第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、下記のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループの理想は「福祉社会の創造」です。地域社会とのコミュニケーションを通じ、ホスピタリティ(厚遇)の創造を追求し、住み良い環境、福祉社会の実現に貢献してまいります。

また、当社グループの目的は「生き甲斐の創造」です。「人のケア」「家族のケア」「街のケア」のトリプルケアを通し、お客様の生き甲斐を創造してまいります。そのために、当社グループは、「お客様第一主義」を徹底し、全社員が“お客様から片時も目を離さないこと”を念頭に安心と満足と喜びという信頼を、サービスと商品で提供してまいります。この「お客様第一主義」を推進することにより、当社グループの安定成長につながるものと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、継続的な成長及び株主価値の最大化を目標としており、売上高成長率6~7%(2023年3月期:7.5%)、売上高営業利益率6~7%(同4.8%)の達成、維持に努めてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループにおきましては、介護保険制度の変化に対応していくとともに、中重度・医療的ニーズの高いお客様への対応を重要課題として、「これまでも、これからも、ずっと在宅」をスローガンとして掲げ、お客様が住み慣れた地域で生活し続けることを可能にするソリューションを提供してまいります。

介護保険制度においては、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを継続できるよう、医療、介護等のサービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される体制である「地域包括ケアシステム」が推進されております。

当社グループは、成長戦略として訪問看護、看護小規模多機能型居宅介護、小規模多機能型居宅介護を重点投資サービスと定め、積極展開を進めております。

 

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これらのサービスを中心に、様々な関係者との連携を強化した多機能型拠点のモデル構築を推進し、地域介護の担い手として、求められる多様なニーズへ対応できるサービス提供体制を整備してまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、当社グループは感染症予防及び拡大防止対策を実施し、安全を確保した上で可能な限りサービス運営を継続してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上の課題

①人材確保に向けた取り組み

わが国では、今後も高齢者人口の増加に伴う介護サービスの需要が見込まれるなか、介護サービス業界では、サービスの運営基準上求められる有資格者(看護師・介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護福祉士等)をはじめ、慢性的な人材不足が課題となっております。

当社グループといたしましては、中期的な人材開発計画を策定し、計画的な取り組みにより人材確保を促進しております。待遇面では、定期昇給に加えてケアマネジャーや看護師といった専門職種に対する処遇を手厚くするなど、給与水準を高める取り組みも行っております。

介護スタッフのキャリアアップの取り組みとしては、「管理職として営業所やエリアのマネジメントを担う」、「介護のスペシャリストとしてサービス現場で活躍する」、「インストラクターとして次世代の介護スタッフの育成を担う」といったキャリアパスを用意しており、スタッフが様々な場面で活躍できる環境を整備しております。また、介護現場で長く働いてもらえるよう定年制を延長し、ベテランスタッフにもより長く活躍してもらえる取り組みも行っております。

今後も継続した待遇改善、働き方の多様性を持たせることにより、スタッフに安心して長く働いてもらえる組織とすることで、人材の確保に取り組んでまいります。

 

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②サービス品質の向上

介護サービス業界では、地域からの信頼やお客様から満足いただけるようサービス品質の向上も求められており、当社グループにおいても規模拡大に伴い新しいお客様とスタッフが増加していくなか、重要な課題として捉えております。

当社グループといたしましては、質の高いサービスを目指し、有資格者の充足と加算取得を品質の指標の一つとして捉えております。そのために採用の促進とケアマネジャーや介護福祉士の資格取得支援を行うことで有資格者の確保を進めております。また、加算取得も推進していくことで、中重度・医療ニーズの高いお客様のご要望にも対応できる体制を整備してまいります。

また、2023年3月期には、これまで当社グループで培ってきたノウハウを活かした新しい挑戦も行っております。新会社として設立した「セントケアDX㈱(訪問介護+訪問看護)」、「セントケア・Replus㈱(デイサービス+訪問看護)」、「セントケアりまいん㈱(レンタル+リフォーム)」では、これまでのエリアを軸とした多種のサービスによる事業展開ではなく、特定のサービスで専門性を活かしていく事業展開を目指しております。こうした専門性の追求による異なる価値の提供も行っていくなかで、グループ全体の品質見直しを図り、更なる向上に取り組んでまいります。

 

③収益基盤の強化について

当社グループでは、感染症の感染拡大や物価高騰などの社会的情勢の変化に際してもお客様に安定的にサービスが提供できるよう、収益基盤の強化を重要な課題として捉えております。

