当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、2020年10月1日に、株式会社広島銀行(以下、「広島銀行」という。)の単独株式移転により設立されました。
当社グループは、経営理念及びブランドスローガンを以下のとおりとし、新たなグループ経営形態のもと、グループ一体経営及びグループ内連携を更に強化するとともに、グループ各社の特長・強みを活かすことで、グループシナジーの最大化を図り、「地域社会および地域のお客さまへの更なる貢献」と「当社グループの持続的成長および企業価値の向上」の実現を図ってまいります。
〔経営理念〕
〈経営ビジョン〉
お客さまに寄り添い、信頼される<地域総合サービスグループ>として、地域社会の豊かな未来の創造に貢献します
〈行動規範〉
ひろぎんホールディングスは、5つの行動規範に基づいて、地域社会と共に共通価値を創造し、持続可能な社会の実現に努めます
1.地域社会と共に歩み、その発展に積極的に貢献します
2.お客さまの視点に立って考動し、豊かな人生と事業の成長に貢献します
3.企業価値の持続的な向上に努めます
4.誰もが健康で明るく働きがいのある企業グループをつくります
5.高いレベルのコンプライアンスを実践します
〔ブランドスローガン〕

(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2020年10月から「中期計画2020」(2020年10月~2024年3月)をスタートさせております。「中期計画2020」では、以下の基本方針を掲げ、広島を中心とした地元4県(岡山・山口・愛媛)マーケットにおいて、地域社会・お客さまのあらゆる課題の解決に徹底的に取組み、地域の発展に積極的にコミットすることで、経営理念を実現し、グループの持続的成長を図ってまいります。
〔基本方針〕
1.地域活性化に向けた地域社会の課題解決への取組強化
2.お客さまの成長への貢献に向けたグループ各社のコア業務の深化とグループ一体となった業務領域の拡大
(新たな収益分野の確立)
3.地域社会・お客さまの持続的成長を支えるための安定した経営基盤の確立
(3) 目標とする経営指標
「中期計画2020」では、計画最終年度である2023年度において達成すべき経営目標として、次の指標を掲げております。
「中期計画2020」における2023年度目標
(※1)広島銀行を除く連結子会社の当期純利益に出資比率を乗じた額の合計
(※2)グループ会社当期純利益(※1)を親会社株主に帰属する当期純利益で除したもの
(4) 経営環境
2022年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う供給面の制約や欧米の金融引締めを受けた海外経済の減速などから、輸出や生産の持ち直し基調に足踏み感が見られました。この間、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化や急激な円安進行を受けて物価が大幅に上昇したものの、行動制限の緩和など国内の経済・社会活動の正常化が進む中で、設備投資が堅調に推移したほか、個人消費も徐々に持ち直すなど、全体として緩やかに回復しました。
当地方の経済は、主力の自動車産業などで輸出や生産の一部に弱めの動きが広がりましたが、設備投資が底堅く推移したほか、個人消費も徐々に上向くなど、緩やかに回復しました。
(5) 対処すべき課題
世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢が長期化する中、主要先進国におけるインフレ抑制を目的とした金融引締め策の影響等により欧米の金融機関が破綻する等、金融システムの不安懸念も高まっており、未だに先行き不透明な状況が継続しております。
日本国内においては、原材料価格の高騰が継続する中、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い導入された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する等、今後、業績が悪化する企業の増加が懸念されます。
一方で、人口減少・高齢化による地域経済の縮小が懸念される中、日本の重要課題である少子化対策について本格的な議論が開始されるとともに、物価高への対応として大企業を中心に賃上げの動きが加速しており、デフレ脱却に向け、明るい兆しが見られます。また、2020年冒頭から始まった新型コロナウイルス感染症は、約3年間に亘り、その猛威を振るいましたが、足元ではコロナ禍からの正常化が進んでおり、今後、国内のサービス消費やインバウンド消費の増加等、非製造業を中心に景気の回復も期待できます。
そうした中、当社グループを取り巻く事業環境は、政治、経済、環境問題、技術革新といったあらゆる面での変化が加速度的に進み、常態化しています。特に、欧米の金融政策の見直し動向や、気候変動対策をはじめとしたサステナビリティへの取組みの要請については、今後、当社グループのみならず、当社グループの地元4県(広島・岡山・山口・愛媛)の地域経済への影響を注視していく必要があります。
このような状況下、当社グループは、地域に根差した企業グループとして、地域社会・お客さまの課題解決に向け、マーケットインの徹底による「お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」の実践を図ってまいります。また、「中期計画2020」の最終年度である2023年度においては、中期計画の高いレベルでの達成に向け、各種戦略の着実な実行に加え、特に、以下の取組みに注力しております。
①地域社会・お客さまの課題解決に資する各子会社のソリューション提供機能の強化(クオリティの向上及び業務範囲の拡大)
当社グループと同様に、お客さまにおいても、事業環境は大きくまた加速度的に変化しており、そうした変化に対応し続けなければなりません。その結果、地域社会やお客さまの課題はますます多様化、複雑化し続けており、当社グループが提供する価値もさらに高度化していく必要があります。
そうした中、当社グループは、従来からの金融ソリューションに加え、人事・労務に関する支援やIT・DX化支援をはじめとした非金融分野のソリューションを提供できる体制を整えており、地域社会やお客さまの課題解決に向け、ソリューション提供機能を発揮してまいります。
また、お客さまニーズの変化に対応すべく、外部アライアンスの活用等による新たな業務展開をはじめとした各社ソリューションのクオリティ向上(ソリューションの深化、拡大)を進めてまいります。更には、グループ連携の強化に向け、従来の広島銀行と銀行以外の子会社間の連携に加え、広島銀行を介さない事業会社間の連携を強化するとともに、そうした連携強化に資する人的資本の配置・人財交流を進めてまいります。
②サステナビリティへの取組強化
広島県をはじめとした当社グループの地元4県は、自動車製造業や船舶関連業等の製造業が盛んな地域の特性上、人口当たりの温室効果ガス排出量が多い中、国内のその他の地域と比較して再生可能エネルギーの普及が遅れている地域です。また、製造業に従事する従業員数も多く、地域のカーボンニュートラルへの取組みは、地元企業として必要不可欠です。
そうした中、地域の再生可能エネルギーの導入拡大等に向けて、地域企業との連携による積極的な取組みを進めるとともに、ひろぎんエリアデザイン株式会社を中心に、広島県との連携を通じた県内自治体への働きかけを強化することで、地域のカーボンニュートラル推進に係る行政支援を強化してまいります。
また、取引先へのカーボンニュートラル支援の前提となる対話の実践に向けて、当社グループの強みである事業性評価を活用する中、各社のニーズを正確に把握するとともに、昨年、次世代基幹系システムとして参加を表明したMEJAR※各行等をはじめとした外部アライアンスの活用によるソリューションラインナップの拡充を図ってまいります。
加えて、企業の持続的成長に向けて、グループの全従事者が、その能力、専門性を遺憾なく発揮し、高いモチベーションとエンゲージメントを持ち、いきいきと働き続けることができる組織、つまりダイバーシティ&インクルージョンが根付いた組織づくりは必要不可欠です。当社グループでは、各従事者の能力向上に向け、各種研修の実施やリスキリング支援強化を進めるとともに、外部トレーニーへの積極的な派遣を行う等、人的資本投資を強化してまいります。
③構造改革による収益分野等への資本の重点配賦
当社グループでは、これまでも効率的な業務運営体制の構築に向けた取組みを進めており、その効果は表れてきております。今後は、グループ会社の再編に加え、デジタルを活用した既存業務やプロセスの変革等、各社業務の抜本的な見直しを進めることで、収益分野への人的資本の重点配賦を図ってまいります。
また、更なるリスクテイクに資する内部留保の充実を図る中で、アセットを活用した収益拡大に向けて、広島銀行においては、安定的かつ継続的に高い収益性を確保できる有価証券ポートフォリオの再構築に加え、マーケット変化に応じた機動的なALM運営態勢の構築を図ってまいります。
④資本政策の取組み
持続的な成長に向けて、引き続き、地域課題解決・地域の持続的成長に向けた成長投資や人的資本への投資拡充等、収益力強化に向けた資本活用を進めるとともに、健全性の確保に向けた内部留保の積上げによる自己資本の充実を図ってまいります。また、そうした成長投資と健全性維持のバランスに配意する中、株主還元の一層の充実を図ってまいります。
