文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは企業理念を「TechnoAmenity 〜私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」と定め、人々が安心して暮らせる、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
2030年に向けた長期ビジョンにおいて、「事業の変革」「環境対応への変革」「組織の変革」という3つの変革を掲げ、これからの社会に必要とされる素材やソリューションの提供を通して、さまざまな社会課題解決への貢献と当社グループの持続的な成長を実現してまいります。
〔「2030年の目指す姿」に向けた3つの変革〕
中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」では、長期ビジョンで定めた「2030年の目指す姿」の実現に向けて、3つの変革を着実に実行するとともに、各変革をさらに加速させるためDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、経営目標の達成を目指しております。詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://www.shokubai.co.jp/ja/ir/vision/plan/)をご参照ください。
〔経営目標〕
3つの変革および資本政策に関する目標は次のとおりです。
環境対応への変革や組織の変革に向けた取り組みはおおむね順調に進んでおります。一方、事業の変革においては、ソリューションズ事業の戦略製品群の販売不振や、アクリル酸・SAP(高吸水性樹脂)の市況が想定以上に悪化したこと等により、営業利益等の財務目標は未達となる見込みです。このような状況の中、2025年度からの次期中期経営計画を待たず、経営戦略と財務戦略を見直し、2030年長期ビジョン達成に向けて取り組んでまいります。
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2023年度実績 |
2024年度 (中期経営計画目標) |
2030年の目指す姿 |
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財務目標 |
営業利益 |
166億円 |
330億円 |
600億円規模 |
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ソリューションズ事業営業利益 |
27億円 |
170億円 |
400億円規模 |
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ROE |
3.0% |
7.5% |
9%以上 |
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ROA |
2.9% |
6.9% |
9%以上 |
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総還元性向 |
99.7% |
50% |
- |
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新規製品売上収益 (単体・SAP除く・5年以内上市) |
136億円 |
280億円 |
- |
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投資額 |
成長投資および競争力維持投資 |
503億円 (22-23年度累計) |
1,200億円 (22-24年度累計) |
4,000億円 (22-30年度累計) |
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カーボン ニュートラル目標 |
CO2排出量削減 (2014年度比・国内・Scope 1&2) |
13%削減*1 |
- |
30%削減 |
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環境貢献製品売上収益 |
450億円*2 |
550億円 |
1,350億円 |
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D&I目標 (単体) |
事務系・化学系女性採用比率 |
28.6% |
30% |
- |
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女性管理職(基幹職)比率 |
5.4% |
6% |
- |
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男性の育児休職取得率*3 |
90.0% |
100% |
- |
<前提条件>2024年度:ナフサ50,000円/kL、ドル110円、ユーロ130円
*1:速報値(カーボンクレジット 7.3%を含む)。排出量の確定値は2024年7月に当社ウェブサイトにて開示予定です。
*2:速報値。環境貢献製品売上収益の確定値は2024年9月発行のTechnoAmenity Report 2024にて開示予定です。
*3:2022年度より、育児休職取得率算定のための休職取得日数の基準を1日以上から15日以上に、2024年度目標値を30%から100%にそれぞれ見直しております。
〔3つの変革における具体的な取り組み〕
① 事業の変革
ポートフォリオ変革に向け、ソリューションズ事業の拡大を目指しております。この度、経営戦略の見直しを行い、今後、エネルギー事業・エレクトロニクス事業・ライフサイエンス事業といった成長事業へ、リソースを積極的に投入することにいたしました。
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項目 |
主な取り組み内容 |
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ソリューションズ |
施策 |
・戦略製品群の拡販、注目市場での開発品上市 ・ソリューション提案力強化に向けたプラットフォーム整備 |
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当期の実績 |
・リソースを積極投入する注力領域の選定 ・リチウムイオン電池用電解質「イオネル®」について中国での増産体制を構築中、また北米と日本における生産拠点検討に着手 ・オリゴ核酸、ペプチド原薬の受託製造(CDMO)事業では少量合成の開発案件獲得件数が前年度比で約7倍に増加 ・正浸透(FO)システムによる海水淡水化用の浸透圧発生剤をTrevi Systems社と共同開発し、米国における試験にて大幅な省エネルギー・高効率な海水淡水化を実証 ・新規材料のプロセス構築やサンプルの供給を迅速に行うための中間実験設備を吹田地区研究所に新設 |
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マテリアルズ |
施策 |
・SAPサバイバルプロジェクト、川崎レジリエンスプロジェクトの推進による収益性改善 ・原材料バイオマス化を中心としたサステナビリティ推進による付加価値向上 |
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当期の実績 |
・SAPサバイバルプロジェクト、川崎レジリエンスプロジェクトの推進により収益性を改善 ・バイオマス原料を活用したアクリル酸の数十kgスケールでの製法にめど、各種用途での性能評価開始 |
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② 環境対応への変革
2050年カーボンニュートラル実現に向け、ライフサイクル全体の環境負荷低減に貢献するため、生産プロセスのCO2排出量削減と環境貢献製品の開発・販売拡大を推進していきます。
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項目 |
主な取り組み内容 |
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生産プロセスのCO2排出量削減 |
施策 |
・製造プロセス/技術の革新、原料およびエネルギーの転換 ・GHG(温室効果ガス)排出量に対する第三者検証の実施、インターナルカーボンプライシング制度導入(2023年2月導入) |
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当期の実績 |
・インドネシア子会社が購入する電力量100%に対して、再生可能エネルギー電力証書を購入する契約を締結 ・各事業所において、生産性向上やリサイクル原料活用について検討継続 |
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環境貢献製品の |
施策 |
・水素利用の拡大、環境規制の強化などの環境トレンドを捉えた関連製品の上市 ・国際持続可能性カーボン認証(ISCC PLUS)の取得および製造・販売体制の構築(アクリル酸、SAP、EO(酸化エチレン)など多種製品で取得、製造・販売体制構築済み) |
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当期の実績 |
・燃料アンモニアのサプライチェーン構築に向け、株式会社JERA、千代田化工建設株式会社と共同でアンモニア分解技術を開発中 ・天然由来で非可食のアルコールを使用した2-オクチルアクリレート(2OA)を事業化 ・環境関連分野におけるマーケティング強化のため、ベルギー子会社に開発拠点を準備 |