当社グループといたしましては、2023年3月期には34箇所の新規開設を行っており、今後も増加する介護ニーズに対応していくことで規模を拡大してまいります。既存の営業所においても加算の取得や日々の稼働管理から人員配置を見直すことなどにより、利益率の向上を図ってまいります。

また、それぞれの地域で最も必要とされる存在となることを目指し、当社グループの強みを活かせるサービスである「看護小規模多機能型居宅介護・小規模多機能型居宅介護」と「訪問介護」、「訪問看護」の3サービスをユニット化した、「コミュニティNo.1拠点」の展開を推進しております。この取り組みは、国の施策である「住まい」・「医療」・「介護」・「予防」・「生活支援」のサービスを一体的に提供できる体制(地域包括ケアシステム)の実現に沿ったものであります。

活動の中心的な役割を担うソーシャルコミュニティリーダーは、お客様が慣れ親しんだ場所で生活が続けられるための課題解決に向けて、同業他社や医療機関も含めた関係機関との連携を深め、地域の特性に応じたサービス提供を進めることで、安定的なサービス需要が生まれ、結果高い収益性を見込むことができます。

このように売上規模の拡大と合わせて収益性の向上を図ることで収益基盤を強化してまいります。

 

   コミュニティNo.1拠点イメージ

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般について

当社は、環境や社会・経済に配慮し企業市民としての責務を果たしつつ事業展開をはかることこそ当社の持続可能性を高め、企業価値の向上がはかられるものと認識し、「サステナビリティ経営」の実践を重要な経営課題として位置付けて、それぞれの観点からマテリアリティを設定し取り組みを進めております。

当社のサステナビリティ活動の方針、目標、計画の策定、実践状況のレビュー等は代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会において議論され、適時取締役会に報告がされることで取締役会の監督が機能し適切な活動がなされるガバナンス体制をとっております。

また、当社においては、内部統制担当役員のもと内部統制委員会を設置し、内部統制の推進、リスク管理及びコンプライアンス体制の整備に取り組んでおり、リスク管理においては管理本部、品質企画本部等がそれぞれの所管領域におけるリスクの識別、評価、管理を行うと共に、その状況について定期的に取締役会への報告がなされる体制を取っております。

 

この体制のもと、マテリアリティへの取り組みにつきましては、以下の通りであります。

 

①環境への負荷の軽減

グリーン購入や地産地消、食品ロスの削減等への取り組みを進めると共に、社員の環境意識を高めるための教育・啓発活動を研修や社内メディアを通して実現するための仕組みの整備にも取り組んでおります。また、気候変動への対応といたしましては、エネルギー消費を抑制すべく既存施設でのLEDへの変換や太陽光パネルの設置などを進めると共に、自社新設施設につきましてはZEB(Net Zero Energy Building)基準に準じた設計、建設開発を基本として取り組みを進めております。

気候変動をはじめとする環境負荷軽減への取り組みにつきましては、上記の通りサステナビリティ委員会及び取締役会において管理監督(ガバナンス)、内部統制委員会等とサステナビリティ委員会との連携によりリスク管理がなされる体制において推進されております。気候変動の激甚化及び脱炭素社会への移行に伴うリスクについて、簡便的な評価を実施しており現時点において当社業績及び財務状況に重大な影響を及ぼしうる状況ではないと捉えておりますが、社会的趨勢を踏まえ国際的に認知されている枠組みに準じた体系化とその開示の必要性は十分に認識しており、当社において排出される温室効果ガスの可視化(Scope1及び2)への取り組みを進めております。

可視化されたその排出総量及び排出起源などをもとに、その結果と共にそれらを踏まえた戦略及び指標と目標の策定とその開示をすべく体制の整備を進めてまいりたいと考えております。

 

②社会インフラとしてサービスの安定的供給

感染症のパンデミックなど外的要因によるサービスの安定的供給を脅かすものへの対策の強化と共に、当社のほぼ全てのサービスにおいて人を介することで成り立つものであることから、その安定的な供給の実現においては極めて重要なものと認識しております。

 

③地域コミュニティとの共生

地域包括ケアシステムにおける基本的な考え方として、医療や介護、行政などといった枠組みを超え地域全体で協働、連携して介護を必要とする方々とその家族を支えることで、安心して生活を送れる環境を実現させるものであると認識しております。

当社においては、コミュニティNo.1エリアの確立を通した地域との共生関係の創造は当社のサステナビリティ経営に欠くことのできないものであると共に、その地域のサステナビリティを高めることに資するものと考え、引き続き「コミュニティNo.1戦略」を積極的に推進し、早期の100エリアの実現を目指してまいります。

