文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社並びに連結子会社及び持分法適用会社(以下、当社グループ)が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、お客様のデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という)を実現する総合ITサービスを提供する企業グループとして、中堅中小企業を中心にこれまで多くのお客様のIT活用を支援してまいりました。これらの経験と実績をベースに、お客様の環境に合わせた最適なソリューション(課題解決策)の提案やサービスの提供を、グループ一体となって積極的に行っております。
また、今後企業として目指していく方向を明確にするため、社員による提案をもとに議論を進め、「創り出そう、躍動する社会を。挑戦しよう、技術とともに。」というビジョンを策定しております。グループ社員が一丸となってこのビジョンの実現を目指し、当社グループの持続的成長と企業価値の最大化を実現してまいります。
なお、世の中のIT活用の拡大に伴いお客様のさらなるビジネス成長への貢献に加え、当社は社会・環境課題を解決することで持続可能な社会を実現するSDGs(持続可能な開発目標)にも取り組んでまいります。当社が持つ最新技術を駆使しながら、お客様にとって最適なソリューションやサービスを提案・提供することで、お客様のSDGs目標達成を支援し、地域や社会の持続的成長にも貢献していきたいと考えております。
(2) 中長期的な経営戦略
企業のIT予算は増額基調で、DXのさらなる推進に加え、生成AIをはじめとするAI関連分野の製品やサービスへの投資が加速すると予想されております。このような環境の中、2024年4月より新たな中期経営計画「CHALLENGE 2026」をスタートしました。継続的な成長と高い収益性を実現するため、注力事業をクラウド、セキュリティ、超高速開発の3事業に洗練・集約し、それぞれの事業をさらに進化・深化することで事業構造の変革を加速させます。加えて、日々の業務で発生する様々なデータの活用や、AIの活用についても取り組みを進め、新たな価値の創出を目指します。
企業価値向上の実現に向け、変化への対応、継続的な成長、挑戦する文化の醸成に必要となる人財への投資として、人財戦略投資予算を過去3カ年累計実績の1.5倍にして進めてまいります。
また、事業戦略を実現するための人事制度改革として、技術部門におけるスキル特化型の高度技術専門職の導入や教育プログラムの包括的な提供により社員の育成やキャリア形成を支援する新たなフレームワークを策定いたしました。各施策を通じて、社員のモチベーションアップやイノベーション創出ができる企業風土の実現を目指します。
新たな技術へ挑戦し、お客様が“一番欲しいものを最速で”届けるべくビジネススピードをより一層高め、受託開発型から価値創造型企業へとシフトすることでさらなる成長を目指してまいります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、売上高及び営業利益の目標値を置くとともに、営業利益率についても常に注意を払って経営を行っております。また、資本効率を高め企業価値の向上を図っていくため、自己資本利益率(ROE)についても重要な指標として位置付けており、当連結会計年度におけるROEは15.5%と昨年度から1.4ポイント伸ばしております。なお、新中期経営計画初年度の2025年3月期は、ROEを16.2%とすることを目標としております。
<当社グループの当期実績、来期業績予想及び中期経営計画目標値>
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2024年3月期実績 |
2025年3月期業績予想 |
2027年3月期業績目標 |
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売上高 |
65,194百万円 |
66,500百万円 |
72,000百万円以上 |
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営業利益 |
4,422百万円 |
5,100百万円 |
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営業利益率 |
6.8% |
7.7% |
10.0%以上 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
3,187百万円 |
3,590百万円 |
- |
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自己資本利益率(ROE) |
15.5% |
16.2% |
17.0%以上 |
※この業績予想及び目標は、開示時に当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて策定したもの
であり、実際の業績等は今後さまざまな要因によって記載内容と異なる可能性があります。
(3) 対処すべき課題
IT業界を取り巻く経営環境の変化が一層厳しさを増している中、当社グループは持続的な企業価値向上と継続的な成長を目指すために、新中期経営計画「CHALLENGE 2026」を策定しました。IT市場は引き続き成長を見せておりますが、求められるソリューションやサービスも日々変化しております。このような状況に対応するために、当社は急速な技術の進化に適応し、お客様の企業価値向上、社会の発展、そしてIT業界の変革に貢献する価値創造に挑戦しております。
この目的を達成するためには、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するサービスのさらなる強化と、高度なスキルを持つ人財の育成、強化が対処すべき主要な課題となります。
