当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当行は「信用を大切にする社会をささえます。」「公明正大で責任ある経営をします。」「良識ある社会人として誠実に行動します。」の3つの企業理念に基づき、健全な金融活動を通じて信頼し合える社会づくりに努めるとともに、お客さま本位の経営を推進しております。
(2) 目標とする経営指標
2022年度から2024年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画「KAI-KAKU150 2nd STAGE『未来へのとびらⅡ』」では、5つの基本方針「カーボンニュートラルへの取組みの強化」「ビジネスモデルの強化」「生産性の向上」「経営基盤の強化」「SDGs/ESGの浸透」を掲げ、さまざまな取組みを展開しております。
(中期経営計画「KAI-KAKU150 2nd STAGE『未来へのとびらⅡ』」における目標と2023年度の実績)
※ FP1級技能士、CFP、中小企業診断士、税理士、社会保険労務士、証券アナリスト、CIA(公認内部監査人)
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当行グループは取り巻く環境の変化やこれまでの取組みを踏まえ、2022年4月より長期ビジョンを「グリーン&コンサルバンクグループをめざして」へと刷新しました。また、新たな長期ビジョンのもと、当行グループのめざす姿についても3つの姿として再定義しました。
1つ目は、地域のカーボンニュートラルへの公正な移行「Just Transition」を支援し、地域社会の持続可能な経済発展に貢献すること。2つ目は、課題解決型コンサルティングを実践し、お客さまと地域社会の未来を切り拓くこと。3つ目が、IT戦略を継続し、生産性の向上を図るとともに、コンサルティングを通じて、お客さまと地域社会のIT化を支援することです。
伝統的な銀行業務での収益の先細りが懸念される中、「お客さまとともに地域の脱炭素化に取り組むこと」「お客さまの課題・ニーズに対して、質の高いコンサルティングを提供すること」を当行グループが果たすべき役割として捉え、経営資源配分の最適化や人的資本への投資などを通じて変化に強いビジネスモデルを構築することで、新たな長期ビジョンとめざす姿の実現に向けた活動に取組んでまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当行を取り巻く環境は、人口減少や競争の激化に加え、新型コロナウイルス感染症流行の長期化などがもたらした生活様式の変化、気候変動リスクの顕在化など、厳しさを増しております。
このような環境変化に対応するため、当行では中期経営計画「KAI-KAKU150 2nd STAGE『未来へのとびらⅡ』~グリーン&コンサルバンクグループをめざして~」を策定し、2022年4月より取り組んでおります。この計画では、長期ビジョンを刷新するとともに、5つの基本方針「カーボンニュートラルへの取組みの強化」「ビジネスモデルの強化」「生産性の向上」「経営基盤の強化」「SDGs/ESGの浸透」を掲げ、持続可能なビジネスモデルの構築を通じ、豊かで活力ある社会の実現をめざしてまいります。
「カーボンニュートラルへの取組みの強化」では、お客さまの脱炭素化支援と百五銀行グループの脱炭素化を進めることで、グリーンな社会作りに貢献いたします。
「ビジネスモデルの強化」「生産性の向上」では対面・非対面のチャネルの再構築とデータ利活用に基づく業務効率化を通じて生産性の向上を徹底的に追求し、貸出金収益と役務収益を増強してまいります。
「経営基盤の強化」「SDGs/ESGの浸透」では、コンサル人材やデータ利活用人材の育成、多様な人材のキャリア支援など人的資本への投資とともに、気候変動リスクをはじめとした新たなリスクへの対応を随時実施していくことで、経営基盤を盤石なものとしてまいります。
グループ各社においても積極的に業務革新を行い、百五グループ全体としてより質の高い多角的な金融サービスの提供に努めることによって、総合力の強化をはかってまいります。
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
サステナビリティに関する方針として「環境方針」「人権方針」「サステナブル投融資方針」を定め、グループ一体となって環境・社会課題の解決に資する取組を推進しております。特に、気候変動への対応は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方にもとづき、強化しております。
① 執行体制
気候変動を含めたサステナビリティに関する対応の進捗状況・課題については、3か月に1度開催されるSDGs推進委員会にて、審議しております。また、気候変動リスクについては、その重要度を鑑み、都度適切にALMリスク管理委員会に報告しております。
② 監督体制
SDGs推進委員会及びALMリスク管理委員会の委員長は経営戦略とのつながりを踏まえて、経営企画部担当役員が担当し、開催の都度、審議事項は取締役会に報告し、監督される体制となっております。
2019年に公表した「百五銀行グループSDGs宣言」のもと、SDGsを企業行動・経営戦略につなげ、地域における社会的課題の解決と経済発展の両立を図ることで、持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
中期経営計画「未来へのとびらⅡ」を着実に遂行し、経済価値、社会・環境価値を創出することで企業価値を向上させるとともに、これからも信頼され、「地域に頼りにされる銀行」をめざしてまいります。
<百五銀行グループSDGs宣言>
① 気候変動
(ア)気候変動に対する考え方・計画
気候変動への対応は最も重要な取組の1つであるとの位置づけのもと、「百五銀行グループSDGs宣言」において、重点課題「地球環境・地域環境の保全」に特定しております。
