第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当連結会計年度は、不安定な世界情勢、原材料・エネルギー市況及び急激な円安による物価高等を背景に、当社を取り巻く事業環境は引き続き不透明感がありました。

 一方で、日本でも有望なスタートアップや次世代を担う若い起業家が台頭しています。テクノロジーの進化、価値観やライフスタイルの変化は、新しいビジネスへの投資機会を創出し、社会課題解決が期待される投資先に対しては強い追い風になっています。

 政府も2022年に発表した「スタートアップ育成5か年計画」に基づき、人材、資金、ビジネス環境など様々な支援策を推進しています。

 また、バイアウト投資の事業環境についても、M&Aの増加や中小企業の事業承継に対する政府の継続的な取り組みなど前向きな動きがあります。

 

 当社は創業以来、時代をリードする起業家とともに歩んできました。当社には、経験を積み重ねてきた多くのキャピタリストに加え、企業成長を促進するための豊富なリソースとネットワークの蓄積があります。単なる投資家としてではなく、「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から経営に関与します。起業家とともに事業の成長にコミットし、企業価値を高めていきます。

 2018年からパートナーシップモデルを導入し、トップキャピタリストとしてファンドの運用責任を負うパートナーを中心としたフラットな組織作りを行っています。

 SV6ファンド以降は、パートナーと従業員が当社とともに出資することで、個人としても運用リスクを負いながら、ファンドパフォーマンスと個人の貢献に連動した成果報酬を享受していきます。従来からの当社の強みである組織力にも磨きをかけており、投資先への経営関与を通じて、ファンドパフォーマンスの一段の向上を目指します。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当連結会計年度は設立50周年の節目の年でした。2023年2月のパーパスの策定、公表に引き続き、当連結会計年度では2023年10月にバリューの改定を行い、社内プロジェクトを立ち上げて役職員に対しその周知と浸透に取り組みました。

 

①当社のパーパス(存在意義)

「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」

 当社は長年にわたる投資経験の中で、「投資の継続が、持続可能な社会を実現する」ことを信じ、企業・起業家の新たな挑戦に対し投資を続けてきました。地球環境やグローバル経済を取り巻く問題がますます複雑化する中、当社は、まだ見ぬ価値を生み出す挑戦に果敢に投資し、その成長にコミットすることにより、新たな成長への循環をつくりだし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

②当社のミッション(使命)

「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」

 当社は設立以来、様々な革新的製品やサービスを生み出す起業家を支援してきました。世の中に必要とされる新事業の創造にコミットすることで、ステークホルダーの皆様とともに新しい時代を切り開くことが当社のミッションです。当社はパーパスの実現を目指す中で、設立時から変わらぬ想いをミッションに掲げ、取り組んでまいります。

 

③バリュー(行動指針)

・「当事者たる覚悟でやり抜く」

 私たちにとっての未上場投資は、投資先企業・ファンド出資者・株主との共同事業です。その使命を担いつつ、人生を懸けた事業創造・成長に挑む起業家・経営者と向き合うには、誰よりも強い覚悟と意志を持った当事者であるべきと考えています。何事も主体的に、自らの想いを原動力としながら、いかなる挑戦・困難に対しても責任を持ち、諦めず最後までやり抜きます。

・「より早く、より深く、より高みへ」

 世の中が急速に変化する中、常に高い成果を出し続けるためには、自らに限界を作らず成長し続けることが重要です。 常に先を読んで動きつつも、物事の本質を捉えて徹底的に考え尽くすことで、より高みを目指して自らを追求し続けます。

・「多様な強みで共創を」

 今よりも大きな価値や、全く新しい価値を生み出すためには、社内・社外のさまざまな強みを掛け合わせることが必要不可欠です。 異なる経験・価値観・知恵を持つメンバーを尊重し、互いの力を引き出し、発揮し合うことで、次なる成功を共に実現する強い組織を創っていきます。

・「開拓者たれ、真摯であれ」

 日本でベンチャーキャピタルの知名度がまだ低かった時代から、私たちは世の中の荒波に何度も揉まれながらも、開拓者たる想いで独自のスタイルを築いてきました。私たちはこれからも強い開拓の意志を持ちながら、正々堂々と真摯に、これまでと変わらずに新たな市場を切り拓く思いで挑戦し続けます。

 多様なバックグラウンドを持つ社員が増加する中、行動指針としてのバリューを全社員の共通認識とし、組織をより強くしてまいります。

 

④パーパス/ミッション実現に向けた方針と戦略

 当社は、ファンドを通じたベンチャー投資とバイアウト投資によりパーパス/ミッションの実現を図ります。

 この際、起業家やファンド出資者に対するコミットメントをより明確にするべく、設立以来培ってきた組織力に加え、個人を主体としたパートナーシップモデルを導入することで、競争力を高めていきます。

 また、当社の事業の本質はESG投資の考え方に強く合致するものであり、社会課題を解決する有望企業の発掘、投資後の対話を通じた成長支援、そしてEXITに至るまでの過程にESGの観点を取り入れていきます。投資先の事業成長を通じてサステナビリティの実現に貢献し、当社の競争力と企業価値を高めていきます。

 さらに、パーパス/ミッションの実現に向け、当社は下記の取り組みを進めています。

・厳選集中投資と経営関与

 新事業を創造するために、ポテンシャルの高い投資対象を絞り込み、大胆に投資を行います。投資先企業に対し影響力のあるシェアを確保し、投資先の経営に深く関与することで、企業の成長を促進します。

・ファンドパフォーマンスの持続的向上とリスクマネー供給の拡大

 十分な投資資金を獲得するには、ファンドパフォーマンスを持続的に向上させ、安定的にファンドの外部出資者を確保することが不可欠です。投資先企業の成長を通じて得たリターンを、ファンド出資者・株主と分かちあい、新ファンドの募集に繋げることで、リスクマネーの循環・拡大をもたらします。

・「CO-FOUNDER」としてのジャフコ

 事業の立ち上げ局面では、投資家である以上に「CO-FOUNDER≒共同創業者」であることが求められます。当社が設立来獲得してきた精神や知識、経験を継承・発展させ、当社及び個々の従業員が
「CO-FOUNDER」として活躍できる組織を目指します。

 

(2)会社の対処すべき課題

 当社の現在の対処すべき課題は以下のとおりです。

① 厳選集中投資の更なる進化と投資先の企業価値向上に向けた取り組み強化

② 投資パフォーマンス(投資倍率)の向上

③ ファンド募集力の向上

④ 多様な人材の採用と育成

⑤ 強固な財務基盤の一定維持

 当社は2022年12月に公表した「企業価値向上の基本方針」における中長期的目標の達成に向けた取り組みを通じて、これらの課題に対応していきます。

 

●企業価値向上の基本方針

 当社は、株主の皆様の利益拡大に繋がる企業価値向上を目指し、成長戦略の推進と、純資産の圧縮による資本効率の向上を進めることを基本方針とします。

 

1)成長戦略の推進

 投資運用力とファンド募集力が当社の利益の拡大の両輪であり、これらの活動を組織基盤が下支えします。

 

(投資運用力の向上)

 当社は2010年以降、厳選集中投資と経営関与を投資方針に掲げ、有望な投資先を早期に発掘し、投資後の成長に能動的に働きかけることで、キャピタルゲインの最大化とファンドパフォーマンスの向上を図ってきました。

 今後、投資運用力の更なる向上を目指し、投資の各プロセスにおける厳選集中投資と経営関与への取り組みを次のようにいっそう進化させます。

・投  資:成長ポテンシャルの高い企業を早期に開拓し、リード投資家として投資実行

・成長支援:投資後の事業開発や体制整備での深い関与、様々な経営資源を投下して投資先の成長角度を向上

・EXIT:深い経営関与を通じて企業価値を最大化するIPOや発展的なM&Aを実現

(ファンド募集力の強化(外部出資の拡大))

 安定したファンドパフォーマンスに加え、規律と透明性の高い運用と、投資家のニーズに応じた情報提供を行います。これにより、既存の投資家からの継続出資を受けるとともに、ファンドの社会的・経済的意義に共感する新規投資家層を獲得し、外部出資額を増やします。

(組織基盤の強化)

 継続的な新卒採用・知見伝承と、専門領域におけるスペシャリスト採用を併用した当社独自の採用・育成モデルで、投資運用力の根幹であるキャピタリストを生み出し続けます。

 同時に、投資プロセスを一気通貫で支える組織体制をさらに強化し、個人に過度に依存しない投資運用力の持続的な向上に取り組みます。

 

