第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスに掲げ、WEBマーケティング×セールスの融合で、企業の経営課題を成果報酬型で解決する成約支援事業を展開しております。「非日常領域」におけるサービス提供を通じて、社会課題に対して「あったらいいな」ではなく、「無くてはならない」、世の中にとって大切なものを社会に実装できるよう取り組んでおります。

 

(2) 経営戦略等

①基本戦略

当社グループは、少子高齢化・生産年齢人口の減少、労働生産性が低下する日本社会において、企業における販促活動、人材採用の効率化を最も解決すべきテーマと特定し、集客から成約まで一気通貫で支援し、なおかつ企業にとって導入リスクの低い成果報酬型サービスを展開することを基本戦略として掲げております。

 

②中長期成長戦略

当社グループは2026年3月期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画を2023年5月12日に公表いたしました。フリーキャッシュフローの最大化を長期方針に掲げ、中長期のEBITDAの最大化を達成するにあたり、オーガニック成長への投資、収益モデルのポートフォリオ化、インオーガニック成長への投資を中期成長戦略として掲げております。


 

 

a.オーガニック成長への投資

当社グループは高いWEB集客力と成約支援オペレーションの確立による高い成約率を備えた独自の立ち位置を確立しています。今後もその立ち位置を確実なものとすべく、主にプロダクトと成約支援オペレーションの強化に向けたオーガニックな成長投資を積極的に実施してまいります。具体的には、人材領域においては、市場の成長性が高い人材紹介と新卒人材会社向けアライアンス支援に注力投資を行い、新卒支援市場でのシェア拡大を目指してまいります。また、会員データベースを活用したターゲット年代の拡大により、20代若年層市場(既卒・第二新卒)への進出を目指してまいります。エネルギー領域においては、当該領域における更なる成約支援事業の強みを洗練させ、成約件数の最大化に向けたマーケティング投資、成約支援オペレーションの強化によりシェア拡大を目指してまいります。

 

b.収益のポートフォリオ化

当社グループの成果報酬型ビジネスにおいて、2023年3月期時点はショット型収益(成約時点で受け取る収益)が大半を占めておりましたが、ストック型収益(成約した契約の期間中継続して受け取る収益)の比率を向上させていくことで収益のポートフォリオ化を図り、総収益の向上及び成長の蓋然性を高めてまいります。具体的には、2024年3月期よりエネルギー領域を中心にストック型収益の比率を高め、顧客との長期にわたるリレーションシップの構築及び1成約あたりの総収益を増加させ、持続的な成長を目指してまいります。

 

c.インオーガニック成長への投資

当社グループにおける成約支援事業の更なる拡大にあたって、M&Aを主要戦略の一つとして位置付けております。中期経営計画期間中においては、既存事業のロールアップ型M&Aと新領域への参入を目的とした大規模なM&Aに限定し、明確なM&A方針を定めております。既存事業のロールアップ型M&Aとは、人材領域、エネルギー領域においてスピーディーな成長を目指すためのM&Aであり、企業規模については制約条件を定めておりません。新領域参入型M&Aとは、投資基準を明確に定め、全体の業績に対し最低10%以上のインパクトがある大規模なM&Aを積極的に志向し、これらの積極的且つ大胆なM&A戦略により非連続的なインオーガニックな成長を実現してまいります。

 

(3) 競争優位性

当社グループの売上収益を構成する主なKPIとして「成約社数×ARPU」を重要指標と認識しております。それら重要指標を拡大するにあたり、重要項目である「集客件数」「成約率」「成約単価」に対して、競争力の源泉となる「WEBマーケティング」と「セールス(成約支援組織)」の2つの優位性を有しております。

 

① WEBマーケティング

当社グループにおける人材領域では、就職活動生の75%にあたる約45万人が毎年度継続的に当社グループのサービスの会員となり、盤石なユーザー基盤を構築できております。(注1)また、毎年度の会員数の積み重ねにより、総会員数は約300万人を突破しております。

 

a.ユーザーファースト

当社グループは、人生において経験回数が少なくユーザーにノウハウが蓄積しにくい「非日常領域」でノウハウ・口コミ情報を提供しております。ユーザーボリュームの多い潜在層からアプローチをすることで圧倒的な母集団形成の実現を可能とし、加えて、ビジネスモデルの構造の違いからも、広告を主体サービスとはしていないためクライアント都合による情報の制約なしにユーザーの立場に寄り添った情報提供を可能としています。それにより、ユーザーからの高い支持を獲得し、潜在層から顕在層まで、見込み顧客をWEBマーケティングで集客し、その後の成約支援オペレーションを介したユーザーの意思決定支援を提供しております。

 

 

b.ストック型コンテンツ

当社グループは、「非日常領域」において、人々が日常生活の中で抱える悩みに対して、インターネット上でノウハウコンテンツや企業の口コミ情報等をWEBコンテンツとして提供しております。これらのコンテンツは、キャリアやファイナンスなどの領域において基本的に流行に左右されにくいノウハウ情報を中心に作成しているため、新規の記事作成に依存せずともユーザーから継続的に検索、閲覧され、中長期的に安定したアクセスが期待できます。また、ニュース記事のような流行性の高い記事を中心とするメディアと異なり、継続的に記事作成を行う必要がなく、一定の記事作成を終えるとコストが抑制されることから、メディア立ち上げ段階の投資フェーズを超えると、大きな投資コストをかけることなく安定した収益を生み出すものと考えております。

 

c.分散型サービスポートフォリオ

当社グループが展開する成約支援事業は、一つのプロダクトに依存せずユーザーの意思決定プロセスに基づいた様々な角度からユーザーニーズを満たすべく、複数のプロダクトを提供しております。また、プロダクトの特徴やユーザーの意思決定フェーズに応じて、配信方法や配信チャネルを分散化させることでユーザーの様々なニーズに合わせたサービス提供を実現しております。

 