「環境関連法規の遵守」「気候変動への対応」「ガバナンス・マネジメント」などの指針を示した「環境方針」にもとづき、毎年、「環境保全活動計画」を策定し、事業活動を通じたお客さまの脱炭素化支援、当行グループの環境負荷軽減に取り組んでおります。
(イ)気候変動関連のリスク
気候変動に関するリスクは、気候変動に起因する自然災害及び異常気象の増加等がもたらす物理的被害にともなうリスク(物理的リスク)と脱炭素社会への移行により生じる法規制、技術、市場及び社会的評価の変化等にともなうリスク(移行リスク)に分類されます。
当行では、気候変動リスクに対するレジリエンスを評価するため、シナリオ分析を行っております。
(a) 物理的リスク
IPCC(※1)の2℃シナリオ及び4℃シナリオを参考に、国内において気候変動に起因する大規模水害が発生した場合のお客さまの業績悪化及び担保価値毀損による与信関係費用への影響を分析しております。
(b) 移行リスク
NGFS(※2)とIEA(※3)の1.5℃シナリオ及び2℃シナリオを参考に、脱炭素社会への移行に向けた政策強化(炭素税導入等)、市場の変化等が生じた場合のお客さまの業績悪化による与信関係費用への影響を分析しております。
分析対象とするセクターは、当行において相対的にリスク重要度が高いと判断されるセクターを選出しております。昨年度までの「エネルギー、ユーティリティ、運輸」の3セクターに、今年度は「自動車部品」セクターを追加しております。
<当行与信残高(※4)に占める炭素関連資産の割合>
※1 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
※2 NGFS(Network for Greening the Financial System):気候変動リスク等にかかる金融当局ネットワーク
※3 IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機関
※4 当行与信残高:2024年3月末の貸出金、支払承諾見返、外国為替等の合計(再生可能エネルギー事業を除く)
(ウ)気候変動関連の機会
当行が営業基盤とする地域は、特に製造業が盛んな地域となっております。全産業における製造業のCO2排出量の割合は大きく、脱炭素移行にともなう設備投資増加等の需要に応えるため、長期目標(2022~2030年度)として「サステナブルファイナンス累計実行額1兆円(うち環境分野5,000億円)」を掲げるとともに、中期経営計画の重点戦略の1つとしてカーボンニュートラルへの取組を強化しております。
また、当行グループの事業活動における環境負荷軽減に努めるため、長期目標(2022~2030年度)として「温室効果ガス排出量(Scope1,2)ネットゼロ」を掲げるとともに、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー設備の導入を促進しております。
② 人的資本
人的資本については、当行グループにおける記載が困難であるため、当行のものを記載しております。
(ア)人材育成方針
当行が長期ビジョンで掲げる「グリーン&コンサルバンクグループ」を推し進め、地域・お客さまから「頼りにされる銀行」となるため、求める人材像を「高いモラルと豊かな発想で行動する自立した企業人」と定め、主体的に「学び」「考え」「前進(行動)」(STUDY・THINK・ADVANCE)する行員を育成しております。
そして、「OJT指導」「OFF-JT(研修等)」「自己啓発」の3つの相乗効果を通じて成長を促し、全行員がより地域・お客さまに役立つ真のプロフェッショナル人材となることをめざしております。
(イ)社内環境整備方針
当行は、人材を貴重な財産と捉え、一人ひとりの個性を大切にし、多様な人材が働きやすい職場風土を醸成するため、働き方改革やダイバーシティ推進に継続的に取り組んでおります。働きやすい職場環境を土台として、多様な人材の一人ひとりが能力を最大限に発揮し活躍できる職場づくりに努めております。
(3) リスク管理
「百五銀行グループSDGs宣言」の重点課題について、投融資の面からこれらの課題を解決し、資金の出し手として責任ある投融資を行うため、「百五銀行グループサステナブル投融資方針」を定めております。環境・社会にポジティブな影響を与える事業に対しては、「百五銀行グループクレジットポリシー」を遵守したうえで、積極的に投融資を推進しております。環境や社会に与える影響が大きいと考えられる特定セクターへの投融資に対しては、取組方針を定め、適切に対応を行っております。
<特定セクターに対する投融資方針>
※CCS:二酸化炭素回収・貯留、CCUS:二酸化炭素回収・利用
気候変動リスク管理体制
気候変動の諸要因から生じる直接的なリスク及び投融資等を通じたリスクが与える影響の重要性を鑑み、当該リスクがもたらす負の影響の軽減及び円滑な脱炭素社会に向けた取組を進めております。
気候変動リスクとして認識している物理的リスクや移行リスクが顕在化した場合、さまざまな波及経路を通じて銀行経営に大きな影響をおよぼす可能性があることから、統合的なリスク管理の枠組みにおいて、当該リスクの把握・低減に努めております。
当行自己資本の健全性についても、推計した物理的リスクや移行リスクの追加与信費用を加味した評価を行っております。
(4) 指標及び目標
上記、「(2)戦略」に関する主な指標及び目標は以下のとおりであります。
① 気候変動
<温室効果ガス(GHG)排出量>
2023年度の温室効果ガス(GHG)排出量の詳細については、2024年7月末に発行予定の
<サステナブルファイナンス>
※1 サステナブルファイナンス:社会課題・環境課題等の解決により持続可能な社会の実現に貢献する投融資
※2 環境分野:気候変動対応など地球環境・地域環境の保全への取組を支援する投融資
② 人的資本
以下については、当行グループにおける記載が困難であるため、当行のものを記載しております。
