第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

<東リグループ経営理念>

私たちは「信頼」を糧として新たな価値を創造し、世界の人々の心豊かな空間環境づくりに貢献します。

<東リグループバリュー>

1.「確かな品質と技術」を信頼に繋げる。

2.「お客様目線のモノづくり」で共創の精神を貫く。

3.「グローバルな進化」を目指す。

<東リグループ経営理念>は企業グループとしての使命・あるべき姿を掲げています。

<東リグループバリュー>は、事業活動において大切にすべき価値観・ものさし(基準)を示しています。

経営理念のもと、「モノづくり」企業として、常に「品質と技術」に裏付けられた事業活動を実践し、お客様目線とグローバル視点をその中心に据えて、企業価値向上に取り組んでおります。また、法令を遵守することはもちろん、地球環境保全にも配慮するなど社会に対する責任を果たすべく、良識ある健全な企業活動に徹し、世の中から信頼され期待される企業グループを目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

重点目標指標

2025年3月期まで

2031年3月期まで

連結売上高

1,000億円以上

売上高1,000億円企業としての

安定的成長

連結営業利益

40億円以上

早期に60億円以上

ROE(自己資本当期純利益率)

7.0%以上

10.0%以上

CO2排出量(スコープ1・2)※1

30%以上削減(2020年度比)

リサイクル率 ※2

85%以上

90%以上

産業廃棄物排出量 ※3

40%以上削減(2019年度比)

60%以上削減(2019年度比)

※1 スコープ1:東リグループの燃料使用にともなう直接排出

スコープ2:東リグループが他社から購入した電気の使用にともなう間接排出

※2 リサイクル率:東リグループ国内主要生産拠点・東リ物流㈱および本社の排出物に占める

グループ内リサイクル+有価リサイクルの割合

※3 産業廃棄物排出量:東リグループ国内主要生産拠点・東リ物流㈱および本社の排出物のうち、

グループ内リサイクル+有価リサイクル以外の排出物

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2030年度のあるべき姿として長期ビジョン<TOLI VISION 2030>を掲げ、その実現に向けた第Ⅰフェーズである中期経営計画の「SHINKA Plus ONE」を推進しております。経済的価値の拡大に加え、持続可能な社会の実現に向けた社会的価値の拡大を図り、東リグループ企業価値の最大化を目指します。

「SHINKA Plus ONE」は、5つの重点戦略、11の取組みテーマを策定し、その実現に向けた施策を推し進めてまいります。

 

<重点戦略と取組みテーマ>

 

A.コア事業の強靭化

1)“モノづくり力”の強化

2)“企画・提案力”の強化

3)“販売力”の強化

B.伸びしろ事業の成長拡大

4)グローバル事業の質的量的拡大

5)BtoB(特販)事業の開拓

6)BtoC事業の開拓

C.第5事業の創造

7)シーズ・協業からの創造

D.グループ横断機能の強化

8)社会的課題の解決と事業活動の一体化

9)デジタルコミュニケーションの推進強化

E.成長を支える経営基盤の構築

10)人と組織の活性化

11)企業価値を高める

 

詳細はこちらをご覧ください。

(https://www.toli.co.jp/ir/plan)

 

 

(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く経営環境は、国内の新設建設関連需要が弱含みで推移する中、原油・ナフサ価格の高止まりや時間外労働の上限規制(2024年問題)による労働力不足など、事業活動におけるコスト上昇の影響が強まり、収益環境は中長期にわたり厳しい状況が続くものと予想されます。このような状況の中、当社グループはさらなる成長性と収益性の実現に向けて優先的に取り組む対処すべき課題は、次のように認識しています。

 

<新設建築着工量の伸び悩み>

技術開発力の強化

国内建設市場の縮小に対し、当社グループの競争優位性を高めることが最重要課題の一つです。機能性強化に向けた要素技術研究やさらなる製造原価低減に向けた設備投資などに積極的に取り組み、お客様に選ばれる商品開発を通じて、コア事業の競争力を強化してまいります。

 

事業領域の拡大

持続的成長の実現に向けて、既存事業のさらなる強化とともに、次代を支える新たな事業領域への挑戦は欠かすことができません。ユーザー視点でのニーズの深掘りや産学官連携による研究開発を推進することで、新たな成長のタネを数多く創出し、事業ポートフォリオの最適化に努めてまいります。

 

