第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「ユーザー本位の価値あるサービスを創出し続ける」という経営理念のもと、一人ひとりの生活に寄り添い、生活のさまざまな場面において、日々の役に立つ情報を、より多く、より分かりやすく提供することを目指して事業展開を行っております。創業当時よりサービスを提供している購買支援サイト『価格.com』をはじめ、レストラン検索・予約サイト『食ベログ』、求人情報の一括検索サイト『求人ボックス』など、現在提供しているサービスは20以上あり、各事業それぞれがグループ全体の業績を牽引することで、継続的な成長の実現に取り組んでまいりました。今後も、当社グループは引き続き社会や生活の変化を捉え、新たなニーズや事業の可能性を発掘することによって、既存事業の着実な成長と事業の拡張・進化、そして『価格.com』『食べログ』『求人ボックス』に続く新たな柱となりうる事業の推進・創出に取り組みながら事業を幅広く展開し続けてまいります。

 

(2)経営環境・経営戦略等

 当連結会計年度における日本経済は、資源・エネルギー価格の高騰などによる物価上昇が続く一方で、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和等に伴う経済活動の正常化が進み、緩やかに回復しました。

 このような環境のなか、当社グループは、既存事業の拡大と新規事業の創出への挑戦を続けながら事業を幅広く展開し、今後も日々の暮らしが豊かになるような、さまざまな生活シーンで役に立つサービスを提供し続けてまいります。

 そのため、『価格.com』は、ユーザーの皆様により納得感をもって商品・サービスを選んでいただけるようコンテンツを強化するとともに、さらに付加価値の高いサービスを提供し続けてまいります。

 『食べログ』は、ネット予約を軸とした有料サービスの契約店舗の拡大、インバウンド向けネット予約サービスのリリース、飲食店における業務課題の解決に向けたDXサービスの継続的な展開などを通じて、ユーザー・飲食店双方のニーズにお応えできる、利便性の高い充実したサービスの提供を進めてまいります。

 『求人ボックス』は、仕事選びのための情報充実と機能改善に取り組むとともに、利用企業・事業者の拡大を進め、求職者と事業者を密につなぐ情報集積の場を提供してまいります。

 新興メディア・ソリューション事業(2025年3月期より「インキュベーション事業」へ名称を変更)は複数の事業から構成されており、事業領域や成長ステージがそれぞれ異なりますが、各コンテンツを充実させより多くの方々にご利用いただくこと、及び新たな価値を提供できる事業の創出に取り組んでまいります。

 ファイナンス事業(2025年3月期より、価格.com事業に組入れ)を構成する「カカクコム・インシュアランス」は、保険の最新動向に関する記事などの情報を拡充すること、オンライン保険商品を充実させること、各種手続きをオンライン化することなどによって、保険をより分かりやすく・選びやすく・手続きしやすくすることに取り組んでまいります。

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、継続的な事業拡大と経営の効率維持のために親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な指標と位置付けております。

 加えて、継続的な事業拡大のためにはサイト利用者数の増加が重要であると認識しております。そのほか、各事業の収益モデルや成長ステージに応じた指標も設定しております。

 また、株主還元に関しては配当性向を重要な指標と位置付けております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは日々の暮らしが豊かになるような、様々な生活シーンで役に立つサービスを提供し続けております。今後も引き続き社会や生活の変化を捉え、新たなニーズや事業の可能性を発掘することによって、既存事業の変革と新たな柱となりうる事業の推進と創出への挑戦を続けてまいります。

 

そのため、当社グループにおいては以下の課題に取り組んでおります。

 

①当社グループは、既存事業の着実な成長と事業の拡張・進化、そして『価格.com』『食べログ』『求人ボックス』に続く新たな柱となりうる事業の推進・創出を通じて、今後も、日々の暮らしが豊かになるような、さまざまな生活シーンにおいて役に立つサービスを創出し、新たな価値として提供し続けてまいります。

 

②当社グループにとっての重要な経営資源は人であり、人材の確保及び育成は持続的な事業成長のための重要な課題と認識しております。事業規模の拡大及び業務内容の多様化に応じた積極的な採用活動を行うとともに育成を強化することによって、組織力の強化に取り組んでまいります。また、従業員がさらに力を発揮できる、働きやすい環境づくりにも引き続き注力してまいります。

 

③当社グループの運営する事業は、その性質上、システムのセキュリティ・開発・保守管理体制が極めて重要であり、これらをさらに充実させていくことが求められております。引き続き市場環境の変化に対応したセキュリティの維持、システム開発及びシステム保守管理体制の整備を進めてまいります。

 

④経営の有効性及び効率性の向上、財務報告の信頼性確保、諸法規等の遵守のため、内部統制システムの整備・充実を継続的に推進し、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)サステナビリティ全体

当社は「生活とともにある企業として、企業活動を通して経済・社会・環境の課題に取り組む」ことを基本方針とし、当社の発展を含めたサステナブルな社会の実現に向けて、取り組みを進めております。

 

①ガバナンス

 サステナブルな社会の実現に向けた課題への取り組みは、代表取締役社長による統括・指揮のもと、当社の全て

の事業と機能にわたる体制をもって運営されています。その進捗については、サステナビリティ委員会とサステナ

ビリティ経営推進部がモニタリングし、代表取締役社長に報告します。なお、取り組みの全体については取締役会

において報告がなされ、審議される仕組みを取っています。

 

