第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの対処すべき課題は以下のとおりです。

 

(1) 主要食材「国産高級とらふぐ」の調達について

当社は、主要食材である国産高級とらふぐにおいては周期的に相場が大幅に変動することを経験しております。この対策の一つとして、当社子会社株式会社長崎ファームの平戸養殖場にて、とらふぐの自社養殖数拡大と養殖技術の向上を図ることで「国産高級とらふぐ」の調達力を安定させ、とらふぐ亭のリーズナブルな販売価格を守っていく方針であります。また、仕入価格安定のための生産者ネットワークの構築にも取り組んでまいります。

 

(2) 食材の安全性の確保と情報発信について

昨今、食の安全性について様々な問題が取りざたされております。当社は従来より、自然の恵みである本物の食材をお客様にご提供することを最大のモットーとして掲げており、徹底的に食材にこだわっていきたいと考えております。そのモットーをより具体化するために、安全安心な食材を使用していることへの裏付けとして、主要食材である「国産高級とらふぐ」のトレーサビリティシステムを開発・運営してきております。

また、6次産業化を推進し自社養殖魚の生産強化と、生産地との連携強化で安全かつ新鮮な食材を直接仕入れるルートの開発を推進してきております。こうした産直の推進で、生産者・生産地からの生産情報をお客様へお届けできる、また、店舗でのお客様の声を生産者・生産地にフィードバックできる可能性が拡大しております。毎年恒例の当社主催「ふぐの日フォーラム」、当社WEB、当社店舗にて食材に関する情報発信に力を入れてまいります。

 

(3) 従業員教育と人材の育成と輩出について

当社のもう一つのモットーである「大切な人と過ごせる空間の演出」を更に効果的にするのが、店舗スタッフのきめ細かなサービスのご提供であると考えております。きめ細かなサービスをご提供するためには、スタッフ一人ひとりが当社のコンセプトである「食材・空間・サービスへのこだわり」を深く理解し、そのこだわりを持って「お客様をおもてなし」することを実践してまいります。今後、店舗数の増加に伴い、店舗スタッフのサービスレベルを常に維持・向上させるべく、IT活用にてナレッジを高めてまいります。

また、当社は独立意欲のある社員に対して、独立教育プログラムを推進し、のれん分け制度を実施しております。今後、更なる多様な人材採用・人材育成・評価制度を確立していくことで、新たなベンチャー企業家を輩出していくことを推進してまいります。

 

(4) 経営情報システムについて

当社では、経営の基盤としての情報システムとして、販売業務管理システム、仕入業務管理システム、当社主要食材の「国産高級とらふぐ」のトレーサビリティシステムを確立しております。今後は、この経営情報システムを更に拡充することで、食材コストの適正化、また、養殖事業における養殖コストの適正化、加工場における加工コスト適正化を推進して、高品質経営を目指してまいります。

 

(5) 「SDGs(持続可能な開発目標)」に対する取り組みについて

当社は、SDGsの達成に向け、具体的活動に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。特に、当社が持つ水産物の養殖事業、卸売事業、加工事業について、SDGsが掲げる理念を取り入れつつ、資源保護と水産物の安定供給を継続して行ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は創業当初から水産資源確保し、有効活用することを経営の重点項目として発展しており、自社での養殖事業の拡充などを通じて、持続可能で豊かな社会の実現を目指すとともに、当社の継続的な成長と企業価値向上の実現を目指しております。

 

(1)ガバナンス

 当社は中長期的な企業価値の向上を実現するために、コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントを通じてコーポレート・ガバナンス体制の継続的な強化に取り組んでおります。

 