 

④ガバナンスの強化

サステナビリティ経営における最も重要なもののひとつが、ステークホルダーとの信頼であると考えております。その信頼をより強固なものとしていくために取締役会の実効性の強化とコンプライアンスの徹底につきましては、社会や市場からの要請に的確に応えるべく引き続き取り組みを進めてまいります。

 

(2)人的資本経営の取り組みについて

当社グループにおきましては、介護サービスを事業の中心に据える事業者として、成長に不可欠な人材の採用・育成に力を注いでおります。

特にサービス拠点の介護能力・技能・体制への評価である各種加算の取得にもかかわる一定の能力・技能を有する介護福祉士や、医療ニーズに対応する看護師、介護サービスをコーディネートする介護支援専門員(ケアマネジャー)等の有資格者の拡充により、弛まぬ品質向上を推進するため、教育研修、資格取得支援の充実化への取り組みや効率的な採用活動を行っています。あわせて継続的な処遇改善に取り組みながら、多様な人材が様々なライフイベント、ライフスタイルに合わせて長く安心して働けるための制度とインフラ整備により、働きがいのある就労・職場環境を整え、従業員が活き活きと働き活躍できる組織作りに努めております。

①有資格者の拡充(人数)

資格名

2021年3月末

2022年3月末

2023年3月末

2024年3月末

実績

実績

目標

実績

目標

介護福祉士

3,538

3,982

4,300

4,196

4,700

看護師

1,928

2,154

2,350

2,270

2,500

 

②女性活躍推進(女性幹部割合:%)

役職名

2021年3月末

2022年3月末

2023年3月末

2024年3月末

実績

実績

目標

実績

目標

課長以上

23.3

31.3

33.0

30.8

34.0

(注)「5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」における管理職は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)介護保険制度について

当社グループの主要な事業であります介護サービス事業のうち、介護保険法上の訪問介護、訪問入浴介護、居宅介護支援、訪問看護、福祉用具貸与・販売、通所介護(デイサービス)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム)、短期入所生活介護(ショートステイ)、看護小規模多機能型居宅介護等のサービスが、当社グループの連結売上高の大部分を占めるため、当社グループの事業は介護保険法の影響を強く受けることとなり、次のようなリスクがあります。

①  法的規制について

介護保険法に基づく介護サービスを行うには、事業所としての指定を都道府県知事等から受ける必要があります。指定を受けた事業所は、サービス毎に定められた事業の人員、設備及び運営に関する基準、並びに労働法規(労働基準法及び最低賃金法等)を遵守する必要があります。この基準及び労働法規を遵守することができなかった場合やサービス費を不正に請求した場合などにおいては、指定の取消又は停止処分を受ける可能性があります。

また、事業所の指定取消処分がなされ、その理由となった不正行為に対して事業者(法人)の組織的関与が認められた場合、当該事業者及びそのグループ会社(当該事業者の親会社、子会社、兄弟会社)は、同一のサービス類型の他事業所について新規指定や更新を受けることができないものとされております(連座制)。なお、指定事業所としての指定は6年ごとに更新を受けなければ効力を失うものとされております。

当社グループでは、介護サービスを提供する子会社各社において、選任された法令遵守責任者を中心とした業務管理体制の中で事業所の運営体制を常時指導・監督するとともに、当社品質管理部を中心として、各種マニュアルの整備及び研修を充実させることで管理体制の強化や教育の徹底を行い、適切な事業経営に努めております。また、当社人事部を中心として、研修・指導を実施することで各事業所における労働法規の遵守に努めております。

なお、当該リスクが顕現する可能性については、近年において軽微な指導や自主的な過誤調整などが発生しているものの、指定の取消又は停止処分を受ける事案は発生しておりません。しかし万一、一部の事業所において指定の取消又は停止処分を受けた場合には、当該事業所の収益を失う可能性があります。さらに、連座制が適用された場合には、当該子会社及びグループ各社における当該サービス類型の事業所の新規指定及び更新を受けられず、計画している収益を達成できない可能性があります。

②  介護保険制度の改正について

介護保険法については、定期的に法律全般に関する検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等が行われるとともに、概ね3年に1度介護報酬の改定が行われることとされております。2021年4月に行われた介護報酬改定では、全体として0.70%のプラス改定となっており、引き続き給付の適正化が行われる一方で、介護サービス事業者として感染症等への対応力強化やICT化の促進が求められるなど、メリハリある改定内容となっております。