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 ②戦略

 当社は経済・社会・環境・ガバナンスの各領域において、それぞれ以下の課題に取り組んでおります。

 

 マテリアリティ(重要課題)の特定プロセス

●STEP 1 課題を網羅的にリストアップ

 GRIスタンダード等のガイドライン及びESG評価機関評価項目を参照しながらサステナビリティ課題を広範囲にリ

ストアップしました。

 

●STEP 2 課題の抽出と重要度を評価

 リストアップした課題から特に関連性の高い課題を抽出し、各課題の重要度を事業に対するインパクトと社会に

対するインパクトの2軸で評価し、優先順位づけを行いました。

 

●STEP 3 重要課題の特定と妥当性の確認

 重要度が高いと評価された14個の課題について、その妥当性について経営陣の承認を経て特定しました。

 

 特定されたマテリアリティ(重要課題)

経済

持続可能なサービスの提供

情報セキュリティ・プライバシー保護

サービスの品質保全

サービスを発展させる技術・研究開発の推進

社会

多様な人材の育成と活用

労働安全衛生

人材育成

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

健全な社会発展への貢献

ITを活用した社会の健全化・効率化

自社メディアを活用した地域・コミュニティ支援

環境

地球環境への貢献

気候変動への対応

循環型社会への貢献

生物多様性・食資源の保全

ガバナンス

ガバナンスの強化

コーポレートガバナンス実効性の担保

企業倫理・人権尊重

リスクマネジメント

 

③リスク管理

代表取締役社長による統括・指揮のもと、当社の全ての事業と機能にわたる体制をもって運営されています。課題ごとのリスク・機会について、サステナビリティ委員会で識別及び評価したものについて、サステナビリティ経営推進部及びサステナビリティ委員会が共同で管理を行い、各部門で推進・対応を行っています。それらの実施状況をサステナビリティ経営推進部が代表取締役社長に報告します。なお、特に経営への影響が大きい課題・リスクについては、取締役会において報告・審議がなされる仕組みをとっています。

 

④指標と目標

新たに特定しましたマテリアリティに関する指標・目標については、精度の高い測定を可能にするKPIについて現在検討を進めております。

 

(2)人的資本・多様性

 一人ひとりの生活に寄り添い、日々の役に立つ情報をより多く・より分かりやすく提供することを目指して事業を継続的に展開していくためには、社会や生活の変化を捉え、新たなニーズや事業の可能性を発掘し、変革と創造への挑戦を続けることが求められます。そしてその実行においては、当社に多様な人材が集まっていること、一人ひとりの能力が最大限に発揮されることが不可欠であると考えています。

 

①ガバナンス

 重要な役職の採用や異動、新卒の採用、従業員の給与・賞与等重要な人事に関する事項については常勤取締役会で審議され、取締役会又は代表取締役社長による承認の上実行される仕組みを構築しています。その他については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全体 ①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

②戦略

 当社グループでは、以下の施策に取り組んでおります。

 

(人材の育成)

 従業員それぞれがスキル・知識を得る機会を整備し、従業員それぞれが個々の能力を最大限に発揮することで、企業価値の向上に取り組んでおります。

・スキル・知識を得る機会:
従業員の主体的な学習に対する支援を目的に、現在及び将来の業務で成果を上げるために必要なスキル・知識を得る機会として「応募型研修」の実施及び「自己学習支援制度」の整備を行い、画一的ではない、各従業員のニーズに合った支援を実施しております。今後は支援の拡充等を図り、従業員の学習機会への投資を進めてまいります。

 

(社内環境の整備)

 様々な経験や専門性を持つ多様な人材を、性別等を問わず求める採用活動を継続して行っております。当社従業員に占める中途採用比率は当連結会計年度において87%、管理職においては85%と高い水準にあります。

 また、当連結会計年度に入社した従業員のうち女性が占める割合は41%となっております。なお、いずれにおいても既に高い水準にあるため、数値としての目標設定は行っておりません。

 

 当社には育児・介護との両立のための支援制度が既にありますが、その他、個々が抱える問題に対応する制度の検討や利用促進等による制度の充実を図っており、業務の必要に応じてオフィス勤務及び在宅勤務を選択できるハイブリッド勤務の実施等、柔軟な働き方への検討を進め、休暇取得促進等によるワークライフバランスの向上への取り組みや全ての従業員がさらに活躍できる職場環境の整備に努めております。

 加えて、従業員それぞれが「キャリアを選択する機会」及び「能力を活かす機会」を整備し、個々の能力が最大限に発揮されることによる企業価値の向上に取り組んでおります。

・キャリアを選択する機会:
多様な人材が活躍できる環境を作る中で、育成においても性別等を問わず、管理職を目指す機会の創出及び登用を今後も進めてまいります。また、管理職を目指すだけでなく、高い専門性を発揮して活躍するコースも設けて従業員それぞれの能力が発揮できるキャリアパスを備えております。

 

・能力を生かす機会:

