文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念
当社グループは、「元気な街、心豊かな暮らし」を経営理念としております。「私たちが住み、働く街を元気にする、活性化する。そして私たちが関わる全ての人に幸せになってもらう、心豊かな暮らしを送ってもらう。そんな社会を実現したい」これが当社グループの経営理念の根幹であります。この経営理念のもと、“ライフスタイルに合った良質な「すまい」を提供し、持続的に発展する「まち」を作る”をミッションとし、九州全域と山口県にて事業を展開し、お客様一人ひとりに寄り添った「すまい」の提供を行っております。
以下は大英グループの価値創造ストーリーであります。
世の中の課題をどのように捉え、自社の強みや戦略を活かし、どのような社会を成し遂げたいかを1枚にまとめました。(注1)
(2)経営方針
当社グループは「地域愛着経営」を経営方針としております。
① 地域の課題を解決する
② 地域の魅力を創造する
③ 地域のコミュニティと共存する
この3点を地域愛着経営のテーマとし、地域に根差した事業展開を行うことで、地域の皆様に愛され、必要とされる会社を目指してまいります。当社グループの「地域愛着経営」の形として、まずは当社従業員が働きがいを感じ、モチベーションに基づく接客や商品・サービスの改善・強化を行うこと、関係業者の方々との継続取引の中でその想いを伝達しながら商品づくりを行っていただく、そしてその商品をご購入いただくお客様の満足度が高まる、その喜びが従業員のモチベーションや働きがいに繋がる、この循環が回ることで、地域の皆様や株主・投資家の方々への期待感へつなげていく、これが、「地域愛着経営」が実現できた時の形だと考えております。
(3)当社の人材採用・育成方針
当社グループの経営方針の軸となる従業員の採用、育成の軸としているものが、以下の3点です。
(当社では以下を「大英バリュー」と呼んでおります)
①人を大切にしている
②溌剌としている
③向上心がある
お客様の想いを預かる大切な仕事だからこそ、いつも元気で溌溂とした対応にて、お客様や取引業者、そして一緒に働いている仲間を大切にしながら業務を遂行し、従業員個々人の日々の成長へと繋げたいと考えております。
(4)経営環境並びに中長期的な会社の経営戦略
当社グループは当期からの3ヶ年(2023年9月期~2025年9月期)における成長戦略を開示いたしております。「地域愛着経営」の方針を基に、地域に愛され必要とされる会社を目指すべく、重点戦略として3点、そして中長期的に当社共通で取り組む共通戦略を3点設定しております。
重点戦略①住まいのワンストップ体制の構築
中長期的に、これまでの事業別組織からエリア別組織への移行を目指し、重点エリアとするエリアの
中で、ワンストップで住まいやサービスの提供ができる体制を整えます。
②事業領域の拡大
人口・世帯数の減少を見据え、重点エリア内でのひとりのお客様との関係性を深め、住まいだけでない、
生涯におけるサービスの提供や新たな事業の拡大を目指します。
③組織風土・人材戦略
ワンストップ戦略、事業領域を拡大するうえで、業務改善や組織風土の変革、人材の育成方針や評価制度
の見直しを行う必要があります。チャレンジしながら成長する組織を目指してまいります。
共通戦略①DXの推進
不動産テックの推進として、土地情報、お客様情報の一元化、メタバースの活用幅を広げてまいります。
②SDGsへの取組み
現在既に着手している、地域産木材の活用、建築端材の活用、そして今後は主要事業である分譲マンショ
ンや分譲住宅の環境配慮型商品の開発などを強化してまいります。
③少子高齢化への取組み
お客様への商品・サービスの拡充、また当グループ従業員の働きがいの2軸にて取組みを行っておりま
す。
3ヶ年におきましては、上記の重点戦略、共通戦略のもと事業を推進してまいります。(注2)
(5)優先的に対処すべき事業及び財務上の課題
当社グループが属する不動産業におきましては、建築資材の高騰、諸外国による軍事侵攻などの地政学的問題など、経済環境は刻々と変化しております。
このような経済環境が変化する中、当社グループは、経営資源の効率化と多種多様な「すまい」の提供に邁進し、地域に根付き、地域に愛される会社を目指してまいります。
①利益率の低下
当連結会計年度におきましては、建築資材の高騰や燃料費などにより、建築原価が高騰したものの販売価格への転嫁が行えず、値引きやお客様へのサービスにより販売を促進したことから、利益率の改善が図れていない状況にあります。一部企業においてはベースアップ等の対策が図れておりますが、物価の高騰は依然継続しており、家計を圧迫している状況に変わりはありません。特に新築一戸建てや中古住宅等の子育て世代向け商品においては、販売価格を上げることにより、売上が減少する懸念があり販売価格への転嫁が難しい状況にあります。
今後、建築における労働人員の費用等はさらに増加することが見込まれていることから、顧客ターゲットを変えた商品開発や付加価値の高い商品の開発、土地仕入れ価格抑制における地主様との直接的な取引割合の増加、利益率に制限を設けた選別した土地の仕入れによる原価率の抑制を行っていく必要があります。
また、販売経費においても人件費の増加や外部への販売委託の増加による販売手数料の増加を中心に経費が増加しております。選択と集中により、効率性の高い経営を行っていくこと、DX等の活用の推進、生産性を意識した働き方の変更や育成計画の実施が必要であると考えます。
②完成在庫の増加
戸建事業及び不動産流通事業において、完成在庫の増加が大きな課題となっております。要因としては、当社の強みである土地情報量の多さから仕入れ活動は順調に進捗しているものの、競合との差別化優位性を打ち出すことができておらず、当初の想定より販売進捗に遅れが出たことにあります。在庫が多くなることに伴い、値引きを活用したお客様への販売となり、売上総利益率の減少や有利子負債の増加による金利の増加につながっているという状況です。
各事業において、外部環境の変化に影響を受けにくい、財務体質にしていくため、戸建事業、不動産流通事業においては一時的な仕入れ件数の抑制と、利益率の基準値を上げた土地仕入れの実施、何よりも強力な完成在庫の販売促進を行い、完成在庫の圧縮を図ります。
③売上の偏重
当社は売上の約50%をマンション事業にて計上しております。分譲マンションは土地の仕入れからお客様への引渡しまでの期間が長く、通常約2~3年かかります。分譲マンションは完成前に販売を行い、完成とともにお客様への引渡しを行うというビジネスモデルであるため、まとめて数十戸の売上があがるという構図となり、偏重が起こりやすい事業特性であります。複数棟のマンションの竣工時期が重なることにより、大きな売り上げの偏重となり、この状況は財務体制の不安定さ、業務の偏り、災害発生時のリスク等に繋がります。