② 成約支援組織

当社グループは、ユーザーの情報収集から問い合わせ、比較検討、意思決定という行動プロセスにおいて、WEBマーケティングのみならず、洗練された成約支援組織を構築することで、ユーザーの比較検討・意思決定の行動フェーズにおいて、成約支援組織を通じた意思決定の支援を行い、高い成約率を実現しております。当社グループにおける成約支援組織(インサイドセールス・キャリアアドバイザー・コンサルタント)は、当社グループ全体職種比率のうち、約50%以上(注2)を占めており、今後も拡大を予定しております。また、組織を拡大させながらも1人当たり生産性を落とさない体制の構築に向け、以下の3点の取り組みを進めております。

 

高い成約率の実現に向けた取り組み
a.テクノロジーの活用による生産性の向上

蓄積されたユーザーの行動データや成約データを生成AI等の最新のテクノロジーを駆使し、商談時に活用することで、効率的に成約獲得(受注・内定承諾)に繋げております。

 

b.採用体制強化による組織力の向上

高い選考倍率によって厳選した人材採用活動を進めております。採用した人材の入社後の成果状況を分析や採用ターゲット人材見直しを行うことで、優秀な人材の確保に取り組んでおります。

 

c.独自の教育体制による成約率の維持向上

動画コンテンツなどのマニュアルやナレッジの共有、規定を徹底したリスク管理、少数精鋭のチーム体制の構築でマネジメント体制の強化つなげております。

また、当社グループは成約に応じた報酬体系と、成果にコミットメントする専属のリレーションシップ担当を配置しております。クライアントのサービス導入ハードルを下げ、クライアント数の拡大や長期リレーション構築による成約単価の上昇によって、当社グループの市場シェア拡大に寄与しております。このような成約報酬システムを構築することにより、顧客リレーションが長期で継続するため、新規顧客の開拓が大きな資産になると捉え、現在は新規顧客の開拓に注力しております。

 

(注1)「45万人」2024年3月卒業予定の新卒会員数(2024年3月末時点)

(注2)「50%」グループ全体職種別比率(2024年3月末時点)

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、株主価値向上のため、中長期的にはROE(自己資本利益率)を最大化していく方針でありますが、短期的には売上を増加させ利益を安定的に出す体制を構築することに注力しております。2024年3月期から収益のポートフォリオ化を成長戦略の一つとし、主にエネルギー領域において1成約ごとにショット型で収益が発生するショット型契約での成約件数を増やすとともに、ユーザーの利用状況に応じて毎月収益が発生するストック型契約の成約件数の積み上げを行っており、継続的な利益成長の蓋然性向上に努めております。そのため、現在は売上収益及びEBITDA(営業利益+減価償却費+固定資産除却損及び評価損益+株式報酬費用)に加え、将来収益(1件の成約によって将来生まれる総収益)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として取締役会等でモニタリングを行っております。

また、当社グループは、2024年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を推進しており、最終事業年度である2026年3月期には、売上収益250億円、EBITDA40億円の達成を目指しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 認知度の向上とユーザー数の拡大

当社グループが持続的に成長するためには、当社グループのサービスの知名度を向上させ、ユーザーの意思決定までに必要な良質な情報を提供することで新規ユーザーを継続的に獲得し、ユーザー数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのためには、効果的な広告宣伝活動等により当社グループの知名度を向上させること、また既存プロダクトにおいてユーザーの立場に寄り添った良質な情報を蓄積していくことや、様々な角度からユーザーニーズを満たすべく複数プロダクトを展開することにより認知度の向上とユーザー数の拡大に努めてまいります。

 

② 成約支援組織の拡大及び生産性の維持

当社グループは、WEBマーケティングによって集客したユーザーを洗練させた成約支援組織による意思決定支援を行うことで成約につなげております。成約件数を増加させるためには、成約支援組織の人員数を拡大させながら、1人当たりの生産性を低下させない成約支援組織の構築が必要であると考えております。高い成約率と生産性を維持、向上させる体制構築のために、テクノロジー活用による生産性向上、採用体制強化による組織力向上や、独自の教育体制による成約率維持向上に取り組んでまいります。

 

③ M&Aの活用

新規事業やサービスの拡大のため、M&A等の事業投資の実行による成長の実現が重要であると考えております。M&Aを行うにあたっては、投資効果はもちろん、対象事業等の将来性や当社グループが展開する成約支援事業とのシナジーをはじめとした相乗効果を十分に検討した上で、事業領域の拡大と業績の向上に繋がるよう進めてまいります。

 

④ 内部管理体制及び内部統制の強化

当社グループは、中期経営計画に基づく、積極的な事業投資やM&A等により、事業・組織規模を急速に拡大させております。今後も積極的で適正なリスクテイクを行い、持続的な成長を実現するためには、内部管理体制及び内部統制の継続的な強化が必要であると考えております。第13期においては、リスク管理及び内部統制システムの運用強化のために、内部通報制度の充実化、内部統制委員会の設置を通じてリスク情報の集約から内部統制への反映までのPDCAサイクルの改善に努めたほか、「内部統制システムの基本方針」を刷新し、同方針に連動した内部監査計画の策定、実施及び取締役会、監査等委員会へのデュアルレポートの確立を進めてまいりました。

 

また、企業集団の拡大に合わせ、グループ会社管理やリスクマネジメントに関する規程を充実化させ、各社の役員への研修も実施してまいりました。引き続きグループ全体で業務の適正を確保し続けるべく、迅速で網羅的なリスク情報の把握と内部統制への反映、監査等委員会・内部監査によるモニタリングの徹底、役職員への研修の充実化等をグループ全体で実施し、企業集団、組織、事業の規模拡大に合わせ、より一層の内部統制の強化に努めてまいります。

 

(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 継続的な事業の創出

インターネット関連事業は、サービス等の新陳代謝が激しく、一般的にプロダクトライフサイクルが短い傾向にあります。こうした環境の中で継続的な成長を実現するためには、既存事業の成長を図るだけではなく、様々な新規事業の開発が重要であると考えております。

当社グループは、就職系プロダクト「キャリアパーク!」で構築したビジネスモデルを水平展開及び垂直展開させることで、事業を拡大してまいりました。今後も中長期の競争力確保に繋がる事業開発のノウハウの蓄積を積極的に行い、継続的に新規事業の開発に取り組むことで、将来にわたる持続的な成長につなげてまいります。

 

② 優秀な人材の確保と育成

当社グループは、新卒、中途両面から積極的な採用活動を行い人材を確保しており、事業成長を牽引しております。今後も持続的な成長を実現するためには、優秀な人材を確保・育成し人的資本を拡充させ続けることが重要であると考えており、当社グループでは「人的資本マネジメント方針」を策定しております。同方針では、当社の経営戦略を実行し、中期経営計画を達成すること、ひいてはパーパスを体現する上で必要となる「6つの重要指標」を特定しており、それぞれ目標を定め、各種施策に取り組んでおります。引き続き、同方針に従い、積極的な採用活動と当社グループの経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修の実施や各種人事施策を展開することで、継続的に人材の確保・育成に取り組んでまいります。

 

③ 情報セキュリティの強化

当社グループにおいては、事業規模の拡大に伴い、保有するユーザーの個人情報や顧客情報が年々拡大しております。当該情報は当社グループの重要な経営資源の一つであり、各種営業機密を適切に保護・管理することが持続的な成長のために不可欠であると考えております。当社グループでは情報セキュリティポリシーを定め、同ポリシーの下、機密情報管理規程、個人情報保護規程等の規程の整備及び見直し、定期的な役職員への研修を実施しているほか、サイバーセキュリティシステムへの投資も積極的に行っております。引き続き、事業・組織規模の拡大、社会的・技術的な動向に合わせ、適切にセキュリティ管理体制を強化し続けてまいります。

 

④ 技術革新や事業環境の変化への対応

当社グループの事業領域であるインターネット関連市場は、技術革新のスピードが速く、次々と新規参入企業が出現するなど、変化のスピードが速い環境となっております。

当社グループは、このような変化に対しても迅速に対応し、各プロダクトの利用価値を継続的に高めていくことにより事業規模を拡大するため、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築してまいります。

これらの対応を進める中で、人の生活にとってなくてはならない領域における多くのユーザー、多くのアクセスログを有することとなるため、解析をはじめとした技術革新を続けることは当社グループにとって必要不可欠であると考えます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

当社グループは、「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスとしております。社会が今を優先した結果、これまで積み重ね、残してきた“負債”を100年後の次世代に課題として引き継ぐのではなく、自らが解決すべき社会課題を特定し、提言から実行まで、テクノロジー×リアルで推進し、解決に導くことをグループの目的としております。

そのため、当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する最重要規律であるコーポレート・ガバナンス・ガイドラインの中で、パーパスに従い、当社事業領域における社会課題に対して積極的にそれらの解決を目指すことは当然とし、その上で、当社及び当社経営環境を支えるマルチステークホルダー、また産業や社会の持続可能性を十分に考慮し、当社の存在意義の証明を目指すと定め、これをサステナビリティに関する基本方針としております。

 

コーポレート・ガバナンス・ガイドラインの詳細につきましては当社HPよりご確認ください。

(https://www.theport.jp/ir/assets/pdf/corporat_governance_guidelines.pdf)

 

(2) ガバナンス

(a) サステナビリティに関する取締役会の関与の在り方

当社では、「社会的負債を、次世代の可能性に。」というパーパスのもと、上記「サステナビリティに対する考え方」で示すとおり、取締役会はサステナビリティに関する取り組みを取締役会における最も重要なテーマの一つとして認識しております。そのため、取締役会はサステナビリティ委員会の活動を監督するとともに、指名委員会と連携し、取締役候補の選任にあたり、コーポレート・ガバナンス委員会によって作成された経営評価やパーパスへの適合状況などを重要な評価軸の一つとして設定しております。なお、サステナビリティ施策への取締役会の具体的な関与として、サステナビリティ委員会の構成員の選解任の決定、サステナビリティに関する方針及び予算の決定、委員会に対する活動状況の報告によるモニタリングの義務化などを実行しております。

 

(b) サステナビリティに関する規律設計

当社ではサステナビリティに関する基本方針を「コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」に規定しております。「コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」は、当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する最重要規律であり、当ガイドラインの改定については取締役会の決議を必要としております。加えて、当ガイドラインを改定をした際には、速やかに各ステークホルダーへ開示することを義務化しております。これにより、当社のサステナビリティに関する取り組みの健全性・透明性を確保しております。

 

(c) サステナビリティ施策を推進する体制

当社グループは、コーポレート・ガバナンス・ガイドラインのもと、サステナビリティに関する方針案の策定や推進責任を持つ機関として、取締役会直下にサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、取締役会によって選任された取締役及び執行役員によって構成されております。

サステナビリティ委員会では、取締役会が決定するサステナビリティに関する方針の策定案の審議をはじめ、マテリアリティの特定とマテリアリティに基づき取り組むべきテーマやプロジェクトをの設定しております。また、取締役会より、サステナビリティ投資に係る予算の一部執行権も委譲されております。

具体的な施策の実行にあたっては、設定されたテーマやプロジェクトに従い、サステナビリティ委員会によって、それぞれワーキンググループを直接任命し、委員会の指揮命令のもと予算が執行され、施策の執行状況を監督致します。

加えて、当委員会が起案するプロジェクト等以外にも業務執行部門が担う諸活動の中で、サステナビリティ方針と関連性の高いプロジェクト等に関しても活動状況の報告を求めるとともにその執行状況を監督致します。

 

 

なお、サステナビリティ委員会は、ワーキンググループを含む委員会の運営状況を、取締役会に遅滞なく報告することを、同委員会規則に定めております。

 

サステナビリティガバナンス体制図


 