(2)戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社の持続的な成長や事業価値の向上において、人材は最も重要な経営資源であると考えております。当社では、人材における多様性の確保と活用を目指し、従業員の成長過程や育成目的に即した多面的な教育研修を実施するとともに、男女間の機会均等の推進と外国人社員の活躍のための社内外の環境整備をすすめています。具体的には、OJTを中心に、新入社員からベテラン社員までさまざまな成長ステージにおける教育や専門技能取得機会の提供、社外有識者による研修の受講、将来の幹部社員育成を目指した「坂本塾」の開催など人材育成に注力しています。また、年齢・性別にかかわらない適材適所による人事配置・登用、就業環境や社内制度の整備、さらに外国人社員のための教育・就業・生活環境の拡充をすすめています。

 

(3)リスク管理

当社では、経営に支障をきたす恐れのある様々なリスクに対し適切な対応を行い、経営基盤の安定化を図るため「リスク管理委員会」を設置しており、定期的に年2回開催し、その他必要に応じて開催し、当社の損失の危険に関する審議を行い、徹底したリスクの洗い出しを行っております。

 

(4)指標及び目標

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

当社では、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、当社における令和5年9月期の状況は新型コロナウイルス感染症が令和5年5月8日から「5類感染症」になったものの、事業年度の過半の期間が2類相当の位置づけとなり、外食産業である当社の業績は前期同様に、新型コロナウイルスの感染症の影響を大きく受けて、不透明な状態が継続しておりました。このような状況のもとでは、正常な環境認識のもと、適切な目標値を設定できる状況ではなかったため、令和5年9月期に関しましては目標設定を行わず、今般の開示では令和5年9月末時点での実績を記載するにとどめることといたしました。当該指標は次のとおりであります。

指標

目標

実績

女性取締役

1名(12.5%)

女性店長・責任者数

11名(28.9%)

女性従業員数

36名(25.0%)

女性の新卒採用数

4名(25.0%)

男女間賃金差異

※49.0%

外国人従業員数

11名(7.6%)

60歳以上の高齢者採用数

4名(2.8%)

ふぐ免許取得者数

82名(56.9%)

 

※ 全従業員による統計値

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防または回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 販売について

売上高・利益水準の季節変動について

当社グループの主要事業である「泳ぎとらふぐ料理専門店 とらふぐ亭」の店舗は、業態や取扱品目の特性上、繁忙期に当たる上期と閑散期に当たる下期の売上高や利益の水準に極端な差異が認められます。当社グループの繁忙期と閑散期の売上高等の比率は下表のとおりであります。

当社グループといたしましては、閑散期の販売促進方法の確立、季節ごとのメニュー構成の再考などにより収益の向上を図ることで、年間を通じて安定した売上・利益を確保する考えでありますが、当該状況が継続する可能性があります。

 

 

上期売上高
(10~3月)

上期営業利益
(10~3月)

下期売上高
(4~9月)

下期営業利益
(4~9月)

通期売上高
(10~9月)

通期営業利益
(10~9月)

令和3年9月期(千円)

2,818,857

(62.4%)

△257,455

1,699,742

(37.6%)

△850,856

4,518,600

(100.0%)

△1,108,311

令和4年9月期(千円)

3,355,506

(55.4%)

△14,824

2,706,686

(44.6%)

△352,287

6,062,192

(100.0%)

△367,112

令和5年9月期(千円)

4,039,712

(55.7%)

249,334

3,217,362

(44.3%)

△110,199

7,257,075

(100.0%)

139,134

 

(  )内は各期ごとの上・下期の売上割合を表わしております。

 

(2) 仕入について

① 主要食材の取引量確保について

当社グループは主要食材であるとらふぐについては、国産とらふぐのみを仕入れております。従いまして今後も国産とらふぐの安定した確保が重要となります。

当社グループは良質な国産とらふぐを調達するため、養殖事業への追加投資や生産段階からの情報交換等、計画的な仕入体制を構築しております。また、とらふぐ及び本まぐろの養殖のみならず、生産地における活魚や本まぐろのグループ外への販売を実施して、生産者との連携を強化しております。

しかしながら、今後、何らかの要因により国産とらふぐの取引量が確保できない場合は、店舗での注文や身欠きふぐの注文に応じられない等により、当社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 主要食材の価格変動の影響について