① 注力事業の進化・深化
2024年4月より新たにスタートした中期経営計画「CHALLENGE 2026」において、さらなる事業構造の変革を推進するため、前中期経営計画「HARMONIZE 2023」の注力事業であった、クラウド、セキュリティ、超高速開発の3つの事業にデータ&AI活用を取り込むことで事業の進化・深化を図ってまいります。この取り組みを通じて、お客様のDXを力強く加速させる新たなサービス体系の展開を目指します。これらの高付加価値ビジネスを中心に、「価値創造型企業」に挑戦し続けるとともに、経営基盤を強化・高度化し、継続的な成長と高い収益性の実現を目指します。
② 人財の育成・強化
DXを実現するトータルITサービス「HARMONIZE」を推進することにより、お客様の企業規模が拡大し、要求も高度化・複雑化しております。これに応じて、専門性の強化とキャリア形成を支援する体系的な学びの場として「JBCCアカデミー」を新設しました。ここでは、社員が自ら考える中長期のキャリア・スキルアッププランに基づいて必要な最先端のスキルを選択し、習得できる環境を整えてまいります。
さらに高度なスキルを持つ社員を、従来の処遇体系とは別に「高度技術専門職」として認定する取り組みを開始しました。高度技術専門職者は、JBCCアカデミーの講師も担い、社員に最先端技術や業界・業種の専門知識について教育をし、スキル向上を図ります。この認定制度、教育体系により事業戦略を支える人財を創出し、お客様の経営課題を解決することで当社グループの企業価値向上を図ってまいります。
また、高度な専門的スキルを有したキャリア人財の採用を強化します。さらに、女性採用比率50%を目指すことにより、今後10年間で女性社員比率を30%以上、女性管理職比率を20%以上とすることを目標とします。ダイバーシティの推進を通じて当社グループの持続的な成長を目指してまいります。
③ 柔軟な働き方の推進
当社グループは「自ら考え、行動する人財の育成」という方針のもと、様々な人事制度改革に取り組んでまいりました。時間、場所、年齢にとらわれない多様な働き方の支援として、フルフレックスタイム、時間単位年休、短時間・短日数勤務等の導入、リモートワークを可能とするセキュリティ環境の導入、シニア社員の活躍支援として、匠プログラム(70歳までの雇用延長)や極プログラム(70歳以上の活躍の場)といった制度を導入しました。また、幅広く人脈を形成しスキルアップを図りたい社員への複業を推進し、誰もが働きがいを持ってその能力を有効に発揮することができる場を提供しております。
こうした人事制度「Style J」の定着を図ることで、自律的で自由度の高いフレキシブルな働き方を実現し、日々新たな挑戦ができる魅力ある企業を目指してまいります。
これら一連の対応が、当社グループの企業価値の持続的向上につながるものと考えております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、「創り出そう、躍動する社会を。挑戦しよう、技術とともに。」というビジョンのもと、持続可能な社会の実現に対して気候変動への対応も重要課題(マテリアリティ)の一つとして捉えております。気候変動が事業活動に与える影響について正しく把握し、適切に開示するという気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、内容について検討してきました。
環境経営の推進体制において、当社グループは、代表取締役社長を委員長とし、経営メンバーで構成される「サステナビリティ委員会」を設置しました。関連する「リスク管理委員会」や、下部組織である「SDGs推進部会」、「人財部会」とともに連携を行い、持続可能な社会の実現を目指し、次の活動を行っております。
・サステナビリティ基本方針の策定
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・SDGsへの取り組み、推進
・気候変動による事業リスク・機会の検討
・中長期的な環境課題の検討
・カーボンニュートラル実現への取り組み
各委員会の活動結果や取り組みについては取締役会へ報告され、議論・評価されます。
コーポレートガバナンス報告書は2024年6月更新予定です。
(2)戦略
<人的資本経営についての取り組み>
1.人材育成方針
JBCCアカデミーを新たに設立し、専門性の強化やキャリア形成を実現できる体系的な学びの機会を創出しました。「自ら考え、行動する人財の育成」という育成方針のもと、社員自身が考えた中長期のキャリア・スキルアッププランに必要な最先端のスキル等を選択し、習得できる環境を整えております。
プロフェッショナルとして必要な知識を身に付けるため、グループ全体で技術者が自発的に集い、新しいテクノロジーに挑戦する文化が育まれております。こうした技術者を処遇する「高度技術専門職制度」によって選出された社員が、JBCCアカデミーにおいて講師を担い、事業戦略を実現するためのスキルに特化した後進人財を育成することで、グループ全体の技術力向上を図ります。
(https://www.jbcchd.co.jp/sustainability/society/hr/index.html)に記載しております。
2.社内環境整備方針
社員一人ひとりが挑戦できる企業風土の醸成を目指し、多様な人財が多様な働き方を自ら選択することにより、時間、場所、年齢にかかわらず、自己の能力を最大限に発揮できるよう、様々な環境の整備・変革を進める包括的な人事施策「Style J」を推進してまいります。
「Style J」概要
◇時間にとらわれない
働く場所と勤怠制度を組み合わせることで、個々の事情やライフプランに応じた柔軟な働き方を実現しております。
・コアタイムがないフルフレックス制度
・一日をいくつかに分割して勤務できる制度
・短時間/短日数で勤務できる制度
