文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
『世界にチャレンジするインターネットサービスを創る』を経営理念とし、日常で生まれるスキマ時間を充実できる質の高いサービス、事業の創出に取り組んでおります。この経営方針に基づき、絶えず変化し続けるインターネットサービスの分野において、新しい楽しさや便利さを生み出せるよう、新たな事業領域に挑戦し続け、持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。
当社は、持続的な成長と企業価値の拡大を図るために、現状の成長期においては、事業規模の拡大を重視しており、「売上高」を重要な経営指標としております。
当社の主たる事業領域である電子書籍の市場環境は、スマートフォンユーザーの増加を背景に拡大が続いております。インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2023」によると、2022年度の電子書籍市場規模は6,026億円と推計され、2021年度の5,510億円から516億円(9.4%)増加し、2027年度には8,000億円を超える市場に成長すると予測されており、アプリでマンガを楽しむユーザーは、引き続き増加傾向にあります。
一方で、電子書籍のビジネスモデルの多様化や成熟によって電子書籍市場が徐々に飽和していくことも想定されます。また、引き続き厳しい競争環境や世界経済の停滞及び国内のインフレが、アクティブユーザー数の伸び悩みや1人当たりの課金売上の低下をもたらしていることに加え、広告市況の悪化により広告単価が低下したため、広告収益が減少しました。
このような市場環境の中で、「マンガBANG!」の主力であるフリーミアムモデルのコーナーにおいて、配信される作品の差別化を図るために、出版社との信頼関係を深化させ、先行配信や人気作品の配信数の増加に努めるとともに、引き続き、オリジナル作品の制作、マンガアプリの海外展開も強化しております。
今後につきましてもフリーミアムコーナーの配信作品数を増加することや、オリジナル作品の拡充、IP展開等を実現することにより、ユーザーの増加をはじめ、各KPIの成長を目指して参ります。
当社は、今後においてもこれまで培ったビジネス構築力を基盤に、既存のマンガアプリ事業において利益確保しつつ、マンガ制作、マンガアプリの海外展開及び新規サービスへ経営資源を投下し、高い成長率を確保することに加え、コーポレート・ガバナンスの充実も重要な課題であると認識しております。
これらの課題に対処するために、当社は対処すべき課題として以下の施策に取り組んで参ります。
「マンガBANG!」は一定規模のMAU、売上高を維持しつつ、広告獲得効率を重視しながら、広告宣伝費を抑制してまいりましたが、広告市況の悪化により広告単価が低下したために広告収益が減少したこと及び世界経済の停滞や国内のインフレ等により、ユーザーの消費マインドが減退し、一人当たりの課金売上が低下しております。また、電子書籍市場は拡大を続けているものの、ビジネスモデルの多様化や成熟によって、電子書籍市場が徐々に飽和していくことも想定されます。
当社は、このような状況下においても、さらに「マンガBANG!」の魅力を高めるため、出版社との信頼関係を深化させ、先行配信や人気作品の配信数の増加に努めるとともに、オリジナル作品の制作及びIP展開を目指して参ります。
当社は、設立以来、変化の早いインターネット市場の動向をいち早く捉えて様々な事業にチャレンジして参りました。今後、中長期での成長を実現するために、マンガアプリ事業領域において蓄積した知見やノウハウ等を活用し、迅速かつ効率的に周辺事業への拡大にチャレンジして参ります。
現在は主力の「マンガBANG!」アプリの運営の他、Web電子書籍市場の開拓とオリジナルマンガの制作に注力しております。
2023年10月にWeb版「マンガBANG!」を「マンガBANGブックス」にリニューアルし、「マンガBANG!」アプリで培ったユーザー基盤を基にWeb電子書籍市場の開拓を目指して参ります。
また、マンガ制作については、(a)出版社と協業したオリジナル作品の制作、(b)異世界転生系等の小説のコミカライズ、(c)当社オリジナル作品を制作し、自社販売に加えて外販も積極的に行うことで、IPとしての価値を育て、自社IPのアニメ・ドラマ化等、収益の多様化の実現を目指して参ります。
当社は、日本が誇るコンテンツといえる「マンガ」を成長著しい世界のスマートフォンアプリ市場へ迅速に展開することが、一層の事業拡大を目指す上で重要であると認識しております。また、日本のマンガの海外市場規模が、コンテンツの認知度と比較して小さいとも当社は考えております。
2023年2月には、海外向けマンガアプリに課金モデルを追加し、「MANGA BANG!」としてリニューアルしました。今後も海外市場で受け入れられるビジネスモデルを開拓して参ります。
当社は、将来的にはマンガアプリ事業から創出される利益を、スキマ時間を楽しくする新たなサービス、事業の創出に向けることで、単一事業への偏重によるリスクを抑制し、将来の事業環境の変化にも機動的に対応できるビジネスポートフォリオの構築にも注力して参ります。
新規事業及びマンガアプリ事業の拡大のためには、M&Aも有効手段であると考えております。M&Aを行うにあたっては、投資効果はもちろん、対象企業の将来性や当社事業とのシナジーを十分に検討した上で、積極的に取り組んで参ります。
