第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

① 経営方針

当社グループは、「思いやりの心を磨き、関わる人すべてに喜びと感動を与える」ことを基本理念に掲げ、お客様に安全・安心・快適なカーライフが提供できるよう努めてまいります。

② 中長期的な経営戦略

環境の変化に影響されることなく安定した利益が確保できる企業体制の確立が重要であると認識しております。当社グループは、タイヤを中心とした消耗品の販売強化及び車検を始めとしたメンテナンスメニューの拡充により、小売事業における粗利益率の向上を図り、営業利益の一層の拡大に努めてまいります。

2025年3月期からの3ヵ年を対象とする中期経営計画の最終年度である2027年3月期は、売上高1,600億円、営業利益163億円、経常利益176億円を計画しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、消耗品販売、車検・ピット技術事業を主とするカー用品・二輪用品等販売事業の拡大と経営効率の向上により、企業価値を向上させること、また「国内No.1のカー&バイクライフサポートチェーン」を目指し、グループ一丸となって本部施策に取り組み、業界内の競合減少による残存者利益を得ながら株式市場からも評価される業界No.1の企業となることを経営の目標としております。

経営指標については、資本効率の観点からROE(自己資本当期純利益率)とROA(総資産経常利益率)ともに8%以上を維持しながら企業価値の最大化に努めてまいります。

配当方針につきましては、中長期的な視点で連結業績に応じた利益還元を重視し、連結業績、財政状況、投資計画等を勘案しながら連結配当性向30%以上を目安に、安定的な利益配分を継続して行ってまいります。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、主に国内においてカー用品、二輪用品の販売、車検、整備・取付作業等を行っております。国内のカー用品市場は縮小の傾向にあり、自動車整備は自動ブレーキや自動車線維持機能搭載車両の増加により車検時に故障診断装置を用いることが予定される等、業界を取り巻く環境の変化は激しさを増しております。

一方、消耗品や整備・取付作業を提供するガソリンスタンド、自動車整備工場等の拠点が減少しつつあることから、全国に店舗を展開している当社グループへの整備・取付作業、消耗品販売へのニーズは高まっていると考えます。

このような環境の下、当社グループは経営環境の変化に対応した事業戦略の構築、営業施策の実施により、経営資源を成長分野に集中するとともに以下の課題に取り組み、企業価値を向上させてまいります。

① カー用品販売事業の拡大

カー用品販売事業の拡大を図るため、「イエローハット」「格安タイヤトレッド」の新規出店を進めると共に、実店舗ならではの品揃えとカーライフメニューの充実によりタイヤを中心とした消耗品の販売強化に努めます。

② 車検、ピット技術事業の拡充

車検を始めとするピット技術部門の強化に向け、整備資格者の人材育成と指定工場の計画的取得を推進し、収益拡大と顧客の囲い込みを図ります。

③ 二輪事業の強化

二輪事業の強化を図るため、「2りんかん」「バイク館」の新規出店と、バイク用PB商品の拡販や車検獲得による既存店の収益拡大に努めます。

④ 卸売事業の強化

イエローハット店舗以外への一般向け卸売強化のため、メーカーベンダー子会社であるジョイフルによる商品開発及び新規取引先の開拓を進めます。

⑤ 活力ある会社づくり

広告宣伝や販売促進活動の取り組み強化を継続し、想起率向上を目指します。また、社内コミュニケーションの良化、社員のモチベーションアップを図ることで、活力ある会社づくりに努めます。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ基本方針

イエローハットグループは、「関わる人すべての幸せ」を第一とする創業精神のもと掲げた企業理念並びに経営理念に基づき、「安全で安心な、人とクルマにやさしい社会づくり」を目指し、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 

(2) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社は、経営課題として掲げる環境・社会・ガバナンスに対する取り組みをより一層強化すべくサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 

(サステナビリティ推進委員会の役割と構成)

当委員会では、サステナビリティに関わる経営の基本方針の決定、並びに重要課題の特定、目標設定、及び戦略の企画・立案・提言を行います。また、各活動における取り組み状況のモニタリングを実施し、取締役会へ報告いたします。特に、気候変動に関するリスク・機会の選別・評価と対応策の立案は、以下のプロセスで実施しております。