具体的には、2023年度から配当目安テーブルを廃止し、配当性向を軸とした株主還元方針への見直しを行いました。配当性向を「40%程度」とするとともに、連結自己資本比率「11%程度」を目処とし、業績動向や市場環境等を総合的に考慮した上で、機動的な自己株式取得を実施してまいります。
こうした取組みを通じて、当社グループの持続的成長を実現するとともに、金融は勿論、非金融分野を含めたあらゆるニーズにお応えできる<地域総合サービスグループ>として、ステークホルダーの未来をひろげていきたいと考えております。
(※)「MEJAR」とは
「Most Efficient Joint Advanced Regional banking-system(最も効率的な先進的地方銀行共同システム)」の略。2022年11月、クラウド化を志向した次世代基幹系システムの構築に向け、株式会社横浜銀行、株式会社北陸銀行、株式会社北海道銀行、株式会社七十七銀行、株式会社東日本銀行及び株式会社エヌ・ティ・ティ・データとの間で2010年1月から稼働を開始している共同利用システム(MEJAR)に参加し、6行によるシステム共同利用に向けた詳細検討を行うことで基本合意を実施。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
①基本的な考え方
当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題として認識し、地域社会、お客さま、株主・投資家の皆さま、当社グループ従事者をはじめとする様々なステークホルダーの権利や立場を尊重しつつ適切に協働し、地域の社会・環境課題の解決と持続的な成長とともに、当社グループ自身の持続的成長と企業価値向上の好循環を実現させることで、当社グループの経営理念の実現を図っています。
②ガバナンス
(イ)サステナビリティを巡る課題への対応に係る取締役会のガバナンス機能発揮
取締役会は、グループサステナビリティ推進委員会やグループ統合的リスク管理委員会におけるサステナビリティを巡る課題への対応に関する審議・検討内容等を踏まえ、当社グループの経営計画や統合的リスク管理方針を策定するなど、サステナビリティを巡る課題への対応の高度化に向けた意思決定機能を果たしています。
(ロ)サステナビリティを巡る課題への対応に係る業務執行体制
当社は、社長の諮問機関として「グループサステナビリティ推進委員会」(委員長: 代表取締役社長)を設置しており、同委員会にて、気候変動をはじめとしたサステナビリティを巡る課題への対応について審議・検討を行い、定期的または必要に応じて随時、その状況を取締役会に報告しています。
加えて、当社は、気候変動をはじめとしたサステナビリティを巡る課題への対応に係る統括機能の強化等を目的として、経営企画部経営企画グループ内にサステナビリティ統括室を設置しています。
また、当社傘下の広島銀行などのグループ各社は、毎期の経営計画に基づき、当社グループ自身のサステナビリティの向上に向けた取組みを行うとともに、お取引先企業のサステナビリティ向上に向けた取組みの促進・支援に取り組んでいます。
(サステナビリティを巡る課題への対応に関する主な会議体)
(サステナビリティを巡る課題への対応に関する組織体制図)

当社グループでは、当社グループのみならず、地域・お客さまが直面する環境・社会課題の解決に向けて、グループのあらゆる機能とアライアンスを活用した非金融分野を含めたソリューションの充実・強化を進めていくなど、<地域総合サービスグループ>として本業を通じた取組みを推進しています。
そのなかで、事業活動による、将来世代にもわたる社会・環境への影響(インパクト)を常に考慮し、ネガティブ・インパクトの低減を図る一方で、ポジティブ・インパクトが継続的に増大する取組みの展開を図っています。
(イ)〈ひろぎん〉SDGs取組支援サービス
子会社である広島銀行では、地元企業へのサステナビリティ/SDGs啓発・取組向上支援を地域金融機関の使命ととらえ、2020年1月より、お取引先企業のSDGsへの取組みを促進・支援する法人向けサービスを展開しております。
(ロ)〈ひろぎん〉サステナビリティ経営導入サポートサービス
子会社である広島銀行では、「(イ)〈ひろぎん〉SDGs取組支援サービス」の取組みを更に発展させ、地元企業の経営にサステナビリティの要素を統合させながら実際の活用に取り込み、更には地域のサステナビリティ向上につなげていくことを目的とし、2022年1月より、地元企業のサステナビリティ経営の導入・実践を支援するサービスを展開しております。
(ハ)〈ひろぎん〉サステナブルローン
子会社である広島銀行では、2021年12月より、お取引先企業のサステナビリティを巡る課題解決の支援に向けた取組みの一環として、環境省等が定めるガイドラインに整合したファイナンスフレームワーク※を策定し、そのもとでカーボンニュートラルやESG・SDGsへの取組みを資金面から後押しする融資商品として、「サステナビリティ・リンク・ローン」と「グリーンローン」の2商品を展開しております。
(※)ファイナンスフレームワークのグリーンローン原則等に対する整合性について株式会社格付投資情報センターより第三者意見を取得しています。
(ニ)〈ひろぎん〉ポジティブ・インパクト・ファイナンス
子会社である広島銀行では、2023年3月より、お取引先企業のサステナビリティ経営向上支援強化に向け、サステナビリティ経営の導入(分析・目標設定)から実践まで一貫してご支援する融資商品として、「〈ひろぎん〉ポジティブ・インパクト・ファイナンス」を展開しております。
なお、ポジティブインパクト金融原則への適合性の確認と評価の透明性を確保するための第三者意見は、株式会社日本格付研究所から取得します。

④リスク管理
(イ)リスクアペタイト・フレームワークに基づく統合的リスク管理態勢
当社グループでは、外部環境を踏まえて、経営目標を達成するために進んで受け入れるリスクの種類と量をリスクアペタイトとして明確化し、経営戦略・方針に沿って、収益機会の追求と同時に適切なリスクコントロールを実現するため、リスクアペタイト・フレームワークに基づく統合的リスク管理態勢を構築しています。
その枠組みの中で、経営において重要で管理していくべきリスクを「トップリスク」として選定しています。「トップリスク」については、グループ統合的リスク管理委員会での審議を踏まえ、取締役会において、各種リスクに係る管理・運営方針を決定しています。
当社グループでは、気候変動による社会・環境等の変化に伴うリスクについて、「トップリスク」として選定しております。気候変動リスクへの対応の一環として、2022年度下期より、リスクアペタイト・ステートメントに「気候変動への対応方針」を定め、継続的にモニタリング等を行い、機動的な対応が可能となる態勢を整備しております。
(ロ)環境・社会課題の解決に向けた投融資方針
当社グループでは、2022年10月に改正した「環境・社会課題の解決に向けた投融資方針」において、環境・社会に対するリスクまたは影響の重大性を踏まえ、投融資を禁止する事業、取組みに際し留意する事業を次のとおり定めております。
(1)投融資を禁止する事業
①核兵器やクラスター弾等の非人道的な兵器の開発・製造を行う事業
②人身売買等の人権侵害や強制労働に関与する事業
(2)取組みに際し留意する事業
①石炭火力発電事業
石炭火力発電所は、他の発電方式対比温室効果ガス排出量が多いといわれており、気候変動や大気汚染の懸念が高まるリスクを内包しているため、新規建設事業については原則取組みません。
ただし、例外的に取組みを検討する場合は、各国のエネルギー政策・事情やOECD公的輸出信用アレンジメント等の国際的ガイドラインを踏まえ、個別案件毎の背景・特性等を十分に勘案のうえ、慎重に対応いたします。また、災害時等の非常事態における対応等、やむを得ない場合は、この限りではありません。
なお、炭素回収・貯留等の環境に配慮した先進技術は、温室効果ガス排出量の削減へ向けた取組みとして支援いたします。
また、上記を踏まえるなか、当社グループにおける石炭火力発電所建設向けプロジェクトファイナンスの融資残高については、2035年を目処に残高ゼロとします。
②石炭採掘事業
石炭採掘は、適切に管理されない場合、炭鉱事故による労働災害や有害廃棄物による生態系への影響等を及ぼす可能性があり、新規事業については、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認のうえ慎重に判断します。
なお、環境負荷影響の大きい山頂除去採掘(Mountain Top Removal:MTR)方式で行われる新規事業には取組みません。
③石油・ガス採掘事業
石油・ガス採掘は、流出事故による海洋・河川の汚染や、地域住民・社会等への負の影響を及ぼし得る可能性があるため、新規事業については、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認のうえ慎重に判断します。
④パーム油農園開発事業
パーム油は、日常生活に欠かせない原料である一方、児童労働や人権侵害、開発における自然林の伐採・焼き払い等、気候変動や地域住民への負の影響を及ぼし得る可能性があるため、新規事業については、RSPO(※1)等の認証取得やNDPE(※2)等を尊重する旨の公表を求め、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認のうえ慎重に判断します。