0102010_001.png

 

2)資本効率の向上

 今後は、新設ファンドサイズを対象マーケットに合わせて段階的に拡大させる一方で、当社の出資比率は段階的に低減させ、中長期的には、新規ファンドへの当社出資比率を20%とすることを目標とします。

 これにより、必要資金を一定額に抑え、営業投資有価証券残高を維持しながら、高い水準のキャピタルゲインを得ることを目指します。投資運用会社として安定的に運用報酬を得るとともに、高い収益性を継続的に上げることができる、独自の投資運用業の姿を追求していきます。そして、当社の株主還元の方針に基づいた施策の実施とあわせて資本効率の向上を図ります(当社の株主還元の方針は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載した「株主還元についての方針」をご参照ください)。

 

3)中長期的目標

 前述の「企業価値向上の基本方針」で当社の中長期的目標として掲げた指標は以下の図のとおりです。これらの指標達成に向けて引き続き取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営を行っていきます。

 

0102010_002.png

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社は、地球環境や社会システムが大きく様変わりする中、「いかなる時でも投資を継続する」という投資哲学を持ち、創業以来変わらない「投資」という手段を通じて、「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」というパーパスの実現、ならびに持続可能な社会の実現を目指しています。このようなサステナビリティに関する基本的な考え方や、環境・社会・ガバナンスというESG要素の課題及び対応方針について、ステークホルダーの皆様と共有し、持続可能な環境・社会の実現を目指すために、当社は2023年6月に「サステナビリティに関する基本方針」を策定しました。

 当社のサステナビリティに対する取り組みは、①企業としてのESGの取り組みの強化と、②事業を通じたサステナビリティへの貢献の大きく2つに分けられます。当社は未上場企業投資という事業を通じて、投資先企業自体のサステナビリティを高めるとともに、その事業が社会のサステナビリティに貢献できるよう、積極的に関与していきます。

 

(2)ガバナンス

 当社は、ESG課題を含むサステナビリティに関する課題への対応を経営上の最重要課題の一つとして認識しています。サステナビリティに関しては全社的に取り組み、管理部がその推進状況を管理し、年に1回以上、取締役会において取り組みを報告します。取締役会は、具体的な活動方針や推進施策等に対し、進捗状況の検証や審議を実施することで取り組みの監督を行います。

 

0102010_003.png

 

 事業を通じたサステナビリティへの貢献に関しては、投資委員会等において状況を確認し、改善策を検討します。取締役会から委託を受けて設置している投資委員会では、投資候補企業のESGリスクや、サステナビリティに関するリスクと機会を含む事業の成長性も踏まえて投資の可否を審議します。投資先企業のサステナビリティに重要な影響を及ぼす事案が発生した場合には、投資委員会の構成員に対して速やかに報告する体制を整えています。さらに、投資先企業のESGリスクを見極め、適切な取り組みを推進する活動(サステナビリティチェック)を定期的に実施するとともに、四半期に1回、ポートフォリオ全体のリスクを把握し、課題を検討します。

 投資先のESGリスクを見極め、適切な取り組みを推進する活動(サステナビリティチェック)に関しては、「(3)戦略」をご参照ください。

 

(3)戦略

 当社のサステナビリティに対する取り組みは、「(1)サステナビリティに関する考え方」に記載のとおり2種類に分けられます。当社のみならず、投資という事業を通じて投資先企業がもたらす影響についても積極的に関与していくことで、サステナブルな社会への貢献に努めていきます。

 

0102010_004.png

 

①企業としてのESGの取り組みの強化

 当社は、パーパス実現に向け、さまざまなサステナビリティに関する課題の中でも、特に環境、社会、ガバナンスについて以下の課題を認識し、取り組みを行ってまいります。

 

●E(Environment):当社では、環境を重要な社会課題と認識し、自社の環境負荷低減を推進します。効率的なオフィス運用、積極的なリモートワークの推進などを通じて、エネルギー使用量の削減及び温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。社内会議での紙資料の配付・保管を原則廃止し、ペーパーレス化を徹底するとともにクラウド化を進め、2018年2月の本社オフィス移転を機に、フリーアドレス制を導入しました。また、当社は2023年5月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force оn Climate-related Financial Disclosures。以下、TCFD)による提言(以下、TCFD提言)へ賛同しました。TCFD提言をふまえた情報開示については、「(6)気候変動への対応(TCFD提言をふまえた情報開示)」をご参照ください。

 

●S(Social):当社の事業の本質は、社会課題を解決する有望企業の発掘と投資、投資後の対話を通じた成長支援とEXITです。また、長年培った豊富なリソースと多くの企業との幅広いネットワークを活かし、起業家と大企業とのマッチングや新事業開発に関する企業との勉強会、スタートアップ向けの経営人材支援事業等の、様々な取り組みを行っています。このように投資事業を通じてスタートアップエコシステムの発展に貢献し、社会及び経済を循環させることで持続的な社会の実現を目指します。このため、投資事業を支えるための人材育成と組織基盤を重視する人材戦略を進めています。例えば、「強い個の育成」のために、当社独自のキャピタリスト育成ノウハウを活用し、パートナーを中心とした採用・育成体制の構築、インストラクター制度やメンター制度の充実を図っています。また、「組織基盤の発展」のために、中途採用の強化や人事制度の継続的な見直し、マネジメントの育成強化、当社のパーパス・ミッション・バリューを軸とした社内カルチャー浸透プロジェクトを実施しています。また、フルフレックスタイム制やリモートワークによる柔軟な働き方を推進し、育児・介護等の支援制度と合わせて、両立しやすい環境を整えています。従業員の心身の健康にも配慮し、各種施策を実施するとともに社内交流を促進する制度等を通じて、より働きがいのある職場作りに努めています。

 

●G(Governance):ベンチャー投資・バイアウト投資というリスクの高い事業を営む当社にとって、経営のガバナンスを高め、公正で迅速な意思決定を行うことは非常に重要です。当社はこれまで、経営の独立性、株主の皆様との価値共有、資本効率の向上と成長戦略推進等のテーマで、毎年段階的にガバナンスの強化を進めてきました。具体的には、2015年6月に監査等委員会設置会社へ移行して以降、取締役会での社外取締役比率の向上、女性取締役の選任、指名・報酬委員会の設置などを実施してきました。また、2021年3月期には、資本効率の観点から、投資活動の継続に必要な資金を明示し、それを超える部分は株主還元を検討する方針を決め、自社株買いを実施しました。さらに、2022年12月に公表した「企業価値向上の基本方針」の実現に向けて組織基盤を強化するとともに、事業を通じたサステナビリティへの貢献の施策に取り組んでいます。

 

②事業を通じたサステナビリティへの貢献

 事業を通じたサステナビリティへの貢献に関しては、サステナビリティに貢献する事業への投資活動と、投資先のESGリスクを見極め、適切な取り組みを推進する活動の2種類があります。

 当社の事業の本質はESG投資の考え方に強く合致するものです。社会課題を解決する有望企業の発掘、投資後

の対話を通じた成長支援、そしてEXITに至るまでの過程にESGの観点を取り入れ、投資先の事業成長を通じてサステナビリティの実現に貢献し、当社の競争力と企業価値を高めていきます。

 投資活動の最初の段階となる事業ポテンシャルの評価にあたっては、ESGやSDGsの側面からのリスクや社会的ニーズが重要な要素です。その評価をもとに、サステナブルな成長実現のための課題についても、投資候補先企業の経営陣と議論し、投資実行の判断を行います。投資実行後は、サステナビリティチェックを通じ各社の取り組み状況を半年ごとにモニタリングしつつ「ポートフォリオ会議」においてサステナビリティ観点でも課題が見られる企業に対する対応策を検討します。

 これら取り組みを通じてサステナビリティにおける課題を把握した上で、投資先の成長支援を行います。投資先の事業立ち上げを最優先としつつ、管理体制の整備を並行して進めることが重要となります。さらに、成長の段階に応じて人材採用を含め、営業・開発・管理の体制構築をサポートします。こうした取り組みを通じ、将来的に大きな社会的インパクトを生み出す企業を輩出し、サステナビリティの実現に貢献します。

 

0102010_005.png

 