◇場所にとらわれない
オフィスや自宅以外でも働くことができるテレワーク体制を整えております。
・モバイルPC・スマートフォンの全員貸与、ニューノーマル手当(テレワーク手当)支給
◇年齢にとらわれない
これまで培ったスキルや経験を活かして働き続けたいという希望と意欲を持つ社員に対し、やりがいをもって長く働ける環境を提供しております。
・70歳までの再雇用制度:匠(たくみ)プログラム
・70歳以上の働き方制度:極(きわみ)プログラム
実績:匠プログラム 230名、極プログラム 5名(2024年3月末現在)
◇可能性をひろげる
企業にとらわれず自身の能力を発揮したい、スキルアップを図りたいという社員に対し、グループでの雇用を守りながら‘複’業を行える環境を整備し、キャリア形成を支援いたします。
※「正」「副」の区別なく、‘複’数の働き方を実現することを意図し「複業」としております。
◇様々な環境の従業員を支える(出産・育児・介護・傷病制度等)
社員の多様なアイデンティティや生活スタイルを生かし、どのようなライフステージにおいても、安心して活躍できるよう、様々な就業環境を整えることで支え続けます。
◇健康をサポートする(従業員支援プログラム・ストレスチェック等)
社員がいきいきと活躍し、個々の能力を最大限に発揮するためには、 社員やその家族の心と体の健康を大切に
し「ウェルビーイング」であることが重要だと考え、健康診断受診率や有給休暇取得率の向上、残業時間の低減を
促進するなど、健やかに効率的かつ生産的に活躍できるよう健康経営を目指します。
◇生活を豊かにする(メモリアル休暇等の各種休暇制度、従業員持ち株会等)
人財を事業推進や継続的な企業成長のコアコンピタンスと考え、心理的安全性を担保したままチャレンジし続け
ることができるよう、業界水準以上の昇給率を目指し、休暇制度を充実することで、社員の生活を豊かにします。
◇成果を評価する
柔軟な働き方を通じて職務、職責、評価基準の明確化を行い、成果に応じた適正な処遇を実現しております。
・成果型人事制度(働いた時間ではなく成果を評価)※2022年4月より導入
・目標管理制度(業務活動にKPIを設定して評価) ※KPI:量的・質的な指標
柔軟な働き方「Style J」の定着と継続推進により、社員のワーク・ライフ・バランスもサポートいたします。
「人的資本経営」の推進に向けて
当社は金融庁及び経済産業省がオブザーバーとして参加する「人的資本経営コンソーシアム」に加入しました。
会員企業との情報共有や意見交換を通じて人的資本経営の潮流を捉え、人財の価値を最大限に引き出すことにより、企業価値向上につながる人的資本経営を推進してまいります。
(3)サステナビリティに関するリスク管理
当社グループは、気候変動や人財など「サステナビリティに関するリスク」について、サステナビリティ委員会において把握し、時代に適したサステナビリティの取り組みをグループ全体で推進してまいります。
※サステナビリティ委員会については、(1)ガバナンスの体制図をご参照ください。
(4)指標及び目標
<環境に関する事項>
当社グループは、気候関連のリスク対応において、GHG排出量の削減及び再生可能エネルギーへの移行が重要であると認識しております。当社が社内で利用するクラウドサービスにおいては、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureを中心とした再生可能エネルギーの比率が高いクラウドプラットフォームを採用しております。
当社の事業活動に伴うGHGの排出(Scope1,2)は主として社用車の運用に伴うもの、及びオフィスにおいて使用する電力消費に伴うものであります。首都圏オフィスを統合したことで電力消費量は昨年比51.1%削減いたしました。当社はこれらによるGHGの排出を2040年で実質ゼロとすることを目標に定め、活動してまいります。
また、環境活動への積極的な取り組みにより当社グループはISO14001認証を継続取得しております。
削減に向けた取り組み例
・社用車のハイブリッド車、及び電気自動車(EV)への移行
・オフィス消費電力の再生可能エネルギーへの移行推進
・社内PCのカーボンオフセットサービス利用
当社グループ カーボンニュートラル2040指標
2030年度:事業活動によるGHG排出量を2019年度比80%削減(Scope1,2)
2040年度:事業活動によるGHG排出量を実質ゼロ(Scope1,2)
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単位(t-CO2) |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
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Scope1(燃料) |
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Scope2(電気) |
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グリーン電力使用によるCO2削減相当量 |
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122.0 |
※CO2排出量算出方法は次の通りとなり、連結会社のScope1、Scope2が集計対象となります。
Scope1 電気使用量(kWh)×単位使用量当たりの排出量(tCO2/kWh)
Scope2 燃料使用量(ℓ)×単位発熱量(GJ/ℓ)×GHG排出係数(t-CO2/ℓ)×44/12
なお、TCFDへの対応については、当社ウェブサイト
(https://www.jbcchd.co.jp/sustainability/environment/tcfd/index.html)に記載しております。