当社グループの主要食材であるとらふぐの市場価格は需給関係により相場が変動しやすく、安定的な価格による調達が重要となります。

当社グループは、養殖事業への追加投資や、生産者ネットワーク化、仕入業者の拡大等により価格変動等のリスク分散を図っていく所存であります。

しかしながら、今後、何らかの要因により国産とらふぐの価格が大きく変動した場合、原価率が悪化すること等により、当社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

③ 養殖事業について

当社グループは、国内において養殖事業を営んでおりますが、予防困難な魚病や自然災害等が発生した場合や、何らかの要因により漁業行使権契約が継続できなくなった場合には、養殖計画どおりに生産ができなくなること等により、当社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 当社の事業体制について

① 短時間労働者(パートタイマー)等の雇用について

当社グループでは多数のパート・アルバイトを雇用しておりますが、今後の労働人口の減少などで適正な労働力を確保できなかった場合には、人員確保のための採用費用が増加すること等により、当社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

また、各種労働法令の改正等、あるいは厚生年金保険の加入資格の拡大等、パート・アルバイトの処遇に関連した法改正が行われた場合、人件費や管理費用負担が増加すること等により、当社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 特定地域に対する依存度について

当社グループは関東地区において飲食事業を行っております。将来、関東地区にて地震等の大規模災害が発生した際には、営業店舗及び加工場・配送センターの損傷等による修繕費用負担、営業日数・営業時間の減少や顧客行動の変化により、当社グループの経営成績、財政状態や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

③ 個人情報の管理について

当社グループでは、店舗で行っている販促サービス、web等で実施している予約サービスとしての顧客情報と、お客様からのメールや電話等で取得した情報及び社員、パート・アルバイト等の個人情報を取り扱っております。

当該個人情報の管理は、取得時は利用目的をあらかじめ説明し、取得後にはデータの漏洩、滅失又は毀損が発生しないように万全を期しておりますが、何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償請求の発生や社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

④ 店舗賃借物件への依存について

当社グループは、事務所や大部分の店舗を賃借しております。賃借期間は賃貸人との合意により更新可能でありますが、賃貸人側の事情により、賃借契約を解約された場合には、営業の継続が困難になること等により、当社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

また、賃貸人に対して令和5年9月期末時点で総額5億56百万円の保証金を差し入れておりますが、その一部が倒産その他の賃貸人に生じた事由により回収できなくなること等により、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制について

① ふぐ調理師免許制度について

ふぐを食材として取り扱う場合、ふぐの毒に起因する食中毒を未然に防止し、食品の安全性を確保することを目的として、都道府県知事からのふぐ取扱所及びふぐ調理師免許の認証が必要となります。当社グループは、安全な食材提供を第一に考えると共に、今後の出店計画・出店地域を勘案して、従業員のふぐ調理師免許の取得・登録に注力しております。

しかしながら、今後、出店予定地域におけるふぐ調理師免許の保持者が不足した場合、予定した出店を行うことができず、当社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 食品衛生法について

当社グループは飲食店として食品衛生法の規制を受けております。食品衛生法は、飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止並びに公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的としており、飲食店を営業するに当たっては、食品衛生管理者を置き、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県の許可を受けなければなりません。

また、営業店舗での食中毒の発生や、腐敗物の提供、未認証の添加物使用などの違反行為を行った場合には、所轄の保健所は、当該店舗における営業許可の取り消し、または当該店舗の営業の全部もしくは一部について期間を定めて営業停止を命じることがあります。

今後、当社グループ店舗にて、何らかの要因で食中毒等が発生した場合には、営業停止や当社グループへの評価の低下などにより、当社グループの経営成績や事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 (5) 海外での事業展開について

当社グループは、米国ニューヨークにIchiban Foods Inc.及びIchiban Foods Broadway Inc.を設立し、鮮魚メニューを中心とした和食レストランを経営するとともに、クロマグロ、ブリなどの鮮魚・和食器などの販売事業も行う「物産販売所併設の和食シーフードレストラン」を営業しております。