次期(2024年9月期)におきましては、特に偏重することが見込まれておりますが、57期(2025年9月期)以降に平準的な売上計上を行うため、土地の仕入れ時期、建物の完成時期の分散を行える体制を構築することが必要となります。
※次期(2024年9月期)のマンション事業の売上計上棟数
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
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竣工棟数 |
1棟 |
2棟 |
0棟 |
8棟 |
④ストック事業の強化
当社の主たる売上は分譲業であるため、新型コロナウイルス感染症の蔓延、資材・エネルギー価格の高騰、金利の上昇など、あらゆる外部環境の変化を受けやすい状況にあり、安定した財務体質が図りにくい状況にあります。
当社10ヶ年戦略におきましては「地域愛着経営」の経営方針のもと、現在の主力事業である分譲マンションや分譲住宅に加え、新規事業戦略として、住宅・不動産以外の事業展開を行っていくことを掲げておりますが、外部環境に影響を受けにくい、財務体質の強化もその目的のひとつであります。
ほとんどの従業員が分譲業以外携わったことがない状況の中、ストック事業の新規立上げ、事業としての確立は簡単なことではなく、一定期間を有するとも考えております。自社のみならず、他社との協業、外部からの専門スキルを持った人材の採用なども踏まえ、長期的な企業の発展を目指すため、ストック事業の立上げ・強化を目指してまいります。
(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
企業を継続的に安定成長させるためには、利益の確保が重要であることから、当社グループは売上高経常利益率を重要な経営指標として認識しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。
注1.大英グループの「価値創造ストーリー」においては、以下当社ホームページに動画を掲載。
注2.3ヶ年における成長戦略においても以下当社ホームページに動画を掲載。
https//www.daieisangyo.co.jp/ir/stocks/news 2023.6.15中期VISIONについて
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティの基本方針
当社グループは、サステナビリティの基本方針として、以下の4点を基本方針としております。
「元気な街、心豊かな暮らし」の経営理念に基づき、お客様、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーとの対話と協働を通じて、自らの成長とともに持続可能な社会の実現を目指してまいります。
①価値あるライフスタイルの創造
新たな価値の創造により、人々の暮らしの豊かさの向上に貢献します。
②コミュニティの形成
ステークホルダーとのコミュニティを形成し、皆様と共に発展します。
③高品質で快適な空間の提供
お客様満足度の高い商品の提供を通じて、快適で安全な生活を支えます。
④環境・文化の醸成
持続可能な環境、そして文化活動の機会提供で、生活水準の向上に貢献します。
(2)ガバナンス
環境、社会課題に対する戦略の策定や迅速な意思決定に向け、健全で透明性のあるガバナンス体制が必要であると考えております。そのうえでサステナビリティの実行部門、及び「リスクマネジメント委員会」を社長直轄部門である社長室に設定しております。今後、サステナビリティに関する達成指標の策定、及びその推進と定期的な進捗報告を行う体制の構築を行ってまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、中長期的なリスクに関し、当社を取巻く外部環境、内部環境の変化を洗い出し、リスクと機会の特定を行っております。リスク評価を行ったのち、優先順位の高い取組みについて、取締役会にて四半期に一度進捗確認をしています。
(4)人的資本
人的資本経営に向けた、具体的取り組み目標設定が現段階において行えておりません。
当社の現状の把握、課題の抽出から、当社として目指す指標を設定してまいります。
今後人的資本経営における目標設定等を行っていくうえでの当社、当期の現状です。
・役員・執行役員の男女比率 男性 92.3% : 女性 7.7%
・管理職の男女比率(執行役員を除く) 男性 93.5% : 女性 6.5%
・全従業員の男女比率 男性 53.4% : 女性 46.6%
・全従業員の年代
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20代 |
30代 |
40代 |
50代 |
60代~ |
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構成比率 |
29% |
31% |
24% |
9% |
7% |
・その他人材にまつわる当社の現状
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53期 |
54期 |
55期 |
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産・育児休暇取得率(パート従業員含む) |
100% |
100% |
100% |
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男性の育児休暇取得率 |
0% |
0% |
30% |
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入退社の人数 |
入社 |
45名 |
48名 |
54名 |
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退社 |
29名 |
27名 |
26名 |
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離職率 |
12.0% |
7.7% |
7.2% |
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現状の取り組み
働きがい ・ 制度設計(フレックス勤務・時短勤務・在宅勤務・副業制度の拡充)
・ 産・育児休暇者の面談・座談会・復帰前研修の実施
・ エンゲージメント指数の測定とPDCAによる改善施策の実施
・ 社内研修の実施 2023年9月期研修費51千円/一人当たり
挑戦・成長 ・ 全従業員を対象とした新規事業提案制度
・ 社内公募による、子会社を含めた異動
・ 資格取得支援制度
・ 新規事業部門における評価制度の変更
多様性 ・ 当期の新卒、キャリア採用比率 新卒40.7%:キャリア採用59.3%