2023年度のCO2排出量削減に向けた取り組みについては、2024年10月発行予定の「統合報告書2024」をご確認ください。
<人財に関する事項>
人財多様性の確保に関する目標及び実績は次のとおりです。
柔軟で多様な働き方「Style J」を基盤として、「えるぼし」、「くるみん」の認証取得を申請するなど、働きやすい就業環境であることを明らかにし、女性採用比率50%を目指すことにより女性社員比率30%以上を目標といたします。
また、女性社員を管理職として積極的に登用するとともに次世代の管理職候補を育成することにより、2035年3月期に管理職に占める女性労働者の割合を現在の約2倍である20%とすることを目標とします。
※次世代の管理職候補である女性比率は今年度末20%以上であり、5年後30%以上となるよう育成することで、目標
達成を目指します。
男性労働者の育児休業取得率の向上施策として、男女の隔たりなく休業期間をフレキシブルに設定できる制度や休業中の給与補助制度などを設けております。これらの制度の利用促進により、男性労働者の育児休業取得率100%を目標といたします。
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指標 |
実績( (当連結会計年度) |
目標(%)
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しておりますが、その時期や程度、仮に当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響を個別具体的に合理的に予見し判断することは非常に困難であるため記載しておりません。
これらリスクに対応するため、当社は代表取締役社長が委員長を務めるリスク管理委員会を設置し、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 情報漏洩に関するリスク
当社グループは、お客様の情報システム等に関するコンサルティングからシステム開発、運用、保守サービスにいたるまでトータルなITサービスをご提供しております。このITサービスをご提供するにあたり、お客様が保有する個人情報や情報システムに関する情報等の各種機密情報を知り得る場合があります。これらの機密情報が、コンピューターウィルス、不正アクセス、人為的過失等により外部への漏洩が発生した場合、当社グループの信頼を失い、経営成績等に影響が出る可能性があります。
このような情報セキュリティリスクを回避するため、当社グループでは、お客様情報を含む当社グループの機密情報をあらゆる脅威から保護するために必要となる管理の基本方針として「JBCCグループ情報セキュリティポリシー」を策定し、情報セキュリティに関する意識の向上に努めております。また、時代に合わせた規定や基準の整備、監査の実施により、グループ全体でのセキュリティ対策を強化・標準化し、サイバーリスクを低減してまいります。当社グループの社員から業務委託先の社員に至るまで情報セキュリティに関する教育・研修を実施するなど、情報管理の徹底を図っております。
(2) システム開発に関するリスク
当社グループは、お客様の情報システムの開発を行っており、システム開発の請負契約等においては、顧客の要望の高度化・複雑化や開発着手後のシステム要件の変更等により、当初の原価総額の見積りより作業工数等が増加するなど追加費用が発生する可能性があります。
このような不確実性に起因して生じる不採算案件の発生を回避するため、見積り段階より社内での審査会議を開催することに加え、プロジェクトマネージャーのスキル向上や品質マネジメントシステムの整備など、受注後におけるプロジェクト管理を適切に行える体制を整えております。また、ビジネスやシステム開発における、お客様ニーズや環境及びテクノロジーの変化に対応するべく、JBアジャイル開発(注)を推進し、従来型の開発手法からの変革を実践しております。
(注)一般的なアジャイル開発とは、小単位で実装・テストを繰り返し、システムやソフトウェア開発を進めていく小規模開発向けの開発手法のことをいいます。開発期間が短縮されるためアジャイル(俊敏な)と呼ばれております。当社グループで推進するJBアジャイル開発は、ローコード開発ツールを利用する等の独自手法を取り入れ、大規模開発や基幹システム開発にもアジャイル開発を適用することを可能にし、大型案件の開発納期短縮を実現しております。
(3) 大規模な自然災害等に関するリスク
当社グループが事業活動を展開する地域における大規模な地震、洪水等の自然災害や重大な伝染病の発生により、事業拠点、従業員、パートナーが大きな被害を受けた場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような大規模な自然災害等に備え、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、防災訓練等の対策を講じております。また、当社のデータセンターについては複数箇所に分散し、災害発生時の事業継続リスクへの対応力強化に努めております。
(4) 法令・規制に関するリスク
当社グループは、事業活動を行う上で、国内外の法令及び規制の適用を受けております。また、労働関係の法令についてもより一層の法令遵守が求められております。このような状況の中で法令違反等が発生した場合や法令や規則に変化があった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような法令・規制に関するリスクを回避するため、リスク管理委員会の設置によるガバナンス体制の強化、「JBCCグループ行動基準」の制定とその遵守及びコンプライアンス教育の実施による法令遵守の徹底を行っております。
(5) 人材の確保・育成に関するリスク