介護サービスに係る単位数、地域区分による一単位の単価及び一人当たりの支給限度額等については、介護保険法及びその他の省令により定められているため、その変更等は当社グループの収益性に影響を与える可能性があります。さらに、高齢化の進展に伴い年金・医療・介護等の社会保障財政上の課題が生じ、お客様や介護サービス事業者にとって不利となるような制度の見直しが行われた場合には、お客様数や売上単価の減少によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループでは、多様なサービスアイテムを揃えることで地域性やお客様ニーズの変化に対応していく方針のもと、引き続き制度改正に対して広く情報収集に努め、柔軟に対応してまいります。

 

(2)有資格者の確保について

当社グループがお客様に提供するほとんどの介護サービスについては、看護師・介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護福祉士・実務者研修修了者等の有資格者によるサービスが義務付けられております。

当社グループでは、給与や待遇の改善により労働環境の改善を図り、有資格者の採用を強化すると同時に、実務経験に応じた段階的な技術向上を図り資格の取得を推奨するなど、有資格者の確保に努めております。

しかし、いずれの職種においても同業他社及び医療機関等と雇用関係で継続的に競合しているため、今後有資格者の確保が思うように進まない場合、当社グループの事業の維持、拡大に影響を与える可能性があります。

(3)安全管理及び健康管理について

当社グループの提供する介護サービス事業のお客様は主に要介護認定を受けた高齢者を対象としており、お客様の転倒事故の発生や状態急変といった体調悪化の危険が高いものと考えられます。また、感染症等がお客様やスタッフにおいて生じた場合には、状況に応じて当社グループの判断や自治体からの要請によりサービスの縮小や休止となる状況が生じるおそれがあります。

当社グループは、介護サービス手順のマニュアルによる標準化や社内研修の充実により、事故の発生防止や感染症の感染・拡大の防止、お客様の状態急変等の緊急時対策について積極的に取り組んでおり、緊急時には当社において対策本部を立ち上げ、グループの状況を把握・指示できる体制をとっております。しかし万一、サービス提供時に重大な事故等が発生し、又は感染症が拡大し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

(4)災害等発生時の対応について

グループホームや有料老人ホーム等の介護施設において地震・洪水等の災害や火災が発生した場合、入居されているお客様は主に要介護認定を受けた高齢者であるため、避難が困難となる危険性を有しております。

当社グループでは、お客様が宿泊される全ての施設においてスプリンクラーを設置しております。また、防災マニュアルを作成し周知徹底するほか、防火管理者等を選任し避難訓練や防火訓練を実施する等火災の予防や被害発生の最小化に努めております。2021年4月の介護報酬改定では、2024年3月31日までに在宅サービスも含めた各事業所における「感染症や自然災害発生時の事業継続計画」の策定が義務付けられましたが、当社グループでは計画策定が着実に進んでおり、今後定期的な見直しも図ってまいります。

しかし、万一災害等が発生し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

(5)お客様の情報管理について

当社グループが提供しているサービスは主にお客様個人を対象としているため、当社グループのスタッフは、お客様本人の個人情報はもちろん、そのご家族等を含めた様々な個人情報に日々接することになります。これらの情報は、その機密保持について十分な配慮をしなければならないと認識しております。

当社グループでは、個人情報の管理方法についての教育研修を定期的に実施するほか各種規程・マニュアルを整備するなど、様々な機会でその重要性を周知徹底しておりますが、万一情報管理上の問題が発生した場合、当社グループへの信用が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)コンプライアンスについて

当社グループは、社会的信用が企業価値に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループでは、コンプライアンスの徹底による社会的信用の構築を図るため、コンプライアンス推進の方針を定め、教育研修を行うなどにより、事業の適切性や運営の透明性維持を図り、従業員のコンプライアンスに対する意識の啓蒙・強化に努めております。また、コンプライアンス違反の早期発見・是正を図るために、従業員から通報・相談を受け付ける内部通報窓口を整備しております。こうした内部統制体制及びコンプライアンス体制の検証の場として、内部統制委員会を設けており、その改善に努めております。