当社は、今後の更なる事業拡大のために、優秀な人材の確保と育成が重要であると考えております。特に、既存サービスの充実や新規事業の展開をするためにエンジニアの採用、またマンガ制作を強化するために編集者の採用に力を入れております。
また、採用を強化するために、社内教育制度の整備、多様な働き方を実現する職場環境の改善、福利厚生の充実を図っていくことに取り組んで参ります。
当社は、今後更なる事業拡大を推進するに当たって、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度や福利厚生等の人事制度構築に努めながら、業務遂行能力、人格、当社の企業文化及び経営方針への共感を兼ね備え、グローバルに活躍できる優秀な人材の採用に取り組んで参ります。
組織設計においては少人数単位でのチーム制を採用すると同時に、チーム毎の自律性を促すよう権限の委譲を推し進めることで意思決定の質とスピードを維持・向上するなど、従業員のパフォーマンスを最大化させる取組みを引き続き継続していく方針であります。
また、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化を図って参ります。
当社は、著作権等の権利を著しく阻害する海賊版サイトによって生じる機会損失が当社の業績に影響を及ぼす可能性があると認識しております。そのため、海賊版サイトの根絶に向けて、出版社、電子書店、関係者と協調して対策を協議実行するとともに、法制度整備並びに著作権教育の推進に努めて参ります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は主に、マンガアプリの企画、開発、運営及びオリジナルマンガの制作を営んでおり、気候変動等の環境リスクは限定的であると考えております。
一方で、サスティナビリティ関連のリスクを含むリスク管理が経営の重要課題であることを認識し、「リスク管理規程」に基づき、すべてのリスクを総括的に管理しております。
具体的には、定期的に実施されるサステナビリティ関連のリスクを含めたすべてのリスクを統括的に管理するリスク管理委員会及びサービス関連のリスクを管理するサービスリスク管理委員会において、現在及び将来におけるリスクの状況及び当該リスクへの対応状況について議論を実施し、追加的な対応や対策の必要性等を検討しております。
(1)に記載のとおり、定期的に開催しているリスク管理委員会、サービスリスク管理委員会において、現在及び将来におけるリスクの発生又は顕在化の状況及び当該リスクへの対応状況について議論を実施し、追加的な対応や対策の必要性等を検討しております。
〈気候変動に関する戦略〉
当社に対する気候変動のリスクは、上述の通り、限定的であると考えておりますが、事業活動を通じた環境保全の取り組みと環境負荷低減に取り組んでいます。
具体的には、主力事業であるマンガアプリサービスの拡大や企業のDX化推進を通じ、ペーパーレス化を進めております。
〈人的資本に関する戦略(人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)〉
当社では、人的資本が重要な経営資本であると認識しており、人材の多様性の確保と人材育成を促進する様々な福利厚生や制度を整備しております。
具体的には、産休育休の取得推進やフレックスタイム制度、在宅勤務制度の導入などによるワークライフバランスの向上を図り、国籍、人種、年齢、性別、身体条件等によらず、全社員が活躍できる雇用環境の整備に努めています。
また、業務に関連する知識の習得を支援するために書籍購入制度、自己研鑽を目的とした資格取得の支援制度、組織活性化のために親睦会費用の補助なども行っております。
当社では、サスティナビリティ関連のリスクに関する指標及び目標は定めておりませんが、リスク管理委員会及びサービスリスク管理委員会において、適宜情報共有を行い、現状分析及び対応策について議論しております。
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標及び目標について、当社は上述のとおり、性別、年齢、ライフステージ、民族、文化、宗教、障がいの有無、性的指向・自認などに関わらず、当社の事業活動に必要な人材を登用しておりますので、具体的な指標及び目標を設定しておりません。
ただし、幅広い価値観や視野を持った人材の活躍が持続可能な企業価値向上につながっていくことを認識しておりますので、今後、人材育成方針及び社内環境整備方針を含めた人的資本に関する指標及び目標について、検討して参ります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① マンガアプリ事業の特性について
マンガアプリ事業の背景となる電子書籍市場は、スマートフォン・タブレット端末が普及したことにより、大きく成長しております。マンガアプリ事業が属する国内の電子書籍市場(電子書籍+電子雑誌)の規模は、下図(注)のとおり2022年度は6,026億円と推計されており、今後も拡大基調が予測される一方で、激しい競合環境が続いております。当社はこうした電子書籍市場の拡大や幅広い表示端末に対応し、各種サービス内容の拡充と整備を進めていく所存でありますが、万が一、電子書籍市場の拡大が想定どおりに進まなかった場合、法制度の改定等により当社が行うサービスが規制対象となった場合、その他予測し得ない不測の事象が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)株式会社インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2023」(電子書籍に電子雑誌も含みます)