当社グループの事業活動は、専門性に基づいてお客様に価値を提供する優秀な人材の確保・育成に大きく影響されます。こうした優秀な人材の確保・育成が想定通りに進まない場合、必要な人的資本を活用できなくなり、中長期的に当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを回避するため、優れた専門性を有した人財の確保に努めております。また、「Style J」や女性社員の積極的な育成・採用を推進することで女性社員比率30%以上を目指すとともに、女性管理職の比率を現在の2倍増を目指して活動を推進いたします。人財育成・キャリア形成のための新たなフレームワークの構築と様々な個性や能力、知見を備えた多様性を尊重・推進する人財ポートフォリオの構築を進め、一人ひとりのスキル向上や社員の定着に努めてまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、3カ年の中期経営計画「HARMONIZE 2023」(2022年3月期~2024年3月期)において、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するトータルITサービス「HARMONIZE」(2021年4月発表)を推進することで、ストックビジネスの比率を高め、安定した収益と継続的な成長を実現する事業構造へと変革を進めてきました。
中期経営計画の最終年度となる当連結会計年度においては、継続的な成長を実現し成長路線を確実なものとするため、「HARMONIZE」の中心的なソリューションであるクラウド、セキュリティ、超高速開発にグループ全体の経営資源を集中して事業を推進しました。
当社グループのお客様においては、クラウド技術の進化や働き方の多様化に伴い、クラウドファースト(クラウド利用を最優先とする考え方)でのIT環境やシステムの検討が進んでおります。「HARMONIZE」では、お客様の様々な環境や要望に応えるため、マルチクラウドに対応したクラウド、セキュリティのサービス&ソリューションを拡充し、クラウド活用を促進しております。クラウドと、その運用に不可欠なセキュリティの全体提案の推進が案件の大型化と受注拡大につながり、クラウド、セキュリティのストックビジネスは大きく伸長しました(クラウド、セキュリティの売上高 前期比45.6%増)。
超高速開発は、ローコードツールを活用した独自のアジャイル開発手法により、基幹システムを従来の半分の開発期間で構築するという高い付加価値を提供しております。汎用性と再利用性を高めた開発部品(マイクロアセットサービス)の利用を前提に、提案活動やシステム化の方針検討を実施しており、高い顧客要求への対応とアセット活用による高品質・短納期を実現できることから、他のSIerやパッケージ製品との差別化につながりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高65,194百万円(前期比12.1%増)、営業利益4,422百万円(同17.5%増)、経常利益4,549百万円(同18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,187百万円(同19.0%増)となりました。クラウド、セキュリティのストックビジネスが業績を大きく牽引し、2期連続で増収増益を達成、営業利益は前期に続き過去最高益を更新しました。
中期経営計画「HARMONIZE 2023」の3カ年において、注力事業であるクラウド、セキュリティは市場成長率を超えて伸長し、継続的に増収増益を達成できる事業構造に進化しました。2024年4月よりスタートする新たな中期経営計画においては事業構造の変革を加速し、継続的な成長と高い収益性の実現を目指します。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次の通りであります。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,256百万円増加し、37,207百万円となりました。これは主に契約資産が851百万円、商品及び製品が1,747百万円一時的に増加した一方、現金及び預金が752百万円、売掛金が346百万円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ39百万円減少し、16,028百万円となりました。これは主に未払金が896百万円減少した一方、未払法人税等が312百万円、契約負債が211百万円、未払費用が171百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,295百万円増加し、21,178百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益により3,187百万円増加した一方、配当金の支払いにより1,274百万円減少したことによるものです。
b.経営成績
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高65,194百万円(前期比12.1%増)、営業利益4,422百万円(同17.5%増)、経常利益4,549百万円(同18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,187百万円(同19.0%増)となり、増収増益を達成しました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
情報ソリューション分野の売上高は63,221百万円(前期比12.6%増)となりました。
製品開発製造分野の売上高は1,973百万円(同1.6%減)となりました。
