文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「信頼・誇り・夢」という社是のもと、「お客様(株式公開企業、投資家、市場関係者)の公正な資本競争力の向上とグローバルな資本経済の発展に貢献する」ことを企業使命としております。そしてこの企業使命の遂行のためには、何よりも「公正」であることが求められることから、当社グループは創業以来、特定の金融系列に属さない「独立性」を保持し、上場会社と投資家(機関投資家、個人投資家)を結ぶ最適なブリッジ役に徹してまいりました。
また、当社グループは、この企業使命を実現させるため、「お客様(株式公開企業、投資家、市場関係者)が公正な観点でお困りになっているIR・SR活動を誰よりも早く察し、具体的なアクションプランのご提案と実践を行う」こと、及び「現状維持は即堕落という意識のもと、日々自らの問題点を探し続け、改善を怠ることのないよう強い意志と具体的な行動を実践する」ことを行動規範(日常業務指針)としております。
当社グループは「マーケット・シェア」、「営業利益」及び「1株当たり当期純利益(EPS)」の向上を重要な経営指標としております。
当社グループは「お客様(株式公開企業、投資家、市場関係者)の公正な資本競争力の向上とグローバルな資本経済の発展に貢献する」という企業使命のもと、唯一無二のエクイティ・コンサルティング機能を着実に強化、拡充してまいりました。
日本の資本市場においては、東京証券取引所によるPBR1倍割れ企業に対する改善要請やアクティビストファンドの活発化など、大きな企業再編の波が押し寄せております。こうした中、独立系のエクイティ・コンサルティング集団、フィナンシャル・アドバイザー集団を堅持し、グローバル資本市場の動向を東京・ニューヨークの両拠点を通じて自ら収集し、株式議決権に関わるコンサルティングと経営支配権に関わるM&Aアドバイザリーを両輪として、日本の上場企業の皆様の持続的な企業成長を支援してまいります。とりわけ以下の4点については、重要課題として取り組んでおります。
グローバルな機関投資家マネーの日本株への回帰、海外・国内機関株主の議決権行使の厳格化、持ち合い株式の解消が進む中、株主との対話の必要性が増しております。当社グループでは、実質株主判明調査を基軸として、20年以上にわたり上場企業であるお客様の株式議決権に関わるコンサルティングを行ってまいりました。近年、アクティビストだけでなく、伝統的な機関投資家においてもアクティビストと同様の要求を企業につきつける事案が顕在化しており、少数株主保護の観点や事業ポートフォリオの選択と集中等を大義名分に、資本政策、M&A戦略、ガバナンス面など様々な観点から上場企業を追及し、経営の根幹を揺るがす要求を繰り出すケースが頻発しています。こうした中、従来の株主判明調査、議決権の安定的な確保を目的としたSRアドバイザリー業務に加え、企業価値向上アドバイザリー、B/Sシミュレーション、ストラテジックレビュー等、当社グループ独自の高度なエクイティ・コンサルティング業務を強化、拡充してまいります。
我が国の資本市場においては、東京証券取引所によるPBR1倍割れ企業に対する改善要請や新陳代謝を促す通達、経済産業省による「企業買収における行動指針」の策定、金融庁による公開買付規制と大量保有報告規制の改正着手など、当局のドラスティックな制度改正が続々と公表されつつあります。こうした変化の潮流は、アクティビストファンドの活発化、或いは、事業会社同士・PEファンド等による事前同意なき買収提案の誘引など、上場会社の経営支配権にかつてない変化と不確実性をもたらしており、議決権(経営支配権)、TOB(株式公開買い付け)や委任状争奪を戦略のコアとする企業再編へのニーズは一段と高まっており、支配権争奪ならびに企業再編・事業再編等のM&Aに特化する専門的なPA/FA業務を拡大させてまいります。
当社グループは、2012年4月に我が国で約40年ぶりとなる証券代行業務への新規参入を果たしました。以降資本市場のニーズを着実に汲み取りながら証券代行サービスを拡充し続けた結果、株主名簿管理人として66社の企業様(管理株主約41万人 2024年3月31日時点)へ証券代行サービスを提供しております。
当社グループは、従来の証券代行機関とは一線を画し、革新的なサービスを展開することで、時代のニーズに応えた証券代行サービスを継続して進めてまいります。
当社グループの取り扱う専門性の高いコンサルティングサービスにおいては、そのコンサルティングを提供する人材だけでなく、それらを支える専門性を有する人材の確保が喫緊の課題であります。新卒、中途を問わず優秀な人材の積極的な登用に加え、登用した人材に対し実務知識習得のための社内勉強会の開催や適切なコンプライアンスに関する各種研修を継続的に実施しております。また、新たに確保した人材の早期の戦力化を促しつつ、社員全体のボトムアップを図るべく適切な人材の登用、人員配置を行うことで、安定的な統合的リスクマネジメント(ERM)体制の構築、運用を進めてまいります。
当社グループでは、「お客様(株式公開企業、投資家、市場関係者)の公正な資本競争力の向上とグローバルな資本経済の発展に貢献すること」を企業使命として掲げており、公正な資本市場の発展に貢献するという行動規範のもと、事業活動を通じてグローバルなESG課題の解決に貢献し、お客様・株主・社員をはじめとする全てのステークホルダーとともに、持続可能な資本市場の実現を目指しています。