●サステナビリティに貢献する事業への投資活動

当社は「すべての投資先企業が、事業を通じてサステナビリティに貢献している」と考えています。投資対象となる有望企業の発掘の際には、これらの企業の「事業が社会的意義を有しているか」や「事業が社会課題の解決に貢献し得るか」も考慮し、この社会的意義の実現こそが、サステナブルな社会への貢献だと捉えています。

当社は、社会に未だ見ぬ価値を見出し、社会的意義を実現する事業への投資を継続することで、投資先企業を通じた持続可能な社会の実現を目指しています。従来より投資対象は特定の業種・領域に限定しない方針としていますが、「脱炭素社会や社会課題の解決に直接的に貢献する企業」は、ESGの観点においても重要な投資領域と捉えています。

●投資先のESGリスクを見極め、適切な取り組みを推進する活動

 当社の投資先となる企業には、環境・社会・ガバナンスへの取り組みに関して様々なリスクが内在しています。特にシード・アーリーステージのスタートアップにおいては、経営リソースが限られているため、自社のみでESGリスクを改善することが困難なケースも少なくありません。そのため、当社では投資前・投資後のタイミングにおいて、投資先企業のESGリスクの見極めとESGの取り組みの強化に向けた活動を行っています。

 投資前においては、起業家・企業・事業の各要素において、ESGのリスクが対応可能な範囲であるかを見極めるため、デュー・デリジェンスに力を入れています。投資調査に関する専門チームを組成したうえで、投資委員会においても十分な議論を行い、ESGリスクの高い企業に対して投資を行わないように努めています。

 投資後においては、投資先の企業活動のモニタリングとESGリスクの対応支援に取り組んでいます。半期に1度、すべての投資先企業を対象としたサステナビリティチェックを行い、ESGに関するリスクを未然に洗い出します。潜在的なリスクが認められる投資先企業に対しては、個別に啓蒙活動や各種支援を行い、ESGリスクの最小化に努めています。

 

(4)リスク管理

 当社は、パーパスの実現のため、当社の事業におけるサステナビリティに関するリスクと機会を適切に把握、管理するように努めます。具体的には、取締役会から委託を受けて設置している投資委員会では、投資候補企業のESGリスクや、サステナビリティに関するリスクと機会を含む事業の成長性も踏まえて投資の可否を審議します。投資委員会は、取締役社長を含むパートナー等で構成され、原則として毎週開催しています。また、投資先企業のサステナビリティに重要な影響を及ぼす事案が発生した場合には、投資委員会の構成員に対してすみやかに報告する体制を整えています。さらに、投資先企業のサステナビリティチェックを定期的に実施するとともに、四半期に1回、ポートフォリオ全体のリスクを把握し、課題を検討します。

 ESGに関するリスク及び機会に関しては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

 なお、人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標及び目標については、「(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」をご参照ください。

 

(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の記載のように、当社は、2022年12月に公表した「企業価値向上の基本方針」において、株主の皆様の利益拡大に繋がる企業価値向上を目指し、成長戦略の推進と、純資産の圧縮による資本効率の向上を進めています。企業価値向上を持続的に向上させるためには、人材の強化が欠かせません。具体的には、「強い個の育成」と、「強固な組織基盤の構築」の2点が必要になります。

 

0102010_006.png

 

 当社の成長は、その事業の特性上、ベンチャーキャピタリストをはじめとする「個」に大きく依存します。そのため、いかにして優秀な「個」を採用し育てていくかが、事業上の大きな課題となります。当社の人材の採用・育成は、持続的な企業価値向上の実現に向けた経営・事業戦略と連動した要員計画にしたがって行っています(下図1)。特に投資部門においては、これまでも継続している新卒採用に加え、様々な経験・スキル・ポテンシャルを有するキャピタリスト人材を継続的に採用しています(下図2)。加えて、当社が培ってきた独自のキャピタリスト育成モデルにより、良質な投資を実現する強い「個」を育成していきます(下図3)。

 また、当社および、投資先を取り巻く環境も、大きく変化をしています。そのため、キャピタリストだけではなく、投資先支援やファンド運用、コーポレート分野など、各領域においてもプロフェッショナル人材の採用・定着・育成も重要となり、力をいれています(下図4)。こうした多様な強い「個」を持つ優秀な人材の採用・定着・育成には、人事制度をはじめとする評価・処遇等の仕組みも重要な要素です(下図5)。

 加えて、ファンドパフォーマンスの向上を支える組織力・仕組みの構築も欠かせません。組織としてのナレッジ蓄積・共有や経営の効率化等の仕組み作りは、個の成長も促し、組織として持続可能性を高めます。また、組織としての対応力の強化は投資事業において高い付加価値を生み出すことに繋がると考えます(下図6)。

 さらに、多様な「個」の力を最大化し、「個」の力を最大限発揮し続けられるようにするためには、働く環境づくりも重要です。社員のモチベーションを高め、心身ともに健康的に働き続けることができ、ライフステージの変化にも対応できる体制や仕組みの構築も、当社が取り組んでいる重点事項です(下図7)。

 強い「個」の育成と、強固な組織基盤構築に向けて欠かすことのできない要素が、パーパス・ミッション・バリュー・アイデンティティに表現されるカルチャーの醸成・浸透です。様々なバックグラウンドを有する多様な人材の集団が、一丸となって高いパフォーマンスを発揮するためには、共通するカルチャーを醸成し、浸透させていくことが欠かせません(下図8)。

 このような取り組みを通じ、強い「個」と、強固な組織基盤の構築を実現することで、持続的な企業価値の向上とパーパスの実現に努めてまいります。

 

0102010_007.png

 

①経営・事業戦略と連動した要員計画

 2022年12月公表の「企業価値向上の基本方針」に基づき、将来的な成長を見据えた事業戦略の実現に向け、各部門の計画のもと、必要な採用と育成を行っています。

 

②多様なキャピタリストの採用

 投資部においては、以前より行ってきた新卒採用を継続して行い、ポテンシャルの高い人材を確保しています。採用にあたっては当社の事業への適性はもとより、アイデンティティやパーパス等に共感し、強いコミットメントを持つ人材であることを重視しています。そのため採用プロセスも、作りこまれたプログラムのインターンシップを複数回実施するなど、より丁寧に行っています。並行して、キャピタリストの中途採用も積極的に進めています。多様なバックグラウンドをもつ人材が、その経験やスキルを活かし強い「個」の力を発揮してもらうことで、組織全体が環境や価値観の変化に対応し、パフォーマンス向上につながるものと考えています。

 また、即戦力人材を重視し、プロフェッショナル人材の採用を行ってきたバイアウト投資部門(事業投資部)においても、若手人材の採用・育成方針を打ち出し、採用活動を行っていきます。新卒採用を中心とし、組織的なベンチャーキャピタルとしての歴史をもつ当社の強みや経験値を、ここでも活かしつつ取り組みを進めます。

 当社ではこうした多様性を確保していることを示す指標として、女性社員比率を3分の1以上にすること、全管理職数に占める女性管理職の割合(女性管理職比率)を2割以上にすること(いずれも2025年3月末まで)及び管理職全体における中途採用者の管理職の割合を3分の1以上確保していくことを目標としています。

 

③独自のキャピタリスト育成

 長年にわたり新卒採用を継続してきたことから、様々な経験値が蓄積されており、若手社員の育成モデルもその一つと言えます。若手社員には、一人ひとりにインストラクターがつき、投資担当として独り立ちするまでをサポートする体制をとっています。新卒として入社後は実戦的なプログラムも組み合わせた形で基礎的な研修を実施します。その後はOJT中心で育成していきますが、要所では様々なテーマでのOff-JT研修も絡めながら早期の成長を促しています。インストラクターは週次でのミーティングでインストラクティの状況を共有し、随時、課題発見・解決、育成ノウハウの共通化を図るなど、育成システムの進化に取り組んでいます。加えて、中堅社員に対しても、経験豊富なキャピタリストがメンターとしてサポートを行い、より強い「個」への成長を促進し、パフォーマンス向上につなげています。また、当事業年度には投資部にHRBP(Human Resource Business Partner)機能を設け、事業戦略に基づく採用や育成・評価の仕組みの高度化に向けた取り組みを開始しています。

 

④各領域におけるプロフェッショナル人材の採用・定着・育成

 投資先支援(ビジネスディベロップメント)部門、ファンド運用部門、管理部門においても性別、年齢、国籍を問わず、プロフェッショナル人材の採用・育成を進めています。投資先支援においては、投資先企業の成長ステージによって必要とされる支援が異なり、Sales&Marketing、人材採用、バックオフィス構築等それぞれの領域において、スペシャリストが在籍し投資先企業の状況に適した支援を行う体制を構築しています。

