第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は1994年より「究極の最先端」を意味する“ZACROS”をハウスネームとしておりますが、創業110周年を迎えた本年、今まで以上に究極の最先端を追求してお客さまや世界に向けたソリューションを創造することとグローバルブランド統一と認知度向上を目的に、2024年10月1日より商号を変更することといたします。

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、ZACROS VISIONとして『「つつむ心」で寄り添い、なくてはならない豊かさへ。私たちは、次の世代に誇れる未来をつくり続けます。』を掲げております。当社は創業以来、顧客、市場、社会の潜在的な「困りごと」に先行して挑み、社内外の様々な製品や技術、サービスを組み合わせて、ユニークな解決策を創出し、新しい文化や価値を生み続けて参りました。この「ソリューション創造活動」をより一層進化させ、持続的な企業価値向上を図ってまいります。

 

(2)中長期経営計画

 当社は2024年度から2030年度までの中長期経営計画―ソリューション創造活動の進化―を策定しました。

 本計画を着実に遂行することにより、資本効率向上と中長期にわたる株価上昇を実現したいと考えております。

 当社はこれまで世の中の潜在的な困り事を解決する日本初・世界初のソリューションを提供してきましたが、この取り組みをさらに進化させ、持続的な企業価値向上を実現いたします。2030年度のROE12%達成を目指し、今後3年間を「積極投資による構造改革期」とし、持続的な企業価値向上を図ってまいります。

 2021-2023年度の3年間は「基盤強化・準備」の時期と位置づけ、コロナ禍の中でも様々な投資案件が進展しましたが、実際の投資支出は179億円に留まりました。この状況を立て直すため、2024-26年度の3年間を「積極的な先行投資」の時期と位置づけ、過去3年間に準備した投資案件に積極的に資金を投入し、「ビジネスモデルの進化」「事業ポートフォリオ変革」「バランスシート改革」の3つの基本方針を断行してまいります。先行投資に伴う償却費の発生を見込んでおり、2026年時点の利益水準は現状水準に留める計画ですが、これによって将来の高付加価値創造体質に構造変革いたします。

 また、株主還元については従来の安定的、継続的な配当に加え、2024-26年度の3年間においては配当性向40%を目安とし、充実を図ってまいります。

 中長期経営計画―ソリューション創造活動の進化―の詳細については、当社コーポレートサイトの「中長期経営計画資料」をご覧ください。(https://www.zacros.co.jp/ir/library/presentations/)

 

 

2021-23年度(実績)

2024-26年度(計画)

2027-30年度(目標)

位置づけ

基盤強化・準備

積極的な先行投資

投資成果の収穫

取組

・既存事業・生産拠点の増強

・新規事業の追加・加速

・コーポレート機能の強化

・ビジネスモデル進化

・ポートフォリオ変革

・バランスシート変革

フリーキャッシュフローの安定成長に資する投資

売上高

1,361億円

1,650億円

2,200億円

営業利益率

6.1%

6.1%

10.0%

ROE

5.4%

6.2%

12.0%

EBITDA

142億円

200億円

330億円

期間中の投資額

179億円

700+α億円

400+α億円

株主還元方針

安定的・継続的配当

安定的・継続的配当を維持

未定

配当性向

20.3%→32.9%→34.8%

40%を目安とする

年間配当額

82円→84円→84円

126円(2024年度)

※M&A費用は「+α」に含む

 

 

各セグメントの状況・施策は以下のとおりです。

 

(ウェルネス事業)

 バイオ医薬品等の製造用シングルユースバッグ及び関連製品(BioPhaS®(バイファス))は過去3年間で成長牽引事業になり、販売先増加に伴う三重事業所の生産能力を増強します。医療機器・細胞培養受託事業は引き続き積極投資を継続し、バイオ関連領域での基盤構築を図ります。

・BioPhaS®の生産及び供給体制を強化。サービスの拡充、外部パートナーとの連携強化

・体外診断薬用医療機器の欧州・北米での販売体制の強化

・細胞性医薬製品の開発及び製造受託の早期実績化

・医薬・医療包装材の国内収益力を向上と東南アジアでの生産強化による海外展開を加速

 