なお、本文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループのサステナビリティに関する取り組みを推進することを目的に、2023年6月にサステナビリティ委員会を設置いたしました。本委員会は、管理本部管掌取締役を委員長として、各グループ会社の事業部門責任者その他適切なメンバーにより構成され、グループ全体のサステナビリティ全般の方針や目標設定・計画推進を進めております。また、取締役会は、「サステナビリティ委員会」から重要事項について報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行ってまいります。
(2) 人的資本経営に関する取り組み
当社グループの競争力の源泉は、人材であると考えており、人材の多様化と人材の育成・確保、人材と組織の持続的成長が中長期的な企業価値の向上に資するとの認識のもと、個性と多様性が大切にされる環境づくり、企業文化の醸成を目指しています。
① 戦略
a. 多様性の確保を意識した人材の登用
当社グループでは、我が国の公正な資本競争力の向上とグローバルな資本経済の発展に貢献するという企業使命のもと、社員それぞれが資本市場の発展に向け、付加価値の高いサービスの提供を行うコンサルタントとして活躍できる人材となることを目指して人材育成を行っております。また、コンサルタントにとって、各プロジェクトへの参画を通じて、責任を持ってお客様へソリューションを提供することが、自己成長の実現につながり、キャリアを形成していくうえで重要であると考えており、社員のスキルや個性も勘案しながら、キャリア形成の支援を行っております。
b. 社内環境整備方針
当社グループでは、従前より性別や国籍に関係なく、能力や実績を重視した採用活動を実施しております。個々の能力を最大限発揮できる職場環境にするために、働き方改革の推進や人事制度の拡充等により、組織の生産性向上や社員のワークライフバランスの支援に努めています。現状では、中途採用者についてはスキル・経験等を総合的に判断し、管理職への登用が十分に行われている一方で、女性については管理職への登用が未だ十分ではないとの認識であり、今後当社グループの中核を担う人材として企業の持続的な成長を確保するべく、女性管理職比率が高まるよう今後一層人材育成及び社内環境の整備に努めていきます。
② 指標と目標
当社グループの女性管理職比率について、2024年3月末時点では4.8%でありますが、2030年度の当社グループの女性管理職比率を15%以上とすることを目標とし、多様性のある人材採用及び人材育成を推進していきます。
(3) 気候変動への取り組み
当社グループは、温室効果ガスの排出量削減や環境負荷低減を推進するとともに、お客様である上場企業に対するESGコンサルティング等を通じて、気候変動への対応に貢献していきます。
① 戦略
当社グループでは、TCFD提言にて例示されている気候変動がもたらすリスク・機会を元に、シナリオ分析を実施しました。シナリオ分析においては、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択、設定していく必要があるため、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。
2℃以下シナリオと4℃シナリオにおける気候変動リスクと機会について下表のとおり特定しており、気候変動により、自然災害の激甚化や異常気象によって景気の停滞が発生した場合は、コンサルティング事業への影響が認められる一方で、脱炭素社会への移行や気候変動への適応に向けた、機関株主対応、議決権対応やM&A支援のコンサルティングニーズは増加すると想定されます。


② 指標と目標
当社グループは、2025年までに電力消費により排出されるGHG排出量(Scope1・2)をネットゼロにすることを目標として設定しておりましたが、2024年3月期から事業活動で使用する電力の100%再生エネルギー由来の電力への切り替えが完了したため、Scope1およびScope2の排出量についてネットゼロを達成することができました。当社グループは、これからも環境負荷削減や「カーボン・ニュートラル」の取り組みを推進し、脱炭素社会の実現を目指していきます。
当社グループは、損失の危険の管理に関するリスク事項として、信用リスク、内部統制リスク、法令違反リスク、情報漏洩リスク、災害等のリスク、その他事業継続に関するリスク等を認識・把握しておりますが、以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に対する投資判断は本稿以外に記載した項目を併せて慎重に判断した上で行われる必要があると考えております。
なお、本文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業の特性上、多数の企業の株主情報をお預かりしております。当社グループでは、こうした個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護法を遵守するとともに、2006年7月にプライバシーマークを取得し、個人情報の取り扱いに関する社内ルールの整備、定期的な社内研修を実施し、情報管理の強化とその取り扱いに十分な注意を払っております。