② アプリ広告の動向について
当社が運営するマンガアプリでは、数多くの広告主及びアドネットワークを含む広告代理店(以下「広告主等」という)へ広告の掲載を委託しており、広告の収益性は経済状況、市況、広告主等の経営状況によって変動する可能性があります。当社といたしましては、新しい広告システムの情報収集を常時積極的に行い、安定かつ高収益の広告が配信できるよう努めておりますが、広告主等の状況により広告出稿意欲の減衰があった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ Apple Inc. 及び Google Inc.の動向について
当社売上の大半は、スマートフォンアプリを利用した課金売上及び広告売上であり、当社の事業モデルは、Apple Inc.及びGoogle Inc.の2社のプラットフォーム運営事業者への依存が大きくなっております。そのため、これらプラットフォーム運営事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、手数料率の変動等何らかの要因により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、プラットフォーム運営事業者の方針変更などにより、当社の提供するマンガアプリや当社のアカウントがプラットフォーム運営事業者により削除された場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 競合他社の影響について
マンガアプリ事業が属する電子書籍業界は競争が激化しており、その中で当社は積極的にサービスの拡充及びサービスの差別化を図ることで、当社ならではの付加価値を増やしてきました。その結果、売上高、「マンガBANG!」の累計ダウンロード数は以下のとおり推移しております。ただし、競争の激化等によってARPU(一人当たり顧客単価)の向上やユーザー獲得が想定どおりに進まなかった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 著作物の利用許諾契約について
当社は、電子コミックの配信にあたり、著作権者等の取引先(法人及び個人)との間で著作物利用許諾契約を締結するとともに、これら取引先との良好な信頼関係を築いております。サービスの拡大においては、これら契約の継続を前提としておりますが、何らかの事情により契約の更新に支障をきたす場合、または著作物の利用料が変動した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権の侵害について
電子書籍コンテンツは海賊版や模倣品が流通することによって出版社や著作権者等に不利益をもたらします。仮に電子書籍コンテンツの知的財産権について、長期にわたり大規模な侵害行為を受けた場合には、その侵害行為によって生じる機会損失が当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定取引先への依存について
当社は、マンガアプリ事業にあたり、多数の作家や出版社等の著作権者から提供を受けたコンテンツを配信しておりますが、ユーザーの嗜好により一部の取引先への依存度が高まっております。しかしながら、これら取引先との永続的な取引が確約されているものではなく、契約条件の変更等があった場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 広告宣伝活動について
当社は、マンガアプリ事業において、下表の広告宣伝費の推移が示すとおり、広告宣伝活動を積極的に実施し、ユーザー数の増加を図っております。CPI(インストール当たり広告単価)やリテンションを管理し、費用対効果を検証しながら、最適な施策を実施しております。しかしながら、広告市場は景気動向の影響を受けやすいため、今後急激な景気動向の変化が生じた場合には、広告需要に影響を及ぼす可能性があります。また、競合による広告枠の獲得競争の激化等により、必ずしも当社の想定どおりに推移するとは限らず、当該施策が当社の想定どおりに推移しない場合、当社の業績及び今後の事業展開に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 特定事業への依存について
当社は、主力サービスであるマンガアプリサービス「マンガBANG!」に経営資源を集中させております。
新たな柱となるサービスを育成し、収益構造の多様化を図って参りますが、事業環境の変化等により、当サービスが停滞又は縮小した場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ システム障害について
当社の事業は、携帯電話やPC、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社の事業及び業績は深刻な影響を受けます。