 年に1回、従業員それぞれが業務等を内省すると共にキャリアについて考える機会として「自己申告届」を

 実施し、役割変更や異動について希望を提出し、多様なキャリアや自身の能力を様々な場で活かすことがで

 きる取り組みを実施しております。

 

③リスク管理

 多様な人材が活躍できる環境を作り、従業員それぞれが個々の能力を最大限に発揮することで、組織として社会や生活の変化を捉え、その結果新たなニーズや事業の可能性の発掘や変革と創造への挑戦を続ける機会となり、ひいては企業価値の向上に資するものと考えております。

 また、更なる成長のために、システム開発及びコンテンツ企画等の基幹業務のみならず、企業運営を円滑に遂行していく上で、必要な人材を適切な時期に確保及び育成する必要があります。そのような人材が確保及び育成されず組織の総合力が低下することは大きなリスクと考えています。多様な人材を積極的に採用・登用し、多様なキャリアパス、社内環境の整備を行うことで企業価値の向上とリスク低減に努めています。

 

④指標と目標

 人的資本・多様性における指標と目標は以下表のとおりです。当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、下記の指標に関する目標・実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。

 また、新たに特定しましたマテリアリティに関する指標・目標については、精度の高い測定を可能にするKPIについて現在検討を進めております。

 

課題

課題についての具体的な取り組み

指標

目標

A.前年度水準以上

B.実績の維持

実績

(2024年3月期)

人材の育成

成長を促進するキャリア開発支援

従業員の主体的な学習支援体制の強化

A

・応募型研修の実施及び自己学習支援制度の整備・推進

・エンジニア職の技術研修の充実

社内環境の整備

仕事と家庭の両立サポート、柔軟な働き方を推進する制度・環境の整備

ⅰ)女性採用比率

ⅱ)女性管理職比率

ⅲ)男性の育児休業取得率

ⅳ)男女賃金差異

ⅰ)B

ⅱ)2030年3月期に30%以上とする

ⅲ)A

ⅳ)A

ⅰ)41

ⅱ)、ⅲ)及びⅳ)は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。

 

 

(3)気候変動について

当社グループでは、気候変動を重要な課題のひとつとして認識し、TCFDのフレームワークに基づき、シナリオの分析、温室効果ガス排出量の把握などを行った上で、推奨項目ごとに情報開示を行っております。また、事業における情報の発信を通じて環境保全の貢献に取り組んでおります。

 

①ガバナンス

 取締役会は、気候変動のリスクマネジメントに関する事項をはじめとする主要なサステナビリティ課題に関する行動計画等について、代表取締役社長から上程、報告を受けたものに対し、必要に応じて改善指示を行い、気候変動の対応策等について監督します。なお、代表取締役社長から取締役会への報告は、少なくとも年1回以上行っております。サステナビリティ経営推進部は、気候関連課題における現状確認、気候変動のリスク管理に関する事項や、課題解決に向けた協議・審議・対策を各部門と連携して行い、その結果について代表取締役社長に報告します。

 

②戦略

当社グループ全体における気候変動の影響について、1.5℃シナリオと4℃シナリオ※に基づき、短期(0~1年)、中期(2~9年)、長期(10年~)の視点で、気候関連がもたらすリスクと機会の特定を行いました。

※1.5℃シナリオはNZE 2050(IEA)、4℃シナリオはSSP5-8.5(IPCC)を参照

 

1.5℃シナリオでは、脱炭素社会が実現した世界観のもと、ステークホルダーの環境意識の高まりによる変化に対応できなかった場合のサービスの需要や企業イメージの低下等のリスクが考えられました。一方で、今後当社が環境意識の高まりによる消費行動の変化に対応した商品・サービスの展開や、環境課題解決に向けた取り組みを進めることができた場合に、サービス需要の増加やレピュテーション向上などの機会になると認識しています。

4℃シナリオでは、脱炭素社会への移行が進まないことによる地球温暖化の進行に伴い、自然災害によるオフィスやデータセンターへの物的被害及び、通信障害による事業活動への悪影響や異常気象及び平均気温の上昇に伴う従業員の健康・安全・勤務への悪影響が想定されました。

 

2つのシナリオにおけるリスクと機会の重要度、自社に及ぼす影響詳細及び対応策は下表のとおりです。

 

区分

時間軸

重要度

自社に及ぼす影響

対応策

リスク

移行
リスク

政策と法

短~中期

温室効果ガスの排出量抑制のための規制強化に伴う炭素税の負担増加、温室効果ガス排出量開示の報告義務化に伴う対応コストの増加

グループ全体の温室効果ガス排出量を抑制するため、オフィスやデータセンター等の排出量の可視化、モニタリングの実施、省エネの推進、テナントとして入居しているオフィスのビルオーナーの方々に対しての意見交換を通じてオフィスの再生可能エネルギー移行への働きかけを行っております。

市場

中~長期

環境意識の高まりによる消費行動の変化に対応できなかった際の当社サービス需要の低下

消費者の環境意識の高まりに対し、価格.comでは「環境ラベル」取得製品に関する情報の提供、エコ・サステナブル解説コンテンツの掲載等、消費行動の変化に対応した取り組みを行っています。

