【連結財務諸表注記】
1 報告企業
小野薬品工業株式会社(以下、当社)は日本に所在する企業であります。当社の登記している本社および主要な事業所の住所はホームページ(URL https://www.ono-pharma.com/ja)で開示しております。
当社の連結財務諸表は、当社および子会社(以下、当社グループ)、並びに当社グループの関連会社に対する持分により構成されております。当社グループは、医療用、一般用医薬品等の製造・販売を行っております。当社グループの事業内容および主要な活動は、注記「6 セグメント情報」に記載しております。
2 作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表規則」第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定により、IFRS会計基準に準拠して作成しております。
連結財務諸表は、注記「3 重要性がある会計方針」に記載している金融商品などを除き、取得原価を基礎として作成しております。
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、特に注釈のない限り、百万円未満の端数を四捨五入して表示しております。
当社グループは、当連結会計年度より、以下の基準を適用しております。
なお、上記基準書の適用による当社グループの連結財務諸表に与える重要な影響はありません。
3 重要性がある会計方針
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動にさらされ、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
当社グループは、投資先の議決権の過半数を有していなくても、当該議決権が投資先の関連性のある活動を一方的に指図する実質上の能力を有するのに十分である場合には、投資先に対してパワーを有していると判断しております。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結財務諸表に含まれております。子会社に対する所有持分の変動で支配の喪失とならないものは、資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本の部に直接認識されております。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表の調整を行っております。
連結財務諸表の作成にあたり、当社グループ内の債権債務残高および内部取引高、ならびに内部取引により生じた未実現損益を相殺消去しております。
関連会社とは、当社グループが、その財務および営業の方針に対して重要な影響力を有している企業をいいます。重要な影響力とは、投資先の財務および営業の方針に対する支配はないが、それらの方針の決定に関与する力をいいます。
関連会社への投資は、連結財政状態計算書上、取得原価で当初認識し、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法を用いて会計処理しております。関連会社が適用する会計方針が、当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表の調整を行っております。
企業結合は、取得法を適用して会計処理をしております。
取得対価は、企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、および段階的に達成される企業結合の場合には、取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計として測定しております。移転された対価は、取得日の公正価値で測定しております。非支配持分は、公正価値または被取得企業の識別可能な資産および負債の公正価値に対する持分割合相当額で測定しております。
この取得対価が、取得日における識別可能な資産および負債の正味価額を上回る場合に、その超過額をのれんとして認識しております。被取得企業の識別可能な資産および負債の正味価額が取得対価を上回る場合には、その超過額を取得日において純損益として認識しております。
取得関連費用は発生時に純損益で認識しております。
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しております。また、グループ内の各企業はそれぞれ独自の機能通貨を定めており、各企業の取引はその機能通貨により測定しております。
外貨建取引は、取引日における直物為替相場またはそれに近似するレートにより機能通貨に換算しております。外貨建の貨幣性資産および負債は、決算日の直物為替相場により機能通貨に換算しております。当該換算および決済により生じる換算差額は損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産およびキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
在外営業活動体の資産および負債は、決算日の直物為替相場により、収益および費用は平均為替相場を用いて、それぞれ表示通貨に換算しており、その換算差額はその他の包括利益として認識しております。在外営業活動体が処分された場合には、当該営業活動体に関連する累積換算差額を処分した期の損益として認識します。
金融資産のうち売上債権等は、これらの発生日に当初認識しております。その他のすべての金融資産は当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しております。金融資産は公正価値で測定する金融資産、償却原価で測定する金融資産に分類しております。金融資産の通常の方法による売買はすべて、決済日基準により認識および認識の中止を行います。通常の方法による売買とは、市場における規則または慣行により一般に認められている期間内での資産の引渡しが要求される金融資産の購入または売却をいいます。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される場合を除き、公正価値に当該金融資産に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しております。純損益を通じて測定する金融資産の取引費用は、純損益に認識しております。
(a)償却原価で測定する金融資産
金融資産は、次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
当初認識後、償却原価で測定する金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定しております。実効金利法による償却および認識を中止した場合の利得または損失は、連結損益計算書において損益として認識しております。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品
以下の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に分類しております。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定することを指定した資本性金融商品は、当初認識後、公正価値で測定しその変動を、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動として、その他の資本の構成要素に含めております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の認識を中止した場合、当該金融資産に係る公正価値の純変動の累積額を直ちに利益剰余金に振り替えております。なお、当該金融資産からの配当金については、支払を受ける株主の権利が確定した時に、連結損益計算書において損益として認識しております。
(d)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記の償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品、およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
当初認識後、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、公正価値で測定し、その変動を連結損益計算書において損益として認識しております。
金融資産は、便益を受領する権利が消滅したか、譲渡されたか、または実質的に所有に伴うすべてのリスクと経済価値が移転した場合に認識を中止しております。
期末日ごとに、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しており、償却原価で測定される金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しております。具体的には、信用リスクが当初認識時点以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。一方、信用リスクが当初認識時点以降に著しく増大している場合には、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。信用リスクが著しく増加しているか否かの判断は、各期末日ごとに当初認識以降の債務不履行の発生リスクの変化に基づいて判断しており、債務不履行の発生リスクに変化があるか否かの評価を行う際は、期日経過情報のほか、当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報を考慮しております。なお、金融資産に係る信用リスクが期末日時点で低いと判断される場合には、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識時点以降に著しく増大していないと評価しております。また、予想信用損失は、契約上、企業に支払われるべき金額と企業への受取が見込まれる金額との差額の割引現在価値に基づいて測定しております。ただし、売上債権等については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無に関わらず、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。金融資産に係る貸倒引当金の繰入額および貸倒引当金を減額する事象が発生した場合の戻入額は、連結損益計算書において損益として認識しております。