・ アルムナイネットワークの構築
現状の課題 :①役員・執行役員及び管理職以上の女性比率が低水準であること
②新卒中心の採用方針により、理念・方針が浸透しやすい一方、専門スキルの高い人材の採用が
少ないこと
③中長期的VISIONに向けた、専門人材、事業長クラスの育成スピードが遅いこと
今後これら現状を踏まえ、目標設定を行ってまいります。
(5)その他
サステナビリティ基本方針に基づいた当社の取組み
大英グループは、「SDGsを通じて元気で心豊かな未来を創る」取組を推進してまいります。
当社の取組みは以下の通りです。
①建築端材の廃棄量を削減
分譲住宅の建築現場で発生する木材の廃棄量削減を目指し、ネームプレートやコースター・表彰トロフィーなどにアップサイクルする端材活用の取り組みを推進しております。中でも、当社グループが主体となっている「北九州みらいキッズプロジェクト 出張こども大工」は、端材で木工キットを制作し、幼稚園・保育園や地域のイベントでこどもたちに大工体験の機会を提供しているものです。木工キットの制作は、シニア大工や障がいのある方に依頼することで雇用や働きがいの創出につながっており、現在では、地域の企業・団体・大学と共にパートナーシップで取り組んでいるため、継続性のある活動となっております。
持続可能な社会への実現のため、さらに端材の活用を推進してまいります。
②地域産木材の活用
2022年12月26日に北九州市、北九州市森林組合、株式会社伊万里木材、ウイング株式会社、当社の5者で「地域材の利用拡大に関する建築物の木材利用促進協定」を締結いたしました。これを受けて当社の分譲住宅では、当期より北九州市産木材を利用した建築を開始しております。木材のトレーサビリティと炭素貯蔵量の見える化を5者で連携して取り組みながら、木材の切り出しと植樹を積極的に行うことで林業・木材産業の活性化と森林循環によるカーボンニュートラルの実現を目指しております
③多世代が住まう街づくり
分譲マンション
分譲マンションにおいては、過去に供給してきた分譲マンションは3LDK~4LDKとファミリー世帯を中心とした設計でありました。北九州市で供給した大型マンションでは、1ROOMから6LDKまでの住戸が並ぶ、多世代共生型のマンションを皮切りに、単身世帯や一戸建てからの住み替えの方向けの1LDK、2LDKの分譲マンションの展開割合を増やしております。
分譲住宅
当社の分譲住宅の土地の仕入れにおいては、新たに山を切り崩したような大型団地の開発ではなく、一戸建てが立ち並ぶ住宅街の中において売却に出された用地に建築しております。空地や空家の問題の対策と併せ、その従前の住宅街の中に小さな子供の声が広がり、近くの公園が賑わう、だんだんと人が少なくなっていく街に活気が戻るような街づくりを目指しております。
当社グループの事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
これらの事項に対しましては、当社グループのリスクマネジメント委員会主導のもと、優先順位に基づき、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)優先的に対処すべき事業及び財務上の課題の取組みと共に、将来の業績への影響を軽減させる方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)通期を通した資金繰りについて
①融資について
当社グループの事業については、多額の資金が必要になります。多額の資金を自己資金で賄うことは現実的ではなく、金融機関等の借入金により、各事業のプロジェクトを遂行しております。経済環境の変化により、金融機関の融資条件等がより一層厳しくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②有利子負債について
当社グループは、原則として、プロジェクト案件ごとに用地の取得資金と開発費用等そのプロジェクトの推進に必要な資金を、プロジェクトの期間に応じた金融機関からの借入金により調達しており、下表のとおり有利子負債依存度が高い水準で推移しております。なお、当社グループにおいて、「短期借入金」、「1年内償還予定の社債」、「1年内返済予定の長期借入金」、「リース債務」、「社債」、「長期借入金」が有利子負債に該当いたします。
また、運転資金については、原則として手許資金で賄うこととしておりますが、資金繰り弾力化のため、一部金融機関からの借入を実施しております。近年においては、低金利の継続により、金利負担は比較的低水準で推移しておりますが、将来において金利が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の金融政策の方針が変更された場合、プロジェクトの進捗や業績に影響を及ぼす可能性があります。
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決算期 |
総資産(百万円) |
有利子負債(百万円) |
有利子負債依存度(%) |
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第51期連結会計年度 |
29,676 |
15,585 |
52.5 |
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第52期連結会計年度 |
32,302 |
17,967 |
55.6 |
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第53期連結会計年度 |
30,252 |
18,092 |
59.8 |
|
第54期連結会計年度 |
38,375 |
23,410 |
61.0 |
|
第55期連結会計年度 |
39,829 |
24,821 |
62.3 |
③現金及び預金残高の増減について
マンション事業においては、その性質上、竣工引渡時に一斉に売上代金を回収するため、一時的に現金及び預金の残高が大幅に増加し、その後の数ヶ月間で工事代金の最終金決済やプロジェクト資金の返済が行われるため、大幅に減少いたします。竣工時期に偏りがないような用地仕入、並びにゼネコンとの工事請負契約締結のスケジュール組みに着手しておりますが、想定通り進まない場合、当社グループの財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
尚、第2 事業等の状況 (5)優先的に対処すべき事業及び財務上の課題 ③売上の偏重にも記載の通り、完成時期、引渡し時期が偏ることによる売上の偏重は、資金繰りを不安定にさせる大きな要因となっております。通年で安定した売上を確保することで有利子負債や現預金の波を緩やかにできるため、売上の偏重は当社の優先して