 


 

当委員会は、代表取締役社長を委員長とし、委員は、取締役、部門長、その他委員長が必要と認めた者により構成されます。さらに、当社ではリスク管理の専門として「危機管理委員会」が設置されており、先を見越したリスク管理体制の整備について適宜審議しております。

 


 

(3) TCFD提言に準拠した気候変動への対応情報の開示

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は、気候変動に関する事項であります。

 

①ガバナンス及びリスク管理

気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティ推進委員会にて推進・実施しております。詳細については「(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理」を参照ください。

 

②戦略

(シナリオ分析の前提)

気候変動がもたらすリスク・機会を特定するために、以下の2つのシナリオを設定して分析を行いました。

・1.5℃シナリオ:脱炭素社会に向けて、政策規制の強化や市場ニーズの変化といった「移行リスク」が顕在化する世界

・4℃シナリオ:気候変動対策が十分にされず、平均気温の上昇や台風の激甚化といった「物理的リスク」が顕在化する世界

 

また、シナリオ分析では当社の主力事業である「カー用品・二輪用品等販売事業」を対象として、バリューチェーンを設定し、主要なリスク・機会の特定と財務インパクト算定、対応策の検討を実施しました。

 

(シナリオ分析の結果概要)

分析の結果、1.5℃シナリオにおいては、炭素税の導入に伴う原料やエネルギーの調達コストアップ、及び当社のCO2排出量(スコープ1・2排出量)への課税に伴うコストアップの影響が大きいことが分かりました(※)。一方で、脱炭素社会の構築に向けた物流システムの改善によるコストダウンが機会として抽出されました。

また、4℃シナリオにおいては、自然災害の激甚化に伴う機会損失がリスクとして認識できた一方で、平均気温の上昇に伴う当社製品へのニーズ向上・売上拡大が機会として特定されました。

こういった当社にとって重要なリスクと機会は定期的に見直し、対応策を明確にして全社の戦略と一体化し推進してまいります。


※当社のCO2排出量への課税に伴うコストアップについて

・2021年度スコープ1・2排出量:24,614 tCO2

・2030年における炭素税の予想価格:10,000 $/tCO2(IEA “World Energy Outlook 2021” より)

2030年において、2021年度と同水準のCO2排出量の場合、320百万円のコストアップが見込まれる結果となりました(1ドル=130円とする)。 一方で、当社が目標としている2030年の目標CO2排出量(21年度比 37.8%減)を達成することで、120百万円のコスト削減が実現できると見込んでおります

 

 

(1.5℃シナリオにおける財務インパクト)


 

※今回調査をした情報をもとに財務インパクトの試算を行いました。今後も最新情報を収集し、算定結果 の精度向上に努めます。

※「物流の効率化によるコスト削減」は、2030年における成行きの物流コストに対する対策実施後の物流コストの差額を財務インパクトとして計上しております。

 

(4℃シナリオにおける財務インパクト)


 

※今回調査をした情報をもとに財務インパクトの試算を行いました。今後も最新情報を収集し、算定結果の精度向上に努めます。

※エネルギーの調達価格の変化に伴う財務インパクトは、その影響が小さいため除外しております。

※「自然災害からの復旧コスト」「自然災害による機会損失」「降雪の激甚化による特需発生」は、当社の重要なリスクとして特定できた一方で、その影響は不確実なため定量化できていません。

 

③GHG排出量削減の指標と目標

当社ではGHG排出量削減目標を以下の通り設定し、削減活動に取り組んでおります。

・2030年:37.8%減(2021年度比:SBT1.5℃水準)

・2050年:カーボンニュートラル

2030年の削減目標の達成に向けては、BAU排出量(※)を店舗拡大の見込みより推定しました。BAU排出量と2030年目標排出量のギャップを「削減すべきGHG排出量」と定義しております。

2012年から全店舗LED化に取り組み、電気使用量の削減を実施しております。今後も省エネ活動の拡大や太陽光パネルの設置などを通して着実にGHG削減に取り組んでまいります。

 


 


2021年(基準年)排出量

削減目標

 

