶ所を開設した訪問看護(同103ヶ所)において集客が進み4億26百万円の増収となったほか、訪問介護においても各種加算を取得したことなどにより、7億円の増収となりました。

利益面では、訪問系サービスにおいては、11月に株式会社福祉の里が連結子会社となったことによる利益貢献があった一方で、訪問入浴の内部体制強化に伴う人件費の増加などがありました。施設系サービスにおいては、前期に開設した看護小規模多機能型居宅介護・小規模多機能型居宅介護が利益貢献した一方で、既存拠点やデイサービスを中心に新型コロナウイルス感染症による利用控えの影響を受けたほか、新規開設拠点の費用負担などがあった結果、減益となりました。

 

・その他

セントワークス株式会社における介護保険ASPシステムの販売事業で販売数が増加し、ケアボット株式会社の介護ロボット販売事業が堅調に推移したことで、売上高は27百万円増加しております。

 

計画に対する状況としては、売上高の計画に対する達成率は99.7%、営業利益の計画に対する達成率は92.5%、経常利益の計画に対する達成率は93.2%、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成率は94.7%となりました。

 

②財政状態の分析

当社は、今後展開する事業活動のための資金確保を前提とした、健全なバランスシートの維持に努めることを財務方針としております。

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末(以下「前期末」という)より14億80百万円(前期末比5.7%)増加し、274億91百万円となりました。

流動資産は、前期末より7億11百万円(同5.3%)増加し、141億25百万円となりました。増加の主な要因としては、売掛金が7億46百万円(同11.2%)増加したことによるものであります。

固定資産は、前期末より7億68百万円(同6.1%)増加し、133億65百万円となりました。増加の主な要因としては、有形固定資産の内、リース資産が2億13百万円(同7.1%)減少した一方で、建設仮勘定が3億99百万円(前期末は30百万円)、建物及び構築物が2億40百万円(同6.0%)、土地が1億3百万円(同18.2%)、無形固定資産の内、のれんが2億51百万円(同126.2%)増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の負債は前期末より74百万円(同0.5%)増加し、138億36百万円となりました。

流動負債は、前期末より1億33百万円(同1.9%)増加し、70億84百万円となりました。増加の主な要因としては、賞与引当金が1億63百万円(同13.4%)増加したことによるものであります。

固定負債は、前期末より59百万円(同0.9%)減少し、67億51百万円となりました。減少の主な要因としては、退職給付に係る負債が2億73百万円(同18.7%)増加した一方で、長期借入金が2億27百万円(同13.1%)、リース債務が1億89百万円(同5.7%)減少したことによるものであります。

当連結会計年度末の純資産は前期末より14億6百万円(同11.5%)増加し、136億55百万円となりました。増加の主な要因としては、利益剰余金が14億37百万円(同16.4%)増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

a.資金需要

新規事業所の開設に伴う建物やソフトウェア等の取得を中心とした設備投資や運転資金、借入金の返済、利息の支払い、配当金の支払い及び法人税の支払い等に充当しております。

b.資金の源泉

主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入により、必要とする資金を調達しております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により不確実性が高まっていることから、売掛債権流動化、当座貸越契約及びコミットメントライン契約による手元流動性と資金調達枠の確保に努めております。なお、当座貸越契約及びコミットメントライン契約に係る当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり必要な見積りについては、合理的な基準に基づき実施しております。

特に、固定資産の減損損失及び繰延税金資産の回収可能性については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。