取り組むべき課題として捉えております。
(2)人材の不足並びに育成について
住宅・不動産及び建築人財においては人材不足が大きな問題になります。当社グループとしては、従業員の働きがいを高め、積極的な事業展開により在職者、求職者にとって魅力的な企業となるべく努力をしてまいりますが、予想を大幅に上回るような退職者が発生した場合や、必要な人材確保及び育成が計画通りに進まない場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業展開に合わせた適材適所の人員配置、業務改善による効率化、継続的な成長を達成するための優秀な人材採用と育成が重要であると考えております。
(3)機密情報及び個人情報の漏洩について
当社グループでは、事業の性質上、常時多数のお客様の個人情報をお預かりしている状況にあります。個人情報については、プライバシーマークを取得し、個人情報保護基本規程等に基づいて厳重に管理しております。また、社内では個人情報だけではなく、インサイダー取引に抵触する情報も取り扱います。漏洩を防ぐため、個人情報保護委員会やリスクマネジメント委員会を設け、当社グループの従業員等に対する定期的な教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底を行っております。しかし、これらの対策にもかかわらず機密情報が外部に漏洩した場合には、社会的信用が著しく低下する上に、多額の損害賠償金等が発生、業務停止など、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)突発的災害等によるインフラ機能の低下
当社グループでは、膨大な情報をサーバーにて管理しております。各事業の業務を迅速かつ適正に進めていくために欠かせないシステムですが、災害によるシステムダウンやハッキング、メール等からのウイルス感染によりシステムの機能不全に陥った場合や、本社社屋及び各事業所などの固定資産の老朽化が進み、災害による機能不全や適切なメンテナンスが計画通りに進まない場合は、事業の遂行が遅延、停止するため、当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)不動産市況等について
当連結会計年度における不動産業界におきましては、諸外国の地政学的問題、米国による利上げによる急激な円安、また、当社グループの事業展開エリアである九州・山口の人口や世帯数の推移、顧客の価値観の多様化等、外部環境の変化による影響を非常に受けやすく、これら環境の変化における対応が求められております。
①人口動向について
当社グループの事業エリアである九州・山口エリアは、総人口の減少と少子高齢化が進んでおり、今後、その傾向はますます強くなることが想定されます。このことにより、特に住宅事業の主な購入者層である20~40代の子育て世代は、減少していくことが確実視されます。今後は、従来の北九州近郊から事業エリアを広げて顧客を確保すること、多様な家族構成・価値観に合わせた商品開発を展開し、住まいシェアを確保するなどの対策を検討しなければなりませんが、対策がうまくいかなかった場合、売上が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②金融機関による利上げ
米国での利上げにより米国の住宅需要は減少している状況にあります。日本においては、大手金融機関で一部利上げはあったものの、当社グループにおけるお客様の多くが利用される地方銀行等の住宅ローン金利は、現段階での利上げはみられておりません。しかしながら、住宅ローン金利が上昇した場合、顧客の住宅ローン返済額の増加や借入限度額の減少による購入可能な顧客の減少、住宅購入マインドの低下などが起こる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③原材料・資材価格等の高騰について
当連結会計年度においては、円安による国外資材、エネルギー価格の高騰など、国内外市場の動向により大きな影響を受けました。建築コストは売上原価の主要項目であり、原材料・資材・物流等の価格が上昇した場合は、原則として上昇分に応じて販売価格に転嫁しております。しかしながら、想定を上回って建築コストが上昇し、販売価格へ転嫁することが難しい場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(6)訴訟等について
①契約不適合責任について
当社グループの不動産事業については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、新築住宅(分譲マンション含む)の構造上主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分について住宅の引渡しから10年間、その他の部分については、「宅地建物取引業法」により住宅の引渡日から最低2年間について契約不適合責任を負っております。当社グループは建築工事の工程管理、品質管理に万全を期しておりますが、何らかの事情により当社グループが責任を負うことにより、想定外の補償工事費用の計上や当社の信用力の低下が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②完成工事補償引当金について
お客様へ物件を引き渡した後に補修工事を行う場合や、完成工事の瑕疵担保責任に備える目的の引当金を計上しております。販売棟数の増加に伴い必然的に利益圧縮に繋がることに加え、不測の施工不良等により実際に多額の補修工事が発生した場合、引当金の計上額(販売費及び一般管理費)が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法的規制について
当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」「建築基準法」「国土利用計画法」「都市計画法」等、不動産取引や建築に関わる多数の法令、及び各自治体で定められる建築に関する条例等の法的規制を受けております。また、連結子会社の大英リビングサポート株式会社におきましては、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」等による法的規制を受けております。このため、将来におけるこれらの法的規制の改廃、新法の制定等により、事業計画を見直す必要が生じる場合や、これらの法的規制等に定める事項に抵触した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業活動における必要不可欠な免許として、当社、株式会社大英エステート、株式会社大英不動産販売においては宅地建物取引業免許が、大英リビングサポート株式会社においては管理業務主任者免許があります。現時点では、免許または登録の取消事由・更新欠格事由(※下表枠外に記載)に該当する事実は存在しておりませんが、今後、何らかの理由により免許及び登録の取消・更新欠格による失効等があった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの有する免許、許可及び登録については、以下のとおりであります。