なお、当社のコーポレート・ガバナンス全般については「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

(3) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

(a) 人的資本に関する考え方

当社は持続的な成長率を実現するために、役職員及び組織の成長が欠かせないと認識しております。人的資本投資は経営戦略の実行に不可欠な投資行為であり、またその向かうべき方向は経営目標の達成にあると考えます。

そのため、原則、中期経営計画等の中長期における経営目標や経営戦略の実現に不可欠な組織及び組織構造を形成させることを目的として、「人的資本マネジメント方針」を策定しております。

現在公表している方針に関しては、中期経営計画等の達成可能性及びその後の非連続成長の可能性を高めるために効果的、効率的な投資計画であるかを判断軸としております。

 

(b) 人的資本に関する戦略及び指標
<戦略>

当社は「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスとして、労働人口減少社会という社会課題に対して、「採用支援」と「販促支援」の2軸からなる成約支援事業を展開しております。2024年3月期現在においては、第2期中期経営計画を進行させており、2026年3月期において売上収益250億円、EBITDA40億円の達成、加えて、早期に社会課題の解決に寄与するソーシャルインパクトを実現すべく、当社では、CAGR30%を持続的に確保する方針を取っております。当該目標の実現に向けて、「人的資本マネジメント方針」では人的資本における6つの重要指標を特定しております。

2026年3月期を最終年度とする当社中期経営計画の達成に向けては、今後急激な組織規模の拡大が予想されます。「健全な急成長」を実現するため、人的資本の確保とその活性化を有機的に連携させるべく、6つの指標においては人材育成・人材開発のソリューションを具体化し、実効性を確保しております。また人的資本に投資状況に関しては四半期に一度取締役会でモニタリングしております。

 


 

<重要指標及び選定理由>

以下を重要指標と位置付け、人的資本への投資を行ってまいります。

重要人的資本指標

選定理由

①FTEベースでの人的資本充足率

中期経営計画の達成にあたって人材獲得競争の激しい中でも継続的に人的資本を確保し続けることは当社の最重要課題である。働き方や価値観の多様化を踏まえ、当社では単純な人数ベースではなく、FTEベースでリソースの充足率を評価することが適切と判断し、重要指標とする。

②重要ポジションの充足率

業績拡大にあたり、迅速かつ果断な意思決定を支える体制づくりの一つとして、積極的な権限移譲を行っている。その移譲先の中核である執行役員や部長は当社の事業推進及びリスクマネジメントにおいて重要ポジションであると判断し、その充足率を重要指標とする。

③女性管理職比率

従業員への持続的なキャリア形成・能力開発の機会を提供することは中期経営計画実現のために肝要であるが、特に当社は女性社員が全体の約40%を占めており、各役職・レイヤー、特に全体への影響の大きい管理監督者における女性比率を重要指標とする。

④管理監督者の充足率と内部登用率

健全な急成長には適時適切な管理監督者の配置が重要であると考える。また当社は新卒採用等により若手人材を積極的に採用していることも踏まえ、当該若手人材を育成し、持続的に管理監督者を輩出し続ける体制が重要であると認識し、充足率と内部登用率を重要指標とする。

⑤マネジメントへの信頼度スコア

組織が拡大していく中においても、経営の意思、価値観を十分に浸透させていくためには、マネジメントへの信頼が欠かせず、パルスサーベイによる当該項目の指数を重要指標とする。

⑥複合的エンゲージメントスコア

従業員の定着及びパフォーマンスの向上のためには、「働きがい」のある職場を形成することが重要であり、パルスサーベイ上、特に当社においては定着、活性化等に相関性が高いと評価できる複数のスコアを重要指標とする。

 

 

 

(c) 各指標の目標と現状
(ⅰ)①FTEベースでの人的資本充足率、②重要ポジションの充足率

FTEベースでの人的資本及び重要ポジションの充足率は、順調に計画に対して目標水準に上がってきております。引き続き計画達成及びその後の持続的な企業価値向上に向け、必要人的資本の獲得及び教育体制を充実化させ、各ポジションにおける資本充足率を計画達成のために必要な水準に上げてまいります。


 

(ⅱ)③女性管理監督者比率、④管理監督者の充足率、内部登用率

2017年度よりリーダー育成プログラムである「PORT DOJO」を推進しており、その育成の効果として若手人材の管理監督者への内部登用率を高い水準に維持できております。またその結果、管理監督者の充足率も目標水準に達しております。引き続き組織規模拡大に合わせ、次期リーダー候補の育成に取り組みつつ、従業員の40%が女性社員であることも踏まえ、女性管理監督者の比率を2026年3月期までに30%に引き上げていくことを目標としております。これにより経営陣をはじめ各レイヤーにおける女性比率の向上に向けた基盤の拡大を目指します。


 

(ⅲ)⑤マネジメントへの信頼度スコア、⑥複合的エンゲージメントスコア

当社では月に一度、全従業員に対するエンゲージメントパルスサーベイを行っており、2022年3月期においては、同サーベイを利用する企業の平均的なスコアでしたが、人材育成プログラムへの積極的な投資や上司部下による面談機会充実化、福利厚生などの働く環境整備などの施策により、2024年3月期現在では利用企業の上位5%にあたる水準になっております。継続したエンゲージメント施策を展開し、中期経営計画期間である2026年3月期において、両指標ともに「85」を目指してまいります。これは、2024年3月期の利用企業実績においては上位3%にあたる水準になります。

 


 

(4) リスク管理

(a) 価値創造プロセスとリスク

当社グループは「社会的負債を、次世代の可能性に。」という、社会課題の解決に直結したパーパスであるからこそ、価値創造に努めることで、サステナブルな社会の実現につながると認識しております。

当社グループの価値創造プロセスは二つのループで成立しているしていると考えております。一つ目は、積極的な投資を通じた事業の拡大によって、社会に対する提供価値(社会的インパクト)を拡大させ、対価としての収益を再投資することでさらに事業、そしてその社会的インパクトを拡大させる「ビジネスループ」。二つ目は、社会的インパクトによって、当社が属する産業や社会の発展に寄与し、産業・社会の発展の結果として顧客やユーザー等の社会関係資本を中心とした当社の資本拡大に寄与する「サステナビリティループ」です。