また、当社の財務数値の一部は、自社開発したITシステムにより生成された帳票に基づき会計システムに入力しております。これらのシステム処理の適切性を担保するために、当社のコンピュータ・システムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めるなど、適切な業務処理統制を整備・運用しております。しかしながら、当社の運営する各サイトへのアクセスの急激な増加、データセンターへの電力供給やクラウドサービスの停止等の予測不可能な様々な要因によってコンピュータ・システムがダウンした場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当社の事業、業績及び適正な財務報告体制等に影響を与える可能性があります。
⑧ 新技術の活用について
当社が属するインターネットサービスの分野においては、技術革新が絶え間なく行われております。
このような環境の下、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、ビッグデータ、AI、IoT、ブロックチェーンをはじめとする様々な新技術に適切に対応していくことが必要不可欠であると考えております。
当社では、これらの新技術を活用することにより、より効率的なビジネスモデルの創出や新たな付加価値の提供に取り組んでおりますが、これら新技術の変化への対応が遅れた場合や十分な活用が出来なかった場合には、競争力の低下を引き起こし、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 組織規模・社歴の浅さについて
当社組織は、従業員数が2023年9月末現在で34名(臨時従業員を除く)と規模が小さく、現在の社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社では、今後の事業強化、拡大に対応して人材の採用、育成と管理体制の強化を進めて参りますが、必要な人材の確保や社内教育等が順調に進まなかった場合には、当社の事業拡大に影響を与え、その結果、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。スマートフォンアプリ関連業界を取り巻く環境はスピードが速く流動的であり、マンガアプリ事業はその業態としての歴史も浅い為、期間業績比較を行うために十分な期間の財務情報を得られず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報として不十分な可能性があります。当社における経営計画の策定には不確定事象が含まれざるを得ない状況にあります。
② 特定人物への依存について
当社の代表取締役である佐久間亮輔は、創業者であると同時に創業以来当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を担って参りました。佐久間亮輔は、インターネットサービスの企画から開発、運用に至るまで豊富な経験と知識を有しております。また、取締役CTOである江口元昭は、当社サービスのシステム開発、インフラ開発に関する豊富な経験と知識を有しており、最高技術責任者として当社の技術的判断、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社では、取締役会や経営会議等において役員及び社員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、佐久間亮輔及び江口元昭に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により佐久間亮輔及び江口元昭が当社の経営執行を継続することが困難になった場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材の採用・育成について
当社は、今後急速な成長が見込まれる事業の展開や企業規模の拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの安定稼働や競争力の向上にあたっては開発部門を中心に高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることや、マンガ制作の拡大に伴い編集者の増員を見込んでいることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用すると共に、成長ポテンシャルの高い人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めていく必要性を強く認識しております。しかしながら、当社の採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 内部管理体制の整備状況にかかるリスクについて
当社は、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
① 知的財産権について
当社は、電子コミックの配信にあたり、著作権をはじめとする知的財産権を侵害しないよう、取引先との間で締結する著作物の利用許諾契約を遵守し事業を展開しております。しかしながら、電子書籍の販売は新しい業態であるため、今後の法改正や解釈の変更、並びに海外展開による権利処理の複雑化等により、第三者から知的財産権に関する侵害を主張される可能性があります。このような場合、解決までに多くの時間と費用が発生する等、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② コンプライアンス体制について