(環境ソリューション)

 高度な機能性に加え、環境性能という新たな価値を創造し、基盤事業として更なる強化を図ります。

・国内包装・容器の環境対応製品のラインアップを強化。外部連携によるリサイクルスキームの構築

・生産DX・品種統合等により収益性向上し事業基盤を強化

・検査試薬の需要伸長に伴い、北米・東南アジア・中国・インドでの事業拡大を加速

 

(情報電子)

 プロテクトフィルムは業界再編の機をとらえて、積極投資で圧倒的シェアを確保、情報記録用材は半導体パッケージ基板用層間絶縁材料の増産対応を継続し、中長期の成長牽引を図ってまいります。

・プロテクトフィルムの業界初3m幅生産設備導入によるシェア拡大

・情報記録用材、半導体パッケージ基板用層間絶縁材料の増産対応継続

・次世代通信、モビリティをターゲットとした電子部材の開発推進

 

(産業インフラ)

 都市部の旺盛な建設需要を見込んでおります。製品とシステムを組み合わせたソリューション提案を強化し、高付加価値な事業への進化を加速してまいります。

・ビル用煙突は保全管理を含むソリューションを提案し継続的なビジネスへ転換

・空調用配管は法令に遵守した製品と省力化製品のラインアップを拡充。生産DXで中長期の生産強化と生産性向上

・トンネル用資材は資材・システムを複合開発継続とDXソリューション提案強化

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、下記の指標について重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指していきます。

・営業利益

・営業利益率

・EBITDA

・ROA(総資産営業利益率)

・ROIC(投下資本利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)ガバナンス

 当社グループはサステナビリティをグループ全体の経営課題として明確に位置づけ、マテリアリティ(重要課題)に対する取組みを推進するために、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しており、取締役会の監督のもと、環境対応(気候変動、環境負荷物質削減等)、人的資本拡充(人財の育成、多様な人財の活躍、充実したライフワークの実現等)を含むサステナビリティに関する活動を推進しています。サステナビリティ委員会は、取締役会に対しサステナビリティに関する状況を定期的に報告し、その指示・助言を受けることとしております。

 

(2)戦略

 当社グループは、持続可能で豊かな未来の創造を目指し、環境配慮型社会の実現や快適で豊かな社会の実現に取り組みます。地球温暖化の進行、環境汚染、高齢化社会等といったリスクに対応し、需要に応えるため、なくてはならない製品や事業を開発し提供していきます。製造過程においては、温室効果ガスや環境負荷物質の排出抑制にも努めます。

 また、当社グループにおける人的資本については、人財の多様性の確保、人財の育成及び充実したライフワークの実現、社員の心と身体の健康づくりなどに取り組んでおります。

 

(3)リスク管理

 サステナビリティ関連リスクの分析・特定・評価については代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会が実施し報告されたサステナビリティ関連リスクについては適宜必要に応じて各事業部門等に対応策の指示・報告等を実施しておりますまた当社グループではコンプライアンス・リスク管理委員会がグループ全体のリスク管理を統括・推進する体制としており各種リスクを定量的に把握し対応を進めておりますサステナビリティ委員会とコンプライアンス・リスク管理委員会は両委員会とも代表取締役社長が委員長を務めておりサステナビリティ関連リスクに関しても連携して対応しております

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、環境配慮型社会の実現に向けて、資源循環性の高い製品やCO2排出量を低減させる製品の普及を推進しています。快適で豊かな社会の実現に向けては、スマート社会、健康長寿社会、快適な空間の実現に貢献する製品を提供していきます。これらの取組みの指標と目標は当社ホームページ(https://www.zacros.co.jp/sustainability/)をご確認ください。

 上記(2)戦略において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する取組みの指標と目標についても、当社ホームページ(https://www.zacros.co.jp/sustainability/employee/)をご確認ください。なお、ホームページ上の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

 