しかし、万一コンプライアンスに反する事態が発生した場合などには、当社グループへの社会的信用が低下し、業績に影響を与える可能性があり、その程度につきましては、当該事象の内容により様々であると認識しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が続くなか、行動制限の緩和等から経済活動に回復の動きはみられたものの、資源・原材料価格の上昇や物価の高騰、地政学的リスクのさらなる長期化の懸念や金融資本市場の変動等による影響を注視する必要があり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く経営環境は、超高齢社会を背景に今後もサービスに対する需要の増加が予想されております。その一方で、生産年齢人口の減少とともに人材の確保がより一層厳しさを増しており、従業員の採用・定着に加えて生産性の向上が重要な経営課題となっております。また、新型コロナウイルス感染症に対しては、感染拡大下においてはその影響を色濃く受ける形となり、予断を許さない状況は続いております。

感染拡大が長期化している状況下において、当社グループでは、感染症の波による影響は不可避であることを前提とした上で、将来を見据えた積極的な投資姿勢を継続し、新規出店に加えて、新たなコンセプトによる会社設立やグループ内事業再編を進めてまいりました。当連結会計年度における新規サービス拠点は訪問看護を中心に34ヶ所、新会社としては「セントケアDX株式会社(事業開始:2022年11月)」「セントケア岡山株式会社(事業開始:2022年11月)」「セントケアりまいん株式会社(事業開始:2023年5月)」「セントケア・Replus株式会社(事業開始:2023年10月予定)」の4社を設立しております。

業績につきましては、売上高では出店効果や2021年11月に連結子会社となった株式会社福祉の里の業績が通期で寄与したこともあり、売上高は525億51百万円(前年同期比7.5%増)と伸長しましたが、新型コロナウイルス感染症による第7-8波の影響は大きく、当社グループのお客様や従業員においても陽性者・濃厚接触者数が増加したことで既存のお客様による利用控えや休廃止等が顕著となりました。一方で、そのような事業環境の中でも営業を強化したことが奏功し、新規のお客様獲得が進んだことで、サービス全般で増客傾向となっております。

費用面では、従業員に対しての特別勤務手当や休業補償、見舞金等の支給を継続して実施いたしました。これらが想定を上回って推移したことや積極出店を進めたことで人件費や外注派遣費が増加いたしました。この他、衛生用品の購入等による経費増や水道光熱費の上昇などが利益を押し下げる主たる要因となりました。

この結果、営業利益は25億39百万円(同11.4%減)、経常利益では営業外収益に自治体からの物価高騰に伴う支援給付金等を計上したこともあり27億9百万円(同3.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億13百万円(同6.7%減)となりました。

 

当連結会計年度におけるセグメントの業績を示すと、次のとおりであります(セグメント間取引を含む)。

 

・介護サービス事業

訪問系サービスでは、主に訪問介護や訪問入浴、居宅介護支援において株式会社福祉の里が業績に寄与しました。訪問看護では前期に開設した拠点が収益貢献したものの、当連結会計年度に15ヶ所と積極的に新規開設を進めたことで費用が増加しました。また、既存拠点においても看護師の確保を進めたものの、集客面で想定より伸び悩んだことにより減益となりました。

施設系サービスでは、看護小規模多機能型居宅介護において当連結会計年度に6ヶ所の開設を行っており、順調に規模拡大を進めております。また、前期開設拠点の貢献と既存拠点の改善が進んだことで増収増益となっております。一方で、主にショートステイにおいて、新型コロナウイルス感染症の拡大による休止等の影響を受けたことで減益となりました。

これらの結果、売上高は515億49百万円(前年同期比7.9%増)、営業利益は17億9百万円(同20.1%減)となりました。

なお、当社グループが推し進めております「コミュニティNo.1戦略」については、当連結会計年度において17エリアで開始しており、累計で活動中のエリアは33ヶ所となっております。

 

・その他

その他においては、セントワークス株式会社における労働者派遣事業及び介護保険ASPシステムの販売事業で顧客が減少しました。その結果、売上高は14億21百万円(前年同期比5.3%減)、営業利益は58百万円(同25.0%減)となりました。

 

また、当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億39百万円増加し295億30百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ10億48百万円増加し148億85百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億90百万円増加し146億45百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得による支出長期借入金の返済による支出等があった一方で税金等調整前当期純利益26億60百万円等の営業活動による収入に より前連結会計年度末に比べ10億81百万円増加し、当連結会計年度末には66億87百万円となりました。

 

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、20億3百万円(前年同期比22.0%減)となりました。これは主に法人税等の支払が9億81百万円あった一方で、税金等調整前当期純利益26億60百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は、11億20百万円(同30.4%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出11億68百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果得られた資金は、1億98百万円(前年同期は11億38百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出8億82百万円、配当金の支払4億99百万円、自己株式の取得による支出が2億46百万円あった一方で、長期借入れによる収入20億円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