なお、セグメント別の詳細につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載の通りであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ752百万円減少し、9,902百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動による資金の増加は1,235百万円(前期は910百万円の増加)となりました。増加要因としては、主に税金等調整前当期純利益4,678百万円、減少要因としては、主に棚卸資産の増加1,697百万円、法人税等の支払いによる減少771百万円、未払金の減少913百万円によるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動による資金の増加は393百万円(前期は964百万円の減少)となりました。これは主に、敷金及び保証金の返金220百万円、投資有価証券の売却による収入289百万円によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動による資金の減少は2,418百万円(前期は1,390百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払い1,274百万円、自己株式の取得による支出1,000百万円 によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産、受注及び販売の実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
a.生産実績
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
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情報ソリューション |
32,878 |
15.5 |
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製品開発製造 |
1,618 |
△1.6 |
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合計 |
34,496 |
14.5 |
b.受注実績
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
情報ソリューション |
66,431 |
15.4 |
18,937 |
35.7 |
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製品開発製造 |
2,011 |
5.5 |
114 |
90.1 |
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合計 |
68,442 |
15.1 |
19,051 |
36.0 |
c.販売実績
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
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情報ソリューション |
63,221 |
12.6 |
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製品開発製造 |
1,973 |
△1.6 |
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合計 |
65,194 |
12.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績におきましては、金額は製造原価によって表示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、業界及び市場の動向、取引先の動向があげられます。
業界及び市場の動向につきましては、ITに関する技術が日々進化し、クラウド・コンピューティングによるサービスの提供、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)等々を活用した新たなビジネスモデルが社会・経済を支えるインフラとして急速に浸透してきております。これらの新しい技術やビジネスモデルの対応に遅れると、市場での企業間競争力の低下を招き、当社グループの業績が影響を受けることになります。そのため、企業グループとして勝ち残り成長していくため、既存ビジネスの変革や成長分野への積極的な取り組みによるビジネスの伸長に加え、次世代の先進技術の研究やさらなる事業の選択と集中、収益力向上施策による財務基盤の強化を図りつつ、企業統治・業務執行体制を充実してまいります。
取引先の動向につきましては、当社グループは企業向けシステム等のサービス提供をビジネスの柱としており、その取引先は創業以来2万社に上り、その業種は多岐に渡っております。取引先の業績悪化による受注の減少や、当社グループの提供可能なサービス範囲を超える要求を反映した不採算リスクの高い案件の獲得等が積み重なれば、当社グループの業績が影響を受けることになります。そのため、取引先に対する与信管理の強化や取引先の業界動向調査、取引先に対するサービス提案やプロジェクト管理体制を整備しております。
また、新たにスタートしました中期経営計画「CHALLENGE 2026」では、継続的な成長を実現するとともに、高い収益性の実現を目指します。クラウド、セキュリティ、超高速開発を中心に、さらなる事業構造の変革を推進し、お客様の成功、社会の発展、そしてIT業界の変革に貢献する「価値創造型企業」に挑戦し続けます。
経営成績に重要な影響を与える指標は、次の通りであります。
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2023年3月期 |
2024年3月期 |
前期比 |
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売上高 |