グローバル事業の推進

当社グループの成長において、グローバル事業の質的量的拡大は重要なキーポイントとなります。カントリーリスク・事業採算性を十分検証した上で、グローバル販売網の拡充を図るとともに、ビニル床タイル合弁事業を展開する江蘇長隆装飾材料科技有限公司(中国)での技術開発力を高め、グローバル市場における「JAPAN TOLI」ブランドの存在感を高めてまいります。

 

<原材料調達環境の変化>

サプライチェーンの最適化

原油・ナフサの価格変動や地政学リスク等に伴う原材料調達環境の変化は、当社グループの事業活動に大きな影響を与えます。川上技術の取り込みや代替原材料の研究、リサイクル原材料の活用など、多面的な視点でリスクマネジメントを推進し、安定供給と製造原価低減に取り組みます。

 

<社会的課題に対する意識の高まり>

ESG経営の推進

「東リグループ経営理念」・「東リグループESG基本方針」を制定し、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)経営を推進しております。あらゆる事業活動においてESGへの取り組みを強化し、経済的価値と社会的価値の両立を目指しております。当社グループの企業価値向上を持続可能な社会の実現に繋げてまいります。

 

コーポレート・ガバナンスの強化

持続的な企業価値の向上を目指すためには、適正なコーポレート・ガバナンスの確保が重要と認識しております。より一層のガバナンス強化を図ることで経営の透明性、客観性の向上に努めてまいります。

 

<気候変動リスクの高まり>

安心・安全のモノづくり

主要原材料に各種化学物質を取り扱うメーカーの責任として、安心・安全のモノづくりを推進しております。環境・化学物質に関する諸法規・諸規制を遵守するとともに、不正・改ざんの未然防止体制・適正な情報提供体制を構築し、お客様に安心・安全をお届けする取り組みに努めてまいります。

 

地球環境保全への取り組み

心豊かな住空間づくりに貢献する企業グループとして、地球環境保全は大きな責任と認識しております。長期的な環境負荷低減目標(CO2排出量削減、リサイクル率向上、産業廃棄物排出量削減)を掲げ、産業廃棄物削減に向けたリサイクル技術の確立等に取り組み、サーキュラーエコノミー型の事業活動の構築を目指しております。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同表明をしており、気候変動に対する取り組みと情報開示をより一層強化してまいります。

 

<自然災害・パンデミックの発生>

BCP(事業継続計画)

近年、大規模な自然災害や感染症・伝染病等の流行などが、事業活動に影響を及ぼすリスクが高まっております。様々なリスクに対してBCP(事業継続計画)に基づくリスクマネジメント強化に取り組んでまいります。

 

<労働人口の減少>

人材の確保

人材の確保は当社グループの持続可能性を高める重要な経営課題と認識しております。当社グループでは、建設業界における人手不足の深刻化に対して、国内代理店向け技能士育成支援制度を継続推進し、建設インテリア業界への入職を支援してまいります。また、多様化する社員の働き方に柔軟に対応し、個人の能力を最大限に高める「TOLIワークスタイル」の実現に向け、人事制度の見直しや職場の環境整備、計画的な人材育成を進めてまいります。

 

物流体制の再構築

物流業界の労働時間規制により、物流体制の再構築が課題となっております。原材料調達からお客様への配送に至る物流体制の最適化を目指し、運行便の見直しや在庫拠点の拡充等を図り、適切なサプライチェーンマネジメントを推進してまいります。

 

<サイバー攻撃の高度化>

情報セキュリティの強化

近年、サイバー攻撃の脅威が増大していることから、システム障害により事業活動が停止することや、重要機密が漏洩するリスクが高まっております。閉域網での基幹システムの運営や標的型攻撃メール訓練の実施等を通じて従業員のリテラシー向上や防御力の強化を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、百年を超える歴史の中で紡がれたさまざまなステークホルダーのみなさまとの「信頼」を“最も大切にすべき会社の資産”と位置づけ、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)に対する取り組みに注力しています。

 とりわけ、モノづくり企業の責任として、環境負荷低減をはじめとする社会貢献に繋がるさまざまな技術を磨き、世界に通じる確かな品質と技術に立脚した事業活動を推進し、世界の人々の心豊かな空間環境づくりに貢献することを目指しています。

 

≪ESG基本方針≫

 当社グループは、企業のサステナビリティに対する取り組み方針を明確にし、すべての事業活動においてE(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)への積極的な取り組みを推進します。