介護サービス事業

1,648,512

107.9

その他

144,856

97.4

合計

1,793,369

107.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は仕入価格によっております。

 

c.受注実績

該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

介護サービス事業

51,545,434

107.9

その他

1,006,441

92.0

合計

52,551,875

107.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

千葉県国民健康保険団体連合会

6,096,220

12.5

6,427,787

12.2

神奈川県国民健康保険団体連合会

5,156,939

10.6

5,427,367

10.3

東京都国民健康保険団体連合会

4,600,225

9.4

4,694,875

8.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、売上高は525億51百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は25億39百万円(同11.4%減)、経常利益は27億9百万円(同3.8%減)及び親会社株主に帰属する当期純利益は17億13百万円(同6.7%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります(セグメント間取引を含まない)。

・介護サービス事業

売上高では、施設系サービスにおいては、前期8ヶ所の開設に加えて、今期も6ヶ所を開設した看護小規模多機能型居宅介護(2023年3月末時点49ヶ所)において10億21百万円、お客様数の増加により増収となりました。また、訪問系サービスにおいては、当期15ヶ所を開設した訪問看護(同118ヶ所)において集客が進み5億62百万円の増収となったほか、訪問介護においても各種加算を取得したことなどにより、6億3百万円の増収となりました。

利益面では、施設系サービスにおいては、新規開設拠点の費用負担や主にデイサービスやショートステイで新型コロナウイルス感染症による休止等の影響があった一方で、前期に開設した看護小規模多機能型居宅介護・小規模多機能型居宅介護が利益貢献した結果、増益となりました。

また、訪問系サービスにおいては、訪問看護で前期に開設した拠点が収益貢献した一方で、新規拠点開設の費用負担に加えて、既存拠点の採用先行による人件費増加などがあった結果、減益となりました。

 

・その他

セントワークス株式会社において主に労働者派遣事業で顧客が減少したことにより、88百万円の減収となりました。

 

計画に対する状況としては、売上高の計画に対する達成率は100.2%、営業利益の計画に対する達成率は98.8%、経常利益の計画に対する達成率は104.2%、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成率は102.6%となりました。

 

②財政状態の分析

当社は、今後展開する事業活動のための資金確保を前提とした、健全なバランスシートの維持に努めることを財務方針としております。

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末(以下「前期末」という)より20億39百万円(前期末比7.4%)増加し、295億30百万円となりました。

流動資産は、前期末より19億84百万円(同14.1%)増加し、161億10百万円となりました。増加の主な要因としては、現金及び預金が10億81百万円(同19.3%)、売掛金が8億28百万円(同11.2%)増加したことによるものであります。

固定資産は、前期末より54百万円(同0.4%)増加し、134億20百万円となりました。増加の主な要因としては、有形固定資産の内、建設仮勘定が2億7百万円(同48.2%)、リース資産が1億93百万円(同6.9%)、無形固定資産の内、ソフトウェアが1億8百万円(同34.7%)減少した一方で、建物及び構築物が5億80百万円(同13.7%)増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の負債は前期末より10億48百万円(同7.6%)増加し、148億85百万円となりました。

流動負債は、前期末より3億71百万円(同5.2%)増加し、74億56百万円となりました。増加の主な要因としては、1年内返済予定の長期借入金が3億67百万円(同47.9%)増加したことによるものであります。

固定負債は、前期末より6億77百万円(同10.0%)増加し、74億29百万円となりました。増加の主な要因としては、長期借入金が7億50百万円(同49.7%)増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の純資産は前期末より9億90百万円(同7.3%)増加し、146億45百万円となりました。増加の主な要因としては、自己株式の取得により2億46百万円(前期末は0百万円)減少した一方で、利益剰余金が12億13百万円(同11.9%)増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

a.資金需要

新規事業所の開設に伴う建物やソフトウェア等の取得を中心とした設備投資や運転資金、借入金の返済、利息の支払い、配当金の支払い及び法人税の支払い等に充当しております。

b.資金の源泉

主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入により、必要とする資金を調達しております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により不確実性が高まっていることから、売掛債権流動化、当座貸越契約及びコミットメントライン契約による手元流動性と資金調達枠の確保に努めております。なお、当座貸越契約及びコミットメントライン契約に係る当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり必要な見積りについては、合理的な基準に基づき実施しております。

特に、固定資産の減損損失及び繰延税金資産の回収可能性については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。