当社グループは、償却原価で測定する金融負債を保有しております。償却原価で測定する金融負債は、公正価値に当該金融負債に直接帰属する取引費用を控除した金額で当初測定しております。当初認識後、償却原価で測定する金融負債の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、実効金利法による償却および認識が中止された場合の利得および損失は、連結損益計算書において損益として認識しております。
金融負債は、契約上の義務が履行、免責されたか、または失効した場合に認識を中止しております。
金融資産と金融負債は、認識された金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、かつ純額ベースで決済するかまたは資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で表示しております。
当社グループは、為替レートの変動によるリスクに対処するため、デリバティブとしての先物為替予約を契約しております。為替予約は、契約が締結された時点の公正価値で当初測定され、その後も公正価値で再測定しております。為替予約の公正価値変動は連結損益計算書において損益として認識しております。ただし、キャッシュ・フロー・ヘッジの有効部分は連結包括利益計算書においてその他の包括利益として認識しております。
当社グループは、為替レートの変動によるリスクに対処する観点から、デリバティブとしての先物為替予約をヘッジ手段としてキャッシュ・フロー・ヘッジに指定しております。
ヘッジ関係の開始時に、当社グループはヘッジ取引を行うための戦略に従い、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係について文書化しております。さらに、ヘッジの開始時およびヘッジ期間中に、当社グループは、ヘッジ手段がヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を相殺するのにきわめて有効であるかどうかを文書化しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジの会計処理は以下のとおりであります。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定され、かつ、適格なデリバティブの公正価値の変動の有効部分はその他の包括利益に認識し、その他の資本の構成要素に累積します。利得または損失のうち非有効部分は直ちに純損益に認識されます。
その他の包括利益で認識し、資本に累積されていた金額は、ヘッジ対象が純損益に影響を与えた期間に、認識されたヘッジ対象と同じ項目において純損益に振り替えます。しかし、ヘッジされた予定取引が非金融資産や非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、従前にその他の包括利益で認識し、資本に累積されていた利得または損失は、資本から振り替えられ、非金融資産または非金融負債の取得原価の当初測定に含められます。
ヘッジ手段が失効、売却、終結または行使された場合、またはもはやヘッジ会計として適格でない場合には、ヘッジ会計を中止しています。その他の包括利益に認識し、資本に累積されていた利得または損失は、そのまま資本に残され、予定取引が最終的に純損益に認識された時点において純損益に振り替えられます。予定取引がもはや発生しないと見込まれる場合には、資本で累積された利得または損失は直ちに純損益に認識されます。
各報告日現在で活発な金融市場において取引されている金融商品の公正価値は、市場における公表価格またはディーラー価格を参照しております。活発な市場が存在しない金融商品の公正価値は、適切な評価技法を使用して算定しております。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されます。
棚卸資産の取得原価には、原材料、直接労務費およびその他の直接費用ならびに関連する製造間接費を含んでおります。
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定し、原価の算定にあたっては、主として総平均法を使用しております。また、正味実現可能価額は、通常の事業過程における予想売価から、完成に要する見積原価および販売に要する見積費用を控除して算定しております。
当社グループは、有形固定資産の測定方法として原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、資産除去債務の当初見積額等が含まれます。有形固定資産の減価償却は、使用可能となった時点から開始しております。
各資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって定額法で減価償却を行っております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。
・建物及び構築物 15-50年
・機械装置及び運搬具 4-15年
・工具器具及び備品 2-20年
なお、見積耐用年数および減価償却方法等は、各報告期間末日に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
有形固定資産については、各報告期間末日に各資産についての減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候がある場合には、その資産またはその資産の属する資金生成単位ごとの回収可能価額を見積っております。
回収可能価額は、資産または資金生成単位の売却費用控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定しております。資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合には、回収可能価額まで帳簿価額を減額し、減損損失を認識しております。
なお、使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値と当該資産に固有のリスク等を反映した税引前の割引率を使用して、現在価値に割り引くことにより算定しております。
売却費用控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏付けられた適切な評価モデルを使用しております。
過年度に認識した減損損失については、損失の減少または消滅の可能性を示す兆候が存在しているかどうかについて評価を行っております。そのような兆候が存在する場合には、当該資産または資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が資産または資金生成単位の帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度に減損損失が認識されていなかった場合の減価償却累計額控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻し入れております。
当社グループは、無形資産の測定方法として原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で計上しております。ただし、個別に取得した耐用年数を確定できない無形資産は、取得原価から減損損失累計額を控除した額で計上しております。
無形資産の償却は、使用可能となった時点から開始しております。耐用年数を確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産を除き、各資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却を行っております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。
・販売権 8-17年
・ソフトウェア 3-8年
販売権の償却費の算定に用いる見積耐用年数は、特許権の有効期間等を考慮して決定しております。
なお、見積耐用年数および償却方法は、各報告期間末日に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
開発(または内部プロジェクトの開発局面)における支出は、以下のすべてを立証できる場合に限り、資産として認識することとしております。
(ⅰ) 使用または売却できるように無形資産を完成させることの、技術上の実行可能性
(ⅱ) 無形資産を完成させ、さらにそれを使用または売却するという意図
(ⅲ) 無形資産を使用または売却できる能力
(ⅳ) 無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益を創出する方法
(ⅴ) 無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用または売却するために必要となる、適切な技術上、財務上およびその他の資源の利用可能性
(ⅵ) 開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
当社グループは、医療用医薬品の認可および開発活動に関連したリスクと不確実性により、規制当局からの販売承認を得ない限り、無形資産を認識する資産計上規準は満たされないと判断しております。販売承認前に発生した内部発生開発費は、研究開発費として発生時に費用計上しております。
無形資産については、各報告期間末日に減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、減損テストを実施しております。また、耐用年数が確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に、減損テストを実施しております。
減損テストは、各資産の回収可能価額を算定し、帳簿価額と比較することにより実施しております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しております。使用価値の算定には、販売予測数量および割引率といった経営者による仮定が使用されております。
使用する割引率は、貨幣の時間価値と当該資産に固有のリスクのうち、将来キャッシュ・フローの見積りを調整していないものを反映した税引前の利率を用いております。
当社グループは、借手としてのリース取引について、リース開始日に、使用権資産を取得原価で、リース負債を未払リース料総額の現在価値として測定しております。
使用権資産は、耐用年数とリース期間のいずれか短い年数にわたって、定額法で減価償却を行っております。
リース料は、利息法に基づき金融費用とリース負債の返済額に配分し、金融費用は連結損益計算書において認識しております。
ただし、無形資産に係るリース、原資産が少額であるリースおよびリース期間が12ヵ月以内の短期リースについては、使用権資産およびリース負債を認識しておりません。少額リースおよび短期リースに係るリース料は、リース料総額をリース期間にわたって、定額法または他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しております。
当社グループの退職給付制度は、主として確定給付制度と確定拠出制度を採用しております。
当社グループは、確定給付制度における給付を支給するための費用を、各報告期間の末日に実施する年金数理計算において、予測単位積増方式により測定しております。再測定は、数理計算上の差異、資産上限額の変動の影響、制度資産に係る収益(利息分除く)を含み、発生期間にその他の包括利益に認識することで直ちに連結財政状態計算書に反映されます。その他の包括利益に認識された再測定は直ちに利益剰余金に振り替えられ、純損益には振り替えられません。過去勤務費用は、制度改訂が行われた期間に純損益に認識しております。利息純額は、確定給付負債または資産の純額に対して、報告期間の期首時点の割引率を使用して計算し、金融費用または金融収益として表示しております。なお、確定給付費用は以下のように分類されます。
・勤務費用(当期勤務費用、過去勤務費用等)
・利息費用純額または利息収益純額
・再測定
連結財政状態計算書上に認識される退職給付に係る負債または資産は、当社グループの確定給付制度における実際の積立不足または積立超過を表しています。この計算による積立超過は、制度からの返還または制度に対する将来掛金の減額という形による利用可能な将来の経済的便益の現在価値を資産上限額としています。
確定拠出型の退職給付に係る拠出は、従業員が関連するサービスを提供した時点で費用として認識しております。
当社グループは、過去の事象の結果として現在の債務(法的債務または推定的債務)を有しており、債務の決済を要求される可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を認識しております。
貨幣の時間的価値が重要な場合には、決済のために要すると見積られた支出額の現在価値で測定しております。現在価値の算定には、貨幣の時間的価値とその負債に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いております。
当社グループは、利息および配当収益等を除き、以下の5ステップを適用することにより収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時または充足するにつれて収益を認識する
製商品の販売は、顧客へ製商品を引き渡した時点で、顧客に製商品の所有に伴う重大なリスクおよび経済価値が移転し、顧客が当該製商品に対する支配を獲得することにより、当社グループの履行義務が充足されると判断しており、当該製商品の引渡時点で収益を認識しております。
製商品の販売から生じる収益は、販売契約における対価から販売数量または販売金額に基づくリベートや値引き等を控除した金額で算定しており、顧客に返金すると見込んでいる対価および第三者のために回収する金額を返金負債として計上しております。リベート等の見積りにあたっては、契約条件や過去の実績などに基づく最頻値法を用いております。また、売上収益は重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ認識しております。
製商品の販売に係る対価は、顧客へ製商品を引き渡した時点から主として1年以内に受領しております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
ロイヤルティ収入は、契約相手先の売上収益等を基礎に算定されたライセンス契約等における対価であり、契約相手先の売上発生に応じて、売上収益として認識しております。
ライセンス収入は、当社グループが第三者との間で締結した開発品または製品の開発・販売権等に関するライセンス契約等に基づいて受領した契約一時金・マイルストンによる収入であり、ライセンス契約等において履行義務が一時点で充足される場合には、契約一時金・マイルストンによる収入については開発権・販売権等を付与した時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で売上収益として認識しております。一方、履行義務が一定期間にわたり充足される場合には、当該対価を契約負債として計上し、個々の契約ごとに決定した履行義務の充足に関する進捗度の測定方法に従い、契約一時金・マイルストンによる収入を予想される開発期間等の一定期間にわたって売上収益として認識しております。
なお、マイルストンによる収入は、事後に重大な戻入が生じる可能性を考慮し、契約上定められたマイルストンが達成された時点から売上収益として認識しております。
ロイヤルティ収入等の取引が重大な金融要素を含む場合、売上収益は実効金利を用いて現在価値で測定しております。ただし、契約に基づく権利の確定時点から1年以内に受領すると見込まれる場合、重大な金融要素の調整は行っておりません。
法人所得税は、当期税金費用と繰延税金費用の合計として表示しております。
当期税金費用は、税務当局に対する納付または税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率および税法は、決算日までに制定または実質的に制定されたものであります。当期税金費用は、その他の包括利益または資本において直接認識される項目から生じる税金を除き、費用として認識しております。
繰延税金費用は、決算日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識しております。繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産または繰延税金負債を計上しておりません。
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
・企業結合取引ではなく、取引時に会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えず、かつ、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引から発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
また、経済協力開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定または実質的に制定された税制から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関して、認識及び情報開示に対する例外を適用しております。
繰延税金資産および繰延税金負債は、決算日までに制定または実質的に制定されている税率に基づいて、当該資産が実現されるまたは当該負債が決済される年度の税率を見積り、算定しております。
当社および一部の国内連結子会社は、グループ通算制度を適用しております。
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除しております。当初の自己株式の購入、売却または消却において利得または損失は認識しておりません。なお、帳簿価額と売却時の対価との差額は資本剰余金として処理しております。
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有する全ての潜在株式の影響を調整して計算しております。
当社は、当社取締役(社外取締役を除く)および当社執行役員に対するインセンティブ制度として、勤務継続型譲渡制限付株式報酬制度および業績連動型譲渡制限付株式報酬制度を導入しております。
・勤務継続型譲渡制限付株式報酬制度
勤務継続型譲渡制限付株式報酬制度における報酬は、付与する当社普通株式の公正価値を参照して測定しており、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。
・業績連動型譲渡制限付株式報酬制度
業績連動型譲渡制限付株式報酬制度のうち、現金決済型の報酬取引に該当する部分については、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を負債の増加として認識しております。また本制度のうち、持分決済型の報酬取引に該当する部分については、付与する当社普通株式の公正価値を参照して測定し、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。
4 重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断
当社グループの連結財務諸表は、収益および費用、資産および負債の測定に関する経営者の見積りおよび仮定を含んでおります。これらの見積りおよび仮定は過去の実績および決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかし、その性質上、将来において、これらの見積りおよび仮定とは異なる結果となる可能性があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は経営者により継続して見直されております。これらの見積りおよび仮定の見直しによる影響は、その見積りおよび仮定を見直した期間およびそれ以降の期間において認識しております。
会計方針を適用する過程で行われた判断および見積り、ならびに会計上の見積りおよび仮定のうち、連結財務諸表に報告された金額に重大な影響を及ぼすものに関する情報は以下のとおりであります。
(1) 無形資産(特許権及びライセンス等)の減損(注記3(8)③、14)
① 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した額
(単位:百万円)
② 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは、無形資産について、各報告期間末日に減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、減損テストを実施しております。また、耐用年数が確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に、減損テストを実施しております。
減損テストは、各資産の回収可能価額を算定し、帳簿価額と比較することにより実施しております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しております。使用価値の算定には、販売予測数量および割引率といった経営者による仮定が使用されております。
使用する割引率は、貨幣の時間価値と当該資産に固有のリスクのうち、将来キャッシュ・フローの見積りを調整していないものを反映した税引前の利率を用いております。
将来の事象によって、減損テストに用いられた仮定が変更され、その結果、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 繰延税金資産の回収可能性(注記3(13)、16)
① 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した額
(単位:百万円)
② 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは、資産および負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、繰延税金資産を回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において、当該一時差異に適用される法定実効税率を使用して繰延税金資産を計上しております。当社グループは、事業計画等に基づいて将来獲得しうる課税所得の時期およびその金額を合理的に見積り、課税所得が生じる可能性を判断しています。
(3) 退職給付会計の基礎率(注記3(10)、22)
① 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した額
(単位:百万円)
② 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは確定給付型を含む複数の退職給付制度を有しております。
確定給付制度債務の現在価値および関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率や利息の純額等の変数についての見積りおよび判断が求められます。
当社グループは、これらの変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、外部の年金数理人からの助言を得ております。
数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
5 未適用の公表済み基準書および解釈指針
注記「37 財務諸表の承認」に記載の承認日までに公表された基準書および解釈指針の新設または改訂のうち、2024年3月31日において当社グループで早期適用しているものはありません。連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書と解釈指針の新設または改訂で当社グループに影響を及ぼす可能性があるものは以下のとおりであります。
なお、IFRS 第18号の適用による当社グループの連結財務諸表に与える影響は検討中であります。
6 セグメント情報
売上収益の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(3) 地域別の売上収益に関する情報
地域別の売上収益の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しております。
(4) 主要な顧客に関する情報
主要顧客に対する売上収益の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
7 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
8 売上債権及びその他の債権
売上債権及びその他の債権の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 信用リスク管理については、注記「32 金融商品」に記載しております。
2 上記のうち、12か月を超えて回収される売上債権及びその他の債権は、前連結会計年度においては該当ありません。当連結会計年度においては11,003百万円であります。
9 有価証券・投資有価証券
有価証券および投資有価証券の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 資本性金融商品に該当する株式は、事業上の関係を強化し、中長期的に企業価値の向上を図ることを目的として保有しているため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の主な銘柄、および公正価値は次のとおりであります。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関する受取配当金の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
期中に処分したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却日時点の公正価値および利得または損失の累計額(税引前)は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 これらは主に取引関係の見直し等により売却したものであります。
2 その他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えた利得または損失の累計額(税引後)は、前連結会計年度2,535百万円、当連結会計年度8,309百万円であります。
10 その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
11 その他の資産
その他の流動資産およびその他の非流動資産の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
12 棚卸資産
棚卸資産の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 費用として認識された棚卸資産の金額は、前連結会計年度57,015百万円、当連結会計年度62,008百万円であります。また、費用として認識された棚卸資産の評価減の金額は、前連結会計年度588百万円、当連結会計年度856百万円であります。
13 有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額および減損損失累計額の増減は次のとおりであります。
取得原価
(単位:百万円)
減価償却累計額および減損損失累計額
(単位:百万円)
帳簿価額
(単位:百万円)
(注) 1 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「研究開発費」に含めております。
2 有形固定資産の各項目に関する金額は、使用権資産の金額を含めて表示しております。各項目別の使用権資産の帳簿価額残高は、注記「20 リース取引」に記載しております。