地球環境

地球環境保全を人類共通の重要な課題と認識し、事業活動において環境負荷低減に取り組み、持続可能な社会への貢献を目指します。

人権

全ての人権の重要性を認識し、事業活動における人権尊重の実践を目指します。

雇用・労働

雇用の確保・創出と安全で働きやすい職場環境づくりを目指します。

事業活動

公正・平等な事業活動を推進し、全てのステークホルダーとのより良い信頼関係の構築を目指します。

品質

確かな品質と技術をもとにお客様目線のモノづくりを推進し、安心・安全な商品とサービスの提供を目指します。

社会貢献

社会との共創の実現に向けて、より一層の自主的な活動を推進し、社会の発展に貢献することを目指します。

企業統治

企業倫理の重要性を認識し、ガバナンスの有効性を確保する仕組みづくりを積極的に推進することにより、健全で透明性の高い企業経営を目指します。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、ESG活動の推進力向上とリスクマネジメントを目的として、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」を設置すると共に、下部組織として実務を管掌する実行責任者(事業本部、営業本部、管理本部に所属する執行役員の中から各1名)で構成する「ESG実行委員会」を配し、基本方針策定や活動総括、重要課題(マテリアリティ)の特定など、ESG経営の推進に向けた体制を構築しています。

≪ESG推進体制(リスクマネジメント推進体制)≫

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≪マテリアリティの特定≫

 マテリアリティは、経済的価値の拡大のみならず、社会的価値拡大との両立を図り、持続可能な社会の実現に向けて、優先的に取り組む重要課題です。事業活動を通じて、ステークホルダーとの信頼関係を構築し、これらの重要課題の達成を目指していきます。

 

<特定したマテリアリティ>

 

<実現したい世界>

1.高付加価値商品の開発

 

・インテリアを通じた心豊かな空間環境づくりの実現

2.安心・安全な商品・サービスの提供

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・地球環境保全への貢献と社会課題の解決

3.持続的な地球環境保全への貢献

・健康的な活躍と豊かなライフスタイルの実現

4.活力あふれる職場環境づくり

・持続的な企業価値の向上と安定的な還元

5.健全で透明性の高いガバナンス体制の構築

 

 

 

 

(2)戦略

①中期経営計画「SHINKA Plus ONE」

 2030年度のあるべき姿<TOLI VISION 2030>~ライフスタイルをデザインする企業へ~に向かう第Ⅰフェーズである中期経営計画「SHINKA Plus ONE」において、経済的価値と社会的価値の両立をベースとして、A.コア事業の強靭化、B.伸びしろ事業の成長拡大、C.第5事業の創造、D.グループ横断機能の強化、E.成長を支える経営基盤の構築、の5つの重点戦略を推進しております。

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※詳細は、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。

 

②気候変動対策

 当社グループは2022年4月に金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同とコンソーシアムへの参画を表明しました。将来における気候変動のシナリオとして、2℃と4℃の温度帯を想定し、2030年におけるシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスク・機会をサプライチェーンそれぞれの段階を想定して洗い出し、その中から、特に影響が大きく、実際に起きる可能性も高いと想定されるリスク7項目、機会6項目を特定いたしました。特定したリスク・機会に対し、中長期での対応策を継続的に実施し、事業活動のレジリエンスを高めてまいります。

参照:気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報開示

https://www.toli.co.jp/newsrelease/news20220630.html

 

③人的資本

<人材育成方針>

 当社グループは、「社員の成長と幸福を実現し、会社の発展及び社会に貢献する」という人材育成理念のもと、成長し続ける人材の育成を目指していきます。経済的、社会的目的を達成するためにも、社員を人的資本である「人財」と位置づけ、投資・育成に積極的に取り組んでおります。

1 社員が「成長し幸福を追求する」という目的を達成することを、敬意・尊重をもって支援します。

2 社員がパフォーマンスをより高め、能力を発揮するためのマネジメントを推進します。

3 社員一人ひとりの能力やスキル向上を育む研修制度と、組織力を高める計画的ジョブローテーションの推進を図り、成長機会の創出に努めます。

 

<社内環境整備方針>

 当社グループは、人権を尊重し、安心・安全の働きやすい職場環境づくりに向けて、「TOLIワークスタイル」基本方針を掲げ、ワークライフバランスを推進しております。ダイバーシティマネジメントの推進や柔軟な働き方の提供、健康増進などを通して、従業員が活き活きと仕事に取り組める環境整備・制度設計に努めております。

「TOLIワークスタイル」基本方針

1 全ての社員が心身ともに健康で活き活きと仕事に取り組める環境をつくる

2 ワークライフバランスの充実と生産性向上の両立を目指す

3 会社組織と社員の「共創の精神」を推進力とする

 