しかしながら、不測の事態が原因で個人情報が外部に漏洩し、情報主体ないし顧客企業等に損害が生じた場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、事業を展開する上で、顧客情報やその他の機密情報を取り扱っております。当社グループでは、こうした機密情報の取り扱いにつきましては、情報セキュリティ基本方針及び情報セキュリティ社内ルールを整備すると共に、完全子会社であるアイ・アールジャパンの情報システム部において情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO/IEC27001:2013」及び「JISQ27001:2014」の認証を2019年8月に取得しており、機密情報の取り扱いに十分な注意を払っております。
しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループの事業であるIR・SR活動に専門特化したコンサルティングサービスは、主に上場企業のIR担当部署や経営企画担当部署、総務担当部署等の間接部門を直接の取引先として提供されます。そして、経済情勢や事業環境が悪化した際には、一般的に間接部門の経費から削減される傾向があります。
このように、わが国の経済情勢や事業環境が悪化した際には、直接の取引先である上場企業の間接部門の経費が削減される結果、当社グループが提供するサービスの採用に慎重になる、あるいはサービス提供価格の引き下げ要請が強くなる等、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループの事業であるIR・SR活動に専門特化したコンサルティング業においては、情報収集やその分析手法等、長年に亘って蓄積してきた独自のデータ及び分析ノウハウが事業遂行上の重要な要素となっております。当社グループでは、各種社内規程やマニュアルを整備し、これらを機密情報とすることにより営業秘密の管理、保護に努めております。
しかしながら、第三者によるサービスの模倣等がなされた場合、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)
IR・SR活動に関連する法律の改正や制度の変更については、2014年2月に策定され、2020年3月に改訂されたいわゆる「日本版スチュワードシップ・コード」によって、機関投資家が企業価値の向上や持続的成長を促すために投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を進め始めております。また、上場企業側からの持続的な企業価値向上のための自律的な対応を促すため2015年6月に策定され、2021年6月に改訂された「コーポレートガバナンス・コード」により、上場企業の対応としてガバナンス設計、資本政策、機関株主との対話、ESG開示など様々な課題への対応を迫ることで、当社グループが最も得意とするエクイティ・コンサルティングに対する需要が急速に高まってきております。
このように、より充実したIR・SR活動を求める方向での法律の改正や制度の変更がなされた場合には、IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業を営む当社の収益に対しては、プラスの影響を及ぼすことが考えられます。
一方、当社サービスの必要性を低減させるような、予期せぬ法律の改正や制度の変更がなされた場合、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の代表取締役社長・CEOである寺下史郎は、当社グループの経営戦略の決定及び業務執行、株主総会での承認を必要とする全ての事項に大きな影響力を持っております。このため、当社グループでは同氏に過度に依存しないよう組織的な経営体制の構築や人材育成を進めており、グループ各社の役割分担を明確化し、主要な子会社における独立性を確保する観点から、2022年11月1日付で当社の連結子会社であるアイ・アールジャパンの代表取締役に北村雄一郎が就任することで、同氏は代表取締役職の兼務を解消し、また、2023年6月の定時株主総会においてアイ・アールジャパンの取締役を退任しております。
しかしながら、同氏の当社グループにおける業務遂行が困難となった場合、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の連結子会社であるアイ・アールジャパンは、株主名簿管理人事務受託業務(有価証券管理業)を行っていることから、金融商品取引業を営むため金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業の登録を受けており、業務遂行にあたり会社法、金融商品取引法、金融商品取引所が定める関係規則等の各種の規制及び法制度等の適用を受けております。法令その他諸規則等を遵守すべくコンプライアンス体制の強化に努めており、役職員等に対して適切な指示、指導等を行うとともに、不正行為の防止・発見のために予防策を講じております。また、コンプライアンス機能を強化すべく2023年7月にグループコンプライアンス室を設置し、管理監督体制の一層の強化に努めております。