(1)電気・電子関連市場の影響

 当社グループにおいては、高度情報化社会の進展等に伴い、液晶ディスプレイ等に使用されるプロテクトフィルム(偏光板用プロテクト等)並びにパソコンやサーバーに使用される情報記録用材の層間絶縁フィルムなどの生産・販売を行っております。従って、これら電気・電子関連市場での需要の急激な変動は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、市場状況のモニタリング及び市場変化への迅速な対応、事業の多角化等に努めております。

 

(2)競合状況、価格動向

 当社グループが属する業界は大手から中小まで、様々な企業が存在しております。現状の当社グループは独自の高い技術により優位に展開している分野もありますが、今後、競合他社が模倣あるいは独自の高い技術をもって当社のシェアを奪う可能性があります。競合状況の変化によって、価格やシェアが低下する場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、一層の技術向上や顧客への信頼確保、競合に対する差別化に努めております。

 

(3)原材料の価格変動及び調達

 当社グループが販売する包装材や各種加工フィルムに使用される原材料の価格は原油・ナフサ等の国際商品市況の影響を受けるものであり、今後の価格上昇や為替変動などが合理化、価格転嫁による吸収を超えるような場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害、政策、国際情勢の変化等により需給バランスが崩れた場合など、必要な原材料が調達できない可能性があり、正常な生産ができないことにより売上の低下を招く可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、主要原材料に関連する市況動向の情報収集や先行購買、新たな素材や製造工法の開発、サプライヤーとの持続的な関係の構築等によるリスクヘッジに努めております。

 

(4)品質

 当社グループは高まる業界の要求品質に応えるため日々品質向上に努めておりますが、当社グループの製品に欠陥があった場合、賠償責任を負い当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、品質マネジメントシステムの認証・運用を行い日々品質改善に努めております。また、製造物責任賠償保険の付保等の備えを行っております。

 

(5)為替変動

 当社グループは製造・販売を海外にて展開している他、海外への外貨建ての販売・海外からの外貨建てによる資材調達を行っており、為替相場の変動は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、為替予約等によるリスクヘッジを行っております。

 

(6)設備投資に伴う影響

 当社グループでは需要動向を検討した上で各部門の生産力強化及び差別化に資する設備投資を実施しており、今後も機に応じて必要と判断される投資を実施してまいります。このような設備投資には、市場環境の変化・設備コスト増大・工事遅延等による投資回収期間の長期化、償却費・資金調達費用の負担増大による収支悪化など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、投資計画時に想定されるリスクとその回避策を可能な限り検討した上で、採算性を分析し投資判断を行っております。また、工事進捗及び生産状況のモニタリング、財務体質の強化に努めております。

 

 

(7)M&A

 当社グループは、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合、必要に応じて買収や事業提携を実施しております。しかし、市場環境・競争環境の著しい変化や計画通りに事業を展開することができなかった場合、事業提携による共同開発等の先行投資など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、投資対象選定及び投資先の経営計画に対する精緻な精査、経営状況及び市場環境に対するモニタリングに努めております。

 

(8)海外事業展開

 当社グループでは、製品の輸出入及び海外における現地生産、販売など、海外活動を展開しております。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予測しえない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、進出国の税制・法規制動向、政治・経済情勢など情報収集に努めております。

 

(9)債権管理

 当社グループは取引先に対して売掛金等の債権を有しており、一取引における金額が大きい場合もあります。場合によっては回収リスクが顕在化して、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、取引先業況の情報収集、与信管理の徹底、債権保全等を行っております。

 

(10)環境問題

 当社グループでは、環境保全を経営の最重要課題であると認識し、環境問題解決に向けさまざまな活動を行っております。世界的に気候変動や海洋プラスチックなどの環境問題解決に向け、カーボンニュートラルや石油由来のプラスチック使用量削減、循環型社会の実現など世界各国で環境負荷低減の取り組みが進んでおり、当社グループがそのような社会の要望に応えられない場合は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、世界各国の環境規制などにより事業活動に制約が生じる場合や、規制対応のため多額の設備投資や費用投入が必要となる場合も、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは環境負荷低減の取り組みを事業の成長機会と捉え、環境対応へのニーズや環境規制に関する情報収集に努めると共に、生産プロセスの変革や自然エネルギーの活用、環境対応型の製品やシステム、サービスの開発を進めるなど積極的に環境問題解決に向けた活動に取り組んでまいります。