しかしながら、米国における経済状況、政治及び社会体制の著しい変化、為替相場、法的規制や取引慣行等により、当社グループの事業展開が何らかの制約を受ける可能性もあり、その場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 (6) 訴訟に関するリスクについて

当社は、当社の元FC加盟店である株式会社竹野谷より、債務不履行に基づく損害賠償金として35,845千円の支払いを求められております。

当社は当該請求には合理性は無いものと判断しており、現在係争中であります。今後の推移によっては当社の経営成績に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点では未確定であります。

 

(7) その他

① ストック・オプションによる株価希薄化について

平成26年12月25日、平成27年12月25日、平成28年12月26日、平成29年12月26日及び令和元年12月24日開催の定時株主総会決議に基づき、当社及び当社子会社の取締役、従業員及び社外協力者を対象に会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づくストック・オプションを目的とした新株予約権の無償発行を行っております。また令和5年2月28日開催の取締役会決議に基づき、当社の取締役を対象に会社法第236条、第238条及び第240条の規定に基づくストック・オプションを目的とした新株予約権の有償発行を行っております。

令和5年9月期末現在、希薄化効果を有する未行使のストック・オプションは株式数換算で380,000株(発行済株式総数に対して4.2%)あります。

今後も株主総会の承認が得られる範囲内において、このような新株予約権の付与を継続する方針でありますが、ストック・オプションの行使がなされた場合には、当社株式価値が希薄化する可能性があります。

② 配当政策について

当社は、株主に対する利益還元を最重要課題と認識しつつ、設立以来、適時な設備投資のための財務体質の強化及び人材の確保による競争力の向上を経営の重要課題として取り組んでまいりました。即ち、顧客のニーズに基づいた適時な設備投資、人材採用のための内部留保の確保ひいては財務体質の強化に重点を置きつつ、経営成績及び財政状態を勘案しながら、成長に見合った配当を検討していく方針であります。

しかしながら、当社の業績が計画どおりに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当社グループは、飲食事業を起点に、卸売事業、加工事業、養殖事業を垂直に展開する6次産業化を推進しております。その目指すところは、SCM(サプライチェーンマネジメント)力のある垂直統合型の総合水産企業の展開です。目的は、グループ飲食店舗のお客様、外販先(飲食業者、小売業者、卸売業者等)とダイレクトに情報共有することで、 すべての事業においてお客様視点からの生産・物流等の業務の改善、イノベーションの推進による新たな価値の創造にあります。 当社グループの飲食事業におきましては、水産物SCMによるトレースが確認できる安心・安全な食材の調達と職人の技を駆使した満足度の高い料理・サービスの提供をモットーとしております。また、ポテンシャルの高い海外市場に向けた水産物の事業展開を図るため米国ニューヨーク(以下:NY)に出店しているシーフードレストランにおいては、水産物6次産業化体制を基盤とするサスティナビリティが評価されることで業績は順調に推移しております。

当第4四半期においては、国内の消費行動が活発化する中、人々の外食機会がさらに増加しております。また、我が国への海外からの旅行者の増加傾向も活発化してきておりますので、それへの対応策を強化しております。しかし、同時に、労働力不足が深刻化する中、当社グループの目指すサービス水準を維持することに努めております。

以上の結果、売上高は72億57百万円(前年比19.7%増)、営業利益1億39百万円(前年は営業損失3億67百万円)、経常利益1億81百万円(前年比34.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1億9百万円(前年比10.2%減)となりました。

 

 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は72億57百万円(前期比19.7%増)となりました。新型コロナウイルスによる影響が軽減したことで、既存店の業績が回復し、新型コロナウイルス発生以前の水準に戻りつつあります。またニューヨーク「WOKUNI」の売上が好調に推移したことで、増収を確保いたしました。