 

(4) 人的資本・多様性

①戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

(人材育成方針)

当社グループは、小売店舗におけるお客様への接客対応が必要不可欠であります。また、車検や整備作業などは専門知識が必要となります。そのため、人材の成長こそが企業の持続的成長と価値向上に欠かせないと考え、積極的な人材育成に取り組んでおります。具体的には、教育・研修に関する専門部署を設けて、全ての従業員を対象に、お客様満足度、商品知識、作業技術にて初級・中級・上級と社内資格制度を設け、習得度合いにより知識と技術を習得できる研修を実施しております。また、管理職を対象にマネジメントやダイバーシティに関する教育などの取り組みを進めております。

当社グループは、女性、中途採用者、外国人や高齢者等、様々な職歴をもつ多様な人材の採用、起用を積極的かつ継続的に行っております。また、退職した社員の再雇用やパート・アルバイトの正社員雇用を促進、障害者の雇用を推進しております。

 

(社内環境整備方針)

当社グループは、安全な職場の形成と従業員の活躍支援をすべく、各支援制度の導入や働きやすい環境づくりのための各相談窓口を設置するなど、従業員一人ひとりがやりがいを感じて活き活きと働ける職場環境づくりを目指しております。具体的には以下の環境を整備しております。

活躍支援制度としては、整備士資格取得を支援するため、資格取得の障壁になる受講費用の補助と貸付金制度を設けております。また、出店に携わる従業員の知識向上のために「宅地建物取引士」資格や、自動車保険の代理店としての「日本損害保険協会募集人」資格など、業務に関わる指定資格取得による一時金支給制度を設けております。

各相談窓口としては、法令違反や社内ルール違反を通報するコンプライアンス相談窓口や各種ハラスメントについての相談窓口、弁護士へ直接相談できるホットラインを設置しております。

 

②指標及び目標

2024年3月末現在、当社の女性役員は20.0%、課長職以上の管理職のうち中途採用者は51.4%です。また、女性管理職、外国人については主に小売部門での活躍を期待した配置としており、当社における女性管理職は0名、外国人2名であり、子会社においては女性管理職17名の登用、外国人は200名を採用しております。今後は、さらに活力ある会社とすべく、多様性推進に積極的に取り組み、現状より増加させてまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 国内経済情勢及び個人消費低迷

当社グループは、主に日本国内においてカー用品・二輪用品等の製造、卸売販売及び一般消費者等への小売販売を行っております。そのため、様々な要因によって引き起こされる日本経済の悪化や個人消費の低迷が、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 人材確保

当社グループは、小売店舗におけるお客様への接客対応が必要不可欠であります。また、車検や整備作業など専門知識を必要とするピット技術部門の需要も伸長しております。当社グループといたしましても、従来の社員・パートアルバイトの採用活動の強化に加え、外国人や高齢者の採用数を増やすなど人材確保に努めておりますが、小売業やサービス業全体でも採用難の状況が続いており、人材確保に係る費用等の上昇が当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 天候要因

当社グループは、スタッドレスタイヤやタイヤチェーン等、天候により販売数量が左右される商品を取り扱っております。過去の天候変動に基づいた仕入・販売計画を立てておりますが、異常気象による季節商品の販売低下等が、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害

当社グループは、日本全国に店舗を展開しており、過去にも地震や台風等の自然災害の影響を受けてまいりました。災害の影響を少なくするべく、看板や店舗設備の老朽化に対する修繕や、設備補強材の導入など対策を進めております。しかしながら、大規模な自然災害が発生した場合、店舗設備の損傷や営業停止期間の発生、停電発生や道路状況の悪化による商品配送の遅延等が事業活動の障害となり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 重大な感染症

当社グループは、新型コロナウイルスや新型インフルエンザなどの重大な感染症の流行時におきましても、お客様、お取引先様、従業員の健康と安全確保のため、店舗及び本部において手洗い・うがいや咳エチケットの励行等の一般的な感染予防策の徹底と、不要不急の外出・出張等の自粛、多人数での会議自粛、電話会議やWeb会議等の活用、可能な範囲での在宅勤務や時差出勤等の取り組みを行い、営業を継続してまいりました。しかしながら、一時的な店舗閉鎖が発生した場合や感染症の影響が想定を超える事態に拡大長期化した場合には、来店客数の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 商品仕入