<プロフェッショナル人材の育成>
<ダイバーシティの推進>
(注)障がい者雇用率は、特例グループベースで記載しております。なお、2024年度目標は2024年6月1日時点、 2023年度実績は2023年6月1日時点の数値であります。
<健康経営の実践>
人的資本への投資や人材戦略に関する詳細については、2024年7月末に発行予定の
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当行が金融事業を営むうえで、以下に記載の(1) 財務面に関するリスク(① 不良債権及び貸倒引当金に係るリスク、② 金融資産の価格変動等に係るリスク)は、比較的蓋然性が高いリスクと考えられます。これらのリスクが顕在化した場合、当行の業績、財務状況や業務運営に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、統計的手法であるVaR(バリュー・アット・リスク)及びストレス・テスト等を用いて、リスクが顕在化した場合の悪影響の規模が経営体力に照らして過大なものとならないよう管理しております。
なお、リスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
(1) 財務面に関するリスク
① 不良債権及び貸倒引当金に係るリスク
当行は、三重県及び愛知県を中心とする地域の取引先に対し、主に貸出金により信用供与を行っております。当行では、不良債権や貸倒れに関するリスクが業績に悪影響等を及ぼすことのないよう、適切な審査・与信管理体制及びリスク管理体制を整備・運営することによりリスクの軽減に努めておりますが、場合によっては次のリスクが顕在化する可能性があります。
(ア)不良債権
国内外の景気や地域経済の動向、貸出先の経営状況及び信用力の低下、あるいは不動産価格の下落等によって、不良債権額及び与信関係費用が増加し、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、不良債権オフバランス化の進捗に伴い売却損や償却が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(イ)貸倒引当金
貸倒引当金については、貸出先の状況、担保価値及び過去の貸倒実績率等に基づいて見積ったうえで計上しております。しかしながら、実際の貸倒れが見積りを上回り、計上している貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、経済環境の変化、貸出先の経営状況の変化、担保価値の低下あるいは貸倒引当金の算定方法の変更等により、貸倒引当金の積増しが必要になる可能性があります。
② 金融資産の価格変動等に係るリスク
当行は、株式及び債券等の有価証券を保有しております。また、資産及び負債の一部は外貨建てとなっております。当行では、これらの取引の価格変動等が業績に悪影響等を及ぼすことのないよう、適切な投資執行体制及びリスク管理体制を整備・運営することによりリスクの軽減に努めておりますが、場合によっては次のリスクが顕在化する可能性があります。
(ア)株価下落のリスク
株価が想定外に下落した場合には、保有株式等の評価益の減少、あるいは減損または評価損が発生し、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(イ)金利変動のリスク
市場金利が想定外に上昇した場合には、保有債券等の評価益の減少、あるいは減損または評価損が発生し、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、貸出金や預金などの金融資産・負債の間で金利更改期間に差異があるため、金利変動により金融資産・負債の実質価値または資金利鞘に変動が生じ、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)為替リスク
当行の資産及び負債の一部は外貨建てとなっておりますが、これら外貨建資産と負債の額が通貨毎に同額で相殺されない場合、または適切にヘッジされていない場合には、為替相場の不利な変動によって、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(エ)信用力悪化のリスク
債券または株式の発行体等の信用力が悪化した場合には、保有有価証券の評価益の減少、あるいは減損または評価損が発生し、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、外国証券等については、当該国の信用不安等によりカントリーリスクが顕在化した場合には、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(オ)デリバティブ取引に係るリスク
当行はヘッジ目的のほか、一定の限度額の範囲で短期的な売買による収益獲得を目的としたデリバティブ取引を利用しております。金利・為替相場・株価等の市場要因が不利な方向に変動した場合、あるいは契約先の倒産等によりデリバティブ取引が履行されなかった場合には、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 自己資本比率に係るリスク
当行は海外に駐在員事務所を有しておりますが、海外営業拠点には該当しないため、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められている国内基準(4%)以上に維持する必要があります。
当行の自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部または一部の停止等を含む様々な命令を受けることになります。
当行の自己資本比率を低下させる主な要因として以下のものがあります。
(ア)貸出先の信用力の悪化に伴うリスク・アセットの増加
(イ)貸出金及び有価証券等の増加に伴うリスク・アセットの増加