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は1億39百万円(前年は営業損失3億67百万円)となりました。これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた前期と比べて、新型コロナウイルスによる影響が軽減したことに伴い、既存店の業績が回復したことと、ニューヨーク「WOKUNI」の売上が好調に推移した影響であます。なお、当連結会計年度の売上高営業利益率は1.9%(前期は△6.1%)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は1億81百万円(前年比34%減)となりました。

これは、新型コロナウイルスに伴う助成金収入があった前期と比べて減収となっておりますが、新型コロナウイルス発生以前の経常利益の水準に回復しつつあり、一定の成果は確保いたしました。

(特別損益)

当連結会計年度において、特別損失を52百万円計上致しました。これは主に、店舗閉店に伴う固定資産除却損16百万円と減損損失計上28百万円によるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1億9百万円(前年比10.2%減)となりました。税金費用につきましては20百万円となります。なお、当連結会計年度の1株当たり当期純利益は12円24銭(前期は1株当たり当期純利益13円73銭)となりました。なお、自己資本利益率は7.5%(前期は自己資本利益率は9.4%)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① 飲食事業

「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」においては、当第4四半期の売上高も前年同期を上回りました。これは、海外からの旅行客需要増を店舗で獲得できたことと、家庭内の需要を獲得するための「ふぐパ」(注)をアピールするSNS配信に力を入れたことで当期デリバリー売上高を前年対比で約2倍にできたことによります。

「寿し常」においては、5月31日に成増店を閉店、7月30日にアトレ亀戸店を閉店したにも拘わらず、当第3四半期と同第4四半期の売上高は前年同期を上回りました。これは急増するインバウンド需要を取り込むためメニューの多言語化はもとよりSNS配信の英語表記の工夫が功を奏したことと、店舗タイプ別のマーチャンダイジングの再検討にて客単価が上昇したことによります。

NYにおいては、賃金と諸物価高騰によりレストランが淘汰されている中においても、「WOKUNI」の当第4四半期の売上高は予算を達成し増収となりました。自社平戸養殖場から直送の本まぐろを使った 「Tuna Auction」イベントが評価され、「Toast」のThe Restaurant Industry Outlook Report 2023 Ed.にて「全米15のサスティナビリティのレストランの一つ」に選ばれました。サスティナビリティ志向の情報拡散が新規顧客の増加に繋がっています。WOKUNI1号店(「WOKUNI Lexington」店)のこうした成果を踏まえ、NYに「WOKUNI Broadway」店を2024年秋に開店することで北米におけるSCM戦略の出口を強化してまいります。

以上の結果、当連結会計年度における飲食事業は、売上高66億20百万円(前年比23.9%増)、セグメント利益68百万円(前年はセグメント損失4億64百万円)となりました。

 

(注)ふぐパ:登録商標6670843 “おうちでふぐパーティー”を促進するキーワード

 

② 外販事業

養殖部門においては、「平戸本まぐろ極海一番」の養殖生産は順調に推移しておりますが、新型コロナウイルス発生時期のまぐろ稚魚池入れ尾数が少なかったことが原因で、当第4四半期の本まぐろの売上高、利益額ともに前年同期を下回りました。平戸養殖場では、SDGs14の「海の豊かさを守る」の当社ゴールを目指す活動を継続しております。この活動の一環として前期に続き当第4四半期も「近大の人工種苗マグロ」を導入いたしました。また、海水温の上昇、病気発生等の養殖環境変化を鑑み、サスティナブルなとらふぐ養殖への転換として大分県にて当6月にスタートした陸上養殖生産も順調に推移しております。

卸売部門においては、北米への輸出事業開始に向けて、当社と同じサスティナビリティ志向の生産者との取り組みを開始しております。こうした水産物をNYの自社店舗「WOKUNI」にて「おすすめメニュー」として販売し高評価をいただいておりますので、さらに製品化・マーケティング活動を推進してまいります。

以上の結果、当連結会計年度における外販事業は、売上高6億36百万円(前年比11.4%減)、セグメント利益59百万円(前年比31.3%減)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

飲食事業

外販事業

168,677

△10.6

合計

168,677

△10.6

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、製造原価によっております。

 