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③ 組織の変革
成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革を目指し、以下の取り組みを進めております。
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項目 |
主な取り組み内容 |
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人財育成・ 活躍推進 |
施策 |
・自律型人財の育成 ・多様な人財の活躍推進 ・エンゲージメントサーベイの導入(2022年度導入) |
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当期の実績 |
・公募型学習支援プログラムにおいて、のべ約500名の社員が受講 ・定年退職後の再雇用制度において、職務をベースとした新制度の運用を開始 ・個々人にあったキャリア形成を上司と共に考える女性社員ネットワーク研修の継続開催 |
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組織の成長 |
施策 |
・生産性向上に向けた具体的施策の実行(各部門で実施中) ・決裁権限見直しによる権限の委譲(各部門での判断迅速化、2022年度導入) ・経営と従業員の対話強化 |
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当期の実績 |
・経営陣と従業員が相互理解を深めるタウンホールミーティングや対話会を実施 |
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コーポレート・ ガバナンスの強化 |
施策 |
・取締役会の実効性の強化 ・取締役会の知識・経験・能力、多様性の確保 ・役員に対する中長期のインセンティブの強化(2022年度業績連動型株式報酬制度導入) |
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当期の実績 |
・取締役会実効性強化に向けた施策の議論を継続 |
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〔DX推進〕
全従業員がデジタル技術・データを使いこなし、3つの変革に取り組めるよう、DX推進に取り組んでおります。
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項目 |
主な取り組み内容 |
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DX推進
(2022年5月、経済産業省が定めるDX事業者に認定) |
施策 |
・R&D :MI(マテリアルズ・インフォマティクス)活用 ・生産部門:情報統合基盤を活用した高度化、効率化 ・営業部門:デジタルを使った新規顧客開拓 ・間接部門:DXを活用した業務改善 ・人財育成:R&Dや生産現場でのデジタル人財の育成 |
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当期の実績 |
・R&D :触媒研究分野における、データ生成の自動化と高速化を実現するハイスループット装置を導入 ・生産部門:情報統合基盤のデータ活用を開始 ・営業部門:顧客情報管理システムを導入し、全事業部門(営業部門)での運用開始 ・間接部門:RPAの導入による自動化や、事務部門の業務フロー電子化を実施 ・人財育成:デジタル人財育成のためのDX教育を全社的に実施 |
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〔資本政策〕
中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」策定当初は、成長投資、競争力維持投資、株主還元の最適なバランスに配分することを基本方針として、3年間で生み出す累計1,500億円の資金を、中長期の成長に向けた投資(戦略投資含む)に750億円、コア事業の競争力維持・強化に向けた投資に450億円、株主還元に300億円を配分することとしておりました。
このたび、さらなる企業価値向上に向けて資本効率性を高めるべく、当面、資金を成長投資、競争力維持投資と配当に優先的に振り向け、余剰資金を自己株式の取得に充当するよう、キャッシュ・アロケーション方針を変更することといたしました。
また、資本効率性の向上および株主還元の一層の拡大と安定化を図るため、2024年度から2027年度の4期間においては、配当性向100%またはDOE(株主資本配当率)2.0%のいずれか大きい金額を目安に配当を実施いたします。また、同期間累計で約200億円の自己株式取得を実施する予定にしております。
<キャッシュ・アロケーション方針>
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
◆日本触媒のサステナビリティマネジメント
サステナビリティ基本方針
日本触媒は、グループ企業理念「TechnoAmenity ~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、社会に貢献する志を掲げて事業活動を行っており、サステナビリティ活動の推進はグループ企業理念の実践そのものです。この考えに則り、当社の企業行動を経済・社会・環境の側面から総合的に捉え、企業統治、コンプライアンス、レスポンシブル・ケア、リスク管理、人権・労働、社会貢献、情報開示を経営の重点領域とし、顧客、取引先、従業員、地域社会、行政、株主・投資家など、さまざまなステークホルダーと対話を重ね、企業価値を高める活動を実践しております。また、事業活動を通じた社会課題の解決にも努め、持続可能な社会の実現に貢献します。
サステナビリティ推進体制
当社は、サステナビリティ活動を推進するため、社長を委員長とするテクノアメニティ推進委員会を設置しております。
テクノアメニティ推進委員会の役割
・当社グループのサステナビリティ活動推進に関する方針・戦略の決定
・各部門に対する計画・施策策定の指示、その実績評価
・サステナビリティ推進に関するその他重要事項などの検討
・取り組みに関するステークホルダーへの発信
◆日本触媒グループのマテリアリティ(重要課題)
日本触媒グループでは、長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で定めた2030年の目指す姿「人と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供」「社会の変化を見極め、進化し続ける化学会社」「社内外の様々なステークホルダーとともに成長」の実現のため、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として5項目を特定しました。
内容は今後も定期的に確認し、見直していきます。
マテリアリティと取り組み
1.気候変動対応の推進
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取り組み |
KPI、あるべき姿 |
達成年 |
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カーボンニュートラル実現への貢献 |
Scope1,Scope2 CO2排出量▲30% (2014年比、単体および国内グループ会社) |
2030年度末 |
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サーキュラーエコノミー実現への貢献 |
資源利用の削減やリサイクルに関する技術の開発と社会実装 |
- |
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環境貢献製品の開発、販売の促進 |
①550億円 ②1,350億円 |
①2024年度末 ②2030年度末 |
※CO2排出量:温室効果ガス排出量を対象としているが、そのほとんどがCO2のため、CO2排出量と記載
2.顧客課題解決への貢献
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取り組み |
KPI、あるべき姿 |
達成年 |
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・課題の把握力およびソリューション提案力の強化 ・サプライチェーンマネジメントの強化 |
①ソリューション提案力強化に向けたプラットフォーム整備 ②ソリューションズ事業拡大によるマテリアルズ事業・ソリューションズ事業の両輪達成 (売上割合各50%、売上収益 5,000億円規模) |
①2024年度末 ②2030年度末 |
3.安全・安定生産活動の推進
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取り組み |
KPI、あるべき姿 |
達成年 |
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・安全基盤の強化 ・安全文化の醸成 |
第三者評価:石油・石油化学業界 水準以上の維持 |
- |
4.人財育成・活躍推進
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取り組み |
KPI、あるべき姿 |
達成年 |
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自律型人財の育成 |
・社員エンゲージメントスコアの向上(新人事制度の早期定着、複層的な諸施策との連動、組織改善を通じた人と職場の変容と成長) ・公募型自律型学習プログラム(e-ラーニング、スキルアップ研修、オンライン英会話など)の応募者数増加と制度の社内浸透 |