58,144百万円 |
65,194百万円 |
+12.1% |
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売上総利益 |
18,011百万円 |
19,380百万円 |
+7.6% |
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売上総利益率 |
31.0% |
29.7% |
-1.3pt |
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販売費及び一般管理費 |
14,246百万円 |
14,957百万円 |
+5.0% |
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営業利益 |
3,764百万円 |
4,422百万円 |
+17.5% |
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営業利益率 |
6.5% |
6.8% |
+0.3pt |
(売上高)
当連結会計年度の売上高については、前連結会計年度と比べ7,050百万円増加し、65,194百万円(前期比12.1%増)となりました。戦略的注力分野である超高速開発、クラウド、セキュリティが順調に伸長し、成長路線へと転換しました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益については、前連結会計年度と比べ1,369百万円増加し、19,380百万円(前期比7.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費については、前連結会計年度と比べ711百万円増加し14,957百万円(前期比5.0%増)となりました。
(営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
収益構造の変革に伴い、高付加価値ビジネスへ集中したことや販管費の最適化も寄与し、当連結会計年度の営業利益については、前連結会計年度と比べ658百万円増加し4,422百万円(前期比17.5%増)となりました。営業利益率は6.8%となり前連結会計年度と比べ0.3ポイント上昇いたしました。経常利益については、前連結会計年度と比べ702百万円増加し4,549百万円(前期比18.2%増)となりました。経常利益率は7.0%となり前連結会計年度と比べ0.4ポイント上昇しております。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度と比べ508百万円増加し3,187百万円(前期比19.0%増)となりました。当期純利益率は4.9%となり、前連結会計年度と比べ0.3ポイント上昇いたしました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容は、次の通りであります。
[情報ソリューション]
情報ソリューション分野は、システム開発(SI)、サービス及びシステムに分類し、「HARMONIZE」の超高速開発、クラウド、セキュリティを中心にビジネスを展開しております。
・システム開発(SI)
超高速開発については、前期及び当上半期に受注した大型案件を含む複数の開発案件が進行しました。グループ内の専門組織である超高速開発センターを中心に、戦略的パートナーを含めた開発体制を拡大する一方で、案件規模の拡大に伴い業務理解や品質確保における課題が顕在化し、一部の開発プロジェクトで遅延が生じました。今後、プロジェクトの正常化を図るとともに、開発体制の強化と業界・業種の知識や知見の習得を推進し、開発品質の向上に努めます。引き続き、開発におけるマイクロアセットサービス(注1)の適用率を上げることで、品質と生産性の向上を実現してまいります。
(注1)マイクロアセットサービスとは、当社が、過去の開発実績より保持している、複数の独立したコンポーネントをお客様の要件に合わせて適用していくサービスです。
・サービス
クラウドについては、お客様のIT環境のクラウドへの移行(クラウドリフト)が進み、既存のインフラ投資額と比較して平均30%のコスト削減を可能にする、運用&コスト最適化付クラウドサービス「EcoOne(注2)」が引き続き好調を維持しました。SaaSにおいては、マイクロソフト社のAIサービス「Microsoft Copilot」の受注が拡大しており、AIサービスの利用拡大に伴い必要となる「Microsoft 365」の運用サービスをリリースしました。「Microsoft 365」に加え、サイボウズ社のノーコード開発ツール「kintone」、オンラインストレージ「Dropbox」の3サービスをSaaSビジネスの基軸とし、ワークショップ等の各種施策と併せてお客様のクラウドの利活用・定着を推進してまいります。
(注2)EcoOne(エコワン)とは、クラウドベンダーの提供する様々なサービスを効果的に組み合わせて提供する、運用付きのクラウドサービスです。
セキュリティについては、注力するマルチクラウドに対応したクラウドセキュリティの領域が継続して伸長しました。また、大手・中堅企業向けに、グループ企業や海外拠点を含めたセキュリティ診断を実施する「Attack Surface診断サービス」(2023年1月発表)で複数の大型案件を獲得できており、今後、関連サービスをさらに拡充することで受注規模の拡大を図ります。
- 大手企業向けクラウドセキュリティサービス/脆弱性診断サービス(第1四半期に発表予定)
- [事例] 株式会社 GSユアサ様 Attack Surface診断サービス導入事例(3月公開)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9889/tdnet/2413374/00.pdf
・システム