当社グループは、顧客ニーズに応じた商品を適切な数量及び価格で提供するために、仕入先の分散化や一部商品のPB化等で商品仕入の安定化を図っております。しかしながら、世界的な資源不足や原材料不足等により商品仕入に支障が発生した場合や、仕入価格が上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 出店施策

当社グループは、小売事業において全国各地への積極的な出店を行っております。店舗の出店に際しては「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「建築基準法」等の様々な法令や各地の条例に基づく規制を受けております。これらの法令の改正や規制の変更に伴い、当初策定した計画通りの新規出店が困難となる場合があります。また、経済情勢の変化により出店用地の確保に時間を要する場合や、建築資材の高騰により出店コストが増加した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 固定資産の減損

当社グループは、店舗に係る有形固定資産を保有しており、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。今後、店舗収益の悪化、地価の下落やその他要因により資産価値が下落した場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 個人情報保護

当社グループは、小売業が中心の事業形態であり、お客様個人に関わる情報を多数保有しております。個人情報の管理に関しましては万全を期しておりますが、予期しえない不正アクセスによる情報漏洩等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) コンプライアンス

当社グループは、全ての役職員が社会規範と企業倫理を理解し、良識ある企業行動を行うよう「コンプライアンス規程」の制定、行動規範を集約した「イエローハット憲章」を作成し全役職員へ配布、「内部通報制度」の運用等、様々な手段を用いて遵法意識の向上に努めております。しかしながら、万が一、役職員による故意又は過失による法令違反行為が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に引き下げられたことで行動制限が解除され、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら一方で、エネルギー価格や原材料価格の上昇、為替相場の変動、これらを要因とした物価上昇など、個人消費マインドを低下させる懸念材料があり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

当カー用品業界におきましては、旅行や帰省をはじめとしたドライブ需要の回復により、タイヤやオイル、バッテリーなどの消耗品販売が上期を中心に堅調に推移いたしました。しかし、下期において、全国的な暖冬となったことにより、スタッドレスタイヤなどの冬季用品の販売は減少しました。また、春の履き替えシーズンでは低温と多雨など天候不良の影響により、夏用タイヤへの履き替えが遅れ、タイヤは大幅な販売不振となりました。

このような環境下におきまして、当社グループでは、経営戦略方針の一つであるタイヤ・オイル・バッテリーなど消耗品の拡販や、取付・整備作業やメンテナンスメニューを拡充してまいりました。また、新たな取り組みとして、顧客の利便性及び満足度の向上と新規顧客拡大を目指し、2023年9月より楽天ポイントカードの取扱いを開始いたしました。

なお、店舗展開に関して、好条件な立地への店舗移転や、利益改善のための店舗集約及びグループ内での業態変更を進めるなど、経営資源の効率化に努めました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、建物及び構築物(純額)、土地が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ75億87百万円増加し、1,440億30百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ22億23百万円減少し、275億7百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ98億11百万円増加し、1,165億22百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高1,466億41百万円(前年同期比99.6%)の減収となりました。利益につきましては、営業利益144億75百万円(前年同期比94.9%)、経常利益159億64百万円(前年同期比97.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益102億59百万円(前年同期比96.2%)の減益となりました。

 

事業のセグメント別の概況は次のとおりであります。

 (カー用品・二輪用品等販売事業)

当連結会計年度におけるイエローハット店舗の出退店の状況です。
 2023年4月にゆめモール西条店(広島県)、5月にトレッド栃木足利店(栃木県)、トレッド沖縄宜野湾店(沖縄県)、袋井川井店(静岡県)、6月に(新)トレッド山形店(山形県)、9月に中和幹線桜井店(奈良県)、10月に札幌宮の森店(北海道)、(新)大津堅田店(滋賀県)、11月にトレッド愛知小牧店(愛知県)、2024年2月に(新)仙台六丁の目店(宮城県)、3月に小倉葛原店(福岡県)、郡山西ノ内店(福島県)の計12店舗を開店、2023年4月に広島可部店(広島県)、トレッド山形店(山形県)、5月に袋井店(静岡県)、8月に小牧店(愛知県)、9月に八軒店(北海道)、押熊店(奈良県)、網走大曲店(北海道)、大津堅田店(滋賀県)、2024年1月に加賀加茂町店(石川県)、仙台六丁の目店(宮城県)、3月にフェスタ郡山店(福島県)の計11店舗を閉店いたしました。