(ウ)貸出先の信用力の悪化に伴う与信関係費用及び有価証券等の減損額の増加
(エ)繰延税金資産に関する算入制限または繰延税金資産の回収可能性の変動等
④ 収益性低下のリスク
規制環境の変化及び資金需要の低迷等による競争激化、市場金利の低下、あるいは高収益資産の減少等により収益性が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 格付低下のリスク
格付機関が当行の格付を引下げた場合には、資金取引条件の悪化あるいは預金金利の引上げ等により資金調達費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 流動性リスク
予期せぬ資金の流出などにより資金繰りに必要な資金確保が困難になった場合、あるいは市場の混乱などにより債券など金融商品の売買において取引が困難になった場合には、著しく不利な条件で資金取引あるいは売買を余儀なくされる等、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 退職給付債務に係るリスク
年金資産の時価の下落、あるいは年金資産の運用利回りの低下等により、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、年金制度の変更により過去勤務費用が発生する可能性があるほか、金利環境の変動その他の要因が退職給付債務及び年間積立額に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 業務面に関するリスク
① 経営戦略等が奏功しないリスク
当行は、様々な経営戦略、事業戦略を実施しており、各種要因によりこれらの戦略が奏功せず、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。
② 業務範囲拡大に伴うリスク
規制緩和に伴う銀行の業務範囲拡大を通じて、収益向上のため新たな分野に進出する場合には、従来保有していなかったリスクに晒される可能性があります。また、業務範囲拡大が予想通り進展しなかった場合、あるいは競争の激化等市場環境が変化した場合には、新規事業の収益が低迷し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 倫理・法務リスク
当行は、コンプライアンスを経営の重要な課題と位置付け、役職員の高い倫理意識の醸成及び管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、法令、規則、ルール、社会規範等の遵守の不徹底あるいは法律等の制定や改正への不適切な対応により問題が発生した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 金融犯罪等に係るリスク
当行では、キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺等の金融犯罪による被害を防止するため、セキュリティ強化に向けた対策を講じております。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止を経営の重要な課題と位置付け、管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、高度化する金融犯罪等の発生により、不公正・不適切な取引を未然に防止することができなかった場合には、不測の損失の発生や信用失墜等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 事務リスク
当行は、事務リスク削減計画を策定・実施するなど堅確な事務の維持、健全な業務運営を行うことで事務リスクの軽減に努めております。しかしながら、各種銀行取引に伴う事務に関する不適切な処理、事故及び不正等により事務リスクが顕在化した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ システムリスク
当行では、様々な金融サービスを提供する上においてコンピュータシステムが重要な役割を果たしております。銀行業務の根幹を担う基幹系システム等については、安定的な稼働を維持できるようシステム運行、監視、メンテナンスに至るまで体制整備し、また、災害等の発生による不測の事態に対してはコンティンジェンシープランを策定するなど業務運営に万全を期しております。しかしながら、従来想定していない災害や感染症の流行等の外的要因に加え、コンピュータシステムの停止や誤作動、人為的なミス、システムの不備、コンピュータの不正使用やサイバー攻撃等によるシステムリスクが顕在化した場合には、直接的に発生する損害のほか、社会的信用の低下等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報資産リスク
当行は、顧客保護・個人情報保護・情報セキュリティの観点から体制・規定を整備し、顧客情報や経営情報等の保護に取り組んでおります。しかしながら、顧客情報や経営情報等の情報資産の漏洩、紛失、不適切な使用・取扱等により問題が発生した場合には、対応に要する直接的な費用のほか、社会的信用の低下等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 人的リスク
当行の安定した成長には、専門性の高い人材の確保や育成が必要でありますが、これが想定どおりに進まない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、人事処遇や勤務管理などの人事労務管理あるいは職場の安全衛生管理に関連して、重大な訴訟などの問題が発生した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 外部委託に伴うリスク