評判

中~長期

環境課題への取り組みが消極的であるとみなされた場合の企業イメージの低下

コーポレートサイト上で気候変動関連問題を含むサステナビリティについての方針や取り組みの詳細を公開するとともに、アンケート回答やフィードバックによる評価機関とのコミュニケーションを通じて情報の開示を強化しています。

物理
リスク

急性
リスク

中~長期

台風や洪水、火災等の被災に伴うオフィスやデータセンターの物的被害、及び通信障害による事業活動への悪影響

リモートワークができる職場環境の整備、データセンターの分散・クラウド化、災害BCP対策の強化等による施設被害のリスクの軽減を行っています。

慢性
リスク

短~中期

平均気温の上昇に伴う、電力使用コストの増加・従業員の傷病者の増加

グループ全体の電力使用コストを抑制するため、オフィスやデータセンター等の電力使用量の可視化、モニタリングの実施、省エネの推進を行っています。

また、専属産業医による従業員からの健康相談の対応や、健康教育の実施等、安全管理体制の強化にも力を入れています。

機会

 

市場、及び製品とサービス

中~長期

環境意識の高まりによる消費行動の変化に対応できた際の当社サービスの需要の増加

消費者の環境意識の高まりに対し、価格.comでは「環境ラベル」取得製品に関する情報の提供、エコ・サステナブル解説コンテンツの掲載等、消費行動の変化に対応した取り組みを行っています。

 

③リスク管理

 気候変動対応に関するリスク管理については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全体 ③リスク管理」に記載のとおりです。

 

④指標と目標

 当社では、気候変動対応についての指標として、温室効果ガス(GHG)排出量及び電力使用における再生可能エネルギーの割合を算定しております。スコープ1及びスコープ2の算定結果(※1)及び電力使用量は、下表のとおりです。温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標に関しては、今後検討を進めてまいります。

算定対象期間

スコープ

算定対象

温室効果ガス排出量(t-CO₂e)

2022年4月1日から2023年3月31日まで

スコープ1

単体

6

連結

9

スコープ2※2(マーケット基準)

単体

1,012

連結

1,101

スコープ2※2

(ロケーション基準)

単体

1,305

連結

1,485

スコープ1+2(マーケット基準)

単体

1,018

連結

1,110

 

算定対象期間

項目

算定対象※

検証された電力使用量

2022年4月1日から2023年3月31日まで

電力使用量

連結

3,421,576 kWh

電力使用量のうち

再生可能エネルギー電力の使用量

連結

893,386 kWh

再生可能エネルギー電力使用比率

連結

26%

(一般社団法人能率協会 地球温暖化対策センターによる検証済み)

 

※1 スコープ1及びスコープ2の算定方法:

「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量の算定のための排出原単位データベース(ver.3.3)」及び当社作成による「2022年度GHG排出量算定手順書」による。

 

※2 電力の排出係数:電気事業者別調整後排出係数を使用

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関して投資家の投資判断上重要であると考えられるリスクは以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

当社では、全社的なリスク管理体制を整備し、当社が直面する可能性のあるリスクを重要度により評価・分類した上で、リスクの影響等を最小化するために、リスクに対応した活動を継続的に実施しております。

 

(1)事業内容に係わるリスクについて

① 情報提供について

 当社グループの運営サイトにおいて当社グループ又は取引先が提供する商品、サービス等の販売価格、飲食店の空席情報その他の情報について適時かつ正しい情報が提供されない状況が多発し、ユーザーに適切な情報が提供できない状況が続く場合には、ユーザーの信頼を失い運営サイトの利用者数が減少するほか、運営サイトに登録をする店舗・事業者等の数が減少し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 運営サイト内の書き込みについて

 当社グループは、運営サイトにおいて、サイト閲覧者が商品並びにサービス及び店舗等に対する評価を自由に書き込み、他のユーザーに情報発信ができる「クチコミ」や「レビュー」等を提供しております。「クチコミ」等には、好意的な内容だけでなく、改善を要する点等についても書き込みが行われます。当社グループでは、運営サイト内の情報等について何ら責任を負わない旨を運営サイト内で明示するとともに、誹謗中傷に該当する等不適切な書き込みを発見した場合又は不正業者等による不適切な投稿がなされた場合には、当該部分を削除するよう努力しております。しかし、当社グループがそれを発見できなかった場合あるいは発見が遅れた場合には、運営サイトに対するユーザー等の支持が低下し利用者数が減少するほか、サイト運営者としての当社グループの責任が問われ、業績及び企業としての社会的信用に悪影響を与える可能性があります。

 

③ システムトラブルについて

 当社グループは、サービス提供のためコンピュータシステムにより構築されたサイトを運営しております。運営サイトにおけるシステムトラブルの発生可能性を低減させるために、安定運用のためのシステム強化、セキュリティ対策及びサーバーの分散設置等の対策を行っております。しかしながら、地震、津波等の自然災害、火災、事故、停電等の予期せぬ事象の発生によって、当社グループの設備又は通信ネットワークに障害が発生した場合は、ユーザーによるサービスの利用が不可能になるほか、提携先である店舗・事業者等への送客及び広告の出稿が停止するなど、当社グループの事業活動が不可能になります。また、当社グループ若しくはインターネット・サービス・プロバイダーのサーバーが何らかの原因によって停止する可能性、又は外部からの不正アクセスや操作ミスによるネットワーク障害が発生する可能性があります。これらの障害が発生した場合においても、上記同様に事業活動が不可能となります。これらの結果、当社グループの業績及び企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ ブランドイメージについて