(3)指標及び目標

①環境負荷低減

 地球環境保全を人類共通の重要な課題と認識し、事業活動において環境負荷低減に取り組み、持続可能な社会への貢献を目指します。

開示事項

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

(目標)

2030年度

(目標)

リサイクル率

72.8%

79.2%

84.2%

85%以上

90%以上

産業廃棄物排出量

(2019年度比)

0.0%増加

20.5%削減

45.9%削減

40%以上削減

60%以上削減

CO2排出量(スコープ1・2)

(2020年度比)

7.2%増加

2.5%増加

6.9%増加

30%以上削減

CO2排出量(スコープ1~3)

(2020年度比)

8.9%削減

15.5%削減

算定中

 

②ダイバーシティ

 事業環境の変化に柔軟に対応するべく、組織の多様化に向けて、女性も活躍する環境づくりや障がい者雇用の継続的な取り組みなど、社員の能力や働き方の多様性が成長に繋がるよう、ダイバーシティマネジメントの推進に取り組んでおります。なお、障がい者雇用率(単体)の目標は2.5%以上としております。

開示事項

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

女性従業員比率

(全社員)(単体)

26.8%

27.7%

28.9%

30.4%

29.3

障がい者雇用率(単体)

1.9%

1.9%

1.9%

2.1%

2.3

 

③働き方

 多様化する社員の働き方に柔軟に対応し、個人の能力を最大限に高めるため、柔軟な勤務体系の整備や、一人一人に合ったキャリアプランの実現に向けた制度づくりに注力し、「TOLIワークスタイル」の実現に向けた取り組みを進めております。

開示事項

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

ストック有給休暇(注)

延べ利用日数(単体)

564日

660日

895日

835日

438

ストック有給休暇(注)

利用人数(単体)

34人

41人

66人

75人

40

(注)ストック有給休暇とは、2年間未使用であった年次有給休暇を最大100日まで積み立てることができる制度

④人材育成

 当社は、チャレンジ精神に富み、自律した人材が成長し続ける環境づくりと、社員が自由闊達に意見を出し合い、トライする文化と風土の醸成を目指し人材育成に取り組んでおります。なお、社員一人当たり研修投資額(単体)の目標は30,000円以上を継続としております。

開示事項

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

社員一人当たり

研修投資額(単体)

44,725円

35,404円

33,826円

33,986円

39,692

公募型教育の実施

(単体)

107人

67人

55

計画的ジョブローテーションでの成長機会の提供

(単体)

61人

64人

82人

56人

77

 

⑤労働力の確保

 性別、年齢、国籍や経歴等を問わず、多様な人材を採用・登用することで「東リの使命と価値観」を共有しながら経営理念の実現を目指します。

開示事項

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

新卒

採用者数

(単体)

男性

18人

13人

21人

22人

18人

女性

12人

14人

13人

5人

12人

合計

30人

27人

34人

27人

30

キャリア

採用者数

(単体)

男性

16人

6人

6人

5人

12人

女性

8人

9人

8人

12人

23人

合計

24人

15人

14人

17人

35

 

⑥従業員エンゲージメントの向上

 従業員の経営参画機会の創出やトップとのミーティングを通じて従業員とのエンゲージメント向上を図り、従業員のモチベーション維持や離職率の改善を目指します。また、2023年7月には東リ単体従業員を対象としてエンゲージメントサーベイを実施し、エンゲージメントレベルの把握と対策に取り組みました。

開示事項

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

TOPミーティング(注)1

参画者延べ人数(単体)

57人

56人

58人

80人

53

NexTプロジェクト(注)2参画者数(単体)

10人

36人

13人

12

(注)1 TOPミーティングとは、技術スタッフミーティングや昇格者ミーティング、外国籍社員ミーティング等、相互ディスカッション形式にて、中堅・若手社員が日常業務における課題や意見などを社長に直接伝える機会を意図したミーティング。

(注)2 NexTプロジェクトとは、2021年3月期より開始した、従業員が事業運営に関わる重要テーマを経営層に提案する(自薦他薦を含む)組織横断型プロジェクト。経営層はプロジェクトからの提案内容を各重要施策に反映する。

 

 

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績の下期偏重

 当社グループの経営成績は、年度末竣工物件での受注等により下半期に偏る傾向があります。最近2連結会計年度の上半期及び下半期の経営成績の推移は以下のとおりとなっております。

(連結)

(単位:百万円)

 

 

2023年3月期

2024年3月期

 

上半期

下半期

通期

上半期

下半期

通期

売上高

42,754

52,475

95,230

46,448

56,021

102,470

(構成比)