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会社名 |
法令名 |
免許・許可・登録等 |
有効期限 |
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大英産業㈱ |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業免許 国土交通大臣免許(2) 第008700号 宅地建物取引士(179名) |
2024年11月11日 |
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大英産業㈱ |
建築士法 |
一級建築士事務所登録 福岡県知事登録第1-60140号 一級建築士(3名) 二級建築士(25名) |
2025年12月12日 |
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大英産業㈱ |
建設業法 |
特定建設業許可 福岡県知事許可 (特-2)第98911号 一級施工管理技士(7名) 二級施工管理技士(9名) |
2025年9月10日 |
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大英リビングサポート㈱ |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 |
国土交通大臣(3) 第093710号 管理業務主任者(4名) |
2025年12月16日 |
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㈱大英エステート |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業免許 福岡県知事(1) 第19857号 宅地建物取引士(3名) |
2026年12月9日 |
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㈱大英不動産販売 |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業免許 福岡県知事(1) 第19858号 宅地建物取引士(5名) |
2026年12月9日 |
※許認可等の取消事由について
a.宅地建物取引業者免許の取消事由は、宅地建物取引業法第66条に定められております。
b.一級建築士事務所登録の取消事由は、建築士法第26条に定められております。
c.建設業許可の取消事由は、建設業法第29条に定められております。
d.マンション管理業者登録の取消事由は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第83条に定められております。
(8)自然災害
自然災害のリスクとしては、1点目にお客様に提供した住まいに関するリスク、2点目は当社従業員や関連企業の方々、地域の方など、関わる全てのステークホルダーの安全リスクです。
リスクの備えとして、BCPの策定、災害対策本部の勉強会及びシミュレーション、安否確認システムの構築・運用訓練、災害備蓄の施地などを行っております。
しかしながら、当社グループ事業エリアにおける震災、また、広域で被害予測される南海トラフ地震等の災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)住宅、不動産業界の動向について
①土地の仕入について
当社グループでは、主要事業が全て土地に関連する事業のため、事業用地の仕入れが各プロジェクトの成否において生命線となります。立地条件、地積、地盤、周辺環境、権利関係、収支計画等について事前に調査・検討し、その結果を踏まえた上で土地の仕入を行っております。近年、全国的な土地公示価格が上昇、土地の取引価格においても相対取引が減少し、入札による取引が増加していることから、土地の購入価格は年々高騰しております。このような土地価格の高騰により、プロジェクトの収益が計画どおりに確保できない、あるいは仕入中止によりプロジェクトを断念するなど、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、用地取得時に予想できない土壌汚染や地中埋設物が発見された場合や、工事進捗に影響する近隣住民との問題が解決できなかった場合においても、プロジェクトの遅れや追加費用の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②建築の外部委託及び工程監理について
当社グループの事業における建築工事は、一部または全部を外部に委託しております。このことは、自社の固定人件費の抑制に繋がっており、不況時においては、経営リスクを軽減する反面、好況時においては、外部委託先への委託業者の競合が増加し、委託先が十分に確保できなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、住宅建築工事においては、外部に分離発注する形態にて工事委託を行っておりますが、一部、連結子会社の大英工務店が携わっております。将来の住宅業界における工事職人不足は顕在化しており、当社委託先の職人が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。各現場工程監理につきましては、各事業担当者にて、より慎重を期して行っておりますが、不測の事態等により工事の遅延等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③住宅業界の技術革新について
2021年10月閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)基準の省エネルギー性能の確保を目指す」という政府の目標が宣言・公表されました。SDGsの観点から高付加価値を持つ住宅に対するニーズは大いに高まっております。また、省エネに加え、IOTを駆使したスマートハウスのニーズもあり、様々な新商品が市場に投入される傾向にあります。これら高付加価値の商品を導入する場合、建築コストの増加においては、販売価格への転嫁を行うことになりますが、原価の高騰から販売価格への転嫁が難しい場合、また、業界またはお客様の望む技術革新のスピードに当社グループが対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④販売の外部委託について