 インターネット人口が増加し、情報提供サービスが広がりを見せる中で、当社グループのブランドイメージを高めることは、今後ますます重要になると思われます。ブランドイメージを高めるためには、ユーザーにとって役に立つ、かつ高品質なサービスを提供して多くのユーザーに運営サイトをご利用いただくこと、またその実績の積み重ねによりユーザーから好意的な認知を得てインターネット・メディアとして高く評価されることが必要となります。それらができない場合には、当社グループの運営サイトに対するユーザーからの好意的な認知度が低下し運営サイトの利用者数が減少するほか、運営サイトに登録をする店舗・事業者等の数、及び運営サイトに出稿する広告主の数が減少し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 業法の適用を受けて行う業務

 当社が『求人ボックス』において運営する職業紹介事業、連結子会社㈱タイムデザインが運営する旅行代理店業務及び連結子会社㈱カカクコム・インシュアランスが運営する保険代理店業務は、それぞれ各種業法、関連諸法令、監督官庁の指針(ガイドライン)、業界団体等の自主規制機関による諸規則等の適用を受け、これらを遵守しています。しかしながら、何らかの理由で許可若しくは登録が取り消され又は業務の停止を命じられた場合には、該当の事業を継続することが不可能となり、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(2)企業運営に係わるリスクについて

① 事業戦略に関するリスク

 当社グループは、さまざまな生活シーンにおいてサービスを提供するべく、既存事業の拡大や新規事業の開発を積極的に行い、特定の領域に偏らない事業ポートフォリオの構築を進めております。しかしながら①拡大した既存事業又は新規に開始した事業に対するユーザーやクライアントのニーズが想定を下回り又はその嗜好が変化した場合、②対象市場への参入やそのための人材確保・育成に要する費用が想定よりも増加する場合、③ユーザーに対する訴求力や提携先・広告主の数を増加させるための施策が不十分である場合等においては、既存事業の拡大や新規事業の開発のために行った投資に見合う収益を得られない可能性があります。

 

② 人材の確保と育成

 当社グループの更なる成長のために、システム開発及びコンテンツ企画等、基幹業務のみならず、企業運営を円滑に遂行していく上で、必要な人材を適切な時期に確保及び育成する必要があります。そのような人材が確保及び育成されない場合、業務運営を円滑に遂行すること等に支障が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 組織における管理体制について

 当社グループは、事業規模の拡大及び業務内容の多様化に対応するべく、より効率的な組織対応を図るための組織再編・内部管理体制の整備・充実を今後も継続的に推進していく方針であります。これらの管理体制の整備が予定どおり進まなかった場合、業務運営を円滑に遂行すること等に支障が生じ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ セキュリティ及び個人情報管理について

 当社グループのコンピュータシステムは、外部からの不正アクセスを防止するためにファイアウォール等のセキュリティ手段によって保護されております。個人情報管理については、当社の個人情報保護方針に沿って事前に利用目的を特定し、個人情報の利用及び提供において適切に取り扱っております。セキュリティと個人情報管理については、今後とも十分な対応を図ってまいりますが、コンピュータハッカーの侵入あるいは外的な要因が運営サイトに対して破壊的な影響を与え、ユーザーによるサービスの利用が不可能になるほか、提携先である店舗・事業者等への送客及び広告の出稿が停止するなどの可能性があります。

 また、従業員等が意図的若しくは意図せず情報を漏洩した場合、当社グループが運営するサービスにおいて取り扱うユーザーの個人情報が不正に使用された場合等、当社グループは責任を問われる可能性があります。セキュリティの不備又は個人情報の流出は、ユーザーおよび提携先・広告主の信頼を失うなど当社グループの評判を低下させ、運営サイトの利用者数が減少するほか、運営サイトに登録をする店舗・事業者等の数が減少し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 法的規制について

 現在の日本のインターネット及びEコマース(以下「インターネット等」)を取り巻く法的規制は、インターネット等の普及を背景として整備が進められておりますが、諸外国に比べて未だ十分とはいえません。また、インターネット等のみを対象とした法的規制は極めて限定的であり、他の一般の規制を準用することで、実務上の運用が図られていることが少なくありません。日本でも諸外国同様に、インターネット等の普及とともに、それを活用したビジネスその他のルールが網羅的に整備された場合、利用者及び関連業者を対象とした法的規制の制定等により、当社グループの業務の一部が制約を受け、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、事業活動においては、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、個人情報保護法など一般に適用される法令のほかに、職業安定法、保険業法、旅行業法など業態ごとに適用される法令の規制、さらには規制当局の監督を受けています。法令、規則などの制定・改正が行われた場合、当社グループの各事業の遂行方法やサービス、または当社グループの取引先に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの制定・改正に対処する費用が増大する可能性があります。その結果、当社グループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥ 知的財産権について