 ファンド運用部門は環境変化に対応しつつ、継続的にリスクマネーを調達・運営する役割をもち、当社事業の根幹を支える部門であることから、既存メンバーが築いてきたステークホルダーとの関係性をはじめ様々な経験値を受け継ぐプロフェッショナル人材の採用・育成を行っています。管理部門においても、常に進化しつつ、全社の高いパフォーマンスを支えるために、高い専門性や豊富な経験を持つプロフェッショナル人材の採用を行っています。

 

⑤評価・処遇、サクセッション

 当社では、多様なバックグラウンドがある人材の確保やリテンション、社員に対する処遇の適正化等を目的として、2024年1月に人事制度の改定を行いました。評価グレード毎の期待役割をより明確にし、成果連動報酬の上限引上げ等により成果に報いる設計としました。また、当社の強みである組織力・カルチャーの維持・発展のため、当社のバリューを軸とした行動評価指標も新たに加えています。

 また、次世代を担うマネジメント系の人材層の形成を目的としたサクセッションも継続して行っています。

 

⑥ファンドパフォーマンスの向上を支える組織力・仕組みの構築

 少数精鋭の組織で最大の利益を生むためには、高い専門性を有する各事業部の業務の形式知化、効率化、ノウハウの伝承等の仕組みの構築、事業部間の適切な連携を促す仕組みの構築を始めとする強固な組織基盤の構築が欠かせません。各事業部門における業務プロセス課題について整理を行い、ITを活用した生産性の向上や知的資本の蓄積・活用促進を行うべく、取り組みを開始しています。

 

⑦高いモチベーションで心身ともに健康的に働き続けられる環境づくり

 フルフレックスタイム制、開放的なオフィスでのフリーアドレス、リモートワークの推進、副業の推奨など多様な人材が活き活きと働けるための取り組みを継続的に行っています。コロナ禍以前よりシステム環境の整備、ペーパーレス化が進んでおり、フレックスタイム制・リモートワークを併用することで、業務の継続性を保ち、パフォーマンスを支えることができる体制となっています。より働きやすい環境を整えていくことは、社員のエンゲージメントを高めると同時に、優秀人材の獲得・育成、強い「個」の集団形成に直結し、その結果として全体のパフォーマンス向上につながるものと考えています。

 また、社員一人ひとりが能力を発揮するためには、心身ともに健康であることが重要であり、健康面においても各種施策に取り組んでいます。産業医・保健師と連携し、個別面談や健康関連情報の発信、健康診断受診率100%の継続を目標に、早期受診の促進と受診後のフォローも積極的に行っています。2023年4月に健康優良企業として「銀の認定」を受け、2024年3月には「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」の認定を取得しました。継続して健康経営に資する各種取り組みを進めています。

 人事制度面では育児・介護休業制度等を整え、課題である男性社員の育児参加については育児休業や配偶者出産休暇の活用を促し、長期間の育児休業実績も出ています。

 

⑧強みを継続させるカルチャーの醸成・浸透

 当社は1973年の設立以来、常に業界をリードする気概を持ちながら事業を継続してきました。2023年2月に策定したパーパス「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」や当事業年度に更新したバリューを切り口に、当社の永続的な強みを浸透させる「カルチャー醸成」の取り組みを継続的に行っています。新卒採用とともに近年の積極的な中途採用により、多様なバックグラウンドを持つ社員が融合しつつ個々の力を発揮していますが、改めて当社の強みやカルチャーを認識し共有することで、より一層のシナジー効果を生みだそうとしています。各種ワークショップの実施や、OB・OGとのアルムナイ活動などを通じ、当社が50年にわたり培ってきた価値観や強みに触れると同時に、再認識することで、社員一人ひとりが高いパフォーマンスを出せるよう、各種取り組みを進めています。

 

 

●人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標及び目標

・女性社員比率を2025年3月末までに3分の1以上にすること

 2024年3月末実績:27.8%

・全管理職数に占める女性管理職の割合(女性管理職比率)を2025年3月末までに2割以上にすること

 2024年3月末実績:15.4%

・管理職全体における中途採用者の管理職の割合を3分の1以上確保

 2024年3月末実績:50.0%

 

(6)気候変動への対応(TCFD提言をふまえた情報開示)

①ガバナンス

 「(2)ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

 当社はTCFDの情報開示フレームワークに沿い、地球の平均気温が産業革命以前に比べて4℃、1.5℃上昇することを想定した2つのシナリオを用いて気候変動に係るリスクと機会の特定を行いました。その結果、当社の事業において影響度が大きなものを中心に以下にまとめています。今後、脱炭素社会の実現に向けた対策の検討を行っていきます。

 

●リスク

区分

種類

想定されるリスク

時間軸 *

影響度 **

移行リスク

政策・法規制

炭素税をはじめとするカーボンプライシング導入、省エネ・GHG排出規制強化による対応コストの増加

中~長期

関連法規制の増加、情報開示義務拡大に伴う事業運営コストの増加、および怠った場合の罰則等の負担

短期

市場

ESG投資および環境関連ビジネス市場の競争激化による、ファンド募集・投資運用における競争激化、コストの増加、および投資倍率の低下 ※1

短~長期

評判

当社および投資先の気候変動対応が不十分なことによるステークホルダーからの評判低下リスク

短~中期

技術

投資先企業が有する技術の陳腐化や技術開発の失敗、競争激化によるコスト増による投資先企業の価値が低下する可能性

中~長期

物理リスク

急性

風水害の激甚化等の災害をトリガーとした金融市場の破綻や当該市場における市場暴落や大型倒産

中期

慢性

気温上昇による事業所およびデータセンター等の運営コストの増加

中期

 

●機会

区分

種類

想定されるリスク

時間軸 *

影響度 **

機会

市場

脱炭素に貢献する事業を展開する企業への投資機会・EXIT機会の増加、評価額の増加による収益機会の拡大 ※2

短~中期

サービス

積極的な気候変動対応によるレピュテーション向上、これに伴う投資機会・ファンド出資獲得の機会増加

短~中期

 

* 各リスク・機会の候補が発生し始める時間軸(影響期間)の分類は以下の考え方に基づく。

長期・・・今後10〜30年の間に影響が発生

中期・・・今後4〜9年の間に影響が発生

短期・・・今後0〜3年の間に影響が発生

** リスク・機会の候補から、当社事業における重要度の分類は以下の考え方に基づく。

大・・・リスク・機会が与える影響が大きい

小・・・リスク・機会が与える影響が小さい

 

※1 現時点では具体的に以下のようなリスクを想定しています。

・投資候補先発掘から投資判断・実行にかけてのフェーズでの調査コスト増加

・ESG特化型ファンド参入による投資競争激化

・ESG関連サービスを提供している会社のバリュエーション上昇による取得コストの増加

・投資先の企業価値向上フェーズにおけるESG支援コストの増加

・ESGチェック基準の厳格化等によるEXITまでの期間の長期化等のリスク

※2 現時点では具体的に以下のような機会を想定しています。

・再生可能エネルギー分野をはじめとする、環境関連ビジネスを行う企業への投資機会の増加

・脱炭素など環境関連ビジネスを提供する企業へのM&A需要増加に伴うEXIT機会の増加および評価額の増大等の機会

 

③リスク管理

 「(4)リスク管理」および「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

④指標・目標

 当社は、2022年3月期より温室効果ガス(GHG)排出量におけるScope1、Scope2の算定を行っております。詳細は右記当社WEBサイトURLをご参照ください。https://www.jafco.co.jp/company/ESG/

 また、GHG排出量(Scope1、2)の削減目標の設定、およびサプライチェーンにおけるGHG排出量(Scope3)の算定については、今後対応の検討を進めて参ります。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び対策に努めてまいります。ただし、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況

 当社グループは主に当社グループが管理運営するファンドの資金を使って、日本・アジア・米国で未上場株式等への投資を行っております。当社グループはファンドからの管理報酬及び成功報酬に加え、ファンドに自己資金を出資することにより、投資成果であるキャピタルゲインをファンドの他の出資者とともに享受します。