2024年度末 |
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多様な人財の活躍推進 |
・社員エンゲージメントスコアの向上(自己申告や勤務地継続などの諸制度による適正配置、個人の動機づけ、多様で自律的な働き方の促進) ・事務系・化学系採用における女性採用比率を30%以上にする ・女性管理職(基幹職)比率を6%以上にする |
2024年度末 |
5.コーポレート・ガバナンスの強化
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取り組み |
KPI、あるべき姿 |
達成年 |
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取締役会における実効性の強化 |
取締役会における経営方針・戦略等の決定および監督の各機能強化を通じた取締役会の実効性向上 |
2024年度末 |
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取締役会の知識・経験・能力、多様性の確保 |
・取締役会のスキル・マトリックスの開示 ・取締役会のスキル・マトリックスの充足 |
2022年度末 2024年度末 |
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役員に対する中長期のインセンティブの強化 |
社内取締役等への株式報酬の導入 |
2022年度末 |
◆日本触媒グループの気候変動対応
2030年の目指す姿を描いた日本触媒長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で掲げる3つの変革の一つ、環境対応への変革実現に関しては、温室効果ガス(GHG、特にCO2)排出削減によるカーボンニュートラル達成を目指した活動が最も重要と考えております。
1.ガバナンス
環境問題の中でも気候変動問題は、製造、研究段階にとどまらない全社的な課題であることから、サステナビリティに関して当社経営の中核的なテーマの方針、戦略を決定する「テクノアメニティ推進委員会(委員長:社長)」で集中的に検討を行うこととし、取り組みを加速しております。
取締役会は、本委員会で議論される気候変動問題に対する、方針、戦略、計画、実績について報告を受け、必要となる指示を行います。
2.戦略
① マテリアリティ
テクノアメニティ推進委員会において、当社が社会的責任を果たし、事業を持続的に行う上で重要な5項目をマテリアリティ(重要課題)として設定しました。
この中でも気候変動問題対応は緊急性、重要性が特に高い項目として集中的に検討を行っております。
② 気候変動問題に関するシナリオ分析の実施
当社は、2021年3月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。これを契機に以前より行っていた気候変動問題に関する機会・リスクのシナリオ分析をTCFD提言に沿う形で改めて実施しました。
③ シナリオ分析に基づくビジネスインパクトの評価
事業機会としては、低炭素、脱炭素に寄与する素材の需要増加があげられます。なかでも自動車は、ガソリンエンジンから電気駆動モーターへの切り替え加速、さらなる自動車の軽量化による消費エネルギーの低減が期待されており、リチウムイオン電池関連材料、自動車の軽量化に寄与する自動車関連材料の課題解決に貢献できると考えております。また、排出される二酸化炭素の回収、その資源利用に向けては、CO2吸収剤やメタン製造触媒の開発により、課題解決に貢献できると考えております。
リスクとしては、気候変動関連の技術開発、エネルギーや製品原料のグリーン化が遅れることで顧客の選別から外れ、事業機会を喪失することなどがあげられます。これらのリスクについては低炭素、脱炭素関連開発テーマの重点化を行い市場からの要求に対応するとともに、原料や燃料の非化石化を進めていきます。
3.リスク管理
当社グループは、グループを取り巻く内外のさまざまなリスクを「グループ重大リスク」と「部門リスク」に区分したうえで、それぞれのリスクに適したリスク管理体制を構築することで、企業価値の維持・向上に取り組んでおります。
「グループ重大リスク」については、当社グループの経営戦略の遂行、持続的な企業価値の向上またはステークホルダーからの信頼の獲得に潜在する重大なリスクを管理対象とし、取締役会が諮問機関であるリスク管理委員会からの答申を受け、リスクの特定、評価、対応の要否の決定および執行部門によるリスク管理の状況の監督を実施する体制を構築しております。
一方で「部門リスク」については、各部門・関係会社の事業戦略または業務の遂行に潜在するリスクを管理対象とし、各部門・関係会社が、責任を持ってリスク管理に取り組むことにより、迅速にリスクに対応する体制を構築しております。
これら2つの体制により、関係会社を含めたグループ全体のリスク管理体制の整備と強化を図っております。
4.指標と目標
・2014年を基準年とした2030年のGHG排出削減目標 30%
・売上収益全体に占める環境貢献製品の売上収益総額(当社単体とグループ会社)
2024年度 550億円
2030年度 1,350億円
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2014年度 実績 |
2020年度 実績 |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2030年度 目標 |
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GHG排出量 Scope1+2(万t-CO2 国内) |
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59 |
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2014年度基準削減率(% Scope1+2) |
- |
4 |
2 |
14※1 |
30 |
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環境貢献製品売上収益(億円 グループ会社を含む) |
- |
290 |
390 |
440 |
1,350 |
※ GHG排出量の集計方法を一部見直しました。
※1 カーボンニュートラル都市ガスの購入によるカーボンクレジット量61千トン-CO2(対2014年度比7.3%分)のオフセットを含みます。
詳細はTCFDレポートをご覧ください。
https://www.shokubai.co.jp/ja/wpdir/wp-content/uploads/2024/03/TCFD-Report-202403_jp.pdf
◆日本触媒グループの人財育成・活躍推進
当社グループは、2030年長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」の実現に向け、3つの変革(事業の変革、環境対応への変革、組織の変革)を掲げており、「組織の変革」では人財開発方針のもと、「成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革」を推進しております。
「人財開発方針」
当社グループは、持続的に価値を生み出す源泉は「人」であるとの認識のもと、従業員を重要な「財産」と考えます。人財開発において、会社と従業員は対等な関係に立ち、会社は従業員へ成長の場や機会を提供する一方、従業員には高い志と自ら成長する意欲を持ち、会社へ貢献することを期待します。人財開発を進めるにあたり、以下の3点を重視します。
1.多様な人財の個性、意欲、能力を活かす
2.自律的に考動し成長する人財を支援する
3.制度に沿って人財を公正に評価し報いる
従業員の成長の基本は、OJT(On the Job Training)であり、「仕事や職場での実際の職務経験を通じた学び」にあります。上司や周りが支援を行いながら、そのプロセスを通じた成長を促します。あわせて、Off-JT(研修等の職場外での学習)の機会を設け、従業員一人ひとりが「期待する人財像」を念頭に将来のありたい姿を描き、その達成に向けて自身の価値を磨いていく意識と行動力を醸成します。社会の変化を見極め、持続的に進化し続ける化学会社を目指し、従業員一人ひとりに焦点を当てた人財の活性化を行い、個々人の力を最大限発揮できるよう推進します。
「成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革」の推進にあたり、当社グループのマテリアリティの一つとして、「人財育成・活躍推進」を掲げ、①自律型人財の育成、②多様な人財の活躍推進に取り組んでおります。
① 自律型人財の育成
当社は、「人財開発方針」のもと、従業員一人ひとりに焦点を当てた人財の活発化を行い、個々人の力を最大限発揮できるよう各種施策に取り組んでおります。全社内取締役が出席する人財開発会議を定期的に開催し、人財開発の取り組みや人事制度の運用、次世代経営幹部の育成などについて進捗を確認し、施策の実行や見直しに繋げております。
<人事制度>
当社は、2022年度より新しい人事制度を導入しました。新人事制度では、「考動(自ら考え行動する)」と「多様性」をコンセプトに、意欲と能力のある従業員は早期に上位の役割にチャレンジすることが可能となり、従業員の「成長したい」という自発的な意欲の醸成を図っております。具体的には、一部の職級に上司の推薦なしで自己推薦による昇級審査受験を可能としました。また、従業員自身が将来のキャリアや今後就きたい業務を申告し、上司と面談する「自己申告」制度を導入しました。
<人財育成>