44.9%

55.1%

100.0%

45.3%

54.7%

100.0%

売上総利益

11,641

15,535

27,177

13,488

16,427

29,915

(構成比)

42.8%

57.2%

100.0%

45.1%

54.9%

100.0%

営業利益又は営業損失(△)

△68

3,599

3,531

1,304

3,673

4,978

(構成比)

△1.9%

101.9%

100.0%

26.2%

73.8%

100.0%

 

(2) 原材料の仕入価格の変動

 当社グループで生産する製品の原材料は、その多くが石油化学製品であり、仕入価格は原油市況や為替動向と深く関係しております。需給バランスの変化や地政学リスク等に起因した原油価格の高騰、為替変動等により、原材料価格が上昇した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。原材料価格の変動については、取締役会・経営会議等において定期的な報告及び確認を行い、適宜利益改善策を検討しております。

(3) 販売価格の動向

 当社グループで販売する製品の多くは、他社製品との熾烈な競合状態にあります。従って、市場価格の動向により当社グループ製品の販売価格が下落したり、販売量が減少する場合、売上高・利益が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。販売価格動向については、取締役会・経営会議等において競合状況、並びに需要と実勢価格のバランスについて精査しております。また、販売価格の階層別管理等を徹底し、売上・利益目標の管理に努めております。

(4) 貸倒れリスク

 当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、貸倒引当金を計上しております。しかしながら、重要な取引先が破綻した場合、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、与信管理制度のもと取引先別に取引限度額を設定する等、与信リスクを軽減させるための対応策をとっております。

(5) 研究開発

 当社グループは、将来にわたる競争力強化のため、新素材、新加工技術等の基礎研究を行っております。しかしながら、研究開発活動はその性格から、成果が不確実なものであるため、十分に競争力のある新製品を開発できない可能性があります。そのような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。重要な研究開発案件については、取締役会・経営会議等において投資の審議を行うとともに、開発状況の進捗報告を定期的に実施し、事業等へのリスク軽減に努めております。

(6) 環境負荷低減に向けた規制

 当社グループは、原材料として各種の化学物質を取り扱っており、国内外の環境負荷低減に向けた規制等を遵守して、事業活動を行っております。しかしながら、これらの規制強化等により、多額の対応コストの発生や事業活動が制限される等の事態が生じる可能性があります。そのような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは環境負荷低減に向けた規制に関する法令を遵守するとともに、情報の早期把握に努め、リスクを最小限にする取り組みを進めております。

(7) 固定資産の減損リスク

 当社グループが保有する固定資産については着実な事業展開により収益をもたらしていますが、経営環境の著しい悪化により、事業の収益性が低下した場合や、市場価格が著しく下落した場合等には、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 株価の大幅な下落

 当社グループは、市場性のある株式を保有しております。株価が大幅に下落した場合、保有する株式に評価損が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。保有する株式については、取締役会・経営会議等において保有意義や株価等の点検を定期的に実施しております。

(9) 退職給付債務及び退職給付費用

 当社グループは、従業員の退職給付債務及び費用について、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて計算を行っております。このため、実際の金利水準の変動や年金資産の運用利回りが悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、年金資産については、その運用状況を定期的にモニタリングすることを通じ、積立金の適切な運用環境の整備に努めております。

(10) 自然災害

 当社グループは、国内に多くの事業拠点を保有しております。大規模な自然災害の発生により、生産・物流設備や情報システム等が多大な被害を受けた場合、生産活動の停止や多額の復旧費用の発生等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは災害リスクに対する事業継続計画を立案し、全方位的な点検を継続的に実施しております。事業継続計画に則り、現在、生産・物流施設を中心とした災害リスク対策を進行しております。

(11) 疫病の発生・蔓延

 当社グループは疫病の発生・蔓延により需要が変化し、売上高が減少する可能性があります。また、長期化した場合は生産及びサプライチェーンへの影響が懸念されます。疫病拡大が懸念される場面では、訪問による営業活動の自粛や在宅勤務等により拡大防止に努める一方、事業継続計画に則り業務品質やお客様への対応を維持するための方策を推進してまいります。