⑤大規模森林伐採事業
大規模森林伐採は、気候変動や生態系へ負の影響を及ぼし得る可能性があるため、新規事業については、FSC(※3)、PEFC(※4)等の認証取得状況や、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認のうえ慎重に判断します。
(※1)RSPO認証:(Roundtable on Sustainable Palm Oil)持続可能なパーム油由来原料を使用した、あるいはその生産に貢献した製品であることを示す国際認証
(※2)NDPE:森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(No Deforestation、No Peat and No Exploitation)の環境・人権への配慮を定めた方針
(※3)FSC認証:(Forest Stewardship Council)適切に管理された森林の生産品であることを示す国際認証
(※4)PEFC認証:(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes) 持続可能な森林を維持するための国際認証
⑤指標及び目標
指標及び目標の詳細については、「(2)気候変動 ⑤指標及び目標」及び「(3)人的資本 ④指標及び目標」をご参照ください。
(2)気候変動
①基本的な考え方
当社グループが主要な営業基盤とする、広島県を中心とした地元4県(岡山県、山口県、愛媛県)は、ものづくりが盛んである地域特性上、人口当たりの温室効果ガス排出量が多い地域です。従って、徹底した地域密着型経営のスタンスをとり、地元地域と共存共栄の関係にある当社グループにとって、当社グループ内のみならず、お取引先企業のカーボンニュートラル対応を促進・支援し、地域を挙げた脱炭素社会への円滑な移行(トランジション)を実現することが、<地域総合サービスグループ>としての使命であると認識しております。
以上の認識のもと、地域のカーボンニュートラル実現に向けて、<地域総合サービスグループ>として本業を通じた取組みを加速させています。
なお、当社及び子会社である広島銀行では、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しており、気候変動リスク及び収益機会が、当社グループの事業活動や収益等に与える影響等について、TCFDの枠組みに沿って、開示の質と量の充実を進めています。
②ガバナンス
取締役会は、当社グループの経営計画や統合的リスク管理の実施状況について、定期的または必要に応じて随時、報告を受けるなど、サステナビリティを巡る課題への対応に関する業務執行に係る監督機能を果たしています。
③戦略
(イ)当社グループにおける気候変動リスク・機会の認識
当社グループでは、気温上昇等に関連した自然環境の変化に起因する物理的リスクと、脱炭素社会への移行(トランジション)に関連した社会・経済環境の変化に起因する移行リスクを気候変動リスクとして認識しています。
また、当社グループでは、脱炭素社会への移行(トランジション)に伴う社会・経済環境の変化や気候変動への適応・緩和に適切に対応した商品・サービスなどを提供していくことを、「気候変動機会」として認識しています。
(ロ)融資ポートフォリオを経由した気候変動リスク・機会
当社グループでは、主要子会社である広島銀行の融資業務等を通じて、お取引先企業の「リスク(物理的リスク・移行リスク)」及び「機会」を間接的に負っているため、融資ポートフォリオを経由した気候変動リスク・機会が大宗をなすと認識しています。

(ハ)当社グループ自身によるカーボンニュートラルに向けた対応
当社グループは、2022年5月、「2030年度までに当社グループによる温室効果ガス排出量(スコープ1・2)のカーボンニュートラルの達成を目指す」という中長期目標を新たに設定しました。
当連結会計年度においては、LED照明や高効率空調等の省エネ設備への更新や環境に配慮したオフィス活動の推進等の省エネ活動に取り組んだほか、2022年11月より、本社ビルへ再生可能エネルギー由来の電力を導入するなど、スコープ1・2の温室効果ガス排出量の削減に向けた取組みを進めました。
(ニ)地域・お取引先企業のカーボンニュートラルに向けた対応・支援
当社グループは、2022年5月、「2050年度までに投融資ポートフォリオを含めたサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量(スコープ1・2・3)のカーボンニュートラルの達成を目指す」という中長期目標を新たに設定しました。
特に、子会社である広島銀行では、地域金融機関として地元中小企業のエンゲージメントにこそ注力していくという観点から、事業性融資における温室効果ガス排出量(ファイナンスドエミッション)の算定・削減に向けた取組みが重要であると認識しております。
当連結会計年度においては、子会社である広島銀行にて、環境省公募事業「金融機関向けポートフォリオ・カーボン分析パイロットプログラム支援事業」の採択をうけ、2022年10月から2023年3月にかけて、事業性融資における温室効果ガス排出量(ファイナンスドエミッション)の算定・把握に向けた取組みを進めるとともに、お取引先企業へのエンゲージメントへの活用に関する検討を行いました。
また、当社グループでは、当連結会計年度において、「地域のカーボンニュートラルへの取組強化」を重点取組項目として掲げ、啓発・対話の取組みを強化するとともに、グループのあらゆる機能とアライアンスを活用した非金融分野を含めたソリューション提供を通じて、お取引先企業のカーボンニュートラルに係る総合的なコンサルティングの展開に注力しました。
なお、炭素関連資産の与信エクスポージャーの集中度合い及び気候変動リスク・機会に係るシナリオ分析結果に関する情報については、弊社ウェブサイト(URL https://www.hirogin-hd.co.jp/csr/environmental-initiative/index.html
)の
④リスク管理
(イ)トップリスクとしての気候変動リスクの認識・評価
詳細については、「(1)サステナビリティ全般 ④リスク管理 (イ)リスクアペタイト・フレームワークに基づく統合的リスク管理態勢」をご参照ください。
(ロ)シナリオ分析を通じた気候変動リスクの把握強化
当社グループでは、特に融資ポートフォリオを経由した気候変動リスクの把握強化に向けて、シナリオ分析の手法を活用した取組みを進めており、シナリオ分析への継続的な取組みの中で、定期的または必要に応じて随時、分析手法の高度化や分析対象の範囲拡大等を図っております。
当連結会計年度においては、主要子会社である広島銀行にて、物理的リスク・移行リスクに関するシナリオ分析を実施しました。
なお、分析結果に関する情報については、弊社ウェブサイト(URL https://www.hirogin-hd.co.jp/csr/environmental-initiative/index.html)の
(ハ)リスクアペタイト・ステートメントへの気候変動リスクの反映
当社グループでは、気候変動リスクを含む種々のリスクの認識・評価結果を踏まえて、半期毎に、取締役会決議にて、リスクアペタイト・ステートメントを制定しており、その中で、気候変動リスクを含む種々のリスク等に対する対応方針等を定めています。
当連結会計年度においては、2022年度下期より、リスクアペタイト・ステートメントに「気候変動への対応方針」を新規追加し、半期毎に子会社の気候変動への対応方針に基づいた対応の実施状況をモニタリングする態勢を整備しました。
(ニ)統合的リスク管理の枠組みにおける気候変動リスク管理
当社グループでは、リスクアペタイト・フレームワークに基づく統合的リスク管理プロセスの中で、気候変動リスクを「トップリスク」として認識・評価及び管理するなど、統合的リスク管理の枠組みにおける気候変動リスク管理態勢を構築しております。
当連結会計年度においては、 気候変動リスクを、社会・環境等への影響を通じて信用リスク等の各種リスクを増減させるリスクドライバーとして位置づけを明確化し、リスクの顕在化抑制に向けたモニタリング態勢を整備しました。
当社グループでは、今後とも、シナリオ分析への継続的な取組みを検討するとともに、重要な気候変動リスクを特定する際の定性的・定量的基準の具体化に関する検討・対応を進めるなどして、統合的リスク管理の枠組みにおける気候変動リスク管理の更なる高度化を目指してまいります。
⑤指標及び目標
(イ)温室効果ガス排出量
当社グループでは、2022年5月、温室効果ガス排出量削減の中長期目標を次のとおり設定しております。
※GHG プロトコル(温室効果ガス算定及び報告基準)におけるスコープ1・2・3 について
・スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼等)
・スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
・スコープ3:スコープ1・2 以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