 当社グループは、運営サイトにおける新サービス、マーケティングの手法等、サービスの名称等の知的財産を事業活動における重要な財産と認識していることから、これらについての権利取得を積極的に行っており、また今後も取得の取組みを継続する方針です。しかしながら、当社グループによるこのような方策が十分であるという保証はありません。当社グループの運営する事業に関連する分野において第三者に知的財産権が成立した場合、又は既に成立していた場合には、権利侵害を理由とした訴訟の提起を受けこれらの活用を継続できなくなる、訴訟の結果によっては損害賠償責任が生じるなど、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社グループの運営サイトには、ユーザーからの投稿等で成り立っているものがあり、そのようなサイトの利用に当たっては第三者の著作権その他の権利を侵害しない投稿をご提供いただくよう、運営サイトの利用規約等において定めて管理を行っております。しかしながら、当社グループによる管理が徹底されず第三者の権利を侵害するものが生じた場合、上記同様に当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 訴訟について

 当社グループは、当社グループが保有する個人情報の管理不徹底等の人為的ミスの発生、第三者からの不正アクセス等により情報が漏洩した場合、若しくは不適切な書き込みがなされたのにも関わらず発見できなかった場合等に訴訟が発生する可能性があります。その訴訟の内容及び結果、損害賠償の金額によっては当社グループの業績及び企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)外部環境に係わるリスクについて

① 感染症発生について

 感染症の発生及び感染拡大が生じた場合には、当社グループは従業員の安全を確保するとともに、当社グループの事業に対する影響の把握及び事業継続のために必要な対処の検討・実施をいたします。しかしながら、感染の拡大若しくは予防のための外出自粛、事業者の休業・営業時間の短縮、当社グループにおける感染者の発生に起因した当社グループのサービスの提供遅延又は中止等により深刻な経済的影響が生じ、市場の縮小や個人消費の冷え込みにつながることが予想されます。その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 個人消費動向について

 当社グループは、主として個人の消費意思決定を支援するサイトを運営して収益を得ており、個人消費動向が間接的に当社グループの業績に影響を及ぼします。個人消費は、企業収益の悪化による賃金低下、消費税増税をはじめとする政策の実施等により、低下する可能性があります。このような個人消費の動向が、運営サイトの利用者数の減少につながるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 天候不順・自然災害について

 当社グループの運営する多くのサービスの売上は季節的変動による影響を受けますため、当社グループにおいてはそのような変動を勘案した上で事業計画を立てております。しかしながら、季節的な気象パターンが予想外に変化した場合には、一部のサービスに対する需要が変動し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ インターネットの検索効果について

 インターネットユーザーの多くは、検索サイトを利用して必要な情報を入手しているため、当社グループが運営するサイトへのユーザーの流入効率は、検索エンジンの表示結果や利用状況等に大きく影響されます。今後、検索エンジン運営者による検索アルゴリズムの変更によって、あるいは競合他社による検索アルゴリズムへの対応が進むことによって、検索結果の表示が当社グループにとって有利に働かない状況が生じる可能性があります。そのような状況に至った場合には、当社グループが運営するインターネットサイトの集客効率が低下し、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑤ インターネットサービスの技術革新について

 インターネットサービスにおける技術革新及びビジネスモデルの変化が速いため、インターネットを積極的に利用している事業者は一定水準のサービスの提供を維持するために、これらの変化に積極的かつ柔軟に対応していく努力が必要であります。当社グループは、今後も不断の経営努力を行っていく方針ですが、新サービス導入又は既存サービス強化のために必要な新しい技術及びビジネスモデルをなんらかの理由で適時かつ効果的に採用・応用できない可能性があります。また、技術革新及びビジネスモデルの変化への対応には、相当の時間と費用が必要となる可能性があります。そのような状況に至った場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 競合について

 当社グループは各事業領域において優位性を確保していると認識しておりますが、いずれも他社による新規参入の可能性があり、そのような競合他社の出現により収益の低下等、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは当連結会計年度よりIAS第12号法人所得税(2021年5月改訂)を適用しており前連結会計年度との比較分析にあたっては遡及適用後の数値を使用しておりますこの基準の適用による当連結財務諸表に与える重要な影響はありません

 なお会計方針の変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(4)会計方針の変更に記載しております

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営環境

 当連結会計年度における日本経済は、資源・エネルギー価格の高騰などによる物価上昇が続く一方で、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和等に伴う経済活動の正常化が進み、緩やかに回復しました。

 

② 経営成績及び財政状態の状況

 当社グループの経営成績は、以下のとおりです。

 当連結会計年度は『食べログ』の飲食店販促事業、求人ボックス事業、及び新興メディア・ソリューション事業のうち旅行・移動領域の各事業が成長したことによって、売上収益は66,928百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益は25,819百万円(前年同期比7.8%増)となりました。

 

 セグメントごとの業績(内部取引消去後)は次のとおりです。

 当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は64,228百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益は25,282百万円(前年同期比12.9%増)となりました。当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,701百万円(前年同期比30.0%減)、セグメント利益は537百万円(前年同期比65.4%減)となりました。

 