(12) システム障害

 当社グループのホームページや基幹システムに対してサイバー攻撃等を受けた場合、システム障害により事業活動が停止することや、重要機密が漏洩する可能性があります。近年、サイバー攻撃の脅威が増大していることから、閉域網の構築やWEBサイトの閲覧制限等の防御力を強化するとともに、「情報セキュリティポリシー」の策定や標的型攻撃メール訓練の実施など、従業員のリテラシー向上を推進しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が一段と進んだことに加え、雇用環境や所得環境の改善、さらにはインバウンド需要の増加などを背景として、緩やかな回復基調となりました。一方、緊迫が続くウクライナや中東地域の情勢及び中国経済の減速など、世界経済は下振れリスクを数多く抱えております。また、国内経済においても円安の進行や金利の変動による影響が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループの事業と関連性の深い建設業界では、都市圏における大型再開発案件の進行や訪日外国人客数の回復による店舗・宿泊施設向け需要の持ち直しが見られるものの、各種建築資材価格の高止まりや労務費上昇による建設コストの増加が住宅・非住宅市場の着工に影響するなど、事業環境は予断を許さない状況となっております。

このような状況の下、当社グループは長期ビジョン<TOLI VISION 2030>の実現に向けて、2021年度から2024年度を対象期間とする中期経営計画『SHINKA Plus ONE』で掲げる5つの重点戦略(A.コア事業の強靭化、B.伸びしろ事業の成長拡大、C.第5事業の創造、D.グループ横断機能の強化、E.成長を支える経営基盤の構築)を推進しております。当期につきましては、本中計の核となる重要設備投資案件がさらに進展し、製造原価低減及び安定供給体制の構築、環境負荷低減への取り組みなどを着実に成果へと繋げてまいりました。なかでも、広化東リフロア新3号ラインでの主力製品の生産性向上、ナイロン内製糸を用いたタイルカーペットの拡充、タイルカーペットリサイクル2号プラントの完成によるリサイクル処理能力の大幅増強など、収益力の向上に資する施策を推進しました。引き続き、これらの新設備を活用した新製品開発にもスピード感をもって取り組んでまいります。

これらの結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高102,470百万円(前期比7.6%増)、営業利益4,978百万円(前期比41.0%増)、経常利益5,240百万円(前期比44.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,689百万円(前期比44.0%増)となりました。

<プロダクト事業>

プロダクト事業におきましては、4年ぶりのリアル開催となった新製品発表会をはじめとする対面での販促活動を強化し、高付加価値製品の拡販に努めました。

ビニル系床材では、ワックスメンテナンスが長期間不要なビニル床タイル「イークリンNW-EX」等の高機能商品の採用が増加したことや、広化東リフロア新3号ラインによる防滑性ビニル床シート「NS800」が好調に推移しました。また、12月に発売した簡単リフォーム床材「LAYフローリング ピタフィー」がEコマースを中心とするリフォーム市場で高い評価を頂くなど、売上高は前年を上回りました。

カーペットでは、タイルカーペット用ナイロン紡糸設備が稼働し、安定供給体制がさらに進展する中、グラフィックタイルカーペット「GXシリーズ」等の新製品の販促活動に注力いたしました。また、年度後半にはオフィスリニューアルの増加によってタイルカーペット需要が回復基調となる中で、TOLI完全循環型リサイクルシステムの推進役を担う「GA-3600 サスティブバック」の採用が拡大するなど、売上高は伸長しました。

壁装材では、今年度発売した新築・リフォームに最適なビニル壁紙を厳選した「住まいの壁紙100選」の販促活動に注力したほか、当社独自の不燃化粧仕上げ材「リアルデコ」が好調に推移し、売上高は前年並みに推移しました。

カーテンでは、6月に刷新した総合ブック「フフル」が徐々に売上を伸ばし、学校・医療福祉施設向け「コントラクトカーテン」も好調に推移したことにより、売上高は前年を上回りました。

これらの結果、プロダクト事業の売上高は62,407百万円(前期比7.7%増)、セグメント利益は3,540百万円(前期比51.0%増)となりました。

<インテリア卸及び工事事業>

インテリア卸事業では、各種インテリア関連商材の仕入れコストの上昇が続く中、販売価格への転嫁を進めつつ、東リブランド新製品を中心とした商品提案に注力いたしました。工事事業では、グループの施工力を活かしてリニューアル工事を含めた受注獲得に注力したことで、売上高は前年を上回りました。一方で、東璃(上海)貿易有限公司では、中国不動産業界の混乱などを起因とする経済成長の鈍化で先行き不透明な状況が続いておりますが、リニューアルオープンしたショールームでの提案営業の強化や大型現場への採用が進んだことにより、売上高は前年を上回りました。