当社グループのスコープ1・2の温室効果ガス排出量の実績は、次のとおりです。
(単位:t-CO2)
なお、スコープ3の温室効果ガス排出量に関する情報については、弊社ウェブサイト(URL https://www.hirogin-hd.co.jp/csr/environmental-initiative/index.html)の
(ロ)サステナブルファイナンス
当社グループでは、2022年5月、サステナブルファイナンスの中長期目標を次のとおり設定しております。
当社グループのサステナブルファイナンスの実績は、次のとおりです。
※サステナブルファイナンスの算定範囲について
・環境課題の解決に資する投融資・リース:再生可能エネルギー、環境負荷軽減につながる車輌、船舶等の設備など
・社会課題の解決に資する投融資・リース:SDGs関連、医療・福祉・教育関連設備、創業資金、事業承継、BCP、公共インフラなど
※環境ファイナンスの算定範囲について
・上記のサステナブルファイナンスの算定範囲のうち、環境課題の解決に資する投融資・リースに該当するもの
(3)人的資本
①基本的な考え方
当社グループでは、「お客さまに寄り添い、信頼される<地域総合サービスグループ>として、地域社会の豊かな未来の創造に貢献します」という経営ビジョンの実現に向けて、お客さまとのリレーションの深化・拡がりを通じて、グループのあらゆる機能とアライアンスを活用して非金融分野を含めたソリューションを提供することで、地域社会・お客さまの課題解決に徹底的に取組むことを目指しております。
この経営ビジョンや経営戦略の実現のため、当社グループでは、「グループ各社すべての従事者が、その能力、専門性を遺憾なく発揮し、高いモチベーションとエンゲージメントを持ち、いきいきと働ける組織づくりを通じ、持続的成長を実現する」という基本的な考え方のもと、 2020年10月の持株会社体制移行の目的や新たなビジネスモデル・成長戦略の方向性を踏まえた人財戦略の展開を図っております。
②ガバナンス
当社グループにおける最大の財産は「人」です。取締役会は、人的資本を競争優位の源泉として欠かすことのできない重要な資産であると捉え、人財戦略について定期的または必要に応じて随時、報告を受けるなど、多様な人財が活躍するための課題への対応に関する業務執行に係る監督機能を果たしています。
③戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
(人財育成方針)
当社グループは、地域社会の豊かな未来に向けて、お客さまに寄り添い、信頼される<地域総合サービスグループ>として、すべての従事者が、能力・専門性を遺憾なく発揮する組織を目指しています。これからの時代に求められる、「人間力」をベースに「専門性を持ち合わせたゼネラリスト」や「ソリューションを生み出すスペシャリスト」に向けて将来にわたり絶えず自己研鑽に励み、お客さまの課題解決に貢献する人財を育成してまいります。
(社内環境整備方針)
当社グループは、多様な視点・価値観を持つ従事者が、自らの意志や気付きをもとに能力を発揮できる職場づくりを進めています。従事者一人ひとりが理想の働き方を実現するため、「主体的にキャリアパスを描き、新たな取り組みにチャレンジする風土」の醸成や「多様なキャリア・経験を活かすことができる環境」の整備を実施するとともに、すべての従事者が、当社グループの一員であることに誇りを持てる会社を目指し、ウェルビーイング向上に積極的に取り組んでまいります。
(イ)グループの人財育成強化
a. 主体的なキャリアパス構築に向けた育成体系
当社グループでは、人財育成方針のもと、これからの時代に求められる人間力をベースに、知識・経験を最大限活かしながらキャリアアップすることを目指すグループ人財育成体系を策定し、主に職位別に求められる資質・スキルの開発を目的とした「階層別研修」と、従事者一人ひとりが自らのキャリアパスに照らし合わせて自主的に能力開発を図る「テーマ別研修」を中核とし、自律的なキャリア形成を支援するその他の施策やeラーニング等のコンテンツを組み合わせた運用を行っております。
b. 従事者の成長支援を目的とした取組み
従事者の成長を促進するためには、会社が用意した研修等の座学のみならず、自ら多様な経験を積み、新たな価値観や風土に触れる機会を設けることが重要であると考えております。当社グループでは、従事者が画一的なキャリアパスに固執することなく、様々な体験を通して自らの手で主体的にキャリアをデザインし、新たな価値の創出につながるよう、国内外のMBAや外部企業への出向・トレーニー派遣に加え、社内インターンシップや越境業務体験制度(従事者が新しい経験(別の仕事を見る)の機会を自ら生み出し、豊かな発想力を養うことで、組織の活性化につなげる制度)等の各種制度を整備しています。
c. 従事者のリスキリングを支援する取組み
当連結会計年度に広島銀行、ひろぎん証券、ひろぎんリース、ひろぎんITソリューションズにて「広島県リスキリング推進宣言」を策定し、各社ホームページに内容を掲げております。当社グループでは、「学びの機会」や「学びの風土醸成」に向けて、従事者の積極的な自己啓発を推奨すべく、公的資格等の取得に対して一定の奨励金を支給する「自己啓発奨励金制度」を設けており、当連結会計年度は、特に注力する取組みとして、全社的なデジタルリテラシーの向上を図ることを目的に、全従事者のITパスポート試験受験料補助・特別奨励金の支給を決定し、順次対応しております。また、広島銀行においては、管理・事務職に従事する職員を対象に、コンサルティング営業に従事するキャリアへの転換を促す「キャリアチェンジサポート」を実施しており、一定の研修期間を経て、2023年4月には4名が新たなキャリアをスタートさせました。
今後も、キャリアの構築に向けた従事者の前向きな取組みを積極的にサポートしてまいります。
(ロ)グループ内人的資本の最適化
a. あるべき人財ポートフォリオの検討
当社グループにおいては、お客さまが抱える様々な悩みや課題に対し、適切な解決策を提供する「ソリューション人財」及び高度な専門性を駆使して様々な価値を創出する「スペシャリスト」の確保・定着を目指し、あるべき人財ポートフォリオの構築に向けて継続的に議論を行っております。地域社会が直面する課題を踏まえて当社グループにおける重点取組分野を定め、人財育成や効率化等の推進により、ソリューション分野への人員シフトを進める方針を掲げ、計画的に人財の配置・登用を行っております。
b. 重点取組分野への人員シフト
現在対処すべき課題と当社グループの将来像を見据えたバランスを考慮しつつ、常に先手での人財配置を行うことで、重点取組分野に着実に注力してまいります。具体的には、エクイティビジネスや不動産分野等の収益部門やIT・デジタル分野等の新たな収益源となる領域に前倒しで人員を投入し、社内トレーニー等を活用して早期の戦力化に向けた育成を行っております。また、積極的なキャリア採用やパートからの正社員登用等により、能力に応じた配置と重点分野の人的資本の充実を図っております。
c. 従事者の適性・能力把握に向けた対応
グループ内人的資本の最適配置のためには、従事者一人ひとりの適性やキャリア志向、保有する能力を正しく把握することが求められます。また、従事者本人の志向に応じた配置を重視することで、仕事に対する高いモチベーションを喚起することも重要であると認識しております。当社グループでは、従事者のキャリア志向や能力を可視化でき、最適配置に有用なツールとして、タレントマネジメント機能を備えた人事システムの導入を決定し、2024年度の運用開始に向け、準備を進めております。
今後も、「人」に関する投資を積極的に行い、人的資本経営を加速してまいります。
(ハ)企業風土の醸成
a. チャレンジする風土の醸成
当社グループは、多様化する地域社会の課題解決に貢献するべく、業務軸の拡大を図り、従来の金融の枠組みを越えた<地域総合サービスグループ>への進化を目指しています。そのためには、過去の成功体験や慣習に捉われることなく、新たな発想で業務に取り組むマインドが必要です。「チャレンジ」は当社グループの従事者にとって、ひとつのアイデンティティとして根付いており、前向きなチャレンジを促進し、正しく評価する組織風土の醸成は、従事者のエンゲージメントの向上と当社グループの持続的な成長に欠かせない要素です。
b. チャレンジする風土を醸成するための取組み
誰もが気兼ねなく前向きにチャレンジできる組織風土の醸成に向け、担当業務や会社の枠組みを越えた様々な制度・取組みを実践しています。今後もチャレンジの推奨による明るく働きがいのある企業グループの構築に向け、各種取組みを通じて心理的安全性と透明性の高い職場づくりを推進してまいります。
<褒める文化表彰(広島銀行)>
チャレンジする組織風土、周囲に関心を持ち褒め合う組織風土の醸成を目的とした表彰制度であり、これまでに、営業地区内の名所・名跡の魅力を発信(SNS、ロビー展等)する取組み等が表彰対象となっています。
<ビジネスコンテスト>
当社グループ社員を対象に、新規業務等に関するビジネスアイデアを求める「ビジネスコンテスト」を開催しています。外部専門家を含む審査員が最も高く評価した案件については、発案者をプロジェクトリーダーに指名し、事業化を検討することとしており、第1号案件として、2023年3月にキッズプログラミング教室を運営する「ひろぎんナレッジスクエア株式会社」が誕生しました。
