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独立監査人の監査報告書 |
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2024年6月18日 |
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ライフネット生命保険株式会社 |
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取締役会 御中 |
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東京事務所 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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<財務諸表監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているライフネット生命保険株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの第18期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、ライフネット生命保険株式会社の2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
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会社の当事業年度の貸借対照表において責任準備金が58,554百万円計上されている。これは、 責任準備金は、保険事故発生率、予定事業費率、予定利率等の計算前提を用いて保険数理に基づき計算される。計算対象となる有効な保険契約を網羅的に集計し算出する必要があるが、その計算は複雑であり正確な計算を行うには高度な専門性を必要とする。 また、責任準備金の算定に使用される計算前提が実際の結果と著しく異なる場合には責任準備金の積立不足が生じる可能性がある。 特に、第三分野の保険商品は多岐にわたり、責任準備金を算定するにあたっての標準的な指標が存在しない場合があるため、各社が給付事由毎に保険事故発生率を見込むことになる。そのため、保険会社においては、予め設定した保険事故発生率がリスクを十分にカバーしているかどうかを確認するためのテストが行われ(第三分野保険のストレステスト)、さらに当該第三分野保険のストレステストの結果に応じて、保険計理人は将来の収支を推計し、責任準備金の積立不足の有無を確認する(負債十分性テスト)。 また、保険計理人は、会社が将来の保険金等の支払能力を維持し得るかどうかを判断するため、自らが作成したシナリオのもとに将来の収支を予測し(将来収支分析)、責任準備金の積立ての十分性を確認し、その結果を記載した意見書を取締役会に提出することが求められている。 責任準備金の積立不足の有無を確認するために行われるこのような第三分野保険のストレステスト及び負債十分性テスト並びに将来収支分析においては、保険事故発生率等の計算前提を決定する際に判断が伴い、また、保険数理に関する高度な専門性が必要となる。 以上より、当監査法人は、責任準備金の計上額の正確性及び十分性に関する判断が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」の一つに該当すると判断した。 |
当監査法人は、責任準備金の計上額の正確性及び十分性に関する判断の妥当性について、主に以下の手続を実施した。 (1)内部統制の評価 保険業法第116条の規定に基づく責任準備金の計上に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価にあたっては、特に以下の統制に焦点を当てた。 ① 責任準備金の正確性 ●数理部門において、責任準備金の計算対象となる契約が網羅的に含まれていることを確認していること ●数理部門において、責任準備金の計算の正確性検証のため、複数名が独立して計算し、計算結果の一致を確認していること ② 責任準備金の積立ての十分性 ●取締役会が保険計理人の意見書の報告を受け、責任準備金の積立ての十分性について確認をしていること (2)責任準備金の計上額の検証 責任準備金の計上額を検証するため、当監査法人内の保険数理の専門家を関与させ、主に以下の手続を実施した。 ① 責任準備金の正確性 ●保険契約システムの保有契約データと責任準備金計算用の保有契約データとの整合性を確認した。 ●予め定められた算出方法に従い責任準備金が計算されていることを確認するため、再計算を行った。 ② 責任準備金の積立ての十分性の評価 ●会社が実施する第三分野保険のストレステストの実施方法及び実施結果について、過年度のストレステストにおける仮定と当年度の支払実績との比較及び関連資料の閲覧によりその合理性を評価した。またストレステストの結果、負債十分性テストの実施が不要であることを確認した。 ●保険計理人の意見書及び附属報告書を閲覧し質問することにより、保険業法に基づき責任準備金が適正に積み立てられているかどうかに関する保険計理人の意見内容を確認した。 ●将来収支分析の計算前提について、関連する法令や、日本アクチュアリー会の「生命保険会社の保険計理人の実務基準」への準拠性を検討した。また前事業年度の計算結果との比較を実施した。 |
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
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会社は、新契約の一部を対象とした修正共同保険式再保険契約(以下、「当該再保険」という。)を締結しており、以下の金額が会社の財務諸表に計上されている。また、会社は、当該再保険に関連した金額を (貸借対照表) ●再保険貸4,698百万円(当該再保険契約に係る未償却出再手数料4,092百万円を含む) (損益計算書) ●再保険収入7,925百万円(当該再保険に係る未償却出再手数料の増加額2,277百万円を含む) ●再保険料8,473百万円(当該再保険に係る未償却出再手数料の減少額6,197百万円を含む) 保険会社が行う再保険のうち、再保険に付した部分に係る保険契約から将来に発生することが見込まれる収益を出再手数料としてあらかじめ収受する再保険であって、大蔵省告示第233号の要件に該当する財務再保険については、保険業法施行規則に従って、収受した出再手数料に相当する金額を責任準備金として積み立てなければならない。他方、財務再保険に該当しない場合であっても、再保険の契約内容に照らして適切な会計処理を採用するとともに、保険業法施行規則別紙様式に定める再保険に該当するものについては、財務諸表利用者が再保険に係る財産及び損益の状況を正確に判断することができるよう、同規則別紙様式に従って注記することが求められる。 会社は、当該再保険について、その契約内容を大蔵省告示第233号の要件に照らした上で財務再保険に該当しないと判断している。また、 このような当該再保険の財務再保険及び保険業法施行規則別紙様式に定める注記を要する再保険への該当性並びに契約内容に照らした会計処理の採用には、経営者による重要な判断が伴う。 以上から、当監査法人は、当該再保険の会計処理及び注記の妥当性が当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」の一つに該当すると判断した。 |
当監査法人は、当該再保険の会計処理及び注記の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 (1)内部統制の評価 会社が実施している当該再保険の会計処理の採用に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性に係る評価を行った。評価にあたっては、特に以下の統制に焦点を当てた。 ●当該再保険の財務再保険への該当性に関する評価方法が妥当であるか。 ●上記の評価結果が適切な者により承認されているか。 (2)会計処理及び注記の妥当性 当該再保険の財務再保険及び注記を要する再保険への該当性並びに契約内容に照らした会計処理の採用に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 ●会社と再保険会社との間で締結した再保険協約書、関連する会議体の議事録、再保険会社への再保険計算書及び関連証憑を閲覧し、財務再保険への該当性に関する経営者の判断の妥当性を大蔵省告示第233号の要件に照らして検討した。 ●会社の採用した会計処理及び注記を要する再保険への該当性の判断について、当該再保険の契約内容、保険業法施行規則及び同規則別紙様式並びに会計慣行に照らして妥当であるか否かを検討した。 ●採用した会計処理に基づく財務諸表への会計方針の開示の妥当性並びに貸借対照表注記及び損益計算書注記の保険業法施行規則別紙様式への準拠性を検討した。 |
その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<報酬関連情報>
報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。
利害関係
会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
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(注)1. 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2. XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |