【連結財務諸表注記】
1.報告企業
アステラス製薬株式会社及び連結子会社 (以下「当社グループ」) は、医薬品事業を展開しています。当社グループの親会社であるアステラス製薬株式会社 (以下「当社」) は、日本に所在する企業であり、登記されている本社及び主要な事業所の住所は、ホームページ (https://www.astellas.com/jp/) で開示しています。また、株式は東京証券取引所 (プライム市場) に上場しています。
当社グループの2024年3月31日に終了する連結会計年度の連結財務諸表は、2024年6月20日に最高経営責任者である代表取締役社長 岡村 直樹及び最高財務責任者である専務担当役員 財務担当 北村 淳によって承認されています。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しています。
当社グループは、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号) 第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たしていることから、同第93条の規定を適用しています。
(2) 測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は、公正価値で測定する金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
(3) 表示通貨
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、特に注釈のない限り、百万円単位での四捨五入により表示しています。
(4) 表示方法の変更
連結財政状態計算書
前連結会計年度において非流動負債及び流動負債の「その他の金融負債」に含めていた「社債及び借入金」は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度から独立掲記しています。
この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財政状態計算書の組替えを行っています。
この結果、前連結会計年度の連結財政状態計算書において、非流動負債及び流動負債の「その他の金融負債」に含めて表示していた50,000百万円及び75,000百万円は、非流動負債及び流動負債の「社債及び借入金」として組み替えています。
(5) 未適用の公表済み基準及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている基準書及び解釈指針の新設又は改訂のうち、当社グループが早期適用していない主なものは、次のとおりです。なお、新しいIFRSの適用による当社グループの連結財務諸表に与える影響は検討中です。
3.重要性がある会計方針
当社グループが適用する重要性がある会計方針は、連結財務諸表に表示されているすべての期間において継続的に適用されています。
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。当社グループは、子会社に対する支配を獲得した日から当該子会社を連結し、支配を喪失した日から連結を中止しています。
グループ会社間の債権債務残高、取引高、及びグループ会社間取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成にあたり消去しています。
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配はしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%から50%を保有する場合、当社グループは当該企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。当社グループは、関連会社に対する投資について、持分法を用いて会計処理を行っています。
共同支配の取決めとは、当社グループが共同支配を有する取決めをいいます。共同支配とは、取決めに対する契約上合意された支配の共有であり、取決めのリターンに重要な影響を及ぼす活動に関する意思決定が、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在します。当社グループが有する共同支配の取決めは、以下の2つに分類され、会計処理されています。
・共同支配事業 ― 当社グループが取決めに関する資産の権利及び負債に係る義務を有する場合、その共同支配事業に関連する自らの資産、負債、収益及び費用を認識しています。
・ジョイント・ベンチャー ― 当社グループが取決めの純資産に対する権利のみを有している場合、関連会社と同様に持分法により会計処理しています。
企業結合については、取得法を用いて会計処理をしています。
移転された対価は、当社グループが移転した資産、引き受けた負債及び発行した資本持分の公正価値の合計額で測定しています。移転された対価には、条件付対価契約から発生したすべての資産又は負債の公正価値が含まれます。
IFRS第3号「企業結合」の認識の要件を満たす被取得企業の識別可能な資産、負債及び偶発負債は、以下を除き、取得日時点の公正価値で測定しています。
・繰延税金資産及び負債はIAS第12号「法人所得税」に、従業員給付に係る負債 (又は資産) はIAS第19号「従業員給付」に、株式報酬に係る負債はIFRS第2号「株式に基づく報酬」に準拠して、それぞれ認識及び測定しています。
・売却目的として分類される非流動資産又は処分グループは、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に準拠して測定しています。
・使用権資産及びリース負債は、IFRS第16号「リース」に準拠して測定しています。
のれんは、移転した対価と被取得企業の非支配持分の金額の合計が、取得日時点における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合に、その超過額として測定しています。この差額が負の金額である場合には、直ちに純損益として認識しています。
企業結合に関連して発生した仲介手数料や助言費用等の取引関連コストは、発生時に費用処理しています。
当社グループの各企業の個別財務諸表は、それぞれの機能通貨で作成されています。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示されています。
外貨建取引は、取引日の直物為替レート又はそれに近似するレートを用いて機能通貨に換算しています。
期末における外貨建貨幣性資産及び負債はすべて期末日の直物為替レートを用いて機能通貨に再換算し、その結果生ずる差額を純損益として認識しています。
在外営業活動体の資産及び負債は期末日の為替レート、収益及び費用は、期中の平均為替レートを用いて日本円に換算しています。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる外貨換算差額は、その他の包括利益で認識しています。在外営業活動体を処分する場合、当該在外営業活動体に関連する外貨換算差額の累計額は、処分時に純損益に振り替えています。
当社グループは、医薬品の販売による収益及び第三者に製品の製造や販売、技術の使用等を認めた契約によるロイヤルティ収入を得ています。
医薬品の販売による収益は、当社グループが移転を約束した医薬品に対する支配を顧客が獲得した時点で認識しています。医薬品に対する支配は、通常、医薬品が顧客へ引き渡された時点で顧客に移転すると判断しています。
対価の支払条件については、原則として1年を超える契約はなく、重大な金融要素は含まれていません。取引価格に割戻及び値引等の変動性のある金額が含まれている契約については、これらの変動対価を期待値又は最頻値により見積り、顧客から受領する対価から控除しています。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しています。
他の企業から医薬品の販売を受託していると判断された取引、すなわち、当社グループが代理人として関与している取引については、当社グループが権利を得ると見込んでいる報酬又は手数料を純額で収益として認識しています。
ロイヤルティ収入には、契約一時金、契約で定められた条件を達成した場合に受領する受取マイルストン及び売上高等をベースとしたランニング・ロイヤルティが含まれます。
契約一時金は、履行義務が充足された時点で又は履行義務が充足されるにつれて一定の期間にわたり、収益を認識しています。一時点で充足される履行義務については、契約に基づき当社グループが移転することを約束した権利の支配を顧客が獲得した時点で収益を認識しています。一定の期間にわたり充足される履行義務については、経過期間等のアウトプットと、契約で約束した残りのサービス提供期間等との比率に基づいて収益を認識しています。
受取マイルストンは、マイルストンの受領に不確実性があり、条件が達成されるまでは不確実性が解消されないことから、原則として、条件が達成された時点で一時に収益を認識しています。
売上高等をベースとしたランニング・ロイヤルティは、その後の売上等が発生する、もしくは、売上高等をベースとしたロイヤルティが配分されている履行義務が充足されるという事象のうち、遅い方が発生した時点で認識しています。
契約一時金及び受取マイルストンは、原則として契約で定められた金額を収益としています。ランニング・ロイヤルティの収益については、顧客からランニング・ロイヤルティの計算対象期間の売上高等の報告を受け、それに契約で定められた料率を乗じて算出しています。ほとんどの契約で契約締結や条件達成後、及びランニング・ロイヤルティの計算対象期間の末日から短期間での支払期限が定められています。
当社グループ内で発生した研究開発に関する支出は、すべて研究開発費として発生時に費用計上しています。
IAS第38号「無形資産」の下では、内部発生の開発費は、資産計上基準を満たした場合には無形資産として資産計上されますが、当社グループでは、グループ内で発生した進行中の開発プロジェクトに係る費用については、主要な市場における規制当局からの販売承認を得ていない限り、資産化の基準を満たしていないと判断しており、資産として計上していません。
当社グループは、グループ内部における研究開発活動のほか、複数の第三者と共同研究開発に関する契約を締結しています。これらの共同研究開発に伴い発生した、研究開発業務に係る費用の精算に伴う支出及び収入は、グループ内で発生した研究開発に関する費用と同様に研究開発費として発生時に費用計上しています。
法人所得税費用は、当期税金及び繰延税金から構成され、企業結合から生じる税金、及びその他の包括利益又は直接資本に認識される項目に関係する税金を除いて、純損益で認識しています。
当期税金は、期末日において施行又は実質的に施行されている法定税率及び税法を適用して、税務当局に納付又は税務当局から還付されることが予想されている金額で算定しています。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、ある資産又は負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と税務基準額との間に生じる一時差異に対して認識しています。ただし、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び繰延税金負債を認識していません。
・のれんの当初認識から生じる場合
・企業結合以外の取引で、取引時に、会計上の利益にも課税所得 (税務上の欠損金) にも影響を与えず、かつ、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引における資産又は負債の当初認識から生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異については、予測可能な期間内に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合又は当該一時差異を活用できる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異については、一時差異を解消する時期をコントロールでき、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除について、将来それらを使用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、期末日における法定税率又は実質的法定税率、及び税法に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予想される税率で算定しています。
繰延税金資産と繰延税金負債は、当期税金資産と当期税金負債とを相殺する法的強制力のある権利を有する場合で、かつ同一の納税主体又は当期税金資産と当期税金負債とを純額で決済する予定の異なる納税主体に対して同一の税務当局によって課されている法人所得税費用に関連する場合、相殺しています。
当社グループは、IAS第12号で定められる例外措置を適用し、第2の柱モデルルールから生じる法人所得税費用に関する繰延税金資産及び繰延税金負債について認識及び開示をしていません。
有形固定資産の測定には、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、資産の解体及び除去並びに原状回復費用の当初見積額が含まれています。
当初認識後に生じたコストは、当該コストに関連する将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、当該コストが信頼性をもって測定できる場合にのみ、資産として認識しています。有形固定資産に対する修繕及び維持のための日常的な保守費用は、発生時に費用計上しています。
有形固定資産の減価償却は、当該資産が使用可能となった時点から開始されます。有形固定資産項目に重大な構成部分が存在する場合には、個別に減価償却しています。減価償却費は、償却可能価額を各構成部分の見積耐用年数にわたって、定額法により算定しています。償却可能価額は、資産の取得価額から残存価額を差し引いて算定しています。
主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりです。
有形固定資産の耐用年数、残存価額及び減価償却方法は各連結会計年度末に再検討を行い、必要に応じて改定しています。
当社グループは、契約時に契約がリース又はリースを含んだものであるかどうかを、契約の実質に基づき判断しています。リース期間は、解約不能期間に合理的に確実な延長するオプションと解約するオプションを加えて決定しています。特性が合理的に類似したリースのポートフォリオには単一の割引率を使用しています。短期リース及び原資産が少額であるリースについては、使用権資産とリース負債を認識せず、当該リースに関連したリース料をリース期間にわたり費用として認識する場合があります。
① 使用権資産
使用権資産は、リース開始日時点のリース負債の当初測定額に、発生した当初直接コスト等を調整した取得原価で測定しています。
開始日後は、使用権資産の耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間 (2~40年) にわたり、定額法で減価償却しています。
② リース負債
リース負債は、リース開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しています。リースの計算利子率を容易に算定できない場合には、追加借入利子率を使用しています。
開始日後は、リース負債に係る金利を反映するように帳簿価額を増額し、支払われたリース料を反映するように帳簿価額を減額し、リース負債の見直しやリースの条件変更等に伴って必要に応じて再測定しています。
当初認識時におけるのれんの測定については、「 (2) 企業結合」に記載しています。当初認識後は、取得原価から減損損失累計額を控除して計上しています。
のれんの減損については、「 (11) 有形固定資産、のれん及び無形資産の減損」に記載しています。
無形資産は、のれん以外の物理的実体のない識別可能な非貨幣性資産であり、個別に取得した、又は企業結合の一環として取得した研究及び製造に関する技術、仕掛研究開発及び販売権等により構成されています。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しており、企業結合により取得した無形資産は、支配獲得日の公正価値で測定しています。また、当初認識後の測定には原価モデルを採用しており、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除して計上しています。
個別に取得した、又は企業結合に伴い取得した製品及び研究開発に関する権利のうち、研究開発の段階にあり、未だ規制当局の販売承認が得られず上市していないものは、「仕掛研究開発」として無形資産に計上しています。
取得した仕掛研究開発に関する支出は、当社グループに将来の経済的便益をもたらすことが期待され、かつ、識別可能である場合にのみ資産として計上しており、これには第三者に支払われた契約一時金及び目標達成時のマイルストン支払が含まれています。
仕掛研究開発として計上された無形資産は、未だ使用可能な状態にないため、償却をせず、減損の兆候がある場合にはその都度及び減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に減損テストを実施しています。
仕掛研究開発は規制当局の販売承認が得られ上市した時点で「販売権」に振り替えており、その時点から見積耐用年数にわたり定額法で償却しています。
無形資産は、それらが使用可能となった時点から見積耐用年数 (2年~25年) にわたって定額法で償却しています。個別に取得した、又は企業結合に伴い取得した研究及び製造に関する技術、製品及び研究開発に関する権利の償却費は、連結純損益計算書の「無形資産償却費」として表示しています。見積耐用年数は、法的保護期間又は経済的耐用年数のいずれか短い方を採用し、定期的に見直しを行っています。
また、製品及び研究開発に関する権利の譲渡により生じる利得は、連結純損益計算書の「無形資産譲渡益」として表示しています。
当社グループは、各四半期末日に、有形固定資産及び無形資産が減損している可能性を示す兆候の有無を検討しています。
減損の兆候がある場合には、回収可能価額の見積りを実施しています。また耐用年数を確定できない、もしくは未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に減損テストを実施しています。
回収可能価額の見積りにおいて、個々の資産の回収可能価額を見積もることができない場合には、その資産の属する資金生成単位の回収可能価額を見積もっています。資金生成単位とは、他の資産又は資産グループからおおむね独立したキャッシュ・イン・フローを生み出す最小単位の資産グループをいいます。
回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方で算定しています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは評価日における貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いています。回収可能価額の算定に使用する割引率は、地域ごとに適切な水準で設定しています。
資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、差額は減損損失として純損益で認識しています。
のれんは、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、毎年一定の時期及び減損の兆候があると認められた場合にはその都度、減損テストを実施しています。減損テストにおいて資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、差額は減損損失として純損益で認識しています。
資金生成単位又は資金生成単位グループに関連して認識した減損損失は、まず資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されたのれんの帳簿価額から減額するように配分し、次に資金生成単位又は資金生成単位グループにおけるその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するよう配分しています。
過年度に認識した減損損失については、各四半期末日において、損失が消滅又は減少している可能性を示す兆候の有無を検討しています。減損の戻入れの兆候がある場合には、その資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行っています。回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を上回る場合には、過年度に減損損失が認識されていなかった場合の帳簿価額から必要な償却又は減価償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として、減損損失の戻入れを実施しています。
のれんについて認識した減損損失は、その後の期間に戻入れを行いません。
金融資産及び金融負債は、当社グループが金融商品の契約上の当事者となった取引日に認識しています。
金融資産及び金融負債は、重大な金融要素を含んでいない営業債権を除き、当初認識時に公正価値で測定しています。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 (以下「FVTPLの金融資産」) 及び純損益を通じて公正価値で測定する金融負債 (以下「FVTPLの金融負債」) を除き、金融資産の取得及び金融負債の発行に直接起因する取引コストは、当初認識時において、金融資産の公正価値に加算又は金融負債の公正価値から減算しています。FVTPLの金融資産及びFVTPLの金融負債の取得に直接起因する取引コストは純損益で認識しています。
当社グループはすべての金融資産を当初認識時に、「償却原価で測定する金融資産」、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 (以下「FVTOCIの金融資産」)」又は「FVTPLの金融資産」に分類しています。
以下の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当初認識後、実効金利法による償却原価から減損損失を控除した金額で測定し、実効金利法による利息収益は純損益で認識しています。
(b) FVTOCIの金融資産 (負債性金融商品)
以下の条件がともに満たされる場合には、FVTOCIの金融資産 (負債性金融商品) に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当初認識後、公正価値で測定し、減損利得又は減損損失及び為替差損益を除き、公正価値の変動から生じる評価損益はその他の包括利益で認識しています。当該金融資産の認識を中止する場合、その他の資本の構成要素に計上されている累積損益を、純損益に組替調整額として振り替えています。
資本性金融商品は、一部を除いて公正価値の事後の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行っており、FVTOCIの金融資産に分類しています。
当初認識後、公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益はその他の包括利益で認識しています。当該金融資産の認識を中止する場合、又は公正価値が著しく下落した場合には、その他の資本の構成要素に計上されている累積損益を利益剰余金に振り替えています。当該金融資産に係る受取配当金は、投資金額の一部回収である場合を除き、純損益として認識しています。
償却原価で測定する金融資産及びFVTOCIの金融資産に分類されない金融資産をFVTPLの金融資産として分類しています。
当初認識後、公正価値で測定し、事後的な変動を純損益として認識しています。
当社グループは、償却原価で測定する金融資産又は負債性金融商品のうちFVTOCIの金融資産に分類された金融資産に係る予想信用損失に対する損失評価引当金を認識しています。
損失評価引当金の測定は、各四半期末日において、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、当該金融資産に係る全期間の予想信用損失に等しい金額とし、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合は、当該金融資産に係る12か月の予想信用損失に等しい金額としています。
ただし、営業債権、契約資産及びリース債権に係る損失評価引当金については、常に全期間の予想信用損失と同額で測定しています。
金融資産の全部又は一部について回収できないと合理的に判断した場合には債務不履行とみなしています。
損失評価引当金の金額は、以下を反映して算定しています。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
信用リスクが著しく増加しているか否かの評価を行う際には、期日経過の情報のほか、利用可能な合理的で裏付け可能な情報を考慮しています。また、債務者の破産等による法的整理の手続の開始等があった場合には、信用減損金融資産としています。なお、将来回収できないことが明らかな金額は、金融資産の帳簿価額を直接減額し、対応する損失評価引当金の金額を減額しています。
当社グループはすべての金融負債を当初認識時に、「FVTPLの金融負債」又は「償却原価で測定する金融負債」に分類しています。
デリバティブによって認識した金融負債、FVTPLの金融負債として指定した金融負債及び企業結合において認識した条件付対価のうち金融負債の定義を満たすものをFVTPLの金融負債に分類しています。
当初認識後、公正価値で測定し、事後的な変動を純損益として認識しています。
FVTPLの金融負債として分類されない金融負債を償却原価で測定する金融負債に分類しています。
当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しています。
金融資産については、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡したが、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したわけでも、ほとんどすべてを保持しているわけでもなく、かつ、当該金融資産に対する支配を保持していない場合に、当該金融資産の認識を中止しています。
金融負債については、金融負債が消滅した時、すなわち契約中に特定された債務が免責、取消し又は失効となった場合に、当該金融負債の認識を中止しています。
ヘッジ手段に指定されていないデリバティブの公正価値の変動は、純損益として認識しています。
ヘッジ手段に指定されているデリバティブは、ヘッジ関係の種類により異なる会計処理をしています。
当社グループは、ヘッジ関係の開始時に、ヘッジ関係並びにヘッジの実行に関するリスク管理目的及び戦略を公式に指定し、文書化しています。文書化においては、ヘッジ手段、ヘッジ対象、ヘッジされるリスクの性質、ヘッジ関係がヘッジ有効性の要求を満たしているかどうか判定する方法を特定しています。また、ヘッジの開始時に及び継続的に、ヘッジ関係がヘッジ有効性の要求を満たしているかどうかを評価しています。
適格なヘッジ関係の会計処理は以下のとおりです。
デリバティブに係る利得及び損失は、純損益として認識しています。ヘッジ対象に係るヘッジ利得及び損失は、ヘッジ対象の帳簿価額を修正するとともに、純損益として認識しています。
デリバティブに係る利得及び損失のうち有効なヘッジと判断される部分はその他の包括利益として、ヘッジ非有効部分は純損益として認識しています。その他の包括利益に累積された利得及び損失は、ヘッジ対象に係るキャッシュ・フローが純損益に影響を与えるのと同じ期間に、純損益へ振り替えています。
(c) 在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
デリバティブに係る利得及び損失のうち有効なヘッジと判断される部分はその他の包括利益として、ヘッジ非有効部分は純損益として認識しています。その他の包括利益に累積された利得及び損失は、当該在外営業活動体の処分の際に、純損益へ振り替えています。
ヘッジ手段が消滅、売却、終了又は行使となった場合を含め、ヘッジ関係が適格要件を満たさなくなった場合には、ヘッジ会計を中止しています。
現金及び現金同等物は、手元現金、随時引き出し可能な預金及び通常取得日後3か月以内に満期を迎え、価格変動について僅少なリスクしか負わない、流動性の高い短期投資から構成されています。
棚卸資産は取得原価又は正味実現可能価額のいずれか低い額で測定し、正味実現可能価額が取得原価を下回る場合には、評価減を認識しています。取得原価には、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のすべての原価が含まれています。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除して算定しています。規制当局からの販売承認取得前の製品に係る棚卸資産については、評価減を認識しています。当該評価減は、販売承認が得られる可能性が高いと判断された時点で、戻入れを実施しています。棚卸資産の原価は、主として先入先出法により算定しています。
当社グループは、株式報酬制度として持分決済型の株式報酬制度と現金決済型の株式報酬制度を採用しています。
持分決済型の株式報酬制度では、受領するサービスを付与日における資本性金融商品の公正価値で測定し、付与日から権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。
現金決済型の株式報酬制度では、受領するサービスを発生した負債の公正価値で測定し、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を負債の増加として認識しています。なお、負債は決済されるまで、その公正価値を各四半期末日及び決済日に再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しています。
当社グループは、退職後給付制度として、確定給付型制度及び確定拠出型制度を採用しています。
確定給付型制度に係る資産又は負債の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除したものであり、資産又は負債として連結財政状態計算書で認識しています。確定給付制度債務は、予測単位積増方式に基づいて算定され、その現在価値は、将来の予想支払額に割引率を適用して算定しています。割引率は、給付が見込まれる期間に近似した満期を有する優良社債の利回りを参照して決定しています。
勤務費用及び確定給付負債 (資産) の純額に係る純利息費用は純損益として認識しています。
数理計算上の差異、純利息費用に含まれる部分を除く制度資産に係る収益及び資産上限額の影響の変動については、それらが生じた期間において「確定給付制度の再測定」としてその他の包括利益に認識し、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金へ振替えています。
確定拠出型の退職給付に係る拠出は、従業員が関連するサービスを提供した期間に費用として計上しています。
短期従業員給付については、従業員から関連する勤務が提供された時点で費用として認識しています。なお、賞与については、過去に従業員から勤務を提供された結果、支払を行う法的又は推定的債務を有しており、かつ、当該債務について信頼性のある見積りが可能な場合に負債として認識しています。
当社グループが過去の事象の結果として法的又は推定的な現在の義務を有しており、当該義務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、当該義務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を計上しています。
貨幣の時間価値の影響に重要性がある場合には、引当金の金額は、義務を決済するために必要となると見込まれる支出の現在価値で測定しています。
4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定
連結財務諸表の作成に当たり、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り、判断及び仮定の設定を行っています。
会計上の見積りの結果は、その性質上、実際の結果とは異なる可能性があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直され、会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間と将来の会計期間において認識されます。
翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積りは以下のとおりです。
・収益認識及び返金負債の見積計上 (注記6及び27)
・のれん及び仕掛研究開発の減損 (注記16及び17)
・繰延税金資産の回収可能性 (注記18)
・条件付対価の公正価値測定 (注記29)
・IVERIC bio, Inc. の企業結合に伴い取得した仕掛研究開発の公正価値測定 (注記17及び34)
5.セグメント情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益は次のとおりです。
売上収益及び非流動資産の地域別内訳は次のとおりです。
地域別売上収益
(注) 地域別売上収益は、当社グループ各社の所在地を基礎として分類しています。
地域別非流動資産(有形固定資産・のれん及び無形資産)
連結純損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先は次のとおりです。
6.売上収益
売上収益の内訳は次のとおりです。
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1.売上収益は、コマーシャル部門における経営管理上の組織区分を基礎として分類しています。
2.その他の源泉から認識した収益は、顧客に該当しない、共同販促活動に係るリスクと便益を共有する提携企業からの収益です。
3.当連結会計年度から、インターナショナルマーケットに含まれていた一部の国のコマーシャル区分をエスタブリッシュドマーケットに変更しています。なお、前連結会計年度の金額は当該変更を反映しています。
エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ 等
グレーターチャイナ:中国、香港、台湾
インターナショナルマーケット:中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、ロシア、韓国、
オーストラリア、輸出売上 等
契約残高の内訳は次のとおりです。
(注) 1.当社グループは、主にライセンス契約に関連した契約一時金について、顧客から対価を受け取っているものの履行義務を充足していない部分を契約負債として認識しています。前連結会計年度及び当連結会計年度において認識した収益のうち期首現在の契約負債残高に含まれていたものは、それぞれ1,158百万円及び867百万円です。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度において、過去の期間に充足 (又は部分的に充足) した履行義務から認識した収益の金額に重要性はありません。
当初の予想期間が1年を超える重要な契約がないことから、実務上の便法を適用し、記載を省略しています。
7.その他の収益
その他の収益の内訳は次のとおりです。
8.その他の費用
その他の費用の内訳は次のとおりです。
(注) 1.前連結会計年度の「無形資産の減損損失」の主なものは、AT702、AT751、AT753の研究開発中止及びエベレンゾの将来計画の見直しによるものです。
2.前連結会計年度の「条件付対価に係る公正価値変動額」は、ゾルベツキシマブの承認申請に向けた意思決定に係る条件付対価の公正価値の変動等に伴うものです。
3.前連結会計年度の「為替差損」の金額には、為替予約取引から生じた為替差益 (9,003百万円) が含まれています。
4.当連結会計年度の「有形固定資産の減損損失」の主なものは、メッペル工場 (オランダ) の事業譲渡合意等に伴うものです。
5.当連結会計年度の「無形資産の減損損失」の主なものは、遺伝子治療プログラムAT808の資産価値の見直し及びエベレンゾの将来計画の見直しに伴うものです。
6.当連結会計年度の「条件付対価に係る公正価値変動額」の主なものは、ゾルベツキシマブの開発の進捗等に伴うものです。
7.当連結会計年度の「リストラクチャリング費用」の主なものは、グローバルでの組織改革に伴うものです。
8.当連結会計年度の「為替差損」の金額には、為替予約取引から生じた為替差損 (8,584百万円) が含まれています。
9.当連結会計年度の「企業結合に伴う代替報酬」は、IVERIC bio, Inc.の買収に伴い権利確定前のストック・オプション等の株式報酬に係る支払を費用として認識したものです。
9.従業員給付費用
従業員給付費用の内訳は次のとおりです。
(注) 従業員給付費用は「売上原価」、「販売費及び一般管理費」、「研究開発費」及び「その他の費用」に計上されています。
10.金融収益
金融収益の内訳は次のとおりです。
(注) 1.利息収益は、主に現金及び現金同等物に関するものです。
2.配当収益は、FVTOCIの金融資産 (資本性) に関するものです。
3.出資金評価益は、FVTPLの金融資産に関するものです。
11.金融費用
金融費用の内訳は次のとおりです。
(注) 1.支払利息は、主に償却原価で測定する金融負債に関するものです。
2.出資金評価損は、FVTPLの金融資産に関するものです。
12.法人所得税費用
純損益で認識された法人所得税費用は次のとおりです。
その他の包括利益で認識された法人所得税費用は次のとおりです。
実効税率の調整
当社は、主に法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎として計算した前連結会計年度及び当連結会計年度の法定実効税率は、いずれも30.5%です。ただし、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されています。
当社が所在する日本において、2024年4月1日から施行される第2の柱モデルルールに関する税制が制定されています。この法令の下では、当社は、実効税率が15%未満の子会社の利益に課税されるトップアップ税を日本の税務当局に納付する義務があります。翌連結会計年度以降に、これらの子会社が所在する国で第2の柱モデルルールに関する税制が発効している場合、当社グループは、トップアップ税をその所在国の税務当局に納付する義務が生じる可能性があります。
なお、第2の柱モデルルールに関する税制に対するエクスポージャーに重要性はありません。
13.1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎は次のとおりです。
14.その他の包括利益
その他の包括利益に係る組替調整額は次のとおりです。
15.有形固定資産
取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) の有形固定資産の増減は次のとおりです。
(注) 「その他」のうち、主なものは為替換算調整です。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) の有形固定資産の増減は次のとおりです。
(注) 「その他」のうち、主なものは為替換算調整です。
有形固定資産に係る減損損失は、連結純損益計算書の「その他の費用」に含まれています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、有形固定資産に対して認識された減損損失の金額は、それぞれ621百万円及び6,759百万円です。
16.のれん
取得原価及び減損損失累計額の増減
のれんの取得原価及び減損損失累計額の増減は次のとおりです。
(注) 当連結会計年度の「企業結合」による増加は、IVERIC bio, Inc. を買収したことによるものです。企業結合の内容は、注記「34. 企業結合」をご参照ください。
資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されたのれんの帳簿価額は次のとおりです。
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度の「医薬品事業全体」は、主にOSI ファーマシューティカルズ Inc.及びオーデンテス セラピューティクス Inc.等の買収に伴い認識したのれんが配分されています。
のれんの減損テストにあたり、回収可能価額は3年間の将来予測を基礎とした使用価値により算定し、算定には規制当局からの販売承認取得の可能性、上市後の販売予測、割引率、成長率等の仮定を使用しています。割引率は、加重平均資本コストを基礎として算定しており、使用価値の算定に使用した割引率は次のとおりです。
3年の将来予測期間を超える継続価値の算定においては、資金生成単位又は資金生成単位グループの属する国、産業の状況を勘案して決定した成長率が加味されており、使用価値の算定に使用した成長率は次のとおりです。
使用価値は当該資金生成単位又は資金生成単位グループの帳簿価額を十分に上回っており、使用価値の算定に用いた主要な仮定が合理的な範囲で変動したとしても使用価値が帳簿価額を下回る可能性は低いと考えています。
17.無形資産
取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) の無形資産の増減は次のとおりです。
(注) 「その他」のうち、主なものは為替換算調整です。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) の無形資産の増減は次のとおりです。
(注) 1.「企業結合」による増加は、IVERIC bio, Inc. を買収したことによるものです。企業結合の内容は、注記「34.企業結合」をご参照ください。
2.「その他」のうち、主なものは為替換算調整です。
無形資産のうち、研究及び製造に関する技術、製品及び研究開発に関する権利の償却費は、連結純損益計算書の「無形資産償却費」として表示しています。
無形資産に係る減損損失は連結純損益計算書の「その他の費用」に、減損損失の戻入れは連結純損益計算書の「その他の収益」にそれぞれ含まれています。
無形資産の減損テスト及び認識された減損損失
当社グループは、無形資産については主として個別の資産ごとに減損の要否を検討しています。また、償却が開始されていない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを行っています。減損テストにあたり、回収可能価額は主として将来予測を基礎とした使用価値により算定し、算定には規制当局からの販売承認取得の可能性、上市後の販売予測及び割引率等の仮定を使用しています。割引率は、加重平均資本コストを基礎として算定しており、使用価値の算定に使用した割引率は次のとおりです。
使用価値の算定に用いた主要な仮定には不確実性を伴うため、翌連結会計年度の無形資産の金額に影響を与える可能性があります。
減損テストの結果、前連結会計年度及び当連結会計年度において以下の減損損失が認識されています。
前連結会計年度において、無形資産に対して認識された減損損失は83,964百万円であり、その主な内訳はAT702、AT751、AT753の研究開発中止に伴う減損損失23,005百万円及びエベレンゾの将来計画の見直しに伴う減損損失47,077百万円です。エベレンゾの回収可能価額は、見積将来キャッシュ・フローを割り引くことにより算出した使用価値を用いており、使用価値の算定に使用した税引後の割引率は6.3%~10.9%、税引前の割引率は9.1%~14.9%です。
当連結会計年度において、無形資産に対して認識された減損損失は63,826百万円であり、その主な内訳は遺伝子治療プログラムAT808の資産価値の見直しに伴う減損損失39,852百万円及びエベレンゾの将来計画の見直しに伴う減損損失16,384百万円です。AT808の回収可能価額は、見積将来キャッシュ・フローを割り引くことにより算出した使用価値を用いており、使用価値の算定に使用した税引後の割引率は9.0%、税引前の割引率は11.3%です。エベレンゾの回収可能価額は、見積将来キャッシュ・フローを割り引くことにより算出した使用価値を用いており、使用価値の算定に使用した税引後の割引率は6.3%~10.0%、税引前の割引率は9.1%~13.8%です。
無形資産譲渡益
製品及び研究開発に関する権利の譲渡により生じる利得は、連結純損益計算書の「無形資産譲渡益」として表示しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において認識された無形資産譲渡益の金額は、それぞれ212百万円及び9,735百万円です。
当連結会計年度における主な内訳は、キャンディン系抗真菌剤「ファンガード」 (一般名:ミカファンギンナトリウム、海外での製品名:「マイカミン」) に関し、日本を含む全世界での製造販売承認をSandoz AGに譲渡したことに伴う無形資産譲渡益9,334百万円です。
重要な無形資産
連結財政状態計算書に計上されている重要な無形資産は次のとおりです。
既に償却が開始されているものの残存償却期間は、前連結会計年度11年及び当連結会計年度7~13年であり、償却が開始されていないものについては毎期減損テストを行っています。
18.繰延税金
繰延税金資産及び繰延税金負債の内訳は次のとおりです。
繰延税金資産及び繰延税金負債の純額の増減内容は次のとおりです。
(注) 当連結会計年度の「企業結合」による繰延税金資産及び繰延税金負債の増加は、IVERIC bio, Inc. を買収したことによるものです。企業結合の内容は、注記「34.企業結合」をご参照ください。
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除は次のとおりです。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の繰越期限は次のとおりです。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩し、予測される将来課税所得及びタックスプランニングを考慮しており、課税所得の見積りは事業計画を基礎としています。
課税所得が生じる時期及び金額は、各国の医薬品市場の動向、規制当局からの販売承認取得の可能性及び上市後の販売予測等の変動によって影響を受ける可能性があり、これらの見積りには不確実性を伴うため、実際の発生額と異なる可能性があります。
19.棚卸資産
棚卸資産の内訳は次のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において費用として認識され「売上原価」に含まれている棚卸資産の金額は、それぞれ170,728百万円及び174,633百万円です。
費用として認識された棚卸資産の評価減の内訳は次のとおりです。
費用の減額として認識された棚卸資産の評価減の戻入れは次のとおりです。
(注) 規制当局からの販売承認が得られる可能性が高いと判断されたために認識されたものです。
20.売上債権及びその他の債権
売上債権及びその他の債権の内訳は次のとおりです。
21.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は次のとおりです。
22.資本及びその他の資本項目
全額払込済みの発行済株式数及び資本金等の増減は次のとおりです。
(注) 前連結会計年度の発行済株式数の減少は、自己株式の消却によるものです。
自己株式の増減は次のとおりです。
23.配当金
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1.2022年4月27日取締役会決議による配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金197百万円が含まれています。
2.2022年10月31日取締役会決議による配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金370百万円が含まれています。
(注) 上記の配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金363百万円が含まれています。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.2023年4月27日取締役会決議による配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金363百万円が含まれています。
2.2023年11月1日取締役会決議による配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金562百万円が含まれています。
(注) 上記の配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金559百万円が含まれています。
24.株式報酬
当社は中長期的な企業価値・株主価値の向上を重視した経営を推進するため、取締役 (社外取締役及び監査等委員である取締役を除く) 及び担当役員を対象とした役員報酬BIP (Board Incentive Plan) 信託 (以下「BIP信託」) と称される仕組みの業績連動型株式報酬制度を導入しています。また、国内外の当社グループ幹部を対象とした株式付与ESOP (Employee Stock Ownership Plan) 信託 (以下「ESOP信託」) と称される仕組みの業績連動型株式交付制度を導入しています。毎事業年度の制度開始時に、職責等に応じて設定された基準額を基に算定された基準ポイント (1ポイント=1株) が制度対象者に付与されます。交付株式数は、連続する3事業年度 (以下「対象期間」) における企業価値・株主価値の成長度等に応じ、株価評価指標に基づいて基準ポイントの0%~200%の範囲で決定されます。なお、原則として対象期間満了日以降の各信託所定の期日まで継続して制度対象者であることなどの受益者要件を満たすことが権利確定条件となっています。BIP信託及びESOP信託が当社株式を取得し、対象期間満了日以降の各信託所定の時期に受益者要件を満たす制度対象者へ信託から当社株式の交付等を行います。業績連動型株式報酬制度及び業績連動型株式交付制度の詳細は、「第4 提出会社の状況」の「1.株式等の状況」「(8) 役員・従業員株式所有制度の内容」及び「4.コーポレート・ガバナンスの状況等」「(4) 役員の報酬等」 をご参照ください。
BIP信託及びESOP信託から当社株式の交付等を行う業績連動型株式報酬制度及び業績連動型株式交付制度は、主として持分決済型の株式報酬として会計処理されています。現地の法律、規制等により当社株式の交付ができない国に居住する制度対象者については、交付株式数相当額の金銭による支給を行い、現金決済型の株式報酬として会計処理されています。
期中に付与されたポイント数は次のとおりです。
期中に付与されたポイントの加重平均公正価値は、以下の前提条件に基づき、モンテカルロ・シミュレーションにより算定しています。
(注) 1.付与日から株式の交付が見込まれる日までの年数としています。
2.過去の配当実績に基づき算定しています。
3.権利確定期間に対応する国債の利回りに基づいています。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるBIP信託及びESOP信託が所有する当社株式数は12,110千株及び15,973千株です。
2015年3月期まで、当社はストック・オプション制度を採用しており、当社の取締役及び執行役員に対してストック・オプションを付与しています。この制度は当社の株価や業績への感応度をより引き上げ、企業価値向上への意欲や士気を高めていくことを目的としています。
ストック・オプションは、当社の株主総会において承認された内容に基づき、当社の取締役会で決議された対象者に対して新株予約権として付与されています。新株予約権の新株予約権者は、当社の取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日の翌日以降に限り、新株予約権を行使することができます。権利行使期間は割当契約に定められた期間であり、その期間内に新株予約権が行使されない場合は、当該新株予約権は失効します。ストック・オプションの1株当たりの権利行使価格は1円です。
当社のストック・オプション制度は、持分決済型の株式報酬として会計処理されています。前連結会計年度及び当連結会計年度における未行使残高は全て権利確定済みで行使可能となっています。
(注) 1.ストック・オプションの数については、株式数に換算して記載しています。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における期中に行使されたストック・オプションの権利行使日時点の加重平均株価は、それぞれ1,948円及び1,852円です。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における未行使のストック・オプションの加重平均残存契約年数は、9年です。
25.退職後給付
当社グループでは、一部の在外連結子会社を除き、確定給付型及び確定拠出型の退職後給付制度を採用しています。確定給付型の退職後給付制度のうち主なものは、日本の確定給付型の退職給付制度であり、全体の確定給付制度債務の約70%を占めています。
当社は、確定給付型制度として企業年金基金制度及び退職一時金制度を設けています。
確定給付型制度における給付額は、退職までに獲得した退職金累計ポイントを基に算出される基準給与及び10年国債利回りをベースとした給付利率等に基づいて算定されます。また、加入期間が15年以上の場合、年金による受給の選択が可能となります。
確定給付制度は、アステラス企業年金基金によって管理されています。この年金基金の理事は、積立金の管理及び運用に関する基金の業務について任務を怠ったときには、連帯して損害を賠償する責任を負います。
事業主は、加入者ごとに1年間に付与されるポイントの見積りを基に算出された標準給与に4.0%を乗じた額を標準掛金として毎月拠出します。また、各連結会計年度末において、積立金の額が最低積立基準額を下回る場合には、事業主は追加の掛金を拠出します。なお、将来の基金財政の健全性を維持し安定的な基金運営を図るため、前連結会計年度から、リスク対応掛金の拠出を開始しています。
確定給付型の退職給付制度は、数理計算上のリスクにさらされています。アステラス企業年金基金は資産構成について専門的知識及び経験を有する職員を配した上で資産構成割合を決め、四半期ごとにモニタリングを実施しリスクを管理しています。
在外連結子会社では、英国、ドイツ及びアイルランド等で確定給付型の退職後給付制度を採用しています。
確定給付制度に関して連結財政状態計算書で認識された金額は次のとおりです。
前連結会計年度 (2023年3月31日)
当連結会計年度 (2024年3月31日)
確定給付制度債務の現在価値の増減は次のとおりです。
制度資産の公正価値の変動は次のとおりです。
(注) 当社グループは、翌連結会計年度 (2025年3月期) にリスク対応掛金を含め8,360百万円の掛金を拠出する予定です。
アセット・シーリングの影響の変動は次のとおりです。
制度資産の公正価値の内訳は次のとおりです。
株式は主に投資信託により構成されているため、公正価値ヒエラルキーのレベル2に分類されます。債券の公正価値は活発ではない市場における同一又は類似の資産に関する相場価額に基づいて測定しており、公正価値ヒエラルキーのレベル2に分類されます。現金及びその他の投資にはオルタナティブ投資等が含まれています。
株式は、活発な市場における公表市場価格があるもの及び活発ではない市場における同一又は類似の資産に関する市場価額に基づいて測定されるもので構成されており、公正価値ヒエラルキーのレベル1及びレベル2に分類されます。債券の公正価値は、活発な市場における公表市場価格があるもの及び活発ではない市場における同一又は類似の資産に関する市場価額に基づいて測定しており、公正価値ヒエラルキーのレベル1及びレベル2に分類されます。現金及びその他の投資にはオルタナティブ投資等が含まれています。
重要な数理計算上の仮定及び仮定に関する感応度の分析は次のとおりです。
重要な数理計算上の仮定である割引率が当連結会計年度において0.5%上昇又は0.5%下落した場合、確定給付制度債務は8,393百万円減少又は8,740百万円増加します。
この感応度分析では、その他の数理計算上の仮定が一定との前提を置いており、仮定の間の相関については考慮していません。実際には、複数の仮定の変化が相互に関連して生じる可能性があります。また、感応度分析における確定給付制度債務の計算にあたっては、連結財政状態計算書で認識されている確定給付制度債務の計算方法と同一の方法を適用しています。
確定給付制度債務の加重平均デュレーションは次のとおりです。
26.引当金
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) の引当金の増減は次のとおりです。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) の引当金の増減は次のとおりです。
(注) 米国における先発医薬品の販売実績等に応じて米国政府に支払うファーマフィーについて、期末日後に見込まれる支払いに備えるため引当金を計上しています。経済的便益の流出が予測される時期は、主に各連結会計年度末日より1年以内であると見込んでいます。
27.その他の負債
その他の負債の内訳は次のとおりです。
(注) 当社グループは、主に米国におけるメディケイド、メディケア及びマネージドケアプログラムに関連したリベートに対して、変動対価として、関連する売上収益が計上された期間に売上収益から控除し、期末日後に見込まれる返金に備えるため、返金負債を計上しています。返金負債の見積りにあたっては、各制度の対象製品を特定し、製品の売上計画、現行価格及び既存契約並びに政府による価格に関する法規制に基づくリベート率、過去からの売上傾向に基づく期待値により金額を見積っていますが、これらの見積りには不確実性を伴うため、実際の発生額と異なる可能性があります。
28.仕入債務及びその他の債務
仕入債務及びその他の債務の内訳は次のとおりです。
29.金融商品
当社グループは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された、最適な資本構成を維持することを資本管理の基本方針としています。
当社グループは、最適な資本構成を維持するために財務指標のモニタリングを実施しています。財務の健全性・柔軟性については信用格付け、資本効率については親会社所有者帰属持分当期利益率 (ROE) を適宜モニタリングしています。なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制はありません。
金融資産及び金融負債の分類は次のとおりです。
(注) 1.連結財政状態計算書の「その他の金融資産」に含まれています。
2.連結財政状態計算書の「その他の金融負債」に含まれています。
社債及び借入金の内訳は次のとおりです。
(注) 1.当連結会計年度末の残高と利率を用いて計算しています。
2.社債の明細をご参照ください。
社債の明細は次のとおりです。
当社グループは、医薬事業戦略における関係の維持・強化等を目的として保有する資本性金融商品をFVTOCIの金融資産に指定しています。
FVTOCIの金融資産として指定した資本性金融商品の主なものは次のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、取引関係の見直し等を目的として、FVTOCIの金融資産として指定した資本性金融商品の一部を売却等により処分し、認識を中止しています。
処分時の公正価値及び累積利得及び損失は次のとおりです。
また、FVTOCIの金融資産として指定した資本性金融商品の認識の中止及び公正価値の著しい下落により、その他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えた累積利得及び損失 (税引後) は前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ6,167百万円及び△4,664百万円です。
当社グループは、事業活動を行うにあたり、信用リスク、流動性リスク、為替リスク及び金利リスク等の財務上のリスクに晒されており、これらのリスクを低減するために、一定の方針等に基づきリスク管理を行っています。
また、当社グループは、デリバティブの利用を財務上のリスクをヘッジする目的とした取引に限定しており、投機目的では利用していません。
当社グループの事業活動から生ずる債権である売掛金等は、取引先の信用リスクに晒されています。当該リスクに関しては、取引先の経営状況を適宜把握し、売掛金残高を監視することにより信用リスクを管理しています。また、取引先の信用状況に応じて売掛金等の回収可能性を検討し、必要に応じて損失評価引当金を計上しています。
当社グループが保有する有価証券に関しては発行体の信用リスク、預金に関しては銀行の信用リスクに晒されています。また、当社グループが財務上のリスクをヘッジする目的で行っているデリバティブ取引については、取引相手である金融機関の信用リスクに晒されています。資金運用における有価証券取引・預金取引については、Global Cash Investment Policy及びGlobal Treasury Policyに基づき、一定の信用格付け基準を満たす発行体・銀行に限定し、定められた運用期間・限度額内で運用しています。また、デリバティブ取引については、Global Treasury Policyに基づき、一定の信用格付け基準を満たす金融機関に取引相手を限定しています。
当社グループは、特定の相手先又はその相手先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクを有していません。
保証債務を除き、保有する担保及びその他の信用補完を考慮に入れない場合の当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは、連結財政状態計算書における金融資産の減損後の帳簿価額です。保証債務に係る信用リスクに対する最大エクスポージャーは、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ30百万円及び19百万円です。
当社グループは、一部の売上債権及びその他の債権に対する担保として有価証券及び預り金を保有しています。
前連結会計年度における償却原価で測定する金融資産の信用リスク・エクスポージャーは次のとおりです。
前連結会計年度における損失評価引当金の増減は次のとおりです。
当連結会計年度における償却原価で測定する金融資産の信用リスク・エクスポージャーは次のとおりです。
当連結会計年度における損失評価引当金の増減は次のとおりです。
② 流動性リスク
流動性リスク管理
当社グループは、支払債務の履行が困難になる流動性リスクに晒されていますが、想定される支払債務への対応に加え、一定の戦略的投資機会にも機動的に対応できる手元流動性を維持しており、残高については、月次で専務担当役員 財務担当に報告をしています。また、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、コミットメントベースではない借入枠及びコマーシャル・ペーパーと併せ、流動性リスクの軽減を図っています。なお、当連結会計年度におけるコミットメントライン契約の未実行残高は200,000百万円です。
金融負債の期日別残高は次のとおりです。
前連結会計年度 (2023年3月31日)
当連結会計年度 (2024年3月31日)
為替リスク管理
当社グループの事業は多くの国及び地域で営まれており、当社グループの経営成績及び財政状態は為替リスクに晒されています。
当社グループは、為替リスクの抑制を目的としたデリバティブ取引の利用の要否を、個別の案件ごとに検討しています。前連結会計年度及び当連結会計年度において、外貨建てインターカンパニーローンについては、為替変動による経営成績への影響を抑えるため、先物為替予約のデリバティブ取引を利用しています。通貨毎の為替リスクヘッジ状況 (デリバティブ取引残高) については、月次で専務担当役員 財務担当に報告しています。
為替感応度分析
各連結会計年度末において、機能通貨である円が、米ドル及びユーロに対して10%円高になった場合に、当社グループの連結純損益計算書の税引前利益に与える影響額は、以下のとおりです。
なお、計算に使用した通貨以外の通貨は変動しないこと及びその他の変動要因は一定であることを前提としています。
(注) 上表の△は、各通貨に対して10%円高になった場合に、税引前利益に与えるマイナスの影響額を意味しています。
④ 金利リスク
金利リスク管理
当社グループの有利子負債は金利リスクに晒されていますが、資金需要に対してその内容や財務状況及び金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断し、金利リスクを軽減するために、固定・変動金利を組み合わせて調達の最適化を図っています。また、当社グループは、金利リスクの抑制を目的としたデリバティブ取引の利用の要否を、個別の案件ごとに検討しています。金利リスクヘッジ状況 (デリバティブ取引残高) については、月次で専務担当役員 財務担当に報告しています。
各連結会計年度末において当社グループが保有する変動金利の借入金の金利が1%上昇した場合の当社グループの連結純損益計算書の税引前利益に与える影響額は、以下のとおりです。
なお、その他の変動要因は一定であることを前提としています。
(注) 上表の△は、金利が1%上昇した場合に、税引前利益に与えるマイナスの影響額を意味しています。
(4) 金融商品の公正価値
公正価値ヒエラルキー
金融商品の公正価値ヒエラルキーは、次のように区分しています。
レベル1:同一の資産又は負債に関する活発な市場における無調整の相場価格により測定した公正価値
レベル2:レベル1以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを使用して測定した公正価値
レベル3:重大な観察可能でないインプットを使用して測定した公正価値
公正価値の測定に使用される公正価値ヒエラルキーのレベルは、公正価値の測定に用いた重大なインプットのうち、最もレベルの低いインプットに応じて決定しています。
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、各四半期末日で発生したものとして認識しています。
公正価値ヒエラルキーの各レベルに分類された、経常的に公正価値で測定される金融資産及び金融負債の内訳は次のとおりです。
前連結会計年度 (2023年3月31日)
(注) FVTPLの金融資産、FVTOCIの金融資産 (資本性) 及びFVTPLの金融負債は、それぞれ連結財政状態計算書の「その他の金融資産」及び「その他の金融負債」に含まれています。
当連結会計年度 (2024年3月31日)
(注) FVTPLの金融資産及びFVTOCIの金融資産 (資本性) 並びにFVTPLの金融負債及びヘッジ会計を適用しているデリバティブは、それぞれ連結財政状態計算書の「その他の金融資産」並びに「その他の金融負債」に含まれています。
レベル3に分類されている金融商品の公正価値の変動は次のとおりです。
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(a) 金融資産
(注) 連結純損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
(b) 金融負債
(注) 連結純損益計算書の「その他の収益」及び「その他の費用」に含まれています。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(a) 金融資産
(注) 連結純損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
(b) 金融負債
(注) 連結純損益計算書の「その他の収益」及び「その他の費用」に含まれています。
公正価値の算定方法は次のとおりです。
レベル1に分類されている上場株式の公正価値は、期末日の市場価格を用いて算定しています。
レベル2に分類されている金融資産は、保険積立金及びデリバティブにより構成されています。
米国子会社が採用している繰延報酬制度の支払いに備え、当社グループは保険積立金を保有しています。保険積立金の公正価値は、取引保険会社から提示された解約払戻金に基づいて算定しています。
デリバティブの公正価値は、取引金融機関から提示された価格に基づいて算定しています。
レベル3に分類されている金融資産は、ファンドへの出資及び非上場株式により構成されています。
出資金の公正価値は、直近の入手可能な情報に基づきファンドの公正価値を見積もった上で、それに対する持分に基づいて算定しています。
非上場株式の公正価値は、直近の入手可能な投資先の純資産又は将来の収益性の見通し等に基づき算定しています。
出資金及び非上場株式の公正価値は、四半期ごとに当社及びグループ各社の担当部門がグループ会計方針等に従って測定し、公正価値の変動の根拠と併せて上位者に報告されています。
レベル2に分類されている金融負債は、デリバティブにより構成されています。
デリバティブの公正価値は、取引金融機関から提示された価格に基づいて算定しています。
レベル3に分類されている金融負債は、企業結合により生じた条件付対価です。
条件付対価は、被取得企業が保有していた臨床開発プログラムの開発の進捗等に応じて支払うマイルストンであり、その公正価値は、新薬開発の難易度等と関連したプログラムが成功する可能性や貨幣の時間的価値等を考慮して見積もっています。これらの見積りには不確実性を伴うため、重大な観察可能でないインプットであるプログラムが成功する可能性が高くなった場合、公正価値は増加するなどの影響があります。
レベル3に分類されている金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合に重要な公正価値の変動は見込まれていません。
② 償却原価で測定する金融商品の公正価値
公正価値の算定方法は次のとおりです。
償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産は、売上債権及びその他の債権、貸付金及びその他の金融資産、現金及び現金同等物で構成されています。これらは、主として短期間で決済されるため、帳簿価額は公正価値に近似しています。
償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債は、社債及び借入金、仕入債務及びその他の債務、リース負債、その他の金融負債で構成されています。これらは、社債、長期借入金及びリース負債を除いて、主として短期間で決済されるため、帳簿価額は公正価値に近似しています。
レベル2に分類されている社債の公正価値は期末日の市場価格を用いて算定しており、前連結会計年度及び当連結会計年度において帳簿価額は公正価値に近似しています。
変動金利による長期借入金は、短期間で市場金利が反映されるため、帳簿価額は公正価値に近似しています。レベル2に分類されている固定金利による長期借入金の公正価値は、将来キャッシュ・フローを残存期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いて算定しており、当連結会計年度において帳簿価額は公正価値に近似しています。
(5) ヘッジ会計