当行は、委託業務から発生するまたは予見されるリスクの削減策を実施し、また、委託業務の規模・特性に応じ的確な業務遂行を行うための管理を行っております。しかしながら、当行の業務委託先において、委託業務の遂行に支障をきたした場合、あるいは顧客情報等の漏洩及び紛失等があった場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ リスク管理態勢の有効性に係るリスク
当行は、リスク管理態勢を整備し、各種のリスク管理方針やリスク管理規定等に基づきリスク管理を行っております。しかしながら、将来発生するリスクを正確に予測できないこと等により、リスク管理手法が有効に機能しない場合には、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 内部統制の構築等に係るリスク
金融商品取引法に基づき、当行は、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を内部統制報告書において開示しております。当行は、適正な内部統制の構築、維持、運営に努めておりますが、想定外の開示すべき重要な不備が発生して期末日までに是正が間に合わない場合、あるいは監査法人により財務報告に係る内部統制が十分に機能していないと評価されるような事態が発生した場合には、当行の財務報告に対する信頼を損なう可能性があるほか、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 外部環境等に関するリスク
① 営業基盤である地域経済が低迷するリスク
当行の主たる営業基盤は三重県及び愛知県にあり、地域に貢献すると同時に地域のお客さまとの共存共栄を実現することが、当行の発展につながるものと考えております。したがって、三重県及び愛知県経済が低迷した場合には、貸出先の業況悪化に伴い不良債権額及び与信関係費用が増加し、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 気候変動に関するリスク
近年、地球温暖化に伴う気候変動に関するリスクについて、世界的に危機感が高まっており、気候変動リスクへの対応が地球規模の重要課題となりつつあります。具体的なリスクとしては、異常気象等による自然災害の頻度増加・激甚化や気候の長期的変化等によりもたらされる物理的リスク、低炭素社会への移行に伴う法規制や社会情勢の変化等によりもたらされる移行リスクがあり、これらに起因して、当行または取引先等に事業の停滞等による収入の減少、対応費用の増加、保有資産・担保資産等の価値毀損等が生じた場合には、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当行は、環境や社会に与える影響が大きいと考えられるセクターへの投融資に対しては2022年4月に「百五銀行グループサステナブル投融資方針」を定め、影響の低減・回避に努めております。しかしながら、これらの取組みが不十分であった場合には、企業価値の毀損等により当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 規制変更のリスク
当行は業務を行うにあたって、様々な法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制等の適用を受けております。これらの法令等及びその解釈は将来変更される可能性があり、その内容によっては、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 風評リスク
市場または顧客の間で風説が流布されるなど、風評リスクが顕在化した場合には、資金繰りに支障をきたす等、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 災害等の発生に係るリスク
当行の主要な営業地域である三重県及び愛知県は、南海トラフ地震等の被害を受ける可能性の高い地域が含まれております。当行は、業務継続計画書を策定し、有事の際にも被害を最小化できるよう努めておりますが、自然災害等が発生した場合には、被災により直接的に発生する損害のほか、不良債権額及び与信関係費用の増加により、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 感染症等に係るリスク
当行は、感染症等の拡大に備えて業務継続体制の整備を行っております。しかしながら、想定を上回る感染拡大が生じた場合には、円滑な業務運営に支障をきたし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当行グループ(当行及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、自動車関連の部品供給不足の影響が和らぐことで、生産や輸出は持ち直しに向かいましたが、年度後半にかけては一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により生産活動が低下する場面も見られました。当行の主要な営業地域である三重県・愛知県下におきましては、物価高の影響はあるものの、生産や輸出は増加基調にあり、個人消費も持ち直しの動きが見られるなど、経済は緩やかに回復しております。
先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
このような経済情勢のなかで、当行の連結ベースでの業績は次のようになりました。
預金等(譲渡性預金含む)は法人預金や個人預金が増加したことなどから、当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ1,443億円増加し、6兆628億円となりました。
貸出金は住宅ローンなどの個人向け貸出や中小企業向け貸出が増加したことなどから、当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ3,372億円増加し、4兆8,838億円となりました。