<未来創造タスクフォース>
地域・当社グループの未来像を描くことを目的とした、有志の若手社員のみによる「未来創造タスクフォース」を2022年10月に結成し、地域・当社グループの目指したい/目指すべき10年後の未来像についての提言をとりまとめ、 2023年3月に取締役会メンバーへプレゼンテーションを実施しました。
<新たな評価制度の導入(広島銀行)>
上位下達の企業風土からの決別を図り、内向きな競争や短期的な成果のみに捉われることなく、従事者本人の内発的動機に基づく目標設定と、その達成に向けた取組状況を評価の対象とする新たな評価制度を導入しました。
OKRと呼ばれる目標設定の仕組みを取り入れ、従事者の全ての活動と当社グループの経営理念の方向性を一致させることによる、従事者の仕事に対するやりがいとモチベーションの向上を目的としています。
(二)ダイバーシティ&インクルージョンの推進
a. 推進体制
前述のとおり、当社グループのサステナビリティを巡る課題への対応を審議・検討する当社社長の諮問機関である「グループサステナビリティ推進委員会」の下部組織として「ダイバーシティ&インクルージョン推進ワーキンググループ」を設置しており、ダイバーシティ&インクルージョンに関する目標設定及びその達成に向けたグループ横断的な課題についてディスカッションを行い、各種施策につなげております。
b. 女性の積極登用・活躍支援
女性マネジメント職比率アップを目指し、候補となる人財の特定とキャリアのすり合わせを定期的に実施しております。特に、女性マネジメント職候補者のうち、スキルではなく意識面に課題がある候補者のマインドアップを支援する目的で、外部の専門家による定期的な1on1コーチングを実施しています。また、女性職員や女性職員を部下に持つ上司向けに、「望む変化を起こすための社内コミュニケーション術」「女性のやる気を引き出すマネジメントセミナー」等と題したキャリアセミナーを複数回開催するなど、マインドの醸成とアンコンシャスバイアスの払拭に努めています。
c. 両立支援
育児は男女ともに行うものであり、女性だけでなく、男性も育児休業・短時間勤務を取得できる風土醸成が必要というビジョンのもと、原則として以下の①②いずれか、またはそれに準じた制度の取得を促進しています。
①1か月程度の育児休業取得(分割可)
②5日以上の育児休業取得+1か月以上の短時間勤務利用
上記の取組みが評価され、2022年11月に広島県内企業が取り組んでいる「男性の育児休業の取得促進に向けた取組」のうち、ユニークな取組や他企業の参考となる優良事例(ベストプラクティス)を広島県が募集し、認定する「男性育児休業ベストプラクティス」第一号に認定されました。
d. 障がい者の雇用促進
障がい者が働きがいを感じる職場づくりを目指し、グループ内の事務サポート業務の受託等の業務体制の整備と、処遇面の魅力度向上を狙いとした人事制度の構築等の対応を経て、2022年11月に広島銀行の子会社であるひろぎんビジネスサービスにおいて特例子会社認定及び特例子会社のグループ適用の認定を取得しました。結果として、グループの障がい者雇用率は2.5%(2023年4月1日時点)と、法定雇用率を充足しております。
(ホ)ファイナンシャル・ウェルネスの取組み
当社グループは、仕事における働きがいの創出のみならず、従事者が私生活を楽しみ、充実した人生を送ることが重要であり、そのためには金銭面における安心感の付与が必要であると考えております。具体的な取組みとして、従事者の財産形成に寄与するための制度として、「ひろぎんホールディングス従業員持株会」を組織し、拠出金額の10%を奨励金として補助しています。なお、当社グループにおける持株会への加入率は77.6%(2023年3月末時点)と、高い水準を維持しております。また、会員の福利増進を図ることを目的とした互助会である「ひろぎんグループ信愛会」では、災害時の給付に加え、教育資金や奨学金の借換資金等、ライフステージの節目毎に必要となる金銭の貸付事業等を実施しており、金銭面のセーフティネットとしての役割を果たしています。
(ヘ)人権の尊重
当社グループでは、「〈ひろぎんグループ〉SDGs宣言」において、マテリアリティ(優先的取組事項)の一つに「人権」を掲げ、すべての人々の人権を尊重するとともに、社会及び個人の多様性を踏まえ、誰もが働きがいをもって仕事に取組み、充実した生活を送ることができる社会づくりへの取組みを進めることとしております。
人権課題の多様化により、企業活動における人権尊重の重要性が国内外で高まっていることを踏まえて、2023年5月に「人権方針」を制定しており、当社グループのサステナビリティ経営における重要要素の一つである人権尊重についての取組促進を図っています。
④指標及び目標
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)に基づき算出した連結会社及び連結子会社の指標等は、
・女性の積極登用・活躍支援
(※) 労働基準法上の「管理監督者」及び、日常業務について判断を行い、部下を指導育成して担当業務を遂行し、成果を生み出すことが求められる職務に就いている者の合計
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(当社グループのリスク管理)
当社グループでは、グループ統合的リスク管理委員会及びグループ経営会議において、各種のリスクシナリオが顕在化する蓋然性並びに当社グループの経営成績及び財務状況等への影響度の評価を行い、取締役会において、今後1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして認識しております。
2023年3月開催の取締役会にて選定した「トップリスク」は次のとおりです。
・気候変動による社会・環境等の変化
・世界的な物価上昇の高止まりに伴う金融引き締め強化による景気後退(スタグフレーション)
・ロシア・ウクライナ情勢の長期化・深刻化
・新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の低迷長期化
・マイナス金利政策の長期化
・人口減少
・デジタルプラットフォーマー等をはじめとした、他業態による業務浸食の拡大
・システム障害(システム開発・設計ミス等)、サイバー攻撃発生
・AML違反発生
(注)上記は認識しているリスクの一部であり、上記以外のリスクによっても経営上、特に重大な悪影響が生ずる可能性があります。
当該トップリスクに関しては、経営計画におけるリスクアペタイト方針やリスク管理方針等において対応方針を定め、その対応方針に基づき当社及びその子会社において各種戦略・施策を展開するとともに、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のリスク管理体制に基づき、リスク管理及び危機対応の体制を整備しております。
また、以下に記載したリスクのうち、信用リスク及び市場リスクについては、統計的手法であるバリュー・アット・リスクを用いて、一定の確率(信頼区間99.9%)のもと、一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を計測し、把握しております。
これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、各リスクカテゴリー毎にリスクリミットを設定し、その合計額が自己資本の範囲内に収まるよう管理を行っております。
(特に重要なリスク)
・気候変動リスク
近年、国際機関や日本を含む世界各国政府が「脱炭素化社会への移行」に向けた取組みを加速させるなど、気候変動リスクへの対応は重要な課題となっております。
気候変動の影響による台風・豪雨等の自然災害は、その頻度及び損害が急速に増大しており、こうした「物理的リスク」が地域社会・経済にとって大きな脅威となっております。また、政府が地球温暖化対策として環境規制を導入する等、法務・税務面での規制強化に加え、当社グループが環境配意を怠ることでステークホルダーから見放されるといった「移行リスク」への対応が必要となっております。
こうした社会情勢の変化を受け、以下のリスクが顕在化する可能性があります。
・当社グループの貸出先等における本社・工場等の被災や、低炭素社会への移行の対応の遅れ等による競争力の低下等に起因する経営状況の悪化等に伴う信用リスク
・各ステークホルダーが当社グループに期待する環境問題への取組みに係る基準を下回った場合等における、当社グループの資本・資金調達等ができなくなる、不利な条件での取引を余儀なくされる又は一定の取引を行うことができなくなる流動性リスク及び当社グループに対するネガティブな報道に起因する当社株価に悪影響を及ぼす風評リスク
・大規模な自然災害が発生し、当社グループの役職員や店舗等が被災した場合における、営業活動の停滞等による営業戦略が奏功しないリスク、業務継続に必要な人材が確保できない人的リスク及び有形資産リスク
・上記リスクの顕在化に起因する自己資本比率低下のリスク
当社グループでは、こうした気候変動リスクが経営に与える定量的な影響を把握するための取組みを行うとともに、地域のカーボンニュートラル実現に向けて、温室効果ガス排出量削減とサステナブルファイナンスの中長期目標を設定し、<地域総合サービスグループ>として本業を通じた取組みを進めております。