② 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前期比(%)

飲食事業

2,033,017

13.2

外販事業

497,254

△12.3

合計

2,530,272

7.1

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格によっております。

 

③ 受注実績

当社は受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

 

④ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

飲食事業

6,620,524

23.9

外販事業

636,550

△11.4

合計

7,257,075

19.7

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 財政状態

(流動資産)

流動資産は前連結会計年度末に比べて1億8百万円減少し、23億44百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少3億47百万円、売掛金の増加65百万円及び仕掛品の増加81百万円となります。

(固定資産)

固定資産は前連結会計年度末に比べて2億68百万円増加し、22億33百万円となりました。主な要因は、建物の計上による増加1億93百万円、建設仮勘定の計上による増加82百万円及び減価償却費の計上による減少64百万円となります。

(繰延資産)

繰延資産は前連結会計年度末に比べて4百万円増加し、4百万円となりました。主な要因は、開業費の計上による増加4百万円となります。

(流動負債)

流動負債は前連結会計年度末に比べて2百万円増加し、12億47百万円となりました。主な要因は、買掛金の増加25百万円、短期借入金の減少1億円、1年内返済予定の長期借入金の増加56百万円及び未払金の増加27百万円となります。

(固定負債)

固定負債は前連結会計年度末に比べて3百万円増加し、17億49百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少1億74百万円及び資産除去債務の計上による増加1億80百万円となります。

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べて1億58百万円増加し、15億84百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加1億9百万円、新株発行による増加26百万円及び自己株式の処分による増加18百万円となります。

なお、当連結会計年度末の自己資本比率33.4%(前期は31.0%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は19百万円(前期は9億56百万円の獲得)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益1億29百万円、減価償却費64百万円、売上債権の増加額65百万円、棚卸資産の増加額89百万円及び法人税等の支払額1億15百万円によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は1億82百万円(前期は79百万円の使用)となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出1億21百万円及び無形固定資産の取得による支出31百万円によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は1億92百万円(前期は1億29百万円の使用)となりました。主な要因は長期借入れによる収入2億64百万円及び長期借入金の返済による支出3億83百万円によるものであります。

 上記の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は前連結会計年度末に比べ3億49百万円減少し、14億16百万円となりました。

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき、重要な会計方針及び見積りによって作成されております。具体的には、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) DFC(ダイレクトフランチャイズ)契約について

当社は、のれん分け制度を実施しており、当社と独立者との間にDFC(ダイレクトフランチャイズ)契約書を取り交わしております。その概要は次のとおりであります。

契約会社名

株式会社東京一番フーズ

相手先

FC店オーナー

契約の名称

ダイレクトフランチャイズ契約

契約締結日

①令和2年1月1日
②令和3年10月28日

③令和3年11月16日

契約の期間

①7年(至 令和8年12月31日)
②7年(至 令和10年10月27日)

③7年(至 令和10年11月15日)
また、2年毎に本部代表取締役もしくは責任者と面接を行い、加盟店舗運営継続の意思を確認する。

契約内容の概要

当社が所有する商標・ロゴマーク等の使用許可、及び本部が統括し且つ本部が開発した「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」の運営ノウハウをFC店オーナーに提供することを内容とし、その対価として、FC店オーナーは、当社にのれん代を支払う。

 

 

(2) 漁業権行使契約について

当社の連結子会社である株式会社長崎ファームは、漁業協同組合と漁業権行使契約書を取り交わし、養殖を行っております。その概要は次のとおりであります。

契約会社名

株式会社長崎ファーム

相手先

中野漁業協同組合

契約の名称

漁業権行使契約

契約締結日

令和5年2月1日

契約の期間

2年(至 令和5年1月31日)但し、行使期間は当事者間で協議のうえ更新することができる。

契約内容の概要

株式会社長崎ファームが、漁業協同組合の所有する区画漁業権を行使することを内容とし、株式会社長崎ファームは、区画漁業権行使料を支払う。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。