また、有価証券の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ1,603億円増加し、1兆5,522億円となりました。
損益状況につきましては、経常収益は貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ166億3百万円増加し、1,194億87百万円となりました。
一方、経常費用は外国為替売買損の増加によりその他業務費用が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ173億43百万円増加し、994億32百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ7億40百万円減少し、200億54百万円となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2億12百万円減少し、142億81百万円となりました。
なお、包括利益は前連結会計年度に比べ1,179億46百万円増加し、1,110億31百万円となりました。
報告セグメントごとの損益状況は、銀行業セグメントにおいて経常収益は前連結会計年度に比べ147億80百万円増加して998億38百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ8億5百万円減少して191億99百万円となりました。リース業セグメントにおいて経常収益は前連結会計年度に比べ14億11百万円増加して159億56百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ1億95百万円減少して5億37百万円となりました。また、報告セグメントに含まれていない事業セグメントにおいて経常収益は前連結会計年度に比べ2億12百万円増加して62億35百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ55百万円増加して9億52百万円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが、コールマネーや預金の増加などにより841億62百万円のプラス(前連結会計年度比6,406億10百万円増加)、投資活動によるキャッシュ・フローが、有価証券の取得による支出などにより181億14百万円のマイナス(前連結会計年度比567億17百万円減少)、財務活動によるキャッシュ・フローが、配当金の支払や自己株式の取得による支出により61億65百万円のマイナス(前連結会計年度比32億52百万円減少)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度に比べ598億83百万円増加し、1兆4,081億78百万円となりました。
① 国内・国際業務部門別収支
当連結会計年度の資金運用収支は、国内業務部門で前連結会計年度比37億11百万円増加して480億47百万円、国際業務部門で前連結会計年度比74億66百万円増加して162億33百万円、合計で前連結会計年度比111億77百万円増加して642億80百万円となりました。役務取引等収支は、国内業務部門で前連結会計年度比6億15百万円増加して151億14百万円、国際業務部門で前連結会計年度比52百万円増加して1億3百万円、合計で前連結会計年度比6億67百万円増加して152億18百万円となりました。その他業務収支は、国内業務部門で前連結会計年度比24億91百万円減少して△5億56百万円、国際業務部門で前連結会計年度比69億47百万円減少して△161億21百万円、合計で前連結会計年度比94億39百万円減少して△166億77百万円となりました。
(注) 1 国内業務部門は当行の国内店及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の国内店及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除して表示しております。
3 相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息等であります。
② 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況
当連結会計年度の資金運用勘定につきましては、平均残高(相殺消去後)は前連結会計年度比1,065億円増加して7兆2,233億円、利回りは前連結会計年度比0.18ポイント上昇して1.01%となりました。このうち国内業務部門においては、平均残高は前連結会計年度比1,130億円増加して7兆722億円、利回りは前連結会計年度比0.04ポイント上昇して0.68%となりました。国際業務部門においては、平均残高は前連結会計年度比179億円増加して4,741億円、利回りは前連結会計年度比2.15ポイント上昇して5.33%となりました。
一方、資金調達勘定につきましては、平均残高(相殺消去後)は前連結会計年度比668億円増加して7兆1,262億円、利回りは前連結会計年度比0.04ポイント上昇して0.13%となりました。このうち国内業務部門においては、平均残高は前連結会計年度比783億円増加して6兆9,871億円、利回りは前連結会計年度比横ばいの0.00%となりました。国際業務部門においては、平均残高は前連結会計年度比128億円増加して4,620億円、利回りは前連結会計年度比0.67ポイント上昇して1.95%となりました。
(ア) 国内業務部門
(注) 1 国内業務部門は当行の国内店及び連結子会社の円建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度108,975百万円、当連結会計年度81,611百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度1,999百万円、当連結会計年度1,986百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