 

(11)知的財産権

 当社グループでは知的財産権の保全に努めておりますが、第三者からの侵害が発生し、当社グループの知的財産権が完全に保護されない状況が発生した場合、競争優位性が失われる可能性があります。また、知的財産権に関する第三者との間の紛争等により、損害賠償を請求されたり、当社グループの事業活動が制限されたりする可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、当社保有の知的財産権の保全および他者の知的財産を侵害することのないように注意を払うことを徹底しております。

 

(12)情報セキュリティ

 当社グループは製造、研究開発、販売活動等さまざまな事業活動においてDXを推進しており、情報システムの重要性は高まっております。一方、サイバー攻撃は巧妙化し急激に増加しております。当社グループの情報システムがサイバー攻撃や停電、自然災害、システム機器の故障等により事業の中断や機密情報の漏洩が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、障害対応やインシデント検知などの技術的な面での対策を様々に行っており、今後も最新動向を加味し強化を継続していく予定です。また、役員・従業員へのサイバー攻撃や情報セキュリティに関しての教育・啓蒙を行っております。

 

 

(13)コンプライアンス

 当社グループにおいて、役員、従業員にコンプライアンス違反があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。またグローバルな事業展開を進める中で各国の法令、税制、規制などの大幅な変更による費用の増加や事業活動の制限などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、コンプライアンス体制の整備、維持、モニタリング及び改善を図り、役員、従業員に対し、コンプライアンスの周知、徹底を実施しております。

 

(14)疫病、災害、事故

 疫病の流行、地震や気候変動に起因する自然災害、大規模な事故等、想定を上回る非常事態が発生し、当社グループ、関連資材メーカー、顧客等の生産設備や電力・物流等の社会インフラに重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、製造や物流設備等の破損、原材料やエネルギーの調達困難、必要要員の確保困難といった販売・生産能力の低下が当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 当社グループは安全第一の方針のもと、主要な事業拠点を中心に火災等の事故や大地震等の自然災害による損害を防止するため、設備の点検・安全対策を実施しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における経営成績は、ウェルネス事業、環境ソリューション事業では減収となりましたが、産業インフラ事業では増収となりました。また、情報電子事業も、主力のプロテクトフィルムで前年度の業界の生産調整が一巡すると同時に、業界再編により当社の競争力が高まり、大きく増収となりました。その結果、当社グループの売上は前年同期比で増収となりました。

損益面では、原材料の高騰、人件費の増加、研究開発費の増加などの減益要因があったものの、生産効率の向上・価格転嫁などの収益向上施策の推進により、営業利益、経常利益は前年同期比で増益となりました。その一方、偶発損失引当金繰入額の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。

この結果、当連結会計年度における業績は、売上高1,361億55百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益83億44百万円(前年同期比41.9%増)、経常利益89億10百万円(前年同期比30.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益45億32百万円(前年同期比6.6%減)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、経営体制の変更に合わせて管理区分の一部見直しを行い、報告セグメントを従来の「ウェルネス事業」、「環境ソリューション事業」、「情報電子事業」及び「建築・土木資材事業」の区分から、「ウェルネス事業」、「環境ソリューション事業」、「情報電子事業」及び「産業インフラ事業」の区分に変更しております。

 以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご覧ください。

 

(ウェルネス事業)

 バイオ医薬品等製造用シングルユースバッグ及び関連製品は、ワクチン向け需要が減少し前年同期を下回る売上となりました。医薬・医療用包装材については、国内での売上を伸ばしたものの、インドネシア子会社での売上が大きく減少したことにより、事業全体で減収となりました。損益面では、売上減少要因に加え、医療機器及び体外診断薬関連製品や再生医療分野において開発費用投入を進めていることなどにより減益となりました。

 この結果、売上高は260億89百万円(前年同期比3.6%減)、営業利益は8億32百万円(前年同期比36.6%減)となりました。

 

(環境ソリューション事業)