ハードウェアやソフトウェアの販売を行っており、お客様のクラウド利用への移行に伴い、中長期では縮小傾向にあります。当連結会計年度においては、お客様のシステム更改によるハードウェアの刷新が重なり、売上高が増加しました。
以上の結果、情報ソリューションの売上高は、63,221百万円(前期比12.6%増)となりました。
[製品開発製造]
製品開発製造は、当社グループ独自のソフトウェア、クラウドサービス及びプリンターなどの情報機器の開発・製造・販売を行っており、「HARMONIZE」のクラウドデータ連携(Qanat Universe)(注3)を含みます。主力サービスであるQanat Universeは、データ連携機能を国内の主要な業務系SaaSに提供するビジネスを中心に展開しました。インボイス制度(2023年10月施行)や電子帳簿保存法(2024年1月義務化)に対応したSaaSソリューションへの組み込み提供が奏功し、累計販売本数は4,582本(前期比97.4%増)と伸長しました。プリンター等のハードウェアは、引き続き縮小傾向にあります。
以上の結果、製品開発製造の売上高は1,973百万円(前期比1.6%減)となりました。
(注3)Qanat Universe(カナート ユニバース)とは、SaaSや基幹/業務システム、PC、モバイル、IoTデバイス等、クラウドや社内(オンプレミス)の様々なサービスやシステムをシームレスにつなぎ、データを連携するプラットフォームです。Qanat Universeを利用することで、利用者は接続先を意識せず、素早く、低コストでシステムの連携と業務の自動化が実現できるようになるため、ソフトウェアメーカーに自社製品との連携プラットフォームとして多く採用されております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金は基本的に内部資金より充当し、不足が生じた場合には短期借入金により調達しております。また、複数の取引銀行との間で総額14,100百万円の貸出コミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。これにより、安定的な運転資金を確保するとともに、M&Aの実施の際の機動的な資金調達やマーケット環境の一時的な変化等不測の事態への対応にも備えております。当社グループは装置産業ではないため、多額の設備投資は必要ではなく、設備投資はパソコン・サーバー等の社内使用設備や事務所関連設備が大半であり、長期借入金による設備資金の調達は現在のところ必要ではない状況となっております。
今後につきましても、当社グループにシナジーをもたらすM&A等の投資や次世代の先進技術研究への投資、加えて株主の皆さまへの還元もしくは資本施策の一環としての自己株式の取得等、財務状況や株価の動向を考慮しながら必要に応じ機動的に実施してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(提出会社)
経営指導等に関する契約
当社は、主要な子会社・関連会社との間で、当社が各社に対して行う経営全般にわたる指導・支援等に関して、「経営指導契約」を締結しております。
当社グループでは、経営や業務に関するIT課題を抱えるお客様に最適かつ最新のソリューションをご提供するため、各分野にわたって研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1) 情報ソリューション分野
情報ソリューション分野は、超高速開発、クラウド、セキュリティを中心に、企業の情報システムの構築及び運用・保守サービスなどを行っております。
当分野においては、AIなどの新しい技術の活用を中心に研究開発活動を進めており、従来の営業活動にとらわれず、WEBでの拡販が可能な新サービスの研究開発に取り組んでおります。当社グループのお客様へのアプローチを元に事例化し、お客様固有のカスタマイズなしで汎用的に提供できるサービス化を目指しております。当連結会計年度においては、AI自動検品システム「イノベース -Inspection-」のサービス強化に取り組みました。具体的には、製造業生産ラインでの大量検査への対応や、お客様の製品にAIカメラを組み込んで異常検知の自動化検証や開発を実施しました。また、データ分析や生成AIを活用して企業の業務課題を解決する取り組みにも挑戦しております。
当事業分野に関わる研究開発費は
(2) 製品開発製造分野
製品開発製造分野は、クラウドデータ連携基盤等、独自のソフトウェア、自社開発の生産管理システム及びプリンター等各種ハードウェアの製造・販売を行っております。
当分野の製品のほとんどにおいて、新製品及び機能強化に関する研究開発を進めております。特に主力製品であり、様々なクラウドサービスメーカーへの採用が進んでいるクラウドデータ連携基盤「Qanat Universe」では、新規サービス及び既存サービスへの新機能の研究開発に取り組んでいます。具体的には、顧客ニーズへの対応として電子帳簿保存法に適したソリューションの研究に取り組み、顧客へのさらなる価値提供を進めております。
また、サイボウズ社のクラウド型業務改善プラットフォーム(kintone)の拡張機能をサブスクリプション化した「ATTAZoo+」開発作業不要で手書き帳票のOCR読み込み(光学式文字読み込み)と業務DXを実現する「ATTAZoo AI OCRパック」、生産管理システム「R-PiCS」では「資材所要量計画」を得意とした「R-PiCS-NX」の開発を行っており、今まで以上にお客様にご満足頂けるものづくりを進めております。
また、当社グループの新規技術の習熟及び新製品開発のためのアイデア発掘を目的とした「先進技術研究所」を設置しており、近年技術革新が著しいAIやIoTなどの最先端技術についても全く新しい発想で他社にはない新製品及びサービスを開発するため、最新技術の調査・研究についても積極的に取り組んでおります。
当事業分野に関わる研究開発費は