 ファンドのパフォーマンスは、日本、アジア地域及び米国の政治・経済・社会情勢や株式市場の動向に影響を受けます。そこで、当社グループでは、日本・アジア・米国とグローバルに投資を行うことにより地域的なリスクの分散を図っています。また、当社グループが運用する未上場企業投資ファンドは、通常3年前後の期間をかけて投資先企業の組入れを行うため、時間的にも一定期間に渡る分散が行われることになります。さらに、IPOに限らずM&A等によるEXIT(売却)の機会も絶えず追及しており、株式市場やIPO市場の動向が当社グループの収益基盤へ与える影響を低減できるように努めています。

 しかし、不況に陥った場合には、投資先企業の業績不振につながる可能性があり、また起業環境が悪化することで、当社グループの投資対象となりうるスタートアップの数が減少する可能性があります。未上場株式等への投資は、投資からEXITまで数年程度の期間を要するため、EXIT時点での株式市場やIPO市場が低調な場合には、ファンドが保有する株式等の流動化機会が限られる可能性があり、またファンドが得るキャピタルゲイン及び成功報酬も大きく変動する可能性があります。さらに、地政学的なリスク、感染症の世界的流行その他の要因により、世界の広範囲において経済や株式市況が悪化する場合は、当社グループにおける地域的なリスク分散の効果を発揮できない可能性があります。こうした場合は、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)未上場株式等への投資

 当社グループ及びファンドは、未上場株式等を投資対象としており、その中でも近年では創業期のシードや事業立ち上げ時期のアーリーステージの割合が高まっています。こうした未上場企業には次のような特徴があります。

・事業の不確実性

未上場企業は一般に収益基盤や財務基盤が不安定であるばかりでなく、売上がないまたは僅少である場合も多く、経営資源に制約があること等から、景気や市場動向、競争状況等の影響を受けやすく、事業の不確実性が高いといった特徴があります。

・経営・管理体制の脆弱性

未上場企業は経営体制や管理体制が未整備であることが多く、そのためコーポレート・ガバナンスが機能しなかったり、内部統制上の不備が生じてしまうことで、その事業の継続性に重大な影響をもたらすことがあります。

 当社グループでは、有望企業を厳選し、1社あたりの投資金額と保有シェアを高め、投資先会社への経営関与を強化しています。

 当社グループにおける投資判断は、日本・アジア・米国の拠点ごとに設けた所定の委員会において行っています。そこでは、投資検討先が対象とする市場の成長性、製品/サービスの革新性や競争力といった事業性、マネジメントチームの評価、投資採算や投資条件、想定する投資後の企業価値向上策やEXIT戦略、さらにはリスクや事業のサステナビリティなどの観点から議論を行った上で投資の可否を決定します。

 しかしながら、シード・アーリーステージ段階にある企業の潜在力を見極めることは容易ではなく、高い潜在成長力を有する企業への投資機会を逸した結果、当社グループ及びファンドが大きな投資収益をあげることができない可能性があります。

 投資後は、成長ステージなど投資先企業ごとの状況に応じて、人材採用、営業・マーケティング、大手企業との資本・業務提携、管理体制整備・上場準備、追加の資金調達といった面でのサポートを提供しています。その際、当社グループが培ってきた豊富なリソースとネットワークの蓄積を活用します。このようにして投資先の事業の成長と企業価値の向上を図り、キャピタルゲインと投資倍率の向上に努めています。

 また、投資先企業の事業が当初の計画通りに進捗せず、財務状況が悪化した結果、他社への事業売却、倒産等に至り、投資資金が全く回収できない場合もあります。さらに、投資先企業の株式上場や第三者との組織再編、事業売却等M&A等による出口が保証されているものではなく、株式上場やM&A等があった場合であっても、その株式等を、投資コストを上回って売却できる保証はありません。加えて、未上場株式等は、上場株式等に比べ、発行体情報の正確性が保証されておらず、流動性が著しく劣る等の性質があるため、未上場段階で売却を行う場合には、その価格が想定を大きく下回ることがあります。未上場株式等への投資にはこうしたリスクが存在することから、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)専業であること

 当社グループは、ファンドの管理運営、日本・アジア・米国での未上場株式投資に経営資源を集中し事業活動を行っており、現状では未上場株式投資以外に事業を拡大することは考えておりません。2018年3月に導入したパートナーシップモデルを進化させ、これまでに蓄積してきた組織基盤との協働を図りながら、投資運用力の向上によるファンドパフォーマンスの向上やファンド募集力の強化を目指しています。しかし、当業界は世界の政治・経済・社会の情勢変化や世界各国の株式市場・IPO市場の影響を強く受ける業態であるため、このような変化等が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4)競合

 当社グループの主たる業務である未上場株式投資では、当社グループに類する専業のベンチャーキャピタルや、事業会社によるいわゆるコーポレートベンチャーキャピタルといった競合他社との間で、有望な未上場企業への投資案件獲得競争が激しさを増しております。当社は、2018年3月に導入したパートナーシップモデルを進化させ、同時にこれまでに蓄積してきた組織基盤やネットワークも活用して投資先企業の成長をサポートすることで競合他社との差別化を図り、ファンドパフォーマンスの向上を目指しています。

 こうした当社の投資スタンスをスタートアップを率いる起業家に訴求するため、2020年10月より「起業家のいちばん近くに」というブランドスローガンと「& JAFCO」というコンセプトワードを掲げています。当社HPでは、オウンドメディア等を通じて、投資先企業、当社の投資活動やビジネスディベロップメントの取り組みを紹介しています。

 しかし、こうした競合状況により有望企業への投資機会を逸した場合や、必ずしも当社グループが望む条件ではない場合は、十分なキャピタルゲインをあげることができず、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)株価下落

 投資先企業のIPO後は、株式市況、取得コストや保有残高、株価、出来高の動向、当該投資先企業の事業の状況、当該株式を保有するファンドの契約期間等を総合的に勘案しながら、当社グループ及びファンドが保有する株式を売却しています。また、買い手となる機関投資家との間で証券会社を介して諸条件が折り合った場合、「ブロックトレード」と呼ばれる相対取引等により一定程度まとまった株数を売却することもあります。

 しかし、保有する上場株式の株価の下落は、ファンドのパフォーマンスならびに当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、厳選集中投資により当社グループ及びファンドによるIPO時点の持株比率が比較的高い水準である場合は、株価下落による悪影響が一層大きくなる可能性があります。

(6)為替レートの変動

 当社グループは、日本だけでなく、アジア・米国を主とする海外での地域分散投資を行っております。こうした海外投資により保有する資産は、米ドルを中心とする外貨建であるため、為替レートの変動は、ファンドのパフォーマンスに影響します。当社グループが運用する未上場企業投資ファンドは、通常3年前後の期間をかけて海外投資を含む投資先企業の組入れを行います。また、組入れ後の海外投資先企業の株式売却及び当該売却代金の分配は、ファンド運用期間(通常10年間)満了までの期間にわたって行われます。その結果、海外投資により外貨建て資産を保有する際及び当該外貨建て資産を流動化する際の為替レートについては、一定期間に渡る分散が行われることになります。しかしながら、未上場株式等への投資は、多くが投資からEXITまで数年程度の期間を要し、その間の為替レートの変動の影響を完全に払拭することは困難であり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)ファンド募集

 当社グループにおける投資は、基本的にファンドの資金を使って行っております。当社ファンドの出資者は主に、運用を目的とする金融機関等の機関投資家層や、スタートアップとの接点を求める事業会社です。ファンド出資者に対しては、ファンドの運用状況、投資先企業の事業の状況等に関する定期的なレポートを送付するほか、出資者のニーズに応じて随時面談し、コミュニケーションを図っています。こうして、運用の透明性を確保するとともに、出資者が必要としている情報を提供することで、信頼関係の醸成に努めています。

 ファンド募集と出資者対応を主な業務とする当社のファンド運用部は、投資先企業の製品・サービスの紹介や、セミナー等のイベント開催など多様な接点を通じて、ファンドの社会的意義、当社の投資活動やファンド運用に対する理解を深めてもらう機会をつくり、潜在的なファンド出資者層を開拓しています。

 ファンド募集は、新規投資の組入期間に合わせて、3年から4年の周期で行うこととしており、2024年3月期においては、主に日本国内でのベンチャー投資及びバイアウト投資を行う基幹ファンド(ジャフコSV7シリーズ)ならびに台湾ファンド及び米国ファンドの募集をクロージングしました。