詳しくは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(その他重要なリスク)
(1) 信用リスク
当社グループの不良債権は世界経済の変動、国内景気の動向、業種の盛衰、不動産価格並びに株価・為替の変動及び貸出先の経営状況等によって増加する可能性があります。
当社グループでは不良債権に対し、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。また、大口債務者のうち、将来キャッシュ・フローを合理的に見積もることができる債権については、キャッシュ・フロー見積法により貸倒引当金を計上しております。
しかし、貸出先の経営状況の悪化、担保価値の下落等が貸倒引当金計上時の前提と大きく乖離する場合、貸倒引当金が不十分となり貸倒引当金の積み増しをせざるを得なくなる可能性があります。
また、経営状況が悪化した先に対し、債権放棄又は追加貸出等を行って支援をすることもありえます。さらに、担保権を設定した不動産又は有価証券等に対し、流動性の欠如や価格の著しい下落等を要因として担保権の執行が事実上できない可能性があります。
このような事態が生じた場合には当社グループの与信費用が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいては、こうしたリスクに対し、厳正な審査を実施するとともに、経営改善が必要となった取引先に対して、営業店と本店部の連携による資金繰り支援の徹底や事業再構築補助金等の活用に加え、経営改善支援チームを中心とした本業支援強化などの総合的な伴走型支援を行っております。また、子会社である広島銀行においては、貸出金ポートフォリオに占める割合を勘案する中、一定の業種に係るモニタリングを強化しております。
(2) 市場リスク
当社グループでは市場取引関連業務において、有価証券投資をはじめ様々な金融商品での運用を行っています。こうした活動には金利、為替レート、株価及び債券価格の変動等のリスクがあり、例えば以下のようなリスクが顕在化した場合には当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、流動性が高く安全性の高い資産への分散投資を基本とした適切な有価証券ポートフォリオ管理を徹底するほか、各種保有限度額や評価損益に対する損失管理ポイントの設定等による管理を徹底しております。
①金利変動のリスク
当社グループは国債等市場性のある債券を保有しています。今後国内外の金利が上昇した場合、当社グループが保有する国債をはじめとする債券のポートフォリオの価値が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、金利が著しく低下した場合、適切な利回りが確保できない可能性があります。
②為替変動のリスク
当社グループの業務は為替レート変動の影響を受けます。円高が進行した場合には外貨建て取引の円換算額が目減りすることになります。さらに、資産及び負債の一部は外貨建てで表示されており、外貨建ての資産と負債の額が各通貨毎に同額で相殺されない場合又は適切にヘッジされていない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③株価下落のリスク
当社グループは市場性のある株式を保有しています。株価が大幅に下落する場合には保有株式に減損又は評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 流動性リスク
格付機関により当社及び子会社である広島銀行の格付けが引き下げられた場合、当社グループを含む日本の銀行及びその他の金融機関の財政状態が悪化した場合又は市場環境が悪化した場合、予期せぬ資金の流出等により、当社グループの資本・資金調達等ができなくなる、不利な条件での取引を余儀なくされる又は一定の取引を行うことができなくなる可能性があります。
このような事態が生じた場合には当社グループは資金調達費用の増加等により、市場取引関連業務及び他の業務の収益性が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、一定の資金流出を前提とした運用・調達コントロールの実施や、市場性資金の調達状況及び市場からの評価等のモニタリングによる管理を徹底しております。
(4) オペレーショナルリスク
①事務リスク
当社グループにおいて、大きな賠償に繋がるような事務事故が発生した場合、当社グループの評価に重大な影響を及ぼすとともに、当社グループの業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、こうしたリスクに対し、事務規定に基づき厳正な事務処理を徹底し、事務事故の未然防止に努めております。
②システムリスク
当社グループはコンピュータシステムの停止・誤作動又は外部からのサイバー攻撃、その他の不正アクセス、コンピューターウイルス感染が発生する等、重大なシステム障害が発生した場合、業務の停止や情報流出、それに伴う損害賠償の負担等が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、システムリスク管理規程に基づき、システムの安定稼働やセキュリティ対策に万全を期すほか、厳格な情報管理を行うなど運用面での対策を実施しております。
③人的リスク
当社グループは多数の従業員を雇用しておりますが、人財の確保や育成が不十分である場合、当社グループの競争力や効率性が低下する等、当社グループの業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、グループ一体となった採用活動及び研修体系の構築を行うとともに、グループ内の人財交流、シニア人財の活用、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、他業態等からの専門性の高いキャリア人財の採用等により、人財の戦略的配置を実施しております。
④コンプライアンスリスク
当社グループはコンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして位置付け、態勢強化に努めておりますが、法令等遵守及び社会的規範の遵守が十分でなかった場合や、それに起因する訴訟等が提起された場合、当社グループの評価に重大な影響を及ぼすとともに当社グループの業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等の金融犯罪防止に係る態勢強化に努めておりますが、想定の範囲を超える大規模な金融犯罪等に利用された場合、業務の停止及び不測の損失等が発生するとともに、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、各種研修をはじめとした社内啓発を実施すること等により、法令及び社会的規範並びに各種ルール等遵守の徹底を図っております。
⑤有形資産リスク
当社グループは、店舗等の有形資産を保有及び賃借しておりますが、自然災害や不法行為、不適切な資産管理等により、毀損、焼失又は劣化した場合、当社グループの業務遂行に支障をきたす可能性があります。また、保有する固定資産の使用目的の変更、収益性の低下及び価額の下落等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、台風・水災や大地震・津波等を想定した対策の実施に加え、老朽化店舗や設備等への計画的な対応を行っております。
⑥風評リスク
銀行業界及び当社グループに対するネガティブな報道、悪質な風説が流布された場合、それが正確かどうかにかかわらず又は当社グループに該当するか否かにかかわらず、当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、透明性の高いディスクロージャーの実施に加え、風評リスクに関する情報の管理徹底を行っております。
(5) その他当社グループの業績等に影響しうる他のリスク
①自己資本比率低下のリスク
当社グループは海外営業拠点を有しておりませんので、当社の連結自己資本比率並びに子会社である広島銀行の連結自己資本比率及び単体自己資本比率について、国内基準(4%)の維持が必要となります。
当社グループの自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。
当社グループの自己資本比率は以下のような要因により影響を受ける可能性があります。
・株式を含む有価証券ポートフォリオ価値の下落
・不良債権増加に伴う与信費用の増加
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・本項記載のその他の不利益な展開
②退職給付債務等に関するリスク
当社グループの年金資産の時価が下落した場合、当社グループの年金資産の運用利回りが低下した場合又は予定給付債務を計算する前提となる数理上の前提・仮定に変更があった場合には損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来の財政悪化リスクに備えるため、2022年度よりリスク対応掛金の拠出を開始しております。
③規制変動リスク