当社は、「期待する人財像」として、以下の5つを掲げております。
当社は、人財開発体系を再整理し、各教育プログラムの内容を刷新しました。指示を待つだけでなく、自らの意思で考え、解決に向けて能動的に行動できる自律型人財の育成を進めております。具体的には、公募型の学習プログラムの充実を図り、従業員一人ひとりが自身の保有能力・スキルの向上を目的に、効果的かつ効率的に能力開発を行うことができる体制を整えております。
② 多様な人財の活躍推進
当社グループは、多様な人財のさらなる活躍推進に向けて、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進方針」を策定し、従業員一人ひとりの多様性を尊重し、認め合い、ともに活躍・成長することができる職場環境・風土づくりを進めております。
当社は、4つの重点課題(①D&Iマインドの醸成、②従業員のさらなる活躍推進、③仕事と生活の両立支援、④制度の多様化)を設定の上、2030年度までのロードマップを策定しております。また、2024年度の達成目標として、(ⅰ)事務系・化学系女性採用比率:30%、(ⅱ)女性管理職(基幹職)比率:6%、(ⅲ)男性の育児休職取得率(15日以上):100%を掲げています。
女性活躍推進については、当社の従業員に占める女性比率および女性管理職(基幹職)比率を踏まえ、女性比率向上を目指した取り組みを行っています。具体的には、女性従業員のキャリア形成の支援策の実行、フレックスタイム制度の利用拡充や在宅勤務の制度化など、当社で継続的に働き、活躍できる環境・制度の促進を積極的に行っております。
また、男性の育児休職取得率向上については、育児が女性に偏ることなく、男女が分担して取り組み、男女ともに仕事と育児の両立を行える環境を目指し、男性の育児休職取得率(15日以上):100%を目標としています。2022年10月に出生時育児休職制度を導入し、育児休職の内、15日間を有給としました。
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2022年度実績 |
2023年度実績 |
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24.1 |
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4.4 |
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36.4 |
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(注)提出会社単体を対象に集計しております。
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、当社グループは、当該リスクの発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応には最大限努力してまいります。
なお、文中にある将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)国内外の政治・経済・景気動向に関するリスク
当社グループは、化学品の製造販売事業をグローバルに展開しており、海外売上収益は売上収益の約56%を占めております。さらに製品は主に中間原料として様々な国・地域において多様な用途製品に使用されていることから、特定の国・地域や用途製品市場に大きく依存せず、それらの動向が経営成績及び財政状態に与える影響を抑えられる反面、各国・地域の政治・経済・景気の悪化及びそれに伴う製品需要の減少によって様々な製品の販売に影響が波及する可能性があります。また、当社グループは、日本・アジア・欧州・北米にアクリル酸、アクリル酸エステル及び高吸水性樹脂(SAP)などの生産拠点を有しているため、当該地域では販売に加えて設備稼働にも影響を及ぼす可能性があり、結果として経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)原油・ナフサの市場変動に関するリスク
当社グループが調達している主原料は原油・ナフサ価格との連動性が高いため、中東地域やウクライナ情勢などの地政学リスク、米国シェールオイルの生産状況及び為替の変動等により原油・ナフサ価格が急激に変動した場合、原料価格の上昇分全てを製品価格に転嫁できない、又は遅れる可能性があります。一部の製品や取引先との間では、国産ナフサ価格の変動を製品価格に反映させるフォーミュラ方式による製品価格を設定すること等により当該リスクを7~8割程度軽減しておりますが、全ての製品及び取引先に設定していないため、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)財務に関するリスク
① 在外連結子会社等の業績
当社グループでは、在外連結子会社等の資産及び負債は期末日レート、収益及び費用は期中平均為替レートにより円換算しているため、為替レートの変動により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 外貨建債権・債務
当社グループでは、グローバルに事業を展開しているため、米ドルやユーロ等の外貨建の債権・債務があり、短期的な為替レート変動に対して為替予約によるリスクヘッジを行っておりますが、為替レートの変動により円換算額が影響を受けることで、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 外貨ベースの円貨建債権・債務
当社グループでは、一部の主原料調達において、米ドル建の原油・ナフサ価格の円換算値を指標として主原料価格(円貨建)を決定しているため、為替レートの変動により当該調達原料価格が変動し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 29.金融商品」をご参照ください。
(4)海外展開に関するリスク
当社グループは、最適地での生産・販売を目的とした海外展開により、アジア・欧州・北米に生産・販売拠点を有しており、アクリル酸、高吸水性樹脂(SAP)の海外拠点生産能力はグループ全体の約5割を占めております。海外事業においては、通常では予期し得ない法律や規則の変更、自然災害、産業基盤の脆弱性及び人材の採用・確保難、並びにテロ、戦争その他の社会的又は政治的混乱といったリスクが存在しております。これらのリスクに対して、専門家や政府関係機関等から情報を収集した上で適宜対策を講じておりますが、これらのリスクが顕在化することによって、海外の事業活動に支障が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)事業ポートフォリオ変革に関するリスク
当社グループは、酸化エチレン、アクリル酸及び高吸水性樹脂(SAP)などの製品を中心に事業を拡大してまいりましたが、近年はこれらマテリアルズ事業※の競争激化により市況変動の影響を受けやすくなってきたため、より安定した収益と成長が見込めるソリューションズ事業※へのポートフォリオの変革を掲げ、中長期的な成長を目指しております。しかしながら、事業ポートフォリオ変革の遅れや市場ニーズの急変などによりソリューションズ事業で十分な収益が得られないなどのリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※各事業の内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。
(6)研究開発に関するリスク
当社グループは、シーズを創出する基礎研究から顧客の真のニーズに迅速かつ的確に応える応用研究まで多層的な研究開発を行っております。また、国内外の大学を含めた第三者パートナーとの研究開発や事業提携等のオープンイノベーションも積極活用して研究開発を促進しております。しかしながら、研究開発の失敗、あるいは予測の範囲を超えた市場ニーズの急変といった予期し得ない事象が発生する恐れが常にあり、投資に見合う収益を得られない場合や収益性の高い製品を創出することができない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)知的財産権に関するリスク
当社グループは、他社が当社グループの特許を侵害している場合には、警告・訴訟提起等の対策を講じておりますが、他社が当社グループの特許や製品を調査解析して類似の技術や製品を開発することを完全には防止できない可能性があります。一方、当社グループの新たな事業展開を目指した新規製品分野においては、他社の知的財産権を十分に調査解析した上で独自の技術や新製品を開発しておりますが、将来的に他社の知的財産権について紛争が生じた際に当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。上記のようなリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、これまでの研究開発活動で培った独自の技術・ノウハウ、販売製品・顧客等の営業情報、製造活動で蓄積した生産データ及び会計データ等の機密情報を電子データなどとして保有しております。これらの機密情報は当社グループの事業活動の基礎であると共に競争力の源泉でもあることから、情報セキュリティポリシーを定めた上で、情報システムおよびインフラ・サイバーセキュリティの高度化、データセンターの複数化、アクセス権の設定、機密情報の表示、運用マニュアルの整備等の対策に加えて、従業員のモラルやセキュリティに対する意識を高める教育も実施しながら情報管理の徹底に努めております。しかしながら、外部への情報漏洩や情報の喪失等が生じた場合には、競合他社に対する事業の優位性低下や類似品の出現等当社グループの事業活動に大きな支障が生じる可能性があり、リスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)DXに関するリスク