当社グループは、一部物件の販売活動を外部業者に委託しております。これにより、当社グループのみで販売する場合に比べて、より多くの物件を同時に販売できる反面、販売手数料等の増加により利益率が悪くなります。また、新築住宅において、販売を外部へ委託する販売手法を採用する住宅会社が増加してきたことにより、競合が激化しております。2021年10月1日(2022年9月期)付けにて、将来の販売体制を見据えマンション事業、住宅事業における子会社の販売会社を設立いたしましたが、今後も引き続き外部業者への委託を継続していくため、委託割合が増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤競合について
当社グループは、沖縄県を除く九州全域で事業展開しております。首都圏等に比較すると少ないものの、大手マンションデベロッパー・ハウスメーカーから個人事業者に至るまで大小様々な競合他社が多数存在しており、大変厳しい競争環境に晒されております。今後においても新規大手の参入や異業種からの参入も増える可能性があり、更に競争が激化することが想定されます。これにより、物件の仕入価格の上昇(原価の高騰)や、販売価格の下落(売上の減少)が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)棚卸資産の評価損処理について
当社グループでは事業の性質上、棚卸資産が総資産に占める割合は2023年9月期において72.97%と非常に高い水準にあります。会社方針により竣工在庫を抑制するよう努めており、完成在庫である販売用不動産だけであれば、総資産の25.79%と比較的少ない水準ではありますが、何らかの理由により不動産の市場価値が下落した場合は、評価損処理が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(以下「当期」という。)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類へと移行したことに伴い、経済活動の正常化に伴う人流の増加及びインバウンド消費の回復が進み堅調に推移しました。一方でロシアによるウクライナ侵攻の長期化や世界的な金融の引き締め、エネルギー価格や原材料価格の高騰によるインフレの継続など、国民生活への影響は大きく、先行き不透明な状況は依然続いております。
そのような状況下、当社グループにおきましては、「元気な街、心豊かな暮らし」の経営理念の下、主力事業における分譲マンションや新築一戸建て、中古物件の買取再販など、住まいの販売を中心に推進してまいりました。不動産、住宅業界におきましても、円安の加速、エネルギー価格の高騰は大きな打撃を受けており、建築資材、燃料費が高騰し続け、販売価格も高騰している状況にあります。さらには一部金融機関の金利引き上げに伴い、金利上昇の懸念も拡大し、お客様の住宅購入マインドの低下が見られました。当期の売上高におきましては、分譲マンションの竣工が前期より減少したことに伴い、マンション事業としては減収となりましたが、新築一戸建て、中古物件の買取再販、土地分譲において、1件当たりの単価の上昇や販売件数の増加により、全体としては過去最高の売上高を計上することができました。売上総利益につきましても、原価の高騰分を販売価格に転嫁できず、価格を下げた販売をせざるを得ない状況も一部ございましたが、分譲マンションにおいて、利益率が高く販売も好調であったこと、戸建事業においても厳しいながら一定の利益率を確保できたことにより、前期を上回る結果となっております。
販売経費におきましては、分譲マンションや新築一戸建ての外部への販売委託割合が増加したこと、また分譲マンションにおける大型物件の分譲開始により、モデルルームやパンフレット費用が増加したことから、販売費における販売手数料や販売促進費が前期を上回りました。また、人件費におきましても、熊本県の株式会社イワイホーム及び有限会社小岩井ドリームの事業譲渡契約に伴う人員の受け入れ、また、物価高を背景とした給与のベースアップ、さらには県の最低賃金引上げ等から、当初計画を大きく上回り、販売費及び一般管理費が前年同期比110%と大幅に増加し、営業利益が前期を下回る結果となりました。さらに、当社グループは金融機関からの融資により各事業のプロジェクトを推進していることから、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が増加したことで、金融機関からの借入金額が増加、支払利息が増加したことにより、経常利益においても前期を下回る結果となっております。
これらの結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高35,759百万円(前期比5.2%増)、営業利益1,021百万円(同11.1%減)、経常利益808百万円(同16.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は528百万円(同24.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(マンション事業)
マンション事業におきましては、当期期初時点における完成在庫は概ね完売、また当期に竣工した、「サンパーク紅梅グラッセ(福岡県北九州市、総戸数33戸)」、「サンパーク春日の杜グラッセ(大分県大分市、総戸数39戸)」、「サンパーク姪浜西グラッセ(福岡県福岡市、総戸数49戸)」など、全9棟438戸の物件が竣工し、期初時点の在庫も含め、13棟が完売、約9割のお客様へのお引渡しが完了いたしました。土地の仕入れ時点におけるマーケット調査の精度が向上し、お客様の需要の高い、利便性の高い土地の購入が行えていることから販売が好調であり、利益率においても当初計画数値を上回る利益率にて販売できております。
また、当期には新たに福岡県北九州市の小倉駅徒歩4分の好立地である「ザ・サンパーク小倉駅タワーレジデンス(福岡県北九州市、総戸数150戸)」や「サンパーク別府駅前レジデンス(大分県別府市、総戸数56戸)」など、駅徒歩圏内の利便性の高い立地に、それぞれのエリア特性に合わせコンセプト付けした10棟593戸の新規分譲を開始いたしました。分譲マンションは土地の仕入れから売上計上までの期間が約2~3年と長く、完成時期は2024年9月期以降になるものの、契約数は順調に推移し、2024年9月期における引渡し予定492戸の内、既に301戸の契約が完了しております。
連結子会社である、マンション総合管理会社「大英リビングサポート株式会社」は、親会社の分譲マンション供給増加に伴い、分譲マンション等の管理戸数は4,659戸(前年同期比23.5%増)となっております。