 当社グループの財政状態は、以下のとおりです。

 資産合計は83,308百万円となり、前連結会計年度末と比較し4,725百万円増加いたしました。これは主に、その他の流動資産が1,985百万円、営業債権及びその他の債権が1,769百万円、現金及び現金同等物が1,249百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 負債合計は31,617百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,199百万円増加いたしました。これは主に、その他の金融負債(流動)が1,364百万円、リース負債(非流動)が528百万円それぞれ減少した一方で、その他の流動負債が2,926百万円、営業債務及びその他の債務が573百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 資本合計は51,691百万円となり、前連結会計年度末と比較し3,526百万円増加いたしました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益18,095百万円を計上した一方で、剰余金の配当8,648百万円、自己株式の取得及び処分による減少5,997百万円があったことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ1,249百万円増加し、37,702百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は19,516百万円(前年同期は22,400百万円の収入)となりました。

 これは主に、税引前利益26,122百万円、減価償却費及び償却費3,649百万円があった一方で、法人所得税の支払額8,582百万円、営業債権及びその他の債権の増加2,225百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は2,215百万円(前年同期は2,678百万円の支出)となりました。
 これは主に、サーバーで使用するソフトウェアの購入等の無形資産の取得による支出が1,813百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は16,077百万円(前年同期は17,572百万円の支出)となりました。
 これは主に、配当金の支払による支出が8,643百万円、自己株式の取得による支出が6,007百万円あったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

生産実績

 当社グループの業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比

インターネット・メディア事業

64,228

12.8%増

ファイナンス事業

2,701

30.0%減

合計

66,928

10.0%増

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 2.最近2連結会計年度における販売先については、いずれも販売実績が総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 重要な会計方針及び見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要性がある会計方針 及び 4. 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績及び財政状態の状況

 当連結会計年度における当社グループの売上収益は66,928百万円(前年同期比10.0%増)となりました。

 これは主として、新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5類に移行されたことに伴い経済活動の正常化が進む中で、食べログ事業における飲食店販促事業、求人ボックス事業及び新興メディア・ソリューション事業のうち旅行・移動領域において売上が増加した一方、価格.com事業において売上が減少したことによるものであります。

 営業利益は25,819百万円(前年同期比7.8%増)となりました。これは主として、売上収益が増加したことによるものであります。

 税引前利益は26,122百万円(前年同期比12.3%増)となりました。これは主として、営業利益及び金融収益の増加並びに金融費用の減少によるものであります。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は18,095百万円(前年同期比12.0%増)となりました。

 セグメントの業績(内部取引消去後)は、次のとおりであります。

 

1.インターネット・メディア事業

 当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は64,228百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益は25,282百万円(前年同期比12.9%増)となりました。

 

[価格.com]

 当連結会計年度の売上収益は18,884百万円(前年同期比4.1%減)となりました。

 ショッピング事業は、新製品の減少、為替の変動による製品の値上がり、コロナ初期における在宅・巣ごもりによる需要前倒しの影響を受けて売上が減少しました。広告事業は、新製品の減少及び為替の変動に伴う資源価格の高止まりによって出稿が減少するなどの影響を受けて売上が減少しました。サービス事業は、コロナの収束に伴い個人消費の活発化が続いていることを受けて売上が増加しました。

 その結果、ショッピング事業の売上収益は7,324百万円(前年同期比9.1%減)、サービス事業の売上収益は8,847百万円(前年同期比10.4%増)、広告事業の売上収益は2,712百万円(前年同期比25.2%減)となりました。

 月間利用者数は2024年3月度に3,984万人(※1)となりました。

 

[食べログ]

 当連結会計年度の売上収益は27,846百万円(前年同期比19.1%増)となりました。

 飲食店販促事業の売上収益は24,537百万円(前年同期比21.6%増)となりました。社会活動の正常化と共に外食需要が着実に高まっていることから、当連結会計年度累計期間のネット予約人数は8,189万人(前年同期比44.3%増)となりました。また、飲食店におけるネット予約サービスの利用が拡大したことにより、有料プラン契約店舗数は2024年3月時点で77,100店舗となりました。

 ユーザー会員事業は、有料サービス加入者数の増加により、売上収益が1,539百万円(前年同期比2.9%増)となりました。

 広告事業は、パートナーサイトとの連携による売上の増加及び第3四半期連結会計期間以降の純広告による売上の増加により売上収益が1,770百万円(前年同期比5.9%増)となりました。

 月間利用者数は2024年3月度に9,350万人(※1)となりました。

 

[求人ボックス](※2)

 当連結会計年度の売上収益は9,348百万円(前年同期比48.0%増)となりました。

求人ボックス事業は、月間利用者数及び利用者一人当たりの売上が増加しました。

 月間利用者数は2024年3月度に1,015万人(※1)となりました。

 

    [新興メディア・ソリューション](※2)

 当連結会計年度の売上収益は8,150百万円(前年同期比7.7%増)となりました。

 新興メディア・ソリューション事業は、主に旅行・移動領域において売上収益が増加しました。

 

※1 月間利用者数とは、サイトを訪れた人をブラウザベースで数えた利用者数です(特定のブラウザ、OS等によっては一定期間経過後に再訪した利用者を重複計測する場合があります)。モバイル端末のウェブページ高速表示に伴う利用者数の重複や、第三者による自動収集プログラムなどの機械的なアクセスについては可能な限り排除して計測しております。なお、食べログにおいては、2022年2月をもってAMP(Accelerated Mobile Pages)対応を終了いたしました。