イエローハット店舗以外では、2023年6月にカワサキプラザ山形(山形県)、カワサキプラザ秋田(秋田県)、8月に久留米2りんかん(福岡県)、バイク館久留米インター店(福岡県)、9月に浜松2りんかん(静岡県)、バイク館浜松有玉店(静岡県)、10月にバイク館三郷上彦名店(埼玉県)、11月にバイク館小牧店(愛知県)、2024年2月にバイク館小山店(栃木県)、3月に郡山2りんかん(福島県)、バイク館郡山西ノ内店(福島県)、バイク館武蔵野店(東京都)の計12店舗を開店、2024年1月にバイク館筑西玉戸店(茨城県)、3月にバイク館港南店(神奈川県)の2店舗を閉店いたしました。また、2023年4月に2りんかんイエローハット車検センター座間工場(神奈川県)を開設、9月にイエローハットコイン洗車場八軒(北海道)、2024年3月にイエローハットコイン洗車場鶴崎森町(大分県)を閉鎖いたしました。

 

以上の結果、当連結会計年度末の店舗数は、イエローハット740店舗(出店12店、退店11店)、2りんかん62店舗(出店3店)、バイク館(カワサキプラザ含む)70店舗(出店9店、退店2店)の合計872店舗、イエローハット車検センターが8店舗、イエローハットコイン洗車場が11店となりました。

 

当連結会計年度のカー用品・二輪用品等販売事業の売上高は、1,407億24百万円(前年同期比99.7%、4億87百万円減)、セグメント利益につきましては、130億4百万円(前年同期比93.0%、9億77百万円減)となりました。

 

店舗数

2023年

 

 

2024年

 

 

店舗区分

3月末

子会社店舗

グループ
/FC店舗

3月末

増減

 

イエローハット(カー用品販売)

739

395

345

740

+1

国内

2りんかん  (二輪用品販売)

59

61

1

62

+3

 

バイク館   (二輪車両販売)

63

70

0

70

+7

 

合計

861

526

346

872

+11

 

(注)イエローハットの店舗数には、格安タイヤトレッドの店舗を含めております。

バイク館の店舗数には、カワサキプラザの店舗を含めております。

 

(賃貸不動産事業)

当連結会計年度の賃貸不動産事業の売上高は、59億17百万円(前年同期比99.5%、28百万円減)、セグメント利益につきましては、14億71百万円(前年同期比116.0%、2億3百万円増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

科目

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

13,570

11,483

投資活動によるキャッシュ・フロー

△13,420

△11,308

財務活動によるキャッシュ・フロー

△2,802

△3,588

現金及び現金同等物に係る換算差額

2

1

現金及び現金同等物の増減額

△2,653

△3,414

現金及び現金同等物の期首残高

10,902

8,251

現金及び現金同等物の期末残高

8,251

4,838

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ34億13百万円減少し、48億38百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、114億83百万円(前連結会計年度は135億70百万円の資金の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が150億18百万円、減価償却費が28億8百万円、売上債権の減少が10億20百万円あった一方で、法人税等の支払額が47億38百万円、仕入債務の減少が20億42百万円あったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、113億8百万円(前連結会計年度は134億20百万円の資金の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が110億93百万円あったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、35億88百万円(前連結会計年度は28億2百万円の資金の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が29億57百万円あったことによります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

カー用品・二輪用品等販売事業

933

127.4

 

 

b. 受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

最近2連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

金額(百万円)

前期比(%)

カー用品・
二輪用品等販売事業

141,211

99.6

140,724

99.7

賃貸不動産事業

5,945

95.3

5,917

99.5

合計

147,157

99.4

146,641

99.6

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.部門別売上高は次のとおりであります。

部門別

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

増減
(△は減少)