(イ) 国際業務部門
(注) 1 国際業務部門は当行の国内店及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
3 国際業務部門の外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。
4 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度40百万円、当連結会計年度32百万円)を控除して表示しております。
(ウ) 合計
(注) 1 相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。
2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度109,015百万円、当連結会計年度81,644百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度1,999百万円、当連結会計年度1,986百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
③ 国内・国際業務部門別役務取引の状況
当連結会計年度の役務取引等収益は、前連結会計年度比11億86百万円増加して207億34百万円となりました。このうち国内業務部門においては、前連結会計年度比11億21百万円増加して205億52百万円、国際業務部門においては、前連結会計年度比65百万円増加して1億81百万円となりました。
一方、役務取引等費用につきましては、国内業務部門で前連結会計年度比5億6百万円増加して54億37百万円、国際業務部門で前連結会計年度比12百万円増加して77百万円、合計で前連結会計年度比5億19百万円増加して55億15百万円となりました。
(注) 国内業務部門は当行の国内店及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
④ 国内・国際業務部門別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1 国内業務部門は当行の国内店及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金
⑤ 貸出金残高の状況
(ア) 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 「国内」とは当行の国内店及び連結子会社であります。
(イ) 外国政府等向け債権残高(国別)
「銀行等金融機関の資産の自己査定並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」(日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号2022年4月14日)に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等に対する債権残高はありません。
⑥ 国内・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1 国内業務部門は当行の国内店及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用しております。
(単位:億円、%)
(単位:億円、%)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権のうち、上記1及び2に掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(注) 債権のうち外国為替、未収利息及び仮払金については、資産の自己査定基準に基づき、債務者区分を行っているものを対象としております。
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
中期経営計画の目標と2023年度実績等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
当連結会計年度は、資金運用収支の増加により連結業務粗利益は増加したものの、その他経常費用(一般貸倒引当金繰入額)の増加により連結業務純益が減少したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は142億81百万円となりました。
当連結会計年度における主な項目の具体的な分析は、以下のとおりであります。
① 経営成績の分析
主な収支
中期経営計画「KAI-KAKU150 2nd STAGE『未来へのとびらⅡ』」に掲げる「ビジネスモデルの強化」に基づいて、貸出金収益・役務収益増強戦略、有価証券戦略などを展開する一方、「生産性の向上」への取組みとして、チャネル戦略、IT戦略などによる業務効率化を追求した結果、当連結会計年度における主な収支は以下のとおりとなりました。
・資金運用収支
貸出金利息や有価証券利息配当金が増加したことなどにより、資金運用収支は前連結会計年度比111億77百万円増加し642億80百万円となりました。
・役務取引等収支
投資信託手数料や住宅ローン取扱手数料が増加したことなどにより、役務取引等収支は前連結会計年度比6億67百万円増加し152億18百万円となりました。
・その他業務収支
外国為替売買損が増加したことなどにより、その他業務収支は前連結会計年度比94億39百万円減少し△166億77百万円となりました。
以上の結果、連結業務粗利益は、前連結会計年度比24億6百万円増加し628億22百万円となりました。
・営業経費(臨時費用控除後)