当社では、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として年一回以上の社内研修を実施し、周知徹底を図っております。併せて、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の企業価値及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の株主及び役員並びに従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、当事業年度末現在でこれらの新株予約権による潜在株式数は283,600株であり、発行済株式総数6,754,600株の4.2%に相当しております。
② 配当政策について
当社は、利益配分につきまして、将来の財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、当社を取り巻く事業環境を勘案して、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。しかしながら、現時点では配当を行っておらず、また今後の配当の実施及びその時期については未定であります。
③ 為替リスクについて
当社の広告収益の一部は、外資系企業との米国ドル建の取引となります。今後も当該取引を拡大する方針であるため、為替相場などの変動による一般的な市場リスクを有しております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症にかかる行動制限の緩和等により経済活動が徐々に正常化に向かっている一方で、ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギー資源価格の上昇、金融市場の変動など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
総務省「令和4年通信利用動向調査」(2023年5月公表)によると、2022年8月末時点でスマートフォンの保有状況は、世帯の保有割合が90.1%と9割を超えるとともに、個人の保有割合でも77.3%と堅調に伸びております。インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2023」によると、2022年度の電子書籍市場規模は6,026億円と推計され、2021年度の5,510億円から516億円(9.4%)増加し、2027年度には8,000億円を超える市場に成長すると予測されており、アプリでマンガを楽しむユーザーは、引き続き増加傾向にあります。
一方で、電子書籍のビジネスモデルの多様化や成熟によって電子書籍市場が徐々に飽和していくことも想定されます。また、引き続き厳しい競争環境や世界経済の停滞及び国内のインフレが、アクティブユーザー数の伸び悩みや1人当たりの課金売上の低下をもたらしていることに加え、広告市況の悪化により広告単価が低下したため、広告収益が減少しました。
このような市場環境の中で、「マンガBANG!」の主力であるフリーミアムモデルのコーナーにおいて、配信される作品の差別化を図るために、出版社との信頼関係を深化させ、先行配信や人気作品の配信数の増加に努めるとともに、引き続き、オリジナル作品の制作、マンガアプリの海外展開も強化しております。
以上の結果、当事業年度における売上高は4,650,427千円(前年同期比29.0%減)、営業利益は10,380千円(前年同期比91.1%減)、経常利益は15,009千円(前年同期比89.6%減)、当期純損失は60,926千円(前年同期は当期純利益41,243千円)となりました。
なお、当社はマンガアプリ事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
当事業年度末における総資産は2,576,167千円となり、前事業年度末に比べ288,024千円減少いたしました。これは主に、投資有価証券が103,125千円、有形固定資産が68,876千円増加した一方、現金及び預金が385,903千円、繰延税金資産が70,330千円減少したことによるものであります。
当事業年度末における負債合計は697,171千円となり、前事業年度末に比べ125,710千円減少いたしました。これは主に、買掛金が93,279千円、未払金が36,665千円減少したことによるものであります。
当事業年度末における純資産は1,878,996千円となり、前事業年度末に比べ162,313千円減少いたしました。これは主に、当期純損失の計上により利益剰余金が60,926千円、新株予約権が72,733千円減少したことによるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ385,903千円減少し、1,345,743千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