この二つのループの強化により、さらに提供可能価値を拡大させつつ、各ステークホルダーとの連携・還元により当社グループ及び社会の持続的な発展に寄与することが当社グループのパーパス実現のための価値創造プロセスです。

 

この価値創造プロセスの循環にあたっては、

1.資本拡大から事業拡大

2.事業拡大から社会的インパクト

3.社会的インパクトから資本拡大

4.社会的インパクトから産業・社会の持続的発展

5.産業・社会の持続的発展から資本拡大

の各プロセスがそれぞれ正常に作用すること肝要であり、超長期的な視点で、当該価値創造プロセスの正常な循環を阻害しうる重大なリスク事項こそ、当社が取り組むべき最重要課題(=マテリアリティ)であり、サステナビリティに関するリスク管理の対象であると考えております。

 

現在サステナビリティ委員会にて、マテリアリティの特定に向けて議論を進めております。


 

(b) リスク管理体制の分類

当社グループはグループを取り巻くあらゆるリスクに対して、包括的かつ多面的に分析し、対処するため、各リスクの時間的特徴と、対応の視点に応じて複数の委員会にてそれぞれ中心的に議論する体制を整備しております。

特に、短中期的な時間軸と、超長期的な時間軸とでは、リスクの重要性評価が必ずしも一致しないという点から、短中期的な経営目標の達成に対するリスクの議論は内部統制委員会、リスク管理委員会で実施し、超長期的な企業、社会の持続性に対するリスクの議論はサステナビリティ委員会でそれぞれ中心的に実施することとしております。そのうえで、各委員会の情報連携を強化することで包括的かつ多面的なリスク管理を実現しております。


なお、短・中期的なリスク管理に関する詳細は「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、リスク要因となりうる主な事項を記載しております。また、当社グループは、リスク管理委員会におけるリスクアセスメントの結果のうち投資家の投資判断に影響を及ぼす可能性のある事項について積極的に開示していく方針であり、透明性を重視しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) リスクマネジメント方針

当社グループはパーパスである「社会的負債を、次世代の可能性に。」を実現するため、そしてグロース企業として、持続的な成長を実現するため、積極的なリスクテイクが必要であると考えており、事業投資、人的資本投資、M&A等、投資活動を継続して行っております。

今後も積極的な挑戦を継続して行うために、適切なリスク管理を通じて、リスクとリターンのバランスを見定め、リターンに対してリスクを最小化していくことが肝要であると認識しております。

そのため、当社グループでは「PORTグループリスクマネジメントガイドライン」を策定し、当社グループのリスク管理に関する基本方針として、

(a) リスクとリターンのバランスを考慮し、リスクの最小化に向けた努力を徹底すること

(b) 実効性のある対処を追求すること

(c) 透明性あるディスクロージャーを心がけること

を定めております。

また、具体的な実務指針として、グループ全体のリスク管理を行うリスク管理委員会を設置し、当該委員会に置いて実施されたリスクアセスメントの結果をステークホルダーへ透明性高くディスクローズすることを定めております。加えて、グループ各社においても毎年定期的にリスクアセスメントを実施し、リスク管理委員会に報告することとしております。また、リスク管理委員会には社外取締役が構成員として関与し、取締役会による監督機能を確保しております。

 

(2) リスク管理の実効性と透明性を確保するための体制

(a) リスク情報を適時適切に収集する情報集約システム

実効性の高いリスク管理のためには、リスク事項、インシデント等の情報を迅速に集約し、適時適切にリスク管理及び内部統制システムを再構築し運用することが肝要であると認識しております。

当社では、インシデント等の情報を集約し、内部統制システムを再構築するための体制として、

 

1.内部通報ホットライン制度の充実化

2.リスク管理委員会・コンプライアンス委員会・内部監査室の量的質的な基準に基づく情報連携

3.インシデント発見者への委員会等への報告の義務化

4.内部監査室から内部統制委員会への、コントロールの運用状況・評価の情報連携

5.内部監査室から、取締役会・監査等委委員会へのデュアルレポートラインの確保

 

を行っております。これにより当社のあらゆるインシデント情報が目詰まりなく集約され、リスク事案の把握、具体的なコントロールの実施、コントロールの効果の評価を一貫して適時適切に実施できるものと考えております。

 

 


 

(b) リスク評価及びディスクロージャーの透明性を確保するためのプロセス

当社ではリスク管理委員会において、グループ全体のリスク分類表を作成し、少なくとも年に1度、各リスク項目、その評価及びコントロールの見直しを行いリスク分類表を更新しております。2024年5月現在では事業環境や社会情勢を踏まえ、141のリスク項目(小カテゴリ)を抽出し、各リスク項目を「発生可能性」と「影響度」の2軸で評価しております。

「発生可能性」と「影響度」はそれぞれ、上述の情報集約システムによって集約された情報等に基づき、4段階で評価し、最終的に各リスク項目に対して重要性を6段階で分類しております。重要度評価が4以上のリスク項目を重点リスクとして識別し、各リスク項目(小カテゴリ)のグルーピングを行ったうえで、リスク管理委員会での審議を踏まえ、経営・事業等を取り巻く重要なリスクとして開示しております。

 

リスク管理プロセス


 

リスク対応表


 

(3) 経営・事業等を取り巻くリスクとその分析

当社のリスクアセスメントプロセスに基づき、開示すべき重要なリスクとして識別したリスク項目は以下のとおりです。なお当社リスク管理委員会が重要度が高いと判断したリスク項目の順に記載しております。

 

1.内部管理体制及び内部統制について(重要度:上昇)