当社グループは現時点の規制(法律、規則、政策、実務慣行、解釈等を含む)に従って業務を遂行しております。将来これらの規制の変更並びにそれらによって発生する事態が当社グループの業務遂行や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、どのような影響が発生しうるかについて、その種類・内容・程度等を予測することは困難であります。
④競争に関するリスク
近年金融機関の業務における大幅な規制緩和により業態を超えた競争が激化してきております。また、当社グループの営業基盤である広島県ではメガバンク・近隣他行等の営業攻勢から競争が激化しております。
当社グループがこうした事業環境において競争優位を得られない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤当社グループの営業戦略が奏功しないリスク
当社グループは収益基盤の強化のために様々な営業戦略を実施していますが、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合にはこれら戦略が功を奏しないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。
・優良な貸出金の量の増大が進まないこと
・貸出金について適切な利回りが確保できないこと
・手数料収入の増加が期待通りの結果とならないこと
・経費削減等の効率化を図る戦略が期待通りに進まないこと
・取引先への経営改善支援が期待通りに進まないこと
⑥地域の経済動向に影響を受けるリスク
当社グループは広島県及び近隣3県(岡山県、山口県、愛媛県)を地元と位置付け、主要な営業基盤としていることから、これら地域経済の動向が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦自然災害・感染症の発生によるリスク
当社グループは国内に営業拠点を有しており、各拠点において、豪雨災害をはじめとした自然災害や感染症等に係る想定をはるかに超える状況が発生し、当社グループの役職員、店舗等の設備及び取引先が被害を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧持株会社のリスク
当社は銀行持株会社であるため、その収入の大部分を傘下の銀行子会社から受領する配当金等に依存しております。一定の状況下で、様々な規制上又は契約上の制限により、その金額が制限される場合があります。また、銀行子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等を支払えない状況が生じた場合には、当社株主に対する配当の支払いが不可能となる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
連結経常収益は、広島銀行の外貨貸出金利息の増加を主因として、前年度比142億円増加の1,602億円となりました。連結経常費用は、広島銀行の外貨調達費用の増加及び収支が逆ザヤとなっている外国債券を中心に売却したことによる国債等債券売却損の増加を主因として、前年度比224億円増加の1,414億円となりました。その結果、連結経常利益は前年度比83億円減少の187億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比104億円減少の125億円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりとなりました。
「銀行業」の経常収益は前年度比156億円増加して1,290億円、セグメント利益は前年度比64億円減少して164億円となりました。
「リース業」の経常収益は前年度比6億円増加して222億円、セグメント利益は前年度比2億円減少して9億円となりました。
報告セグメントに含まれない「その他」の経常収益は前年度比62億円増加して341億円、セグメント利益は前年度比60億円増加して186億円となりました。
総資産は前連結会計年度末比1,079億円減少の11兆4,960億円となり、負債は前連結会計年度末比1,103億円減少の10兆9,974億円となりました。また、純資産は前連結会計年度末比24億円増加の4,986億円となりました。
主要勘定の期末残高は、貸出金が前連結会計年度末比3,223億円増加の7兆2,241億円、預金等(譲渡性預金を含む)が前連結会計年度末比1,844億円増加の9兆2,522億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは貸出金の増加などから、4,687億円の支出超過(前連結会計年度は2,168億円の収入超過)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還による収入が取得による支出を上回ったことなどから、658億円の収入超過(前連結会計年度は1,983億円の支出超過)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などから、81億円の支出超過(前連結会計年度は226億円の支出超過)となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比4,110億円減少の2兆1,549億円となりました。
(1) 国内・海外別収支
資金運用収支は、66,284百万円となりました。
役務取引等収支は、20,671百万円となりました。
(注) 1. 「国内」とは、当社及び国内に本店を有する(連結)子会社(以下、「国内(連結)子会社」という。)であります。
2. 「海外」とは、海外に本店を有する(連結)子会社(以下、「海外(連結)子会社」という。)であります。
3. 「相殺消去額」とは、連結会社間に係る相殺消去額であります。
4.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
(2) 国内・海外別資金運用/調達の状況
資金運用勘定は、平均残高が8,961,857百万円、利息が87,112百万円、利回りが0.97%となりました。
資金調達勘定は、平均残高が10,931,610百万円、利息が20,827百万円、利回りが0.19%となりました。
① 国内
(注) 1. 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当社及び広島銀行以外の国内(連結)子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 「国内」とは、当社及び国内(連結)子会社であります。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
② 海外
(注) 1. 海外(連結)子会社の平均残高は、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 「海外」とは、海外(連結)子会社であります。
③ 合計
(注) 1.「相殺消去額」とは、連結会社間に係る相殺消去額であります。
2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(3) 国内・海外別役務取引の状況
役務取引等収益は、33,262百万円となりました。
役務取引等費用は、12,590百万円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内(連結)子会社であります。
2.「海外」とは、海外(連結)子会社であります。
3.「相殺消去額」とは、連結会社間に係る相殺消去額であります。
(4) 国内・海外別特定取引の状況
① 特定取引収益・費用の内訳
特定取引収益は、3,288百万円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内(連結)子会社であります。
2.「海外」とは、海外(連結)子会社であります。
3.「相殺消去額」とは、連結会社間に係る相殺消去額であります。
② 特定取引資産・負債の内訳(末残)
特定取引資産は、10,598百万円となりました。
特定取引負債は、7,996百万円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内(連結)子会社であります。
2.「海外」とは、海外(連結)子会社であります。
3.「相殺消去額」とは、連結会社間に係る相殺消去額であります。
(5) 国内・海外別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内(連結)子会社であります。
2.「海外」とは、海外(連結)子会社であります。
3.「相殺消去額」とは、連結会社間に係る相殺消去額であります。
4.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
5.定期性預金=定期預金+定期積金
(6) 国内・海外別貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内(連結)子会社であります。
2.「海外」とは、海外(連結)子会社であります。
② 外国政府等向け債権残高(国別)
「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、2022年3月31日現在及び2023年3月31日現在の外国政府等向け債権残高は該当ありません。