 液体容器では海外子会社を中心に売上を伸ばし、つめかえ包装や食品包装では増収を確保したものの、OA機器関連包装において売上が減少したことから、事業全体では減収となりました。損益面では、海外展開に向けたマーケティング費用等が増加しましたが、液体容器における増収効果などにより事業全体で増益となりました。

 この結果、売上高は334億75百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益14億44百万円(前年同期比15.0%増)となりました。

 

(情報電子事業)

 電子部材関連他については、前年度下期から継続している半導体市場の冷え込みの影響により減収となりました。一方 ディスプレイ関連では、主力のプロテクトフィルムで前年度の業界の生産調整が一巡すると同時に、業界再編により当社の競争力が高まり大きく売上を伸ばし、この結果 事業全体で増収となりました。損益面では、層間絶縁フィルムの減収影響があったものの、プロテクトフィルムの増収効果により、事業全体で増益となりました

 この結果、売上高は449億34百万円(前年同期比18.3%増)、営業利益30億17百万円(前年同期比525.8%増)となりました。

 

(産業インフラ事業)

 建築資材関連においては、ビル用煙突の売上は減少となりましたが、空調用配管及び集合住宅向けボイドスラブ(床構造部材)の売上が好調に推移しました。土木資材関連については、トンネル用資材の売上が増加しました。化成品については、プラスチック商品の売上が好調であったことと、中国の子会社を連結の範囲に含めたことにより増収となりました。事業全体では増収増益となりました。

 この結果、売上高は316億55百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益30億50百万円(前年同期比7.7%増)となりました。

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

 

 

金額

(百万円)

売上高比率

(%)

金額

(百万円)

売上高比率

(%)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

129,364

100.0

136,155

100.0

6,790

5.2

 

ウェルネス

27,058

20.9

26,089

19.2

△968

△3.6

 

環境ソリューション

33,736

26.1

33,475

24.6

△261

△0.8

 

情報電子

37,988

29.4

44,934

33.0

6,945

18.3

 

産業インフラ

30,581

23.6

31,655

23.2

1,074

3.5

営業利益

5,882

4.5

8,344

6.1

2,461

41.9

 

ウェルネス

1,312

4.9

832

3.2

△480

△36.6

 

環境ソリューション

1,256

3.7

1,444

4.3

188

15.0

 

情報電子

482

1.3

3,017

6.7

2,535

525.8

 

産業インフラ

2,831

9.3

3,050

9.6

218

7.7

 

 財政状態については、次のとおりであります。

 

 当連結会計年度末における総資産は、短期の有価証券が減少しましたが、売上債権や現金及び預金、有形固定資産が増加したことなどにより、前年度末に対して132億40百万円増加の1,416億80百万円となりました。

 負債は、仕入債務の増加、偶発損失引当金の計上などにより、前年度末に対して88億79百万円増加の、480億38百万円となりました。

 純資産は、利益剰余金が増加したことに加え、円安の進行に伴い為替換算調整勘定が増加したことなどにより、前年度末に対して43億61百万円増加の936億42百万円となり、自己資本比率は60.4%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末より14億90百万円増加して321億12百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とその主な増減理由は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、100億83百万円(前年同期は83億65百万円の収入)となりました。

 これは、売上債権の増加、法人税等の支払などの資金減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益72億23百万円、減価償却費58億66百万円、売上債権の減少などの資金増加要因があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、61億9百万円(前年同期は39億66百万円の支出)となりました。

 これは、投資有価証券の売却などの資金増加要因があったものの、有形固定資産の取得67億36百万円などの資金減少要因があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、35億7百万円(前年同期は24億45百万円の支出)となりました。

 これは、配当金の支払や自己株式の取得、借入金の返済などの資金減少要因があったことによるものです。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

61.4

61.8

61.9

63.9

60.4

時価ベースの自己資本比率(%)

51.4

73.0

55.9

46.6

56.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.4

0.3

0.2

0.4

0.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

149.8

512.0

617.0

178.4

137.4

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率             自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率       株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ   営業キャッシュ・フロー÷利払い

2.株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

ウェルネス(百万円)

24,443

△6.0

環境ソリューション(百万円)

29,389

5.5

情報電子(百万円)

45,758

20.6

産業インフラ(百万円)

12,043

△4.2

合計(百万円)

111,634

7.0

 (注)金額は販売価格によっております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

ウェルネス(百万円)

1,758

30.4

環境ソリューション(百万円)

4,399

70.3

情報電子(百万円)

343

△61.3

産業インフラ(百万円)

20,094

△0.7

合計(百万円)

26,595

6.2

 (注)金額は仕入価格によっております。

 

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ウェルネス

26,448

△8.8

8,377

4.5

環境ソリューション

35,013

7.9

8,882

20.9

情報電子

46,275

21.7

2,701

98.6

産業インフラ

33,300

1.6

12,383

15.3

合計

141,037

6.6

32,344

17.8

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

ウェルネス(百万円)

26,089

△3.6

環境ソリューション(百万円)

33,475

△0.8

情報電子(百万円)

44,934

18.3

産業インフラ(百万円)

31,655

3.5

合計(百万円)

136,155

5.2

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

 財政状態及び経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、当社グループでは、以下を重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指しております。

・営業利益

・営業利益率

・EBITDA

・ROA(総資産営業利益率)

・ROIC(投下資本利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

 企業としての本来の事業活動の成果を示す営業利益及び営業利益率、現金獲得能力を示すEBITDA、投下資本の運用効率・収益性を測る指標としてROA(総資産営業利益率)及びROIC(投下資本利益率)、株主重視の観点からROE(自己資本当期純利益率)を選定しております。

 2024年3月期を含む、過去5ヶ年の上記指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

営業利益(百万円)

8,856

10,286

10,341

5,882

8,344

営業利益率(%)

7.7

8.8

8.1

4.5

6.1

EBITDA(百万円)

13,436

15,231

15,722

11,191

14,275

ROA(総資産営業利益率)(%)

8.2

9.1

8.5

4.6

6.2

ROIC(投下資本利益率)(%)

8.5

9.2

8.5

4.5

6.1

ROE(自己資本当期純利益率)(%)

8.3

10.5

10.2

6.0

5.4

(注)各指標は以下の計算式によって計算しています。

・EBITDA:営業利益+減価償却費+のれん償却額

・ROA(総資産営業利益率):営業利益/総資産(期首期末平均)

・ROIC(投下資本利益率):税引後営業利益/(純資産+有利子負債)(期首期末平均)

有利子負債は、短期借入金、リース債務、長期借入金等の金額を使用しています。

・ROE(自己資本当期純利益率):親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)

 

原材料の高騰や人件費の増加、研究開発費の投入などの減益要因があったものの、生産効率の向上・価格転嫁などの収益向上施策の推進により、営業利益は83億44百万円となり、前連結会計年度比で24億61百万円増加し、営業利益率は前年より1.6%増の6.1%となりました。また、EBITDAは142億75百万円となり、前連結会計年度比で30億83百万円増加しました。

事業拡大に伴い総資産は増加傾向にあり、営業利益は前年同期比で増益となったことから、ROA(総資産営業利益率)は前年より1.6%増加し6.2%となり、ROIC(投下資本利益率)についても前年より1.6%増加し6.1%となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は、偶発損失引当金繰入額の計上などにより、前連結会計年度比で3億21百万円減少して45億32百万円となり、ROE(自己資本当期純利益率)については前年より0.6%減少し5.4%となりました。

当社グループは、2030年を目標とする中長期経営計画を策定し、2024年4月よりスタートしました。中期的には積極的投資により、「ビジネスモデルの進化」「事業ポートフォリオ変革」を強力に進め、2030年には売上2,200億円、営業利益率10%、ROE12%を確保するソリューション創造企業を目指します。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 

 主な資金需要は、原材料の購入費用、製造・販売費・一般管理費等の運転資金、設備投資や研究開発費・戦略費・M&A等も見据えた広義での成長投資、ならびに株主還元となります。

 設備投資については、前年同期の50億83百万円から22億99百万円増加し、73億83百万円となりました。その主な内容は当社における三重事業所新棟建築工事ならびに機械装置を中心とした投資です。