これらの結果、マンション事業セグメントの売上高は15,815百万円(前期比3.9%減)、セグメント利益は1,405百万円(同9.9%増)となりました。
(住宅事業)
住宅事業におきましては、当社の分譲住宅の販売を中心に、土地分譲、リフォームを行ってまいりました。
分譲住宅におきましては、主力商品である「サンコート」を中心に、コンセプトを変えた「the park」や「Sakuhana」、当社初の平屋住宅である「hidamari」、さらには55周年記念モデルとして株式会社クラフトアール様とコラボレーションした新商品「グランアーキ」など、お客様のニーズを組み込んだ商品展開を増やしてまいりました。また、エリア展開におきましては、新たなエリア展開はなかったものの、既存のエリアにおける住宅シェアを確保しつつ、住宅需要の高い熊本県、前期にエリア進出した佐賀県や山口県にて販売を増加させてまいりました。
当期におきましては、前期に影響の大きかったウッドショック(米国の住宅需要増加に伴う木材価格の高騰)や半導体の不足による原価率の上昇からの利益率の改善を図りましたが、建築原価の高騰は当初想定していたよりも大きく、販売価格に転嫁できず価格を一部下げ、販売を促進させたことから、大きな利益率改善は図れておりません。しかしながら販売件数は前年比113.8%と大幅に増加したことから、分譲住宅としては過去最高の売上高、売上総利益となりました。
また、土地分譲におきましては、当社の強みである土地の収集力を活かし、その情報の中で、当社の提供商品に合わない面積の土地などを他社の住宅会社等へ販売を行っておりますが、建築費高騰など外部環境が厳しくなる中、一部同業他社において土地の買い控えが起こったことから、当期期初における計画からは大きく下回りましたが、売上高は前年同期比117.7%となっております。
不動産流通事業におきましては、中古物件を買い取り、リフォームを行い販売する買取再販事業を、本社北九州市を中心とした福岡県、熊本県、大分県にて行ってまいりました。中古市場においては、周辺の新築物件の相場が大幅に上がったことにより、中古市場の相場も高騰し、また、競合他社の増加やリフォーム資材の高騰により、原価金額が上昇いたしました。しかしながら、物件金額に限度額を設けて検討されるお客様も多く、原価高騰分の金額を販売価格に転嫁することが厳しく、販売件数が前期比93.7%と減少、1件当たりの単価が上昇し、売上は上がったものの、価格を下げた販売を行ったことから、売上総利益は減少いたしました。
街づくり事業におきましては、投資家向けの戸建賃貸住宅の販売、大型の土地分譲、また、山口県防府市の駅前公有地の開発を行ってまいりました。前期において売上計上したタウンハウスが当期にはなかったため、街づくり事業としての売上は減少しております。投資用戸建賃貸住宅の販売におきましては、投資需要や副業への関心の高まりから事業展開を行ってまいりましたが、賃貸市場における一戸建て賃貸はまだまだ少なく、居住者の需要が多く見込めること、賃貸マンションやアパート等より低コストで投資ができることにより需要は高く、前年同期比170.6%の29戸の引渡しと、概ね予定通りの推移となっております。今後におきましては、金利上昇リスクなどを踏まえ、注視しながら事業の拡大を行っていく必要があると考えております。
これらの結果、住宅事業セグメントにおきましては、売上高19,870百万円(前期比13.7%増)、セグメント利益は713百万円(同20.4%減)となりました。
(その他事業)
鹿児島県鹿児島市や福岡県中間市における水道供給事業や自社保有不動産の不動産賃貸事業につきましては、売上高は73百万円(前期比12.6%増)、セグメント利益は30百万円(同53.7%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は39,829百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,453百万円増加いたしました。これら要因は、現金及び預金が前連結会計年度末に比べ、3,015百万円減少し7,826百万円に、竣工在庫の増加及び仕掛物件の増加により、販売用不動産が3,045百万円増加し10,270百万円に仕掛販売用不動産が929百万円増加し18,778百万円になったことなどによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は31,919百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,017百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金が512百万円減少し4,310百万円に、短期借入金が1,047百万円増加し11,603百万円に、1年内返済予定の長期借入金が1,396百万円増加し5,658百万円に、長期借入金が1,032百万円減少し7,555百万円になったことなどによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は7,909百万円となり、前連結会計年度末に比べ436百万円増加いたしました。これは前連結会計年度末に比べ、親会社株主に帰属する当期純利益528百万円計上及び配当金の支払いにより101百万円減少し、利益剰余金が総額で426百万円の増加が主な変動要因であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,058百万円減少し、7,310百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の減少は、3,669百万円(前期は1,767百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の増加額809百万円、棚卸資産の増加額3,950百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は、704百万円(前期は431百万円の減少)となりました。これは主に定期預金の預入による支出131百万円、有形固定資産の取得による支出621百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の増加は、1,315百万円(前期は5,252百万円の増加)となりました。これは主に短期借入れによる収入18,312百万円及び短期借入金の返済による支出17,264百万円、長期借入れによる収入9,662百万円及び長期借入金の返済による支出9,298百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営むマンション事業、住宅事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