物件費や人件費が増加したことなどから、営業経費(臨時費用控除後)は前連結会計年度比10億58百万円増加し435億30百万円となりました。
以上の結果、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は、前連結会計年度比13億47百万円増加し192億91百万円となりました。
・与信関係費用(一般貸倒引当金繰入額+不良債権処理額-貸倒引当金戻入益-償却債権取立益)
与信関係費用は、一般貸倒引当金繰入額や債権等売却損が増加したことなどから、前連結会計年度比30億41百万円増加し71億65百万円となりました。
・株式等関係損益
株式等関係損益は、株式等売却益が増加したことなどにより、前連結会計年度比14億70百万円増加し70億15百万円となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度比7億40百万円減少し200億54百万円となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比2億12百万円減少し142億81百万円となりました。
② 財政状態の分析
(ア) 貸出金
貸出金は、住宅ローンなどの個人向け貸出や中小企業向け貸出が増加したことなどから、前連結会計年度末比3,372億円増加し4兆8,838億円となりました。
〔ご参考〕
○金融再生法ベースの区分による債権及びリスク管理債権の状況
金融再生法ベースの区分による債権及びリスク管理債権は、前連結会計年度末比27億円増加し689億円となりました。
総与信に占める割合は、前連結会計年度末比0.04ポイント低下し1.38%となりました。
債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権額が26億円増加しております。
部分直接償却は実施しておりません。
金融再生法ベースの区分による債権及びリスク管理債権の残高
総与信に占める割合
(イ) 有価証券
有価証券は、株式の増加等により、前連結会計年度末比1,603億円増加し、1兆5,522億円となりました。
(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(ウ) 預金
預金は、法人預金や個人預金が増加したことなどから、前連結会計年度末比1,170億円増加し5兆8,899億円となりました。
(注) 「法人」には「公金」及び「金融機関」は含まれておりません。
(エ) 純資産の部
利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益142億円等により、前連結会計年度末比104億円増加し2,847億円となりました。
その他有価証券評価差額金は、株式の評価差額が増加したことなどから、前連結会計年度末比779億円増加し1,585億円となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える主な要因の分析
(ア) 与信関係費用
国内外の景気の低迷、特に主要な営業の地盤である地域経済の低迷は、貸出先の体力を低下させ債権分類区分の低下につながることから、貸倒引当金や貸出金償却等を増加させる要因となります。また、景気動向は土地等の不動産価格にも影響し、担保価値の変動要因となります。これらにより影響を受ける与信関係費用の増加は、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
・当連結会計年度の与信関係費用
与信関係費用は、前連結会計年度比30億41百万円増加し71億65百万円となりました。
一般貸倒引当金繰入額については、算定方法を変更したことなどにより29億35百万円の繰入となりました。
個別貸倒引当金繰入額については、前連結会計年度比3億1百万円増加し34億47百万円となりました。
また、不良債権のオフバランス化を進めた結果、債権等売却損5億30百万円を計上しました。
(イ) 株式等関係損益
株価が大幅に下落した場合は、株式等償却を増加させるため、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
・当連結会計年度の株式等関係損益
株式等関係損益は、株式等売却益が増加したことなどにより、前連結会計年度比14億70百万円増加し、70億15百万円となりました。
④ 連結自己資本比率(国内基準)
当連結会計年度末の連結における自己資本の額は、前連結会計年度末比83億円増加し2,807億円となりました。
リスク・アセットの額は、前連結会計年度末比710億円増加し2兆2,414億円となりました。
これにより、連結自己資本比率(国内基準)は前連結会計年度末比0.03ポイント低下し、12.52%となりました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが、コールマネーや預金の増加などにより841億円のプラス(前連結会計年度比6,406億円増加)、投資活動によるキャッシュ・フローが、有価証券の取得による支出などにより181億円のマイナス(前連結会計年度比567億円減少)、財務活動によるキャッシュ・フローが、配当金の支払や自己株式の取得による支出により61億円のマイナス(前連結会計年度比32億円減少)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度に比べ598億円増加し、1兆4,081億円となりました。
貸出金や有価証券による運用については、預金のほか、必要に応じて借用金や債券貸借取引により資金調達しております。
また、設備投資や株主還元等については、自己資金を財源として実施いたします。
設備投資計画の詳細については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」を、配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。