当社グループは、基幹システムの刷新、研究開発・製造におけるデータ及びデジタル技術活用や新規顧客開拓へのデジタルツールの活用など、専門部署を中心に組織横断的に取り組んでおります。しかしながら、急速に進歩するITやデジタル技術に適応できず、それらを研究開発、製造、販売等の事業活動に有効に活用できない場合、将来的に競合他社に対する事業の優位性が低下する可能性があり、リスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)自然災害・事故等の発生に関するリスク
当社グループは、レスポンシブル・ケアの推進を公約し、グループ全社で環境保全、化学品安全、保安防災等の活動を積極的に展開し、顧客や地域社会からの高い信頼を獲得するよう努力しております。また、大災害を想定した事業継続計画(BCP)を立て対策を適宜講じております。しかしながら、自然災害や停電・電力不足、感染症の流行、製造所における事故災害等により、生産活動の継続が困難となる可能性を完全に解消することは不可能であります。
例えば当社の基幹工場である姫路製造所及び川崎製造所の所在地区において、大規模な地震や津波、事故その他操業を中断せざるを得ない事象が発生した場合には、主要製品の生産能力が著しく低下する可能性があります。また、感染症の拡大により、経済活動の制限、出社制限による事業活動の停滞などが発生し、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動を解決すべき重要な社会課題と認識し、事業活動に伴って発生する温室効果ガスを継続的に削減するだけでなく、事業を通してサプライチェーン全体の温室効果ガス削減に貢献する取り組みを推進しております。また、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しており、情報開示にも努めております。しかしながら、気候変動に伴う天災リスクや脱炭素社会への移行などに適切に対応できない場合には事業活動に悪影響を及ぼし、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)環境に関するリスク
当社グループは、化学物質の開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄・リサイクルに至る全ての過程において、自主的に「環境・安全・健康」を確保することを目的に、レスポンシブル・ケア活動を積極的に展開しております。また、環境に関する法規制を遵守するとともに、化学物質の排出抑制、省エネ活動の推進、廃棄物削減や資源有効利用など、環境負荷低減に向け取り組んでおります。しかしながら、環境規制の強化や新たな法的・社会的責任の発生、法整備以前の行為に起因する環境汚染の発生などが生じた場合は、法令遵守等の対策費用増加や行政の指導などによる製造販売の制限により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)人財に関するリスク
当社グループは、多様な価値観を持ち、自律した人財を確保・育成するために、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する組織を中心に、リーダー人財の育成、シニア人財及び女性活躍の推進などの施策に取り組んでおります。しかしながら、人財育成計画の遅れや人財の定着が進まなかった場合には、中長期的な成長を達成することができず、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)資産の減損損失に関するリスク
当社グループは、製造設備等の有形固定資産を多数所有しており、資産合計の約35%を占めております。また、棚卸資産については、資産合計の約16%に相当します。そのため、急激な需給バランスの悪化等により製品市況が著しく下落した場合には、固定資産の減損損失や棚卸資産の評価減により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)企業買収、資本提携等に関するリスク
当社グループは、事業の拡大や競争力の強化等を目的として、国内外において企業買収や資本提携などを実施することがあります。これらを行う際には、対象企業の調査を十分に行い、リスクを検討することとしておりますが、当社グループや対象企業を取り巻く事業環境の変化等により、当初期待していたシナジー効果や新規事業創出その他のメリットを得られない場合や出資先企業の業績不振により「のれん」や「株式簿価」等の減損損失を計上する場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
|
|
|
|
(金額) |
(伸び率) |
|
売上収益 |
419,568 |
392,009 |
△27,559 |
△6.6% |
|
営業利益 |
23,528 |
16,562 |
△6,966 |
△29.6% |
|
税引前利益 |
26,175 |
15,744 |
△10,431 |
△39.9% |
|
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
19,392 |
11,008 |
△8,384 |
△43.2% |
|
基本的1株当たり当期利益 |
122.07円 |
70.48円 |
△51.59円 |
△42.3% |
|
ROA(資産合計税引前利益率) |
5.0% |
2.9% |
- |
△2.1ポイント |
|
ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) |
5.5% |
3.0% |
- |
△2.5ポイント |
|
為替レート(USD、EUR) |
135.45円/USD |
144.65円/USD |
|
9.20円/USD |
|
140.99円/EUR |
156.82円/EUR |
|
15.83円/EUR |
|
|
国産ナフサ価格 |
76,600円/kl |
69,100円/kl |
|
△7,500円/kl |
(注)2024年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、基本的1株当たり当期利益を算定しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|||
|
事業別 |
マテリアルズ |
ソリュー ションズ |
マテリアルズ |
ソリュー ションズ |
マテリアルズ |
ソリュー ションズ |
|
売上収益 |
305,689 |
113,879 |
283,808 |
108,201 |
△21,881 |
△5,678 |
|
営業利益 |
20,949 |
1,503 |
12,732 |
2,732 |
△8,217 |
1,229 |
当連結会計年度末における当社グループの財政状態は次のとおりとなりました。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて207億4千1百万円増加の5,440億6千万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて156億2千6百万円増加しました。原料価格の下落などにより棚卸資産が減少したものの、当連結会計年度の期末日が金融機関の休日であったこと等により現金及び現金同等物が増加したこと等によるものです。非流動資産は、前連結会計年度末に比べて51億1千5百万円増加しました。保有株式の時価上昇によりその他の金融資産が増加したこと等によるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて18億2千3百万円減少の1,514億9千8百万円となりました。当連結会計年度の期末日が金融機関の休日であったこと等により営業債務が増加したものの、借入金が減少したことや、課税所得の減少に伴い未払法人所得税が減少したこと等によるものです。
資本合計は、前連結会計年度末に比べて225億6千4百万円増加の3,925億6千2百万円となりました。為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の69.2%から70.5%へと1.3ポイント増加しました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前連結会計年度末に比べて178.97円増加の2,482.45円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出および財務活動によるキャッシュ・フローの支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べて160億9千4百万円増加の551億2千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の414億4千7百万円の収入に対し、578億8千万円の収入となりました。税引前利益が前連結会計年度を下回ったものの、前連結会計年度は原料価格の上昇等により増加した棚卸資産が当連結会計年度は減少したことに加え、前連結会計年度は減少していた営業債務が当連結会計年度は金融機関の休日影響等で増加に転じたことなどにより、前連結会計年度に比べて164億3千3百万円の収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の259億7千6百万円の支出に対し、156億8千4百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が減少したことや、投資有価証券の売却による収入が前連結会計年度を上回ったことにより、前連結会計年度に比べて102億9千1百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の173億2千1百万円の支出に対し、283億6千4百万円の支出となりました。長期借入金による調達の減少や短期借入金の純増減額等により、前連結会計年度に比べて110億4千4百万円の支出の増加となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