当社グループは、中期経営計画に基づく、積極的な事業投資やM&A等により、事業・組織規模を急速に拡大させております。今後も積極的で適正なリスクテイクを行い、持続的な成長を実現するためには、内部管理体制及び内部統制の継続的な強化が必要であると考えております。第13期においては、リスク管理及び内部統制システムの運用強化のために、内部通報制度の充実化、内部統制委員会の設置を通じてリスク情報の集約から内部統制への反映までのPDCAサイクルの改善に努めたほか、「内部統制システムの基本方針」を刷新し、同方針に連動した内部監査計画の策定、実施及び取締役会、監査等委員会へのデュアルレポートの確立を進めてまいりました。また、企業集団の拡大に合わせ、グループ会社管理やリスクマネジメントに関する規程を充実化させ、各社の役員への研修も実施してまいりました。引き続きグループ全体で業務の適正を確保し続けるべく、迅速で網羅的なリスク情報の把握と内部統制への反映、監査等委員会・内部監査によるモニタリングの徹底、役職員への研修の充実化等をグループ全体で実施し、企業集団、組織、事業の規模拡大に合わせ、より一層の内部統制の強化に努めてまいります。しかしながら、規模拡大の速度に内部管理体制、内部統制の構築が間に合わない場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.人材の確保及び育成について(重要度:上昇)

社グループは、新卒、中途両面から積極的な採用活動を行い人材を確保しており、事業成長を牽引しております。今後も持続的な成長を実現するためには、優秀な人材を確保・育成し人的資本を拡充させ続けることが重要であると考えており、当社グループでは「人的資本マネジメント方針」を策定しております。同方針では、当社の経営戦略を実行し、中期経営計画を達成すること、ひいてはパーパスを体現する上で必要となる「6つの重要指標」を特定しており、それぞれ目標を定め、各種施策に取り組んでおります。引き続き、同方針に従い、積極的な採用活動と当社グループの経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修の実施や各種人事施策を展開することで等継続的に人材の確保・育成に取り組んでまいります。

しかしながら、当社グループの必要とする人材が必要な時期に確保できない場合、又は、人材育成が計画通り進まない場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.M&Aについて(重要度:上昇)

当社グループは新規事業やサービスの拡大のため、M&Aをその有効な手段のひとつとして位置付けており、今後も必要に応じてM&Aを実施する方針です。M&Aに際しては、対象事業等のビジネス、財務及び法務等について詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減を図る方針であります。

しかしながら、これらの調査の段階で確認又は想定されなかった事象がM&Aの実行後に発生又は判明する場合や、M&A実施後の事業展開が計画通りに進まない可能性があり、その場合は当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があることや、対象事業等の投資価値の減損処理が必要になることも考えられ、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.情報セキュリティについて(重要度:上昇)

当社グループは、成約支援事業により付加価値の高いサービスを提供しているため、情報こそが最大の資源であり、情報セキュリティの確保を重要課題のひとつとして位置付けております。当社グループは、サービスを提供するにあたり個人情報等、貴重な情報資源を有しておりますが、情報資源を適切に管理するため情報セキュリティ基本方針を定め、情報セキュリティに対する積極的な投資を行うとともに、情報セキュリティ責任者は情報セキュリティを定期的に評価し適正化を図り、業務を継続的かつ効率的に遂行することに努めております。

 

加えて、個人情報管理については特に重要視しており、当社グループは、個人情報の漏洩防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉えております。個人情報保護規程及び情報システム管理規程を制定し、個人情報を厳格に管理するとともに、プライバシーマークの取得や全従業員を対象として社内教育を徹底する等、「個人情報の保護に関する法律」及び関連法令並びに当社グループに適用される関連ガイドラインの遵守に努めるとともに、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。

しかしながら、当社グループや委託先の関係者の故意・過失、又は悪意を持った第三者の攻撃などにより、情報資源が外部に流出する可能性があります。個人情報等の情報が流出した場合、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.有利子負債について(重要度:変化なし)

当社グループは、事業規模拡大に伴い必要となる運転資金やM&A資金を、自己資金及び金融機関から調達した有利子負債等によって賄っております。当社グループの連結有利子負債残高は、当連結会計年度末において5,321百万円となっており、連結資産合計に占める有利子負債の比率は、当連結会計年度末において32.8%となっております。現在の金利水準が変動する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の借入金については、財務制限条項が付されておりますが、当該条項を遵守しております。当該条項につきましては要求される水準を維持するようモニタリングしております。

当社グループでは、上記リスクに対して、金融機関との関係性を継続的に維持・強化し事業拡大に必要な融資の獲得と金利変動リスクを低減するとともに、資金使途を吟味したうえで、当社グループ全体の資金使途に応じて事業資金の調達・運用を実施しております。

 

6.技術革新等について(重要度:上昇)

当社グループが事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に速く、インターネット関連事業者はその変化に柔軟に対応する必要があります。特に、昨今において生成AIの進化がめざましく、当該技術は当社の成約支援事業におけるWebマーケティング及び成約支援組織による競争優位性を低下させる恐れがあります。そのため当社グループは、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築し、メタバースや生成AI等の最新技術の事業応用可能性を積極的に検証することに加え、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。

しかしながら、当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、又は、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.法的規制について(重要度:上昇)

当社グループが提供しているサービスにおいては、個人のユーザーから個人情報を預かっているため、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。また、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」におけるアクセス管理者の立場から不正アクセス行為に対する必要な防御の措置を取る必要があります。さらに、当社グループはシステム開発等の一部を外注する場合があり、「下請代金支払遅延等防止法」の対応が求められます。加えて、当社多くの情報資産を保有しており、採用、業務委託等含め人員が増加しているため、「不正競争防止法」に基づく情報の持ち出し、及び持ち込みを防止するための措置をとる必要があります。

当社グループは、上記を含む各種法的規制などに関して法律を遵守するよう、社員教育を行うとともにそれらの遵守体制を整備・強化しておりますが、今後これらの法令の改正や、当社グループの行う事業が規制の対象となった場合、当社グループの業績及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

8.インターネット関連市場について(重要度:変化なし)

当社グループは、インターネット関連事業を主たる事業対象としているため、インターネット及び関連サービスの更なる発展が事業の成長を図る上で重要であると考えております。インターネットの普及、インターネット活用シーンの多様化、利用可能な端末の増加等は今後も継続していくと考えております。