3 有形固定資産の購入に関するコミットメントについては、注記「36 支出に関するコミットメント」に記載しております。
有形固定資産は、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資金生成単位でグルーピングを行っております。
当社グループは、有形固定資産について前連結会計年度498百万円、当連結会計年度51百万円の減損損失を計上しており、連結損益計算書の「その他の費用」に含めて表示しております。
前連結会計年度および当連結会計年度において認識した減損損失は、除却予定の資産や将来の使用が見込まれない遊休資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額したものであります。なお、回収可能価額は売却費用控除後の公正価値により測定しており、除却予定資産については回収可能価額をゼロとしております。
14 無形資産
無形資産の取得原価、償却累計額および減損損失累計額の増減は次のとおりであります。
取得原価
(単位:百万円)
償却累計額および減損損失累計額
(単位:百万円)
帳簿価額
(単位:百万円)
(注) 1 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「研究開発費」に含めております。
2 上記の無形資産のうち未だ使用可能でない無形資産は、前連結会計年度末および当連結会計年度末において、それぞれ17,191百万円および13,461百万円であります。このうち、主なものは、「特許権及びライセンス等」のうち個別に取得した仕掛研究開発費で、未だ研究・開発段階であるため、当局の認可を取得し最終的に製品化される段階まで、使用可能な状態にないものであります。
3 無形資産の購入に関するコミットメントについては、注記「36 支出に関するコミットメント」に記載しております。
重要な無形資産の内訳および帳簿価額は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 個別に取得した仕掛研究開発費および販売権は、ライセンサーへの導入一時金およびマイルストンペイメント等であり、主なものは次のとおりであります。
重要な無形資産の平均残存償却年数は次のとおりであります。
(3) 減損損失
無形資産については、各報告期間末日に減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、減損テストを実施しております。また耐用年数が確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に、減損テストを実施しております。
減損テストは、各資産の回収可能価額を算定し、帳簿価額と比較することにより実施しております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しております。使用価値の算定には、販売予測数量および割引率といった経営者による仮定が使用されております。
使用する割引率は、貨幣の時間価値と当該資産に固有のリスクのうち、将来キャッシュ・フローの見積りを調整していないものを反映した税引前の利率を用いております。
使用価値の測定に用いた当社グループの割引率は、加重平均資本コストを基礎に算定しており、前連結会計年度の割引率(税引前)は7.2%~12.2%、当連結会計年度の割引率(税引前)は5.5%~11.1%であります。
減損テストの結果、前連結会計年度においては販売権について1,000百万円、当連結会計年度においては販売権(主にジョイクル関節注およびパーサビブ静注透析用)について11,134百万円および仕掛研究開発費について3,700百万円の減損損失を認識しております。販売権の減損損失は、収益性の低下により帳簿価額を回収可能価額まで減額したものであり、回収可能価額は使用価値を基礎に算定しております。仕掛研究開発費の減損損失は、新薬の開発中止に伴い認識したものです。販売権の減損損失は連結損益計算書の「売上原価」、仕掛研究開発費の減損損失は「研究開発費」にそれぞれ含めて計上しております。
15 持分法で会計処理されている投資
持分法適用会社の合算した要約財務情報は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 株式の相場が公表されている関連会社はありません。
16 法人所得税
各連結会計年度末における繰延税金資産および繰延税金負債は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
繰延税金資産および繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳および増減は、次のとおりであります。
(前連結会計年度)
(単位:百万円)
(当連結会計年度)
(単位:百万円)
(注) 1 繰延税金費用と損益で認識された金額との差額は、在外営業活動体の換算差額等であります。
2 日本における前連結会計年度および当連結会計年度の繰延税金資産および繰延税金負債の計算に使用した法定実効税率は、それぞれ30.6%であります。
3 繰延税金負債を認識していない子会社の投資に係る将来加算一時差異の金額は、前連結会計年度末7,580百万円、当連結会計年度末11,099百万円であります。これは、当社グループが一時差異の取り崩しの時期をコントロールすることが可能であり、一時差異が予測可能な期間内に解消しないことが確実であるためです。
4 注記「2 作成の基礎 (4)会計方針の変更」に記載のとおり、当社グループは、IAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を当連結会計年度から適用しており、前連結会計年度の関連する数値について会計方針の変更による遡及修正を反映させています。
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金は、次のとおりであります。
なお、将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金は税額ベースです。
(単位:百万円)
(注) 繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効予定は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
法人所得税の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 当社グループにおいては、法人税、住民税および事業税が課されており、これらを基礎として計算した前連結会計年度および当連結会計年度の当期税金費用の適用税率は30.6%であります。ただし、海外子会社についてはその所在地における税率を使用しております。
2 当社グループは、経済開発協力機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定または実質的に制定された税制から生じる法人所得税に対するエクスポージャーの評価を実施しています。第2の柱モデルルールの法人所得税に対するエクスポージャーに重要性はありません。
適用税率と平均実際負担税率との差異の内訳は次のとおりであります。
(注) 適用税率と平均実際負担税率の調整に使用した適用税率は当社の法定実効税率であります。
17 仕入債務及びその他の債務
仕入債務及びその他の債務の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
18 その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
19 担保に供している資産
担保に供している資産は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 関税法・消費税法に基づき、輸入取引に伴う関税・消費税の納期限延長制度を利用する際の担保として供託しております。
20 リース取引
(1)使用権資産
使用権資産は、連結財政状態計算書の「有形固定資産」に含めて表示しております。
当社グループがリース取引を行うのは、主に、オフィス、駐車場および車両であります。一部の契約には更新オプションが含まれており、また、契約には購入選択権、変動リース料およびエスカレーション条項は付されておらず、追加借入および追加リース等のリース契約によって課された制限はありません。
当社グループが借手となるリース情報は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(2)リース負債
当社グループのリース負債の満期分析は、注記「32 金融商品 (4) 流動性リスク管理」に記載しております。
(3)使用権資産に関連する損益
純損益に認識された金額の内訳は次のとおりであります。
(注)リース負債に係る金利費用は、注記「29 金融収益および金融費用」に記載しております。
(4)キャッシュ・フロー計算書で認識された金額
キャッシュ・フロー計算書で認識された金額は次のとおりであります。
21 その他の負債
その他の流動負債およびその他の非流動負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
22 退職給付
当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度および退職一時金制度を設けております。当社では、2004年10月1日より従来の確定給付企業年金(旧厚生年金基金加算年金)と税制適格退職年金の一本化を行い、新しい確定給付企業年金を導入しており、退職一時金制度の一部については、確定拠出年金制度の選択権も付与しております。また、当社では給付債務の積立不足額を補うため退職給付信託を設定しております。