 こうしたファンド募集力向上の取り組みにもかかわらず、政治・経済・社会情勢その他ファンド募集に係る環境の悪化、ファンドパフォーマンスの低迷、ファンド条件や管理運営手法に対するファンド出資者ニーズとの乖離といった要因により、今後のファンド募集においてファンド出資者から十分な資金を集めることができない場合、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、管理報酬が減少し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は当社グループが運営管理するファンドに一定の自己資金を出資することで、継続安定的にファンドを組成してリスクマネーの供給という社会的使命を果たすとともに、当社自身もキャピタルゲインを獲得してきました。2024年3月末時点における直近の基幹ファンドであるジャフコSV7シリーズにおける当社のファンド出資比率は22%となりましたが、新設ファンドサイズを対象マーケットにあわせて段階的に拡大させる一方で、当社の出資比率は段階的に低減させ、中長期的には新設ファンドへの当社出資比率を20%にすることで、資本効率を向上させることを目標としています。しかし、外部投資家からの出資額を想定どおりに増やすことができない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8)情報の管理

 当社グループが保有する取引先の重要な情報及び個人情報の管理については、情報管理規程、プライバシーポリシー及び各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、情報管理体制の整備を行っております。世界的にサイバー攻撃の脅威が高まる中、当社グループでは、ファイアウォールの整備、マルウェア対策やデータ暗号化といったサイバーセキュリティ対策を実施・強化しております。また、ペーパーレス化を積極的に推進することで役職員が書類を社外に持ち出す機会を減らし、重要書類の紛失リスク低減を図っております。さらに、役職員に対し通達や研修等を通じて情報セキュリティに関する意識の涵養に努めております。しかし、今後、外部からの不正アクセス、役職員その他の関係者の悪意または過失による流出等といった事態によりこうした情報が漏洩した場合は、損害賠償請求や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9)法的規制

 当社グループは、ファンドの運営管理、未上場株式投資を日本・アジア・米国を中心に行っており、その活動にあたっては日本及び各関係国の種々の法的規制(会社法・独占禁止法・租税法・金融商品取引法・投資事業有限責任組合契約に関する法律・外国為替管理法・マネロン対策関連・財務会計関連等)を受けることとなります。当社グループでは、管理部門を中心とする関係部署が業務に係る法的規制の導入・改廃に関する情報収集と対応を行っております。しかし、法的規制が及ぶことにより当社グループの活動が制限される場合及びこれら規制との関係で費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(10)法令違反等

 当社グループでのコンプライアンスに係る情報は、コンプライアンスへの取り組み全般を統括するコンプライアンス・オフィサーに集約されます。また、各部門の長が担当部門におけるコンプライアンス責任者として日常におけるコンプライアンスを推進し、統括部署としての管理部がその取り組みを支援・管理するとともに、内部監査部門がこうした状況を監査します。また、管理部門は法令等の制定・改廃に関する役職員への情報発信や、コンプライアンスに係る研修や勉強会を実施しています。万が一法令や社内規則等に抵触する事案や事務事故等が発生した場合は、コンプライアンス・オフィサーとコンプライアンス統括部署に情報集約した上で、当面の善後策の検討・実施と再発防止の徹底を図ります。さらに、コンプライアンスに係る事項の通報制度として、コンプライアンス・オフィサー、管理部門および独立社外取締役を通報窓口とする「ジャフコホットライン」を設置しています。

 こうした取り組みにもかかわらず、当社グループ及びその役職員が、投資活動における関連法規や各種の契約等への違反、ファンドの無限責任組合員又はゼネラルパートナーとしての善管注意義務違反、又は業務上の過誤や不祥事等により、投資先企業、ファンド出資者その他の第三者に損害を与えた場合は、当該損害に対する賠償責任を当社グループが負う可能性があります。さらに、こうした法令違反等による社会的信用の低下や監督当局の行政処分等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11)役員派遣

 当社グループは、投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。しかし、その役職員個人に対し役員損害賠償請求等があった場合、当社グループによるその個人に生じた経済的損失の全部又は一部の負担、当社グループの使用者責任や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、投資先企業において可能な範囲で会社役員賠償責任保険(D&O保険)の付保や責任限定契約を締結するとともに、当社加入のD&O保険では役員派遣されている役職員も補償対象に加えておりますが、当社グループの業績及び財政状態への悪影響を完全には回避できない可能性があります。

(12)有能な人材の確保や育成

 当社グループの将来の成長と成功は、その事業の特性上有能なベンチャーキャピタリスト等の人材に大きく依存します。当社では、継続的に行ってきた新卒採用と、積極的な中途採用活動により人材を獲得し、若手職員についてはインストラクターやメンターとして任命した役職員がサポートするなど、OJTを中心にその育成に取り組んでいます。2018年3月よりパートナーシップモデルを導入し、実績ある個人(パートナー)が投資運用の重要な意思決定を行い、ファンドパフォーマンスにコミットするとともに、ファンドの運用成果を個人が享受できる仕組みとしました。あわせて、投資の成果に対する直接・間接の貢献に応じ、職員が成果配分を受ける制度を設けています。また、フルフレックスタイム制、オフィスのフリーアドレスやリモートワークの推進、副業を推奨するなど柔軟性が高いワークスタイルを導入するとともに、職員の健康面や人事制度面においても各種施策に取り組んでおります。さらに、当社グループの強みを継続させるためカルチャーの醸成・浸透を図り、職員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できるよう取り組んでおります。こうした制度・施策を実施することで、多様なかつ優秀な人材の確保・育成に努めております。

 これらの取り組みにもかかわらず、有能な人材を確保できなかった場合には、当社グループの将来の成長、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、有能な人材を確保・育成し定着させるためには費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(13)感染症や自然災害の影響

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、役職員や顧客等の健康と安全を最優先して感染拡大防止を図るとともに、投資先企業の資金調達、コスト削減、収益計画の抜本的見直し等に、投資先の経営陣らとともに取り組みました。

 しかし、新たな感染症の出現・拡大等により、売上減少や資金調達難という影響を受ける投資先企業が再び増える場合は、当社グループで投資損失引当金を繰入れるケースが増加するリスクや、投資先企業のIPO、M&AなどのEXITが低迷するリスクがあります。

 また、感染症の流行のほか、地震・台風等の自然災害やテロ活動等により人的・物的損害やシステム障害といった事象が発生し、当社や投資先企業等の事業活動に制約が生じる可能性があります。当社では事業の継続のため情報システムのクラウド化などの措置を図っていますが、こうした事態がファンドのパフォーマンスに影響し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(14)ESG関連

 企業経営や投資活動においてESGやサステナビリティの観点が重要視され、当社においても継続的に取り組んでいくことが求められます。

 当社は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」にあるようなサステナビリティに関する取り組みを行っております。しかし、こうした取り組みの効果が十分に発揮されず、当社におけるESG投資や、サステナビリティ実現への取り組み、ひいては当社のESG関連リスクへの対応が脆弱であると認識された場合、当社のステークホルダーからの支持が得られずに、ファンド募集や投資活動、人的資本の確保に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社はまた、TCFD提言への賛同を表明し、今後、重要なグローバル課題の一つである気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、TCFD提言に沿ったリスクの評価・管理や適切な情報開示を進めています。しかし、こうした開示が十分でないとみなされた場合は、当社グループの企業価値の毀損につながるおそれがあり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)連結経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の当社グループの連結業績は、売上高24,443百万円(前期14,073百万円、増減率73.7%)、営業利益8,175百万円(前期△4,414百万円)、経常利益8,822百万円(前期△3,048百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益7,494百万円(前期40,571百万円、増減率△81.5%)となりました。

 当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは7社(国内6社、海外1社)であり、キャピタルゲインは対前期比では増加しました。なお、新規IPO7社のうち、ベンチャー投資によるものは5社、バイアウト投資によるものは2社でした。

 また、前連結会計年度に設立したジャフコSV7シリーズ及びJAFCO Taiwan II Venture Capital Limited Partnershipの外部出資者の出資額増加により、ファンド管理報酬も増加いたしました。なお、ジャフコSV7シリーズはファンド総額97,800百万円、JAFCO Taiwan II Venture Capital Limited Partnership はファンド総額3,000百万台湾ドル、またIcon Ventures Ⅶ, L.P.がファンド総額235百万米ドルでそれぞれ最終クロージングいたしました。

 また、当連結会計年度において、財務基盤強化のため、2023年9月28日に2028年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債を発行し、15,000百万円の資金調達を行いました。