マテリアルズ事業 |
270,551 |
△7.8 |
|
ソリューションズ事業 |
97,059 |
△10.0 |
|
合計 |
367,610 |
△8.4 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.生産実績が減少した主な要因は、製品海外市況および原料価格の下落等により、販売価格が低下したためであります。
b.受注実績
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
マテリアルズ事業 |
283,808 |
△7.2 |
|
ソリューションズ事業 |
108,201 |
△5.0 |
|
合計 |
392,009 |
△6.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要性のある会計方針および見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性のある会計方針および見積りの詳細については、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」および「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の収束により経済活動の正常化が一段と進む一方、ロシアによるウクライナ侵攻のさらなる深刻化や中東情勢の緊迫化、各国の政策金利引き上げによる金融不安等、先行き不透明な状況が継続し、各国の景気動向にはばらつきがみられました。
米国においては、実質賃金の上昇等を背景として個人消費に堅調な動きがみられました。欧州においては、金融引き締め等により個人消費が低調に推移し、また中国向け等の輸出が落ち込みました。中国においては、不動産市場の不振や輸出の停滞等により、景気の持ち直しに足踏みがみられました。アジア新興国においては、半導体需要の減少や中国経済の減速等により、輸出が落ち込みました。
日本経済は、企業収益の改善等が続く一方、賃上げ率を上回る物価上昇により、個人消費の持ち直しに足踏みがみられました。
化学工業界におきましては、原油価格や国産ナフサ価格が大きく変動する等、先行き不透明な状況が継続しました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の売上収益は、製品海外市況および原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことや、販売数量の減少により、前連結会計年度に比べて275億5千9百万円減収(△6.6%)の3,920億9百万円となりました。
利益面につきましては、海上輸送費の下落等により販売費及び一般管理費が減少したものの、一部製品において販売価格の下落によりスプレッドが縮小したこと、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度において減少したこと等で、営業利益は、前連結会計年度に比べて69億6千6百万円減益(△29.6%)の165億6千2百万円となりました。
税引前利益は、営業利益の減益に加えて持分法による投資損益が減少したことにより、前連結会計年度に比べて104億3千1百万円減益(△39.9%)の157億4千4百万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて83億8千4百万円減益(△43.2%)の110億8百万円となりました。
なお、ROA(資産合計税引前利益率)は、5.0%から2.9%へ2.1ポイント減少し、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は5.5%から3.0%へ2.5ポイント減少しました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については次のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当連結会計年度末における当社グループの有利子負債の合計残高は、金融機関からの借入金の返済が進んだことにより、前連結会計年度末に比べて120億円減少し、456億1千2百万円となりました。なお、今後の設備投資計画等につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、その資金につきましては自己資金および金融機関からの借入金により調達する予定であります。
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資、研究開発投資、借入金返済であり、これらを自己資金、金融機関からの借入金により賄っております。
当社グループにおける、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標およびその進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
マテリアルズ事業
アクリル酸およびアクリル酸エステルは、販売数量は増加したものの、製品海外市況や原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことにより、減収となりました。
高吸水性樹脂は、販売数量は増加したものの、原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことにより、減収となりました。
酸化エチレンは、販売価格が上昇したものの、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
エチレングリコールは、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
特殊エステルは、製品海外市況の下落に伴い販売価格が下落したことや、販売数量の減少により、減収となりました。
無水マレイン酸は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
プロセス触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
以上の結果、マテリアルズ事業の売上収益は、前連結会計年度に比べて7.2%減少の2,838億8百万円となりました。
営業利益は、海上輸送費の下落等による販売費及び一般管理費の減少等の増益要因があるものの、一部製品の海外市況の下落等によりスプレッドが縮小したことや、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度においては差損へ転じた等の減益要因により、前連結会計年度に比べて39.2%減少の127億3千2百万円となりました。
マテリアルズ事業の資産は、前連結会計年度末に比べて171億8百万円増加の3,507億3千4百万円となりました。主として、現金及び現金同等物が増加したことによるものです。
ソリューションズ事業
コンクリート混和剤用ポリマー、セカンダリーアルコールエトキシレート、洗剤原料等の水溶性ポリマーは、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
塗料用樹脂およびエチレンイミン誘導品は、販売数量が増加したことや販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
ヨウ素化合物は、販売数量が減少したものの、販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
脱硝触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
電子情報材料は、製品販売構成により、増収となりました。
電池材料は、製品販売構成により、増収となりました。
以上の結果、ソリューションズ事業の売上収益は、前連結会計年度に比べて5.0%減少の1,082億1百万円となりました。
営業利益は、生産・販売数量が減少したことや、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度において減少したこと等の減益要因があるものの、原料価格の下落等によりスプレッドが拡大したことに加えて、連結子会社である中日合成化學股份有限公司において土地の売却益13億6百万円を計上したこと等の増益要因があることから、前連結会計年度に比べて81.8%増加の27億3千2百万円となりました。
ソリューションズ事業の資産は、前連結会計年度末に比べて5億5千8百万円減少の1,434億1千1百万円となりました。
技術援助契約のうち、技術供与関係で重要なものは次のとおりであります。
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
内容 |
有効期間 |
|
株式会社日本触媒 (当社) |
(大韓民国) エルエックス・エムエムエイ Corp. |
メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額であります。 |
1991年6月 ~合弁契約の解消まで |
|
〃 |
(シンガポール共和国) シンガポール・メチルメタクリレート PTE.LTD. |
メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