(7) 国内・海外別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内(連結)子会社であります。
2.「海外」とは、海外(連結)子会社であります。
3.「相殺消去額」とは、連結会社間の資本連結に伴い相殺消去した金額を記載しております。
4.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(8) 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は広島銀行1社です。
①信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表/連結)
(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。
②元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
当社は、国内基準を適用のうえ、2023年3月31日よりバーゼルⅢ最終化を適用しており、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法を採用しております。
なお、2022年3月31日は、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては粗利益配分手法を採用しております。
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、広島銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
(注)「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」に基づき、単位未満を四捨五入しております。
経営者の視点による当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績
①連結粗利益(除く国債等債券関係損益)
海外金利上昇により外貨調達費用が大幅に増加したことを主因に資金利益が減少し、連結粗利益(除く国債等債券関係損益)は、前年比31億円減少の961億円となりました。
一方で、経営目標として掲げて重点的に取り組んでいる広島銀行のコンサルティング業務のうち、特に注力している法人ソリューション収益は順調に増加しております。
②国債等債券関係損益
有価証券ポートフォリオの再構築に向け、米国の急激な政策金利引き上げにより収支が逆ザヤとなった外国債券の処分に伴う売却損184億円を計上したことを主因に、国債等債券関係損益は、前年比95億円減少の△167億円となりました。
③与信費用
一部のお取引先について引当の積み増しを行うなど、予防的な引当として43億円を計上した一方で、大口先の回収が進んだことや足元で大口与信先の倒産等も発生していないことから、与信費用は前年比118億円減少の6億円となりました。
④株式等関係損益
保有株式について、株価下落等に伴い評価損が拡大したことによる損失(株式等償却)53億円を計上したことを主因に、株式等関係損益は、前年比73億円減少の△22億円となりました。
⑤親会社株主に帰属する当期純利益
上記要因に加え、前年に計上した退職給付信託返還益(特別利益)70億円の剥落影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比104億円減益の125億円となりました。
(億円)
(※1)営業経費率=営業経費÷(連結粗利益-国債等債券関係損益)
(※2)2023年3月22日公表「連結業績予想の修正に関するお知らせ」による公表値との比較
(2) 経営目標の達成状況
「中期計画2020」の計画最終年度である2023年度計画においては、グループ連携の強化を図る中、「親会社株主に帰属する当期純利益」、「連結ROE」及び「連結自己資本比率」について、中期計画で掲げた経営目標の達成を見込んでおります。
①親会社株主に帰属する当期純利益 ②連結ROE
④法人・個人のお客さまに対するコンサルティング
③連結自己資本比率 業務に係る収益(※1)およびグループ会社当期純
利益(※2)の合計
⑤グループ会社連結寄与度(※3)
(※1)法人・個人のお客さまに対するコンサルティング業務に係る収益=広島銀行の法人ソリューション、アセットマネジメントおよびエクイティビジネスに係る収益の合計
(※2)グループ会社当期純利益=広島銀行を除く連結子会社の当期純利益に出資比率を乗じた額の合計
(※3)グループ会社連結寄与度=グループ会社当期純利益÷親会社株主に帰属する当期純利益
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての情報
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要については、「・経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(設備投資)
当連結会計年度における主なものは文書保管センターの新設や既存店舗の改修・設備更新等であり、全て自己資金でまかなっております。翌連結会計年度以降の見通しについては、引き続き店舗設備の更新やシステム投資等を行っていき、これらに必要な資金は自己資金でまかなう予定であります。
(株主還元)
当社は、株主還元の充実及び内部留保の充実による自己資本の維持・向上を経営における重要課題として捉え、これらの両立を意識した経営を進めております。
当社では、「配当性向」を軸とした「配当」及び「自己株式取得」により、安定的・継続的な株主還元に努めております。引き続き、地域における積極的な信用リスクテイクを可能とする強固な財務基盤の構築及び外部格付の維持・向上に資する内部留保の充実を勘案する中、株主還元の強化を検討してまいります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(貸倒引当金の計上)
銀行業を営む連結子会社の貸倒引当金は、予め定めている償却・引当基準に則り、次のとおり計上しております。
破産、特別清算等法的に経営破綻の事実が発生している債務者(以下、「破綻先」という。)に係る債権及びそれと同等の状況にある債務者(以下、「実質破綻先」という。)に係る債権については、以下のなお書きに記載されている直接減額後の帳簿価額から、担保の処分可能見込額及び保証等による回収可能見込額を控除し、その残額を計上しております。
現在は経営破綻の状況にないが、今後経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(以下、「破綻懸念先」という。)に係る債権については、債権額から、担保の処分可能見込額及び保証等による回収可能見込額を控除し、その残額のうち、債務者の支払能力を総合的に判断し必要と認める額を計上しております。
破綻懸念先及び貸出条件緩和債権等を有する債務者で与信額のうち無担保与信額が一定額以上の債務者のうち、債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積もることができる債権については、当該キャッシュ・フローを当初の約定利子率で割引いた金額と債権の帳簿価額との差額を貸倒引当金とする方法(キャッシュ・フロー見積法)により計上しております。
上記以外の債権については、主として今後1年間の予想損失額又は今後3年間の予想損失額を見込んで計上しており、予想損失額は、1年間又は3年間の貸倒実績を基礎とした貸倒実績率の過去の一定期間における平均値に基づき損失率を求め、将来見込み等必要な修正の検討を行い、算定しております。ただし、破綻懸念先及び貸出条件緩和債権等を有する債務者に係る債権の予想損失額については、3年間の貸倒実績を基礎とした貸倒実績率の過去の一定期間(決算日から5年又は10年)の平均値に加え、景気循環を勘案した長期にわたる貸倒実績率の平均値を比較して損失率を求め、将来見込み等必要な修正の検討を行い、算定しております。
すべての債権は、資産の自己査定基準に基づき、営業関連部署が資産査定を実施し、当該部署から独立した資産監査部署が査定結果を監査しております。
なお、破綻先及び実質破綻先に対する担保・保証付債権等については、債権額から担保の評価額及び保証等による回収が可能と認められる額を控除した残額を取立不能見込額として債権額から直接減額しております。
その他の連結子会社の貸倒引当金は、一般債権については過去の貸倒実績率等を勘案して必要と認めた額を、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額をそれぞれ計上しております。
しかし、貸出先等の経営状況の悪化、経営改善計画等の履行状況、担保価値の下落等が貸倒引当金計上時の前提と大きく乖離する場合や、新型コロナウイルス感染症が再度感染拡大し、その経済への影響が変化した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に同一の内容を記載しているため、記載を省略しております。
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
該当ありません。
該当ありません。