金額
(百万円)

構成比
(%)

金額
(百万円)

構成比
(%)

金額
(百万円)

前期比
(%)

卸売部門

47,584

32.3

45,688

31.2

△1,895

96.0

小売部門

89,855

61.1

91,311

62.3

1,456

101.6

その他

9,717

6.6

9,641

6.6

△76

99.2

合計

147,157

100.0

146,641

100.0

△515

99.6

 

(注) 賃貸不動産収入は「その他」に含まれております。

 

 

3.品目別売上高は次のとおりであります。

品目別

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

増減
(△は減少)

金額
(百万円)

構成比
(%)

金額
(百万円)

構成比
(%)

金額
(百万円)

前期比
(%)

タイヤ・ホイール

46,523

31.6

45,052

30.7

△1,471

96.8

オーディオ・ビジュアル

8,662

5.9

8,394

5.7

△268

96.9

洗車・オイル・ケミカル

14,858

10.1

15,613

10.6

755

105.1

機能用品

16,416

11.2

16,495

11.2

78

100.5

車内・車外用品

6,853

4.7

6,501

4.4

△352

94.9

二輪用品

15,938

10.8

15,344

10.5

△594

96.3

その他

37,903

25.8

39,239

26.8

1,336

103.5

合計

147,157

100.0

146,641

100.0

△515

99.6

 

 

4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

(財政状態の分析)

a. 資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は、477億9百万円(前連結会計年度末517億79百万円)となり、40億69百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が34億13百万円、受取手形及び売掛金が15億71百万円減少した一方で、棚卸資産が12億4百万円増加したことによります。
 また、固定資産の残高は963億20百万円(前連結会計年度末846億63百万円)となり、116億57百万円増加いたしました。これは主に建物及び構築物(純額)が43億14百万円、土地が35億64百万円、投資有価証券が35億7百万円増加したことによります。
 この結果、総資産残高は1,440億30百万円(前連結会計年度末1,364億42百万円)となりました。

b. 負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は、217億64百万円(前連結会計年度末246億21百万円)となり、28億57百万円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が27億24百万円減少したことによります。
 また、固定負債の残高は57億43百万円(前連結会計年度末51億9百万円)となり、6億33百万円増加いたしました。
 この結果、負債残高は275億7百万円(前連結会計年度末297億31百万円)となりました。

c. 純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は、1,165億22百万円(前連結会計年度末1,067億10百万円)となり、98億11百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益102億59百万円を計上したこと、その他有価証券評価差額金が24億34百万円増加した一方で、配当金を29億57百万円支払ったことによります。

 

(経営成績の分析)

当連結会計年度におきましては、オイルやバッテリーなど消耗品の販売堅調と車検工賃収入の増加等がありました。一方で、コロナ禍で高まっていたバイク関連需要の減少によるバイク用品販売の低調や、暖冬による冬季用品販売の低調等の影響もあり、売上高は1,466億41百万円(前年同期比99.6%、5億15百万円減)、売上総利益は628億27百万円(前年同期比99.7%、1億72百万円減)となりました。

販売費及び一般管理費は、新規出店等の設備投資に伴う減価償却費の増加や、人件費をはじめとした店舗運営コストの上昇等により、前年同期を上回る483億51百万円(前年同期比101.3%、6億2百万円増)となりました。
 その結果、営業利益は144億75百万円(前年同期比94.9%、7億74百万円減)、経常利益は159億64百万円(前年同期比97.9%、3億41百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては102億59百万円(前年同期比96.2%、4億5百万円減)となりました。

売上高の主な部門別内訳につきましては、小売部門は913億11百万円(前年同期比101.6%、14億56百万円増)、卸売部門は456億88百万円(前年同期比96.0%、18億95百万円減)となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、国内経済情勢及び天候要因等を事業等のリスクとしております。詳細につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