1996年8月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(大韓民国) エルエックス・エムエムエイ Corp. |
メタクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額であります。 |
1996年8月 ~合弁契約の解消まで |
|
〃 |
(インドネシア共和国) PT. ニッポンショクバイ・インドネシア |
アクリル酸及びアクリル酸エステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
1997年6月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(アメリカ合衆国) アメリカン・アクリル・エヌエイ LLC 及びアメリカン・アクリル L.P. |
アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
1997年7月 ~合弁契約の解消まで |
|
〃 |
(ベルギー王国) ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V. |
高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
1999年5月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(アメリカ合衆国) ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc. |
コンクリート混和剤用ポリマーの製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2000年2月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(大韓民国) エルエックス・エムエムエイ Corp. |
メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
2001年3月 ~合弁契約の解消まで |
|
〃 |
(ドイツ連邦共和国) ダウ・オレフィンフェアブンド GmbH |
アクリル酸及びアクロレイン製造技術実施権許諾契約及び触媒供給契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
2002年10月 ~双方終了合意まで |
|
〃 |
(シンガポール共和国) シンガポール・メチルメタクリレート PTE.LTD. |
メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
2003年4月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(アメリカ合衆国) ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc. |
アクリル酸ポリマーの製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2004年3月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(ベルギー王国) ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V. |
高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2004年6月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(シンガポール共和国) シンガポール・アクリリック PTE LTD |
アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2004年7月 ~合弁契約の解消まで |
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
内容 |
有効期間 |
|
株式会社日本触媒 (当社) |
(シンガポール共和国) ニッポンショクバイ(アジア)PTE.LTD. |
精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2004年7月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(大韓民国) エルエックス・エムエムエイ Corp. |
メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
2005年10月 ~合弁契約の解消まで |
|
〃 |
(シンガポール共和国) シンガポール・メチルメタクリレート PTE.LTD. |
メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
2006年2月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(アメリカ合衆国) ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc. |
制振剤用エマルション製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2007年7月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(アメリカ合衆国) ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc. |
洗剤用ポリマー製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2008年8月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(アメリカ合衆国) ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc. |
高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2010年4月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(インドネシア共和国) PT. ニッポンショクバイ・インドネシア |
精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2010年8月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(インドネシア共和国) PT. ニッポンショクバイ・インドネシア |
高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2010年8月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(大韓民国) エルエックス・エムエムエイ Corp. |
精製メタクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額であります。 |
2011年10月 ~合弁契約の解消まで |
|
〃 |
(ベルギー王国) ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V. |
精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
2015年6月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(ベルギー王国) ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V. |
高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
2015年6月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(シンガポール共和国) ニッポンショクバイ(アジア)PTE.LTD. |
精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2015年12月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(大韓民国) エルエックス・エムエムエイ Corp. |
メタクリル酸メチルエステル製造技術実施権許諾契約であり、対価は定額による頭金とランニングロイヤリティであります。 |
2017年7月 ~合弁契約の解消まで |
|
〃 |
(インドネシア共和国) PT. ニッポンショクバイ・インドネシア |
精製アクリル酸製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2018年10月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(中華人民共和国) 日触化工(張家港) 有限公司 |
高吸水性樹脂製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2022年1月 ~プラント存続期間中 |
|
〃 |
(アメリカ合衆国) ニッポンショクバイ・アメリカ・インダストリーズ Inc. |
グラスウールバインダー用ポリマーの製造技術実施権許諾契約であり、対価はランニングロイヤリティであります。 |
2022年11月 ~プラント存続期間中 |