 当社グループはファンド運用事業の単一セグメントであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは9,570百万円のキャッシュアウトフロー(前期7,245百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に法人税等の支払によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは100百万円のキャッシュアウトフロー(前期69,640百万円のキャッシュインフロー)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは6,836百万円のキャッシュインフロー(前期46,225百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の発行による収入によるものであります。

 これらの結果、現金及び現金同等物は1,875百万円減少し、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は67,606百万円(前期末69,481百万円)となりました。そのうち8,241百万円(前期末8,491百万円)はファンド出資持分であります。また、当社グループが管理運営するファンドに対して当社グループが出資金として今後支払を約束している金額は、当連結会計年度末で34,298百万円(前期末40,868百万円)であります。

 

 

(2)生産、受注及び販売の実績

 

営業投資活動の状況

 当社グループは、下図のとおり、原則としてファンド(下図①)の資金により、国内外の有望未上場企業等への投資を行っております。

 ファンドにおける営業投資有価証券の売却損益等は、ファンドの出資持分に応じて、当社グループに直接帰属いたします。また、当社グループは、ファンドから契約に基づいて管理運営に対する管理報酬と投資成果に対する成功報酬を受領しております。

 連結貸借対照表の営業投資有価証券残高は、ファンドの当社グループ出資持分(下図②)に応じた営業投資有価証券残高と当社グループ(下図③)の営業投資有価証券残高の合計額であります。

 次ページ以降の「投資実行額」「投資残高」につきましては、当社グループの営業投資活動(投資及びファンドの管理運営)を表すため、ファンド(下図①)と当社グループ(下図③)を合算した投資活動の状況を記載しております。

 

0102010_008.png

 

(注)用語説明

名  称

定    義

ファンド

当社グループが管理運営するファンド(投資事業有限責任組合契約に関する法律上の組合、外国の法制上のリミテッドパートナーシップ等)

当社グループ

当社及び連結子会社

 

①投資実行状況

①-1 エクイティ投資実行額:業種別

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

 

金 額

金 額

エレクトロニクス

293

3,722

ソフトウェア

1,621

1,033

ITサービス

21,631

18,530

医療・バイオ

1,580

2,442

サービス

6,149

3,408

製造業

4,360

912

流通・小売・外食

6,017

459

住宅・金融

136

180

合計

41,790

30,690

 

①-2 エクイティ投資実行額:地域別

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額

社数

金額

社数

日本

27,873

47

22,573

45

米国

8,630

16

4,046

14

アジア

5,286

22

4,070

10

合計

41,790

85

30,690

69

(注)1.「投資実行額」は、当社グループ及びファンドの投資実行額の合計であります。

2.外貨建の「投資実行額」については、四半期連結会計期間ごとにそれぞれの四半期末為替レートで換算した額を合計しております。

3.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。

 

②投資残高

②-1 投資残高

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金 額

社 数

金 額

社 数

上場

7,332

33

7,577

33

未上場

217,696

261

234,290

274

合計

225,028

294

241,867

307

 

②-2 未上場エクイティ投資残高:業種別

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

 

金 額

金 額

エレクトロニクス

9,030

12,458

ソフトウェア

11,710

11,653

ITサービス

140,725

154,579

医療・バイオ

9,690

11,082

サービス

19,004

16,299

製造業

15,323

15,495

流通・小売・外食

9,804

9,497

住宅・金融等

2,406

3,224

合計

217,696

234,290

 

②-3 未上場エクイティ投資残高:地域別

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

 

金 額

金 額

日本

129,940

133,800

米国

61,698

68,793

アジア

26,057

31,696

合計

217,696

234,290

(注)1.「投資残高」は、当社グループ及びファンドの投資残高の合計であります。

2.「投資残高」は取得原価で表示しております。

3.外貨建の「投資残高」については、各連結会計年度末為替レートで換算しております。

4.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。

 

③ファンドの運用状況

 当連結会計年度において、ジャフコSV7シリーズはファンド総額97,800百万円、JAFCO Taiwan II Venture Capital Limited Partnershipはファンド総額3,000百万台湾ドル、Icon Ventures Ⅶ, L.P.はファンド総額235百万米ドルで最終クロージングいたしました。

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

ファンド数

コミットメント

総額

ファンド数

コミットメント

総額

円建

 

 

(百万円)

 

(百万円)

運用中

11

229,400

11

252,800

延長中

5

60,000

5

60,000

小計

16

289,400

16

312,800

米ドル建

 

 

(千米ドル)

 

(千米ドル)

運用中

5

654,978

5

660,284

延長中

4

235,700

3

192,500

小計

9

890,678

8

852,784

台湾ドル建

 

 

(百万台湾ドル)

 

(百万台湾ドル)

運用中

2

2,507

2

5,006

小計

2

2,507

2

5,006

 

合計

 

 

(百万円)

 

(百万円)

運用中

18

327,764

18

376,502

延長中

9

91,473

8

89,146

合計

27

419,237

26

465,648

 

コミットメント総額に占める

当社グループの

出資持分割合

40.1%

35.6%

(注)1.「コミットメント総額」は、契約上出資が約束されている額の総額であります。

2.合計欄における外貨建「コミットメント総額」は、各連結会計年度末為替レートで換算しております。

 

④投資先会社IPO(新規上場)の状況

前連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)

 

投資先会社名

上場年月日

上場市場

事業内容

本 社

所在地

国内:5社

マイクロ波化学㈱

2022年6月24日

グロース

マイクロ波化学プロセスを用いた製造・販売及びライセンス事業

大阪府

㈱エアークローゼット

2022年7月29日

グロース

インターネットを用いたファッションのスタイリングおよびレンタルサービス「airCloset」の運営

東京都

リンカーズ㈱

2022年10月26日

グロース

事業パートナー・サプライヤーの探索サービス「Linkers」の運営

東京都

note㈱

2022年12月21日

グロース

個人/法人クリエイターの作品配信メディアプラットフォームの運営

東京都

AnyMind Group㈱

2023年3月29日

グロース

ワンストップ型次世代コマース・イネーブルメント・プラットフォームの開発、運営

東京都

 

当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)

 

投資先会社名

上場年月日

上場市場

事業内容

本 社

所在地

国内:6社

クオリプス㈱

2023年6月27日

グロース

ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの開発・事業化

東京都

㈱AVILEN

2023年9月27日

グロース

AI開発受託・導入コンサルティング、ディープラーニング関連ツール及びAI人材育成サービスの開発・販売

東京都

マーソ㈱

2023年12月21日

グロース

人間ドックのインターネット予約サイト「MRSO」の運営

東京都

㈱ナルネットコミュニケーションズ

2023年12月25日

グロース

自動車のメンテナンス管理・自動車のリース・残価保証・車両買取

愛知県

㈱VRAIN Solution

2024年2月22日

グロース

製造業向け AIサービスの提供

東京都

㈱JSH

2024年3月26日

グロース

在宅医療事業及び地方創生事業

東京都

海外:1社

Roadzen Inc.

2023年9月21日

NASDAQ

自動車保険会社業務を効率化/自動化するAI技術を活用したサービスの開発・提供

米国

(注)海外企業の本社所在地は、主たる営業地域又は実質的な本社所在地を基準に記載しております。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

 ①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。 これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 ②当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

 「(1)連結経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、当年度の当社グループの売上高は24,443百万円(前期比73.7%増)、営業利益は8,175百万円(前期△4,414百万円)となりました。営業外収益は、受取配当金の減少等により、738百万円(前期比50.9%減)となりました。また、営業外費用は、社債発行費等により、92百万円(前期比34.2%減)となりました。この結果、経常利益は8,822百万円(前期△3,048百万円)となりました。特別利益の計上はありませんでした(前年度は投資有価証券売却益63,528百万円及び償却債権取立益888百万円を計上しております)。特別損失の計上はありませんでした(前年度の特別損失の計上もありません)。税効果会計適用後の法人税等は1,327百万円(前期比93.6%減)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,494百万円(前期比81.5%減)となりました。

 

b.財政状態

 当連結会計年度末における当社グループの財政状態は、流動資産160,489百万円(前期比2.8%増)、固定資産5,051百万円(前期比34.1%増)、流動負債6,566百万円(前期比74.4%減)、固定負債21,334百万円(前期比523.2%増)、純資産は137,639百万円(前期比5.3%増)となり、総資産は165,540百万円(前期比3.6%増)となりました。