 研究開発費は44億31百万円(前年同期比17.9%増)となり、売上高研究開発費比率は3.3%となりました。

 運転資金及び成長投資資金については、内部留保資金又は借入により資金調達しております。

株主還元については、配当性向40%を目安に安定的かつ継続的な配当を行います。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2024年1月16日開催の取締役会において、当社のグループ企業であるフジモリプラケミカル株式会社春日井工場の食品包装事業等、及びこれに関する当社の販売事業を、当社が新たに設立した完全子会社であるFPC準備株式会社に対して、それぞれ、当社からFPC準備株式会社への吸収分割、及びフジモリプラケミカル株式会社からFPC準備株式会社への吸収分割の方法により、包括承継させた上で、2024年7月1日を譲渡実行予定日として、当社の保有するFPC準備株式会社の全株式を、株式会社カナオカホールディングスに対して譲渡する株式譲渡契約を締結することを決議し、同日付で株式会社カナオカホールディングスと株式譲渡契約を締結いたしました(※1)。

 

(1)会社分割ならびに株式譲渡の目的

 フジモリプラケミカル株式会社は、食品・医薬品等の包装用ラミネートフィルムの製造・販売を手がけ、当社グループへの数々の貢献と成果を長年にわたって生み出しています。しかし、現在包装業界を取り巻く環境が変化する中、フジモリプラケミカル株式会社がこの変化に対応し未来にわたり成長していくための方策が必要であるとの結論に至りました。その結果、当社グループの事業ポートフォリオ最適化を念頭に、会社分割及び株式譲渡を決定いたしました。

 

(2)会社分割の方法

 当社を分割会社とし、FPC準備株式会社を承継会社とする吸収分割、及びフジモリプラケミカル株式会社を分割会社とし、FPC準備株式会社を承継会社とする吸収分割

 

(3)分割期日

 2024年7月1日

 

(4)分割に際して発行する株式及び割当

 該当事項はありません。

 

(5)割当株式数の算定根拠

 該当事項はありません。

 

(6)承継資産、負債の状況

 当社からFPC準備株式会社に承継する資産、負債はありません。

 フジモリプラケミカル株式会社からFPC準備株式会社に承継する資産、負債については精査中であります。なお、譲渡価額の算定の際に使用した2023年3月31日時点のフジモリプラケミカル株式会社春日井工場の資産は26億円、負債は14億円であります。

 

 

(7)FPC準備株式会社の概要

代表者 :取締役 松冨 敏幸

住所  :愛知県春日井市長塚町二丁目10番地

資本金 :1円(2024年3月31日現在)

事業内容:食品包装事業等

業績  :吸収分割・株式譲渡を目的とした受け皿会社であり、事業活動を行っておりません。

 

※1.当社は2024年4月11日開催の取締役会において、当社からFPC準備株式会社への吸収分割に関する契約、及びフジモリプラケミカル株式会社からFPC準備株式会社への吸収分割に関する契約を締結することを決議し、同日付で両契約を締結しております。

※2.当社は2024年4月11日開催の取締役会において、吸収分割後のフジモリプラケミカル株式会社を吸収合併することを決議し、同日、吸収合併契約を締結しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループにおいては、市場・お客様の顕在化したニーズのみならず、潜在的ニーズを先行して捉え、当社の技術の強化、社外技術との融合などを進め、ユニークな「ソリューション創造」を目指しています。

従来から当社が保有するコーティング及びラミネーティング技術等に、最新技術を組み合わせることで、製品開発を推進しております。また最新の解析・評価機器の導入により解析・評価技術を向上させ、素材分析や不具合解析を行い、当社の技術・ノウハウを理論的に裏付け、体系化しています。さらに、国内外の大学、公的機関、民間機関との連携を強化し、最先端技術の獲得に努めています。社会動向の将来予測に基づくシーズ探索やテーマ設定にも注力し、中長期的な視点で研究開発活動を推進することで、「ソリューション活動の進化」に繋がる研究開発活動を推進していきたいと考えております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の合計は、4,431百万円(前年同期比17.9%増)であります。

 各事業の主な研究開発活動は以下のとおりであります。

 

 

(ウェルネス事業)