 

※2 従前[新興メディア・ソリューション]に含めて記載しておりました求人ボックス事業については、金額的重要性が増したため、当連結会計年度より区分を追加して記載しております。これに伴い比較対象とする前年同期の数値は、変更後の区分に基づく数値を使用しております。

 

2.ファイナンス事業

 当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,701百万円(前年同期比30.0%減)、セグメント利益は537百万円(前年同期比65.4%減)となりました。

 ㈱カカクコム・インシュアランスが運営する『価格.com保険』は、主に前連結会計年度に実施した保険代理店手数料収入における収益認識に関する見積りの変更の影響を受けて手数料収入が減少しました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行されたことなどに伴い感染動向が景気に与える影響は縮小したものの、一方で原材料、光熱費の高騰や継続的な採用難、長期化する部材不足などが経済に与える影響に十分注意する必要があり、不透明な経済状況が続いております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

(経営資源の配分に関する考え方)

 既存事業の運営及び成長投資に必要な資金を手元に残した上で、過剰な内部留保は行わずに株主還元を行うこと、また、株主還元は年2回の配当及び機動的な自己株の取得によって継続的に実施することを方針としております。

 なお、成長投資は、ⅰ)既存事業の拡大や新規事業創出に伴う人的資源への投資、ⅱ)先端技術に関する研究開発及び事業への活用に対する投資、並びにⅲ)事業ポートフォリオ拡大及び成長の加速を目的としたM&Aや出資をその対象としています。

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

(資金需要)

当社グループの主な資金需要は運転資金及び設備資金であります。運転資金の主なものは、営業活動における人件費や販売代理店に支払う販売手数料、またサービス利用者増加を目的とした広告宣伝費によるものであります。設備資金の主なものは、サーバー及びネットワークの設備投資によるものであります。

(財務政策)

当社グループの事業拡大に必要な資金は営業キャッシュ・フローから獲得した資金を充当しております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等について

 当社グループは、従前、会社全体として安定的な成長を維持しながら、既存事業のサービス領域や事業モデルの拡張とともに、新規事業の創生・推進を進めてまいりました。特に新規事業につきましては、『求人ボックス事業』及び求人ボックス事業を除く新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業(『求人ボックスを除く』。)それぞれの連結売上構成比20%以上に引き上げることを目指し、当連結会計年度における連結売上構成比は、求人ボックス事業が14.0%、新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業が16.2%となりました。

 

[連結売上構成比率の推移]

2023年3月期まで

 

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業

14.5%

17.5%

19.2%

26.0%

29.2%

 

2024年3月期(※2)

 

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

2024年

3月期

求人ボックス事業

3.0%

4.9%

9.1%

10.4%

14.0%

新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業

(求人ボックス事業を除く)

14.5%

14.3%

16.9%

18.8%

16.2%

※1 従前「新興メディア・ソリューション」事業に含めて記載しておりました求人ボックス事業は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度より区分を追加して記載しております。

※2 求人ボックス事業に関する区分の追加に伴い、比較対象とする2023年3月期以前の数値も変更後の区分に基づいて記載しております。

 

 また、継続的な事業拡大と経営の効率維持のために親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な指標と位置付け、その目安を40%としてまいりました。2021年3月期に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて売上収益及び親会社の所有者に帰属する当期利益が前年同期比で減少したことによりROEが26.2%に低下しましたが、2022年3月期以降の売上収益及び親会社の所有者に帰属する当期利益はいずれも前年同期比で増加を続けており、その結果、当連結会計年度のROEは36.5%となりました。

 

[ROEの推移]

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

ROE

44.0%

26.2%

30.1%

33.7%

36.5%

 

 加えて、株主還元に関しましては配当性向を重要な指標と位置付けており、その目安を50%以上としております。

[配当性向の推移]

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

配当性向

45.3%

70.0%

57.4%

50.4%

50.9%

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 (コミットメントライン契約の締結(更新))

  当社は、2023年6月14日開催の取締役会におきまして、株式会社三菱UFJ銀行(以下「MUFG」という。)との間で、コミットメントラインの設定に関する契約(以下「コミットメントライン契約」という。)を更新することを決議し、当該更新に係る契約を締結いたしました。

 

(1)コミットメントライン契約締結の理由

  運転資金の効率的かつ機動的な調達を行うため、2020年6月に締結したコミットメントライン契約の更新を行うことといたしました。

 

(2)コミットメントライン契約の概要等

契約名称

当座貸越約定書(コミットメントライン契約)

貸越元本極度額

8,000百万円

契約期間

2023年6月30日から2024年6月28日まで

 

 

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費は、インターネット・メディア事業で136百万円となりました。

 株式会社デジタルガレージ及び当社が共同で運営するオープンイノベーション型の研究開発組織である「DGLab」において、新たなプロダクト及びサービスの基礎となる先進的な技術を得るための研究に参加しています。この活動は、さまざまな事業の基盤になることが期待できる「ブロックチェーン」、「AI」、「XR」、「セキュリティ」、「バイオヘルス」を重点分野として、各分野において高いレベルの技術を持つ国内外の企業と連携することを通じて行われております。