当事業年度における営業活動の結果使用した資金は、160,084千円(前事業年度は57,328千円の収入)となりました。その主な要因は、売上債権の減少により43,868千円資金が増加した一方、仕入債務の減少93,279千円、法人税等の支払55,235千円、未払金の減少36,665千円により資金が減少したことによるものであります。
当事業年度における投資活動の結果使用した資金は、196,974千円(前事業年度は130,301千円の支出)となりました。その主な要因は、投資有価証券の取得による支出103,125千円、有形固定資産の取得による支出73,006千円によるものであります。
当事業年度における財務活動の結果使用した資金は、28,844千円(前事業年度は94,924千円の支出)となりました。その主な要因は、自己株式の取得による支出28,814千円によるものであります。
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
当社事業はマンガアプリ事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
なお、Apple Inc.及びGoogle Inc.に対する販売実績は、当社が同社等を介して行う課金サービスのユーザーに対する利用料の総額であります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
主力サービスである「マンガBANG!」において、広告市況の悪化及び厳しい競争環境が続く中、効率的なユーザー獲得を実現し、広告宣伝費を抑えつつMAUを微減にとどめながら、営業利益を確保することができました。また、当社オリジナル作品のTVドラマ化等により、出版売上は順調に増加しております。
一方で、厳しい競争環境やユーザーの消費マインドの減退等により、課金ARPU(Average Revenue Per Userの略。1ユーザーあたりの平均課金売上金額)は低調に推移しました。
この結果、当事業年度の売上高は、4,650,427千円(前年同期比29.0%減)となりました。
売上高が前年同期比において減少したことにより、売上原価も売上高同様、減少しました。
この結果、売上原価は3,197,672千円(前年同期比23.9%減)となりました。
費用対効果を重視し、効果的な広告宣伝を実施した結果、広告宣伝費は1,065,434千円(前年同期比40.1%減)、人員の増加に伴う給料手当は155,048千円(前年同期比22.9%増)計上しております。なお、広告宣伝は、継続的に効果検証を実施し効率化を図っています。
この結果、販売費及び一般管理費合計は、1,442,373千円(前年同期比35.3%減)となりました。
営業外収益は、4,819千円となりました。これは主に、受取手数料3,733千円によるものです。
営業外費用は、190千円となりました。これは主に、支払手数料160千円によるものです。
特別利益は、1,600千円となりました。これは、新株予約権戻入益1,600千円によるものです。
(法人税等)
法人税等(法人税等調整額を含む)は77,536千円(前年同期比46.6%増)となりました。
以上の結果、当事業年度の営業利益は10,380千円(前年同期比91.1%減)、経常利益は15,009千円(前年同期比89.6%減)、当期純損失は60,926千円(前年同期は当期純利益41,243千円)となりました。
当社の財政状態につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社は、今後も更なる収益基盤の安定化及び持続的な成長を図るためには、収益源の多様化を実現する必要があると考えており、自社による新規事業の創出及び拡大のみならず、業務提携、M&A等の新たな事業・サービスへの提携・投資を積極的に取り組んでいく方針であります。当社の運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及びサービス開発に係る人員の採用費、人件費であります。投資を目的とした資金需要は、主にM&A等によるものであります。これらの資金需要は自己資金により充当することを基本的な方針としておりますが、多額なM&A等の戦略的投資については、必要に応じて金融機関からの借入を実施いたします。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は、外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保することにより経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因を分散、低減し、適切に対応を行って参ります。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社の主力サービスであるマンガアプリ「マンガBANG!」及びオリジナルマンガ制作の成長、拡大と新サービス、新規事業の創出に取り組んで参ります。
経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載されている様々な課題に対処し、ユーザーにより良いサービスを継続的に提供していくことが必要であると認識しております。そのため、経営者は、現在の経営環境並びに入手可能な外部環境の変化に関する情報に基づき、迅速かつ最善な経営戦略の立案、経営課題に対する施策の実施に努めております。
該当事項はありません。