しかしながら、役職員等が法令その他諸規則等を遵守出来なかった場合には、当社グループのレピュテーションが悪化し現在又は将来の顧客を失ったり、監督官庁による行政処分や罰則を受けたり、業務の制限等を課されるおそれがあり、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、お客様の利益が不当に害されることのないよう、「利益相反のおそれのある取引」を適切に管理しております。具体的には、2023年3月に「アイ・アールジャパングループ利益相反管理方針」を制定、公表し、当社の連結子会社であるアイ・アールジャパンにおいて「利益相反管理規程」を定めております。
しかしながら、顧客の利益を害したり市場の健全性等に悪影響を与えたりした場合には、顧客及び市場等からの信用失墜等により、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、専門性の高いコンサルティングサービスを提供しており、顧客との契約締結時等に適切なリスク管理を実施しております。
しかしながら、当社グループのサービスが顧客の経営支配権に関わり得るものであることなどから、場合によっては、当社グループによる法令違反・契約違反等の有無にかかわらず、顧客その他第三者との間で訴訟に至る可能性があり、その結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本書提出日現在の重要な訴訟案件の詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2) その他 ② 訴訟」をご参照ください。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の連結子会社であるアイ・アールジャパンは、金融商品取引業を営むため金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業の登録等を受けており、金融商品取引法及び同法施行令等の関連法令の適用を受けております。また、金融商品取引法に基づき設置された業界団体である日本証券業協会の定める諸規則の適用を受けております。
しかしながら、当社グループの役職員がこれら法令等に違反し、登録等の取消し又は改善に必要な措置等を命じる行政処分が発せられた場合等には、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の連結子会社であるアイ・アールジャパンは第一種金融商品取引業者であり、第一種金融商品取引業者には、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、一定程度の自己資本規制比率が求められております。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本の額のリスク相当額の合計に対する比率をいいますが、当該金融商品取引業者は自己資本規制比率が140%を下回ることのないようにしなければならず、金融庁長官は当該金融商品取引業者に対しその自己資本規制比率が120%を下回るときは、業務方法の変更等を命ずること、また100%を下回るときは3ヶ月以内の期間、業務の停止を命ずることができ、さらに業務停止命令後3ヶ月を経過しても100%を下回り、かつ回復の見込みがないと認められるときは当該金融商品取引業者の登録を取り消すことができるとされております。
当社の連結子会社であるアイ・アールジャパンは、親会社である当社への配当金額を考慮し、自己資本規制比率を常に安定的水準に保つように努めておりますが、当該要因が発生した場合、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、顧客のニーズの多様化に応じ投資銀行業務等の拡大のため、非上場企業や経営者、同族会社の株主を対象に、各種業務提携、資本提携、M&A、プロキシー・アドバイザリー等のアドバイザリー業務を積極的に拡大しております。
与信管理については体制を整備し、取引前の与信審査に加えて、顧客の財務状況により取引開始時に着手金として報酬の一部を受領するなどの対策を取り、債権保全には十分に注力しておりますが、これらの拡大に伴い、非上場企業や個人経営者等の特定の取引先において、倒産等による債務不履行が生じた場合、売掛債権の回収が不能になる恐れがあり、当社グループの事業の遂行に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の売上高は、前年同期に比べ5.8%減少の5,664百万円、営業利益は同3.9%減少の1,072百万円、経常利益は同13.8%減少の1,068百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同13.5%増加の762百万円となりました。