しかしながら、インターネットの普及に伴う個人情報の漏洩、改ざん、不正使用等や、社会道徳又は公序良俗に反する行為等への対応としての新たな法的規制導入や、その他予期せぬ要因によって、インターネット及び関連サービス等の発展が阻害されるような状況が生じた場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

9.インターネット広告市場について(重要度:変化なし)

当社グループは、インターネット広告等に係る売上高が一定の比率を占めておりますが、インターネット広告は市場の変化や景気動向の変動により広告主が出稿を増減する傾向にあり、そのような外部環境の変動により当初想定していた収益を確保することができず、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

10.コンテンツの信頼性について(重要度:変化なし)

当社グループメディアに掲載するコンテンツの制作に関わる関係者には法令遵守の徹底に加え、所定のルールに従い掲載前のコンテンツのチェックを入念に実施するなどして編集業務を行うよう努めております。また、各領域における関連法令に抵触することがないよう、加えてコンテンツの信頼性を確保できるよう、専門家と連携を図りながら監修体制を導入しております。

しかしながら、何らかの理由により正確性、公平性に欠けたコンテンツが掲載された場合、当社グループの業績及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

11.特定人物への依存について(重要度:低下)

社の代表取締役である春日博文は、当社設立以来、当社グループ事業に深く関与しており、また成約支援事業におけるコアコンピタンスであるWebマーケティング及び成約支援組織による運営に関する豊富な知識と経験を有していることから、経営戦略の立案や遂行に関して重要な役割を担っております。

当社グループは、適切に取締役会等の意思決定機関を運営し、事業成長を牽引できる経営人材を育成するため、グループの経営陣としての意思決定における基本方針として「経営判断ポリシー」及び「PORTグループ役員行動規範」を定めているほか、経営陣への定期的な役員研修の実施を取締役会規程等に義務付けております。

また今後もグループ拡大に合わせ積極的に権限委譲可能な経営人材を継続的に輩出できるよう、当社では、経営陣の一角である執行役員及びグループ会社の役員を会社法上の重要な使用人に相当するもの(「重要な使用人等」)と位置づけ、その選任及び教育方針を当社指名委員会の審議事項として定めており、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。加えて、代表取締役に緊急事態が発生した場合のエマージェンシー体制の決定を行い、当該影響の軽減のための施策を行っております。

しかしながら、現時点で何らかの理由により同氏が長期間の業務を行うことが難しくなった場合は、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

12.広告宣伝活動によるユーザー獲得について(重要度:変化なし)

当社グループの事業にとって、ユーザー数の増加は業績に繋がる重要な要素であるため、インターネット等を用いた広告宣伝活動だけに依存しない体制に必要と思われるセミナーなどのマーケティング活動に注力してきております。一定の成果を有しているものの、新規獲得では広告宣伝活動の影響を受ける部分もあるため、今後もユーザー獲得効果を勘案して最適な施策を実施してまいります。しかしながら、当社グループの想定通りユーザー数が増加しない場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

13.四半期ごとの業績の変動について(重要度:変化なし)

当社グループ人材支援サービスは主に新卒就職活動者を対象に展開しております。第3四半期以降は企業の広報活動が本格化することもあり、当社グループメディアからの送客も増加します。また、販促支援サービスにおいて成長を牽引しているエネルギー領域では、主に電力切替希望のユーザーと小売電気事業者の成約を支援しており、転勤就職等による引越し等に伴う切替ニーズが大きいことから、毎年3月、4月の成約数が最も多くなっております、そのため年間を通じてグループ売上が平準化されずに、四半期決算の業績が変動する可能性があります。加えて、新卒採用市場において、通年採用化の流れが徐々に発生しており、四半期ごとの業績比重が変化していく可能性があります。なお、当連結会計年度の四半期ごとの業績につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (2)その他 当連結会計年度における四半期情報等」に記載のとおりであります。

 

14.許認可等について(重要度:変化なし)

当社グループが取得している以下の許認可(登録)につき、本書提出日現在において、事業主として欠格事由及びこれらの許認可(登録)の取消事由に該当する事実はないことを認識しておりますが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許認可(登録)取消等の事態が発生した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループが取得している許認可等

 

取得年月

2012年10月1日

許認可等の名称

有料職業紹介事業

所管官庁等

厚生労働省

許認可等の内容

13-ユ-305645

有効期限

2025年9月30日(5年ごとの更新)

 

 

取得年月

2023年7月28日

許認可等の名称

宅地建物取扱事業者免許

所管官庁等

東京都

許認可等の内容

東京都知事(1)第109570号

有効期限

2028年7月28日(5年ごとの更新)

 

 

15.大規模災害等に関するリスク(重要度:変化なし)

地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、未知の感染症の拡大等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業拠点である日本の首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、サービスの提供等が止むを得ず一時的に停止する可能性もあり、係る場合、当社グループの信頼性やブランドイメージを毀損するだけでなく、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策検討と準備を推進しておりますが、各種災害等の発生による影響を完全に防止できる保証はなく、各種災害等による物的、人的損害が甚大である場合には、事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行したことに伴い、レジャーやインバウンド需要が回復する等社会活動の正常化に向けた動きが着実に進行しております。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、円安の進行に伴う物価上昇等、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。

当社グループの主要市場である新卒採用支援市場においては、企業の新卒・若手人材に対する採用意欲の回復や採用活動の早期化・長期化により2024年度の市場規模は1,459億円(前期比105.3%※矢野経済研究所「新卒採用支援市場の現状と展望2024年度版」)と、2020年のコロナ禍と比較し回復に転じております。また、今後においても、採用競争の激化に加えて、リスキリングの活用や成長産業への人材の流動化が加速化し、企業における若手人材の需要の高まりにより新卒及び若年層採用支援サービスは拡大基調であると推測しております。