これらの結果、インテリア卸及び工事事業の売上高は66,694百万円(前期比6.7%増)、セグメント利益は1,952百万円(前期比31.3%増)となりました。

(注)セグメントの業績は、セグメント間の取引を含めて表示しております。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末に比べ127百万円減少し、9,460百万円(前期末 9,587百万円)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは5,288百万円の収入(前期 3,599百万円の収入)となりましたこれは主に税金等調整前当期純利益及び棚卸資産の増減額の増加等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは3,895百万円の支出(前期 3,275百万円の支出)となりましたこれは主に有形固定資産の取得による支出の増加等によるものです

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは1,567百万円の支出(前期 934百万円の支出)となりましたこれは主に自己株式の取得による支出及び配当金の支払額の増加等によるものです

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期増減率(%)

 プロダクト事業

50,172

4.5

 インテリア卸及び工事事業

合計

50,172

4.5

(注)金額は販売価格によっております。

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期増減率(%)

 プロダクト事業

6,686

2.8

 インテリア卸及び工事事業

57,369

5.5

 内部取引消去

△26,512

5.5

合計

37,542

5.0

(注)1 金額は仕入価格によっております。

2 セグメント間の取引を含めて表示しております。

c.受注実績

各事業は概ね見込生産を行っているため、該当事項はありません。

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期増減率(%)

 プロダクト事業

62,407

7.7

 インテリア卸及び工事事業

66,694

6.7

 内部取引消去

△26,632

5.6

合計

102,470

7.6

(注)セグメント間の取引を含めて表示しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

<資 産>

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,250百万円増加し、52,928百万円となりました。これは主に、売上債権の増加によるものです。固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,808百万円増加し、37,921百万円となりました。これは主に、株価上昇により投資有価証券が増加したことによるものです。

この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,058百万円増加し、90,849百万円となりました。

<負 債>

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,339百万円増加し、34,066百万円となりました。これは主に、仕入債務の増加によるものです。固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,147百万円減少し、11,022百万円となりました。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,192百万円増加し、45,088百万円となりました。

<純資産>

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,866百万円増加し、45,760百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものです。

b.経営成績の分析

<売上高>

当連結会計年度における売上高は、4年ぶりのリアル開催となった新製品発表会を始めとする対面での販促活動を強化したことで、ビニル系床材やカーペット分野における新製品や高付加価値製品の販売数量が伸長したことに加え、活況なインバウンド需要を背景としたホテルの改装工事やオフィスリニューアル工事の増加により、大きな増収となりました。一方で、建設コストの高止まり状況が続いており、住宅・非住宅市場の新設着工量がともに減少基調となるなか、当社製品の販売数量ベースではやや伸び悩む結果となりました。

 

<利 益>

利益面につきましては、当社グループの主要な原材料である塩ビ樹脂やナイロン原糸をはじめとする各種原材料価格やエネルギーコストの高止まり状況が続くなか、サプライチェーン全体における労務費が上昇するなど、事業活動におけるコスト上昇圧力がより強まることとなりました。販管費では、活発化した対面営業による販売促進費や人的投資にかかる人件費などが増加しました。一方で、昨年来取り組んできた販売価格改定の維持・浸透や高付加価値製品の拡大が利益を押し上げたことに加え、さらなる製造原価低減活動に注力したことで、大幅な増益となりました。

 

なお、セグメント別の売上高及びセグメント利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

<今後の見通し>

今後の見通しにつきましては、国内経済は緩やかな回復が期待される一方、物価上昇圧力や人手不足を背景とした供給制約リスク、金融市場の動向等が社会全体へ与える影響は大きく、先行き不透明な状況が続くことが予想されます。当社グループの経営環境におきましても、足元の建築着工が伸び悩やむなか、高止まりを続ける原材料価格や就労時間制限が進む2024年問題への対応による物流コストの上昇などが収益を圧迫する懸念もあります。

中期経営計画『SHINKA Plus ONE』最終年度となる2025年3月期においては、中期経営指標とする連結売上高1,000億円以上連結営業利益40億円以上を目指し、各重点戦略の総仕上げを推進してまいります。特に、広化東リフロア新3号ラインやカーペット用ナイロン紡糸設備を活用した、独自性の高い新製品開発及び製造原価の低減を進め、市場における製品競争力の強化を図ってまいります。また、循環型社会の形成に向けた環境配慮型商品の拡充や産業廃棄物の削減といった、持続可能な社会の実現に資する事業活動の強化に向けて、タイルカーペットリサイクルプラントに関するさらなる設備投資を進めてまいります。一方で、2025年3月期はコストダウンを目論んだ大型設備投資の進展で減価償却費の増加による原価上昇の一面もあります。また、大型の製品改廃や新製品の発売年に際して見本帳費等の販売促進費の増加やベースアップを含む人的資本投資の増加といった販管費の上昇を見込んでおります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標は次のとおりであります。