長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」および中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」に基づき、2030年の目指す姿である「人と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供」を実現するために、研究開発活動に積極的に取り組んでおります。また、「環境対応への変革」として、2050年カーボンニュートラル実現に向け、基幹製品のバイオ化や環境貢献製品の拡充に注力しております。
当社グループの研究開発は、当社の研究開発部門、製造所の技術部門および各連結子会社の研究・技術部門により推進しております。
当連結会計年度(以下、当年度)において、当社は、ソリューションズ事業拡大やカーボンニュートラル実現に向けた研究開発機能の強化のため、2023年4月1日付で研究組織の変更を行いました。主な変更点として、電池材料事業の拡大をより一層加速・推進するために、「電池材料事業室」を新設し、営業・研究・技術開発の3部構成としました。また、グリーントランスフォーメーションを推進し、カーボンニュートラル実現に向けた研究開発を加速するため「GX研究本部」を新設し、触媒関連研究部を集約・統合した3部構成としました。
(コーポレート研究本部)
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研究センター |
:当社がターゲットとする重点分野・領域において、次のコア事業となりうる新しい事業の創出を目指した、要素技術の獲得と次世代材料の創製。 |
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知的財産センター |
:当社知的財産の有効利用、他社懸案特許の影響の排除、ライセンス・契約面からの既存事業拡大と新規事業開拓支援。 |
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評価解析センター |
:各部門(研究、技術、生産等)が抱える技術課題に対して、分析技術、評価・解析技術やコンピューターサイエンスを融合し、迅速かつ精度の高いソリューションを提供するとともに、最新の解析・評価技術の取得に先導的な役割を担う。 |
(GX研究本部)
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プロセス触媒研究部 |
:環境配慮型の化学品製造技術の確立を目指した、アクリル酸製造用触媒を中心とする化学品製造用触媒の開発に加え、バイオマス原料からのアクリル酸製法確立や次世代触媒技術の創製にも注力。 |
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環境触媒研究部 |
:脱硝触媒、ダイオキシン分解触媒、排水処理触媒等の環境浄化用触媒の研究開発を行うとともに、CO2回収・有効利用やアンモニア水素変換触媒などのカーボンニュートラル技術の開発にも注力。 |
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グリーンイノベーション 推進部 |
:当社のグリーンイノベーション戦略の検討を行うとともに、他部門と連携した環境貢献製品の企画開発、およびバイオマス原料やバイオプロセスを活用したグリーンケミカルの研究開発など、幅広い取り組みを推進。 |
(事業部研究部)
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吸水性樹脂研究部 |
:吸水性樹脂に関する基礎研究、新規製品・新規プロセスの開発、用途開発、技術サービス。 |
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インダストリアル& ハウスホールド研究部 |
:洗剤等の日用品分野から自動車、住宅・土木建築、水処理等の工業分野まで幅広い用途で使用できる機能性材料の研究開発。 |
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エレクトロニクス& イメージング研究部 |
:光学フィルム材料、レジスト材料、微粒子材料など、当社独自のモノマー/キーテクノロジーを最大限に活用した、エレクトロニクス、イメージング分野における高機能材料の研究開発。 |
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電池材料研究部 |
:リチウムイオン二次電池、次世代蓄電池等の蓄電池材料、および燃料電池、アルカリ水電解等のクリーンエネルギー関連材料の研究開発。 |
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イオネル事業プロジェクト 技術開発部 |
:リチウムイオン二次電池に用いられる新規電解質イオネル®を世界中に供給するため、最先端のプロセス技術を開発。 |
(健康・医療事業室)
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研究グループ/技術グループ |
:中分子医薬品(核酸およびペプチド)のGMP原薬受託製造を中心に事業を拡充させながら、合成検討から製造、分析に至るまでの一貫したサービスを提供。合成・分析技術やDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)技術をはじめとする独自の技術を開発。 |
(化粧品事業室)
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研究グループ |
:スキンケアおよびその周辺領域をコアターゲットとし、当社保有の素材・技術を活用した化粧品用多機能素材を開発。 |
(水・環境事業準備室)
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研究グループ |
:水資源の獲得・利用・浄化に関する世界規模の要請に応えるべく、造水から排水処理に至る水資源の持続的循環に貢献できる高機能素材を研究開発。 |
(関連部門)
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生産技術センター |
:ラボやパイロットプラントでの実験を通じ、量産プロセスやスケールアップ技術を開発。また、大量サンプルから事業立上げまでの生産体制を検討、評価する事で新規製品の早期事業化を推進。 |
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R&D統括部 |
:R&D組織横断機能として、イノベーション戦略と推進方策の立案、オープンイノベーションや産学連携の推進・支援。 |
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データサイエンス& インフォマティクス推進室 |
:情報技術と化学的な専門知識を融合することで、材料研究や生産におけるデータ駆動型の意思決定を支援し、持続的な競争力強化のためインフォマティクス基盤の構築と組織的なデータリテラシーを深耕。 |
研究開発スタッフはグループ全体で約790名にのぼり、これは、総従業員数の約2割にあたります。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は、
当年度における主な研究開発活動とその成果および研究開発費は次のとおりであります。
(マテリアルズ事業)
「マテリアルズ事業強靭化」として、主力事業である酸化エチレン、アクリル酸、高吸水性樹脂(SAP)の生産性向上や次世代の技術開発に向け、研究開発を行っております。
当年度の主な成果として、2050年カーボンニュートラル実現に向け、アクリル酸のバイオマス原料からの製法開発が進展しており、今後2030年までのなるべく早い時期での商業生産を目指します。さらに、高吸水性樹脂について、大人用紙おむつメーカー大手の株式会社リブドゥコーポレーションおよびリサイクル業者のトータルケア・システム株式会社と共同で、新規リサイクル技術の開発を進めております。
当事業における研究開発費は、
(ソリューションズ事業)
「ソリューションズ事業拡大」に向け、「環境対応・カーボンニュートラル」「デジタル技術の発達」「生活の質(QOL)の向上」を社会課題と捉え、当社の強みを活かせる10の注目市場に向けた研究開発を進めております。具体的には、生活消費財、自動車・建材分野、電池・エレクトロニクス分野、健康医療・化粧品分野向け材料の開発およびヨウ素、シアン、臭素などの応用展開や、粘着加工品等の研究開発を行っております。
当年度の主な成果として、パッケージング/プリンティング分野では、曲面印刷領域に優れたUV硬化材料であるモノマーAOMAの顧客評価が進展しており、その新たな誘導体開発も進めております。また、国立研究開発法人理化学研究所と共同で参画しているNEDO事業においては、新規海洋生分解性プラスチックの開発に成功しました。水素分野では、低コストな水素キャリアの一つとして注目されているアンモニアから水素を取り出すための触媒開発を進め、株式会社JERA、千代田化工建設株式会社と共同でNEDOの「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に参画しました。また、三菱重工業株式会社とアンモニア分解システムの共同開発契約を締結するなど、実用化に向けた取り組みも進展しております。水分野では、Trevi Systems Inc.と次世代の海水淡水化/水処理システムである正浸透(FO)システムの基幹部材である浸透圧発生剤(Draw Solution)を共同開発し、ハワイ島での海水淡水化プロジェクトにおいてその有効性を実証しました。
当事業における研究開発費は、