当連結会計年度は、日本の上場企業に対する改革期待から、我が国の資本市場はグローバル市場から注目を引きつけ、日経平均株価は34年ぶりとなる高値を付けました。東京証券取引所による「資本コストと株価を意識した経営」への期待が継続する中、上場企業をターゲットとするアクティビストの参入も増加し、活発な株主提案権の行使が行われるなど上場企業における支配権争奪、議決権の安定的確保も注目されています。加えて、経済産業省が2023年8月に策定した「企業買収における行動指針」を踏まえた、ストラテジックバイヤー(事業会社)による「同意なき買収提案」や「対抗買収提案の実行」の動きもでてきており、企業再編、事業再編の機運が高まりつつあります。
アクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等に係る有事対応案件*1については、アクティビスト対応PA・FA案件を中心とした案件の受託が継続しています。企業再編、事業再編の活発化が予想される中、迫りくる資本リスクへの高まりもあり、企業支配権争奪等を中心としたPA業務*2とFA業務*3においても受託が増加しています。
実質株主判明調査等の平時対応案件*4においては、下期以降は、お客様との強固な信頼関係にもとづくエクイティ・コンサルティングの新規・追加のプロジェクト受託が増加してきておりますが、上期において、既存のお客様からの契約の一部解約や、新規・追加のプロジェクト受託が減少した影響等によって通期の受託が減少しました。
一方、我が国の資本市場においては、「資本コストと株価を意識した経営」が一層期待される中、持ち合い株式の解消、機関投資家・金融機関の議決権行使の厳格化が一層進展しています。また、企業再編・M&A領域においては、アクティビストファンドの活発化、事業会社による事前同意なき買収提案の実行など経営支配権に大きな圧力が掛かる局面が増え、我が国の上場企業の経営支配権・議決権リスクが一段とクローズアップされており、当社グループが基軸として掲げる「Power of Equity®*5(株式議決権の力)」という概念の通り、「株主」の外圧のもとで企業再編、事業再編等の我が国の上場企業の存続や支配権を大きく左右する資本リスクが高まっています。
こうした中、当社グループは、アクティビストサイドにつかないプロキシー・アドバイザリーを基盤業務に、金融系列に属さない独立系エクイティ・コンサルティング集団、フィナンシャル・アドバイザー集団として、株式議決権に関わるコンサルティングと経営支配権に関わるM&Aアドバイザリーを両輪に、日本の上場企業の皆様の持続的な企業成長を支援してまいります。
*1 有事対応案件;アクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等の有事局面のPA業務やFA業務の対応を行う案件。
*2 PA業務;プロキシー・アドバイザリー業務:委任状争奪戦業務、圧倒的な勝利の実績を誇る。
*3 FA業務;フィナンシャル・アドバイザリー業務:アクティビスト対応、同意なきTOB対応、高度なMBO、M&Aにおいて日本最大級かつ先鋭の専門集団を配備する。
*4 平時対応案件;実質株主判明調査、議決権分析、企業防衛・企業価値向上等に関連する、平時局面のエクイティ・コンサルティング業務を行う案件。
*5 Power of Equity®;Power of Equityは、当社子会社アイ・アールジャパンの登録商標です(登録第6196294号)。
当社グループの事業領域は「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」であり、単一セグメントであります。サービス別に売上高の概要を示すと次のとおりであります。
(a) 大型プロジェクト(50百万円以上)と通常プロジェクト(50百万円未満)内訳
(b) 大型プロジェクト(50百万円以上)の契約件数及び売上金額の推移
(c) 大型プロジェクト(50百万円以上)の種類、及び売上金額
当連結会計年度の大型プロジェクト(50百万円以上)は、支配権争奪PA・FA案件を中心とした案件を受託していることから、前年同期に比べ6.5%増加の1,969百万円となりました。通常プロジェクト(50百万円未満)は、前期同期に比べ11.3%減少の3,694百万円となりました。
(d) 当連結会計年度の有事対応案件と平時対応案件の内訳
当連結会計年度のアクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等に係る有事対応案件については、前年同期に比べ1.8%増加の2,532百万円となりました。アクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等に係る有事対応案件については、アクティビスト対応PA・FA案件を中心とした案件の受託が継続しています。企業再編、事業再編の活発化が予想される中、迫りくる資本リスクへの高まりもあり、企業支配権争奪等を中心としたPA業務とFA業務においても受託が増加しています。
当連結会計年度の実質株主判明調査等の平時対応案件においては、前年同期に比べ11.2%減少の3,131百万円となりました。下期以降は、お客様との強固な信頼関係にもとづくエクイティ・コンサルティングの新規・追加のプロジェクト受託が増加してきておりますが、上期において、既存のお客様からの契約の一部解約や、新規・追加のプロジェクト受託が減少した影響等によって、通期の平時対応案件の受託が減少しました。