 流動資産については、現金及び預金が主に法人税等の支払により前年度から1,875百万円減少、営業投資有価証券は新規IPOを含めた上場営業投資有価証券の時価上昇や為替の影響により前年度から5,390百万円増加しています。固定資産については、投資有価証券が主に評価差額の増加により前年度から1,083百万円増加しています。流動負債については、未払法人税等が前年度から20,103百万円減少し、固定負債については転換社債型新株予約権付社債15,000百万円を発行したことにより前年度から増加しております。

 

c.キャッシュ・フローの状況

 「(1)連結経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。

 

d.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等に特に重要な影響を与える要因である、投資実行、キャピタルゲイン、投資損失引当金、営業投資有価証券の残高、ファンドの管理運営業務の各状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりです。

(投資実行の状況)

 「(2)生産、受注及び販売の実績 ①投資実行状況」に記載のとおり、当連結会計年度の当社グループ及びファンドの投資実行額は、30,690百万円(前期41,790百万円)、投資会社数は69社(前期85社)となりました。年間投資実行額は350~400億円前後の水準としていますが、国内バイアウト投資等における投資実行のタイミングのずれによる影響などにより、当連結会計年度は前期比で投資実行額が減少しました。

 

(キャピタルゲインの状況)

 当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは7社(国内6社海外1社)でした。上場売却、未上場売却ともにキャピタルゲインは対前期比で増加しました。なお、新規IPO7社のうち、ベンチャー投資によるものは5社、バイアウト投資によるものは2社でした。

 高水準のファンドパフォーマンスを長期にわたって継続していくことが、当社の経営における最大のテーマです。今後もIPOの数にこだわることなく、大きなキャピタルゲインを伴うIPOやM&A等のEXITを追求していきます。各年度の業績は、大型のEXITの実現数により大きく変動するものの、運用中の各ファンドのパフォーマンスを継続的に高めていくことが、当社の長期的な好業績につながっていきます。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度(A)

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度(B)

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

対前期比(%)

(B)/(A)

金 額

金 額

営業投資有価証券

売上高①

9,665

19,013

196.7

 

売却高

9,523

18,890

198.4

 

配当金・債券利子

142

123

86.2

営業投資有価証券

売上原価②

5,981

11,076

185.2

 

売却原価

5,508

10,041

182.3

 

強制評価損

473

1,034

218.7

 

キャピタルゲイン①-②

3,684

7,937

215.4

投資倍率①÷②

1.62

1.72

 

上場キャピタルゲイン

3,026

6,010

198.6

上場以外キャピタルゲイン

658

1,927

292.8

 

売却益

2,153

5,063

235.1

売却損

1,495

3,136

209.7

 

 

(投資損失引当金の状況)

 当連結会計年度においては投資損失引当金の取崩が繰入を上回り、投資損失引当金残高は減少しております。未上場営業投資有価証券残高に対する引当率も減少いたしました。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度(A)

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度(B)

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

対前期比(%)

(B)/(A)

金 額

金 額

投資損失引当金繰入額①

7,853

2,784

35.5

 

個別繰入額

7,969

2,784

34.9

 

一括繰入(△取崩)額

△116

投資損失引当金取崩額②

2,369

3,560

150.3

投資損失引当金繰入額

(純額・△は戻入額)

①-②

5,484

△775

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金 額

金 額

投資損失引当金残高

14,490

13,754

 

個別引当残高

14,490

13,754

 

一括引当残高

未上場営業投資有価証券残高に対する引当率

17.0%

16.0%

 

(営業投資有価証券残高の状況)

 新規IPOを含めた上場営業投資有価証券の時価上昇や為替の影響により、営業投資有価証券の残高は増加しており、上場した投資先の含み益は15,698百万円(前期末10,809百万円)となっております。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金 額

金 額

上場営業投資有価証券の取得原価と時価の差額

10,809

15,698

 

時価が取得原価を超えるもの

10,990

15,871

 

時価が取得原価を超えないもの

△181

△172

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金 額

金 額

部分純資産直入法に基づく営業投資有価証券評価損(△戻入益)

181

△13

 

営業投資有価証券残高

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

取得原価

連結貸借対照表計上額

取得原価

連結貸借対照表計上額

上場

2,462

13,271

2,473

18,172

未上場

80,507

85,258

77,445

85,748

合計

82,970

98,530

79,919

103,921

 

 

(ファンドの管理運営業務の状況)

 管理報酬はジャフコSV7シリーズ及びJAFCO Taiwan II Venture Capital Limited Partnershipの外部出資者の出資額増加により、対前期比で大幅に増加しております。成功報酬は対前期比で減少しました。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度(A)

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度(B)

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

対前期比(%)

(B)/(A)

金 額

金 額

投資事業組合管理収入

4,402

5,425

123.2

 

管理報酬

3,391

4,837

142.6

 

成功報酬

1,011

587

58.1

(注)管理報酬及び成功報酬は、当社グループの出資持分相当額を相殺した後の金額となっております。

 

e.当社グループの資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要のうち主なものはファンドへの投資資金、販売費及び一般管理費等であり、販売費及び一般管理費等の主なものは、人件費及び不動産費等であります。ファンドの運用資産の大半は未上場企業であり、時価もなく流動性が極めて限定されます。従って、どのような環境にあっても、継続して投資を行うために強固な財務基盤が求められます。当連結会計年度は、財務基盤強化のため、2028年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債を発行し、15,000百万円の資金調達を行いました。

 当連結会計年度の純資産額は137,639百万円(前期末130,745百万円)、自己資本比率については83.1%(前期末81.8%)となりました。連結貸借対照表に計上されている67,606百万円の現金及び預金の中には、各ファンドに当社が既に出資した分も含まれています。

 なお、後述の「株主還元についての方針」に基づき、投資継続のための必要資金を将来にわたり段階的に縮小させ、必要金額を一定程度超過する部分については自己株式取得を含めた株主還元を検討します。

 

株主還元についての方針

 当社は、2022年12月に「企業価値向上の基本方針」を開示し、株主還元方針を見直しました。配当の基本方針は、これまでの株主資本(期首・期末平均)の3%から、株主資本(期首・期末平均)の3%と当期純利益の50%のいずれか大きい金額とすることとしました。

 上記の配当方針に加え、投資継続のために確保すべき必要資金600億円程度(有利子負債、未払税金、各年度 3月末においては配当支払予定額を控除した金額)を将来にわたり段階的に縮小させ、それを超える部分は自己株式取得を含めた株主還元を検討します。

 

f.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループにおける最大の経営テーマは、ファンドパフォーマンスを持続的に向上させることです。当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであり、収益の源泉はファンドからの管理収入(管理報酬・成功報酬)とファンドへの直接出資持分からのキャピタルゲインであることから、運用中の各ファンドのパフォーマンスを高めていくことが、中長期的な好業績の継続につながっていきます。

 当社は、以下をファンドパフォーマンスの具体的な目標としております。

  グロス倍率(売却金額(未売却投資先の評価金額を含む)÷投資金額)2.5倍以上

  ネット倍率((分配金累計額+純資産額)÷払込済出資金額)2.0倍以上

 また、運用中(延長中を含む)の主な国内ファンドのパフォーマンスは次のとおりです。

 

ファンド

設立年月

出資金

総額

(億円)

払込済

出資金額

(億円)

分配金

累計額

(億円)

純資

産額

(億円)

グロス倍率

(倍)

ネット倍率

(倍)

2024年3月末

2023年3月末

2024年3月末

2023年3月末

2024年3月末

SV-4(B)

2013年3月

291

291

484

61

2.21

2.25

1.84

1.87

SV-5(B)

2016年8月

498

473

89

351

0.98

1.07

0.85

0.93

SV-6

2019年6月

640

595

175

501

0.97

1.28

0.86

1.14

V7

2022年6月

560

190

168

1.01

0.90

BO7

2022年6月

288

114

104

1.01

0.92

(注)純資産額において、未売却投資先の評価については、上場株式は期末日の時価で評価しており、外貨建の上場株式は期末日の為替レートで換算しております。未上場投資先については、時価算定会計基準の適用に伴い、新株予約権付社債、新株予約権等の株式以外の投資等は時価で評価し、未上場株式は、マークアップ(未実現評価益の計上)せず、マークダウン(未実現評価損の計上)のみを行っています。なお、外貨建の未上場株式についても期末日の為替レートで換算しております。

 

g.セグメントごとの財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであります。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。