さらに、海外子会社4社については、確定拠出年金制度を採用しております。国内子会社2社については、退職一時金制度のほか企業年金基金制度(複数事業主制度)に加入しております。
確定給付債務の現在価値および関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率や利息の純額等の変数についての見積りおよび判断が求められます。当社グループは、これらの変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、外部の年金数理人からの助言を得ながら、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動により、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
連結財政状態計算書上の確定給付制度に係る負債および資産の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
確定給付制度債務の変動は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1 確定給付制度債務の加重平均支払年数は前連結会計年度末14.8年、当連結会計年度末14.0年であります。
2 確定給付制度の再測定とは、「退職給付に係る負債」の数理計算に用いた仮定と実際との差異および数理
計算上の仮定の変更による影響額であります。
制度資産の公正価値の変動は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 当連結会計年度末における翌連結会計年度の確定給付企業年金制度への拠出見込額は1,710百万円であります。
資産の性質およびリスクで区分した制度資産の公正価値は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当社グループの制度資産の運用方針は以下のとおりであります。
当社グループの制度資産運用に関する基本方針は、確定給付企業年金規約に規定した年金給付および一時金等の支払いを将来にわたり確実に行うために、許容されるリスクの範囲内で、必要とされる総合収益を長期的に確保することを目的としています。
目標とする収益率は、将来にわたって健全な確定給付企業年金運営を維持するために必要な収益率、具体的には年金財政上の予定利率を上回ることを目標としています。
その運用目標を達成するための資産構成は、基本方針と適合したものであることを当社および運用受託機関の双方が確認することとしており、また、資産構成割合は、必要に応じて見直しを行うものとしています。
基本方針は当社グループの状況、当社グループを取り巻く制度や環境の変化に応じて変更することができるものとしています。
確定給付制度が積立超過である場合に、連結財政状態計算書に計上する確定給付資産は、確定給付制度からの返還および将来掛金の減額という利用可能な将来の経済的便益の現在価値を資産上限額としております。
資産上限額の影響の変動は次のとおりであります。
(単位:百万円)
⑤ 確定給付制度に係る損益
連結損益計算書で認識された各連結会計年度の確定給付制度に係る損益は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 上記費用のうち、当期勤務費用は「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「研究開発費」に含めており、利息の純額は「金融収益」または「金融費用」に含めて表示しております。
数理計算に用いた重要な仮定は次のとおりであります。
感応度分析は、重要な数理計算上の仮定が変動した場合に、確定給付制度債務の現在価値に与える影響を示しております。各指数が変動した場合の確定給付制度債務に与える影響は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 本分析においては、その他の変数は一定であることを前提としております。
国内連結子会社の2社については、企業年金基金制度(複数事業主制度)に加入しております。当該制度は総合設立型の確定給付制度であり、自社の拠出に対応する年金資産の額が合理的に計算できないため、確定拠出制度と同様に拠出額を退職給付費用として費用計上しております。
当社グループにおいて、確定拠出制度に係る費用として認識した金額は、前連結会計年度3,286百万円、当連結会計年度3,457百万円であります。
23 資本およびその他の資本項目
授権株式数および発行済株式総数、資本金および資本剰余金の増減は次のとおりであります。
(注) 1 当社の発行する株式は、すべて無額面の普通株式であり、すべての発行済株式は全額払込済みであります。
2 前連結会計年度および当連結会計年度における発行済株式総数の期中増減は、自己株式の消却によるものであります。
自己株式数および自己株式残高の増減は次のとおりであります。
(注) 1 前連結会計年度の自己株式数および自己株式残高の期中増減は、単元未満株式の買取りによる増加、自己株式の消却や譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分による減少によるものであります。
2 当連結会計年度の自己株式数および自己株式残高の期中増減は、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づく自己株式の取得や単元未満株式の買取りによる増加、自己株式の消却や譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分による減少によるものであります。
3 関連会社が保有する自己株式は、前連結会計年度末、当連結会計年度末において、それぞれ34百万円および34百万円であります。
その他の資本の構成要素の増減は次のとおりであります。 (単位:百万円)
(注) 1 在外営業活動体の換算差額は、外貨建で作成された海外子会社の財務諸表を連結する際に発生した換算差額であります。
2 キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の純変動は、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定され、かつその要件を満たすデリバティブ取引の公正価値の変動額のうち有効と認められる部分であります。
3 その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動は、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の評価差額であります。
4 確定給付制度の再測定は、発生時に「その他の包括利益」で認識し、直ちに「その他の資本の構成要素」から「利益剰余金」に振り替えております。
24 配当金
配当金の支払額は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
25 売上収益
当社グループは、売上収益を財またはサービスの種類別および地域別に分解しております。
① 財またはサービスの種類別
(注)当社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(米国、以下「BMS社」という。)、アストラゼネカ社(英国)、メディミューン社(英国)およびその関連会社は、当社およびBMS社が権利を有する抗PD-L1抗体/抗CTLA-4抗体関連特許に関する特許訴訟等の紛争について、2023年7月24日付にて全世界で全面的に和解する契約を締結しました。これに伴い、当連結会計年度において、当該和解に伴う一時金収入17,032百万円をロイヤルティ・その他に計上しております。
② 地域別
地域別の売上収益については、注記「6 セグメント情報 (3) 地域別の売上収益に関する情報」に記載しております。
顧客との契約から生じた債権および契約負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1 重要な契約負債はありません。
2 過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の金額は、前連結会計年度142,522百万円、当連結会計年度160,714百万円であり、主なものはロイヤルティ収入であります。
当社グループにおいて、残存履行義務に配分した取引価格はありません。
当社グループにおいて、資産として認識しなければならない、顧客との契約の獲得の増分コストまたは履行のためのコストはありません。
26 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の主な内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
27 従業員給付費用
当社グループの従業員給付費用の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 従業員給付費用は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「研究開発費」に含めております。
2 上記の従業員給付費用には主要な経営幹部への報酬が含まれております。主要な経営幹部への報酬は、注記 「35 関連当事者」に記載しております。
28 その他の収益およびその他の費用
その他の収益およびその他の費用の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1 前連結会計年度の訴訟費用等には、ダナファーバーがん研究所との特許関連訴訟の和解に伴う一時金などを計上しております。