証券代行事業においては、受託決定済み企業は2024年3月31日時点で66社、管理株主数は411,997名となりました(前年同期の受託決定済み企業は67社、管理株主数は438,342名)。株式会社SMBC信託銀行との証券代行業務に関する連携を強化するとともに、従来の証券代行機関とは一線を画し、革新的なサービスを展開することで、時代のニーズに応えた証券代行サービスを継続してまいります。
① IR・SRコンサルティング
SRアドバイザリー(実質株主判明調査、議決権賛否シミュレーション、コーポレート・ガバナンス改善、取締役会実効性評価、株主還元を含む資本政策等)、プロキシー・アドバイザリー、フィナンシャル・アドバイザリー、証券代行事業等を中心とする当社グループの中核的サービスです。
当連結会計年度のIR・SRコンサルティングの売上高は、前年同期に比べ4.3%減少の5,361百万円となりました。
② ディスクロージャーコンサルティング
ツールコンサルティング(アニュアルレポート・統合報告書・株主通信等、IR活動において必要とする各種情報開示資料の企画・作成支援)及びリーガルドキュメンテーションサービス(企業再編やM&A時における各種英文開示書類の作成や和文資料の英訳等)を提供するサービスです。
当連結会計年度のディスクロージャーコンサルティングの売上高は、前年同期に比べ25.9%減少の200百万円となりました。
③ データベース・その他
大量保有報告書や国内・海外公募投信における株式の組み入れ状況等を提供する「Stock Watch」、IR活動総合サポートシステム「IR-Pro」、IR説明会への参加受付や参加者の管理等を上場企業が一括実施することが可能な「アナリストネットワーク」等をWEB上で提供するサービスです。また、個人株主向けアンケートサービス「株主ひろば」を展開しております。
当連結会計年度のデータベース・その他の売上高は、前年同期に比べ27.1%減少の102百万円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
当社グループは、生産活動は行っていないため該当事項はありません。
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(3) 財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ692百万円減少し、6,669百万円となりました。主な要因は、未収還付法人税等の減少422百万円、売掛金の減少143百万円等によるものであります。
② 負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ14百万円増加し、1,296百万円となりました。主な要因は、賞与引当金の増加35百万円、未払費用の増加31百万円、未払法人税等の減少51百万円等によるものであります。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ706百万円減少し、5,372百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加762百万円、配当による利益剰余金の減少1,474百万円等によるものであります。
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ55百万円増加し、4,097百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,825百万円(前年同期は618百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,068百万円、法人税等の還付額444百万円、法人税等の支払額436百万円、減価償却費323百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は295百万円(前年同期は336百万円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出286百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,474百万円(前年同期は2,005百万円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額1,474百万円であります。
② 資金需要及び流動性の確保
当社グループの資金需要は、営業活動については、事業活動に必要な運転資金(主に人件費)が主な内容であります。投資活動については、事業拡大及び業務効率向上のためのシステム開発投資等の固定資産の取得が主な内容であります。財務活動については、上記活動で獲得した資金を必要な内部留保を確保した上で、業績に応じた利益還元を行っております。なお、アイ・アールジャパンの自己資本規制比率を維持するために、一定水準の現預金を確保しております。さらに、必要に応じて金融機関との当座貸越契約に基づき運転資金を確保しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。