① 公正価値ヘッジ
リスク区分ごとのヘッジ手段の想定元本、帳簿価額及び平均利率は次のとおりです。
当連結会計年度 (2024年3月31日)
(注) 連結財政状態計算書の「その他の金融負債」に含まれています。
リスク区分ごとのヘッジ対象の帳簿価額及び公正価値ヘッジ調整の累計額は次のとおりです。
当連結会計年度 (2024年3月31日)
(注) 連結財政状態計算書の「社債及び借入金」に含まれています。
② キャッシュ・フロー・ヘッジ
リスク区分ごとのその他の資本の構成要素の調整表及びその他の包括利益の分析は次のとおりです。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 連結純損益計算書の「その他の収益」に含まれています。
30.リース
当社グループは、主として建物及び構築物、機械装置及び運搬具等を賃借しています。なお、変動リース料、残価保証及びリースにより課されている制限又は特約、並びにセール・アンド・リースバック取引はありません。
また、借手が契約しているがまだ開始していないリースで重要なものはありません。
リースに係る損益の内訳は次のとおりです。
(注) ファイナンス・リースに係る正味リース投資未回収額に対する金融収益及びオペレーティング・リースに係るリース収益
使用権資産の内訳は次のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるリースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は、それぞれ19,176百万円及び17,435百万円です。
使用権資産の増加額は注記「15.有形固定資産」、リース負債の満期分析は注記「29.金融商品 (3) ②流動性リスク」をご参照ください。
31.キャッシュ・フロー情報
支配を獲得した子会社の資産及び負債の内訳並びに子会社の支配の獲得に関する支払対価は次のとおりです。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 支配を獲得した主な子会社は、IVERIC bio, Inc. です。企業結合の内容は、注記「34.企業結合」をご参照ください。
財務活動から生じた負債の変動は次のとおりです。
(注) 1.「企業結合」による増加は、IVERIC bio, Inc. を買収したことによるものです。企業結合の内容は、注記「34.企業結合」をご参照ください。
2.「その他」のうち、主なものは為替換算調整です。
3.「長期借入金」には1年以内返済予定の長期借入金が含まれています。
32.コミットメント
有形固定資産及び無形資産の取得に関するコミットメントは次のとおりです。
無形資産の取得に関するコミットメント
当社グループは、複数の第三者と共同研究・共同開発に関する提携契約や、製品・技術の取得に関する契約を締結しています。これらの契約の下で、当社グループは、契約で定められた特定の目標が達成された場合、又はその他の一定の条件が満たされた場合に、それらの達成されたマイルストンに応じて一定の金額を支払う義務を負っています。
「研究開発マイルストン支払」は、研究開発ステージの進捗等に基づいて設定されたマイルストンを達成した場合、契約で定められた金額を支払う義務を負うものです。
また、「売上目標達成マイルストン支払」は、売上目標に基づいて設定されたマイルストンを達成した場合、契約で定められた金額を支払う義務を負うものです。
上記の表に記載された金額は、全てのマイルストンが達成された場合の最大の支払額であり、現在価値への割引はされておらず、リスクについても考慮されていません。マイルストンの達成は不確実性が非常に高いため、全ての支払義務が生じる可能性は低く、実際の支払額は大幅に異なる可能性があります。
これらの研究開発及び販売に関する契約のうち、主要なものに関しては、「第2 事業の状況」の「5. 経営上の重要な契約等」に詳細が記載されています。
33.関連当事者
重要な子会社については、「第1 企業の概況」の「4. 関係会社の状況」をご参照ください。
当社グループの主要な経営幹部に対する報酬は次のとおりです。
主要な経営幹部は、当社グループの取締役及びエグゼクティブ・コミッティのメンバーにより構成されており、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ23名及び18名です。
34.企業結合
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
IVERIC bio, Inc. の取得
(1) 企業結合の概要
① 被取得企業の名称及びその事業の内容
② 取得日
米国東部時間 2023年7月11日
③ 取得した議決権付資本持分の割合
100%
④ 被取得企業の支配の獲得方法
現金を支払対価とする株式取得
⑤ 企業結合を行った主な理由
当社は、VISION「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」の実現に向け、最先端の「価値」駆動型ライフサイエンス・イノベーターを目指しています。研究開発戦略であるFocus Areaアプローチとして、多面的な視点でバイオロジーとモダリティ/テクノロジーの独自の組み合わせを見出し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます。現在、「再生と視力の維持・回復」を含む5つのPrimary Focusを特定し、優先的に経営資源を投下しています。Iveric Bio社買収は、当社が掲げる重点領域における製品ポートフォリオ構築のための重要なステップとなります。
Iveric Bio社は、眼科領域において新規治療薬の研究開発に注力しています。地図状萎縮 (Geographic Atrophy:GA) を伴う加齢黄斑変性 (Age-related Macular Degeneration:AMD) の治療薬として開発中のIZERVAY (一般名:avacincaptad pegol、以下「ACP」) 硝子体内注射液について、米国食品医薬品局 (FDA) から2023年8月4日 (現地時間) に承認を取得しました。
補体因子C5阻害剤であるACPは、GAを伴うAMDの治療薬候補であり、十分な治療を受けていない多くの患者さんに価値を提供できる可能性があります。ACPは、これまでに2つのピボタル試験 (GATHER1, 2試験) において、主要評価項目 (GAの進行抑制) を統計学的に有意に達成し、この適応症についてFDAからブレークスルーセラピー指定 (Breakthrough Therapy Designation) を受けています。
Iveric Bio社のリードプログラムであるACPを獲得することが、当社の経営計画2021で定める2025年度までの売上目標に貢献するだけでなく、ACPは、fezolinetantやPADCEVとともに収益を生み出す柱として、2020年代後半に控えるXTANDIの独占期間満了による売上減少を補うことが期待されています。
また、Iveric Bio社の買収により、当社は、コマーシャルチームや、専門家との広範なネットワーク、医療機関とのパートナーシップを含む、眼科領域における基盤ケイパビリティを獲得します。このようなケイパビリティ獲得を通じて、当社は、Primary Focus「再生と視力の維持・回復」における目標達成に向け、臨床開発・市場アクセスを加速させていきます。
(2) 取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値
(単位:百万円)
当連結会計年度において、当該企業結合の取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値の測定に関して、新たな事実が判明し追加的な分析を行ったため、上記のとおり、一部の引受負債及び支払対価の暫定的な公正価値を修正しています。なお、取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値の測定は継続中であるため、企業結合の当初の会計処理は完了していません。
無形資産 (仕掛研究開発) の公正価値はインカム・アプローチにより算出し、算定には規制当局からの販売承認取得の可能性、上市後の販売予測及び割引率等の仮定を使用しています。
のれんの主な内容は、個別に認識要件を満たさない、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果及び超過収益力です。
(3) キャッシュ・フロー情報
上記のほか、Iveric Bio社の権利確定前のストック・オプション等の株式報酬に係る支払33,434百万円を企業結合とは別個に認識し、連結純損益計算書の「その他の費用」に計上しています。
(4) 取得関連費用
3,614百万円
取得関連費用は、連結純損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれています。
(5) 連結純損益計算書に与える影響
① 当連結会計年度の連結純損益計算書で認識されている取得日以降の被取得企業の税引前利益 (△は損失)
△107,506百万円
(注) 上記には、企業結合とは別個に認識されたIveric Bio社の権利確定前のストック・オプション等の株式報酬に係る支払33,434百万円が含まれています。
② 企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の当連結会計年度の連結純損益計算書の税引前利益に与える影響額 (△は損失) (非監査情報)
△52,765百万円
(注) この影響額は、Iveric Bio社の2023年4月1日から取得日までの業績に基づいて算定しています。
35.偶発負債
法的手続
当社グループは、製薬業界において一般的と考えられている各種の請求及び法的手続に関与しています。それらの手続は、一般に製造物責任、競争及び独占禁止法、知的財産権、従業員、政府調査等に関連しています。一般的に、訴訟及びその他の法的手続は、多くの不確実性及び複雑な要素を含んでいるため、損失の可能性について信頼に足る判断をすることや財務上の影響を見積もることは不可能である場合があります。これら事案について、当社グループは、必要に応じ開示は行いますが、引当金は計上しません。
なお、提出日現在において開示すべき重要な偶発負債はありません。
36.後発事象
該当事項はありません。