 ウェルネス事業では「健康長寿社会の実現」を研究開発ターゲットとしております。

細胞治療や再生治療分野においては、アカデミアや創薬ベンチャーとの協業を継続推進するとともに、受託培養加工の事業化を積極的に推進し、新たなモダリティの産業化と一般普及を後押ししてまいります。また、「細胞性牛肉の社会実装に係る研究開発」は、当社を代表企業としてNEDO「バイオものづくり革命推進事業」に採択され、主幹企業各社および関係学術機関と協力して、技術開発のみならず社会実装に向けたルール作りに取り組んでいます。

 医薬/先端医療周辺のデバイスやシステム分野においては、国内におけるシングルユース部素材のサプライチェーン再構築に取り組んでおります。国内の関連技術を有する企業とのパートナーシップ「J-STAC」を通じたシングルユース部素材の国産化を進め、社会情勢の急激な変化にも耐え得る調達環境を提供します。また、血栓形成能解析装置「T-TAS®」のグローバル展開を強化し、臨床検査としての利活用実績が次第に増加しています。

 医薬・医療包装分野では、少子高齢化や在宅・遠隔医療の拡大など、多様化する医療・介護ニーズに対応し、QOL向上に貢献する製品開発を行っています。これまで培ってきた素材混錬、多層化技術を応用した新たな用途として、差別化された製品の実現を目指すとともに、環境負荷低減を志向した包装材料の開発にも力を入れています。

 

(環境ソリューション事業)

 環境ソリューション事業では「環境に配慮した包装や容器とその素材」を研究開発ターゲットとしております。

今後ますます地球環境保護と環境改善への貢献が求められるなか、サーキュラーエコノミーを目指し、バイオマス素材に加え、素材をリサイクルし易いポリエチレンモノマテリアル軟包材などの開発を推進し、環境配慮製品のラインナップを拡充していきます。また、併せてVOC削減など環境負荷を低減できる生産体制・工法の開発を進めるとともに、多様化が進む生活スタイル・消費活動の変化に対応するため、外部の団体、パートナー企業と協働し回収からリサイクルまでの資源循環システム等の構築に取り組みます。引き続き環境ニーズや生活様式の変化に対応し、新たな価値提供を目指した開発に注力してまいります。

また、発酵培養技術を利用した海洋分解性バイオプラスチックの開発も進めており、マレーシアに保有する2,000L規模の発酵槽設備を用い、社会実装に向けた取り組みを行っています。

 

(情報電子事業)

 情報電子事業では「次世代ディスプレイや半導体、エネルギー関連素材のキーマテリアル」を研究開発ターゲットとしております。

偏光板用のプロテクトフィルムについて、偏光板の構成材料および表面処理、使用方法の多様化が進んでおり、これに対応した低汚染で剥離帯電圧を低減した製品の拡充および、これら技術を使用して偏光板以外の各種工程向けプロテクトフィルムのラインナップを拡充しております。

 強粘着製品では、液晶ディスプレイの薄膜化、高機能化、各種ディスプレイ用途に対応した粘着製品のラインナップを拡充いたしました。

 電子回路基板製品では、5G普及に伴い高周波による高速伝送の需要が高まる中、伝送損失が低い電子部材の開発に着手しております。

 半導体関連分野では、次世代の最新技術に対応した接着フィルム製品の開発に着手しております

 エネルギー関連分野では、今後も更なる市場拡大が見込まれる電気自動車用リチウムイオンバッテリー用部材の開発を進めると共に、次世代電池用部材の研究を行っております。さらに、将来の水素化社会を見据え、燃料電池用部材の研究開発にも継続して取り組んでまいります

 

(産業インフラ事業)

 産業インフラ事業では「建設現場のスマート化に貢献する製品やシステム」を研究開発ターゲットとしております。

建設従事者の不足が深刻化する中で、当社グループの保有する技術と製品を組み合わせ、省力化と共に品質及び施工性の向上に寄与する製品開発及び工法改良に取り組んでおります。近年は施工現場をスマート化するシステム開発にも注力しており、今後も現場の省力化と省人化、また安全性の向上に貢献する開発を行ってまいります。