中期経営計画(2024年3月期)の達成状況は以下のとおりです。

オイルやバッテリーなど消耗品の販売堅調と車検工賃収入が増加した一方で、コロナ禍で高まっていたバイク関連需要の減少によるバイク用品販売の低調や、暖冬によるスタッドレスタイヤなど冬季用品販売の低調の影響により、売上高は計画比94.0%となりました。また、新規出店等の設備投資や減価償却費の増加や人件費を始めとした店舗運営コストの上昇等があり、営業利益は計画比96.5%、経常利益は計画比99.8%となりました。

以上の財政状態、経営成績の結果、自己資本比率は80.8%となり、ROE(自己資本当期純利益率)は目標8.0%を上回る9.2%となりました。ROA(総資産経常利益率)は、売上高経常利益率が10.9%となった結果、目標8.0%を上回る11.4%となりました。

なお、中期経営計画につきましては、2024年3月期の業績動向を勘案した上で2025年3月期の連結業績予想を策定し、同年を計画初年度として3ヵ年計画をローリングのうえ、2027年3月期を最終年度として以下のとおり計画しております。

売上高計画は、2025年3月期連結業績予想の前提条件を計画初年度とし、2年目以降は、新店稼働に伴う増収効果に加え、車検・作業工賃収入の増加を見込んでおります。

経費の見通しは、2025年3月期連結業績予想の前提条件を計画初年度とし、2年目以降の計画は、主に新店稼働による地代家賃や減価償却費、人件費等の増加を見込んでおります。

 

 

前中期経営計画

 

2024年3月期

新中期経営計画

1年目

2025年3月期

新中期経営計画

2年目

2026年3月期

新中期経営計画

3年目

2027年3月期

目標

実績

目標

目標

目標

売上高

1,560億円

1,466億円

1,500億円

1,550億円

1,600億円

営業利益

 150億円

 144億円

150億円

157億円

163億円

経常利益

 160億円

 159億円

164億円

170億円

176億円

ROE(自己資本当期純利益率)

8.0%以上

9.2%

8.0%以上

8.0%以上

8.0%以上

ROA(総資産経常利益率)

8.0%以上

11.4%

8.0%以上

8.0%以上

8.0%以上

 

注)億円未満切り捨て

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要の主なものは、商品等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。投資資金需要の主なものは、店舗設備の修繕、新規出店等の設備投資及び関連事業を中心としたM&Aへの投資等であります。株主還元については中長期的な視点で連結業績に応じた利益還元を重視し、連結配当性向30%以上を目安に、安定的な配当を継続して行うことを基本方針としております。

運転資金、投資資金及び株主還元については、自己資金及び銀行借入により充当することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(提出会社)

(1) イエローハットグループ店契約 (日本)

当社は、既存の小売店と共存共栄を図ることを基本方針として、特定の店舗に関してイエローハットグループ店契約を締結しております。その契約の主な事項は下記のとおりであります。

契約の目的

株式会社イエローハット(乙)は、加盟店(甲)に対して、乙が使用している商標を提供します。
甲はイエローハットグループに参加し、乙の指導により経営します。
乙は、甲に対して同一企業イメージで事業を行う権利を与え、乙の指導と援助のもとに継続して営業を行い、相互信頼に基づいて共存共栄をはかり、地域社会の車文化に貢献することを目的とします。

商品仕入・販売

甲は乙より商品を仕入れ、消費者に販売しアフターサービスを行います。

契約期間

契約発効の日から5年。ただし期間満了日の3ケ月前までに、甲乙いずれか一方から書面による契約解除の申し出がない場合は、以後2年ごとに自動更新。

 

 

(2) 業務提携に関する契約 (日本)

当社は、出光興産株式会社と商品の共同仕入れ及び出光サービスステーションへの新たな商流の構築等を目的とした業務提携契約を締結しております。主な事項は下記のとおりであります。

契約の目的

株式会社イエローハットと出光興産株式会社はアポロリテイリング(現 アポロリンク)を通じて、①商品の共同仕入れ及び出光サービスステーションへの新たな商流の構築、②新商材・サービスの開発、③自動車用品卸売事業の拡大、④相互顧客に対する便益供与、⑤人材教育システムの有効活用の5つの分野において業務提携を行い、両社の業務拡大並びに出光サービスステーションへの新たな商流の構築を目的としております。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。