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

 自己資本比率 (%)

49.2

47.5

47.9

50.0

 時価ベースの自己資本比率 (%)

19.9

16.7

19.4

27.2

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)

2.1

1.8

2.5

1.7

 インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)

66.2

81.5

56.5

82.2

(注) 自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

1. 各指標は、何れも連結ベースの財務数値により計算しております。

2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3. 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの主要な資金需要は、運転資金及び設備投資資金等であり、これらの資金調達は、主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により行っております。また、当社と一部の関係会社は、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を通じて当社グループ企業相互間で余剰・不足資金を融通し、資金の効率化を図っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、市場ニーズに対応した新製品の開発、生産技術の開発、新素材・新加工技術の基礎研究などをテーマに当社の研究開発部門が主体となり行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は788百万円であり、すべてプロダクト事業に関わるものであります。

各製品群に関わる研究開発活動の状況は以下のとおりであります。

 

ビニル床タイルでは、2023年度グッドデザイン賞受賞の自然由来の素材を用いた高意匠の単層構造の床タイルLCT(Luxury Calcium carbonate Tile)シリーズに、新たに「バイオミックストーン」をラインアップしました。バイオミックストーンは、タイル1枚につき卵の殻を約80個使用しており、近年注目されている動植物由来のサステナブルな資源である『バイオマス』を活用した商品です(バイオマスマーク取得)。また、LVT(Luxury Vinyl Tile)シリーズとして、簡単に貼れてメンテナンスも容易にできるセルフリフォーム吸着床タイル「LAYフローリング ピタフィー」を増強しました。木目柄のラインアップが増え、石目柄も新登場したことにより、ライフスタイルや気分に合わせて、足もとからお部屋のイメージを変えることが可能になりました。簡単に剥がせ、跡が残らないため、賃貸住宅でも自分らしい空間づくりが実現できる商品となっております。

ビニル床シートでは、2023年8月に防滑性ビニル床シートの新柄を発売しました。「NSシート NS800」では、評判の高い「ウッドヘリンボーン」の新色を追加しました。「東リNSステップ800」では「NSシート NS800」で人気の「ミネラルストーン」と「カームリネア」の推奨アイテムを新たにラインアップし、階段や床のコーディネートの幅が更に広がりました。

 

カーペット関連では、「ソコイタリ シリーズ」の最新作として音の情景を繊細なグラデーションと大胆な凹凸で表現した「ソコイタリ サウンドスケープ」を新発売しました。心地よい揺らぎを湛えた瀬の音を表現した「地模様」、勢いよく打ち寄せる波のさざめきを表現した「勢波文」の2柄をラインアップしました。「エクスクロームシリーズ」では、新たな意匠表現として1品番に5種類の柄がある「RANDOM5」をはじめ、プリントならではの新意匠を追加しました。ロールカーペットでは、海や山々の情景を描いた「ノーブフロー」、煌めく宝石をモチーフにした「エクランシェ」などを新発売し、印象深く魅力的な商品ラインアップを取り揃えました。

 

カーテン関連では、2023年6月に住宅向けオーダーカーテンの見本帳「fuful(フフル)2023-2025」を発売しました。ユーザーの皆様にインテリアファブリックを選ぶ楽しさをお届けできるように、様々なテイストの商品を取り揃えました。質感や素材にこだわった多彩な無地・無地調のファブリックや使いやすいデザインの遮光・防炎商品など、様々な住生活空間への提案が可能なラインアップとなっております。

 

壁装材関連では、新築・リフォーム向けの「住まいの壁紙100選 ~2026」を発売し、2024年5月発売に向けてコントラクト市場向けのハイグレード品を中心に品揃えした「東リグランウォールコレクション」の開発を進めました。「住まいの壁紙100選 ~2026」では生活をサポートする機能に重点をおき、傷付きを軽減させる表面強化タイプや、不陸隠蔽性を高める厚みのある壁紙を大幅に拡充しました。「東リグランウォールコレクション」では和紙・不織布壁紙にてバージン原材料を削減し、環境負荷を低減するエコマーク認定商品を新たに収録しました。また、素材系壁紙に加え、素材をリアルに表現した不燃化粧材(壁紙)リアルデコや、空間提案の幅を広げるインクジェット壁紙など多彩な壁紙を収録しています。