b.契約実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の契約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
||
|
件数 |
金額(千円) |
件数 |
金額(千円) |
|
|
マンション事業 |
582 |
16,821,363 |
542 |
17,790,234 |
|
住宅事業 |
797 |
17,941,387 |
779 |
17,824,706 |
|
合計 |
1,379 |
34,762,750 |
1,321 |
35,614,940 |
c.販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
||
|
件数 |
金額(千円) |
件数 |
金額(千円) |
|
|
マンション事業 |
584 |
16,460,913 |
480 |
15,815,527 |
|
住宅事業 |
767 |
17,473,187 |
836 |
19,870,008 |
|
その他 |
- |
65,319 |
- |
73,522 |
|
合計 |
1,351 |
33,999,420 |
1,316 |
35,759,058 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
当社グループの経営成績の分析は次のとおりです。
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前連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
差額 |
|
金額(千円) |
金額(千円) |
金額(千円) |
|
|
売上高 |
33,999,420 |
35,759,058 |
1,759,637( 5.2%増) |
|
売上総利益 |
6,266,524 |
6,651,600 |
385,076( 6.1%増) |
|
営業利益 |
1,149,590 |
1,021,567 |
△128,023(11.1%減) |
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経常利益 |
965,488 |
808,857 |
△156,630(16.2%減) |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
698,109 |
528,186 |
△169,922(24.3%減) |
(売上高・売上総利益)
当連結会計年度の売上高は、35,759百万円(前期比5.2%増)、売上総利益は6,651百万円(前期比6.1%増)となりました。
売上高は、マンション分譲における竣工棟数が減ったことにより減少しましたが、分譲住宅事業における売上戸数が前期比60戸増と大幅に増加したこと、また、分譲マンションや分譲住宅、中古住宅等、概ねほとんどの商材において、1件当たりの販売単価が上昇したことにより、前期と比較し増加いたしました。
また、売上総利益につきましては、建築資材の高騰、またエネルギー価格の高騰により、建築原価が上昇している状況にあり、前期における新型コロナウイルス感染症による中国のロックダウンや物流網の悪化等から利益率の改善はできておりません。しかしながらから、マンション事業における分譲マンション、土地分譲の粗利率の上昇から、相対的に粗利率を確保できております。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきまして、販売戸数の増加から、外部への販売委託割合が増加したこと、また、1件当たりの手数料の増加もあり、販売手数料が増加いたしました。また、新卒採用や中途採用に加え、熊本県の企業の譲受による人員の受け入れ、ベースアップ、都道府県の賃金のアップ等により、人件費が大幅に増加しております。その結果、販管費が当初予算を大きく上回り、5,630百万円(前期比10.0%増)となり、営業利益は1,021百万円(同11.1%減)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益につきましては、受取手数料等により、191百万円(前期比0.1%減)となりました。営業外費用につきましては、支払利息等により、403百万円(同7.6%増)となり、経常利益は808百万円(同16.2%減)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は1百万円(前期比97.6%減)、特別損失は1百万円(同92.0%減)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は528百万円(同24.3%減)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主要事業は全て土地に関連する事業のため、土地価格の上昇や土地需要の高まりによる各プロジェクト用地の確保が困難になった場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、
地場不動産会社や金融機関との連携した土地情報収集力を更に強化し、立地条件等良質な土地収集に努めております。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、土地及び物件仕入に加え、各種プロジェクト建設費用等があります。いずれも、金利コスト等を勘案しながら、自己資金又は金融機関からの借入金により調達しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社は、「地域愛着経営」の経営方針の基、地元に愛され必要とされる企業となるため、安定した収益を確保することが重要であるという認識により、売上高経常利益率を重要視しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。売上高経常利益率は5%を目標とし、総資産利益率は5%以上※の達成を目標としております。
しかしながら、当期経常利益率は2.3%と目標数値を大きく下回っております。当社事業は約95%の売上を分譲業にて計上しており、外部環境の影響を非常に受けやすい業態です。外部環境の影響を受けにくい商材を確保するための新規事業、ストック事業の強化、全社的な販売費および一般管理費の抑制を図り経常利益を確保すること、更に滞留資金の長期化を避け資金の回転率を高めることにより、資金の有効的且つ効率化を鑑み、目標達成に努めてまいります。
※当社はROA算出の基準として、当期純利益ではなく経常利益にて算出を行っております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。