また、もう一つの主要市場であるエネルギー業界を取り巻く環境においては、各地域電力事業者による規制料金の値上げや卸電力市場の価格の落ち着きに伴い、各電力事業者においては新規顧客獲得へ前向きな動きがみられている状況になり、電力・ガス成約支援サービスについても拡大基調になっていくものと推測しております。

このような環境の中、当社グループにおいては、「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスに掲げ、WEBマーケティング×セールスの融合で、企業の経営課題を成果報酬型で解決する成約支援事業を展開しております。

人材支援サービスでは、国内最大級の就活ノウハウ情報プロダクト「キャリアパーク!」や、国内最大級就活生向け企業口コミ情報プロダクト「就活会議」を運営しており、新卒層の75%以上が会員となっております。

販促支援サービスでは、エネルギー領域、ファイナンス領域、リフォーム領域に展開し、企業における販促活動支援サービスを提供しており、各市場におけるパートナー企業との業務提携等を積極的に行っております。

各サービスにおいて当連結会計年度では以下の取り組みを進めてまいりました。

人材支援サービスでは、企業の新卒採用意欲の本格的な回復や人材採用競争の激化等、外部環境が良好な状況において、堅調な会員基盤をもとに、人材紹介においてキャリアアドバイザーの増員や地方展開等により、好調な成長が持続し、前年同期比で大幅な増収増益を達成しております。

販促支援サービスでは、中心となるエネルギー領域において電力事業者の電気料金の値上げに伴う新規顧客獲得需要の増加や成約単価の回復が見られる中で、第2四半期より株式会社Five Lineが加わり国内最大規模の電力・ガス等の成約支援事業者となりシナジー効果により市場でのプレゼンス向上も図られ、需要期である第4四半期では売上収益前年同期比124.7%増と大幅な伸長となり、通年前年同期比で大幅な増収増益となりました。

また、第3四半期より、来期以降の持続的な成長の蓋然性向上へ向けエネルギー領域を中心にストック収益比率を拡大させ、期初計画を大きく上回る将来収益の積み上げを行っております。

 

こうした施策の成果もあり、人材支援サービス及び販促支援サービスエネルギー領域において大幅な増収増益となっていること、ファイナンス領域も前期第4四半期からの順調な業績推移が継続していることで、売上収益16,622百万円(前年同期比46.3%増)営業利益2,403百万円(前年同期比41.4%増)税引前当期利益2,331百万円(前年同期比40.5%増)親会社の所有者に帰属する当期利益1,456百万円(前年同期比35.5%増)となりました。

なお、当社グループの事業セグメントは成約支援事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は7,353百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,480百万円増加しました。これは主に、営業債権及びその他の債権が1,388百万円増加したことによるものであります。

また、非流動資産は8,882百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,320百万円増加しました。これは主に、その他の金融資産が1,105百万円、有形固定資産が638百万円、のれんが596百万円、無形資産が545百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は16,235百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,800百万円増加しました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は4,451百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,427百万円増加しました。これは主に、その他の金融負債が735百万円、社債及び借入金が406百万円増加したことによるものであります。

また、非流動負債は5,031百万円となり、前連結会計年度末に比べ639百万円増加しました。これは主に、社債及び借入金が211百万円、引当金が145百万円、繰延税金負債が133百万円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は9,482百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,067百万円増加しました。

 

(資本)

当連結会計年度末における資本は6,752百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,733百万円増加しました。これは主に、当期利益1,530百万円の計上及び資本金の増加1,379百万円によるものであります。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は、41.6%(前連結会計年度末は28.4%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ74百万円減少し、当連結会計年度末には3,797百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,031百万円(前連結会計年度比307百万円減)となりました。これは主に、税引前当期利益の計上2,331百万円、営業債務及びその他の債務の増加775百万円、減価償却費及び償却費の計上548百万円、営業債権及びその他の債権の増加1,818百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は2,144百万円(前連結会計年度比1,636百万円増)となりました。これは主に、無形資産の取得による支出721百万円、有形固定資産の取得による支出566百万円、投資有価証券の取得による支出467百万円、その他の金融資産の取得による支出316百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入245百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は1,037百万円(前連結会計年度は921百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入2,540百万円、株式の発行による収入2,264百万円、長期借入金の返済による支出2,075百万円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,866百万円等によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループの事業セグメントは成約支援事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。

事業の名称

販売額(百万円)

前年同期比(%)

成約支援事業

16,622

146.3

合計

16,622

146.3

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

当連結会計年度
(自 2023年4月1日
 至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社レントラックス

1,222

10.8

1,718

10.3

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

成長のための重要ポイントである成約社数と一社当たり単価の拡大のため、成約支援に係わる人材の増員を図るとともに生産性を維持、向上させることで、人材支援サービスが著しい成長を実現し、また、国内最大規模の電力・ガス等の成約支援事業者となった販促支援サービスのエネルギー領域では、第2四半期以降外部環境も徐々に回復する中でM&Aのシナジー効果によるプレゼンス向上も図られ、飛躍的な成長を遂げました。2026年3月期を最終年度とする中期経営計画(売上収益250億円、EBITDA40億円)の達成に向け、初年度より好調なスタートを切ることができております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。また、持続的な成長を図るため人材支援サービスをはじめとした既存事業の拡大と新規メディア開発を行っており、これらに必要な資金については必要に応じて多様な資金調達を実施しております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債(社債及び借入金)残高は5,321百万円、現金及び現金同等物の残高は3,797百万円であります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記  4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(子会社の取得

当社は、2024年1月31日開催の取締役会において、楽天グループ株式会社が運営するクチコミ就職情報サイト「楽天みん就」(みんなの就職活動日記)事業に関する資産、債務、契約その他の権利義務を吸収分割により楽天グループが新設する会社に承継させたうえで、同社の発行済株式の全部を取得し、完全子会社化することを決議しました。当該決議に基づき2024年1月31日付で株式譲渡契約を締結し、2024年4月1日付で同社の株式を取得いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表注記 29.後発事象」をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。