2 前連結会計年度および当連結会計年度の寄付金には、小野薬品がん・免疫・神経研究財団への拠出金などを計上しております。
29 金融収益および金融費用
金融収益および金融費用の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
30 その他の包括利益
その他の包括利益の各項目別の当期発生額および損益への組替調整額、ならびに税効果額(非支配持分含む)は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
31 1株当たり利益
①基本的1株当たり当期利益
②基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎
(2) 希薄化後1株当たり当期利益
①希薄化後1株当たり当期利益
②希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎
32 金融商品
当社グループは、投資家、債権者および市場の信頼を維持し、将来にわたって持続的成長を続けるための強固な資本基盤を確保し、企業価値を最大化するために必要となる戦略投資を実施する中、安定的な配当を行うとの観点から資本管理を行っております。
当社グループは有利子負債から現金及び現金同等物を控除した純負債および資本(親会社の所有者に帰属する持分および非支配持分)を資本管理の対象としております。当社グループは、事業の業績、将来的な新薬の研究開発やバイオベンチャーとの提携、さらには研究開発リスク補完のための新薬候補化合物の導入等の中期的な戦略計画を評価した上で、株主への資金分配方法を検討しております。このような評価は、支払配当金の水準および当社グループの自己株式の市場買付の意思決定に影響を及ぼします。
当社グループは、営業活動を行う過程において、常に信用リスク、流動性リスク、市場リスク(為替リスク、価格変動リスク)等の様々な財務上のリスクに晒されています。これらのリスクを回避または低減するために、一定の方針に基づきリスク管理を行っております。また、当社グループの方針として投機目的のデリバティブおよび株式等の取引は行っておらず、安全性の高い国債等の債券商品を中心に資金運用を行っており、一部、短期的な資金需要にも応えられるように、流動性が確保された金融資産も組み入れております。また、デリバティブ取引は、外貨での資金決済に伴う為替リスクを軽減するために為替予約を利用しており、これらを当社経理部がコントロールしております。
信用リスクは、顧客が契約上の債務に関して債務不履行になり、当社グループに財務上の損失を発生させるリスクであります。当社は売上債権等について、その全部または一部について回収ができない、または回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行とみなしております。
当社グループの売上債権等は、顧客の信用リスクに晒されております。さらには、その他の製薬企業同様、当社グループも少数の卸売企業を通じて製品を販売しており、これらの卸売企業に関して信用リスクの集中に晒されています。これらの卸売企業のいずれかが財務的困難に直面する場合、当社グループの財務成績に重大かつ不利な影響がもたらされる可能性があります。
当社グループの売上収益は、主にロイヤルティ収入および少数の卸売業者を通じての製商品の販売であり、上位5つのグループ会社(親会社ならびに当該グループ会社含む)に対する売上収益の合計は、連結損益計算書上の売上収益の約70%を占めております。また、当該上位5つのグループ会社に対する売掛金は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ86,297百万円および73,319百万円であります。
当社グループはこれらの取引先の債務不履行による金銭的な損害を軽減するために、与信管理規定に基づき、与信限度額および取引条件を定めることを原則としております。
また、回収懸念の軽減を図るべく取引ごとの期日管理および残高管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を第三者の格付け機関から入手し、信用評価を継続的に実施しております。
なお、当社グループは、重大な金融要素を含んでいない売上債権等に対し、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しておりますが、過去に重要な貸倒損失を計上した実績はありません。
また、余剰資金の運用のために保有している債券等および政策的な目的のために保有している株式等は、発行体の信用リスクに晒されております。さらに、外貨での資金決済に伴う為替リスクを軽減するために利用しているデリバティブ取引については、取引の相手先である金融機関の信用リスクに晒されております。当社グループは、これらの信用リスクの発生を未然に防止するため、安全性の高い債券商品を中心に資金運用を行うと共に、高い格付けを有する金融機関と取引を行っているため、信用リスクは僅少であります。
連結財政状態計算書に表示されている金融資産の減損後の帳簿金額は、当社グループの金融資産の信用リスクに対するエクスポージャーの最大値であります。
当社グループでは、期末日ごとに、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しており、償却原価で測定される金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しております。
貸倒引当金の増減は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
当社グループは、十分なキャッシュが得られないために現在または将来の支払義務を履行できなくなる流動性リスクに晒されております。
当社グループは、経理部が中心となり、適切に剰余金を維持し、キャッシュ・フローの計画と実績をモニタリングすることにより、流動性リスクを管理しておりますが、十分な現金及び現金同等物および当座資産を有しており、営業活動から堅実にプラスのキャッシュ・フローを確保しているため、このようなリスクは少ないと考えております。
金融負債の期日別残高は、次のとおりであります。
前連結会計年度末(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
当社グループは、国際的に事業展開を行っており、外貨建てでの受取ロイヤルティや経費支払い等があるため、為替相場の変動により、売上収益の減少や仕入原価、研究開発費の増加、為替差損の発生等のリスクに晒されています。このリスクは主に米ドル、ユーロ、英ポンドから生じております。当社グループは上記リスクを緩和すべく、市場リスク管理方針に基づき外貨建て取引の一定の割合について先物為替予約による為替リスクヘッジを行っております。
先物為替予約の通貨別内訳は次のとおりであります。
連結会計年度末において、円が米ドル、ユーロ、英ポンドに対して10%円安になった場合の、資本および損益に与える影響額は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 本分析においては、その他の変動要因は一定であることを前提としております。
当社グループは、資本性金融商品から生じる株式価格の変動リスクに晒されています。
当社グループは、これらの資本性金融商品を短期トレーディング目的ではなく、基本的に事業戦略上の目的から保有しております。また、定期的に公正価値や発行体の財務状況等を把握するとともに、当該企業との関係を勘案し、必要に応じて保有状況を見直しております。
当社グループが、期末日現在に保有する資本性金融商品の株式価格が10%変動する場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定した資本性金融商品の公正価値が変動するため、累積その他の包括利益(税効果考慮後)は、前連結会計年度末の金額から8,308百万円、当連結会計年度末の金額から7,923百万円増減いたします。
(6) ヘッジ会計
① ヘッジ手段
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されているヘッジ手段の詳細は以下のとおりであります。
ヘッジ手段に係る資産の帳簿価額(公正価値)は、「その他の金融資産」に含まれており、ヘッジ手段に係る負債の帳簿価額(公正価値)は、「その他の金融負債」に含まれております。
前連結会計年度(2023年3月31日)
為替予約における平均レートは、1ドル当たり130.34円であります。
当連結会計年度(2024年3月31日)
為替予約における平均レートは、1ドル当たり142.88円であります。
② ヘッジ対象
前連結会計年度(2023年3月31日) (単位:百万円)
当連結会計年度(2024年3月31日) (単位:百万円)
③ キャッシュ・フロー・ヘッジに係る連結包括利益計算書に影響を与えた金額
前連結会計年度(2023年3月31日) (単位:百万円)
当連結会計年度(2024年3月31日) (単位:百万円)
(注) 税効果調整前の金額であります。
ヘッジ非有効部分に重要性はありません。また、ヘッジ会計を適用しなくなったヘッジ関係から生じたキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金はありません。
金融資産および金融負債の公正価値の測定に利用される方法および仮定は以下のとおりであります。
現金及び現金同等物、仕入債務及びその他の債務
これらは短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。
売上債権及びその他の債権
短期間で回収される債権については、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。また、回収に長期間を要する債権については、公正価値は一定の期間ごとに区分した債権ごとに、満期までの期間および信用リスクを加味した利率を用いて将来キャッシュ・フローを割引く方法により算定しております。
有価証券、投資有価証券
市場性のある有価証券および投資有価証券の公正価値は市場価格を用いて測定しております。非上場株式については、時価純資産方式等の合理的な方法により測定しております。
その他の金融資産およびその他の金融負債
・保険積立金
保険積立金の公正価値は、払戻しに伴う契約上の重要な制約がないため、解約払戻金により測定しております。
・先物為替予約
先物為替予約の公正価値は、決算日現在の同一の条件に基づく先物為替予約の市場相場により測定しております。
・定期預金
定期預金の公正価値は、同様の契約を新規に行った場合に想定される利率を用いて将来キャッシュ・フローを割引く方法により算定しております。
・その他
これらは短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。
当社グループが保有する金融資産および金融負債の科目別の帳簿価額および公正価値は次のとおりであります。なお、公正価値が帳簿価額と一致している金融資産及び金融負債は含みません。
(単位:百万円)
IFRS第13号「公正価値測定」は金融商品の公正価値の算定に用いたインプットの観察可能性に基づき、金融商品の算定額をレベル1からレベル3までの階層に分類することを要求しております。
公正価値の階層は以下のとおりであります。
レベル1:測定日現在でアクセスできる同一の資産または負債に関する活発な市場における無修正の相場価格
レベル2:資産または負債について直接または間接に観察可能なインプットのうち、レベル1に含まれる相場価格以外のもの
レベル3:資産または負債についての観察可能でないインプット
連結財政状態計算書において、公正価値で測定する階層ごとの金融資産および金融負債の公正価値は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(注) 前連結会計年度および当連結会計年度において、レベル1、レベル2およびレベル3の間の振替は行われておりません。
連結財政状態計算書において、償却原価で測定する階層ごとの金融資産および金融負債の公正価値は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(注) 前連結会計年度および当連結会計年度において、レベル1、レベル2およびレベル3の間の振替は行われておりません。
経常的にレベル3で測定される金融資産の期首から期末までの変動は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 利得及び損失合計に含まれる純損益は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであります。これらの損益は「金融収益」および「金融費用」に含まれております。
2 利得及び損失合計に含まれるその他の包括利益は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであります。これらの損益は「その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動」および「在外営業活動体の換算差額」に含まれております。
3 経常的にレベル3で測定される金融負債については、該当がありません。
33 株式報酬
当社は、当社取締役(社外取締役を除く)および当社執行役員に対するインセンティブ制度として、譲渡制限付株式報酬制度を導入しております。
(1)譲渡制限付株式報酬制度
① 制度の概要
本制度は、意思決定に対する責任の大きさに応じて交付株式数を算定する「勤務継続型譲渡制限付株式報酬」と、中期的な経営戦略・経営課題と紐づけて事業年度単位で設定する業績目標(ESG目標を含む)の達成度と事業年度ごとの業績指標の目標数値の達成度を踏まえて交付株式数を算定する「業績連動型譲渡制限付株式報酬」により構成されます。
② 期中に付与された株式数と公正価値
(注)1 公正価値は、取締役会決議日の前営業日の東京証券取引所における当社の普通株式の終値を基礎として算定しております。
2 前連結会計年度において、取締役の報酬制度を改定しており、従来の株式報酬型ストックオプション制度を廃止し、本制度を導入しております。その移行措置として、取締役に割当済の新株予約権のうち未行使のものを全て(75,000株相当)放棄することに代えて譲渡制限付株式(75,000株)を交付しております。
(2)株式報酬費用
連結損益計算書の販売費及び一般管理費に計上した株式を基礎とした報酬費用は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 株式報酬取引から生じた負債の帳簿価額は、前連結会計年度においては87百万円で、当連結会計年度においては72百万円であります。
34 非資金取引
非資金取引(現金及び現金同等物の使用を必要としない投資および財務取引)は次のとおりであります。
(単位:百万円)
35 関連当事者
子会社及び関連会社については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載しております。
当社グループと関連当事者との間の取引および債権債務の残高で重要なものはありません。
当社グループの主要な経営幹部に対する報酬額は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 主要な経営幹部に対する報酬は、当社の取締役(社外取締役を含む)に対する報酬であります。
2 主要な経営幹部に対する報酬の基本方針等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」に記載しております。
36 支出に関するコミットメント
各連結会計年度末以降の支出に関するコミットメントは次のとおりであります。
(単位:百万円)
上記のコミットメントに加えて、開発プロジェクトの成功および特定の販売目標の達成に関連するマイルストンペイメントを有しています。当社グループが将来3年以内に支払う可能性のあるマイルストンペイメントの金額は、前連結会計年度末および当連結会計年度末において、それぞれ13,584百万円および8,349百万円であります。
当該マイルストンペイメントの金額は割引前であり、開発段階のプロジェクトの成功および特定の販売目標を達成可能と見積もった全ての潜在的な支払いを含めております。
37 財務諸表の承認
2024年3月期連結財務諸表は、2024年6月20日に代表取締役社長 滝野十一によって承認されております。
38 重要な後発事象
(企業結合)
当社は、米国のバイオ医薬品企業 Deciphera Pharmaceuticals, Inc. (以下「Deciphera社」)との間で、買収のために新たに設立した完全子会社を通じて、現金を対価として同社を買収(以下「本買収」)することで合意し、2024年4月に契約を締結しました。この契約に基づき、2024年6月11日(米国東部時間)に同社の買収が完了し、同社を当社の完全子会社としました。
(1)被取得企業の概要
(2)取得日
2024年6月11日(米国東部時間)
(3)取得した議決権付資本持分の割合
100%
(4)被取得企業の支配の獲得方法
現金を支払対価とする株式取得 約24億米ドル
(5)企業結合の主な理由
当社はグローバル スペシャリティ ファーマとして、独創的かつ革新的な新薬を世界に届けることを目指しています。中長期成長戦略である「パイプライン強化とグローバル開発の加速」および「欧米自販の実現」を見据え、医療ニーズの高いがんや免疫疾患、中枢神経疾患、スペシャリティ領域を重点研究領域に定め、医療現場に革新をもたらす新薬の創出に取り組んでいます。本買収により、がん領域における優れた研究開発能力と欧米でのコマーシャルケイパビリティを有するDeciphera社をパートナー企業として迎え入れ、当社グループのパイプラインの拡充およびグローバル展開を加速させていきます。
Deciphera社は、がんを対象とした革新的な医薬品の研究・開発・販売に注力しており、自社で創製した経口キナーゼ阻害剤からなる豊富なパイプラインを有しています。KIT阻害剤であるQINLOCK®(Ripretinib)は消化管間質腫瘍(GIST)の4次治療の薬剤として米国、欧州および中国を含む40ヶ国以上で販売されています。加えて、CSF-1R阻害剤であるVimseltinibは腱滑膜巨細胞種(TGCT)を対象とした第Ⅲ相臨床試験(MOTION study)において、主要評価項目およびその他副次的評価項目を統計学的有意に達成しており、欧米での申請を2024年に予定しています。また、Deciphera社は、米国および主要な欧州諸国において自社での販売網を構築しており、この販売網はVimseltinibにおいても活用されます。
本買収により当社は固形がん領域のパイプラインを拡充し、特にQINLOCK®とVimseltinibの獲得によって短中期的なグループの収益増加が期待できます。また、Deciphera社の欧米での開発・販売能力を獲得し、欧米自販体制を強化できます。さらに、Deciphera社の創薬能力を活用することで、当社グループのオンコロジー領域において研究開発のさらなる加速が期待できます。
(6)支払資金の調達方法および支払方法
本買収には、自己資金に加えて、金融機関からの借入を充当しております。
なお、提出日現在における金融機関からの借入は次のとおりです。
(単位:百万円)
本買収が実行された時期に起因し、連結財務諸表の承認日までに企業結合の当初の会計処理が完了していないため、取得した資産及び負債の公正価値等については開示しておりません。